地元民が言う横浜とはみなとみらいではなく横浜駅周辺を指すというトゥイートがトゥイッターのオススメ欄に流れてきた。これは実家の市外局番が045、横浜生まれヒップホップ育ちで知られる私の感覚と一致する。みなとみらいも横浜であることに変わりはないが、いわば狭義の横浜は横浜駅付近である。中高大の十年間、私が毎日のようにウロウロしていたエリア。「ここからそこ エリアからエリア そこからここ エリアからエリア」(OZROSAURUS, “AREA AREA”)。駅から徒歩数分の商業ビルヂングであるVIVREはまさにそんな思い出の場所の一つである。5階にある衣料店でよく服を買っていた。(もっともその頃は今のようにお洒落ではなかった。何をどう組み合わせればよいのかもわかっていなかった。長い試行錯誤の中にいた。)あと一番下の階に昔はHMVがあって。そこで日米ヒップホップのコンパクト・ディスクをディグるのが学校帰りの日課だった。ブート・レグのミックス・テープを見つけたりして。HMVはいつの間にかタワ・レコに変わり、そのタワ・レコも上の階に移転し売り場面積を縮小していた。HMVとタワ・レコのあった場所はユニ・クロとジー・ユーになっていた。中身は変われど名称は昔のまま商業施設自体は残っている。かつて私がブラブラ見に来ていた頃の面影もある。そんな懐かしい場所に、アイドルさんのrelease partyを観るために足を運ぶ。ニヤニヤして通り過ぎる一般人の好奇の視線を浴びつつ、レコ屋店内の特設ステージで歌って踊る若くてマブいナオンたちに熱狂し、名前を叫ぶ中年男性。こんなはずじゃなかった私の人生。私がこうなることを望んで育てたわけがない両親。痛む良心。なるはずだったのはこっち側ではなく向こう側(ニヤニヤしながら通り過ぎる一般人)。しかし今の生き様こそが私のリアル。「自分が自分であることを誇る そういう奴が最後に残る」(K DUB SHINE, 『ラストエンペラー』)。映画『アート・オブ・ラップ』でICE-Tと誰かが言っていた:歌詞に人生のB面を感じないラッパーはフェイク。その意味で私が体現しているのが人生のB面、あるいはB面の人生。これが私のヒップホップであり、ストリート・ライフである。家庭を築くA面の人生は、弟が担ってくれている。
前日に埼玉スタジアム2002で浦和レッドダイヤモンズ対横浜F・マリノスを観た。3-1だっけ? スコアは忘れた(ググりたくもない)が負けた。2-2に追いつけそうな場面もあった。すべてが悪かったわけではない。しかし大局的に見れば、ひとまず守備だけは固いというスティーヴ・ホランド前監督のフットボールの長所を捨て去り、過去の成功体験にとらわれ、選手たちにとって、そして我々ファンにとって居心地の良い、陳腐化された戦い方に逆戻りしつつある。それが川崎フロンターレ戦以降の流れである。仮に強かった頃と同じことが出来たとしても今では各チームの対策が進み、もう同じように通用しない。そもそも選手の質が落ちているので劣化版にしかならない。今のマリノスにはチアゴ・マルチンス選手も岩田智輝選手も前田大然選手も高丘陽平選手も仲川輝人選手もいない。(ジェイソン・キニョーネス選手とジャン・クルード選手はいるけど。)今シーズンの横浜F・マリノスには多大なストレスを与えられている。心身を病んでもおかしくない。しかし今の私は至って健康である。なぜなら常に頭の中にいるLiVSがマリノス由来のストレスを和らげてくれるからだ。頭をLiVSで埋めることでマリノスに対するネガティヴな感情が入り込む余地が少なくなっている。最近は本当に、常にLiVSのことを考えているような脳の状態になっている。この調子でいけば、仮にマリノスが明治安田J2リーグに落ちたとしても耐えられそうな気がする。それは現実味を帯びつつある。
