2017年8月27日日曜日

空想ペルクライム/Les Nankayaru (2017-08-26)

14時半に開演する『空想ペルクライム/Les Nankayaru』のチケットを握りしめて(本当に握りしめたらクシャクシャになるので握りしめてはいません)中目黒のキンケロシアターに足を運んできました(誰かの足をカバンに入れて運んだのではなく、自分の足を使って歩きました)。『空想ペルクライム/Les Nankayaru』が何なのか分からないんですよ。これを書いている今は公演の翌日で、イタリアン・トマトでポメラDM100のキーボードををパチパチ叩いているんですけど、まだ分かっていないんです。現時点で知らないということは、このまま知らずに一生を過ごす可能性が高いです。おそらくスラッシュ前後のどっちかがクルーの名前で、もう片方が演目の名前だとは思うんですが。誰かに誘ってもらったとかではないです(私にそんな友人はいない)。自分でチケットを購入しました。理由は高瀬くるみさんです。私にとっては高瀬くるみさんがご出演される舞台という情報だけでチケットを買うに値するのです。現役のHello! Project研修生の中で私がいちばん好きなのが高瀬くるみさんです。彼女は舞台やミュージカルで本領を発揮するので(昨年11月の『ネガポジポジ』でのご活躍は鮮烈でした)、ぜひ観に行きたかった。購入を確定する前にちょっと迷いましたけどね。あまりにも現場を詰め込みすぎなんじゃないかって。でもまあ一回は入っておこうと。

高瀬くるみさんのご出演以外に『空想ペルクライム/Les Nankayaru』に興味を惹かれた理由として、会場がよさそうだなというのがありました。小さくて、ステージが近そうでした。今、座席表を見たら収容人数は135人のようです。よく演劇女子部の会場になる池袋のBIG TREE THEATERが167席です。私の席は9列あるうちの6列目と、後ろの方でしたが、この規模の会場だと近いことに変わりはないだろうと踏みました。S席といって前方席のチケットもあったようです。本当はそっちに座りたかったですが、私がこの公演の存在に気付いたときには既に販売が終了していました。実際に席に着いてみると目論見通りで、後方とはいえ近かったですし、見やすかったです。

開場前に会場前に貼り出されている公演情報を見て、15分の休憩を挟んで第一部と第二部に分かれていることを知りました。ジャズのコンサートで休憩があるというのは経験したことがありますが、舞台で休憩があるんだ、と少し驚きました。実際に第二部が始まったときにはもっとびっくりしました。唖然とした、に近かった。「は?」と声に出そうになりました。第一部と第二部で、内容がまったく異なっていたのです。第一部は、高校生たちが文化祭に向けて準備を進めていくという内容の芝居。ちょっと恋愛も絡んで。ある男の子に思いを寄せていた女の子がいきなり飛び降り自殺をして(もし私の誤解でしたらすみません)第一部が終わりました。話の内容がぬるかったので、最後の死を機に第二部で修羅場が訪れるのかな、急に話のトーンがシリアスに変わるから休憩を入れているのかな。私はそういった想像を巡らせ、休憩明けの展開を楽しみにしていました。第二部が始まると、とんだ肩透かしを食らいました。芝居ではなかったのです。それまでの劇がなかったかのように、いきなり歌とダンスの出し物が始まったのです。呆気に取られました。

私がふだん観させてもらっているHello! Projectのコンサートやミュージカルの素晴らしさが分かりました。120分くらいに渡って(間に多少トークは挟むにしても)歌とダンス、歌と演技で観客を魅了し満足させることは当たり前のことではないんだと実感しました。はっきり言ってしまうと、『空想ペルクライム/Les Nankayaru』は出演者たちも、裏方も、長時間の芝居を作り上げる実力もないし、長時間のコンサートを作り上げる実力もないのではないか。だからこういう構成で逃げているのではないか。芝居としてもショーとしても生半可でした。知り合いが出ていたら「お前すげえじゃん!」って興奮できる出し物だったとは思いますが、その域は超えていませんでした。第二部のショーは、カラオケ大会でした。もちろん、皆さんお上手ですよ。でも素人に毛が生えたレベルです。じゃあお前がもっとうまく歌ってみろよと言われても、私はできません。でも、余暇の時間が豊富な地方公務員とかが趣味で練習して到達できる水準ではないでしょうか。もっとも、パフォーマーの皆さんだけの問題ではなく、音響にも難があったように思います。客席に歌声が届きにくかったです。高瀬くるみさんがいたからでしょうが、セットリスストにごまっとうの『SHALL WE LOVE?』と℃-uteの『人生はSTEP!』というHello! Projectの二曲が入っていました。両方に高瀬さんがいました(たぶん高瀬さんが他のパフォーマーに振りを教えたんだろうなと想像します)。『SHALL WE LOVE?』のときはまだニコニコ顔で拍手できましたが、『人生はSTEP!』に関しては本当に厳しい目で見てしまいました。高瀬さんは別としても、素人がYouTubeに投稿する「踊ってみた」レベルでした。私は『人生はSTEP!』が序盤に披露される℃-uteの2016年春ツアー“℃ONCERTO”を7回、観させてもらっています。℃-uteがこの曲を歌って踊る映像がすぐに頭に浮かびます。私は元Team ℃-uteです。本家と比較せずに『人生はSTEP!』を観るのは不可能です。粗ばかりが見えてしまいました。このグループの、この曲を、このレベルで、お金を取って観客に見せる場でカヴァーするとは本当に勇気があるなと思いました。高瀬さんと一緒にHello! Projectの曲を披露していた方々が仮にHello! Project研修生だとして、発表会のリハーサルであの動きと歌だと本番に出演できないかもしれません。彼女たちがみつばちまきさんからジャップの陰湿さを凝縮させた理不尽な詰めを受ける姿が頭に浮かびました。いや、チケット代が2,500円くらいならここまで書きませんけど、5,500円でした。

悪口で筆が進んでしまいましたが、出演者の皆さんには全体的に好感を持ったということはしっかり書いておきたいです。特に第一部で教員役をやられていた紳士がいい味を出していました。若い出演者たちの中、一人だけオジサンでした。役がはまっていました。ああいう先生は本当にいそうでした。劇の中で何か面白いことをしてよと生徒たちから振られる場面がありました。「最近、笑いに迷っているから、基準が分からない」と前置きした彼は、富士サファリパークの替え歌を披露しました。最後に「知事、やめてまーす!」と言って舛添要一さんの顔が印刷されたA4の紙を広げるのがオチでしたが、上下を逆さまにしてしまうという痛恨のミステイクを犯してしまいました。生徒たちに指摘され「そういうとこなんだよ!」と悔しがっていました。他には頭髪の薄さをいじられていました。自らいじられにいくときもありました。「青春を楽しんでおかないと俺みたいになっちゃうぞ」と生徒に言って「先生みたいにはなりたくない」と返され「俺の頭を見て言っただろ」と言ったり、沖縄で俺も沖縄でビール屋でも売ろうかなと言って「ハゲビール?」と高瀬さんに聞かれノリ突っ込みで返したり。いわゆるアイドルの場合はどうしても若さが至上の価値になってしまいますが、役者の場合は歳を重ねないと出せない味がありますよね。スタイルのよい若者が勢揃いした舞台で一人だけ太っていて頭髪が薄かったですが、それを武器にしていました。

高瀬くるみさんは、本当に生き生きとしていました。Hello! Projectのコンサートのときよりも、自分の居場所にいる感じが伝わってきました。彼女の場合、歌うにしても、ミュージカルのように演技の要素が入った曲で輝くなと思いました。第二部で『レ・ミゼラブル』の曲をやっていたときなんか本当に楽しそうでした。田村芽実さんほどの迫力はまだありませんが、憑依型という点では共通しています。これからHello! Project内外の舞台にどんどん出演して、才能を開花させていってほしいです。高瀬さんがHello! Projectの公演ではない外部の催しで伸び伸びと演技と歌とダンスを披露されているお姿を近距離からじっくりと鑑賞できただけたのは、嬉しかったです。そう言えば、彼女は第一部でpandaと書かれた白黒のバックパックを背負っていましたが、おそらく私物でしょうね。

日替わりでゲスト出演者が登場するのですが、今日は平嶋夏海さんという方でした。存じ上げませんでしたが元AKBの方のようですね。これは私の言葉ではなく、もし「アイドル見るのが呼吸」の筆者があの場にいたらこう書いていただろうという意味で読んでほしいのですが、平嶋夏海さんはアレがでかいですね。

2017年8月26日土曜日

HELLO! GATHERING (2017-08-20)

今日は私が普段ブログの記事をどうやって書いているかについて少しお話をしましょう。公演の後に、iPhoneのNotesに印象に残ったことや思ったことを書いておきます。箇条書きのような、殴り書きのような、断片的な記録です。まとまりのある文章ではなく、センテンス単位でも雑です。家に帰ってからふと思い出したことも追記していきます。公演が始まる前にも、たとえばグッズ列がどれくらいの人数だったとか、書くこともあります。何かが起きたときはなるべく時間も記録します。遠征時の現場日記は旅行記でもあるので、公演そのもの以外に関するところを通常よりも細かく記録するようにしています。走り書きが一通り出来上がったら、紙に印刷します。ここは絶対に書きたいなと思う箇所にペン(Acroballの0.5がお気に入りです)で線を引いたり、丸で囲んだりします。そうすると、その記事でだいたい何を書くべきかが見えてきます。

何を書くべきかの検討がついたら、次はどう書くかを考えます。どういう文体(口調、トーン)にするのか? たとえば怒っているんだったら一人称を「俺」にして(日本語の場合は一人称の設定が文体に大きく影響します)友人にでも愚痴るような感じで書くとしっくりくるかもしれません。あえて敬語で書くという手もありますね。感情を押し殺して丁寧に話した方がかえって怒りが伝わるかもしれません。あと、文体は書きたい内容だけでなく、書いているときの気分と合っていることもまた重要です。そうじゃないと筆が乗りません。

どういう順番で書くのか? 時系列に沿うのが素直な書き方です。利点は、起きたことを細かく記録しやすいことです。後で読み返したときに自分にとってどういう一日だったかが分かりやすくなります。始点をどこにするかはそのときの判断です。朝、目が覚めたときでもいいですし、グッズ列に並んでからでもいいですし、コンサートが始まった瞬間でもいいです。特に旅の記録でもある遠征日記にはこのやり方は合っています。もう一つの方法は、これは絶対に言っておきたいということから書くということです。たとえばその日を振り返ってコンサート終演後の高速握手で交わした言葉がいちばん印象に残ったのであれば、いきなり握手の描写から始めます。この方法だと記事が(自分にとって)重要なこと+その他というつくりになります。利点としては、自分にとって何が印象的だったか、重要だったかを中心に書けるということです。何をやったか、何が起きたかよりも、何が自分の頭に残ったか。その分、その他の部分をある程度は切り捨てないと文章としては座りが悪くなります。他を差し置いてでも書いておくべき印象的な場面や出来事がある場合には、このやり方の採用を検討するべきです。

でも正解は一つではありません。大事なことをあえて終盤にちらっと書くという考え方もあります。自分にとって大事だからといって、読み手に分かりやすく伝えるべきだとは限りません。自分の中だけにとどめておきたいとまでは言わなくとも、あまり気付かれやすいように書きたくない、最後までじっくり読んでくれる特定少数の人たちとだけこっそり共有したいこともあるかもしれません。昔、副島隆彦さんの本を読んでいたら、本当に言いたいことはあまり目に付かないようにあえて本の終盤に書くんだということが書いてあって、そういう発想があるんだと驚いたのを今でも覚えています。

