2015年9月27日日曜日

MISSION 220 (2015-09-26)

いつもの池袋「楊」に入った。たまには汁なし担々麺以外のものを頼もうかなと思って迷っていると店の人が「担々麺でよろしいですか?」と聞いてきて「はい、お願いします」となった。何か今日のはいつにも増して辛かった。最後の方は苦しかったが何とか平らげた。成城石井でホップが通常のbeerの30倍入っているというScotlandのbeerとさきイカを買った。地下鉄で西新宿に行った。初めて降りる駅だ。駅を出た地上でさきイカをつまみにbeerを飲んだ。Beerはよく分からないがさきイカはうまい。駅に戻って、ジーンズのポケットに2,000円とチケットをねじ込んで、ピンクの宮崎Tシャツを手に持って、ロッカーにカバンを預けた。今日は土曜日にも関わらず稼働日なのだが、休暇を取っている。とは言ってもJuice=Juiceの新宿公演を観に行くという責務を果たすためであって、単なる休みではない。Juice=Juiceは今日と明日(9月27日)にそれぞれ2公演ずつ、新宿で公演を行う。全4公演を申し込んで唯一当選したのが今日の昼公演だった。

Beer一缶ではほとんど仕上がらなかった。ほぼ素面だ。先日DOTAMAのコンサートを観に行ったときはBeer 500mlに加えて入場してからジンライムを一杯飲んでいた。それくらい飲まないとアルコールの効果を明確に感じることが出来ない。まあ、でも飲まないよりはマシだろうと思う。コンサートという非日常空間に入り込んで楽しむには事前に酒を飲んでおくのが効果的だとDOTAMAのときに学んだ。この間も家で℃-uteのDVD MAGAZINE vol. 56を観ていて、こんな元気な子たちの要求するノリに付いていくにはアルコールの助けがないと無理だと確信した。

新宿Renyは入場時の「ドリンク代」として500円ではなく600円を徴収する強欲な運営の会場だった。14時開場、14時45分開演なのだが13時40分くらいから、1番から200番、200番以降、という番号のかたまり毎に場所を決められて立たされていた。開場時間よりも前から入場の準備が始まっているのはよくあることだ。下手をすると開場時間よりも前に入場が始まっていることすらある。そうなると自分が本来見られたはずの位置よりも悪い位置からコンサートを見なければならなくなるかもしれない。そんな注意事項はチケットにもホームページにも書いていない。自分で経験して学ぶストリートの掟だ。席が事前に決まっているコンサートであれば開演ギリギリに行っても間に合うことが多いが、整理番号順に客を入れる現場だと開場時間より前に近くで待機しておく必要がある。

私の整理番号は248番だった。ウェブには収容人数800人と書いてあった。今日入っていた客は見た感じ500人いるかいないかだったと思う。別にスカスカではなく、適正な混み具合だった。もしあの広さで800人を入れていたら満員電車のようになって最悪だっただろう。500人(推測)中の248番ということで、真ん中くらいの番号だった訳だが、その割には見やすかった。舞台の最前にお立ち台が5個設置してあった(今まで観に行ったJuice=Juiceの公演では2個だった)。つまりJuice=Juiceの全員が同時にお立ち台に立つことが出来るつくりになっていた。彼女たちは本当に出来た子たちで来場者たちのことをよく配慮して積極的にお立ち台に上がってくれる。そのおかげで、よく見えた。幸いなことに私の前にはジャンパーがいなかったので視界を妨害されるフラストレーションもなかった。

左斜め前の紳士がお召しになっているシャツの背中が部分的に白くなっていた。汗が乾いて塩になったやつだ。汗をかいたら必ず洗濯しろ。汗をかかなくても高頻度で洗え。汚れやシミには着る前に気付け。自分自身の身体と、身に付ける衣服や靴、カバンは清潔に保て。身だしなみを整えろ。

℃-uteの現場でよく見るヒョロ長い紳士がいた。Juice=Juiceでは金澤さんを応援しており、彼女が歌う度にバネが付いたように飛びまくっていた。氏の後ろになったら災難だ。今後彼を見かけたら彼の後ろは避けるように気を付ける。

