2022年5月3日火曜日

高橋愛・田中れいな・夏焼雅「ラフ・アンド・ピース」 ミニライブ&お見送り会イベント (2022-04-27)

洗練されてる面々。ハロー!プロジェクトのキング・ギドラ。ウェスト・サイド・コネクション。高橋愛、田中れいな、夏焼雅。この三人がアルバムを出すと聞いた。聴かない手はない。聴くには買わないといけない。買わなくても誰かがくれるシステムはない。Juice=Juiceやモーニング娘。なら個別特典会のために大量購入し持て余したブツをストリートの仲間たちから回してもらえるが、高橋、田中、夏焼の熱心なフォロワーは周りにいない。どうせ買うなら何かの特典つきがいい。ちょっと調べてみたがピンと来ない。コロナ騒ぎが始まって給与の減った会社員が副業でウーバー・イーツをやり始めたような感じでアイドルさんたちが一斉に参入したリミ・スタ(YouTubeで配信されるオンラインのサイン会)。私はたまに切り抜き動画を覗くことはあるが、自分があれで名前を呼ばれてコメントを読まれたいという希望はいっさいない。オンラインでのお話し会もあった気がするが、話したいことや伝えたいことなどない。小野瑞歩さんとさえ話したいことはないのに、日頃追っていない高橋、田中、夏焼と画面上で対面して何を言えばいいのか。それにオンラインで顔を出しての対話は企業の採用面接を思い出す。相手が違うとはいえわざわざお金を払ってやりたくない。それで一旦は買うのを保留していたんだけど、たまたまタワレコの通販サイトを観ていたらリリース・パーティ参加抽選券つきのがあって。平日で横浜だけどまあ何とかしようと思って。買って。当選して。当日は労役を何とかして。たどり着いた桜木町駅。ランドマーク・ホール。開演19時。入り口に掲示してある入場時間。整理番号1番から100番が18時30分、101番から200番が18時40分、201番以降が18時50分。整理番号はタワレコのマイ・ページに表示されている。私は165番。まあ後ろのほうか。と思っていたんだけど謎のひとひねりがあって。入場は整理番号の順なんだけど席は早いもの勝ちではなくて。入る前に机にトランプみたいに10枚の紙が置いてあって。リリース・パーティで見慣れたあの参加券。あれを裏返して並べてあるの。一枚を選ぶ。これって指さしたら係員のお姉さんがそれを渡してくれる。その番号の席に座る。私の番。何か野生の勘が働いて。調子がいいときの仲川輝人さんがドリブルをしながらゴールへのコースが見えるのと同じようにあの紙が良席だというのが何となく見えた。お姉さんから渡された紙を裏返すと、60番。4列目の右から三番目。素晴らしい。タワレコの整理番号が若かったのに後方席を引いた人もきっといただろうと思う。ぬか喜び。意味不明なシステムだが私は結果として助けられた。ステージへの近さ、高橋、田中、夏焼を生で観られて彼女たちの歌を聴けること、リリース・パーティ特有の雰囲気、そういったものが合わさってワクワクした。楽しい時間になることが約束されていた。私はこの感覚を最近ハロー!プロジェクトでは久しく味わっていない。前説のアルビ兄さんにはつばきファクトリーのときのイキリ感がなく、オフ・モードのようなしおらしさ。やたらと「ならびに」「また」を連発する緩慢な喋り。登壇する高橋、田中、夏焼。アイドルアイドルした衣装。存在がキラキラ。いわゆる絶対領域を全員が露出。田中に至っては両ワキを丸出し。帰りの電車で年齢を調べたら高橋35歳、田中32歳、夏焼29歳。もちろん一般的にはまだ若いは若い。しかしいわゆるアイドルという枠組みでは現役を外れる年齢。実際に三人ともとうの昔にハロー!プロジェクトを退団し、同じアップフロント内のエム・ラインという団体に属している。職業としてのアイドルという意味では第一線から退いている。高橋にいたっては結婚している。だがそういったことに関係なく、今日の彼女らが放っていた輝きは紛れもなくアイドルのそれだった。職業としてではなく、存在としてのアイドル。往年のハロー!プロジェクトのそれだった。現役のハロー!プロジェクト・メンバーさんはこうはなれない、ここまではたどり着けない、そう思わせるスターのヴァイブスがあった。モノが違う。夏焼が、愛ちゃんとれいなちゃんと一緒に歌っているとモーニング娘。に入った気分だと言っていた。たしかに高橋、田中といえばモーニング娘。の主要な歌割りをほぼ二人で独占していた時期もあった。2ちゃんねる利用者たちは高橋の重用をタカハシステムなぞと揶揄していたが、システム(要は事務所やつんくによる贔屓)が仮にあったとしてもそれに耐え得るだけの素質が高橋になければ成立しなかった。高橋と田中がモーニング娘。で一時代を築いたレジェンドであるのは間違いない。高橋、田中、夏焼。彼女たちは単なるアイドルではない。アイドルのアイドル。久しぶりに聞いた田中の博多弁のトーク。私がモーニング娘。で観ていた頃の田中と何も変わっていなくて驚いた。田中が歌の合間にたまにニコッとして客席に目配せするのが可愛かった。アイドル・サイボーグという言葉があるけど、今日の三人からは仕事モードで思いっきり作り込んだアイドルというよりは、リラックスしてありのままの自分で居続けているだけで勝手にアイドルになっている(自分とアイドルという概念の境目がなくなっている)凄みを感じた。アルバムの8曲中、5曲が披露された。各人の歌声が極めてドープな上、三人組という少数編成なので一人一人の歌声を存分に味わえた。聴いていて本当に気持ちがよかった。約35分の短時間にもかかわらず大満足。余韻が残った。今のハロー!プロジェクトよりはエム・ラインの方が私には合っている可能性がある。

セットリスト

1.『わさびじゃないのよ鰹は
(トーク)
2.『およげ!たいやきくん
3.『愛のドンデン返し
4.『誤爆〜We Can't Go Back〜
(トーク)
5.『十人十色三者三様』