2016年6月12日日曜日

九位一体 (2016-05-30)

1.

ゴキブリの一匹一匹に名前を付けないのと同じように、あいつらを固有の名前で認識したくない。たった一ヶ月しかいなかったのに、三ヶ月以上前のことなのに、今でもあのときの記憶が頭から消えない。呆れるほど蒸し暑い朝、外を歩いていると、脳の中であの頃の映像がふいに脳内で再生される。
その度に考えるんだ。もし法律がなければ、不意打ちで後ろからあいつの頭をバットで思い切り殴打して、倒れたままの姿で道端に放置したい。あいつの顔面を、何度も思いっきり殴り続けたい。顔面がなくなるまで。
俺がいっさい関わらないであいつらが勝手にやられるのが一番いい。中国の路地裏あたりで勝手に襲われて大怪我でもしてくれないだろうか。そうなったら、俺はガッツポーズを決めて叫んでやる。ざまあみろ、と。もし何かの間違いで、俺が今後働く会社にあいつが入社してきたら、どうやって潰してやろうか。もし俺があいつらの採用試験の面接官だったらどんな質問をしてやろうか。顔面に蹴りを入れてやりたい。妄想を止めることが出来ない。幼稚な感情だが、沸いてくるのを無理に押さえつけるつもりはない。飛行機がハイジャックされてあいつらがいるビルに突っ込んでくれたら、どれだけ痛快なことか。

「勤続何年か知らねえが金属バットで脳天をかち割ってやる」。もし俺がMC漢だったらそうラップしていただろう(この韻は引用ではなく私のオリジナルである)。

2.

いつもながら、挨拶をしても、○○は返事をしてくれない。これは地味にこたえる。本人に悪意はないと思いたい。そのくせ、社長や役員が出社したときだけは人が変わったように笑顔を作って声を出してやがる。
普段は、彼女は異常なくらい忙しそうにしていて、話しかけるのは容易ではない。たまにゆっくり話せたかと思うと、一方的に批判される。○○と話すのは、完全に苦痛になっている。単にあの人は苦手という幼稚な好き嫌いを超えて、何かがおかしくなっているのに、薄々気付いている。最近、彼女に話しかけるとき、手が震える。声が震えて、ちゃんとしゃべれない。喉が異常に乾く。○○は「は?」と小馬鹿にしたように聞き返してくる。
「出張精算をしてください。やっといてください。これ、私がやったときのサンプルです」、○○は精算書類の束を渡してきた。やり方をまったく説明せず、忙しそうに業務に戻った。これには、本当にしびれた。毎日毎日、こんなことばかりだ。ある仕事をやるのに10の情報が必要だとしたら、3くらいを与えて、質問を考えるスキもへったくれも与えないまま、○○はそそくさと消える。それで「仕事が遅い」と責めてくる。途中までは、俺に考えさせるためにわざとやっているのだろうと思っていたが、どうやら違うらしい。どうも、単純に、教え方が下手なようだ。

ここ最近、○○に話しかけるのが怖くて、彼女への接触が減っている。週一の「ミーティング」でその点を突かれた。
「ホウレンソウが出来ていませんね。社会人として基本的なことだと思うんですけど?」
俺はあなたと話すのが、嫌で嫌で仕方がないんだ。憂鬱で憂鬱で、仕方がないんだ。
「何か仕事を振ったら、いつまでに出来るってすぐに宣言してくれないと、困るんですけど。私は今までの会社ではそうしてきました。そうやっていかないと信頼を積み重ねていくことは出来ません。それが普通じゃないんですか?」

3.

「続いては私、田村です。岐阜県、四番エースさんからです。『後輩が 泣いても とことん 指導する』」
「あ、厳しいのお前?」
「はい」
「どういう風に怒るの? その、歌とか? 踊り…」
「歌とか踊りが出来ないことに関しては全然、怒ったりとかは全然しないですけど、あのー覚えてこなかったりとかすると、怒ります」
「はぇー…、あんたいい加減にしなさいよという感じなの?」
「んー、まぁ冷静に、怒る感じですね」
「うん、例えば? どんな感じ?」
「んー…今からでも間に合うからマネージャーさんに言って辞めてもいいんだよ?とか」
「そんなきついこと言うの?」
「結構ハードなこと言いますね(笑)。ちょっとびっくりした」
「本当にびっくりした(笑)」
「でも今は全然、言わないです。入りたての頃に…。一人、歌もダンスも全然、未経験に近い相川茉穂ちゃんていう子がいるんですけど、その子には結構、初めてだったので、その最初が肝心って言うじゃないですか。それなのでそういうことを言ったりもしました」
「厳しく、心を鬼として」
「はい」
「言いたくないけど、マネージャーさんに言って、辞めてもいいんだよって言うたん?」
「はい」
「はー…そのマネージャーが今お前に『辞めてもいいんだよ』っていう結末を迎えたんやな(笑)」

出典:2016年5月21日(土)放送 MBSラジオ ヤングタウン土曜日

4.

