2025年2月8日土曜日

Let's Meet LiVS (2025-01-28)

一週間の海外出張中、日本の味は恋しくなかった。そもそも私は普段から日本の味をそこまで口にしていない。中華、ネパール、インド、パキスタン、バングラデシュ。その辺の料理が日常食。炊き込みご飯といったらビリヤニ。塩辛でお茶漬けを掻き込んで、日本人でよかったナ~ってなる感覚が、昔はあったかもしれない。今はほとんどない。別にコメがしばらく食べられなくたってパンや麺があれば大丈夫。白米への執着もない。むしろ雑穀米のほうが好き。欧米への出張での最大の楽しみはホテルの朝食。今回のホテルではゆで卵がキンキンに冷えていておいしくない。大量生産されたスクランブル・エッグもまともではない。色々と試した結果、リンゴとシリアルに落ち着いた(あともちろんコーヒー)。シリアルといってもケロッグのコーン・フレイクとは違う。ケロッグ創始者のジョン・ケロッグはマスターベーション反対派で、栄養価の低いコーンフレークを朝に食べることでマスターベーションを抑止できると信じていた(Terence Kelsey, “Breakfast is a Dangerous Meal”)。今回のホテルで提供されていたシリアルは栄養満点だった(別にマスターベーションをしたくはならなかった)。ブルーベリー・コンポート、ひまわりの種、アーモンド、かぼちゃの種、グラノーラ、くるみ、チョコレート・チップ、ココナッツ・フレーク、ドライ・クランベリー(craisinという)、レーズン。そして牛乳ではなくオーツ・ミルク。おいしい。健康的。食事に関して言えば、もうしばらくはあのままでも不満はなかった。ただ、そんな日々には欠けているピースがあった。ミニ・マルコである。向こうでも寝る前や朝の自由時間にホテルの部屋でLiVSを聴いていた(あと無性に #KTCHAN が聴きたくなった)。でもSpotifyで聴いたところで満たされない。早くLiVSの公演をライブ・ハウス(和製英語)で観たい。マルコに会いたい。その思いを募らせていた。

出張中はずっとホテルで会議に参加。主催者が夜にみんなを夕食に連れて行ってくれるのを除けばホテルから出ていない。というか出られない。外の気温がマイナス10度とか20度とかなので。寒いというよりは痛い。特に頭。耳。生命の危険を感じる。朝食と夕食のときにさまざまな国籍の人々と雑談をする機会があった。少し驚いたのが、ポケモンやアニメのサブ・カルチャー、訪問先としての日本への関心の高さである。陰キャのオタクではないどころか今でもアマチュアでフットボールをやっているクロアチア人の紳士(ポジションはCB。過去にMLSからオファーを受けたことがある。断ったのを今では後悔しているという)がポケモン・カードの熱心な収集家だった。(もっともポケモンの世界に入れ込んでいるというよりは投資対象という感覚らしい。実際、買ったときから値段は何倍にも膨れているという。)妻と子供が日本の文化が大好きでこの間も旅行に行っていたというインド人の紳士。小さい頃にドラえもん、クレヨンしんちゃんなどを観て育ったという中国系アメリカ人の淑女。日本はスキーが出来るんだろと何人かに聞かれた。いやコレが日系企業だったら日本に興味がある人が多いのは分かるけど、メリケンの会社だからね。親日的な人が集まる理由はない。日本に媚びる理由もない。私に媚びる理由もない(偉くないので)。だからホンモノなんだろう。こういう形で日本に好感を抱いている人たちがちゃんと存在しているんだなと実感した。

そういう日本という国をうっすらと好きな人たちもアイドル現場を目撃したらドン引きすると思う。西洋の基準からすると、すべてがあり得ない。どこがあり得ないというより、あり得る部分がほとんどない。理解できないだろう。理解できなくていい。これは世界に広めなくていい。これは私たちだけのものだ。愛すべき日本のアイドル文化。これに私は救われてきた。これなしでは生きられない。
これがなけりゃ何してた?
これやるために街に出た
これに会わなきゃどこにいた?
これのおかげでここに来た
(DJ OASIS feat. K DUB SHINE, 『これ』)

