2022年10月23日日曜日

M-line Special 2022 ~My Wish~ (2022-10-16)

モリヴァのモーニングはサンドウィッチが何種類かあってそれぞれにアルファベットが振られている。Dで注文したつもりが請求された金額が違うので確認したところ、Bとして処理されていた。ただでさえ店員も客もマスクをさせられてお互い声が聞き取りづらい。注意しないとBとDの違いは微妙。一定の割合で聞き違えが起きるのは必然。短い上に聞き分けの難しい音を混在させるのをやめられないか? せめて番号にするとか。もしくはメニューの名前だけにするとか。こういう店の本部に勤めているやつらはそういうことを考えもしない。馬鹿なんだと思う。昼飯の店を物色。昨今は本当にあらゆるものの値段が上がっている。みなとの前を通りがかったらさしみ定食がJPY2,000になっていた。前にF君と二人で来たときはJPY1,650(JPY1,500+消費税)だったはず。値段分の価値があるとは思うけど昼飯に酒もなしでJPY2,000は出しづらい。池袋の店がピンと来ず、新大久保に移動して川覇王で水煮魚を食った。味付けは同じだけど水煮肉片のほうがいい。

この週末は予定がなかったのと、会場が横浜だったのでエム・ラインのコンサートを入れた。深入りはせず、昼公演のみで。ただ、いざ当日になってみるとさほど気が乗らない。申し込まなくてもよかったのではないかという考えが頭をよぎる。何せ、ランドマーク・ホールである。冷静に考えると、おみずちゃんのバースデー・イベントのようにどうしてもその場に居合わせたい公演ではない限り、進んでこの会場に足を運ぶべき理由がない。コンサートを観るのに適した会場ではない。傾斜のないフロアに椅子が置かれただけのカス会場。しかも公演毎にドリンク代JPY600を支払わないといけない。横浜は馴染みのある土地ではあるが(私はこの町で生まれ育ったし、今でもマリノスを観るためにしょっちゅう行っている)、家から片道で一時間くらいかかる。

開演は14時45分。サテンに入るほど時間は余っていない。書店で時間を調整した。『40歳からは自由に生きる』という私向けに書かれたような新刊を見つけ、思わず購入。人体の耐用年数が三十数年というのを以前に何か本の帯で見たことがあって、頭に残っていた。この種の話を読みたいと思っていた。
自然環境におかれた場合の生物の寿命を「自然寿命」といい、脊椎動物の自然寿命の推定に利用されるのが、「DNAのメチル化」といわれる現象です。そして、このDNAのメチル化から割り出された人間の自然寿命が38歳でした。チンパンジーやゴリラの自然寿命もほぼ38歳で、私たちの「親戚筋」ともいえるネアンデルタール人やデニソワ人の化石のDNAを調べると、ともに38歳でした。
霊長類の自然寿命はどうやら38歳あたりのようで、同じ霊長類の仲間である人間の自然寿命が38歳というのは、妥当な線といえるでしょう。
(池田清彦、『40歳からは自由に生きる』)
筆者によると生物学的に見れば人間の40歳以降はおまけの期間なのだという。私がこうやってランドマーク・ホールに女を観に来ているのもまさにそれに相応しい過ごし方だな、と思いながら入場。JPY600のドリンク引換券をおみずと交換。今日のステージにおみずはいない。

宮本佳林さん、小片リサさん、小関舞さん。ゲストに佐藤雅樹さん。小関舞さんを拝見するのは何年ぶりだろうか。アップフロントが私に与えた席は11列の右側。左前が空席だったのでステージ中央がちゃんと見える。思っていたよりも近かったし、なんだかんだで楽しみになってきた。客席を見渡すと、禿げていればいるほど原色を身に纏っている。開演し登壇した宮本さん、小片さん、小関さんの全員がツイン・テール的な髪型にしていた。後で宮本さんが解説したところによるとセット・リストのテーマが熱く、可愛く、とのこと。皆さんが胃もたれするくらいのセット・リストにした。小片さんが、コッテコテのね、と付け加えていた。私はてっきり先日の戸田での公演と同じセット・リストで来るのかと思っていた。だって同じツアーのはずだし。今日来るのがややダルかったのはそれもあった。ところがフタを開けてみると曲目がほぼ総入れ替えだった。今日は宮本さんが座長の公演だったらしく(座長というシステムがあったのを私は知らなかった)、彼女がセット・リストを組んだらしい。

