2025年3月20日木曜日

IGNiTED SOLiD TOUR 名古屋公演 (2025-03-09)

今シーズンはアウェイの名古屋グランパス戦が平日に開催される。4月2日(水)。行くのは不可能ではないが、無理がある。当日は午後半休を取る必要がある。豊田スタジアムで試合が終わるのが21時過ぎ。新幹線の最終が名古屋駅発22時過ぎ。たぶん間に合わない。夜行バスで帰るのはダルい。宿代を考えると一泊するのも現実的ではない。仮に一泊したところでさらに新幹線代もかかるわけで。そんな何万円も使ってまで観に行く試合ではない。DAZNでいいや。正確に言うとABEMA de DAZNで観る。DAZNは3月23日(日)をもって退会する。動作が軽くて快適であるという利用者の声をTwitterで見、ABEMA de DAZNに乗り換えることにした。年に一度、マリノスを観るために名古屋に行くというのは自分の中で既定事項だった。それがなくなった。その遠征費用が浮いたという都合のいい解釈で、LiVSのツアーを観るため名古屋に行くことにした。

3月8日(土)に大阪公演、3月9日(日)に名古屋公演。私は大阪にも行く気満々だった。3月9日(日)の大阪発、名古屋着のバスまで予約した。大阪の宿を探したところで立ち込める暗雲。宿がない。いや、宿はあるが高すぎる。名古屋でも見つからない。コヴィッド騒ぎ以前の時代にはJPY5,000-6,000も出せば最低限のビジ・ホやカプセルには泊まれた。楽天トラベルを見る限り今ではその最低金額がJPY15,000くらいに跳ね上がっている印象である。JPY15,000とかJPY20,000とかを宿泊施設に取られ、さらに大阪と名古屋の移動費もかかるとなると、それぞれを日帰りで行くのと大差ないんちゃう? 馬鹿馬鹿しくなる。なんかもう、友達の家に泊めてもらえるとかでもないかぎり、気軽に国内旅行は出来ないね。ということで今回のLiVSのツアーは名古屋と東京だけに入ることにした。ちなみに3月1日(土)の仙台公演は横浜F・マリノス対湘南ベルマーレと被った。

大阪公演を断念した3月8日(土)には新宿のナルゲキでサスペンダーズのPodcastイヴェントを観た。春とヒコーキのお二人を初めて生で見ることが出来た。イヴェント自体は面白かったのだが、思わぬ落とし穴があった。過剰な暖房である。半袖teeでものぼせるような暑さ。普段は女性客が多い会場だから空調の設定温度が高いのだろうか? 眠くなった。実際に少し居眠りをしてしまった。会場を出たのが16時頃だったが、時間が経っても眠気が取れない。寒暖差で調子が狂った。こんなに簡単に体調を崩す自分が情けない。厳しいって。弱いって。モテないって。テストステロン低いって。やることやれって。そういえば、数日前からちょっと咳が出てはいた。弱りかけていたところでナルゲキにとどめを刺されたんだと思う。隙を見せた自分が悪い。

大阪ではなく名古屋に行くのはもちろん、現地にダチがいるからだ。LiVSを観に行くついでに彼らと会えれば。何なら公演に来てもらえれば。そう思って中島さん(仮名)と森川さん(仮名)を誘ってみたところ、二人とも公演に来てくれることに。LiVSにはペア・チケットと新規無料チケットという新規客に異常に優しいシステムがある。
  • ペア・チケット:既存客が買うチケット。新規客を連れて来れば二人とも無料になる。しかもLiVS全員との囲みチェキが撮れる。その代わり二人は公演中、手錠で繋がれる
  • 新規無料チケット:新規客が自ら買うチケット。LiVSの単独を観るのが初めてなら無料(対バンで観たことがあってもOK)
本当にいいのかと思うくらい太っ腹だが、新規のお客さんに来てもらうというのはそれくらい大変かつ重要なのだろう。私が中島さんとペア・チケットで、森川さんが新規無料チケットで入ることに。つまり三人ともチケット代がタダ。中島さんは金融ブラックなので彼自身による登録や決済を発生させるのは避けたかった。チケットが無料とはいえlivepocketの登録の時点で弾かれる(有効なクレジット・カードがないとかで)のではないかという懸念があった。