金曜日の午前10時半にホテルを出、通算約20時間の移動。土曜夜に羽田着。月曜と火曜は振替休暇を取得。すぐには戻らない睡眠のリズム。15時間の時差。現地では細切れにしか眠れなかった。一度の睡眠が最大で2-3時間。目が覚めて時計を見たら1時間も経っていないことが何度もあった。メラトニンのカプセルを飲んでもさほど効かなかった。毎日、短い睡眠を2-3回。平均で計4時間くらい。その反動で帰国後は10時間睡眠が続いている。日、月、火といい休養にはなったが、まだ休み足りない。睡眠負債をまだ返済しきれていない。明日(水曜)は午前8時から会議がある。寝過ごすことは許されない。起きられるだろうか? 起きられないとまずい。頭の片隅に若干の不安を抱えつつ、渋谷へ。その前に新大久保。ソルマリ。アサヒ・スーパー・ドライ(瓶)、サモサ・チャット、セクワ・セット。渋谷CLUB CRAWL。渋谷駅と恵比寿駅の真ん中くらい。会場前にそれらしき人だまり。少ない。18時半開場、19時開演。18時29分の時点で私入れて12人。入場。18時47分でフロア内に15人。18時50分、18人。とはいえ開演直前に人が一気に人が増え、なんだかんだ30-40人にはなった。混みすぎず空きすぎずのいい塩梅。おまいつの紳士たちによると定期公演では多い方らしい。

開演前に生まれる、思いがけない交流。おまいつの紳士たち複数人に声をかけられ、誰推しなのかを聞かれる。マルコですと答えると、マルコのパートのときに私を前に行かせる旨を示し合わせてくれる。恐縮する。その場で四人とTwitterでフォローし合う。慣れない展開。なんだこれは。公演中、マルコのパートになるタイミングでわざわざ私の方を向いて、来い来いという感じで誘導してくれる。時には身体を押してまでわざわざ最前中央に何度も行かせてくれる。目と鼻の先にいるマルコ。なんだこの優しさは? こんなことがあるのか? 仲間内の私利私欲で最前を固める(いわゆる最前管理)のがおまいつの常ではないのか? それどころか贔屓のメンバーさんのソロ・パートで前に行くことを積極的に奨励してくれる。公演中も気にかけてくれる。このフレンドリーさ。私はこれまでLiVSの公演をフロアの端っこや後ろの方でも十分に楽しめていた。それでも近いし、ちゃんと見えるし。今日味わった、オキニのソロで前に駆け寄って最前中央付近に密集するあの感覚。私にとっては新たな世界の発見だった。単に近いだけならHello! Projectでもライブ・ハウス(和製英語)の最前で何度か観たことがあるが、それとは違う快楽がそこにはあった。味わったことのない感覚。一度コレを味わってしまうともう戻れないだろう。私にとってはLiVS現場の真のデビュー戦だったと言っていい。横浜F・マリノスに加入した選手が、しばらくしてからゴールを決め、これで僕も正式にマリノス・ファミリーになれた気がしますと試合後に言っていたことがある(誰がいつ言ったかは忘れた)。それに近い心境である。LiVSの公演自体はこれまで何度か観ているが、これまでは一歩引いた傍観者だったのが本当の意味で目撃者になれた。少なくともなれる手応えを掴めた。今日はその記念日となった。とんでもなく楽しかった。背中を(文字通り)押してくれた先輩方には本当に感謝している。

お帰りだね、と特典会で開口一番にマルコが言ってくれて好きになった。なお、1月25日(土)に私が帰国してからこれを書いている2月8日(土)に至るまで、公私を問わず、対面かオンラインかを問わず、私にお帰りと言ってくれたのはマルコのみである。