私はJuice=Juiceでは宮崎由加さんを一番に推しているが、今日に限っては宮本佳林さんに釘付けになった。宮本さんは元気と意欲がみなぎりまくっていて、見ているだけで自然と笑顔になれた。私があれだけの元気と意欲を出すのはクスリなしでは無理だ。いつもと違う髪型にしていて、やたらと可愛らしかった。注目しないのが不可能だった。冒頭MCの「本日はお足元の悪い中、足を運んでいただきありがとうございます…。あ、雨が降ったのは昨日か。昨日と間違えちゃった」というのが最高だったし終盤MCの「今日から新しい髪型にしたんですけど、そのせいか汗がここら辺(頭頂部)から垂れてきて目に入って来て、涙みたいになるんです。『イジワルしないで抱きしめてよ』のとき、泣いてるみたいになっちゃって…強気な歌なのに」と言ってからの「このまま汗で髪がなくなるまで頑張ります!」という結びも最高という他なかった。こちらが呆れるほどに、心配するほどに精力的。岡崎慎司のようなプレースタイルだった。今日の宮本佳林にはガゼッタ・デロ・スポルト紙であれば8点(最高点)、ビルト紙であれば1点(最高点)を付けていたであろう。

一人しゃべりのセグメントは植村あかりが担当した。「昨日のブログを見てくださった人はどれくらいいますか?(7割くらいの客が手を挙げる)おー、たくさん! ありがとうございます! まあ見ていない人もいますが…。写真集の表紙をね、載せたんですよ。見た人は最低+一冊は買っていただきます。水着姿も撮影したんですけど、どうしても泳ぎたくて。自分から海に飛び込んだんです。時間をかけてメイクをしてもらったのに。メイクさんも『ほとんど取れちゃったね』と言っていました。撮影のほとんどの時間は泳いでいたというくらい泳ぎました。海底に、石とかあるじゃないですか。飛び込んだときに怪我をしちゃって。足を何箇所も。でも出来上がった写真を見たら痛そうな感じは出ていなかった」「一緒に写真を撮った犬。値段を聞いたんです。そうしたら14万円ということで、14万円はちょっと高いなーということで、諦めたんです。(客エーイング)えーじゃないよ! 14万は大金だよ!!」客のエーイングにムキになるところがとても面白かった。

14時45分ちょうどに開演、16時29分に終演。握手会までだいぶ待たされた。退屈だったので前方にいたキャスケットをかぶって革ジャンを着た紳士を見て、こいつのことをどうやってディスろうかなと考えを巡らせた結果「人工皮革/貧乏似合う」という韻を考案するなどして時間を潰した。高速握手会では、一つ前の公演から肩を傷めて右腕を上げられなくなった金澤さんに「肩をお大事にしてください」と伝えることが出来た。それ以外は誰とも会話が出来なかった。流れが速すぎたというよりは私の能力不足だ。私は音楽空間を楽しみたいのが第一でアイドルとの接触願望は非常に弱いのだが、もし何度も足を運ぶうちに顔を覚えられて「何かあいついつも来るけど無言で気持ち悪いな」と思われたら嫌だ。だから、高速握手での立ち回りをもっと上手く出来るようになりたい。最後の宮崎さんが宮崎Tシャツに気付いて「ああー!」と反応くれたが何も返せなかったのが悔しい。17時5分だった。開演前には「地方に行ったときの日替わり写真は旅の記念にもなるから買うけど東京公演のときはわざわざ買わなくていい」という考えだったのに、コンサート後には1,000円札を握りしめて列に並び、「宮崎さんと、宮本さんをください」と言っていた。ドリンク代が600円だったので手持ちが1,400円になっていた。もしドリンク代が500円で1,500円残っていれば、金澤さんの日替わり写真も買っていた。

本当なら他の回も観たかった。でも同時に、この一回だけで十分な満足感と幸福感を得ることが出来た。幸福感というのは大袈裟ではない。それくらい楽しむことが出来た。こんな気持ちにさせてくれるJuice=Juiceは最高である。