マリノスといえば、ユニちゃんがマリノスのファンであることを4月19日(土)に某紳士が教えてくれた。2024年にマリノスの試合を33試合スタジアムに観に行った身としては聞き過ごせない情報。なんでも松原健選手がユニちゃんのオキニらしい。私は同選手のユニフォームを持っている(2019年のスペシャル・ユニフォーム)。一度それを掲げてチェキを撮らねばと思っていた。なので今日、27番 KENのシャツをカバンに入れてきた。身に着ける用に2022年のアジア・チャンピオンズ・リーグ用シャツ(28番 YAMANE)も。タワ・レコでコンパクト・ディスクの予約を二回して、整理番号は49番?と57番。冴えない。某紳士が34番と交換してくださる。一旦、離脱して近くの吉野家。牛丼アタマの大盛り(つゆぬき)JPY674、豚汁JPY250、玉子JPY118。計1,041。千円超えるのかよ。しばらく来ていないが前はJPY900くらいだった記憶。だが出来は非常によかった。おいしかった。コメが見えないくらい肉がちゃんと入っていた。VIVREに戻る。ワイ・シャツからYAMANEのシャツに着替える。二列目を確保。所定の入場時間で一通り整理番号の呼び出しが終わった時点で二列が埋まっている。結局のところ整理番号が何番であろうと大体二列、多くて三列が初期に埋まる人数。整理番号が80番まで発行されていても80番目の入場者になることはあり得ない。ある程度固定化された二、三列分の面々が80枚のパー券をゲトり、位置をシャッフルし合っている。最初はだいぶ寂しい客入りに見えたが、パーティ開始時にはちょうどいい具合に埋まってきた。タワ・レコ横浜店のイヴェント・スペースはこれまでの池袋、渋谷、新宿に比べて小さい。狭い会場ならではの一体感と盛り上がりがあった。言うてもそこまで通行人はおらず、公衆の視線に開かれているとはいえ適度な閉鎖性もあった。恥の概念を捨てて盛り上がることが出来た。特典会ではユニちゃんとマリノスの話を少しすることが出来た。(ステージに)出てきたとき(マリノスのシャツを)着てるなと思ったと、私が着ていたYAMANEシャツに言及してくれた。マツケンが好きなんでしょと聞くと健君が一番好きと言っていた。これはユニちゃんにも言ったが、私の本名のニック・ネームも健である。(だから健君が一番好きと言われちょっとドキッとした。でもごめんね。気持ちは嬉しいんだけど俺が好きなのはマルコなんだ。ちなみに私はマリノスのシーズン・チケット保持者である。この数年間、バック・スタンドの同じ席で観ている。ここに私の席番号を書いて、隣に来ていいよユニちゃん…とでも冗談で書こうかと思ったが、ユニちゃんが来てくれる可能性よりもユニちゃん支持者が来て首根っこを掴まれる可能性が高そうだからやめておく。)横浜出身者として中華街以上のオススメがあるんだけど…ハングリー・タイ…とミニ・マルコさんに言うと食い気味にハングリー・タイガー! 知ってる! 行ったことはないけどハンバーグのお店でしょ! と反応してくれた。是非いつか一度行ってみてほしいものだ。このrelease partyにはスタンプ・カードがある。5回来た特典で特別衣装チェキ券をもらえる。私は5回とも来ているので券をもらった。特別衣装って何だろうと思っていたらタワ・レコのエプロンだった。タワ・レコを出て下りのエスカレーターに向かい通路を歩く。ステージの左端にいたミニ・マルコさんがちょうどお手隙な状態。すぐ横にいる。こちらを見てくれる。軽く会釈する。ニコーっとしてくれる。ステージで見せるのとはまた違う表情。思わぬ甘美なデザート。もしかするとミニ・マルコさんのことがちょっと好きになってきたかもしれない。気のせいであればいいが……。
横浜駅周辺のおすすめスポット
- カプセル・プラス・ヨコハマ:スカイ・スパより空いていて安価な風呂・サウナ施設(女性は宿泊のみ)。平日だとJPY4,000くらいで宿泊も可能。たまに公衆浴場の入り方も知らない紳士たちがちんちんも洗わずに初手で浴槽に浸かるのが難点
- ハングリー・タイガー(モアーズ8階):ハマッ子のソウル・フード。横浜FCのスポンサーになるという失態には目を瞑ってでも食べるべき
- きそば 鈴一:立ち食いそば。ここのを食べると富士そばのまずさが分かる