仕事がうまくいかず思い悩む若手会社員だった頃の私には、いわゆるビジネス書に救いを求める時期があった。中でも自己啓発書と呼ばれる本は専門知識がなくても読める上に手軽にやる気を補充することが出来たので、頼っていた。レッドブルを飲む代わりにポジティブな言葉を読んで翼を生やしていた。いま思えばあの頃に読んでいた本のほとんどはゴミだった。レッドブルが健康な身体を作る栄養にならないのと同様に、自己啓発書は仕事の問題に対する根本的な解決にはならなかった。

ゴミではない本も、中にはあった。そのうちの一冊が“The Peter Principle”(『ピーターの法則』)だ(自己啓発書ではない)。階層的な組織において人は無能になるまで昇進を続ける。結果として、まだ無能になる階層まで昇進していない一部の人を除き、無能な人だらけになるというのがこの本に書いてあったことだ。どういうことかというと、平社員として優秀だから係長になる。係長として優秀だから課長になる。というロジックで人は昇進する。もし平社員として凡庸であればずっと平社員のままだ。係長としていまひとつであれば係長であり続ける。課長として無能であれば課長に留まる。つまり、ある人が最終的に落ち着くポジションとは十分に能力を発揮できないポジションなのである。それぞれの階層において、果たさなければならない役割は異なる。プレイヤーとリーダー、マネージャーでは勝手が違うし、リーダー、マネージャーにしても数名を率いる場合と数十人や数百人を率いる場合ではもはや違う職務だ。プレイヤーとしての能力の高さを理由に誰かをマネージャーに昇進させると、優秀なプレイヤーをひとり失い、出来損ないマネージャーをひとり生む危険がある。スポーツの世界で言うところの名選手、名監督ならずである。選手としての活躍が、監督としての活躍を担保しないのだ。

自分がうまく出来るからといって、うまく教えられるとは限らない。自分が伸びたからといって、他人を伸ばせるとは限らない。個人として際立つからといって、集団を束ねられるとは限らない。プレイヤーとしての能力が集団を率いる上での必要条件かどうかすら疑わせる事例も世の中にはある。ジョゼ・モウリーニョにプロ・サッカー選手の経験がないのは有名な話だ。

5.

2013年11月12日(火)

さいたま新都心HEAVEN'S ROCKで初めてスマイレージのコンサートを鑑賞した。熱かったし、楽しかった。曲によって色んな合いの手が発達している印象で他グループとノリが違って面白かった。このツアーに限っては万人に薦められる鑑賞環境ではないが。
明確な推しを持たずに臨んだがこのグループでは田村メンバーを推すことに決めた。田村メンバーは、一つ一つの曲にどっぷり入り込んで演じている感じがした。歌っているときはもちろん、歌っていないときでも感情を込めているのが伝わってきた。自分の歌割ではないときでも誰よりも表情豊かに口を動かしていた。

「マヨネーズ好きの人をマヨラーというが私はしょゆらー。コロッケにもトンカツにもサラダにも醤油をかける」(田村芽実)

2014年9月21日(日)

山野ホール。スマイレージの『嗚呼 すすき野/地球は今日も愛を育む』シリアルイベント1回目。田村芽実の『もしも…』がドープだった。めいめいは格好いい曲を歌うことが多いが最年少だしファンは可愛い曲も聴きたいんじゃないかと思って、という福田花音の提案で選曲したという。スマイレージの現場に来るのは二度目だったけど、田村芽実のあの常に曲の世界に入り込んでいる感じ、曲の主人公を演じきっている感じ、迷いがなくてキレキレな感じが凄く目を奪われる。高速握手会で「『もしも…』が凄いよかった」と伝えるとニコッとして「ありがとう」。

上記は私が田村芽実さんが属するグループの単独公演を生で見た数少ない機会のうち、一度目と二度目の記録である。私がスマイレージやアンジュルムの現場に足を運んだ回数は限られている。でも初めて生で見たときから、田村芽実さんは私を魅了してやまなかった。彼女が出演したラジオの音源は毎回ワクワクしながら聴いていた。自分の中で決して一推しにはならないけど、上位にい続けるタイプのメンバーだった。彼女を一言で表すと、トリックスター。芸達者。才能の塊。ハロプロでもスマイレージでもアンジュルムでも、類を見ない、異彩を放つ存在だった。

6.

2011年にスマイレージに加入して以来、田村芽実さんはずっとグループの最年少で、末っ子、妹と言われていた。そんな彼女に後輩が出来たのが2014年だった。グループに室田瑞希さん、佐々木莉佳子さん、相川茉穂さんが加入した。この時点で彼女は一人のプレイヤーから、先輩、教育者に昇進した。元から自分に厳しいことで知られていた彼女だが、その厳しさを後輩の指導に適用しているという話を、ちょくちょく耳にするようになった。私の中で田村芽実さんと、○○とが、部分的とはいえ、重なってしまった。

