2025年2月1日土曜日

FAT FiRE LiVE (2025-01-18)

カルデラビスタさん曰く、
ラップするための生活 生活するためのラップ
私の生活に当てはめると余暇のための労働、労働のための余暇。五日間の労働と、二日間の余暇。その繰り返しで過ぎていく日々。身体に染み付いた労働生活のサイクル。これが大きく崩れると調子が狂う。私が正月明けに風邪をひきがちなのはそのせいだと思う。気温の低さだけではない。この年末年始は元からカレンダー上の休みが長かった。そこに二日の年休をくっつけて手に入れた11連休。この期間中、私は四つの現場に行き、当ブログを七本更新した。正月に実家の集まりに顔を出したのを除けばやりたいことばかりをやった。他人に指図されることなく、好きなこと、やりたいこと、自分で決めたことをやる。苫米地英人さん風に言えばhave toではなくwant toを軸にした生活。まさに労働生活とは対極。1月6日(月)に労働が再開してからしばらくの間、現実を受け入れるのが難しかった。私はこんなに朝から晩まで拘束され続ける生活を送っていたのか。今更ながら愕然とした。それも好きな人たちとやりたいことをやっているわけではない。ただ生き抜くため、衣食住と遊びの資金を得るため、歯を食いしばっている。束の間の自由を手にすることで、普段の自分が自由ではなかったことに気付く。それが12月26日(木)から1月5日(日)の11日間が私にもたらした作用だった。

1月10日(金):最初の五日間を乗り切る。なんとなく本調子ではないのを感じる。翌日のBLUEGOATS対バン(チケット購入済み。JPY3,801)に行かないことを決める。仮に行ったとして熱量についていけない気がする。おとなしく休んだほうがいい。
1月11日(土):決めた通りBLUEGOATSに行かず静養。だが夕方から急に風邪っぽくなる。19時半くらいから家で寝込む。
1月12日(日):家で寝込む。
1月13日(月・祝):家で寝込む。外の空気を浴びるのがきつい。JPY5,690を払って優先入場券をゲトッていた #KTCHAN (どうやらメジャー・デビューを期にアーティスト名が #KTちゃん から #KTCHAN に変更されたようである)のrelease party参加を泣く泣く諦める。
1月14日(火):まだ治りきらない。出社日だったが在宅勤務に切り替える。騙し騙しで働けるくらいには復調。三連休に不調のピークを持ってくる、プロフェッショナルな風邪のひき方。チケット購入済み(JPY3,000)だったLiVSの定期公演を干す。苦渋の決断。調子は戻りつつあるが、あともう一歩。
1月15日(水):朝に日焼けサロン。最後の方にしんどくなってちょっと吐き気。日焼けは体力を消耗する行為なんだと実感。とはいえこの日から外出するのが苦痛ではなくなった。

1月18日(土):三つも現場を干してしまった(計JPY12,491をドブに捨てた)が、どうしても今日は見送りたくない。翌日から海外出張。飛行機の事故で死ぬ可能性もある。その前にLiVSを観たかった。最後にミニ・マルコさんにお会いしてから死にたかった。幸いにもなんとか体調は戻った。今回、風邪をひいて改めて思ったことがある。やりたいことに対してお金や時間が足りない(Juice=Juice、『アレコレしたい!』)のは幸せな状態なのかもしれない。仮にお金と時間が存分にあったとしても、体力と気力が伴わないと、そもそも意欲がわかない。食欲もほとんどないし、何かをしたい、どこかに行きたいといった気持ちがわいてこない。気後れする。ただ外の空気を浴びるだけでHPが減っていく。部屋の中でじっとしているくらいしかやることがなくなっていく。老化が進んでいくとそれがデフォルトになっていくのだろう。だから老人たちはテレヴィジョンが大好きなのだろう。家の中で完結するし、受け身で浸れるから。人生の楽しみを老後に取っておくなんて本当に無意味なんだろうと思う。もうその頃には自分がそれを楽しめなくなっている可能性が高い。今やりたいことを今やらなければ、もう終わりなんだ。まさしく、Life is Very Short(LiVSという集団名に込められた意味)。

Shibuya CYCLONE。正月太りを解消しようというのが今日の企画。来場者の先着50人にサウナ・スーツがプレゼントされる。強制ではないが我々はそれを着用して公演に参加する。病み上がりにはなかなかにハードである。私より前に50人以上が入場すれば合法的(?)にサウナ・スーツを着なくて済むが、どうやらその可能性は低そうである。開場前に会場前を通りがかる。耳に入ってくるおまいつの紳士たちの会話。曰く、今日(の来場者数)ってたぶん30人くらいだろ。(人が少なすぎて)別の汗かいちゃうね(笑)。たしかに私の整理番号はA5。チケット発売直後に秒で買ったわけではない。これまでの公演だとA30番前後で、その前にSチケット(最高チケット)で入る紳士たちが20-30人はいた。どういうわけか今日は番号が早い。実際に入場してみるとSチケット(最高チケット)所持者が10人もいなかった。なので余裕でサウナ・スーツ配布対象者になった。それどころか先ほどのおまいつの紳士たちの読み通りで人が入り切った状態でフロアにいた目撃者(LiVS支持者の総称)は28-29人だった。なんでこんなに少ないのか分からない。土曜日だし、渋谷だし。下北沢MOSAiCよりも人が集まらない理由が思い当たらない。デニム・パンツとteeシャツの上からサウナ・スーツを着、持参したごみ袋に荷物を入れフロアの端っこに置く。開演を待つ。無性にワクワク、ゾクゾクしてくる。人が多くて熱気ムンムンのときとは異なる、人が少ないにときにしか味わえないタイプの興奮。薄暗いフロア。目に入る人のほとんどが纏う真っ黒なサウナ・スーツ。異様な光景。怪しい集団、宗教みたいなぞと運営の方々が後方で楽しげに話している。