こんなのが許されるのか? 反則なのではないか? と感嘆するほどのセット・リストだった。詳細は各自で検索してもらうとして、私にとって最大のハイライトは『女ばかりの日曜日』だった。小片さんが歌い、宮本さんと小関さんがバック・ダンサー。スマイレージの名盤『悪ガキッ①』の中でも特に私が好きな曲。イントロが流れてきた瞬間にうわーってなった。前もそうだったけどエム・ラインのコンサートではこういう瞬間が何度も訪れる。音楽としてのHello! Projectは明らかに前のほうがドープだった。私が過去のHello! Projectの音楽のほうが好きだったことの証拠を、次々に突きつけてくるコンサート。小関さんが在籍していたカントリー・ガールズの曲が盛り沢山。『浮気なハニーパイ』を本家のメンバーさんがパフォームするのを観られたのは貴重な経験だった。『傘をさす先輩』はおみずちゃんのバースデー・イベントで聴いたばかりだった。この短期間で二度聴くとは。『ロマンティック 浮かれモード』のような分かりやすいクラシックも容赦なく投下される。小片さんと宮本さんが二人でパフォームした『My Darling 〜Do You Love Me?〜』では小片さんのお尻の振り方が驚くほどぎこちなかった。現役つばきファクトリーの最後に入った四人の誰よりも腰が入っていないので、処女であることが確定した。最後の『今夜だけ浮かれたかった』は佐藤さんの希望で宮本さんが選曲したらしい(ところで小片さんはつばきファクトリーの曲をどういう気持ちでパフォームしているのだろうか? ご本人の言葉で聞いてみたいところだ)。終盤の「どうしたら輝けるの?」(原曲ではおみずちゃんのソロ・パート)は小片さんが歌っていた。私としては佐藤さんに歌ってほしかった。おみずちゃんが喜ぶだろうから。前にも書いたようにクソ曲をいかに声を出して身体を動かして盛り上げていくかというのが通常のHello! Projectのコンサートの醍醐味だった。それだけに現状の座って黙って観てろという制限下では物足りなさが残る。エム・ラインのコンサートはクソ曲がなくセット・リストの構成も素晴らしい上に出演者がHello! Projectにいた中でも特にエリートだけなので、座って観ているだけでも楽しく、満足できる。ただ出演者の皆さんにとっては大変だったらしく、重圧と緊張を感じながらやっていたらしい。小関さんは、皆さんが思っているよりもリハーサルの期間が短くて、と言っていた。たしか宮本さんのブログに書いてあったと思うけどリハーサルは一日だけだったらしい。小関さんは、可愛い曲をやるのは意外に疲れるんです。知識として知っておいてほしい。ピョンピョン跳ねたりするので。と言ってヘッズの笑いを誘っていた。(小関さんといえば「本日はお越しいただきありがとうございます」という言い方をしていて感心した。現役ハロ・メンの皆さんは「来ていただき」という可愛い敬語を使いがちなので。まあそれはそれでいいのだが。)(小関さんといえばその二。二着目の衣装でお召しになっていたTシャツが印象的だった。KEEP IT SIMPLE AND HAVE FUN. EXPRESS YOURSELFという小関さんらしいメッセージ。後で調べたらMOUSSYというブランドのものだと分かった。)小片さんは、(この一公演を無事にやり遂げただけで)全国ツアーを走り抜けたような、全都道府県を5回ずつ回ったくらいの感覚だと言っていた。私は公演前のモチベーションは低かったが、とても楽しめた。来てよかったと思った。夜公演も入りたいくらいだった。エム・ラインのコンサートを観るのがまだ二回目なのであまり比較は出来ないが、おそらく今日は特に大当たりの回だったのだと思う。公演毎に座長が決まっているのであれば、今後はどの公演に申し込むかを座長で選びたいくらいだ。宮本さんが組んだ凄まじいセット・リスト。わずかなリハーサルでも企画倒れに終わらせなかった出演者さんたち。安パイを狙わない素晴らしいコンサートだった。私は可能であれば安パイな生活を送りたいし、楽をしたいし、労働から引退したいが、才能のある選ばれた人々には挑戦してほしい。彼ら、彼女らが自らの能力を最大限に生かして挑戦している姿。それは美しい。終演後、フットボール天皇杯の状況を確認したところサンフレッチェ広島がヴァンフォーレ甲府と引き分けていた。Twitterで経過を追っていると、延長戦でも決着がつかず、ペナルティ・シュートアウトを制したヴァンフォーレ甲府が天皇杯の覇者となった。

2022年10月10日月曜日

ヘアスプレー (2022-10-01)

『ヘアスプレー』の田村芽実ファンクラブ先行受付の時点で、明治安田生命J1リーグの後半日程の詳細が確定していなかった。この週末にアウェーの名古屋グランパス戦があることは分かっていたが、土日のどっちなのか、何時に始まるのか、それは7月29日(金)まで分からなかった。今Gmailで検索したら私が『ヘアスプレー』のチケットを申し込んだのが1月23日(水)だった。半年以上経つまでマリノスの試合と『ヘアスプレー』のどの公演が被るのかが分からなかった。被らないよう祈りながら申し込んだのが10月1日(土)の夜公演。18時開演。7月29日(金)に発表された明治安田生命J1リーグの後半日程。マリノスの試合は同じ日の16時キックオフ。重複は免れた。けど本当にギリギリ。試合が終わるか終わらないかくらいにミュージカルが始まる。Fire HD10をバックパックに入れて出かける。出先でDAZNを観るために購入した。iPhone SE (2nd generation) ではさすがに物足りないとずっと思っていた。10.1インチの画面だと、そりゃ大迫力というわけにはいかないけど、手元に置いてフットボールを観る分にはまあ十分。