私が彼女の何を知っているのか? 何も知らないに等しい。私は彼女たちと一緒に仕事をしているわけではない。ステイジでのパフォーマンスやラジオでのおしゃべりを聞いている以外には、断片的に聞いたエピソードから勝手な想像を膨らませているに過ぎない。でもそれを承知の上で言わせてもらうと、田村芽実さんはおそらく人の上に立つタイプの人間ではない。人を動かして自分のビジョンを成し遂げるタイプの人間ではない。ステイジの上で自分を表現し光り輝く個人である。今後もそういう職人であり続けるのだろうと思う。彼女が目標として口にする「表現者」という言葉はそういうことなんだろうと思う。もちろん、彼女はまだ若い。今後、新しい能力を開花させていく可能性は十分にある。しかし現時点では、一人の表現者として突っ走っていくのがご本人にとっても周りにとっても幸せな選択であるように見える。その意味では、彼女が誰かの先輩や教育者ではなくなることは望ましいことなのではないか。

田村さんと私とでは、身を置く世界が異なる。年齢も一回り以上ちがう。しかし、仮に生まれ変わるなりして私の人生と彼女の人生がもっと直接的に交差することがあったら、私は彼女のことを憎んでいたかもしれない。○○は田村芽実であったかもしれない。これは完全な想像であり、妄想である。でも私にはそうならずに、演者と観客という関係でいられたことが嬉しく感じられる。アンジュルムそしてハロプロの一員として最後となる今日のコンサート。ダブルアンコールを受けて出てきた田村さんは、17年間生きてきて今日が一番幸せだと言った。そんな大事な公演を観客の一人として見届けられて、私も幸せだった。一人の表現者として今までとは異なる舞台に立つ田村芽実さんを、またいつか観に行きたい。

2016年6月5日日曜日

MISSION 220 (2016-06-04)

1.この町には朝があり、昼と夜がない。一日中モーニングという文字列をそこらで目にすることが出来る町は、世界広しといえどもここだけだろう。

2.午後休を取ったのだが、上司は夜の電話会議に出るように言ってきた。開始時間の21時から1-2分すぎたあたりでホテルの6階にある部屋にたどり着いた。地下鉄の矢場町駅に着いてからホテルに着くまでのワクワクvacation気分は、入室即1時間の電話会議で一気に消え失せた。明日(金曜日)にも電話会議が出来ないかと先方が聞いてきたが、明日は休みだからと言って断った。本当はこの瞬間も休みなのだが。

3.ホテルの大浴場(という割にはそんなに大きくない。洗い場は4-5人でいっぱいになる)を出て自販機でミネラルウォーターを買った。エレベーター前に行くと宿泊客ではなさそうなミニスカート姿の女性が伏し目がちに佇んでいた。誰かを待っている雰囲気だった。私は察した。ちょうど上の階からその女性を呼んだとおぼしき紳士が迎えに来て、ほっこりした。

4.名古屋で初めてのモーニングは栄駅に直結した地下街にある「コンパル」。コーヒー400円+130円でハムエッグトーストのモーニング。インターネットではエビフライサンドが人気だったので気になっていたが、単品で930円もするので頼まなかった。コーヒーがやたらとおいしかった。複雑な味がした。サンドイッチもちゃんとしていて、有名というのが納得できた。タバコの臭いが漂ってくる。禁煙席と喫煙席が分かれていない。近くに喫煙者が来た。食事の余韻に浸ることもなく、店を出た。

5.貨幣資料館を訪れた。金のなる木ってそういう意味だったのかとか、硬貨の穴に縄を通して束ねてそのまま使ったとか、大判は決済には使わなかったとか、和銅開珎と呼ばれる硬貨が本当に日本最古か疑わしいとか、そうだったのか!と思えることがたくさん解説してあって、しかも現物を見ながら学ぶことが出来る、楽しい空間だった。興味津々に1時間半くらい滞在したが、入館料はタダなので来館者とのお金のやり取りはないし、受付の老紳士はいらっしゃいませとありがとうございましたと言うのとたまに老人の話し相手をしているだけっぽいし、こういう施設は無職に仕事をどんどん斡旋して世の中の無職を救ってほしいと思った。

6.栄「Matsuzaka Meat & Vegetables」で炭火焼きランチのダブル1,080円をいただいた。ダブルとは肉と野菜の両方が大盛りという意味で、二倍入っている訳ではない。だからdoubleではない。甘く味付けされた肉と、テーブルに置いてあるGABANの一味唐辛子との相性がよく、食が進んだ。

7.6月3日(金)はよく歩いた。iPhoneにはじめから入っているアプリによると17.7km、後から入れた万歩計アプリによると22.4km歩いたことになっている。差が大きすぎる。どちらを信じればよいのか。8時半から14時時まで、朝食と昼食の時間を除いてずっと歩いていた。今までの経験からも、4時間くらい立て続けに歩くときつくなってくる。昼食後には名古屋城に行ったのだが、だいぶやる気が減退していた。コメダ珈琲でクリームコーヒー(アイスコーヒーの上にソフトクリームが乗っている)をいただいて、戦極14章のブログを書いた。3時間くらい足を休めることが出来たので、すっかり楽になった。