2015年9月22日火曜日

ヨウジの服を売り払った。

かつては、週末にヨウジ・ヤマモト(以下ヨウジ)の服を身にまとうのが私にとっての至福だった。ヨウジの服を買うために働いていると言っても過言ではなかった。そうではないと説明が付かない出費だった。投資ではなく浪費であり、自分を幸せにしないことは分かっていた。ある時期からは使う金額をほどほどにしようと努力していたが、好きだという気持ちとの折り合いが付けられず、うまく行かなかった。毎シーズンずるずると店に通っていた。

2013年5月に無職になったのを境にヨウジをまったく着なくなった。収入がなくなったので新しく買い足せなくなっただけでなく、既に持っていたヨウジの服を着る意欲も失った。当時メールでやり取りをしていたヨウジのTさんには、事情があって少しの間お店に行けない、でもヨウジが好きであることに変わりはないという連絡をしていた。偽らざる本心だった。その少しの間は今でも続いていて、あれから一度もお店に足を運んでいない。実に2年半だ。2014年7月に再び職を得て、1年以上が経った。生活に余裕が出てきて、また服を見るのが楽しくなってきた。でもヨウジは見ていない。

私の部屋の2割以上をヨウジの服が占めていた。今ではほぼゼロになった。捨てたし、売ったからだ。8月のある日、ふと思い立った私は「ブランド 買い取り」で検索して上位に来たZOZOTOWNの買い取りサービスに申し込んだ。驚くほど簡単だった。段ボールの小か大、あとは袋の3種類から選ぶ。届いたら服を詰め、集荷を申し込む。ヤマトに渡す。こちらは伝票に記入する必要すらない。集荷の依頼もZOZOTOWNのページから数クリックで出来る。3日くらいすると査定額の連絡がメールで来る。取引を確定させ、銀行口座を登録し、身分証明書の画像をuploadすればお金が振り込まれる。査定額については、Yahoo!オークションに出して買い手が付けばもっといい金額で売れただろうが、問い合わせへの対応や発送を全部自分でやらなければならない。一点一点の服に対してそんなことをやるのは大変だし、出品したところでいつ売れるかは分からない。売れないかもしれない。そう考えると、まあ納得できる査定額であった。信頼できると踏んで2回目、3回目とZOZOTOWNに服や靴を売った。

1回目:リユースバッグ(57x37x27cm)
6点 28,510円

2回目:段ボール大(57x37x27cm)x2箱
16点 69,510円

3回目:段ボール大(57x37x27cm)x2箱
31点:60,620円

計53点 158,640円

売ったのはヨウジだけではないが、これでヨウジの服や靴は殆どすべて家からなくなった。スーツ2着はこれからも使えるので残した。捨てていた服も何着かあったのだが、それらもZOZOTOWNに売っていればあと数万円になっていたと思う。惜しかった。

レッグウォーマーがアームウォーマーとして査定されていて、ZOZOTOWNの古着市場でアームウォーマーとして販売されるのを想像するとちょっと面白かった。2007年秋冬のDr. Martensとヨウジのコラボ作ブーツ2足に10,000円ずつの値段が付いたのは大きかった。だって8年前のブーツで、買った値段はたしか35,000円だよ? 薄手のカーディガンでも厚手の凄く値の張ったセーターでも一括りにセーターとして同じ値段が付いていたのは少し不満。けっこう着古したコム・デ・ギャルソンのシャツに3,000円くらいの値段が付いていた。ヨウジとかコム・デ・ギャルソンは古着市場でも強い。

溺愛して止まなかった、自分の身体の一部とさえ思っていたヨウジの服は一部を除き私のものではなくなった。もう二度と見ることもなくなった。売ったことを後悔している服や靴は一点もない。むしろすがすがしい気持ちでいっぱいだ。スッキリした。私はもうヨウジを必要としていなかったのだ。ヨウジは私の心の中で何かの不足を満たす存在ではなくなっていたのだ。こう書くと何かの依存症や中毒から脱却したかのようだが、実際それに近いかもしれない。今後、前のようにヨウジにはまる気がしない。今の私は再び服を、ファッションを楽しみ始めているが、ヨウジを愛好していた頃とは方向性が前とは異なる。それはまた別の話。

2015年9月12日土曜日

ニューワンマン(2015-09-11)