サテン→ストリート→東京建物ブリリア・ホール前の広場→入場列→座席と場所を変えてFire HD10で名古屋グランパス対横浜F・マリノスを観た。これがこれが本当に素晴らしくて。久し振りにマリノスらしい、心底スカッとする試合。4対0でマリノスが勝ったけど、もっと点が入ってもおかしくはなかった。水沼宏太さんはハット・トリックのチャンスを3回逃した。後半アディショナル・タイム、最後の最後に藤田譲瑠チマさんが右足を振り抜いてとどめの4点目を決めたときは思わず笑ってしまった。そのまま試合終了。川崎には引き分けて、マリノスには0-4で負けてくれる。名古屋様々である。現地観戦されていた森川さん(名古屋ファンとして最近明治安田生命J1リーグを観るようになった)に強いマリノスをお見せすることが出来てよかった。イヤフォンを外し、Fire HD10をバックパックに仕舞い、数分後に『ヘアスプレー』が開演。さすがにね、この短時間では気持ちを切り替えることが出来なくて。どうしても試合の余韻が残ってしまって。序盤は試合の場面が頭に浮かび、劇に集中できなかった。ステージに近い席(F列の右側)だったので勿体なかったが、仕方がない。試合を観ないわけにもいかなかったし。もちろんずっと気が散っていたわけではなく、少し時間がたつと私は『ヘアスプレー』の世界に入り込んでいた。

観るのが2回目だったのと、席がステージに近かったのとで、1回目とはまた違う見方、楽しみ方が出来た。コロコロ変わるアンバーの表情。テレビ番組の出演中、コマーシャルから本番に戻る瞬間に急にスイッチを入れて過剰なまでにニコニコのぶりっ子になる感じとか、トレイシーに皆の注目を奪われたときの呆気に取られたような、焦ったような反応。「いじわるアンバー」という情報をあらかじめ入れていたのもあって、先週に初めて観劇したときはとにかくアンバーの意地悪さが目に付いた。でも今日2回目を観て、それだけじゃなくチャーミングでコミカルな面も大いにあるな、と。アンバーの新しい魅力に気付くことが出来た。終盤にミス・ティーンエイジ・ヘアスプレーのコンテストでトレイシーに逆転され、アンバーが失神する場面。このときしばらくアンバー(めいめい)がステージの(こちらから見て)右側の椅子に座っている。私の席が右側だったので、このときのアンバーを細かく観ることが出来た。朦朧としていた意識を徐々に取り戻し、呆然とし、ステージ中央でトレイシーが主役になっている現実を受け入れられずに首を振り、顔を歪めて泣く。一連の表現が可笑しく、可愛かった。この場面で差し出されるのがウィルキンソンのジンジャー・エールだったというのは前に書いた。今日、F列から双眼鏡で見て、瓶の逆三角形がエンジ色だったので辛口の方だと特定できた。私が不思議に思っているのが、気を失った相手に差し出すのがなぜ水ではなくジンジャー・エールなのだろうかという点。意識がはっきりしていない状態であんな強い炭酸を口に入れたらむせてしまいそうなものだ。もしかするとアメリカの文化ではジンジャー・エールが気付け薬のような位置づけなのだろうか?

これから列毎に規制退場を行いますという係員の声が場内に流れても鳴り止まない拍手。幕を再度上げての演者さんたち再登場。最後に残った渡辺直美さんが身振りで拍手をやめさせ「帰って」と言い、ドッと笑いが起きて終幕。(と思っていたが、後で渡辺氏がインスタグラムで補足したところによると「気を付けて帰って」と言っていたのを、最後の「帰って」だけマイクロフォンが拾ったらしい。)

それにしても今日に限らずコンサート、ミュージカル、特典会などに動員される係員という職種。客全員に無視されながら、ざわざわと楽しく賑わっている客席に向けて「感染拡大防止のためお喋りはお控えください」とか、ほぼ全員が屋外でもマスクを常につけて感染拡大している国で「感染拡大防止のためマスクを鼻まで上げてつけてください」とかの与えられた文を大声で読み上げる仕事。思考力があったら頭が狂うはず。あんなことをやり続けているのでは、年齢が若くても実質的にシルバー人材だと思う。最近、静かな退職(quiet quitting)という言葉をTwitterで見たが、彼らは職選びの時点でそれを実現させている。資本主義の苛烈な労働市場に対する一種の抵抗である。私は彼らを軽蔑すると同時に羨んでいる。今の私は彼らよりも高い給料を貰っている。それでも私は(係員になりたいという意味ではなく、大きな意味で)彼ら側の世界に入りたい、シルバー人材になりたいという願望を隠しきることが出来ない。シルバー人材的な仕事で最低限の衣食住と安定を確保した上で、必要や興味に応じて色々なことを経験してみたい。次に転職をするときには、それが私が目指すべき方向性なのかもしれない。

つばきファクトリー 小野瑞歩バースデーイベント2022 (2022-09-29)

制度上は私にも夏季休暇が取れる。権利を行使するよう上司も推奨してはくれる。しかし権利として休暇の枠があるのと、それを安心して使える精神的な余裕があるのとは別の話だ。私が転職して三ヶ月が経過しようとしている。新しい環境、新しい業務に慣れつつある面もあれば、まだまだ大変な面もある。基本的に常に気を張っている。休みの日でも、やり残したこと、休み明けに待ち受けている業務が頭から完全に離れることはない。休みの日を設けないで働き続けた方が楽なのではないかと思うこともある。私はつばきファクトリーが8月25日(木)に山梨県で開催した重要なコンサートの観覧を断念した。仕事を選んだ。そうせざるを得なかった。現実的な人生の選択として。転職したばかりの会社を休んでアイドルのコンサートを観るために山梨県に行っている場合ではなかった。しかしこの日だけは易々と諦めるわけにはいかない。夏季休暇を取得。