8.「名前、なんて書きます?」―20時40分頃、金曜の夜だけあって「味仙」には入店待ちの列が出来ていた。といっても数人だが。上の質問を投げかけられたとき、咄嗟に意味が分からなかった。10分ほど前に待ち合わせて初めて会ったばかりのAさんは「マキノ」と記名欄に書いていた。「どのマキノさんですか?」と聞くと「めりあちゃんです」と、彼は言った。「ああ、まりあジャンプの」。さっきまでホテルの部屋でフットボール日本代表の親善試合、ブルガリア戦を観ていた私は(4点目が入るところまで観た)、マキノという文字列から浦和レッズの槙野が浮かんでいた。しかし愛知のマキノといえばモーニング娘。の牧野真莉愛なのである。「何かこう、同じ空気を吸ってごめんなさいって気持ちになりますよね。可愛すぎて」、最近モーニング娘。のコンサートに行ったAさんはそう言った。彼は『泡沫サタデーナイト』に命を救われたらしい。音楽の嗜好が私と重なる彼は、Jabberloopの『魂』、James Blake、Shackletonを薦めてくれた。台湾ラーメン、青菜炒め、蒸し鶏、ホルモン炒め、コブクロ、炒飯、瓶ビール、瓶ビール、瓶ビール。私は気持ちよく酔ったが、後でTwitterを見るとAさんは飲み足りないと書いていた。

9.コブクロといえば、Juice=Juiceの高木紗友希さんが敬愛する音楽家の一組である。さすがにコブクロは私とは文化圏が違いすぎてディグる気にはなれない。

10.6月4日(土)。名古屋に来て2度目のモーニングは、「べら珈琲栄店」。栄駅の近辺をぐるっと歩いたものの意外と喫茶店が見当たらなかった。腹が減ってきて、地元ならではの店を見つけるのは諦めて、コメダに入ろうとしたらすぐ側にこの店があった。ウインナーコーヒー500円を推していたので、頼んだ。黒糖パンのトースト。ゆで卵をうまくむけなくて殻と一緒に白身をだいぶ持って行かれた。ウインナーコーヒーは絶品だった。店が推奨している通りにかき混ぜないで飲む。たっぷりの生クリームの出迎えを受けて、ぜいたくな気持ちになった。店の外に「当店自慢の生クリーム 炭焼ドリップ仕込み 名物ウインナーコーヒー」とでかでかと書いてあった。こんなに自信満々のウインナーコーヒーは初めて見た。

11.台湾ラーメンは台湾になくて、ウインナーコーヒーもウィーンにないらしい。長崎のトルコライスもトルコにない。私は台湾とウィーンには行ったことがないが、トルコに行ったことはある。

12.栄のスカイルというビルヂングの9階にある「コモ」。旅行の下調べをする中で、ここのシガツというあんかけスパゲッティを食べると決めていた。コシなしでぶよぶよの太麺にカレー風味の粉がまぶしてある。底にデミグラスっぽい味のソースが敷いてあって、絡めて食べる。相当クセのある料理だと聞いていたので身構えていたが、味は意外と普通というか、焦点がぼやけていた。パンチが弱かった。量が多すぎた。成長期の青少年もしくは肉体労働者でなければ麺は少なめで頼んだ方がいい。半分でもいいくらいだ。あんかけスパゲッティは2回以上食べないとよさが分からないという言説があるそうだ。クセがあるから慣れるのに時間がかかるというのなら分かるが、実際に食べてみると味がくっきりしていなくてクセが弱かったので、どういうことなのか理解できなかった。

13.矢場町から地下鉄で5分の金山駅。日本特殊陶業市民文化会館フォレストホール(長い)。13時半に始まったグッズ販売。列の長さからして30分くらいかなと思ったが、40-50分かかった。日替わりA5写真の宮崎さん、宮本さん、金澤さんと、今日から追加されたソロ2L写真part 4とpart 5の宮崎さんを購入した。栄のスカイルにあるダイソーで買っていたA5のプラスティックケースに写真を入れようとしたら日替わり写真が収まらなかった。どうやらA5と称しながら実際にはA5よりも少し大きいらしい。近くのAEONの3階でA4のケースを買って、それに入れた。2階のカフェ・ド・クリエ(名古屋でよく見る)に入った。260円のコーヒーを頼んで席に着いた。

14.金山駅のすぐ前にあるボストン美術館に入った。先ほど一枚500円の写真を何とも思わずに買った私は、入場料の1,300円を高いと思いながら払ってチケットを受け取った。絵画を鑑賞していると頭の中にアンジュルムの『マリオネット37℃』が流れてきた。オノレ・ドーミエの風刺画とその題名が目に留まった。音楽アルバムのジャケットに使えそうな絵がたくさんあった。実際に絵画を参照したジャケットも数多く存在するのだろう。絵のある部屋で真ん中の四角いソファに座ってスポーツ新聞を読む紳士がドープだった。

