浦和には明治安田J1リーグの浦和レッドダイヤモンズ対横浜F・マリノスを観に来るために年に一度は来るのだが、浦和駅で降りたことはなかった。埼玉スタジアム2002の最寄り駅は浦和美園なので。埼玉には色んな浦和がある。武蔵浦和、南浦和、東浦和、西浦和…。そのうちのいくつかには行ったことがあるが、何もつかない浦和駅に行くのは初めてだった。浦和にはそんなに縁がない生活を送ってきた私だが、埼玉県には何年も住んでいたことがある。和光市とか、志木とか。その私から見て埼玉県のオススメはぎょうざの満州である。ほぼ埼玉県にしかない餃子チェイン。よく利用していた。餃子はもちろん、やみつき丼、ソース焼きそばがおいしかった。あと特筆すべきなのが、コメを白米と玄米から選べるの。ロウ・カット玄米。三年前に池袋に引っ越してから生活圏内にぎょうざの満州がなくなって、一度も行っていない。
この土日をひとつの試合と考えると、前半が終わった。これから後半。12時から対バン、17時半から単独公演という、まったく同じ時程の二日間。ハーフ・タイムには銭湯に行って、8時間くらいは寝た。可能なかぎりの休息はとった。常識外れの頻度で通っているとはいえ観ているだけでこんなに気力と体力を要するのだからメンバーさんがどれだけ大変かは推して知るべし。まあ、メンバーさんは若いから大丈夫か(加齢と共に雑になっていく若者に対する認識)。土日に昼夜公演を観るというのはHello! Projectのときにも経験はしたとは思うけど、消耗の度合いが比較にならない。決められた席や位置で優雅に観ていられるHello! Projectと、ケチャをするために目まぐるしく人が動き回るLiVS。後者の方が圧倒的に神経を使う。そのときに演っている曲の歌割を常に頭に巡らせ、次を予測し、道を開けたり自分が突っ込んだりをし続けないといけない。終演後、手に切り傷が出来ている紳士を二、三回見たことがある。もちろん意図的な暴力などはなく、あくまでも平和で思いやりのある現場なんだけど、激しくはある。ボヤッとしていられない。たまに気が抜けてマルコchanのソロ・パートで動かないでいるとお前が行く番だぞって感じで近くの目撃者に身体を押されることがある。だから何というか、気軽なレジャーではない。楽ではない。与えられたショウを受け身で楽しみに行くというスタンスではいられない。
記憶がごっちゃになって対バンだったか単独公演だったか忘れてしまったのだが(たぶん対バンだったと思う)、コンニチハクリニックさんがステージとフロアの間に設置された柵に上った。そのときに落ちないように氏を支える役目を担ったのが私だった。最初は何が起きたのかよく分からなかった。曲で盛り上がっている流れで手を挙げていたつもりだった。気付いたら左手をコンニチハクリニックさんの右手と繋いでいた。しばらくのあいだ柵の上で歌う彼女。そのまま柵の上にいられるかは私次第だった。責任重大。コンニチハクリニックさんが落ちてしまったら最悪、怪我をしてしまう恐れもある。無銭で手を繋げて嬉しいなんて思う余裕もなく、必死だった。(近くにいた某紳士がそのときの写真を撮って、後日わざわざ送ってくださった。一生の思い出になるような、凄くいい写真だった。)メンバーさんがステージから乗り出して、落ちないように最前の人の腕を借りる場面はBLUEGOATSでよく見てきた。LiVSではその状況が滅多に発生しないので、自分がそれをやる日が来るとは思っていなかった。人生で初めての経験。呑気にスマ・フォを構えていたら対応できなかった可能性が高い。ポケットのスマ・フォに手を伸ばさず目の前の公演に全力集中していたからこそ巡ってきたチャンス。
今日の対バン相手は神薙ラビッツとPOPPiNG EMO。両集団ともに初見ではそんなに刺さらなかった。個人的な趣味でいうと昨日のFinallyとLucyの方が何倍も惹かれた。神薙ラビッツの名前は聞いたことがあった。有識オタクが絶賛しているのをTwitterのオススメ欄で見た。実際に観てみるとバキバキのダンスが印象的だった。音楽的にもパフォーマンス的にも新しいことをやろうとしているのは感じ取れた。でもなんか途中から飽きてきた。マルコchanが恋しくなってきた。ちゃんと音源で繰り返し聴けば印象は変わってくるのかもしれない。ただ、聴くべき音楽が無限にある中で、生で数十分観てピンと来なかった集団の曲をわざわざ聴き直すかっていうね。新規特典がめっちゃ太っ腹だった。今日使えるチェキ券一枚と、次回使えるチェキ券一枚と、さらに定期公演の無料招待券まで貰えた。POPPiNG EMOもダンス・パフォーマンスに重点を置いた魅せ方をしていてカッコよかった。メンバーさんの五人中二人がボーイッシュな感じに寄せていて、美少年なのか女性なのか判断に迷った。(そのボーイッシュの片方、193Rさんかな、がLiVSの特典会が始まるときにわざわざステージを向いて拍手をしていて、いい人やなと思った。)ユーナッテ・ユーナさんという金髪ボブの淑女が目に留まった。何やら有名な方がアルバムをプロデュースしているらしいが、私の趣味趣向からはちょっとずれてるかなって感じ。
この数ヶ月というもの異常な頻度でLiVSに通ってきて、仕上げにこの二日間の四連戦。何かしらの壁を突き抜けているような、殻を破っているような実感。もうしんどいというところまで自分に負荷をかける。心身ともに疲れた状態。そこから踏ん張って一歩、二歩、前に踏み込む。力を振り絞る。今日はもう半ばやけくそで、気持ちでケチャをしていた。昨日、今日と全部に行ったからこそ感じられたこと、得られたものがある。ひとつひとつの公演に本気で臨む。その繰り返しで、新しい人生を手に入れているような感覚がある。