2025年7月7日月曜日

Chemistry LiVE with LiVS (2025-06-28)

6月25日と言えば松浦亜弥さんのお誕生日。(追記:公演の日付をネタにうまいこと文の掴みをこさえたつもりだったが6月25日ではなく6月28日の公演だったことにすべてを書き終えてアップロードしてから気付いた。今さら書き直すことも出来ない。チェキの日付を書き間違えるアイドルさんの気持ちが分かった。)思い返せばあのときLimeWire(ファイル共有ソフト)で松浦亜弥さんの1stアルバムを違法ダウンロードして聴いていなかったら私がその後Hello! Projectを観ることはなかった。それまでの私はリアルなアンダーグラウンド・ヒップホップの信奉者であり、アイドルの音楽なんて『マジ興味ねぇ』(DJ OASIS feat. K DUB SHINE)というスタンスだった。完全に冷やかしで聴いたあのアルバムにやられたのをきっかけに松浦亜弥さんに引き込まれた。過去のアルバムやコンサート映像を買い集めては視聴し続けた。(その時点で彼女は主要な作品をリリース済みでアイドルとしては第一線から退いていた。)そこからモーニング娘。をはじめとするHello! Projectの他集団にも目を向けるようになった。しばらくは在宅で膨大な音源と映像のアーカイヴをディグりつつ2ちゃんねるのまとめサイト(主にWitch Hunting Girlscouts)でゴシップ情報を仕入れる日々が続いた。モーニング娘。コンサート・ツアー2010春~ピカッピカッ!が私にとって初めてのHello! Project現場だった。後にファン・クラブに加入し、定常的に現場に行くようになった。モーニング娘。、℃-ute、Juice=Juice、つばきファクトリーと主現場を変えながら過ごしてきたHello! Project支持者としての日々。アイドルというものがなければ生きていけない身体になってしまった。アイドル・オタクから引退できそうな期間もあったのだが、たまたま直前に滑り込みでチケットを買った対バン(2024年11月30日)でミニ・マルコchanと出会ったのが運命の分かれ道。気付けばHello! Project支持者だった頃を凌駕する強度でオタクをする羽目になってしまった。『こんなハズジャナカッター!』(BEYOOOOONDS)。

私がHello! Projectを十年ほど追う中で、対バンというものに入る機会が一度もなかった。アイドル集団が対バンに参加する主な目的とは、第一に複数の集団でひとつの会場を借りてそれぞれの支持者たちを一箇所に集めることで動員能力の不足を補い合うこと。第二に露出を増やす(自分たちを普段見ない人に見せる)ことで新規ファンを取り込むこと。Hello! Projectは自前の公演だけで十分に集客できるし、そこまで積極的に新規ファンを取り込みに行く必要がないくらい既存のファン・ベースの層が厚い。なので対バンに出演する必要性が低い。さらにHello! Project支持者の傾向としてアイドル全般が好きなのではなくあくまでHello! Projectが好きである。そうなるようアップ・フロントに囲い込まれている。それは幸せな状態である。Hello! Projectしか見ていないからHello! Projectが世界で最高であることを信じて疑わない。なんならHello! Project以外をアイドルとみなしていない。Hello! Project支持者たちのそういう気質は対バンには馴染まない。自給自足の村の住民にとって、外部との交流を持つことや、外部の価値観を取り入れることは忌避すべきことである。(もっとも近年ではHello! ProjectもOCHA NORMAやロージー・クロニクルといった集団を積極的に対バンに出すようになり多少は事情が変わってきているようである。)そういう環境で育ってきたものだから、Hello! Projectを脱会してからも、私は対バンというものをなんとなく嫌っていた。ミニ・マルコchanを見つけたBLUEGOATSとLiVSのツー・マン(和製英語)が、私が人生で初めて行った対バンだった。そこでLiVSにはまってからも対バンは避けていたんだけど、ある時期から何が何だかよく分からなくなって、チケットが発売される度に手当たり次第に買うようになった。それで今では対バンにも行くようになった。


Finallyという集団とのツー・マン(和製英語)。エゴ・サに向かない一般的な英単語。日本語に訳すと「ようやく」とか「最終的に」。チケットを購入する時点で既にこの集団の勢いを感じていた。販売開始と同時にlivepocketのページを更新したらアクセス過多のため画面がバグッて表示が変になった。最初からやり直して2分くらい出遅れた。これまでLiVSのチケットを買うときにこうなった記憶はない。結果、整理番号は25番だった。販売開始と同時にチケットを買ってなるべく早い整理番号を狙う行為をチケットを叩くという。25番というのは叩くのを忘れてちょっと出遅れたときの番号である。