15.開場時間の15時半すぎ、会場の前でBさんと会った。Twitterでは随分とやり取りをしてきたが、実際に会うのは初めてだ。Twitterを見ていたBさんはあんかけスパゲッティの話を振ってきた。あんかけスパゲッティを薦めてくれたのはBさんなのだ。「名古屋の人は濃い味が好きなんですよね。コモの味は名古屋の人の好みとは合わないのでは?」と聞いてみた。コモの味はあんかけスパゲッティの本流から外れていて、他の店はもっと味が濃いとのことだった。

16.しばらくBさんと話してから、席に着いた。今日は『ビルズ』の前にMichael Jacksonの“Black or White”が流れていた。ハロプロ研修生たちによるopening actが今日はなかった。開演前のジュース!コールが名古屋でも起きた。おそらく色々な会場を回ってジュース!コールを把握している人たちがここでもコールを始めたのだ。そういう人たちがこのツアーに慣れていない地元民を先導して盛り上げようとしているのが伝わってきた。私もその一人になった。

17.日本特殊陶業市民文化会館フォレストホール(長い)は満員ではなかった。4階まであるのだが、3階と4階には人が入っていないようだった。Bさんによると2階も前半分しか人がいなかったそうだ。1階も一番後ろの数列は人がいなかった。これで本当に盛り上がるのか、Juice=Juiceが気を悪くしてしまわないか、私は心配だった。しかし私はこの公演で今回のコンサート・ツアーの見納めなので、消化試合には出来ない。意地でも盛り上がる。盛り上げる。率先して声を出した。これまでに5回このコンサートを観させてもらった経験を生かして、周りを引っ張るつもりで臨んだ。

18.最初は観客の温度が少し低いように感じられた。その上、裏方がスピーカーからの音の出し方を誤ったらしく、1-2分してから急に音が大きくなった。おいおい、開演前に調整しておけよ、そこは。しかし、MISSION 220を157公演目まで積み重ねてきたJuice=Juiceの経験は伊達ではなかった。彼女たちは動じることなく、最初から最後まで本当に気持ちよさそうに、楽しそうに、嬉しそうに、元気いっぱいに歌って踊っていた。“Magic of Love”あたりでステイジ上の空気が客席に行き渡った感がある。「もっと盛り上がれや」と恫喝するのではなく、自分たちがポジティブなグルーブとバイブスを発し続けることで自ずと観客を引き込んでいた。

19.『鳴り始めた恋のBELL』(原曲は音楽ガッタスなのか。まだまだ知らない曲が多い)での、恒例の降臨。私は13列目の通路側だったのだが、Juice=Juiceがステイジから降りてくるときに私の真横を通っていった。締めくくりにこういう特別な体験が出来てよかった。後に宮崎さんは、この会場はストローク(通路)が長いから色んな人に手を振ることが出来て(「バイバイが出来て」と言っていた)よかったと言っていた。

20.最初に二人が出てきてしゃべって、その間に着替えを済ませた三人と入れ替わりになるセグメントでは、はじめに高木紗友希さんと金澤朋子さんがしゃべった。「何を話そうか」と何も用意していなそうだった金澤さんに、高木さんがチクリネタを投下した。昨日(6月3日)、金澤さんが大切なものを入れたビニール袋を仕事場に忘れていった。私のブログを見てくださった人は分かると思うんですけど…という高木さんに「え、ブログに書いたの? 恥ずかしい」という金澤さん。彼女は他のメンバーのブログを読んでいないことを前から公言している。「ブログ見てくれるー?」と言う高木さんに「見てない」とぶれない。さらに二つ目のネタとして、今日も新幹線の切符を席に忘れてきたと高木さんが告発した。「新幹線の切符って高価ですし、忘れたと言っても簡単に通らせてくれないんですよ」という金澤さんが「面倒くさい」(と言ってからいや面倒くさいじゃなくて…と慌てたようなそぶりで取り消していた)手続きをしている間、他のメンバーは15分くらい待たされた。「その間ずっと車の中でカラオケ大会ですよ」と高木さん。

21.入場前にカフェ・ド・クリエでカバンの中身を整理していた私は、キャメラがないことに気付いた。「コモ」に忘れたんだと思う。電話した。「すみません、今日そちらにカメラの忘れ物ありませんでしたか?」「あー、ありますよ。預かっています」「明日、取りに行きますので。はい、お店に取りに行きます。ありがとうございます」。一件落着。キャメラを忘れてもパクられず忘れ物として保管してもらえている名古屋。治安がいい。

22.宮崎由加さんは、この会場のケータリングがたいそうお気に入りだったそうだ。本番前に℃-uteの矢島さんも好きなグラタン、あときしめんをたくさん食べて、お腹いっぱいで苦しかった。食べた分をこのコンサートで全部出せたとのことである。普通の人間であれば食べ物を出すには排泄か嘔吐が必要だが、宮崎由加さんくらいのアイドルになるとトイレには行かないし、食べたものは動いたら自然になくなってしまうのだと私は解釈し、納得した。

23.“GIRlS BE AMBITIOUS”で宮本佳林さんは「何気に初めてのショートカット 全然後悔してない」の後に「エビ反り!」と叫んで飛んでいた。こうやってその地方ならではのちょっとしたアレンジメントを加えてくれるのは、現地民でなくても嬉しい。そういえば私は名古屋に来てからエビを食べていない。名古屋の人はエビフライのことをエビフリャーと本当に言うのだろうか?