長袖Tシャツでちょうどよい天候。何を血迷ったのか横浜FCのスポンサーになるという一大失策を犯したハングリー・タイガーでダブル・ハンバーグのレギュラー・セット。プロント・イル・バールでレーコー。豊島ミホ、『ぽろぽろドール』を読む(田村芽実さんの推薦図書)。カプセルプラス横浜。湯→水→サウナ→水→サウナ→水→サウナ→水→湯→水→湯。平日で利用者が少ないため水風呂がキリッと16度に保たれている。休日だと保冷が追いつかず18度まで上がっている。ちんちんを洗う(身を清める)儀式を済ませ、万全の体制でみずほちゃんに会いに行く。ランドマーク・ホール。

1部。16時45分開演。アップフロントが私に割り振った席は2列。1列はなかったので最前だった。2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、と9月29日(2018年だけは9月30日だったね)に彼女のバースデー・イベントを観覧して来て、6年目の2022年に初めて座る最前。長い時間をかけてようやくたどり着いたという、ちょっとした感慨があった。まあたどり着いたっていうか、単なる運だけど。Hello! ProjectのFCイベントは前日に公開されるグッズのページで衣装が分かるのだが、昨日公開されたみずほちゃんのそれは肌面積が広め。何かにつけて"大人っぽい"衣装を所望する最近の彼女の心意気を感じた。近距離で観られるのが楽しみだった。曲から始まるというこれまでに彼女がバースデー・イベントでやってこなかった登場の仕方。この曲は、ああJuice=Juiceの。えっと、『ペロリと』みたいな。違うな。何だっけ……。いいな、この衣装。みずほちゃんの身体の形が強調されて。今のみずほちゃんはちょっとムチッとしていていい具合だな〜。これくらいの感じで写真集を撮ってほしいな。小さくて生地の薄いビキニで。ああ、思い出した。『ポツリと』だ。なぞと思いながら呑気に聴いていたが、そういったしょうもない思考は見る見るかき消され、みずほちゃんの歌に引き込まれていった。最前なのもあって最初はとにかく肌面積の広い衣装を目に焼き付けるつもりだったが、思わず歌に聴き入ってしまった。

挑戦的なセットリスト。みずほちゃん曰く、1部と2部でガラッと変えている。1部はつばきファクトリーの歌詞に出てくる女性像をイメージして組んだ。つばきファクトリーの曲をひとつも入れずにそれを表現しようという試みが面白い。歌うときの感情の込め方には鬼気迫るものがあった。切なく重い曲が多く、好き、片思い、キス、といった言葉が続く。自身の去就に関するなんらかのメッセージが込められているのではないかという不安が私の頭をよぎった。田村芽実さんはHello! Project在籍時、2015年のバースデー・イベントで最後の曲に“Never Forget”を選んだ。1部では中盤にテレサ・テンの『別れの予感』を歌った。それが12月3日で、12月20日に彼女がHello! Projectから退団することが発表された。バースデー・イベントの選曲はファンに向けての事前予告だったのだ。私はいっさい気付かなかったが。今日のみずほちゃんの曲選びも、これまでファンの皆さんのことが好きでした、でももうさようなら、とかそういうことなのか? 胸騒ぎがしてきた。でもみずほちゃんはセットリストを解説する中で、私はアイドルなので、心配した人もいるかもしれませんが、そういうことではなく……と打ち消していた(ここでいうそういうこととは、恋愛に夢中になっているという意味だと思うが)。でも色々と勘ぐってしまうくらい、聞き手に訴えかける、力のある歌だった。曲そのものの強さも相まって(『抱いてHOLD ON ME』なんてまさにそう)。

1.『ポツリと』
2.『氷点下』
3.『ずっと好きでいいですか』
4.『抱いてHOLD ON ME』
5.『好きすぎてバカみたい』
6.『好きって言ってよ』
7.『Missラブ探偵』(feat. 秋山さん)
8.『アンラッキーの事情』
9.『今すぐ飛び込む勇気』
(出典:みずほちゃんのブログ)

同僚の秋山眞緒さんがトーク相手+一曲の共演者として部分的に出演。私、司会の方を呼ぶのは初めてなんです。これまでずっと一人でやってきて……と言ってから思い出したように、上々さんとかはいましたけど、と付け足すみずほちゃん。秋山さんはデニムの短パンから脚の大部分を見せてくれた。左に比べ右の生地が若干短く、こちらに背中を向けた際にはお尻の始まりくらいまで見せてくれた。生脚の質感。たまらなかった。私はみずほちゃんの歌に聴き入り、まおぴんの脚を性的に観るというゲーム・モデルを確立した。みずほちゃんと共演した『Missラブ探偵』だけでなく、あと何曲か彼女がステージで歌って踊るのを観たかった。実は最近の私は秋山さんのことをかなりいいなと思っていて、8月には個別お絵描き会に参加した。そのときに描いてもらったのが現在(2022年10月10日)のTwitterアイコンである。一対一で対面して接してみて、いい子だなと思った。トークではみずほちゃんとの仲の良さが存分に伝わってきて、楽しくない時間が一秒もなかった。これまでいかに鈴木啓太に無駄な時間を過ごさせられてきたかを痛感した。みずほちゃんの4年越しの願いだったという占いのセグメント。いかにも低予算で探してきた感の強い、泡沫感の漂う占い師。その人は登場すらせず、秋山さんが占い結果を読み上げる。曰く、コンサートやイベントの前に発声と滑舌の練習をするといい。(それは占いなのか?)みずほちゃんはバースデー・イベントでやりたいことに占いと催眠術を毎年書き続けてきたらしい。催眠術と聞いて私の頭にはあの伝説的なTVショウ『A女E女』が浮かんだ。スカ・パーでやっている『行く!つば』の番外編『イク!つば』として『A女E女』のオマージュをしてほしい。もちろん18歳以上のメンバーさんだけでいいから。あとはパワー・ストーンを部屋に置くといい。○○とか、ローズクォーツとか……という助言を聞いてみずほちゃんは「私はローズクォーツ」の例の踊りをやっていた。みずほちゃん曰く、占いで言われたことはそのまま信じない。頑固なので。いいことだけを受け入れる。1部だったか2部だったか忘れたが(2部だったかな)、もっと直した方がいいところを秋山さんが読み上げようとするのを、イヤだ! やめて! いいことしか聞きたくない! バースデー・ガールなんだよ!? と打ち切ろうとする姿に、みずほちゃんの占いに対するスタンスが表れていていた。

