2025年5月19日月曜日

BLUEGOATS 5th ワンマンライブ『青春謳歌』(2025-05-02)

誰がどう見ても豪雨。ギリ傘が壊れない風量。濡れてくるデニム・パンツ。萎える。この雨と風でウーバー・イーツの配達員もほとんどいないらしい(ソース:F君のツイート)。頭をよぎる帰宅の選択肢。そもそも俺ってそこまでこれを観たかったんだっけ。チケットを買ったときの自分と今の自分との温度差。でももう新宿歌舞伎町まで来ちまった。ゴールデン・ウィーク(といってもカレンダー上は四日だけ。私は後ろに有給休暇を一日くっつけて五日にしたが)前、最後の労働日。バタバタしながらも早めに切り上げる。18時開場、19時開演。新宿ロフト。近くのコンヴィニエンス・ストアに入ると目につく、インディー・アイドルかコン・カフェ嬢のいずれかとおぼしき女。適当な場所で雨宿りをしながらスマ・フォを取り出す。即座に「お兄さん、何系でお探しッすか?」と話しかけてくる、いわゆるキャッチの青年。この街は雨宿りもさせてくれない。苦笑をして立ち去る私。何もお探しじゃないよ。新宿ロフトに下りる階段の上には人だかりが出来ている。見るからにBLUEGOATSの支持者たち。その中に入る。17時50分になると係員が出てくる。ここは通路なので外の歩道に移動せよというお達し。いやいやそうは言ってもさ、この雨だとここに溜まらざるを得ないのは分かるでしょあんちゃんという気持ちが半分。開場の10分前まで眼を瞑ってくれたのは温情なんだろうな、ありがとうという気持ちが半分。

バチボコ傘にぶつかってくる雨粒。聞き取れない整理番号の呼び出し。自分の番号になる頃には何となく把握。A60。Aの前にVIPチケットが何十人か。18時14分くらいにはフロアに到達。まだ端っこの方がスカスカで、最前に近い場所が空いている。なるべく前に行こうと思い、右端付近の3列目くらいを確保。した途端、ふと冷静になる。俺はあと45分くらいここで待つのか? そもそも前に行く必要があるのか? 俺はBLUEGOATSに対してそこまでの熱意があるのか? いや、ない(反語表現)。フロアを離れ、後ろのバー・カウンターへ。ジン・ライムをオーダー。ちびちびやっているとアルコールが効いてくる。情緒不安定になってくる。俺は何を求めてここに来たんだ。これを最後まで観たってマルコは出てこない。だったら意味がないじゃないか。そんなことよりマルコを観たい。マルコに会いたい。ちょっと泣きそうになる。胸が虚しさでいっぱいになる。さっきキャッチの青年に聞かれた質問を思い出した。俺が探してるのは何系とかではなく、マルコただ一人だった。マルコ、マルコってお前。つい数か月前まで彼女の存在すら知らなかったんだぞ。もうここまで来てしまったのか。取り返しがつかないんじゃないか。開演するまでちょっと苦しかった。BLUEGOATSの大事な公演を観ることに対するモチベーションはほぼゼロまで落ちた。

ここ数ヶ月の私のBLUEGOATSに対する熱意の低下(=LiVSに対する熱意の増加)、ここに来るまでの豪雨、ジン・ライムが呼び覚ましたセンチメンタリズム。BLUEGOATSにとっては不利な条件が重なった。どうなることかと思われたが、開演するとすぐに持っていかれた。やっぱすげーなBLUEGOATS。やっぱいいなBLUEGOATS。やっぱ特別だなBLUEGOATS。やっぱ楽しいなBLUEGOATS。ポジティヴなヴァイブスで自分自身が満たされていくのを感じた。今度はBLUEGOATSの音楽と繋がってちょっと泣きそうになった。右のちょっと外れた位置で観たんだけどさ。BLUEGOATSの凄いところって、別に前に行けなくても(行かなくても)いいと思えるんだよね。後ろでも同じように楽しめる。メンバーさんがあんまり見えなかったとしても、この音楽に浸って、一緒に歌って、肩を組んで揺れるだけで満たされる。いわゆるアイドルにカテゴライズされる集団の現場でこれはなかなか稀有なことだと思う。実のところ私は“YOLO”(3月15日リリース)以降のBLUEGOATSの新曲を一度も聴いていなかった。ここに来る途中に初めて聴いた。だからぜんぜん身体には入っていなかった。それでも置いて行かれている感じはしなかった。もちろん私がぶち上がるのは『君の唄で生きていたい』、『夢で逢えたら』、『東京タワー』といった、私がよく聴いていた頃の曲たちだ。でも新曲を知らなくてもそれはそれで不便を感じなかった。そういう意味じゃ、本当に初見さんにお勧め出来る現場だと思う。BLUEGOATSは一度、観に来る価値がある。オタクの練度や規律(この曲ではこうするとか、ここでこのコールを入れるとか)に依存せず、地下アイドルの定型的なノリ(ミックスやコールなど)を明確に拒否しながら、独自のノリを作り上げ、輪を広めていくことに成功している。(輪を広げるということに関してはLiVSの一歩も二歩も先を行っている。もはやLiVSが対バンを出来るような相手ではなくなりつつあるのかもしれない。)公演中に私の近くにいた紳士が泣きじゃくっているのを見て本当に最高だなと思った。肩を回して、無言で頷きたかった。ダイナマイト・マリンさんが、自分が素直になれる場所をひとつ見つけてそこを大切にしよう(彼女にとってはそれがステージ)というようなことを言っていて、それが印象に残った。私には今、時間やお金を極力LiVSに集中する意向がある。BLUEGOATSはどうしようかな…と考え始めていた。だが今日これを体験して、観るのをやめることは出来ないと思った。通いまくるということはないにせよ、一定の頻度で観に来る必要がある。なお、開演前にはマルコじゃなきゃ意味がないと思っていた私だが、終演後の特典会で満面の笑みでチャンチーさんと二人で大きなハートを作ってチェキに収まったのはここだけの話である。やっぱチャンチーさんは可愛いし(金髪が似合いすぎ)、お話をすると優しさが伝わってきて癒されるし、いいですね。