この二年半で私は100本以上の記事を書いてきました。内容と文体はいくつかの類型に分けられると思いますが、はじめからテンプレートに当てはめているわけではありません。何をどう書くかは、毎回、一から考えています。たとえ同じツアーの公演でも同じコンサート経験は二度とない以上、こうするのは当然です。

記事を書き始めるのはほとんどの場合、現場があった何日か後です。労働に時間を取られて否応なしにそうなっているのですが、コンサートから数日が経過したタイミングは意外と書きやすい。脳が記憶を整頓するからだと思います。一方で、その整頓が悪い方向に働くリスクもあります。そのときに味わった生の感情が、時間を経て歪曲されてしまう。“Stumbling on Happiness”にも書いてありましたが、人間の脳みそはそうできているらしいのです。当時の感情は極力、時間を置かずにiPhoneのNotesもしくはTwitterに書いて、なるべく新鮮なまま保存するようにしています。

書くことについて、書きたいことは他にも色々とあります。今日はこの辺で切り上げて、別の機会に譲ります。これだけ説明しておいてなんですが、この記事は上記で説明したやり方を採用していません。何も参照せずに、その場で思いつくがままに書き連ねました。先ほど、書きたいことをあらかじめ決めておくんだと言いましたが、フリースタイルの要素もあった方が文章がスウィングします。事前にガチガチに展開を決めてしまうよりは大枠を決める程度にした方が、頭に浮かんでくる即興のひらめきを生かすことができます。論文のように主張を客観的に書きたい場合は別ですけどね。

8月20日のジュルネ、HELLO! GATHERINGを観させてもらいました。これは本題のようで本題ではありません。なぜなら、書きたいことがほとんどないからです。書けることはいくつかあるんです。でもそれは、是非とも書き残しておきたいこととは違う。最近の現場はあまりにも充実していました。極めつけは8月19日でした。稀有な経験をさせてもらった上に12時間以上も中野に滞在して、疲れました。次の日へのモチベーションを失いました。8月20日のHELLO! GATHERINGは、私にとっては消化試合になってしまいました。消化試合と言うよりは、消化できなかったのです。気持ちも乗らなかったし、少し頭が痛かった。(私はただ観ているだけで疲れるのだから、出演している方は鉄人ですよね。この土日で私が入ったのは3公演ですが、開催されたのは5公演ですよ。)ピンクの宮崎Tシャツを持って行きましたが、カバンに入れたまま着用しませんでした。戦闘態勢になれなくて。18列からひたすら双眼鏡でステージ上を観察していました。もちろん、レンズの先にはいつものように素敵な光景が広がっていました。Hello! Projectのメンバーさんは全員が輝いていました。8月20日は、私がその輝きを受け止め切れませんでした。これで私にとっての2017年、夏ハロコンは幕を閉じました。

おまけ(8月20日、iPhoneのNotes)

1303 グッズ列

1319 小野小片工藤売り切れ

窓口二つ

Juice=Juiceの現場でよく見かけたかなともオタが小野瑞歩のTシャツを着ている
そう言えば最近Juice=Juiceの現場で見ないな…

チョイチャンでやなみんを愛おしそうに見守る宮崎由加

双眼鏡で同時に宮崎由加と小野瑞歩を観られる贅沢さ

2017年8月24日木曜日

HELLO! GATHERING/HELLO! MEETING (2017-08-19)

皆さんもうちょっとめかし込んでくるのかと思っていた。ちょっと安心したよ。いつも通りで。いやこれがさ、ピンチケ系の、二十歳そこそこの茶髪野郎どもが大量にたむろしていたら、気後れしていただろうと思う。少数とはいえ、いなくはないんだよ、そういう奴らも。普段の現場にさ。でもそんな奴はいなかったな。年齢的にはパッと見、中年が多かった。当然かもしれない。ここに並ぶにはアップフロントのクレジット・カードで3,000ポイントを貯めるか(キャンペーンによるポイント増額がなければ300万円分の買い物に相当)、年会費64,800円のエグゼクティブ・パスを手に入れるかのどちらかが必要だから。ロクに働いてもいない若造には無理だ。土曜日だというのに朝の9時に中野サンプラザの前で集合させられた。私は6時半に起きる必要があった。つらかった。係員(男)の指示で、左につばきファクトリー、右にこぶしファクトリーと、撮影するメンバーさんの属するグループ毎に列になった。ざっとこぶしの列が15人くらい、つばきの列が25人くらい。大抵の奴がイトーヨーカドーかジーンズ・メイトで買ったような服を着ていた。応援するメンバーさんの名字が印字されたTシャツを着ている人もいた。客層と服装を見て、私の緊張が少し和らいだ。かくいう私はEngineered Garmentsの半袖シャツに、Rebuild by Needlesのパンツ(Dickies再構築)、New BalanceのM990。昨晩、決めた。がっつり穴が開いたバックパックを背負っている紳士がいてね、さすがにそれは何とかせえよと思った。いい歳をした大人としてまずい。え、いい歳した大人がアイドルを応援していること自体がまずいんじゃないかって? 黙れよ。

エグゼクティブ・パスを見せる。名乗る。係員(男)が手元の紙にチェックを入れる。「メンバーは誰ですか?」「小野さんです」。赤の8番、と係員(男)が言うと係員(女)がラミネートされた赤いカードを私に渡す。「Executive Pass 8 整理番号は撮影時にスタッフにお渡しください」と書いてある。周りを見るとほとんどの人たちは青いカードを持っている。青がクレジット・カードのポイント組、赤がエグゼクティブ・パス組のようだ。9時16分頃に、撮影するメンバーごとに細かく並び順を指定される。小野瑞歩さんを選んだのはどうやら私を含めて三人。私の前に青組が二人。私だけ、赤。撮影は中野サンプラザの中。入場前に係員(男)から待機中の携帯電話の使用禁止、私語の禁止が言い渡される。9時20分すぎだったか、会場内に誘導される。撮影場所は、客席二階の後ろにある空間。呼ばれるまで手前の階段で並んで待つ。撮影を終えた人々が、インスタント写真とサイン色紙を手にして階段を降りてくる。小野瑞歩さんを選んだ三人が最後まで残った。係員(男)に呼ばれ、小野さん控えるブースに移動する。前の二人が撮影と握手を終え、残すは私だけになる。HELLO! MEETING冒頭の金魚モチーフの衣装を身にまとう小野瑞歩さん。「おはようございます」と言ったら「おはようございます」と彼女は返してくれた。小野さんが左の椅子、私が右の椅子に座る。「ポーズは?」と顔を右に向けて聞いてくる小野さん。「お任せしていい?」。一瞬だけ考えて、じゃあこれでとポーズを示してくれる。撮影でメンバーにポーズを任せるな、それくらい自分で考えていけとTwitterで誰かが言っているのを見たことがある。分かる。説明させてくれ。私は小野さんの命令に従いたかった。小野さんの言われるがままにしたかった。小野さんに服従したかった。だから小野さんに決めてほしかった。ご理解いただきたい。小野さんのポーズを真似ようと試みたが、私はこういう撮影が初めてである上、撮影場所に入った瞬間にIQが40ほど下がっていたためうまくできず、固まってしまう。あたふたする私を見て小野さんが笑ってくれて、救われた。「左右対称で…」と彼女が説明してくれてようやく正解らしき形を作れた。ああこれは二人で大きなハートを作るやつだと、撮影の最中にようやく私は理解した。三回、切られるシャッター。その後にさせてもらった握手。「いつも応援しています」としか言えなかった。事前にいくつか言いたいことを考えていたが、それ以外の言葉を発することができなかった。小野さんは「はい。頑張ります」と言って、アガっている私の様子を見て笑ってくれた気がするし、その場を離れる私に向けてバイバイと言ってくれた気がする。私はまっすぐ歩いて外に出るので精一杯だった。初めて味わう類の緊張だった。小野さんは最初から最後までずっと『笑って』いた。

中野ブロードウェーのCafe Miyamaに入った。ここのアイス・コーヒーはカカオのような香りがして(的外れだったらごめん)好きだ。さっきのことで頭がいっぱいで、本を読む気にも、ブログを書く気にもなれなかった。Twitterしかできなかった。「焼肉とらじ」でハラミ定食730円、追加ハラミ550円、ランチビール210円。1,490円。頼んでから出てくるのが早い。中野サンプラザ、グッズ列。日替わりの宮崎由加さん、小野瑞歩さん、小片リサさん。並んだのは30分くらいだったかな。窓口が六つもあってスイスイ進んだ。ありがたい。8月19日。小片さんの写真には「今日は俳句の日」という文言とともに「ハロコンで つばきが一番 目立ちたい」という一句が書き込んであった。彼女の日替わりはいつも売り切れるのが早い。ご自身の人気もさることながら、こうやって日ごとに変化をつけた書き込みをしているからみんな買いたくなるんだろうね。小片さんや宮崎さんは、我々がつい写真を買いたくなるような文字や絵を書き込んでいる。手が込んでいる。変化に富んでいる。我々の財布から札束が飛んでいく。

昼(15時開演):HELLO! GATHERING

荷物検査とチケットのもぎりを通過すると、さわやか五郎さんが9月11日(月)に開催されるご自身のバースデー・イベントのチケットを手売りに来ていた。興味はあるんだけど、平日はきついよ。平日に行くにはさ、休みを取るなり会社を早く出るなりする必要があって、それはHello! Projectの中でも特にひいきにしている個人やグループのためにしかできない。さわやか五郎さんのためにそこまでの犠牲を払うのは難しい。9月11日(月)はJuice=Juiceのライブハウス(和製英語)ツアーの最終日。私はファンクラブ先行に申し込んで、外れた。もしこの日に仕事の都合をつけるんなら五郎さんじゃなくてJuice=Juiceのチケットを入手してそっちに行く。私の席は、8列。この夏ハロコンで私が購入した6枚のチケットで、一番ステージに近い。唯一、前のブロックの席。全体を観るため、双眼鏡を使わないことにした。私の右も左も女性で、それだけでなく私がいた付近は女性が多かった。そのうちの誰かが汗臭かった。「まずシンプルに女の人くさって思いました。いつも男ばっかりのライブに行ってるのでこれが壮絶な違和感で、いい匂いというよりシンプルに臭い」―ジャニーズのコンサートを観に行った方が書いたブログの一節が頭をよぎった。昨晩、読んだ。もちろん、総体としては男の方が臭いのは間違いないだろう。しかし私がいた半径数メートルにおいては、好ましくない香りの発信源が女だったというのもまたストリートの真実である。

舞台やミュージカルをやるのも観るのも好きだという高瀬くるみさん。『レ・ミゼラブル』の『夢やぶれて』という歌の一部を披露した。「夢、破れた」と感想を述べる小関舞さん。同調する山木梨沙さん。「破れてないんですけどね」と苦笑する高瀬くるみさん。「そこ(高瀬さんが披露した一部分)だけ聴くとね、破れた感じしますよね」と取り繕う山木さん。「(元)アンジュルムの田村(芽実)さん以来ですね」というまことさん。「再来かと思いましたね」と山木さん。