2部。19時開演。右端。7列(実6)。目の前がステージだった1部とは違い、他の観客が目に入る。背面にひらがなでみずほと印字した、エメラルド・グリーンとはかけ離れた濃い緑のTシャツを着用する紳士。なぜその緑にしたんだ。厄介だったのは、姿勢が無駄にいい上に、髪の毛がそういうスタイルなのか寝癖のようにふわっと持ち上がっている老紳士。遮られるステージ中央への視野。2部ではこの紳士に私は最後まで泣かされることになる。

1.『イマココカラ』
2.『The Vision』
3.『傘をさす先輩』
4.『100回のKiss』
5.『哀愁ロマンティック』(feat. 秋山さん)
6.『幸せビーム!好き好きビーム!』
7.『愛〜スイートルーム〜』
8.『世界はサマーパーティー!』
9.『お願い魅惑のターゲット』
(出典:みずほちゃんのブログ)

1部でのみずほちゃんの話しぶりからもしかして……と思っていたが、本当にセットリストを総入れ替えしてきた。1部、2部あわせると18曲。分量的にもうフルのソロ・コンサート。2部のハイライトは何と言っても『哀愁ロマンティック』。もう、何と言っていいのか……。激アツだった。曲が始まった瞬間に声が出た。この曲といえば、道重さゆみさんで、私は彼女がパフォームするのをリアル・タイムで観てきた。私の頭には道重さゆみさんの映像が流れてきた。みずほちゃんを双眼鏡で観ていると、自分が何を観ているのか分からなくなってきた。みずほちゃんとさゆちゃんが私の頭の中で重なった。2部では髪型をツイン・テールにしていたからなおさら、みずほちゃんがさゆちゃんに見えてきた。小野瑞歩さんと、過去に私が支持していた昔の道重さゆみさんとが、時間を超えて共演しているような、二人がひとつになっているような。夢の中にいるような。これまでに味わったことのない感覚。みずほちゃんもまおぴんも、衣装も含め見せ方がコケティッシュで、この曲にバッチリはまっていた! 素晴らしかった! しかしながら、私は秋山さんがデニム短パンで突き出すお尻を双眼鏡で捕らえることが出来なかった。何度もチャンスはあった。その度に、無駄に姿勢がよくて髪の毛の立ち上がった例の老紳士に阻まれた。それはこのバースデー・イベント1部と2部を通しての、唯一にして最大の心残りである。『哀愁ロマンティック』が終わって、感想を述べる秋山さん。この曲はあまり聴いたことがなかったけど、みずほに言われてやってみたら楽しかったので好きになった的なことを言っていた。一方のみずほちゃんは、Hello! Projectに入る前の14歳くらいのときに家で踊っていたという。左に捌けていく秋山さんの腿裏を双眼鏡で追いながら、行かないで……もっと見せて……と私は泣きたくなった。

2部は1部とは違って盛り上がれる曲が多かった。座って聴かないといけないという制限下においても私は楽しくなった。最後の『お願い魅惑のターゲット』ではだいぶ高揚して、もう身体が勝手に動いていた。みずほちゃんも、『お願い魅惑のターゲット』では動きすぎて息が上がってしまったことが悔しい。バースデー・イベントで失敗してもこれまでは仕方ない、切り替えようという感じだったけど、初めてバースデー・イベントで悔しいと思った的なことを言っていた。もちろんそんなことは些末なこと。1部、2部とセットリストを総入れ替えし、多彩な曲を表現し尽くし、最後には本人も息が上がるほど全力を出し切った。それが本当に素晴らしい。自分のイベントでもないのに回替わりの2曲を覚えてしっかりパフォームした秋山さんも見事。

公にしていい情報なのか少し迷いながら、メンバー・カラーが変わるかもしれないときがあったと言うみずほちゃん。新メンバーが入るタイミングで。そのときにみずほちゃんは、水色と青とエメ・グリと回答したという。2部にもあった占いのくだり。みずほちゃんのラッキー・カラーが青という占い結果を受けての話だったので、このエピソードを間接的に引き出した占い師の手柄と言えるかもしれない。

