2025年3月5日水曜日

Let's Meet LiVS (2025-02-25)

前に来たときに気になっていた、会場から徒歩2-3分のところにある飲食店。パッと見、イン・ネパ店。店の表に掲示してあるメニュー。カレーとナン、ガパオ・ライス、パッタイ、バインミー、フォー、冷麺、ワンタン、チキン・シャシリク、ハンバーグ・カレー、等々。何ヶ国分の料理を作んねん。ハズレの臭いしかしない。それでも気になってはいた。このタイプの店でちゃんとおいしいという奇跡に立ち会う可能性もゼロではないからだ。たとえばヨコハマ・アジアン・ダイニング&バーという横浜駅とニッパツ三ツ沢球技場の間にある店はイン・ネパ店でありながらタイ式のカレーも出しているのだが、おいしくてリピートしている。とはいえこの店に関しては広げる風呂敷の大きさが度を越えている。インド、ネパール、タイ、ベトナム、韓国、旧ソヴィエト圏。よほどスーパーなシェフでもいないかぎりこれらの地域の料理のすべてを高いレヴェルで作れるわけがない。とりあえず値段は安い。失敗しても大きな痛手ではない。物は試しだ。ということで入ってみた。タンドール・ライス JPY1,190。ソフト・ドリンクがJPY100でつけられるのには好感。クオリティについては可もなく不可もなくという面白みのない結果となった。これでJPY2,000とかしたら氏ねやってなるけどさ。もし時間がなくてこの店に入るかメシを抜くかの二択だったら飛び込むかもしれない。積極的に再訪することはない。

ほぼ毎週、火曜日の夜に開催されているLiVSの定期公演。私にとっては1月28日(火)以来。あのときとはだいぶ異なる心持ち。安心感。自信。渋谷CLUB CRAWLの場所も大体覚えていた。渋谷駅と恵比寿駅の真ん中くらい。渋谷の中央改札から出るとスッと行ける。あの日に優しい先輩方の導きで、オキニのソロ・パートでフロア前方に密集する行為(ケチャというらしい)を何度もさせていただいた。あのOJTは本当にデカかった。あれできっかけをつかんだ。あの日以降、五回、LiVSの公演に入った。その間に私は圧倒的成長を遂げた。フロアにおける立ち振る舞いをだいぶ習得してきた。下北沢MOSAiCでフロアの激しさに戸惑っていたあの日の私はもういない。ポジションが流動的でインテンシティの高いフロア前方中央付近を避け、端っこの後方付近でおとなしく観ていたあの頃の私はもういない。

1月28日(火)は在宅勤務だったが、今日は会社から直行。動きづらいスーツで公演に臨まないといけないのはダルい半面、ちょっと楽しみでもあった。正直を言うと特典会でミニ・マルコchanとコンニチハクリニックchanにスーツ姿を見てもらいたいというキモい欲求があったのを否定できない(キモいが、私の可愛い一面でもある)。俺はちゃんと働いてるんだゾっていう感じで…。スーツは作業着と割り切って買ったGINZA Global Styleの安物(モノは悪くない。ちゃんと身体を計って作ってくれたし、色々とカスタムも出来たし。同社がマリノスのスポンサーだったときに買った)だが、ネクタイにはこだわった。コム・デ・ギャルソン青山店で、吉田さんの接客で買ったやつ。少なくとも10年以上前。まだまだクタッていない。そういえば今の勤め先の採用面接でもこれを締めていた。勝負ネクタイと言える。

LiVSの現場では黒い公式teeの着用率が異常に高い。別に他の服を着ていても何も悪くないはず。咎められることももちろんない。だが着ていないとちょっと浮くくらいに皆さんがお召しになっている。メンバーさんの衣装は毎回同じなので、私も毎回同じ黒teeだといつも同じ格好同士で写メやチェキを撮ることになる。私としてはこれはあまりイケてないと感じる。落としどころとしては、公演は黒の公式teeで参加し、終演後にteeシャツの上から自分なりの服を着て変化をつければいいのかなと今では思う。(と書いていて思ったが、じゃあ夏はどうやって着替えるんだ。それはそのときに考える。)スーツのジャケットを脱ぎ、シャツの上から公式teeを被る。

整理番号、A11。定期公演はSチケットがないので11人目。がっつけば最前に行くのも無理ではなかった。が、そもそもLiVSのフロアでは最前はギチギチに詰めるものではなく、ある程度は流動的に入れ替わるもの。二列目左寄りの位置を取った。恒例となりつつあるアルバム(JPY3,300)の2枚購入。チケットJPY3,000、特典会JPY6,600。毎回JPY9,600かかる。安くはない。一回の公演に約一万円を出す価値がこの集団そしてこの公演にあるのか? そう問われれば、あるというのが私の答えだ。間違いなくそれだけの価値がある。LiVSと目撃者が作り出す幸せな空間。掛け値なしに高品質な音楽。それを表現しきるメンバーさんたちの技能。ミニ・マルコchanの存在。メンバーさんたちの歌声のケミストリー。激しく情熱的ながら平和なフロア(最前管理でガッチリ既得権益を守っておらず誰にでもケチャで前に行く自由がある)。フロア内の(目撃者同士の)信頼関係(ケチャで前に行く人のために道を開けたり身体を押してもっと前に行けるようにしたりする)。ステージとフロア間の信頼関係(メンバーさんがフロアに下りてくる)…。そして(メンバーさんや運営さんは不本意かもしれないが)現状の“適度な”集客もこの空間を特別たらしめる要素のひとつである。この定期公演に、この規模の箱で、来場者が30人くらい。どこにいてもステージが近いし、メンバーさんが見えやすい。スペースを見つけて要所で前方にケチャすることも出来る。メンバーさんがフロアに下りてくることも出来る。すべてが絶妙なバランスで成り立っている。奇跡のような空間。