突然すぎて最初は何が起きたのか分からなかった。想像を超える唐突さと激しさでゲリラ豪雨が襲来した。渋谷ハチ公前。18時15分過ぎ。幸いにもすぐ近くに東急百貨店の入り口があったのでそちらに避難した。友人Aが合流したときには10分もたっていなかったが、だいぶ小降りになっていた。彼が傘を持っていたので入れてもらった。会場に向かった。途中にあった「ラーメン王」という店に入った。飯を食うだけではなくコンサート前に一杯引っかけておきたかった。Aも同意見だった。私は肉味噌炒め定食670円。友人Aはレバニラ炒め定食670円。二人で500mlの瓶ビール500円を分けたが、足りなくてもう一本頼んだ。豪快な味付けで元気が出る飯だった。Aはレバニラに途中から七味唐辛子をかけて食うという悪趣味さを発揮していたが私が彼を火鍋に連れて行って以来彼はこういう病気になったのだ。辛い料理にはまると辛くない料理では満足できなくなるのだ。

店を出ると雨はほぼ止んでいた。500mlのビールが私を楽しい気分にさせていた。公演を観るのがどんどん楽しみになってきた。19時頃に渋谷O-NESTに着いた。友人Bと合流した。今日は開場19時、開演20時なのでもう入ることが可能だ。私が買った3枚のチケットに印字されている整理番号は4番から6番だ。仮にハロプロのコンサートでこんな整理番号を引き当てたら問答無用で一番前に行ってがっつくが、今日のコンサートはちょっと違う。DOTAMAというヒップホップMCのソロ公演だ。DOTAMAがソロのコンサートをやること自体が初めてだ。どういうノリで臨めばよいのかがつかめない。いきなり最前線に突っ込むのではなく少し引いた位置から様子を見たかった。だからあえて19時半まで待った。Aは会場横のコンビニでビールを一缶買った。3人で立ち話をしながら彼はそれを飲み干した。

DOTAMAのことはMCバトルで知った。CDはすべて買った。彼のアルバムはどれも個性的で、単なる曲の寄せ集めではなく一枚毎にコンセプトが練られている。特にハハノシキュウとQuviokalとの合作アルバム『13月』は他に類を見ない独創的なラップ・アルバムである。『ニューアルバム』という新しいアルバムの発売(8月12日)とそれを記念しての『ニューワンマン』というソロ公演の開催(9月11日)が、6月22日に発表された。その日のうちにアルバムを予約して友人AとBをコンサートに誘った。彼らは快諾してくれた。このコンサートに確実に参加するために友人Bは有休を取った。私は仕事の関係者に今日は17時に会社を出なくてはいけない旨を事前に伝えた上でその通りに実行した。

19時半過ぎに会場入りしたら拍子抜けするほどガラガラだった。最前に10人ほど張り付いているくらいで、後はポツポツ。DOTAMAはUMB2014でR-指定と当たったときにお前のライブは会場がガラガラだったというようなことを言って攻撃していたのだが、このままでは次にバトルでR-指定と当たったときにまったく同じことを言い返されてしまうのではないかと心配になった。会場は凄く快適で、円卓っていうのかな、ドイツのソーセージ屋台で立ち食いするときのあのテーブルみたいなのが二つ設置されていた。その片方に私たちは陣取った。ドリンクチケットと引き替えたジンライムで、私はいい感じに仕上がっていた。

15分遅れの20時15分にDOTAMAが登場した。サラリーマン出身であることをアイデンティティにしているDOTAMAなので時間はきっちり守るのではないかと私は予想していたが、フレックス出勤したと考えれば15分の遅れの説明はつく。開演した頃には客入りはだいぶマシになっていた。少なくともバトルでR-指定にお前のライブこそガラガラだったやんけと意趣返しされないくらいには埋まっていてホッとした。最後には電車の乗車率で言うと100%近くにはなっていた。身体がぶつかるまでは行かないストレスのない程よい混み方だった。たぶんヒップホップのヘッズには開演時間までにきっちり入場しておくという習慣がないのだろう。DOTAMAも「オープニングからのご来場」をTwitterで呼びかけていた。そのために先着100名にステッカーを配っていた。私も一枚もらってカバンに入れたが、なくした。見つけたら来年のタワレコ手帳に貼りたい。客は私たちやDOTAMAと同年代くらいの会社員(見るからに仕事帰りというスーツ姿の男性も何人かいた)や若い男女などさまざまだった。ガラの悪さがなくて、安全な客層だった。以前K DUB SHINEのコンサートを観に行ったときにはダボダボの服を着た坊主頭が客の大半で威圧感があった。見間違いでなければ私たちのすぐ近くにカクニケンスケがいた。