24.高木さんはこのツアーの冒頭で毎回、「日頃のストレスを持ってきましたか?」「発散しましょう!」的なことを言っている。今日は最後のしゃべりでも、仕事で叱られたり、部長め…と思ったりとか、ストレスが大変でしょう。私たち(Juice=Juice)はこんなに楽しくていいんだろうかと思うくらいにストレスがない、というようなことを言っていた。宮本佳林さんも「皆さん普段ストレスが大変なんですよね、私みたいな子には分からないですけど」的なことを言っていた。来場者が普段の生活で苛烈な労働によって多大な精神的負荷を与えられ、苦しみ悩んでいることが前提で執り行われる、ハロプロのコンサート。私に関して言えば、今の環境ではありがたいことにかなり自由にやらせてもらっているので、言うほどストレスがあるわけではい。しかし日本の労働環境が異常なのはたしかだ。今の社会では、生きるためには働かないといけない。労働から逃げるのはほぼ不可能だ。そしてその労働がきついとなると、そこからの救済として彼女たちが自分たちの役割を認識しているのはとても立派だし、正しい。

25.「僕も勤怠上はあんまり残業していないですよ。三六協定がありますし。はい。申請できるのは40時間くらいですね。実際には100時間以上はやっています。4月と5月は休みがなかったです。部長クラスでも同じような働き方をしています。だから偉くなっても変わらないのか…とは思いますね。うちの会社は軍隊です、軍隊。身体は大丈夫です。そうですね、体力はあります」

26.Juice=Juiceは5人全員がキラキラに輝いていた。歌、ダンス、仕草、表情、すべてが至極である。まだ明日の石川県での2公演が残っているが、このツアーの集大成と言ってもいい出来だった。Juice=Juiceは歌を聴かせる集団なんだなと再認識した。高木紗友希さんのフェイクはリアルだ。高木さんと、宮本さんの歌声は特に聴いていて心地よい。酔いしれた。

27.Juice=Juiceの皆さんは口々に名古屋でホール・コンサートが出来るなんて思ってもみなかった、Juice=Juiceだけを観るためにこれだけの人たちが集まってくれたことが嬉しい、と言っていた。金澤さんが「こんな小娘たちのために…まあ小娘とは言えない年齢の、二十歳を超えた人間もいますけど」と言うと、宮崎さんがおどけた仕草を見せた。

28.私はコンサートの前に酒は飲まなかったが、前日から観光をしていたので頭はリラックス・モードに切り替えられていた。仕事のことが頭をよぎることはなく、存分に楽しむことが出来た。Bさんを誘ってよかった。彼女にはいいものが見せられたと思った。金山駅近くの「個室だよ!やきとり居酒屋しんちゃん」に入って、Bさんとの話に花を咲かせた。彼女は実際に見る前と後で、宮崎さんと宮本さんの印象が一気によくなったそうである。この店はきのう会ったAさん経由で教えてもらった店だ。食べ物は期待していた水準には達していなかったが、とことん安かった。2時間みっちり話したが話し足りないと思えるくらいに直前のコンサートが最高だった。明日の夜まで名古屋にいるのだが、もう名古屋には思い残すことはないくらいに満たされた気持ちになった。明日は観光はせず、喫茶店に入ってブログを書こうかと思った。

29.6/5(日)、名古屋での最終日。コンサートの興奮が醒めなくて、4時半にいちど目が覚めた。ホテルからチェックアウトすると雨が降っていたので、気持ちは完全に観光からブログ執筆に傾いた。書きたくてしょうがなかった。コンビニで傘と無印良品の再生紙メモパッド(NOTE PAD)を買った。「カフェ・ラシュール」でホット・コーヒー420円+150円でホットサンドのモーニング。再生紙メモパッド(NOTE PAD)にブログ記事の断片を書いていった。「コモ」で預かってもらっていたキャメラを受け取った。名古屋駅近くの地下街にある「鮪小屋本店」で鮪唐揚定食980円。その後にコメダ珈琲に入って、ホットコーヒー420円を頼んだ。隣のテイブルにいる幼女がゲラゲラ笑いながら、おしっこ漏れちゃったと言っていた。これが名古屋のストリートの現実だ。私はポメラDM100を開き、Burialの“Burial”と“Untrue”を聴きながらここまで書き上げた。

2016年6月3日金曜日

戦極MC BATTLE第14章×AsONE (2016-05-29)

「Ah 恵比寿駅 雨の日も恵比寿駅 Ah 昼休み 素敵な人いるかも」(後藤真希、『スクランブル』)