バースデー・イベントってこんなもんでしょとか、最低限これをこなしておけばいいとか、これまでと同じようにやればいいとか、そういう惰性がない。これまでに自分が出来なかったことを達成して新しい自分になりたいという意欲が強く感じられた。こういう姿を見せられた上で、これからも私を応援してくださいと言われると、ついて行かざるを得ない。

2022年10月2日日曜日

M-line Special 2022 ~My Wish~ (2022-09-25)

8時半過ぎで既に満員のコメダ池袋西口店。キモすぎる。モリヴァ池袋二丁目店に移動。“Good Reasons for Bad Feelings”を読み始める。サンシャイン・シティ4F屋上のサンシャイン広場。いつもは空いているのだが人だかりが出来ている。30-50代のむさ苦しい男性を中心とした見るからにオタクという感じの人々が何かの入場列を形成している。参列者同士が談笑する光景はなく、難しそうな顔で各々がスマフォに向き合っている。孤独でクラシカルなオタクたち。ベンチで日光を浴びながらチル・アウト・ゼロ・グラヴィティを飲み、瞑想。寝落ち。最近、疲れが溜まっている。日中に眠くなることがよくある。普通の睡眠ではもちろんのことサウナ施設で療養しても酸素カプセルに入っても回復しない。夜はリラックスというよりは疲弊して充電が0%になって動けなくなる感じで寝ている。目覚めもスッキリしない。この数ヶ月、転職、引っ越し、酷暑と心身に負担がかかりっぱなしだった。だから無理もないけど、何とかしないといけない。

なんとなく一杯だけひっかけておきたい気分。新大久保のナングロでホッピー(黒)、サマエボウジ(長らく遠ざかっていたけど最近また食べるようになった)、チキン・パコラ。池袋に戻り、埼京線で戸田へ。見る見る埼玉になっていく車窓の風景。ちょっと懐かしい感じ。人がいてもどこか落ち着きがある。6月まで5年間住んでいた新座市を思い出す。池袋の異常さを改めて認識。北池袋は平和だし治安もいいけど早朝から深夜までひっきりなしに車と人が通っていて騒がしい。色んな言葉(主に中国語)が行き交っている。たまに叫びながらうろつき回っているオジサンがいる。

M-lineのコンサートを初めて観覧する。このツアーには二回入る。今日の戸田市文化会館(昼公演)と、あと10月の横浜。Hello! Projectの現場もだいぶ絞っているけどM-lineにも深入りはせず、つまみ食いする程度で。出演者はよく把握していなかったけど、どうやら今日は佐藤雅樹さんが出演するらしい。グッズのページを眺めていたら日替わり写真に彼女がいたので。あとはわてちつ(Tiktok参照)こと宮本佳林さん、夏焼雅さん、小片リサさん、ビタ・スイのお二人。

1F15列48番。一番右端ではあるがまあまあ観やすそうな会場。開演前に場内に流れる音楽がなかなかいい感じ。Shazamによると:
A Deeper Love (Aretha Franklin)
Wandering Eyes (Nuttin' Nyce)
Pay Attention (Veleria Andrews) and Ryan Toby
Joyful (From "Sister Act 2") (Show Tones)
The Greatest Medley Ever (Sister Act 2: Back in the Habit) (Ronelles & Whoopi)

私はコンサートのセットリストを誰がどうやって組んでいるのか知らない。コンサート中のトークを聞いているとメンバーさん同士で決めた曲もあるようだ。すべてがそうなのか、あるいはそれは例外で全体としては裏方が決めているのか。もし後者だとすると、それはおそらく開演前のBGMを決めているのと同じ人(たち)なのだろう。完全な推測だが。というのが非常にイケているセットリストだったからだ。

私が好きだったHello! Projectのハイライト集、ダイジェストを見せられているようだった。色んな思い出が走馬燈のように頭を駆け巡る。たとえば『鳴り始めた恋のベル』を聴くと、辺鄙な土地のライブハウス(和製英語)でギューギューに詰め込まれて観たJuice=Juiceのコンサート、終演後の全員握手といった記憶がよみがえってくる。今思うと本当に狂っていて楽しかった。あの日々は戻ってくることはもうない。そう思うと少し寂しくなった。研修生発表会(最近はチェックしていないが)のように今昔の曲を引っ張ってくる自由なセットリストは、私にとってはHello! Projectのオタクとしての総集編のような趣があった。序盤の『表面張力〜Surface Tension〜』、夏焼さん+ビタ・スイの『振られパターン』(ビタ・スイが提案してセットリストに入ったらしい)、『流星ボーイ』(ビタ・スイ田崎さんが高校に入学して初めて話しかけて友達になった子がイナズマ・イレブンと主題歌『流星ボーイ』が好きだったので、アップフロントに入ったときはあの曲を歌っている人たちと同じ事務所だ……と感激したと言っていた)、佐藤さんソロの『奇跡の香りダンス』、全員の『ドッカーン・カプリッチオ』と『ビートの惑星』、等々……。小片さんと宮本さん二人がステージに現れて始まった曲が『アドレナリン・ダメ』だったときには声が出た。今日は座間でつばきファクトリーの秋ツアー初日。その裏で元つばきファクトリーの小片さんが同集団の最新曲をパフォームするのを観られるとは。