DOTAMAはだいぶ緊張しているように見えた。表情がこわばっているように見えた。彼がどれだけ気合いを入れて今日に臨んでいるかはTwitterの投稿で十分すぎるほど分かっていたが、それにしてもおちゃらけた感じがなかった。ただ、歌声は安定していて音源と変わらなかった。『ニューアルバム』のジャケット写真の衣装だった。『HEAD』から始まって『名曲の作り方』など、前半は『ニューアルバム』の曲が多かった。曲を1コーラスだけ歌って次の曲につないでいく形が多かった。中だるみせずsmoothな展開だったが、欲を言えば『音楽ワルキューレ』はfull chorusで聴きたかった。イントロだけで終わっちゃったんですよ。めちゃくちゃ盛り上がったので、そこでぶった斬って『音楽ワルキューレ2』に移ってしまったのは惜しかった。

「セイホー」「ホー」というヒップホップの定型のやり取りは二回だけあったが、それ以外にDOTAMAが客に同じことを叫ばせたり同じ動きをさせたりして一体感を演出することはなかった。各々が自由に酔いしれて音楽に乗っていた。それが凄く心地よかった。みんながDOTAMAの音楽を大好きで、この瞬間を楽しんでいるんだという空気が充満していた。平和で楽しく気持ちのよい音楽空間だった。The Telephonesのドラム担当者とベース担当者が助っ人として参加して3曲くらいやった後、説明がないまま出演者が引っ込んで、しばらく間があった。まだ時間がそれほどたっていなかったし、登場が予告されていたハハノシキュウもまだ出ていなかった。まだ終わりではないとみんな分かっていたと思うが、アンコールが起こった。客に軽妙なノリのよさがあって雰囲気がよかった。偽アンコールの後に出てきたハハノシキュウとDOTAMAのフリースタイルによる掛け合いが自由で面白かった。ハハノシキュウと同じステージに立つとDOTAMAがまともな常識人に見える。ハハノシキュウ最高。Tシャツ、パーカー、キャップと「8x8=49」の完全コーディネートだった。

DOTAMAのトークでは『ニューワンマン』という公演名を付けた理由の説明が一番印象に残った。曰くこの公演名は「常に新しいものに挑戦するのがヒップホップ。新しいフロー、新しいラップのやり方、新しいテーマ、新しいトラック…」というヒップホップ観に基づいているのだという。これはDOTAMAというヒップホップ・アーティストを理解する上で重要な発言だと思う。本人の口から聞くことが出来てよかった。私は正直『ニューアルバム』というアルバム名も『ニューワンマン』という公演名も好きではなかった。『無題』のような誰もが思いつく面白くない奇のてらい方だと思っていたからだ。しかしこれらの題名が上述したDOTAMAのヒップホップ観から来ているのだと知って非常に腑に落ちた。この公演を通して彼が一曲一曲に意味と思いを込めて真摯に音楽を作っているのを再認識した。どこまでも生真面目なMC。DOTAMAの話を聞きながら、私のヒップホップ観は何だろうと考えた。

22時3分に終演。これだけ楽しませてくれたコンサートのチケット代がわずか2,000円(終演と2,000円のえんで踏んでいる)。数十万円の売上にしかならないのが不憫である。利益となるとほぼゼロなのではないかと想像する。次回の公演では是非DOTAMAの顔がでかでかと印字された「DOTAMAのドタマTシャツ」を売り出してmake moneyしてほしいものである。OBAMAとDOTAMAで韻を踏めるのを利用して、OBAMAの顔のTシャツを引用したデザインに出来ないですかね。