恵比寿駅という言葉を目にすると、後藤真希の『スクランブル』が私の脳内で再生される。より正確にはJuice=Juiceによるcover versionである。後藤真希のoriginal versionを私はまだ聴いたことがない。普段の生活で、恵比寿駅で下りることはない。つんくが書いた上記の詞をJuice=Juiceのコンサートや音源で聴いてAhのあとに「あ、あ」、「恵比寿駅」と「いるかも」の後にそれぞれ「エル・オー・ブイ・イー ラブリー佳林」「エル・オー・ブイ・イー ラブリー紗友希」と声を出す以上の関わりを、恵比寿駅と持ったことがない。

『スクランブル』の歌詞と私の状況はまったく合致していない。雨が降っているどころか快晴だし、昼休みではなく日曜日の14時半すぎだし、素敵な人はいない。いや、素敵な人はいたかもしれない。LIQUID ROOM(日本語に訳すと液体部屋)に向かっていると前にはなびと掌幻が歩いていた。二人ともTV番組『フリースタイルダンジョン』に出演したラッパーである。彼らは本日LIQUID ROOM(日本語に訳すと液体部屋)で行われる戦極MC BATTLE第14章×AsONEの出場者の一組だ。そう、今回は一組対一組であって、一人対一人ではない。AsONEというタッグ・チームのMCバトルとの共同開催。いつもの戦極とは一味違う。私が戦極を観に来るのはこれで10章、12章、13章に続き4回目だが、タッグ・チーム制のMCバトルを現場で観るのは初めてである。

10章と12章は競馬ファンの友人二人と来ていたのだが。13章は有馬記念という大きなレースと開催日が重なった。彼らは競馬を取り、MCバトルには来なかった。今日の14章も日本ダービーという大きなレースとまったく同じ日に行われたため、またしても一人で行くこととなった。13章のときは誰か忘れたが(DVDを観れば分かる)「大阪から出馬しました」と言ったMCがいてその相手が「出馬って馬? それに鹿を付けておまえは馬鹿」と切り返したり、「有馬記念よりも熱い試合をするぜ!」的なことを誰かが言って晋平太が「(客に向かって)おいこの中に競馬に興味あるやつどんだけいるんだよ?(相手に向き直して)ほとんどいねえじゃねえかよ」と返したりと、競馬への言及が何度かあった。今日も日本ダービーとかけてラッパ我リヤの『ライムダービー feat. ZEEBRA』から引用するMCがいたら嬉しいなと思っていたが、大会を通じてその曲の引用どころか競馬への言及が皆無だった。

チケットが発売されて早いうちに買ったため120番台という割といい番号だった。私がLIQUID ROOM(日本語に訳すと液体部屋)に入った頃には開場から15分くらいたっていて、600何十番かまで呼び出されていた。でもそれでよかった。このラップ悪口大会はいつものように長丁場だ。開場が14時半で、終わるのが21時頃だ。あんまりがっついて前方に行っても、最初から最後までクスリなしで盛り上がり続けるのは難しい。足腰がついていかない。はじめは程々に後ろの方から様子を伺い、大会が進んでいくにつれ観客が動いていったら、あわよくば少し前に入り込もうと思っていた。右のスピーカー近くの段差があるところが空いていたのでそこから観ることにした。段差があった上に前の人が女性で私より背が低かったので、ステイジ上がよく見えた。観客から見て左側(先攻側)の出場者たちの表情がよく見えた。右側の出場者たちは斜め後ろから見る格好だったので常には顔が見えなかった。

一対一のMCバトルでラッパーたちが見るのは相手と観客だが、タッグ・チームだった今回はチームメイトとのeye contactが多かった。相手の攻撃を受けている最中に、次は俺が行くとか、お前に任せたという感じで、自分たちのターンになったときに誰から始めるかを視線とgestureのやり取りで決めていた。勝ち進んでいくチームはそこの連携がうまく取れていた。あとはターン毎の8小節をどう分割するか。2人だったら4小節ごとに分けたり、2小節ごとに細かく区切ったり、あるいは試合展開によっては一人で8小節をほぼ独占してしまったりと、臨機応変に使い分けられるかどうかにもチーム完成度の差が出ていた。強いチームは細かく打ち合わせをしなくてもあうんの呼吸で意志疎通が取れているように見えた。

そういう繊細な連携が勝負の分かれ目になる上に一つのターンが8小節しかない以上、人数が多ければ多いほど不利だと思った。2人の場合、連携がA-Bの一つだけで済むが、3人だとA-B、A-C、B-Cと3倍になる。4人だとA-B、A-C、A-D、B-C、B-D、C-Dと6倍になる。それだけ意志の疎通が難しくなる。しかも8小節を3人や4人で均等に分割すると、割り振りを当意即妙に決めるのは難しく、結局ターン毎に一人か二人が主にラップする形になりやすい。そうすると、大勢で来ているのに結局ラップをしているのは誰々だけというディスのネタを相手に与えることになる。仮に小節を均等に分けた場合、一人あたりの尺が短すぎて大した内容をスピット出来ない。多人数チームの利点が何かあるとすれば、それは威圧感を出しやすいところだ。二回戦でDOTAMA×NAIKA MC【今日の2MC】と当たった玉露×KIT×FORK×TSUBOI【ICEBAHN】の4人組がまさにそうだった。ガンガンにガンを飛ばして人数の少ない相手チームに詰め寄っていく。結局「TSUBOIさん あんたのラップ、クソ以下」というDOTAMAによる締めの一言で撃沈したのだが、試合後には「戦極を始めてから初めて恐かった」と司会のMC正社員が言っていた。先述した【ICEBAHN】の他にはhidaddy×CIMA×Willy Wonka【TEAM一二三屋】を除けばすべてのチームが二人組だった。16小節の3-4本勝負にでもしない限り、3人以上は不利だろう。