宗教みたい、というのは冗談抜きで重要なことだ。成功したアイドル(メンバーさん、運営さん、支持者たちの総体)とは、成功した宗教団体である。規模が大きければ成功、小さければ失敗ではない。ハレの場、祭りの場、非日常の空間を用意し、信者を引き込み、人々を救済する。そのための熱狂を音楽でどう作り出し、商売にどうやって落とし込むか。そこに成否がかかっている。宗教儀式感、秘密クラブ感を出す上で、全員が同じ格好をするというのは非常に効果的な方法である。なぜなら参加者の見た目の個性が消え、一体感が増すからだ。普段からLiVS現場では目撃者の90%以上が公式の黒teeを着用し、独特のヴァイブスがある。薄暗いフロアでゴキブリのように黒光りする長袖のサウナ・スーツをほぼ全員が着用することによる視覚的インパクトはそれを超えていた。

フロアが空いているからか、目撃者たちは普段よりも自由にフロアを動き回っていた。特に『RとC』では全員で前に動いては後ろに動くというこれまで見た覚えのないムーヴが発生した。私はなんとかついていった。動き回るおまいつの紳士たちの邪魔にならないよう、私は中央付近を避け左端付近にいた。(十分近く、メンバーさんがよく見えた。)途中からプロデューサーのSuzuki女史がすぐ横の壁際にお越しになり公演をご覧になっていた。授業中に先生が近くでずっと立ち止まって見て来ているような状況に少々たじろいだ。

私がサウナ・スーツを着るのはおそらく人生初だったのだが、ナメていた。あんなに汗をかくとは。一度汗をかきはじめると止まらなくなる。通気性がゼロだから、どんどん蒸れていく。汗が汗を呼ぶ。公演と特典会のあいだに、我々サイドにも着替え(と出来ればシャワー)が必要なレヴェル。汗をかきながら、当日中にふくらはぎが筋肉痛になるまで飛び続ける。単純に汗をかく有酸素運動の気持ちよさに加え、集団的サウナ・スーツ着用がもたらす視覚的異常性と一体感、フロアの空き具合による快適さと謎の高揚感が加わる。

そういえばふと思ったのだがLiVSは集団結成当初(2023年8月)から衣装がひとつしかないようだ。私がこれまで足を運んだ公演はもちろん、YouTubeで観たあらゆる過去公演でも常に同じ衣装を身に着けている。(追記:どうやら初期には別の衣装を着用していたようだ。)今回のサウナ・スーツといいLiVSは趣向を凝らしたさまざまな企画で我々を楽しませてくれるが、衣装を変える企画をやってみてはどうだろうか。私服衣装とか、メンバーの誰か一人がプロデュースして買い揃え衣装とか。特典会の写真もたまにはメンバーさんの衣服に代わり映えばあったほうがいいのではないだろうか。もちろん一番いいのはそういった変化球ではなく正式な衣装の種類が増えることだが。

アルバム(JPY3,300)2枚を購入し、LiVS券6枚と写メ券を得る。コンニチハクリニックさんとチェキ。左右のほっぺを氏に両手で触られ、意表を突かれる。サウナ・スーツであれだけ発汗するとは思わなかったという話。あとコン・クリさんが会員のチョコザップに私も行っているという話。行っているのかと問われ、週に三回、走っていると言うと、私はあのツイートをしたときしか行っていないとコン・クリさん。ライブで身体を動かしているから大丈夫だよと言うと、優しいんだねと言ってくださる。残りの券はミニ・マルコさんに。チェキ2枚と写メ1枚。この配分が私には最適解のようである。BLUEGOATSのときから続けて来てくれるのが嬉しくて、だから見つけると嬉しいんだよと言ってくれて、好きになった。明日から仕事で海外に行くという話をした。英語できるの? うん。私ぜんぜん分かんない。と言い、英語で自己紹介を試みるミニ・マルコさん。マイ・ネーム・イズ……ミニ・マルコ。マイ・フェイヴァリット・イズ……ビーフ・ジャーキー! 可愛かった。いい思い出が出来た。これで思い残すところはない。万一、飛行機が事故っても悔いなく死ねると思った。