こぶしファクトリーは、ワックな曲をごり押しで盛り上げる集団。ハロコンで私が彼女たちを観る度にその印象が強化されていく。一人一人の技量、魅力、個性は強い。きらびやか。あてがわれる曲がどうにも。もちろん、すべてがワックではない。でも以前のハロコンでやっていた超フェイクなサンバ曲とかさ、桜フィーバーの曲とかさ、クレヨンしんちゃんのカヴァーとかさ、ちょっと違わないですか。何がよくないかって説明するのは難しい。私の好みの問題なのかもしれない。だからああだこうだ理屈をこねるよりは単純に好きじゃないって言った方が正直で正確だろう。最新曲の一つ『エエジャナイカ ニンジャナイカ』は『JKニンジャガールズ』の劇中でやるから意味があるのであって、そうじゃないハロコンのような場所で前面に押し出すべき曲ではない。ただメンバーさんたちに観客を巻き込む力があるから、意外と会場は盛り上がって一体感が生まれるんだよね。「エエジャナイカ! エエジャナイカ!」「ニンジャナイカ! ニンジャナイカ!」と観客に声を出すように彼女たちが煽る箇所では私もつい応えてしまった。そうせざるを得ない熱量が彼女たちにはある。

私はJuice=Juiceの単独コンサートで梁川菜々美さんを6回、観ているので、彼女へのチャントに慣れてきた。カントリー・ガールズとして出演されているときでも彼女のソロ・パートの後に「やなみん!」と言えるようになった。チャントはメンバーさんによって苗字だったり下の名前だったりちゃん付けだったりそうじゃなかったりする。たとえば同じカントリー・ガールズの小関舞さんは舞ちゃんでもマイマイでもなく「小関」なんだ。やなみんなのかやなちゃんなのかななみなのかななみんなのかなかなかわからないんですよ。一見さんには。一見さんじゃなくても50数名分のチャントをすべてちゃんと正確に把握するのは至難の業だ。

カントリー・ガールズがカヴァーする“CHOICE & CHANCE”。「何があったって後悔はしない」のラインを歌い上げる船木結さん、拍手を送るひな壇の宮崎由加さん。このカヴァー・セグメントでは曲の持ち主グループがひな壇にいるのが私は嬉しい。彼女たちの反応が見物。

モーニング娘。からは集団としての力を感じた。色んな個性を持ったメンバーさんが揃っているし、こぶしファクトリーと違って寺田光男さんのドープ・シットを大量に所持している。彼女たちの単独コンサートを私が観させてもらったのは去年の4月が最後なんだけど、もう少し高い頻度で観たいなと思った。私が次にモーニング娘。のコンサートを鑑賞するのは11月3日。パシフィコ横浜。

最後に和田彩花さんが「18日連続で雨だったが今日は久し振りに雨が降らずハロコンで夏を感じられた」という旨の談話を残してコンサートを締めくくったが、会場を出ると雨が降っていた。雨が軽いうちに私はあおい書店に避難したが、たちまち雷を伴う豪雨になった。コンサートが終わって本屋に入ったのが16時50分くらいだったが、17時40分頃に雨が弱まるまで中にいることになった。コンサート直後の最高幸福状態で雷に打たれて死ぬのは死に方として一つの理想ではあるが、死んだらそのコンサートを記録できないのが難点。

夜(18時半開演):HELLO! MEETING

さわやか五郎さんが夜公演の前にも引き続きバースデー・イベントのチケットを販売していて、私は思わず笑ってしまった。「お兄さん、お兄さん、こっち来て、こっち来て」と私の方を見て(私の前にも何人か同じように見物している人たちがいた)手招きをしてきたが、行ったらチケットを買わざるを得ない流れになっていただろうし、その日は行くのが厳しいので、退避した。アップ・アップ・ガールズ(仮)の新井愛瞳さんが販売を手伝っていた。

夏休みの宿題を7割終わらせた、と誇らしげな小関舞さん(高校一年生)。「あの舞ちゃんが?」と信じられない様子の梁川菜々美さん。「皆さん、これ凄いことなんですよ。7割かと思うかもしれませんが」と山木梨沙さん。そこに「私はぜんぶ終わらせました」と切り込む清野桃々姫さん(中学一年生)。「ちょっと待った」と不本意そうな小関さんは、中一と高一という学年の違いを考慮すべきだと反論する。そして「分厚い数学の問題集は終わらせたの?」「英語の問題集は?」「漢字の書き取りは?」と清野さんに畳み掛けるがすべて「はい」と即答され、「おめでとうございます」と諦めた。
梁川さんが途中から(司会ではないのに)トークを回し始めて、観客からどよめきと笑いが起きた。「何で笑うんですか?」と彼女は不思議がっていた。

川村文乃さんは回るのが好き。どの方向でも。きっかけは近所の公園にあった、回る遊具。それにはまってから好きになった。「遠心力が好き?」と小関さん。「回るのが好きです」と川村さん。「これから経験してみたい回るものは?」という山木さんの質問に、宇宙飛行士が乗る何かというようなことを言っていた。「あー」という声が客席のあちこちで漏れていた。あとは中華料理店の回るテーブルに乗ってみたい。「女体盛りやないねんから」と私は脳内で突っ込んだが(おそらく客席にいた約2,000人の1割以上はそう思っていたはず)、ステージにいた誰も女体盛りという言葉は発さなかった。当然だろ。

こぶしファクトリーが『シャララ!やれるはずさ』を披露する際、バック・ダンサーにつばきファクトリーまで動員して全員で全力で飛び跳ねて腕を振り回して、まるで名曲であるかのような盛り上がりを作り出す。正直はじめはしょうもない曲だと私は思っていた。せやけど、両ファクトリーのダイナミックなステージ・パフォーマンスと弾ける元気は私の胸を打つものがあって、私が抱いていた曲の印象まで少し変えてしまった。平凡な曲をパフォーマーの熱さでヴァイブスぶち上げチューンに仕立てる強引さ。この感じは、嫌いじゃない。この曲における二つのファクトリーズによる溌剌としたステージ・パフォーマンスはこのハロコンにおける見所の一つだと思う。

・『就活センセーション』でつばきファクトリーがステージに上がる際、新沼希空さんがつまずいていた。
・つばきファクトリーはとにかく全員が例外なく可愛い。Juice=Juiceのお姉さん感とはまた違う魅力。
・しばらく見ないうちに金津美月さんが大きくなっていた(私がこのハロコンの前に見たのは3月の研修生発表会)。

私の席は13列目、左端の方だった。後半ブロックのいちばん前。メンバーさんが目の前に降臨される位置。この公演に関しては最前よりもありがたい席だった。HELLO! MEETINGでは降臨が二回ある。その両方で、小野瑞歩さんが私と目を合わせて手を振ってくださった。あからさまな個人宛レス、しかも二回連続だったので「こいつ、強いオタクだな、何モンなんだ…?」と私の近くにいた観客が訝しがっても不思議じゃなかった。別に私が強いわけじゃなくて、小野さんが強いんだ。特に二回目はもう本当にしっかり目を合わせてくれた。私が先に目を逸らしてしまったほどだった。たぶん一回目に通ったときに私がここにいるのを覚えてくれていたんだと思う。降臨のときは二回とも小野さんは右側から降りてきて、通路にしばらくとどまって、左側からステージに戻っておられた。私がいた左端はステージに戻る際に通過するだけだったのだが、にも関わらずその一瞬で忘れられないほどのレスをくださった。降臨1ではすぐ目の前に小野田紗栞さんと山岸理子さんが、降臨2では室田瑞希さんと竹内朱莉さんが歌って踊られていた。最後の“I WISH”でトラックにボイス・パーカッションが入っているところで室田さんと竹内さんが対面してラッパーのような面白い動きをしていた。観客はサザエさん並にみんなが笑っていた。

終盤、掃ける前のコメントで雨が降ったことに振れるまことさん。濡れた方もいらっしゃると思います、と我々に気遣いを見せてから「嵐の中のコンサートは盛り上がる。ということで今日は盛り上がりました」。我々は拍手。

終演後、泰陽飯店。蒸し鶏。枝豆。黒ホッピー。フライド・ポテト。1,496円。朝の8時40分頃から21時過ぎまで中野にいた。小野瑞歩に始まり、小野瑞歩に終わった一日だった。今日は本当に稀有な経験をさせてもらった。後味がいいにも程がある。明日の昼公演もチケットを持っているんだよね。でも、今日の満足度を上回ることはあり得ないからさ、明日のチケットは誰かに譲って、もう2017年の夏ハロコンはこれで終わりにしたいと思ったくらいだ。

2017年8月17日木曜日

Seven Horizon (2017-08-16)

二人がかりで回している縄跳びに一人ずつ加わっていく、集団的な遊びなのか競技なのかよく分からないけど、あるじゃんそういうの。失敗したら一人目からやり直しになるやつ。それに参加していて、縄に飛び込むタイミングを伺うような、そんな気持ちだった。いつ列に入るか、それが重要だ。あまりがっつかなさそうな人の後ろに立たなければならない。濃そうな中年紳士や並んでいる最中からはしゃいでいる女オタクを避けて、地味目な男の後ろについた。ついに俺の番が来た。意を決して一人目の段原瑠々さんに申し上げた。
「俺、今日、誕生日なんだ」「おめでとうございます!」
二人目、梁川奈々美さん。「今日誕生日なんだ」「おめでとうございます。素敵な一年にしてください」
「俺、今日、誕生日」。植村あかりさんは大きな反応をくださった。はっきりとは覚えていないのだが私のTシャツ(ピンクで宮崎と印字されている)を確認しながら「うわー! ハッピーハッピー! おめでとう!」のようなことをおっしゃって左手で私の右二の腕あたりをポンポン叩いてくれた、ような気がする。握手が終わった直後でさえ明確に覚えていなかった。あのな、握手中の俺らってのはそれくらい必死なんだよ。下手すると頭が真っ白になって途中の記憶がなくなるときもあるんだ。分かれ。
「今日、誕生日です」。金澤朋子さん、「おめでとう」
「俺、今日、誕生日」。宮崎由加さん、「おめでとう!」
「今日、誕生日!」。高木紗友希さん、「おめでとう!」

タイミングだけではない。全員に言うかどうか、そこも迷った。はじめは宮崎由加さんだけに言おうかと思っていた。彼女が(つばきファクトリーの小野瑞歩さんと同率一位で)私の一推しなので。今日が誕生日であるという私事を利用して、Juice=Juiceさん全員に祝福を強制するようなことを言うのは厚かましくないか。下衆じゃないか。あとは終演後の握手はあくまで高速なんで、宮崎さんの前の人は無言に近い感じでやり過ごさないと宮崎さんとお話ができない可能性がある。だから宮崎さんだけに狙いを絞った方がいいんじゃないかという考えもあった。逡巡したが、全員に行くという意志を固めた。意志を固めてからの俺は、強かった。昔、宮本武蔵の『五輪書』を途中まで読んだことがあるけど、印象に残った記述があってね。一人で大人数を相手に同時に戦うときでも、今この瞬間においては一人を相手にしていると考えるのが重要だというようなことが書いてあったんだ。目の前にいる敵に集中しろってことだよね。あのときの俺は、宮本武蔵の領域に達していた。俺もマークしていた剥がし要員のことも、俺の前後にいる参列者のことも、いっさい頭になかった。目の前に現れるJuice=Juiceメンバーさんと一対一のやり取りをすることしか考えていなかった。結果として、全員に今日が自分の誕生日であることを伝えて全員から祝ってもらうことができた。実は二年前の今日も、Juice=Juiceのコンサートを観させてもらっていた。そのときにも終演後の握手があったが、メンバーさんに祝ってもらうなんて滅相もないと思っていたし、仮にやろうとしてもあの短時間でうまく伝達することは出来なかっただろう。