私の心に残ったパンチラインを中心に、いくつかの試合を振り返る:

CHARLES×あっこゴリラ【ビューティーペア】対はなび×掌幻【チーム墨田】
あっこゴリラが「夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして」とまさかのaikoを引用してからの「うわきたねえ花火だ」とはなびをディスる大技を見せた。

ハハノシキュウ×MIRI【8849mm】対DOTAMA×NAIKA MC【今日の2MC】
笑いのある和気藹々とした試合ながらもDOTAMAが「場末の風俗嬢みたいな髪型でぺちゃくちゃしゃべってるだけじゃねえか」と言ったときにはMIRIの顔がこわばったように見えた。MIRIは制服ミニスカートで登場。可愛さと思い切りのよいラップでバトルのヘッズを味方に付けている雰囲気だったがフローと内容が一本調子だった。

はなび×掌幻【チーム墨田】対ふぁんく×MC松島【ジャッキー・チェン】
東京の下町出身の相手二人に対してふぁんくが放った「さすが下町っ子 でも俺の方が舌が回るちんこ」は、ギャグラップじゃねえかよという程度の反撃では潰せないほどにインパクトが大きかった。負けた後に「これから彼らの応援団長になります」と相手チームに敬意を表したはなびの男気。
【ジャッキー・チェン】はふぁんくの確固たるスキルとMC松島のトリックスター的な部分がうまく調和し、優れたチームワークを見せていた。

MAKA×SAM【栃木2000万パワーズ】対KIKUMARU×B.S.C【KANDYTOWN】
【栃木2000万パワーズ】のフローは凄まじかった。Lick-G×スナフキン【めもんちゅが】と並び、本大会で最もビートを乗りこなしていたチームである。フロー巧者に対して内容に欠ける、聞き取れないという返しは定石ではあるが【KANDYTOWN】の片方がお前の言っていることが「聞こえない」だから中身を「拾えない」と韻を踏んで返したのは上手だと思った。

呂布カルマ×K.Lee【ザ*どストライクス】対ACE×Luiz【B.T.W】
試合の前にあったACEによるlive performanceを受けて「ヒップホップが聴きたかったのにDragon Ashかと思った」と刺す呂布カルマ。

GOLBY×UZIthe9mm【韻Fighterz】対Lick-G×スナフキン【めもんちゅが】
昔ながらの韻にこだわる【韻Fighterz】と変幻自在なフローで攻める【めもんちゅが】という分かりやすいスタイル合戦だった。Lick-GとUZIthe9mmのやり合いが見所だった。Lick-GがUZIthe9mmの韻を読んでマイクでかぶせるという反則技で韻の陳腐さを挑発したのが面白かった。Lick-GはフローだけでなくUZIthe9mmへの「こいつやめどき オレ勝利の女神ハメ撮り」という見事な韻も見せた。UZIthe9mmは【ジャッキー・チェン】との試合でもMC松島に韻を読まれていた。(MC松島はマイクには乗せなかったが)もっさりしたフローから放たれる予想しやすい韻を馬鹿にするというのが彼への攻撃パターンになりつつあるようだ。

T-PABLOW×ニガリ【バズーカ】対サイプレス上野×MCサーモン【後ろ指刺され組】
この試合だったか100%確信はないんだけど、T-PABLOWの「極上の韻を」からの「男なら立てる目標とちんこ」は声を上げられずにはいられない名フレーズ。

DOTAMA×NAIKA MC【今日の2MC】対玉露×KIT×FORK×TSUBOI【ICEBAHN】
威圧感と集団感を前面に出してくる【ICEBAHN】に対して、おじさん四人組、俺らは個人主義と踏み、お前らは韻もろくに踏めないと言ってきたら四人組と個人主義でさっき踏んだじゃないかと返し、最後に「TSUBOIさん あんたのラップくそ以下」と締めたDOTAMA。

MC正社員をはじめとして主催側が凄いなと、いつも感心しているのだが、戦極は回を重ねる毎に進行が改善されていく。14章はほぼ予定通りの時間に終了した。バトルの後のlive performanceの最後まで観させてもらった。しかし、そもそもの公演時間が長すぎる。ずっと立ちっぱなしな上に人が密集して身動きもとりづらいから、疲れる、疲れる。そんな状態で餓鬼レンジャーがTENGAに関する歌を歌い始めたときは曲の途中で帰ろうかと思った。餓鬼レンジャーをディスっているわけじゃないですよ。疲れすぎてそういうユーモアを受け止める心の余裕がなくなっていたということです。