すべて物事を局限するのが幸福になるゆえんである。われわれの活動、活動範囲、接触範囲が狭ければ、それだけわれわれは幸福であり、それが広ければ、苦しめられ不安な気もちにさせられることもそれだけ多い(ショーペンハウアー、『幸福について』)
その意味で、数多くのアイドル集団が出演する対バンを観に行くという行為は自らを不幸にする可能性がある。あれ、なんかこの集団よくね? この子、可愛くね? となって、自分が今支持しているアイドルさんへの忠誠心が揺らいでしまう可能性があるからだ。それまで自分の視界に入っていた範囲で得ていた幸せな世界が崩れてしまう。もちろんそれによって新たな幸せを手に入れる可能性もあるのだが(私がLiVSに移住したように)、少なくとも既存の幸せをそのまま維持することは難しくなる。名前からしてナメた今日の対バン(恋せよ男子だ? おちょくってんのか。▒すぞ)。LiVSの、というかすべての出演集団の出番が各25分。LiVSの出番は19時45分から20時5分。そのあとに三つの集団を挟んでから特典会。LiVS以外の集団を(LiVSの時間ぴったりに入場したとして)最低でも75分は観ないといけない。正直だるい。帰りも遅くなる。銭湯に入る時間はなさそう。まだ月曜日だよ。明日も出社しないといけない。(タイム・テーブルが出る前に何も考えずにチケットを買っていた。あえて購入理由を挙げると会場が下北沢シャングリラであること。あのステージに立つLiVSをまた観たかった。)というわけで複数の集団を観た。結果としてはそれらに目移りするようなことはまったくなかった。ミニ・マルコchanが一番可愛く、私の居場所はLiVS現場であるという結論にしかならなかった。理由を考えるに、身も蓋もないが、LiVS以外は個人単位でも集団単位でもほぼ雑魚しかいなかったから。目と耳を奪われる音楽やパフォーマンスなどひとつもなかったから。(私は途中から入場した。すべてを観たわけではない。どの集団から観たかはあえてぼかす。なぜなら私には特定の集団を貶める意図はないからだ。ピース。)私の中にはまだHello! Projectという基準が生きている。それはアイドル・オタクとしての自分の強みだ。(もちろんアイドル・オタクであること自体が一般社会では弱みである。)お付き合いで要求されるがままに手を挙げたりなんとなく声を出したりはするが、内心ではかなり厳しく醒めた目で見ていた。明らかにカスと判定できる集団もあった。こんなん観るなら素直に大手を観ろや。インディーが大手の劣化版をやっても意味がない。コンセプトや音楽性を尖らせていくことにインディーでやる意味がある。終演後の特典会がひときわ賑わっている集団があった。それを近くにいたLiVS支持者に言うと、あそこは正統派(アイドル)ですからね、と言っていた。たしかにメンバーさんの容姿は整っていた。箸にも棒にもかからないような曲で、魂のこもった歌を聴かせるわけでもなく、バキバキのダンスをするわけでもなく、曲中にメンバーさんが最前でペンライトを持つ老紳士個人に向けてニコニコしながら手でハートの形を作る姿が印象的だった。“正統派”アイドルとはつまるところいわゆる弱者男性への媚びへつらいに特化したアイドルのことなのかもしれない。たしかにその集団を含め、可愛いと思う子は何人かいた。でも、その先がない。
シャングリラでこんなに人が少ないのは見たことがない。ある紳士がそう言っていた。会場の収容人数600人。来場したLiVS支持者は20人くらい。他の集団も似たようなものでフロアには常に数十人しかいなかった。ある意味で語り継がれるべきライブになったかもしれない。広い空間で自由に楽しむことが出来た。ケチャした後に元の場所ではなく逆側に移動したりとか。通常だと出来ない。(場所変わってたよね? と特典会でマルコchanに言われた。)少なくとも私がいた時間帯ではLiVSのフロアが一番盛り上がっていたと思う。対バンで全メンバーさんのサイン入りチェキを集めようキャンペーンの一環で、今日はランルウさんとチェキを撮ってみた。彼女とは24時間ライブのときも一回くらいはチェキを撮りたかった。でも彼女の特典会はいつも長蛇の列で、他のメンバーさんが捌けた後もいつも彼女だけが残っていた。それを見て諦めた。今日はLiVSの特典会がみんなガラガラ。チャンスだと思い行ってみた。思いもよらないことを言ってくれた。これまでに特典会でメンバーさんに言われたことでトップ級に嬉しかった。さすが人気メンバーさんだけある。