小雨のぱらつくさいたま新都心のストリート。さっき抜けてきたばかりの握手会の記憶をiPhoneに書き留める。新鮮なうちに。この脳みそから消えてしまわないうちに。この脳みそが勝手に書き換えないうちに。落としたら割れてしまう卵を安全な場所に移そうとしているような、そんな気持ちだった。

Juice=Juiceの皆さんから(半ば強制とはいえ)お祝いの言葉をかけてもらったことで、誕生日というものに対する私の見方が少し変わった。自分が歳を重ねることは、そんなに嬉しくなかった。そりゃさ、子供の頃は歳を重ねることは喜びに満ちていたよ。誕生日パーティなんか開いちゃったりして。プレゼントをもらって。でも三十も半ばになると、年齢を重ねるというのはどっちかというとネガティヴな出来事になってきてね。子供が大人になるというフェーズだとワクワクするけれども、大人から老人になるというフェーズだとね、あんまりいいことは連想できないわけですよ。体力はどんどん減っていくだろうし、頭も回らなくなるかもしれない。社会保障という面でも、現時点でさえ年金制度が破綻しつつあるのに、俺らが老人になる頃には存続していると想像しづらいわけで。加齢の延長線上にある未来に思いを馳せると、無邪気に喜べない。ただ淡々と受け入れるだけという心境になってくる。でも、Juice=Juiceの皆さんがぱーっと明るく祝ってくれて、誕生日ってのもいいモンだなと思えたんですよ。嬉しかったから、俺も他人の誕生日はちゃんと祝ってあげなくちゃなって思えたんだ。よう知らん奴でも、目の前にいたら祝ってあげるのが人として大事なんとちゃうかなって気付かされた。だって植村あーりーさんなんて、自分以外のメンバーのTシャツを着てる知らない奴に対してもあんなに大げさに祝福してくれたんだよ。いや、仕事なのは分かる。でも凄いじゃん。彼女の日替わり写真を買わなかったのが申し訳なくなった(今日は宮崎さん、金澤さん、宮本さん、高木さんの四枚を買った。誕生日だから多めに)。

ツアーの日程が発表された時点では、私はこの日の公演に乗り気ではなかった。いくつか理由はあった。
・前後の週末はハロコンで埋まっているから現場は足りている。
・この会場にはよくない思い出がある。前に来たのは2015年8月27日。アンジュルム。私がこのブログを始めてから記事にしていない唯一(たぶん)の現場である(接触会を除く)。私にとって後味の悪いコンサートだった。どう書けばよいのか分からなかった。いま同じ状況になったら書ける。当時の私の技量では、必要以上に批判的になっていただろう。
・この会場(HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3)は、観づらい会場として私の記憶に残っている。整理番号がよくないかぎりは満足のいかないコンサート経験になる可能性が高い。
最後の最後に考えを改めて、ファンクラブ先行受付の締め切り間近に8月16日の公演に申し込んだ。15日にも同じ会場であったがそっちはパス。私にとっていちばん幸せな時間であるJuice=Juiceのコンサートを誕生日に味わう機会を逃す手はないな、と思い直した。

番号は64番という悪くない番号をいただくことができた。しかし、俺としたことが、やってしまった。右が少し空いていたのでそちらに立ったところ、最前の右から二番目にあいつがいたんだ。180センチくらいの身長、長い手足、高い跳躍力を生かしてジャンプしまくる金澤朋子さんのファン。そいつの後ろに、迂闊にも行ってしまった。彼が整理番号5番くらいで入っていくのは確認していたんだが。もし気になるようだったらTwitterで「三大迷惑マサイ」で検索してみ。画像は出てくるし、そこのニックネームも入れてGoogleで検索していけば本名も分かるよ。俺は彼を避けられるときには避けるようにしているし、この世界じゃ「有名人」だ。冒頭に宮崎由加さんから、埼玉出身ということでコメントを求められた金澤朋子さんが「後ろの人の迷惑にならないように楽しんでいきましょう」と言っていた。ちょっと顔がこわばっていた。口調は優しいけど少し怒っているような感じだった。たぶん最前の彼が目に入って、牽制したんだと思う。でも少なくとも彼自身は、自分に向けられた言葉としては受け止めていなかったようだ。両手に三本ずつのサイリウムを持って、無駄に高いジャンプを繰り返していた。とにかく過剰なんだよ。あとは金澤さんに向けてサイリウムを動かしてハートの形を作るキモい動きを続けたりとか。まあキモいのは来場者がみんな一緒だからお互い様だけどさ。彼のことを何度か見てきた俺でさえ、ここまでやるのかってどん引いた。最前であれをやる意味がまったく分からない。いちばん後ろなら分かる。何がやばいって、常軌を逸した鑑賞方法もさることながら、自覚がないっぽいんだよね。迷惑であるという。100人いれば99人は嫌がる行為であるのを分かった上で、そんなもんくそ食らえ的に、露悪的にやってるんだったらまだ理解できるんですよ。暴走族みたいにさ。でも違うでしょ彼は。しかも公演中に三回くらい係員から注意されたのにいっさいやめない。何か言い返して揉めてる。終演後にもお仲間に俺がやっていたのは過剰なジャンプではないだとかグチグチ言っていた。たぶん天才なんだと思う。脳の仕組みが常人とは異なる。出演者、係員、他の観客、全員に対する敬意がゼロ。人間としての良識や言葉による注意が通じない相手には多少、暴力的なやり方が必要だよ。BONDSのような。他人を尊重できない人は、他人から尊重されなくても仕方ないよ。

俺は最近、会社でメンタル・ヘルスの講習を受けた。そこで学んだことでなるほどと思ったのが、管理者は部下の行動だけを問題にしろってこと。精神的な疾患の有無や病名についてはお前らが判断はするな。お前らは医者でなはい。診断する資格はない。そこは産業医に委ねろと。たしかにそうなんだよね。ちょこっと本を読んだりセミナーを受けてかじった知識で他人に病名のラベルを付けちゃいかんよな。それを知った上でも、彼には何らかの精神疾患があるんじゃないかと疑わざるを得ない。どういう仕事についてどうやってこの社会で生活しているんだ。十中八九、いやもっと高い確率で、金澤朋子さんはあなたのことを嫌っているよ。それにも一生、気付かないんだろうね…。

以前の俺だったら気分を害してしまったかもしれないけど、この日の俺はひと味違った。5月8日から始めたマインドフルネス瞑想。一日5分とか10分とかを積み重ねて、通算20時間近くになった。2ヶ月くらいで効果を実感し始めた。この習慣を取り入れる前と比べて自分の感情が安定してきたように感じるし、デフォルトの精神状態が「普通」ではなく「いい気分」になってきた気がする。最近はそれに加えてカラダ・ファクトリーで身体の歪みを矯正していることが、精神的な安定に寄与していると感じている。今の俺は、いちいち感情的にはならない。思わぬ障害物が現れるという問題に対して、身体の向きを調整してなるべく彼が視界に入らないようにコンサートを楽しむという対策を取った。彼がいた右端エリアはほとんど見ない格好にはなってしまったけど、割と前の方だったから視界としてはよかった。ステージの中央をずっと見続けた。

地元の埼玉ということで金澤朋子さんが生き生きしているように見えた。今日は一番、彼女に目が行った。アンコールが「朋子! 朋子!」だったことにご満悦の金澤朋子さん。彼女曰く、埼玉は東京に近いし、地元感があまりない。皆さんも「朋子!」なのか「ジュース! もう一杯!」なのか、迷っている感じが伝わってくる。埼玉での公演が二日あると、初日は「朋子!」で二日目は「ジュース! もう一杯!」に戻ったりする。私から「朋子!」って言ってとは言えないじゃないですか。だから「『朋子!』コールしてもらえて嬉しかった」と(ブログで?)強調したりして、皆さんが「朋子!」と言ってくれるように仕向けている」。「次回以降、好きなようにしてくれていいですが…」と強制ではないのを強調しつつも、埼玉で公演があるときはチャントは「朋子!」にしてほしいという強い希望が伝わってきた。

その他
・影アナは段原瑠々さんが担当した。彼女のブログによると初めてだったらしい。たどたどしかったが一生懸命読もうとしているのが健気だった。何卒を「なにそつ」と読んで我々の笑いを誘った。最後の方にも読む箇所を間違えて「間違えた」と言って読み直していた。
・序盤の曲で、植村あかりさんと向き合ったときに何度も左目を閉じてウインクをする高木紗友希さん。
・段原さんの所信表明:朝からおいしいものをたくさん食べた。すべて消費するくらい頑張りたい。
・梁川さんの所信表明:今日は髪を巻いた。念願だった。宮崎由加さんにコテを借りて、段原瑠々ちゃんに巻いてもらった。メンバーの全面協力を得た。
・植村さんによると、昨日は大阪から移動だった。段原さんと梁川さんと集合が一緒だった。(大阪では降っていなかったので)植村さんは傘を持ってこなかった。昨日は段原さん、今日は梁川さんが傘に入れてくれた。
・最近、金澤さんのお尻をみんなで触った。どれだけ硬くなるか。宮本佳林さんはカッチカチになる。植村さんはあまり硬くならない。宮崎さん曰く、宮本さんはよく背筋を触るように要求してくる。「(私はお尻ではなく)背筋担当なのかな」。
・段原瑠々さんは、筋トレはしていないが、元陸上部なので脚の筋肉がご本人曰く「異常です」。あ、本当だ、凄い、と他のメンバーズ。
・梁川奈々美さんの歌声が、宮崎由加さんのそれに似ているように私は感じた。何度か間違えてしまいそうになった。
・本編最後の『KEEP ON 上昇志向!!』、初めて聴いたときから好きだ。コンサートの定番になりつつあるのが嬉しい。『誤爆~We Can't Go Back~』もそうだが、マイケル・ジャクソンのオマージュ的な要素があるとすぐに好きになってしまう。少年時代の私はマイケル・ジャクソンばかり聴いていたので。
・段原さん曰く、昨日のMCで梁川さんがJuice=Juiceになってから一ヶ月がたったと発言した。それを聞いて、一ヶ月たったんだと気付いた。この一ヶ月は、瑠々には刺激が強すぎてついていくのが大変。だけど武道館もあるし、海外ツアーにも参加させていただくし、頑張っていきたい。
・金澤さんの背中の汗、脇汗。
・この会場は、近くにさいたまスーパーアリーナが見える。あれから二ヶ月か。感慨深い。

Seven Horizon (2017-08-12)

生まれて初めて、カプセルの中で目を覚ました。これまでの旅でも楽天トラベルで宿を検索したらカプセルが出てくることはあったが、避けていた。画像を見るかぎりあんなに狭い空間でちゃんと休めるのか不安だったし、鍵がかけられないというのもおっかなかった。今回の場合は、お盆の時期だからだと思うんだけど、お手頃な宿が皆無だった。予約したのが二ヶ月前にも関わらず、他にまともな候補が出てこなかった。このカプセルにしたって二泊で13,000円もする。普段はもっと安いでしょう、カプセルなんて。よく知らないけど。でもね、よかった。ナイン・アワーズが特別なのかもしれないが、満足できる宿泊体験だった。快適さを作り出すための合理的で無駄のないつくりに感心した。シャワーが広いのがいい。周りのイビキや寝息が聞こえてくるのが欠点だが、夏の虫が鳴いていると思えば風流なものである。