昨日の『ヘアスプレー』の余韻が残っていたので、同じショーという括りで見たとき、緩いな、ショボいな、色んな意味で100%ではないな、といった考えがしばらくは拭えなかった。もちろんメンバーさんの可愛さ、技量、魅力に非の打ち所はない。その反面、その素材に頼りすぎているのが否めない。もちろんミュージカルとコンサート、チケット代のJPY14,500とJPY6,500という違いはあるにせよ、娯楽作品としての作り込み方という点では雲泥の差を感じた。J1上位とJ2くらいのインテンシティの差は確実にあった。途中からは気にせず楽しめたし、私はこのコンサートに満足したのは付け加えておく。

最初の衣装にはガッカリさせられた。Juice=Juiceが最初の武道館で最後に着ていたような全身白。小片さんだけ脚を出していて、他は全員ほぼ全身が布で覆われている。二着目の衣装ではビタ・スイ以外はしっかりと脚を見せてくれて持ち直した。佐藤さんはゲストという位置づけで途中から出てきた。そのときはまだ先発組が白衣装を纏っていた。宮本さんと二人で喋る時間があって、そのときに佐藤さんだけ黒を着ている旨を宮本さんが指摘すると、チーンという感じ(葬式)で。と佐藤さんが答え、宮本さんにたしなめられていた。(どうやらもう一つ衣装があって本当はそちらを着るはずだったのが、佐藤さんの気分で黒を選んだらしい。)宮本さんと佐藤さんが昔SATOYAMAの企画でユニットを組んだときの曲をパフォームしたのだが、正直二人が並んだときに私は宮本さんのほうが圧倒的にオーラがあると感じた。(今日の出演者だと宮本さんと夏焼さんが頭一つ抜けてキラキラしていた。)佐藤さんは茶髪のメンテナンスが出来ておらず髪がプリン化しており、ヤン・ママ感があった。しかし衣装の肌面積は広めだったし、ソロでパフォームした『奇跡の香りダンス』では躊躇せずハイ・キックを繰り出して付け根付近まで脚を何度も見せてくれたので、許した。

どんなデートがしてみたいかというトークのお題で宮本さんに振られた小片さん。具体的な相手との具体的すぎるデート内容が頭に浮かんでしまってやばいと思ったのか、少し考えてから、私の1st EPのMVを色んな場所で撮ったので聖地巡礼的にそれらの場所に行きたい、と宣伝に繋げてお茶を濁していた。ひとしきり出演者の話が出揃ったところで、みなさんは私たちのFSKと一緒に色んなところに行ってくださいね、グッズ売場で売ってますから、と宮本さんが我々に言って締めたのが可笑しかった。

ビタ・スイのおまけ感。(私はこのデュオに対して特にネガティヴにもポジティヴに見ているわけでもなく、中立的な立場である。)もちろん歌はちゃんとしているけど、元Hello! Projectメンバーさんたちのふんどしを借りて仕事を得ている感が凄かった。労働強度が低めで、でも活動は継続できる程度の小規模のおまいつはついていて、なおかつ同僚のプロップスに乗っかって自分たちだけでは立てない規模の会場でもコンスタントに歌うことが出来る。いいポジションなのではないだろうか。ビタ・スイといえば札幌在住の某紳士(一度お会いしたことがある)がリリース・パーティを観覧したところ隣に関係者らしき人が来て色々と話しかけてきた挙げ句「独身ですか?」と聞かれて気分を害した話が好きだ。

ヘアスプレー (2022-09-24)

タカセはいつもそうだった。ツナ・ポテト以外のサンドウィッチは微妙。タカセはいつもそう。開店30分後でもツナ・ポテトがケースに置いていない。タカセはいつもそう。政治はいつもそう。日本はいつもそう。それが君の口癖(参照:Moment Joon, "TENOHIRA")。想像するに、作る側の業務ルーティンでツナ・ポテトは後回しなんだろう。順番は勝手だが開店した時点で一通り揃えておいてほしい。むしろ他のサンドウィッチは作らなくていい。ツナ・ポテトだけでいい。仕方なくたまごのサンドウィッチを手に取りレジへ。

ボディ・ビルディング大会の出場経験があるトレーナーの青年に一対一で激しくシゴかれる(そっちの意味ではない)。このジムには8月7日(日)から週一で通っている。たしかにパーソナルは高い。60分で一回一万円近く。週一なら一年で約50万円になる。冗談じゃない。数ヶ月で区切りをつける必要がある。でも経験してみたかった。ちゃんとしたトレーナーの元で、質の高いトレーニングを。私にはスポーツ経験もトレーニングの知識もない。何が正しいのか、自分が何をどれだけやるべきなのか、その基準をプロに教えて貰いたい。それに私には一人で追い込むだけの意思と忍耐はない。私はいつも不思議に思っている。自重だけとか、自分でメニューを組んで身体を鍛えて結果を出せるような人が、なぜうだつの上がらない労働生活を送っているのだろうか? 自分の身体が変わるくらいのストイックな努力を続けられるのであれば会社員の仕事なんて楽勝じゃない?

