2025年4月19日土曜日

LiVS ミニアルバムリリースイベント (2025-04-07)

女のコの初めてを一目見ようと、池袋のパルコ別館、タワー・レコードに集結する紳士たち。LiVSとして初のrelease party。一般的にアイドルさんにとっての初めての何かには絶対に居合わせたいのがアイドル支持者の性である。初めてのコンサートとか、イヴェントとか、地元公演とか。もっと顕著なのが特典会である。これはHello! Projectの話だが、支持するメンバーさんの列の先頭になることを鍵開け、最後になることを鍵閉めという。自らがそれらを担うことに特別なこだわりを持つ紳士たちが実在する。もっと神聖な意味を持つのが、そのコがアイドルとして握手(お話会)をする正真正銘の最初の相手になることである。そのコにとっての本当の一人目だからだ。俺があのコの初めてを奪ったんだ的な。全体から見ればごく一部かもしれないが、Hello! Projectのファン・ベースにはそういうキショい発想の紳士たちが確実に存在する。ちなみにつばきファクトリーの豫風瑠乃チャンが似顔絵お絵描き会で初めて描いた相手は私のはずである。小野瑞歩チャンがエグゼ2ショットを初めて撮った相手も私である。Hello Projectにおいては支持者たちが(はっきりとそう言語化しないだけで)メンバーさんの少女性ひいては処女性を求めていて、事業側もそれを売っている面がある。私はそういう世界を通ってきたものだから、LiVSの特典会でも振る舞いには気を遣っていた。空気を読まずにマルコ列の一人目に並んだら古参から目を付けられ、裏に呼び出されてボコられるんじゃないかという懸念が頭のどこかにあったからだ。今ではそんな気遣いは不要だと分かっている。鍵開けだの鍵閉めだの、そんなことを言う人はいない。それでも思考の癖が抜けきらず、特典会で一人目になるのは今でもやや躊躇してしまう。去年 #KTCHAN が二十歳になる当日に行われたコンサートでゲストのD.O.さんが、 #KTCHAN がオトナになる瞬間を見てえよな的な感じでフロアを煽っていたのだが、そのときもそういうアナロジーが感じられた。アイドル支持者のみならずギャングスタ・ラッパーでさえ、女のコの初めてとか、オトナになるとか、そういったことにオジサンは興味津々なのである。

池袋。普段はLiVSを観に行っているけど、今日に関してはLiVSがこっちに来てくれている。感覚が違う。だって家から歩ける範囲にLiVSがいるんだから。もっとも今日は出社日だったので私も池袋に向かう立場だった。レコード店のrelease partyに参加するというのが本当に久しぶり。何度か無銭では冷やかしてきた。私は在宅で仕事を終えた後によく散歩がてらサンシャインのあたりをウロウロしている(サンシャインのタリーズとか、向かいのヴェローチェをよく利用する)。そこでたまたまHello! Projectの集団がrelease partyをやっていて、遠巻きに眺めたことはある。でもこうやってコンパクト・ディスクを予約して、入場券をもらって、列に並んで、という一連のプロセスを経てrelease partyに参加するのは数年ぶりだ。懐かしい。こういうことからは半分足を洗ったはずなのに、またここに戻ってくるのか。複雑な思いである。すべてはマルコのせいだ。このrelease party専用の予約窓口。QRコードを読み込み、空メールを送信。しばらくするとメールが来る。そのメールのリンクをタップすると予約の申し込み画面に。予約枚数などを記入し登録すると出てくるQRコードをお店の人に見せて支払い。箱から入場券を一枚引く。LiVS券二枚が渡される。整理番号は、52。良くないがもう一度JPY2,200を払ってサイコロを振ることはしない。別に見えりゃいいや。そう割り切れる分別のある人間。パルコ別館の横に広がる池袋最大の喫煙所こと豊島区立池袋駅前公園(※禁煙)で時間調整。タワレコに戻る。階段で並んでいると、某紳士が複数枚買って余った券を交換してくださる。35番に格上げ。数人分しか変わらなかったけど。

三列目だったかな、の左側。周囲にはお互い顔を知っている人が多い。会釈を交わす。概ね「大体 毎回 いつも同じメンバーと再会」(RIZE, “Why I'm Me”)状態。開演直前、いい具合の客入り。後ろの方にはスペースがあり、たまたま通りがかった人でも中に入って雰囲気を感じられるくらい。同じ平日の19時開演でもライブハウス(和製英語)で行われる定期公演よりも人は来ている。いくら新規無料などで敷居を下げているとはいえ、ライブハウス(和製英語)とレコード店のイヴェント空間とでは来やすさが違う。もちろんおまいつはどちらも関係なく行くのだが、こういう場所だとそうではない人々が本当にふらっと入ることが可能になる。私は普段のLiVSのアンダーグラウンド感、秘密クラブ感が好きでたまらないが、こうやって日の当たる場所で観るLiVSも新鮮である。場所が違うだけでステージ上のLiVSはいつもの彼女たちだった。いつものように曲と曲の間に休む時間もなくハイ・テンポで繋いでいく。Release partyだからこんなもんだろうと事前に想定していた五割増しくらいで曲を演ってくれた。Release partyってたぶん相場は5曲くらい、下手すると3曲くらいだったりするじゃん。今日のLiVSは8曲も披露してくれた(二回やった初披露の新曲は2曲とカウント)。今回のrelease partyにおいてはフロア上の行動に制約があった。普段のLiVS現場で定常的に発生している行為としてはジャンプとモッシュが禁止されていた。ケチャと呼ばれる集団的な前方への密集がモッシュに該当する。なのでフロアのインテンシティは通常の公演よりも低かったが、それでも楽しむことが出来た。新曲の“業 TO HEAVEN”。(曲名を聴いたとき、咄嗟に私の頭に浮かんだのはSPEEDの“Go! Go! Heaven”である。世代。)2回聴いただけですぐに感想を述べるのは難しいが、振り付けはとても印象に残った。メンバーさんたちが前に屈み、両手を頭の横でねじを巻くように回しながらその場で回転する。目が回りそう。あとは両手をおろして、目線も下に落とした状態で直立し、跳ねながらステージの端から端へと動く。従来のLiVSにはあまりない感じの見せ方で、面白かった。このrelease partyにはスタンプ・カードがあって、押してもらう毎に写メ券がもらえる。整理番号にこだわらなければJPY2,200だけで約30分のミニ・コンサートに特典会(写メ+チェキ)まで参加できて、満足度が高い。特典会ではマルコが髪型を変えておでこを出していた。それを見た周囲の紳士たちが口々に「やば…」と言っていた。