8月15日(金)の夜、8月16日(土)の昼夜。計三公演。各公演にそれぞれtkuc、tkuc(二度目)、kttとアンジュルム時代の盟友がゲスト出演。私が申し込んだのは8月15日(金)の一公演。8月16日(土)は私の誕生日。アイドルめいめいを申し込む時点でこの日にLiVSの現場があるかどうかがはっきりしていなかった。誕生日はLiVSのために空けておきたかった。もちろんこの歳になると誕生日だからどうということは何もないのだが、後からLiVSの予定が発表されてめいめいとどちらをとるかの選択を迫られる事態は避けたかった。何せチケット代が安くはない。JPY11,000を捨ててLiVSに行く(そしてLiVSでまたそれに近い金額を使う)かどうかを迷う可能性をあらかじめ排除しておきたかった。あと平日の方がいい席が来るのではないかというスケベ心もあった。結果として8月16日(土)にはLiVSの予定が何も入らなかった。8月18日(月)に控えた大一番(LIQUIDROOM公演)に向けた準備、練習に専念するためだろう、直前の週末にはLiVSの現場がなかった。そして特段いい席も来なかった。前のブロックの一番後ろ、ほぼど真ん中。後から思うに観やすさと近さのバランスが取れたいい席ではあったが、実際に着席して高揚するほどではなかった。三公演のうち今日の公演だけが平日。普通に考えたら土曜日より行きづらい。申し込み人数が一番少ないだろうと思っていたが、なぜか最初にチケットが完売した。後から知ったが明日はハロ・コンが開催されるため、tkuc目当てのHello! Project村の住人たちにとっては今日がむしろ都合がよかったようである。ノスタルジーを感じる客層だった。会場全体としては若い女性も多かったが、明らかに“それ”と分かる、見るからにキモい紳士たちも大勢駆けつけていた。彼らが開演前に仲間同士ではしゃいでいる様子を見るだけで胸やけしそうになる。何かが微妙に変なんだよ。あの人たちは。私が自分の席に入るために前を通る際、すみませんと頭を下げても何も反応しないとかさ。まあそれくらいは全然いい。こっちが気にしすぎかもしれない。ただHello! Projectの客層ってのは普段どうやって働いたり生活したりしているんだろうと思わせるような紳士たちがゴロゴロいる。私は界隈から足を洗って久しいので耐性が落ちている。アウェイ感に面食らう。居心地微妙。
めいめいを最後に観たのが2月8日(土)のミュージカル“SIX”。あの日に私はめいめい支持者としての強度を落とすことを決めた。正確にはめいめいが主戦場としているミュージカルにいちど見切りをつけた(詳細は当時の記事を参照されたい)。結果としてめいめいに対するコミットメントが薄れた。もう一枚所持していた“SIX”のチケットはTwitter経由で売った。ステージに立つめいめいを一度も目にして来なかったこの半年間、欠乏感はいっさいなかった。なぜなら私にはミニ・マルコchanがいて、LiVSがあるからだ。それですべてが満たされていた。今の私はミニ・マルコchanで忙しい。9月14日(日)にLiVS現場で知り合った紳士に連れられて行ったコン・カフェで「ウチで推しは作らないの?」と元地下アイドルのキャストさんに聞かれ「作らない」「なんで?」「マルコがいるから」と血走った目で答えるくらい今の私はガンギマっている。マリノスの試合もホーム戦は基本的に全部観に行くとなるとそれ以外に割けるリソースは非常に限られてくる。今日はミュージカルではない。めいめいがアイドルとして、アイドル楽曲を歌うという企画。それでも私のモチベーションはほぼ皆無に等しい。そもそも一年に一度だけアイドルに戻るという発想にもあまり賛同できない。このブログで何度も書いてきたようにアイドルの語源であるidolの語義を少しでも意識するなら、私は今日と明日だけアイドルです、それ以外の日は違います、なんてのは随分と珍妙な話だからだ。