無類のモーニング好きで知られる私は喫茶店を求めて近くの商店街を歩いたが、面白い店はなさそうだった。マクドナルド、ロッテリア、サンマルク・カフェ、ドトール、イタリアン・トマトといった全国的に展開している店ばかり。9時の開店直後、イタリアン・トマトに入った。ピザ・パン280円とアイス・コーヒー220円。店に置いてある調味料がハバネロ・ソースではなくタバスコだった。分かってねえな。でもこういうちょっとした違いに気付くのが地方都市を訪れる楽しみの一つである。ピザ・パンにタバスコをかけまくったら口に入れる前にむせた。常備してある調味料は違ったが、従業員たちの雰囲気は埼玉のイタリアン・トマトと似ていた。埼玉でも宮城でも彼女たち(男性の店員はほとんど見たことがない)は声を張らないし、どこかムスッとしている。我々をあんまり歓迎している感じがしない。でも似た価格帯の店と比べて味は悪くないし、チップを渡さない店ではむしろこれくらいが世界標準だから問題ないのである。私が一人目の客だったが、時間が経過しても客はさほど増えず、落ち着いた雰囲気だった。8月6日のHello! Projectコンサートのブログを書く。10時55分に投稿。昨日、新宿から仙台へのバスでも書いていた。ちゃんとした机で書いた方がはかどる。

今日の会場である仙台Rensaは、同じ商店街の中にある。イタリアン・トマトから歩いて数分。今日の開演は昼が14時、夜が17時半なのだが、私が喫茶店を探していた9時前から会場付近にたむろしている紳士たちがいた。勘弁してくれ。Rensaは建物の7階にある。グッズ売場は地下に作る様子。見た感じ、それほど並んでいなさそう。また時間になったら来ればいいやとタカをくくって、建物を出た。昼飯をどこで食うかの目星をつけておきたい。

1階に今日の公演内容が印字された立て看板があった。


OPEN 13:00
START 13:30
END 14:00


OPEN 16:30
START 17:00
END 17:30

この表記だとコンサートが30分で終わるみたいじゃないか。

有名な「太助」をはじめとする牛タン店のいくつかに行列が出来ていた。牛タンに関しては昨晩「司 西口名掛丁店」でいただいて大満足している。今日の昼は別のもんでいいや。私は宮城出身の友人と同僚一人ずつから聞いたことがあるのだが、牛タンって地元の人はほとんど食べないらしい。地元民が食べるのは魚だそうだ。だからこの滞在で一度は寿司を食ってみたい。12時にグッズ販売所に戻ってくると、思いの外たくさんの人々が並んでいた。階段を上がる形で列が出来ていたのだが、3階か4階くらいまで並んでいた。私がさっきちゃんと見られていなかった。この感じだと一時間くらいかかりそうなので、一旦あきらめて外に出た。飯だ、飯。「富貴寿司(ふうきずし)」。カウンター。目の前で職人さんが握ってくれる。ランチにぎり1,500円。期待していた以上においしかった。醤油が何か普通じゃなかった。徳島すだちサワー650円というのに惹かれたが、我慢した。お酒は後でコンビニで買おう。そこで数百円をちまちまと浮かせて、一枚500円の写真を何枚も買うんだ。会計のため席を立つ際に「おいしかったです」と言うと板前さんはこちらを見て「よかったです」と言ってくれた。さながら公演後の高速握手会である。

12時44分に仙台Rensaのあるビルヂングに戻ると、グッズ列は1階と2階の間の踊り場まで縮まっていた。3分後には地上に下り、その3分後には買い終えることができた。宮崎由加さん、段原瑠々さん、金澤朋子さんの日替わり。最近は宮崎さんのは必ず買うとして、他に誰のを買うかは書き込みを見て決めることにしている(いつもグッズ売場にサムネイル的な縮小版が張り出されているので雰囲気はつかめる)。高木紗友希さんの書き込みが意外とおとなしく、絵は描いていなかった。宮本佳林さんの日替わりも売っていたけど、いつの分まで作ってあるんだろう。私が買った時点では誰の日替わりも売り切れていなかった。最も短い待ち時間でグッズを買えるのが、最初の山が落ち着いたときだ。それよりも後になると今度は売り切れが出始める。偶然ではあるが飯を食って戻ってきたら最高のタイミングだった。遠征時の日替わりはなるべく買い逃したくない。旅の記念なので。無事に入手できてよかった。13時14分、セブン・イレブン。サントリー特選白角水割250ml。二口で飲み干して店内のゴミ箱に缶を捨てる。ほぼ水。

一般論として、開場時間の15分くらい前には入場場所の付近にいた方がいい。事前に列を作るのが通例だから。のんびり時間通りに来ても人が詰まっていて前に進めず番号が呼ばれても入れない危険がある。席が決まっていないライブハウス(和製英語)公演だと、ただチケットを持っているだけでは自分の番号通りのタイミングで入れるとは限らない。正式な開場時間よりも前に現場に顔を出し、係員の案内や来場者たちによる自主的な並び具合に注意を払っておく必要がある。今日は昼が13時半開場。準備のいい会場で、あらかじめ階段に番号のブロックが指定されていて、待機できるようになっていた。7階(仙台Rensaの入り口手前)から1番、6階から100番、5階から200番、という風に。4階と5階の間に給水ポイントが設置されていた。13時39分に180番くらいまで呼び出された。麦茶。紙コップ。今日の誘導案内者たちはKYODO TOHOKU。白地にオレンジでBEAMSと印字されたTシャツ。入り口で番号を一人ずつ呼び出して、厳密に順番通りに入場させている。私は201番だった。200番が入り終えてからチケットを見せて通ろうとしても、まだ呼んでいないと言って止められた。あんまりかっちりしていてむっとしたくらいだ。

201番はそんなに悪くないと思っていた。インターネットで検索したところ仙台Rensaの収容人数は700人。まあこういうのは観客が奴隷でフロアが奴隷船であればという仮定に基づいた数字なので、額面通りに受け取っては行けない。実際のところはおそらく400人から500人くらいは入るんだろう。となると真ん中かその少し前くらいには行けるということだ。よくはないだろうけど、悲観的になる番号でもない。ところが実際に入ってみると、既に8割方は埋まっている感触だった。周囲の紳士たちも困惑していた。「おまえ何番? その番号でここかよ。スタッフが仕事してねえよ」と、不満の声が聞こえてきた。KYODO TOHOKUの兄ちゃんたちはまだ入場案内に駆り出されているようで、まだ誰もこっちを仕切っていない。でも開演前には前に詰めろという声が後ろから何度か聞こえてきた。数メートル前には行けた。それでちょうど真ん中くらいには行けた。私が立ったのは右端。横は黒いカーテンがあるだけで、壁にはなっていなかった。近くによく拝見する紳士。先週末のハロコンでも見たし、井上玲音さんのバースデー・イベントでも見た。私も誰かから「こいつまたいるのか」と思われているのだろうか…。

Juice=Juiceメンバーズの上半身は不自由なく見える、下半身はほぼ見えないけどお立ち台に上がったときには見える、それくらいの見え方だった。右端だったのでステージの右端にメンバーさんが来たときは比較的よく見えた。番号があんまりよくないときは、満遍なく見えにくい中央付近に行くよりは、端に行って部分的にでも見えやすい位置を探した方がいい。

コンサートの開始から、欠場中の宮本佳林さんを除く6名がステージに立っていた。このツアーは7月13日に名古屋で始まった。初日はオリジナル・メンバーズ5人のみの出場だった。7月17日の京都公演から段原瑠々さんと梁川奈々美さんも参加するようになった。とはいえお二人の出場ははじめは部分的だった。私はこれまでのところ7月17日に京都7月26日に吉祥寺で観させてもらったが、段原さんと梁川さんがステージにいたのは全体の3-4割程度だった。Twitterで見た情報によると7月30日の小樽での公演からお二人が全編を通して出場するようになったらしい。思えば私がこれまでに入らせてもらった公演では7月17日(京都)は段原さんと梁川さんがJuice=Juiceの単独コンサートに初参加、7月26日(吉祥寺)は宮本佳林さんが欠場、今日(8月12日)は段原さんと梁川さんがフル出場(宮本さんは引き続き出演せず)と、毎度、出演者に関する何かしらの変化がある。

新メンバーズは初めからステージにいたが、4曲を終えてから彼女らが自己紹介をするという流れはこれまでと変わらなかった。
・段原さんは「仙台のおいしいものをたくさん食べて元気いっぱいです」と言ってから間を空けて「じゃけんね」という必殺技を出し、頑張ります的なことを言った。
・梁川さんは「この会場は私にとって思い出がある(観客の一部から『あー』という声。後から調べて分かったけど、嗣永桃子さんが引退を発表した場所なんだね)。牛タンのように旨味の詰まったパフォーマンスをしたい」と意気込みを語った。
・二人の所信表明の後、宮崎由加さんが「Juice=Juiceがこの会場に来るのは初めて。いつもはもう片方(Darwin、とメンバーの誰か)だった」ということを言ってから「それでは最初の曲…」と進めようとしたが間違いに気付いて「それでは次の曲」と仕切り直した。

・『チクタク 私の旬』で梁川さんがソロ・パートで口を動かしているのに歌声がスピーカーから出てこない。戸惑って、助けを求めるような顔でメンバーを見ていた。どうやら単にマイクの電源が切れていたらしく、次からは音が出ていた。
・『愛のダイビング』で宮崎由加さんが、冒頭の宮本佳林さんのパートで歌詞を飛ばしていた。「恋に落ちたそれはまるでりんごのよう」の「それはまるで」の部分が抜けていた。「それはまるで」だよゆかにゃ、夜公演では飛ばさないでね、と私は脳内で宮崎さんに伝えていた。

・段原さんといえば歌だが、ダンスも力強い。『大人の事情』で他のメンバーズと並んで踊っているとき、同じ振り付けなのに段原さんの動きがひときわ激しく見えた。長い手足。キレのある動き。ダイナミック。
・段原さんの歌唱表現力に疑いの余地はないが、声量に伸びる余地がある。そこが高木紗友希さんとの差。もう一段階、突き抜けてほしい。もっと私の心の中までガツンと来てほしい。段原さんが高木さんと双璧を為す存在になれば、Juice=Juiceは最強になる。

・高木紗友希さんがMVP。私は別に出演者たちに点数をつけながらコンサートを観ているわけではないが、たまに特定の子が際だってよく見えることがある。この公演で高木さんはいちばん楽しそうだったし、いちばん輝いていた。私が一番に支持している宮崎由加さんと同じくらい、いやそれ以上に注目してしまうほどだった。