ご都合がつけばお昼ご飯からご一緒したいという旨のメッセージを事前にLINEで送っていた。定期的に会えるわけではないので、この機会にゆっくりと旧交を温めたかった。蓋を開けると森川さんは14時半頃、中島さんに至っては開場時間17時のちょい前に合流。11時半に名古屋に着き、独り寂しくサンモールのよもだそばでにしんそば(温)大盛りJPY730とコロッケJPY130を立ち食いする私。忘れてはいけない。無料だったとしても休日にアイドルさんの公演に誘って来てくれるという時点で社会的には外れ値だ。まともな大人はこんな申し出に付き合ってはくれない。変わり者だから私と交流してくれるのである。感謝しないといけない。ここで急に常識を持ち出してはいけない。私たちはその枠の中で生きていない。「俺たちに常識を求める それはお門違い」(漢 a.k.a. GAMI, “M.M.I.”)なのである。森川さんと栄に移動。広場でコーヒーをしばく。会場の場所を確認。新栄DAYTRIVE。本当にここで合っているのかと戸惑う場所にあった。小さな飲み屋が集住しているビルヂングの、それも地下ではなく3階。近くのデイリー・ヤマザキで酒を買い、開場時間が近くなるまでストリートで飲(や)る。

入場列で近くにいた紳士が元々BiSHの支持者で(目撃者は元BiSH支持者が多い)、好きだったメンバーさんのコス・プレやメイク・アップまで施して擬態していたというお話を伺って面白かった。そのメンバーさんに自分自身がなりたいというのは、アイドルさんを支持する者が抱く欲求のひとつの終着点なのではないだろうか。たとえば「聖地巡礼」と称してアイドルさんと同じ場所を訪れ、同じものを食べる行為も、アイドルさんのやったことを追体験し、究極的にはそのアイドルさんになりたいという願望が根っこにあるのではないか。

場内にバーはなく、置かれた缶を各自が選んで取る。横浜F・マリノスを含むシティ・フットボール・グループとの複数年に渡るグローバルパートナーシップを締結したアサヒグループホールディング株式会社(本社 東京、社長 勝木敦志)が展開するグローバルブランドのAsahi Super Dryがあったので、当然ながら私はそれを選択。開演前の時点でフロアに漂うイルなヴァイブス。その場を埋めた人だけでなく会場そのものもドープ。森川さんは呆気に取られたように「ハーコーすね」を連呼し、「アンダーグラウンドが一番タフ」(ZEEBRA, “GOLDEN MIC (REMIX) feat. KASHI DA HANDSOME, AI, 童子-T, 般若”)というパンチ・ラインを呟く。ちなみに以前の定期公演でアイドルのライブに来るのは初めてですか開演前に聞かれた新規客の紳士が「そうすね、地下は…」と答え「地下って言うな!」とおまいつの紳士に(笑いながら)叱責されていた。この言葉はLiVSでは禁句なのかもしれない。

私の体調は明らかに微妙だったが、フロアに入った途端に不調がすべて解消し100%元気になった。(この旨を終演後、中島さんに言うと「逆に病気ですね。本当のクリニックじゃないですか」と言われた。)公演を心から楽しむことが出来た。フロアの目撃者側にもメンバーさん側にも、この場にいるみんなで楽しむというヴァイブスが充満している。たしかにフロア上の立ち位置の違いはある。高いチケットを買った紳士たちが当然、前方にいる。だが、前にいるから(高いお金を払っているから)偉いとか後ろにいるから(チケット代が安いもしくは無料だから)軽い存在だとか、公演中にそんなことをまったく感じさせない。どれだけ後ろにいたとしてもオキニのソロ・パートでは前に行くこと(所謂ケチャ)が可能。可能どころかどんどん行けという雰囲気。よけてくれるし物理的に押してくれる。暗黙の了解で移動しやすいように空間を作っている。奇跡のような空間だと毎回、思う。ただミニ・マルコさんが可愛すぎるだけでも、音楽が素晴らしいだけでも私はここまでLiVSに夢中にはなってはいない。目撃者の皆さんが作り出す、激しさと平和と楽しさが併存したこの空間。これがたまらなくて何度も来ている。LiVSのフロアにはアンジェ・ポステコグルー監督のフットボールに通ずるポジションの流動性がある。サイド・バックでもチャンスでは当たり前のようにゴール前に顔を出す。コーナー・キックでディフェンスの選手が上がってから戻るのに似ていたと、終演後に森川さんは言った。その他、森川さんが述べられたご感想として、
  • 映像(私が送った昨年末のツアー・ファイナルと、それ以外にもいくつかの動画を観てくれたようだ)で見るよりもメンバーがみんな可愛い
  • スズ・カステラの顔がエロい(一番誰が気になったかという質問に対し)
  • コチャキンTVが女子プロ・レスラーの岩谷麻優に似ている
とのことだった。ちなみに、鈴カステラという名前の食べ物が存在することを公演後の会食中にお二人の指摘で初めて知った。検索してみるとブツ自体は見たことがあった。文字通り、鈴の形をしたカステラである。これを鈴カステラというのか。