LiVSはもっと多くの目に触れることさえ出来れば今の数倍の集客は容易なのではないか。私はアイドル業界の商売的な話は何も分からないのだけど、少なくともこの集団にはそれだけのクオリティがあると一人のオタクとしては感じる。読者の皆さんはご存じのように、私には見る目というものがある。私がいいと言ったものはいい。この俺についてくりゃ心配ねえ(ZEEBRA, “Supatech”)。メンバーさんたちのTwitterフォロワー数は少なくて1.2K、多くて1.8K。明らかに少ない。この10倍いても全然おかしくない。最近、昨年12月23日(月)のツアー・ファイナルのフル動画がYouTubeにドロップされたのだが、約五日間を経過してようやく再生回数が1Kを超えたところである。桁が少なくとも一つは違って然るべきである。そこのお前も今すぐに観るべきだ。LiVSが発揮しているクオリティと、彼女たちを追う目と耳の数が明らかに釣り合っていない。現状のLiVSに決定的に欠けているのは知るきっかけである。私もBLUEGOATSとの対バンで観るまで名前も聞いたことがなかった。仕方のない面もある。アイドルと呼ばれる集団が世の中に溢れすぎて飽和状態であるという現実がある。ただそれにしても今LiVSを知らない人がどうやってこの集団を知って現場に足を運ぶようになるのか。動線がほとんどイメージできない(そりゃ新規無料チケットとかはあるけどさ)。マスに届き得る発信がほとんど皆無だからだ。たとえばBLUEGOATSの場合、YouTubeからの集客が多い。一連のギャンブル動画をきっかけに公演に来るようになった紳士たちもいる。動画は一気に何千、何万もの人々の目に入る可能性がある。LiVSの場合、現状だと(私のように)対バンでたまたま目にするくらいしか知る術がない。対バンに来る客は数十人から100人程度だろう。もしLiVSがこれから会場の規模を大きくしていきたいのであれば、肝はライト層のファンをいかに増やすかにあるのではないだろうか。要はライトなファンの背中を押せば公演に来てくれるかもしれないけど、まず知らなければその土俵にも上がってもらえないから。そのためにはYouTubeなど、多くの目と耳に触れ得る場所での定常的な発信が必要である。私はLiVSのメンバーさんたちに報われてほしい。目標や夢を叶えてほしい。一方で、前述したように、今の知名度と動員規模だからこそ成り立っている良さというのも間違いなくある。一人のファンとしての利己的な願望としてはこれを崩してほしくないという思いもある。

特典会。当初のキモい考えを貫きスーツ姿で参加。私を見るなりネクタイを褒めてくれるマルコ。その流れで写メはマルコが私のネクタイを指すポーズに。スーツは安いやつなんだ。二着で5-6万とか。え? 高いよ? 二着でね? それって安いの? スーツって本当にちゃんとしたやつは15万とか20万とかするよ。そうなんだ…スーツを着たことがない…/最近お仕事は忙しいの? いや、そうでもない。そっか。海外出張から帰ってきて、それからは落ち着いてるんだね。そうだね/そういえばさ、昨日池袋に(対バンで)行ってたじゃん。うん。俺、池袋に住んでて。あの会場、家から徒歩20分くらいで。あのすた丼屋(会場の池袋アダムに隣接しているすた丼屋)も何回か行ったことある。私すた丼食べことなくて、昨日メンバーと食べてみたいねって言ってたの。俺もすた丼は食べたことがなくて、野菜炒めしか頼んだことがない。そうなんだ。健康に気を遣わないと。あーたしかに健康にね。健康にいいもので食べてるものある? 私はサツマイモ食べてる。サツマイモ! 俺も食べてる。私レンチンで蒸して食べてるの。俺は焼き芋メーカーってのがあって、それで焼き芋作ってる。1分レンチンしてから、その機械に入れて、60分くらい待つと出来るの。アマゾンにあるよ。へー、いいこと聞いた。調べてみよ。私はね、百均で、水を入れてレンジで蒸すやつがあるの。それを使ってる。/的な会話(いつも言っているけどあくまで記憶。正確な書き起こしではない)。コンニチハクリニックさんはすーつかっこいい、ねくたいかわいい、おしごとおつかれさま、といった言葉をスマ・フォ筆談で伝えてくれて(声帯結節の影響でまだ声が出せない)、きもちくしてくれた。こうやってお二人と特典会でお話をさせてもらって気付いたが、お仕事お疲れ様だとか、最近は忙しいのなぞと誰かに気遣ってもらえるような機会が私の生活に存在していない。その欠落をここで埋めてもらっている。悲しきモンスター。

翌日、日産スタジアムで横浜F・マリノス対▒浜FCを観た。ホームで、この相手にまともなチャンスすら作れず、0-0の引き分け。通常なら許すことが出来ないが、前日に観たLiVSの余韻でギリ許せた。スティーヴ・ホランド監督の戦術がチームに浸透するまではしばらく我慢が続きそうである。公演中にiPhone 14で撮った動画や、特典会でコンニチハクリニックchanと撮ったチェキ、ミニ・マルコchanと撮った写メとチェキを見返すと、頬が緩み、フットボール由来のストレスが和らぐ。

アイドルを熱心に追う生活から引退したつもりでも、引退できていない。一時的に距離を置いたとしても、結局はアイドルを欲している自分に気付く。私は冷静になりたいんじゃなかったのかもしれない。きっと狂いたいんだ。狂う理由が欲しい。狂える相手を求めている。狂ったまま、楽に死にたい。