・金澤朋子さん、美人。いつも美人であられるのだが、美人だなと改めて思う。しかもいい笑顔。

高木紗友希さんが、梁川奈々美さんに関するエピソードを切り出した。
・メンバー同士のLINEで、梁川さんがポケモンのスタンプを使ってくる(彼女は無類のポケモン好きで知られている)。でもそのスタンプのポケモンが分からない。最近のポケモンは知らない。以前のはやっていたから分かるけど。(隣にいた宮崎さんに同意を求めるが微妙な反応。昔もやってないから分からないという宮崎さん。)それを言うと、梁川さんが「ジェネレーション・ギャップですね」と目をキラキラさせて言ってきたという。(あまりに無邪気に言ってくるから)「うん、そうだね」となった。
・梁川さんはJuice=Juiceのメンバー一人一人に似ているポケモンを言える。植村あかりさんは○○(私が忘れた)。「るーちゃん(段原瑠々さん)はコロンみたいな」と植村さん。「ロコンです」と梁川さん。笑う植村さん。高木さん曰く、「新幹線で前の席にいたあーりー(植村さん)が『ねえ紗友希に似てない?』と言って猿のポケモンを見せてきた。ポケモンになってまで猿のキャラを守らなきゃいけないのかと。朋子だったら『そうだそうだー猿ー』とか言ってくるけどやなちゃん(梁川さん)は『そんなことないですよ』と気を遣ってくる」。梁川さんは同僚から猿のポケモンはないのかと聞かれても分からないと答えた。「本当は知っているのに」(高木さん)。「その辺は大人ですからね」(宮崎さん)

最後のコメント。
・段原瑠々さんは何度も詰まりながら「コンサートの前に嫌なことがあっても、コンサートで楽しくなれる」「次の公演も頑張ります!」と健気に締めくくった。
・梁川奈々美さんは「牛タンのような旨味を出したいと言いましたが、どうでしたか?」と声を聞く。そして「ジュースのようにフレッシュに、牛タンのようにジューシーに」やっていくという旨の発言を残した。コンサート冒頭のコメントを引っ張り出して回収しているし、私たちからの反応もしっかり引き出している。印象的なフレーズも用意している。コンサートのべしゃりってのはこうやるんだっていう型のようだ。
・コメントを発する際の段原さんの初々しさと、梁川さんの小憎たらしいまでのこなれた態度が対照的である。歌とダンスの表現力では段原さんが上回っているが、しゃべりになると段原さんが年相応で、梁川さんが異常に成熟している感じ。梁川さんはダンス、歌、体力と、トーク以外の面では全般的にJuice=Juiceの水準にはまだ追いついていない。
・高木紗友希さんは「昨日のHello! Projectコンサートで、つばきファクトリーがとてもよかった。私もつばきファクトリーを見習って、楽しくできたんじゃないかと思います」というようなことを言っていた。そんな心意気でやっていたというのを知り、私はびっくりした。今日は一段と楽しそうだなと思っていた。
・植村あかりさんは「牛タンスモーク、おいしいですよね。最近は食べていなかったんですけど、自分へのご褒美に買って食べたいと思います。仙台の牛タンはおいしい。牛タンの焼いたやつは食べた」という旨の談話を残した。
・金澤朋子さんは「今日は楽しかったです。ありがとうございました」的な感じで、他のメンバーズに比べてあっさりしていた。(今思えば、具合が悪くておそらくこれで精一杯だったのだ。後述するが夜公演で金澤さんは体調不良のため椅子に座っての出場だった。)
・宮崎由加さんは「仙台はおいしいものがたくさんある。昨日も今日もいただいた。宮本佳林ちゃんもいる7人でまたここに来たい。もっと上を目指します」ということを言った。

フロアの雰囲気は、平和だった。そんなに声が出ていない。京都では驚くほどに声が響き渡っていた『明日やろうはバカやろう』も今日は周りで言っている人が少ない。全体的に、まったり観ている感じ。これはこれで悪くない。

終演後の高速握手では特に言うことが思い浮かばず、「楽しかったです」で通した。高木さんが私がかけていたファッショナブルなメガネをご覧になってニヤニヤしながら「メガネだね!」と言ってくださった。宮崎由加さんは「あー、ありがとう!」と言ってくださった。15時53分くらい、退場。後から思ったが高木さんに「俺もつばき好き」とでも言えばよかったか。

終演後に1階の立て看板を覗いたら、


OPEN 13:30
START 14:00


OPEN 17:00
START 17:30

に修正されていた。

夜公演は17時開場、17時半開演だったが、16時10分くらいから階段に座って待った。どこかに行くには中途半端な時間の空き方だったし、雨が強くなっていたし、夜は番号がいいので『念には念』で早めに待機場所に陣取っておきたかった。27番ですよ。この番号は埼玉から仙台まで遠出するモチベーションになった。アップ・フロントさんに感謝。開場時間が近づくにつれ徐々に人が増えていき、座れなくなっていた。密集状態になった。1階分の踊り場に100人だから、結構なもんだよね。しかも人が通れるように片側は空けないといけなかったし。このままオタクに押し潰されて圧死したら最悪の死に方だ。近くで暑苦しい風体の紳士が暑い暑いと言っていた。昼公演を終えたオタクの熱で暑くなっているんだという冗談を誰かが飛ばしていた。それもあながち間違ってはいない。一日に二公演あるときは一回目がウォーミング・アップ的なところがあるのは否定できない。二回目の方が熱くなりやすい。開場前、チケットのミシン目をあらかじめ折っておけと、KYODO TOHOKUの兄ちゃんが何度も言っていた。

入場、ギリギリ3列目。右のお立ち台付近。私の一つ前の番号(26番)までは2列目にいたので、惜しかった。前に詰めろという声は聞こえない。昼より空いているのかな。宮崎由加さんの影アナが面白かった。やたらと甘噛み。我々から笑いが起きる。宮崎さん、途中からわざとらしくハキハキした言い方に変える。北朝鮮のアナウンサーまではいかないけど、声を張り上げている。それでも終盤に噛む。和む。そしてここで宮本佳林さんの欠場に加え、金澤朋子さんが体調不良のため椅子に座っての出場になる旨が発表された。

序盤の自己紹介で、段原瑠々さんは「この公演の前にフルーツを食べた。元気いっぱい」、梁川奈々美さんは「ついに念願のずんだシェイクをいただいた。ずんだパワーで頑張りたい」と、共にコンサートの前に摂取した飲食物に絡めて夜公演への意気込みを述べた。

3列目だったが、公演が進むにつれ前にいた植村あかりさんのファン(推定50代の男性)と金澤朋子さんのファン(推定60代の男性)がいい感じにずれて、実質2列目と言ってよい視界を得ることができた。前方で観させてもらうJuice=Juiceのコンサートは、至極。何というスペシャルなスペクタクル。毎回、見とれてしまう。

・梁川さんが人一倍、発汗していた。首、顔。

・金澤さんは公演を通して左端の椅子に座っていた。つらそう。声量は抑え気味。無理して笑顔を作っている感じ。でもそれが結果として優しい表情に見えた。本人はつらいんだろうが、柔らかい、包み込むような雰囲気があった。

金澤朋子さんに関するエピソードを披露する高木紗友希さん(金澤さんはステージから捌けていた)。エスカレーターに乗っているときに「紗友希の顔を見てるとさ、まんじゅうを食べたくなるんだよね」と言われたという。「聞いてください!」と梁川さんが割り込む。「私の顔を見てるとおにぎりが食べたくなると言われました」と同様の被害を報告する。「やなみんが『おにぎりに似てますか…?』と聞いたら、『白(顔)と黒(髪)だから』とかわけの分からないことを言っていた。そんなこと言うなら初めから言わなきゃいいのに」と高木さん。宮崎さんと高木さんが「朋子は思ったことを口に出してしまうんです」と言ってこの話を締めた。

・『愛のダイビング』の冒頭、歌い出す宮崎由加さんに「それはまるで」だからね…と昼公演の失敗を繰り返さないよう祈りながら見守っていたが、見事に歌いきったので私は脳内でガッツ・ポーズ。
・同曲の間奏ダンスでは「かーりん! かーりん!(宮本さん)」「さーゆき! さーゆき!(高木さん)」「ゆーかにゃ! ゆーかにゃ!(宮崎さん)」「とーもこ! とーもこ!(金澤さん)」「あーりー! あーりー!(植村さん)」の順番でメンバーさんたちが踊り、我々がチャントを被せる。「かーりん! かーりん!(宮本さん)」のところは、宮本さんの欠場中でも変わっていない。その箇所は段原さんと梁川さんの二人で踊っている。お二人は最後の植村さんのところでも再び登場する。宮本さんが戻ってきたらどうするのだろうか?
・二人目の高木さんがクラウチング・スタートのような体勢を取ったまま、立ち上がるタイミングを逸して出遅れていた。
・『チクタク 私の旬』は小刻みにソロ・パートが移り変わっていく。その度に、歌っているメンバーの方を同僚たちが向く。金澤さんが歌っているところで彼女が本来いる場所に向くけど「あれ? いない!」という感じになって、左端の椅子に座る金澤さんに身体の向きを変え直すのが可笑しかった。メンバーたちも笑っていた。

・宮本佳林さんが欠場、金澤朋子さんが体調不良となると、高木紗友希さんの存在感が際立つ。昼にも増して、圧倒的に目立った。昼に続いて夜も彼女がMVPだ。私はいつも終演後の高速握手で言うことが思いつかず困るのだが、今日は高木さんによかったと伝えたい。ステージで奮闘する彼女を観ながら、私はそう強く思った。こんなに握手で何かを伝えたいと強く思ったのは初めてである。今日の彼女はそれだけ私の心を打った。
・高木さんに限らず、Juice=Juice全員から伝わってくるものがあるコンサートだった。宮本さんがいないことと金澤さんが椅子に座っていることによって、ステージ・パフォーマンスの完成度は本来のJuice=Juiceに比べて落ちている。粗が出ている。でも、穴を埋めようとするJuice=Juiceのチームワークを感じたし、苦しい状況を彼女たちが楽しんで乗り越えようとしているのがよく分かった。いつもの完璧なグループによる完璧なコンサートとは違う意味で印象に残る公演だった。

・最後のコメントで段原さんが「私は金澤朋子さんの歌声が好きなので、一緒のステージで歌声を聴けてよかった」という旨のことを言った。椅子に座った金澤さんは「ありがとうございます」と頭を下げた。後に高木紗友希さんが「金澤朋子さんの歌が好きでぇ~」と声色を作って真似していた。
・植村さんは「新メンバーに感謝したい。二人がいなければステージにたつのが三人になるところだった」という旨のことを言った。他のオリジナル・メンバーズはそうだよねえという感じでしみじみ頷いていた。
・「特別な公演に、結果としてなってしまった」という宮崎さん。金澤さんの不在を埋めるべく、公演中にお立ち台に上るタイミングを適宜、自分で判断していたという新メンバー二人を褒めて、出来る後輩を持ったなと思いますと、満足げに語った。

段原瑠々さんと梁川奈々美さんが、この短期間でJuice=Juiceにブレンド・インしている。5人+2人という感じではなくなってきている。二人が完全に融合して、なおかつ宮本佳林さんも戻ってきたら、物凄いグループになる。

終演するや否や私の近くにいた宮崎由加さんのファンが「やべえ俺やなみん推すわ」と言っていて、私は笑った。

終演後の高速握手では、段原さんに「ダンスも格好いいね!」と申し上げた。「ありがとうございます」と嬉しそうな表情を浮かべてくださった。梁川さんには「汗っかき?」と聞いた。うまく聞き取れなかったようだが、はいと頷いていた。植村さんとは言葉を交わす時間がなかったが、笑顔をくださった。金澤さん、てっきり握手会には不参加かと思ったが椅子に座って参加されていた。「無理しないでね」と伝え、「ありがとうございます」と返してくださった。「今日、高木さんが一番よかった」と高木さんに言うと「本当? ありがとう」と返してくださった。高木さんに言葉をかけたことで最後の宮崎さんは本当に一瞬になってしまったが「あー、ありがとう!」という感じのことを言ってくださったと記憶している。5人いて3人とは意志疎通を図れた。接触の技量に難がある私としては画期的である。