会場の下北沢251に着くと、チケットの発券枚数が100を超えたらしいとLiVS支持者から伺った。付近にいる人々を見るかぎり、おそらく六割以上はFInallyの支持者である。この対バンはLiVSが主催なのだが、動員能力を基準とするならばFinallyの方が格上ということになる。FinallyはTwitterのスペース機能で定期的に配信をしているようなのだが、先日、LiVSがゲスト出演していた。その中で、お互いのファンがお互いの公演に足を運ぶようになるといいよねというような話がなされていた。ただ、手持ちの支持者数に差がある場合、その言い分を額面通りいに受け止めるのは難しい。たとえばの話、仮に今日の動員が100人で、内訳がLiVS目当てが35人、Finally目当てが65人だったとする(実際、これに近かったと思う)。LiVSは65人、Finallyは35人の潜在的な新規顧客の目に触れるチャンスを得る。平等ではない。正味な話、今回LiVSが対バンにFinallyを招いたことの狙いとして、勝ち馬に乗るというのは確実にあったと思う。LiVSには8月18日(月)に収容人数900人のLIQUIDROOMを埋めるという明確な目標がある以上、これは重要であり必要なことである。いくらクオリティが高くて自分たちと音楽的に相性のよい集団と音楽的な化学反応を起こしたとしてもその集団が数字を持っていなければ対バンをしても上記の目標達成には近づけない。もちろんただ格上とつるめばそこから客が自動的に流れてくるというものではない。興味を持ってもらい、魅了して、次も来たいと思ってもらう必要がある。しかしそうであるにしても、その判断をしてもらう対象が10人なのか100人なのかでは全然違うわけで。

『RとC』でフロアに下りるLiVSメンバー。Finally支持者たちへの積極的なハイ・タッチ。フロア後方でFinally支持者の紳士におんぶをさせるコンニチハクリニックさん。私もLiVSを観始めた初期に彼女をおんぶさせていただいたことがある。あの体験は強烈。あれがなければ氏の特典会に今のように通うことはなかった。アイドル・オタクというのは結局のところ近さや物理的な接触に一番弱い。良い音楽、良い歌、良いダンス、良いパフォーマンス、可愛いメンバーさん、心地よいフロア。それらはたしかに大切で、大前提ではあるが、誰かをオタクにするにはそれだけでは不十分だ。誰かが人間からオタクになるためにはどこかで理性を壊す必要がある。理性的に考えれば演者とファンという以上の関係を持てるわけでもない若い異性(あるいは同性)とチェキや写メを撮って少しお話しするために何千円も払うわけがない。私は8月18日(月)のLiVSのLIQUIDROOM公演は超最高チケットで入るのだが、理性的に判断していれば一度のコンサートのためにJPY31,500のチケットを買うわけがない。オタクは狂っているからオタクなのである。狂っていなければオタクではない。
あなたの風邪はどこから? ボクは鼻から(綾瀬はるか、本郷奏多出演/アリナミン制約「ベンザブロックプレミアム」新CM「あなたの風邪に黄色」篇
あなたの狂いはどこから? ボクはミニ・マルコchanから。

チケット購入時に感じていたFinally及びその支持者たちの勢いはフロアでも存分に感じた。我々が入場列に並んでいるときから彼女たちの仕掛けは始まっていた。奥から聞こえてくる女性たちの声。なんとメンバーさんたちが我々を待ち構えている。チラシを配ってくれる。二枚あって、一枚(白黒)には次の無料ライブと2025年11月9日(日)に控えたLIQUIDROOM公演の告知。公式LINE、公式TwitterのQRコード。それだけでなく今日の公演に向けた意気込み。もう一枚(カラー)には各メンバーの宣材写真とプロフィール、InstagramとTwitterのQRコード。これは多少なりとも興味を持たざるを得ない。感心した。よく言われるようにオタクはちょろい。私が仲良くさせていただいている某LiVS支持者はランルウさんがTwitterでやっていたリプ返タイムでもらったリプで特典会で会いに来てという旨の返事をもらい、まんまとランルウさんの列に並んでいた。かくいう私もFinallyの中で一番カワイイなと思っていたメンバーさん(Aoiチャン)がフロアに下りてきて直接タオルを渡してくれて危うく好きになりそうになってしまった。そのコは自己紹介で、グループ最年少だと言っていた。お前はロリ・コンだと言われているようで私の心が傷付いた。(あとで調べたら25歳のようで。私がロリ・コンではないことが実証された。)前に岡田斗司夫さんが何かで言っていたが、この世は明るい馬鹿が一番モテるのである。Aoiさんはまさにその明るい馬鹿という感じで(違っていたらすみません。初見の印象です)非常に魅力的だった。LiVSにはいないタイプ。オタクがフロアでやっているサークル(輪になってグルグル回るやつ。私は苦手)に交じって一緒に回っていたのにはびっくりさせられた。Finallyの中で目を引く存在だった。まんまと新規無料チェキを撮りに行ってしまった。話を戻すと、タオル。なんでAoiチャンがタオルを私に渡したかというと、みんなでタオルを回す曲がある。持ってきていない人向けにタオルをステージから投げたりフロアに下りて渡してくれたりするの。この誰も置いていかない感じ。一体感の作り方としてうまいなと感じた。Finallyの支持者たちはLiVSの曲が終わる度に歓声をあげたり拍手をしたりしてくれた。普段のLiVS現場ではどういうわけかあまりその習慣がない(おそらく、曲が終わっても間を置かず次の曲を始めることが多いからそうなっているのだろうと思う)。LiVS支持者たちもFinally支持者たちに触発され、フロアの熱量はいつも以上だった。