もちろんアイドルがもはやidolとは無関係なaidoruという職業なのは理解している。それでも今日と明日だけアイドルやりますと言われるとこの言葉はそんなに軽いものだったのかと思ってしまうのだ。去年のアイドルめいめいを観た際には、自分自身がアイドル・オタクとして終わりに近づいていることを悟っていた。アイドルという存在、アイドルというシステムに対する熱は、もう自分の中に存在していないように感じられた。それが2024年11月10日(日)。BLUEGOATSを月に二回くらい観に行って、ミュージカル女優めいめいの活動を緩く追いつつ、横浜F・マリノスの試合を観に行く。そうやってアイドル・オタクを引退していく。それが既定路線だった。いつまで経ってもアイドル・オタクをやっているのはキモすぎる。引退できる目途が立って本当によかった。そう安心していた。ところが、アイドルめいめいを観てそう考えたわずか二十日後にすべてを覆された。2024年11月30日(土)。BLUEGOATS目当てでたまたま観に行った対バン。見つけてしまったミニ・マルコchan。今年に入ってから彼女と撮ったチェキが107枚、写メが95枚(数え間違いはあるかもしれない)。今の私はミニ・マルコchanとLiVSを最優先に生きている。すっかり人生最高強度でアイドル・オタクをやっているわけだが、それはアイドルめいめいへのモチベーションを高める要因にはならなかった。私が愛しているのはアイドルと名の付く存在全般ではなくあくまでミニ・マルコchanとLiVSという具体的なアイドルだからだ。半年観なくても平気だっためいめい。今からステージに出てこられても楽しめる自信がない。今日のチケット代JPY11,000はLiVSに回すべきだったのではないかという思いが頭をよぎる。
今日を迎えるにあたって楽しみな気持ちがほとんどなくて、私はファン・クラブ会員向けに事前公開されたセット・リストもチェックしていなかった。楽しむ準備が出来ていたとは言いがたい。それでもめいめいがステージに現れた瞬間、すべてが変わった。ショウが始まってから終わるまでのすべての瞬間、私は心を鷲掴みにされ続けた。そこにいるのはまごうことなき本物だった。アイドルとは何ぞやという問いへの回答が、そこにはあった。ステージ上の一挙一投足、シンプルに抜きんでたクオリティ。圧倒的な存在。tkucとのデュエットは見事と言うほかなかった。これだよ、これ。私にとってはこれこそがHello! Projectだった。『悲しきヘヴン』(℃-ute)、『オシャレ!』(松浦亜弥)、『お願い魅惑のターゲット』(メロン記念日)…。涙が出てきそうになった。今日は着席での鑑賞が義務付けられ、立ち上がるのは禁止だった。それでも心に火を灯してくれためいめいとtkuc。スキルフルでHello! Project魂の宿った歌声。私たちはステージで歌うからあなたたちは席に座ったまま聴いていなさいというのが成立するだけのクオリティ。アイドルを観る者として、今日めいめいが示してくれたこの基準を決して忘れてはいけない。そう強く思った。一年に一回だけアイドルに戻るということに対する疑義を呈してごめんなさい。私は一発で黙らされました。感銘を受けました。職業というよりは存在としてのアイドルを、めいめいは体現していた。いわゆるアイドル活動を普段していなくとも、めいめいがステージに立てば問答無用でアイドルになる。特別なオーラ。もしLiVSにめいめいが入ったら神になる。歌割の半分は彼女のものになるだろう。本当に今日、めいめいのコンサートを観ることが出来てよかった。自分が今後アイドルやステージで行われるショウ全般を観る上で、何がリアルで、何がフェイクかを見分けるためのひとつの基準を教えてくれたからだ。2025年8月15日(金)。記念すべき日。この日の記憶を形に残しておきたい。終演後物販で、買うつもりのなかったteeとタオルを買ってしまった。