終演後、私は付近のストリートをさまよい、迷った挙げ句、「福光(ふっこう)」という店に入った。炭焼きのはらみ(豚、鶏、牛)を専門とする飲み屋。半信半疑で入ったけど、大当たりだった。一人だけの“Fiesta! Fiesta!”が始まった。お通し、枝豆、ニラキャベツ、豚ハラミ、鶏ハラミ。大冒険ハイボール520円ってのが、イイ…。メニューの説明によると冒険ハイボール(焼酎純35度+ウイスキー+炭酸)460円の、お酒量大盛。「富士山麓樽熟ウイスキー50度使用」だそうだ。でっかいジョッキで来た。量があるしアルコホールもクるし一杯で満足できる。というか二杯飲んだら宿に帰れなかっただろう。マジで一杯でかなり酔った(20時7分)。酔った(20時10分)。気持ちよすぎる(20時13分)。最高だ(20時14分)。すげえ酔った(20時15分)。3,208円を払って店を出る(20時16分)。本気で酔った(20時21分)。食いモンも全部うまかった。一杯でこんなに酔うとかあり得るのか(21時6分)。またあの店で飲みたい。

2017年8月13日日曜日

こぶしファクトリー井上玲音バースデーイベント2017 (2017-08-07)

アリとキリギリスどっちがどっち
アリとキリギリスどっちがどっち
アリの寿命は2年あるけど
キリギリスの寿命は2ヶ月

アリとキリギリスどっちがどっち
アリとキリギリスどっちがどっち
アリの寿命は2年あるけど
キリギリスの寿命は2ヶ月

だったら遊ぶよね普通は
だったら遊ぶよね普通は
働いてる場合じゃないよね
働いてる場合じゃないよね

日本人の寿命はどれくらい
大体100年くらい
日本人の寿命はどれくらい
大体100年くらい

だったら遊ぶよね普通は
だったら遊ぶよね普通は
働いてる場合じゃないよね
働いてる場合じゃないよね

だったら遊ぶよね普通は
だったら遊ぶよね普通は
働いてる場合じゃないよね
働いてる場合じゃないよね

だったら遊ぶよね普通は
だったら遊ぶよね普通は
働いてる場合じゃないよね
働いてる場合じゃないよね

8月7日(月)、私が出社してはじめに行ったのが、本日は所用のため15時半に帰るという旨のメールを部署の全員に配信することだった。こういうのは最初に宣言しておくのがいい。所用とは、こぶしファクトリーに所属されている井上玲音さんのバースデー・イベントである。渋谷。Mt.Rainier Hall。8月5日(土)と6月(日)に計3公演のHello! Projectコンサートを堪能したばかりだというのに、今度はその翌日にファンクラブ・イベントを観覧するために仕事を早退するというのだから、呆れるばかりである。しかも井上さんは私にとって一推しというわけでもない。これを書いている8月13日に行ったハロプロ・ソートだと8位だった。上位には変わりないけどさ。そんな変則的な退勤をしてまで行くかよ、普通。いくら勤務の制度上は許されているとは言え、そんなんで労働者として成り立つのか。まじめに働け。

開場(17時半)の数分前にMt.玲音nier HallことMt.Rainier Hallに着いた。グッズ売場は誰も並んでいなかったが、いくつかの商品は既に売り切れていた。記念に写真の一つでもゲトッておこうかと思ったが、どれにするか決められなかったし、後で通販で買えばいいやと思って、買わなかった。結局、通販でも買わない可能性がある。この会場はビルヂングの6階。階段沿いに下に降りる形で、入場列。最後のお見送りの際に荷物を入れるゴミ袋に加えて、一枚の紙が渡された。○と×が印字されている。私がここに来るのは二度目だ。前回はつばきファクトリーのFCイベント。今年の1月。椅子が柔らかく、足下も広く、映画館のようで、足腰の衰えたジジイにはちょうどいい。快適。ステージも近くて見やすい。強制購入のドリンク・チケット500円で私が頼んだのはアイス・コーヒー(この最後の四センテンスの末尾を「い」の母音で揃えているのに気付いて。こういうのいちいち言わないからね)。

まず登場したのは鈴木啓太さん。浴衣っていうのか甚平っていうのか知らないけど、そういう服。靴は下駄。れいれいはすごく緊張してますと、舞台裏の様子を明かして、盛り上がる準備は出来てますか? ウェーイ的なよくある応酬を我々と交わしてから今日の主役を呼び込む。鈴木さんからの事前情報どおり本当に分かりやすいくらい緊張しているように見えた井上さん。白いスカート、上は紫。鈴木さんが初っぱなに質問(何かは忘れた)を投げかけると「緊張してるんです」と、聞かれている内容とは無関係な回答。「会話が噛み合ってない」と指摘する鈴木さんを、睨みつける井上玲音さん。「緊張してるの俺のせいじゃないでしょ」と鈴木さんが言うと、表情が緩んで笑った。その後にも「目が飛んでるけど大丈夫? 焦点が合ってない」と鈴木さんから心配されていた。

井上さんの誕生日は、7月17日だった。当日はどんな日だったのかと鈴木さんが聞くと、映画『JKニンジャガールズ』の公開日だった。ミニ・ライブで皆さんが紫のペンライトを掲げてくださった、と井上さんが答えた。「16歳になってやりたいことは?」と鈴木さん。「いっぱいある」と井上さんが考え始めると「逆にやめたいことは?」と質問を変えた。井上さんがやめたいのは、泣き虫。幽霊とか、電気が急に消えると泣いてしまう。「お泊まりの仕事のときはどうするの?」「田口夏実ちゃんの部屋に行きます」

バースデー・ケーキ。紫。「紫のケーキ、初めて?」と鈴木さんに聞かれた井上さん、「まあ…」という微妙な反応。チャオベッラ・チンクエッティからのビデオ・メッセージ。私はチンクエさんの識別がつかないので誰がどの言葉を発したのか分からないが「れいれいはナイス・ガール・トレーニーのときに私たちのバック・ダンサーを務めてくれた」「あの歳で色気だしすぎ」「もろりん負けてる」「うん、負けてる」というようなことを言っていた(文脈上、最後の発言主は諸塚さん以外にあり得ない)。正直なところ私にとってチンクエさんは“The Girls Live”でつまらない企画に登場しワックな曲を披露している集団というくらいの印象にとどまっている。ところが井上さんにとっては偉大な存在らしく、憧れの先輩ですと言っていた(憧れる対象がそこでいいのかと失礼ながら私は思ったが、おそらく歴史を知っていれば納得できるのだろう)。ビデオ・メッセージの中で誰かが「コンサート中にキック・ボードで移動する演出があったのだが、バック・ダンサーの井上玲音さんが乗りたそうな顔をしていたのでキックボードを譲って、行ってこいって送り出した」というエピソードを語っていた。それについて鈴木さんが聞くと、つい最近もそのときのDVDをお母様と観て「あー乗ってる」と言っていたばかりだと井上さんは答えた。

ファンからのリクエストや質問に応えていくセグメント。
・JKニンジャガールズの役を引きずって普段の生活で大阪弁が出てしまうことがあるか? 使ってみたい方言は?という質問。何でやねんが出ることはある。メンバー同士の会話で。使ってみたいのは「〜っちゃ」のような方言。「どこの方言?」と鈴木さん。客席から「博多」。「らむちゃんみたいな? 『うる星やつら』の。〜だっちゃっていう」と鈴木さん。反応が薄い井上さん。井上さんがらむちゃんを知らないことが発覚し、鈴木さんはショックを受ける。「俺このまま(このイベントの司会を)続けられねえわ」とまで言い出す。
・ぶりっこのれいれいが見てみたい、というリクエスト。顔を歪めて嫌がる井上さん。どうしたらいいのか分からない、と困惑する彼女を見て鈴木さんが台詞を考案する。それでも嫌がる井上さん。「嫌? 俺が考えたらこうなるの」という鈴木さんの筋書き通り「今日はバースデー・イベントに来てくれて、ありがとう! 来年も祝ってくれたら嬉しいな」的な台詞をやりきる井上さん。
・『闇に駆け抜け』二番の「かちかちバキューン」が好きなので、五連発してほしい、というリクエスト。少しずつ変化をつけて五回やるが、最後がコミカルになって「最後の何?」と鈴木さんに突っ込まれる。

入場時に配られた紙を使った○×クイズ。勝ち抜いた10名くらいに、井上さんが作った極小折り鶴が贈呈される。井上さんが折るのに時間を要したため開演時間が遅れたという。「今までのプレゼントで一番なくしやすいですからね、何で極小にしたのか」と鈴木さんが言って、ドッと笑いが起きる。
・第一問:井上さんは目玉焼きよりもスクランブル・エッグが好きである。「この時点で分かんねえわ」という声が近くから聞こえてきた。答えは○。理由は「おいしいから。好み的な問題」。私は正解。
・第二問:井上さんは今日ここに来る前にリップを買った。答えは、×。何も買っていない。私がここで脱落。井上さんのことはそんなに詳しく知っているわけではないし、私が何かの間違いで最後まで残るのも気まずい。ハーコーなファンに当選してほしい。最後まで残ったらプレゼントをもらう姿がDVDに残る可能性もあったので、それを避けることができて、ホッとした。
・第三問:井上さんがラーメンの具でいちばん好きなのはメンマである。答えは○。理由は「おいしいから」。「去年のバースデーもたしか俺が司会だったよね。そのときからトークの伸びしろがない」とたまらず指摘する鈴木さん。「もっと話を広げて。シャキシャキしてていいんですよ、とかさ」「歯応えですね」「俺の言ったまんま?」
・第四問:井上さんは最近スマフォのケースを変えた。色は紫である。答えは×。正解はピンク。「別に(メンバー・カラーの)紫で統一するわけではないと」「はい」
・第四問:井上さんは高級トマトと普通のトマトを食べ比べてどちらが高級か分かる。実際にトマトが運ばれてきた。井上さんはトマト好きを公言しているらしい。私はそれすら知らなかった。残った人たちの大半が○を上げているのを見て「みんなれいれいを信じてるんですね。×を上げてる奴らは何なんだ!」と鈴木さん。片方が440とか450円とかその辺で、もう片方がたしか44円だったと思う。結果は、×。井上さんは、安い方を高級トマトと言った。
・この四問で○×クイズは終了。正解者にはステージ前で(ステージには上がらない)井上さんから直接、折り鶴を手渡し。いくつか余ったのでその分をジャンケンで勝ち残った人に贈呈。私は初戦で敗退。

歌セグメント(ミニ・ライブというのが通例だけど、コンサートのことを「ライブ」っていうのはおかしい。Liveって名詞じゃないからさ。ライブ・パフォーマンスのような使い方をするんだよ)のセットリスト。
“Love Innovation”(モーニング娘。)
“Be Alive”(モーニング娘。)
『未来ドライブ』(Buono!)
都会っ子 純情』(℃-ute)
・16歳になったから、私の16(いろ)んな面を見せていきたいと思って選曲した、という井上さん。本イベントで数少ない、彼女による中身のある発言の一つである。
・はじめの三曲はどちらかというと井上さんの歌声をじっくり聴いて、最後の『都会っ子 純情』で盛り上がるという構成はよかったと思う。
・井上さんの持ち味からすると、個人的にはトークをもう少し削って、あと一、二曲くらい聴きたかったかな。
・見抜いてほしい、見抜いてほしいを連発してましたねえという感じのことを言ってから、「トークの幅を広げてほしい」と最後に再度、注文をつける鈴木さん。井上さんはちょっと拗ねたような感じで間を置いてから、「たしかに」。