『RとC』でフロアに下りてくるメンバーさんたち。「頭振ってクレイジーになろうぜ!」と我々を煽るコンニチハクリニックさん。いや、ここに来ている人たちは既にクレイジーである。曲中にフロアを回りながら私のところに来て「あーcteki! ありがとう!」と私が被っているキャップをポンポン叩いてくれるコンニチハクリニックさん。アイドルになった理由はちやほやされたいからだと氏はインタビューで言っていたが、私は氏にちやほやされっぱなしである。メンバーさんたちが下りてくるこの時間で、初めてマルコとハイ・タッチが出来た。それにとどまらず私が構えていたiPhone 14に向けてピースと目線をくれた。

先週に開幕したこのツアーからコンニチハクリニックさんの発声が解禁されている。ひとまずは無事に治って、久しぶりに声を聞けて嬉しかった。慣れとは恐ろしいもので、氏がどういう声なのか、特典会で喋るとどういう感じなのか、パッと思い出せなくなっていた。声が出ない間も来てくれて嬉しかったと、特典会で言ってくれた。これからも喉に休みが必要なときには必要なだけ休ませて、無理をせずに続けてほしい。

ペア・チケットの手錠は実際のところどこまで真面目につけていればいいのか。先輩たちに伺ったところMC中や全員チェキのときくらいつけていれば他は外していても問題ないようだ。実際、つけたままだとケチャに支障をきたす。公演中、ほとんどの時間で手錠は私側の手だけについていた。囲みチェキ(多くの先輩たちが過去の公演でそうしていたように写メにしてもらった)の列に並ぶ直前に中島さんと繋いだ。全員チェキ(写メ)は初めて経験したが、なかなかいいものだった。メンバーさんたちと一斉に対面したときを振り返って、全員に歓待されてましたよと中島さんは後に述べた。彼がこう言ってくれたのは嬉しかった。というのが彼は社会性が低い分、変なおべんちゃら(大人の社交辞令)を言わないという点において信用が出来るのだ。
私:彼はSKE48が好きで、
メンバーさんたち:(大袈裟に反応してくれる)
私:SKE48を観るために栄に移住したんだよ
メンバーさんたち:(大袈裟に反応してくれる)何をしてる人なんですか?
中島さん:無職です
というようなやり取りがあったと記憶している。その後、コンニチハクリニックさんが乃木坂?(他の坂だったかもしれない)が好きだみたいな話を中島さんに振ってその何とか坂のメンバーの名前を一人挙げたが、彼の微妙な反応を見たコチャキンTVさんが「違ったみたい(笑)」と言っていた。

本来は全員チェキに参加する権利がない森川さんにとあるおまいつの紳士が手錠を譲渡してくださるという、普通では考えられない利他的な行為を見た。列に並ぶ森川さんは見るからに緊張の面持ち。アイドル現場に行くのは浅倉樹々さんの最終公演以来というだけあってブランクを感じさせる立ち振る舞い。順番が来ると開口一番、緊張してるでしょ~とメンバーさんにいじられたらしい。その後、何で知ってくれたのか的な質問をメンバーさんがしたようで、先輩が…と森川さんが私の方を指し示した。視線が私に集中する。「先輩なの~??」とマルコが目を丸くしていた。

地元民の中島さんによるとこの辺は中国人が経営する中華料理店が多いらしい。そのうちのどれかに入ろうかと思っていたが、私がふと気になる店を見つけ、そこに入ることにした。インカ飯という、ペルー料理の店。炭火焼ロースト・チキンJPY3,680、インカ飯海鮮四種盛りJPY3,000。二杯ずつ飲んで三人で約JPY12,000。素晴らしかった。大当たり。再訪したい。今お金がないので明日以降に払いますと言った中島さんから、これを書いている3月20日(木・祝)に至るまで連絡がない。彼らしい。まあいいけど。公演、特典会、ペルー料理。森川さんと中島さんとの歓談。名古屋に行ってよかった。今のところ今年で一番の思い出である。