LiVSの運営が使う英語は基本的にすべて間違っている。今回の定期公演の演目であるWeekly LiVE at LiVSも例外ではない。まずlive(ライヴ)は「生の」という意味。たとえば生配信はlive streamingである。コンサートの意味でライヴと言うのは和製英語。その上、たまに馬鹿が賢ぶってコンサートとライブは違うなぞと言い始めるが、そのような区別はその人が頭の中で勝手に作っているだけであって元の英単語とは関係がない。そしてat LiVSだと、何も知らない英語話者が見たらLiVSという場所(会場)で行うのかと思うだろう。渋谷でやるからat Shibuyaにするなら分かるが。まあ、それはどうでもいいとして、私は急激に新曲『私アイドルじゃないです』を好きになってきた。10月20日(月)の通勤と昼休みにはこの一曲だけを繰り返して聴いた。最初にツアー千穐楽で聴いたときはあまりピンと来ていなかった。今ではもしかしてLiVSの曲で一番好きなのではないかと思うくらいになってきた。LiVSの四人の歌声の楽器性が際立つ曲だと思う。ミニ・マルコchanのいつもと違う歌い方。コンニチハクリニックさんとスズカス・テラさんの低音。ランルウさんの鳴き声のような切なさのある声。大森靖子氏の曲はリリックが刺さる人が多いのだろう。私の場合はリリックがどうというよりは音として好き。私は歌を聴いてもあんまり意味として頭に入ってこない。あくまで音として入ってくる。たとえば「私アイドルじゃないです」というリリックは、「私アイドルじゃないです」という意味ではなく、「私アイドルじゃないです」という音として入ってくる。どういうわけかメロディがなければ(ラップだったら)まだ意味として入ってくる。前に読んだ『ハピネス・トラップ』(ラス・ハリス)にネガティヴな考えを歌に乗せてみるみることでそれがどうでもよくなる的なことが書いてあった。
いつもあなたを捕まえるネガティブな自己評価を遊ぶ。「私は間抜けだ。など。次に、この思考を心に浮かべ、十秒だけ強く信じ込んでみる。[…]その思考をハッピーバースデーのメロディーにのせて心の中で歌ってみる。何が起こるか見てみる(ラス・ハリス、『ハピネス・トラップ』)何かにメロディをつけて歌にすることは言葉から意味を剥ぎ取る行為なのではないだろうか? 意味を伝えるのが主目的なら歌うのではなく喋るなり書くなりした方がいい。音楽ならラップの方が向いている。私は歌の意味にはさほど興味がない。だからたとえばGirls be badの『アブダビGO!』がめっちゃ好物である。特典会でマルコchanに『私アイドルじゃないです』の感想(概ね上記のような内容)を伝えた上で、マルコchanは歌を聴いたらそれが意味として入ってくるのかを聞いてみた。文節の区切り方によって意味が変わるときがあってそれが分からなくなるときがある。けど、意味は入ってくる方だと思う。というのが氏の回答だった。いつもと異なる歌い方についてはどこまで大森氏をリスペクトするかを迷ったというようなことをおっしゃっていた。
『私アイドルじゃないです』はLiVSのファン層を入れ替え得るほどにパワーのある曲だと思う。もちろん実際にはこの一曲だけで何かが変わるわけではない。だがこのようなLiVSを知らない人にも訴求し得る曲を次々に出して行けば、LiVSの運営もメンバーさんも望んでいるであろう所謂「売れる」という状態に少しは近づいていけるのではないか。この曲は大森靖子による提供楽曲という分かりやすい話題性がある。靖chanの曲なら一回聴いてみようかと思う人はそれなりにいるはずである。今LiVSを好きで追っている人たちの外にも届いてほしい。届くべき曲。しかし、いくらLiVSがいいものを作ってもそれを外の世界に広げる・広がる術がないのが現実。それが支持者としては歯がゆい。いくら目撃者がLiVSの写真や動画を撮ってTwitterに投稿したり何かをRTしたり宣伝したりしてもほぼ目撃者のサークル内で回覧しているようなものである。とはいえこれまでの延長ではない方向に集団を発展させたいのであれば新しい音楽を世に提示しなければならない。どういう曲を出して、どういう音をフロアに鳴らせて、どう乗らせるのか。そこが核でなくてはならない。曲の力、音楽の力。(BLUEGOATSの快進撃も青春パンクという方向性を見つけて一気に舵を切ったことに端を発している。)これこそが私がアイドルというカテゴリにはまり、コン・カフェにはまらない理由である。私が仲良くさせていただいている目撃者でコン・カフェに入り浸っている紳士がいる。たまに氏に呼ばれてご一緒させていただくのだが、そこまで楽しいとは思わない。自分で通いたいとはまったく思わない。音楽ありきなのか、女との交流ありきなのか。それが大きな分岐点なのだと思う。
メンバーさんが新衣装を纏っての初の定期公演、新曲『私アイドルじゃないです』が披露された初の定期公演、そして私がLiVSで好きな曲を三つ挙げよと言われれば入ることが確実なことで知られている“Shall Weeeee Dance???”まで披露される(一曲目)という充実の公演となった。LiVSの公演には基本的にアンコールがない。これは公演後に特典会が控えている(から公演を変に引き伸ばせない)というインディー・アイドル界の事情もあるけど、それだけではない。あと二曲です! と公演中にメンバーさんが言ってもエーイングが起きない。物足りなさがない。彼女たちも、我々も、やり切って、出し切っている。安易にwe want moreとは言えない。それがLiVSらしさだと思う。
いつだって 忘れない リポビタンD めっちゃキマる そんなの常識
(本日のミニ・マルコchanの自己紹介)