自分が短髪にしてからロン毛の男を見ると不潔だなと感じてしまうし、トレーニングしてから入ったステーキ・ハウスの客にふくよかな紳士がいると不摂生なデブがステーキを食うなと思ってしまう。人間なんて勝手なものだ。プロテイン25gを飲んでから食べるランプ・ステーキ320gは思っていたよりも多く感じる。池袋駅北口。巨乳店舗型ヘルスが入居しているビルヂング一階の店。強くなる雨足。

快活クラブを利用しようとしたら、全国的なシステム(サーバー?)・エラーにより全店舗で入室が出来ない状況になっていると受付のお兄さんが言っている。何だよそれ。すごすごと引き返す。公式Twitterは沈黙中。快活クラブで飲むために買ったド・トールのレーコー(R)を持て余す。タリーズでホット・コーヒー(S)。ほぼ満員。『大東亜共栄圏』(安達宏昭)を読む。

18時の開演前に夕食をサクッと済ませておく必要がある。東京建物ブリリア・ホールを出るのが21時頃になるからだ。先週も台風が来ていたけどまた台風。クソみたいな天気。止んだり大雨になったりと落ち着かない。蒸すし。不快極まりない。五苓散を飲んでいるおかげか頭痛はないが、体調も気分もあまりよくない。昨日は14時頃からずっと眠かった。晴れやかな気分は皆無の三連休二日目。会場前の広場でちょうどフード・フェスをやっている。ここでいいや。結果、大失敗。激辛担々麺。量が少ない。JPY1,000。会場に入ると、そこの間隔を詰めろ、二列になれと異常に細かく高飛車に指図してくる係員の女。募るイライラ。物理的に打撃を加えたい。目を逸らし無視するように努める。二人、一人(俺)、二人って並びなのが分かんだろ、馬鹿が。どういう知能してるんだよ。

オタクのどんよりした瘴気がない客席。想像だけど主演の渡辺直美さんに憧れる若い女性が主な観客層のように見える。やたらとお洒落だったり(服とマスクの色まで合わせている美少女っぽいティーン二人組とか)キレイだったりする人もちらほら。おそらくカタギじゃない人(おととい観劇したJuice=Juice植村あかりさんのように)が混じっている。そっち系の人々が結構観に来ているっぽい。それだけ有名なミュージカルっぽいんだよね。このあいだ四季香でメシ食ったときにお会いしたD君もご存じだったし。

『ヘアスプレー』に関して私が持っていた予備知識は、渡辺直美さん(トレーシー)が主演。何かのオーディションを受けるが、ふくよかな体型で相手にされない。田村芽実さんは渡辺さんのライバル役(アンバー)で、彼女に意地悪をして貶めようとする。めいめい自身がよくよくいじわるアンバーと言っていたので、そういう役だというのは頭に入っていた。実際にトレーシーとアンバーのバチバチは劇を通して大きな見所だった。私、この番組に出るのが子供の頃からの夢だったの! と興奮気味に言うトレーシーに、じゃあ帰って寝れば? と返すところとか、体育の時間にドッジ・ボールをトレーシーの頭に叩きつけて気絶させ、そのまま立ち去るところとか、立ち去る前に言う、可哀想……可哀想すぎて涙も出ないわ。という捨て台詞とか。痺れた。

でも不思議とそこまで性格の悪いイヤな子……という感じもしなかった。この作品が差別を扱いながらもあくまでコメディとして作られているのもあったと思うけど、それ以上に渡辺直美さんのヴァイブスが半端なかった。当たり前なのかもしれないけどシンプルに華のある人だった。開幕し最初にステージ中央に一人で現れ“Good Morning Baltimore”を歌い始めた時点でパッと会場全体が華やかな空気に包まれた。渡辺直美さんという人間自身のポジティブなエネルギーやにじみ出る芯の強さが強烈すぎて、むしろアンバーの意地悪さが物足りないくらいに感じた。普通に考えるとめっちゃきついことを言われているのに(他に例を挙げると私このオーディションに参加するの遅すぎましたか? と聞き、遅すぎないわ。でも重すぎる、とアンバーの母親でもあるプロデューサーに笑われる場面とか)、なんかそういう感じを受けなくて。この渡辺直美さんと対をなす重要な役であるアンバーになれるというのは凄いこと。おそらくめいめいの経歴に燦然と輝く実績になるんだろう。

終盤、ミス・ティーンエイジ・ヘアスプレーの座を逆転でトレーシーに奪われ、番組中に失神し椅子で介抱されるアンバー。現場スタッフが差し出す飲み物。見覚えのある緑の瓶。双眼鏡で確認したらやはりウィルキンソンのジンジャー・エール。N列から6倍の双眼鏡で見ただけではプレインなのか辛口なのかは確信が持てなかった。

低気圧など諸々が重なって蓄積していた私の不機嫌さとつらさを吹き飛ばしてくれる最高の時間だった。ステージはもちろん客席も含めポジティブな空気に満ちた、幸せな空間だった。私の後ろにいたナオン数人組がよく笑っていた。それに釣られて私も笑って楽しく観劇できた。めいめいはワキをよく見せてくれたし、体育の時間で見せてくれた体操服姿も眼福だった。タイツを履いていたとはいえ赤い短パンから脚をたっぷりと見せてくれた。大勢の役者さんがステージにいるときでもめいめいにはいつも独特の存在感があって、引き込まれる魅力がある。作品によって異なる、役とめいめいという人間の化学反応。それがミュージカルを媒介してめいめいを観る醍醐味だと改めて思った。

私がジムでやっているトレーニングの一つに、3kgのダンベルを両手に持って横に上げ下げするのがあって。一見、簡単そうに見えてめちゃくちゃきつい。30回を2セットをちゃんとやるのは無理。でもそれで肩を少し鍛えたおかげか、最後にずっと拍手をしていても前より疲れにくくなったような気がした。