最後の高速お見送りでは他の99%の来場者と同様に「おめでとう」と言って、他の99%の来場者と同様に「ありがとうございます」と返してもらった。15時半に退勤したけど、渋谷で井上玲音さんを鑑賞して家に帰ると一時間以上は残業をしたくらいの時間になるんだから、胸を張っていいんだよ。

2017年8月12日土曜日

HELLO! MEETING (2017-08-06)

正式な支店名は知らないんだけど池袋駅の北口にあるコメダ珈琲店は、階段を上がったところに入り口がある。2階がぜんぶ禁煙席で、まずそこから案内される。2階が埋まると3階に行けと言われる。今朝は目覚まし時計なしで会社がある日よりも早く起きて家を出た。7時半頃には店に着いた。この時間だとまだ空いているので2階だった。この階には厨房がある。店員同士による業務上のやり取りが聞こえてくる。給仕係がキッチンに注文を伝える際にヌキという言葉を多様している。シロップ抜きのことなんだろうがモヤモヤする。『グランギニョル』のブログ記事を完成させ、投稿した。J.D.Vance,“Hillbilly Elegy”に筆者がロー・スクールで宿題の書き物を提出したときに教授から「これはパラグラフではなく何のまとまりもないセンテンスのゲロである(たしかa vomit of sentencesという表現だった)」的な苛烈なコメントを受けたという話がある。このくだりが私は強く印象に残っていて、ブログを書いているときによく思い出す。

10時半ごろに中野サンプラザの前に到着。グッズを買うつもりだったが人だかりを見て、断念。一時間とかそこらではとても販売窓口にたどり着けそうにない。しかもこの炎天下。たかだか数枚の写真。時間と労力が割に合わない。中野ブロードウェーを散策。Twitterのダチ二名(斎藤潤一郎さん木下竜一さん)による作品が掲載された漫画雑誌『架空』が「タコシェ」という店で販売されているようだ。店の場所は分かったが開店が12時だった。後で来ることにした。地下の食品売場には安い総菜がたくさんあった。この付近に住んだら快適そうである。商店街のCafe Miyamaでアイス・コーヒーをいただいて、涼む。初めて入ってみた「縁」という焼き肉屋でみそハラミ定食800円。くず肉っぽかったがくず肉なりのおいしさがあった。

コンサート会場前に戻るとグッズ列はだいぶすっきりしていたので、並んだ。MC松島さんによるKEN THE 390さんのビート・ジャック『#スーパーたけし』を聴く。昨日に続き、ただ立っているだけで汗が頬を伝ってTシャツと地面に落ちた。9曲目で室内へ。今日は宮崎由加さんと小野瑞歩さんの日替わりは買わないで、ハロコンくらいでしか買う機会のないメンバーさん例えば牧野真莉愛さんあたりをイクつもりだった。ところがTwitterで目にした宮崎由加さんの日替わりが思わずニヤついてしまう出来で、これは外せないなと考えを改めた。宮崎由加さんと小片リサさんのを買おう。どちらかが売り切れていた場合は高瀬くるみさんのを買うとあらかじめ決めておく抜かりのなさ。俺の長年のキャリアが生んだバリア。結局、小片リサさんが売り切れていた。宮崎さんと高瀬さんの日替わりを購入。13時11分。そこから「タコシェ」に行って、『漫画雑誌 架空 No.15』と『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』をゲトった。ちょっとお金を使いすぎている。

演劇の世界では一日に二公演ある場合はマチネ(昼公演)、ソワレ(夜公演)というが、三公演のときはマチネ(朝公演)、ジュルネ(昼公演)、ソワレ(夜公演)になるらしい。今日は三回ある。開演時間がそれぞれ11時半、15時、18時半。私が観させてもらうのは15時のジュルネのみだ。一日に一公演だと気が楽だ。今日は13列目でね。後半ブロックのいちばん前。すぐ前の通路にメンバーさんたちがいらっしゃる。数年前に降臨が恒例になってから中央の通路を挟む席の価値は一気に跳ね上がった。白髪まじりの中年紳士が「ここはめっちゃいい席。2-3万するよ。俺は再来週、ここ」とお友達に言いながら通り過ぎていった。

隣の席にいた中性的な青年。鑑賞スタイルはおとなしかったけど当たり前のように私の領域にはみ出してきた。せっかくの素晴らしい席だったが彼のせいで窮屈になって、少し気が散った。彼はたまに気が付いて自分のエリアに戻るんだけどそれは一時的で、時間がたつとすぐこっちに寄ってくる。たぶん知らず知らずのうちに。骨盤が歪んでいるのかな。カラダ・ファクトリーで診てもらえ。お金はかかるけどね、いいよ、カラダ・ファクトリーは。私は最近、中途覚醒が毎日のように続いていたので快眠整体というコースで入ってみた。4-5回通うと眠りがよくなってきたし、慢性的だった背中の痛みも軽くなって、色々と調子がいいぞ。

新加入組のトークは高瀬くるみさんがフィーチャーされた。彼女はパンダが好き。リアルなパンダのパーカを2着もっている(ちなみにフッドのついたスウェットシャツのことを英語ではparkaではなくhoodieもしくはhooded swearshirtという)。パンダの靴下は10足以上。人にプレゼントをあげるときもパンダ関係。高瀬さんから靴下をもらったことがあるという一岡伶奈さん。「可愛いですよね?」と聞く高瀬さんに「…うん」と微妙な反応の一岡さん。「可愛いのにー」とぶりっこの入った悲しそうな表情を見せる高瀬さん。「パンダのどこが可愛いの?」と山木梨沙さん。不躾な質問に観客がちょっとどよめく。動じずに答える高瀬さん曰く、白と黒のバランスがいいのだという。「オセロは可愛いと思う?」と小関舞さん。「思わないです」。「モノクロ写真は?」とかぶせる山木さん。「思わないです」

山木梨沙さんと小関舞さんが楽屋で聞いてきたどうでもいい情報。
・モーニング娘。の飯窪春菜さんは最近、後輩メンバーに洋服のお下がりをプレゼントした。そこに(同期の)石田亜佑美さんが混じってもらっていた。「さすが倹約家ですね」と小関さん。「私たちもらってないけど…」と山木さん。「次の中野(8月19日・20日のハロコン)に期待ですね」と締めくくる小関さん。
・モーニング娘。の佐藤優樹さんは電車で本駒込と駒込を通ったとき、「どっちが本物の駒込?」と気にしていた。どっちが本物なんですかねと山木さん・小関さんから振られたまことさんは、本駒込が本物だと断言するが観客からエーイングを受けて「両方、本物ですね」と日和る。「さすが、視点がアーティスト」と舌を巻くまことさん。

・小田さくらさんの雰囲気が萩原舞さんっぽい。歌は別としても、髪の色とか長さとか、佇まいが。
・シャッフル・セグメントにおける田口夏実さんの衣装をじっくり鑑賞しなければならないのだが、問題は小野瑞歩さんが同じ曲に出演されているということ。なるべく二人が同時に双眼鏡で視界に入るようにするのだが、視界に入れるのと凝視するのは違う。二人を同時に凝視しようとすると中途半端になる。同様の問題が井上玲音さんと宮崎由加さんが同時に出演される曲でも起きる。
・見せ場のソロ・パートで歌詞を飛ばす佐々木莉佳子さん。画面に大写しになった、しくじりを誤魔化すような絶妙な表情で帳消し。と思いきや数秒後に右側からササッとスタッフが走ってきてマイクを交換していたので、佐々木さんのミステイクではなくマイクの故障だったのかもしれない。

Juice=Juiceのトーク・セグメント。
・「皆さんにお願いがあるんです」と梁川奈々美さんが切り出す。彼女が言うには、私はマスコット体型と思われがち。たしかにJuice=Juiceに入ると周りの皆さんはスタイルがいい。スラッとしている。でも私も身長比でいうと手足は長い。ポージングを始める梁川さん。「そんなことない」と割って入る小関舞さん。私の方がスタイルがいい、と対抗する。「小関さんのような勘違いをされている方が…」と梁川さんが言って観客がドッと沸く。どうですかとまことさんが宮崎由加さんに振る。「やなちゃんには不器用なままでいてほしい」という宮崎さん曰く、梁川さんが前髪を作り始めたのは最近。はじめの頃はユニークな前髪になっていた。どうしよう…と見るに見かねて「私がやってあげようか」と言ったら受け入れてくれたので、かわりに前髪を作ってあげた。でも最近は自分で出来るようになっている。不器用なままでいてほしい。
・段原瑠々さんは、私はくっつきグセがあるのでJuice=Juiceはくっつけるお姉さんがたくさんいて嬉しい、とはにかんだ。高木紗友希さんが「Juice=Juiceにはあまりくっつかないんですよ。ハロコンで研修生に会うと堀江葵月ちゃんとかにくっついている。私たちにはあんまり来ない」と言った。「Juice=Juiceの中では誰がくっつきやすいの?」とまことさんが聞くと「植村あかりさんです」と段原さん。ガッツポーズの植村さん。二人で抱き合って、そこに高木さんと宮崎さんが加勢して一つの塊になる。(観客から見て)左端にいた金澤朋子さんはちょっとぎょっとしたような表情になって、一歩引いて、輪に加わらない。「後で、楽屋でくっつきたいと思います」

つばきファクトリーがモーニング娘。を後ろに従えて『就活センセーション』を歌ったとき、ある異変に気付いた。小野瑞歩さんがお召しになっているシャツのボタンが一つ外れていた。スカートの上から出ている部分で下から三つ目だったか。この曲が終わると一旦はけて、すぐにこぶしファクトリー『シャララ!やれるはずさ』のバックダンサーとして戻ってくるのだが、ボタンは外れたままだった。その状態で力いっぱい飛び跳ねて腕を上下に振って踊るもんだから、気になって気になって。何がとは言わないし、詳しいことは書かないけどね。曲どころじゃなかった。コンサートどころじゃなかった。稀少。奇跡。衝撃。私はこの子を推すんだ、と改めて確信した。

私は今日、ピンクの宮崎Tシャツを着ていた。昨日は2公演とも小野(瑞)Tシャツだった。最後の曲でステージから中央通路に宮崎由加さんが歩いて来られた。私が手を振ると「あー!」という感じのお顔で目を合わせて手を振ってくださった。宮崎Tシャツにしてよかった。ところがその数秒後、よりにもよって小野瑞歩さんが私のすぐ右斜め前にお越しになって数秒間とどまっていた。私の被害妄想かもしれない(そうだと願う)が、小野さんは私が着ていたピンクのTシャツに気付き、苦笑いをして目をそらしたような気がした。いや、違うんだよ、みずほ…。これはね…。Hello! Projectで一番好きな宮崎由加さんからいわゆるレスをちょうだいした嬉しさと、Hello! Projectで一番好きな小野瑞歩さんがすぐ近くに来られた嬉しさと、小野瑞歩さんの前でデカデカと「宮崎」と印字されたTシャツを身にまとう気まずさ。わずか十数秒の感情の振れ幅が大きく、精神的に疲弊した。何が正解だったのだろうか、私は自問した。仮にあそこで小野(瑞)Tシャツを選んでいたら宮崎さんからのレスはなかったし…。

本当に楽しかった。スペシャルな経験をさせてもらった。最後の葛藤にしても、随分と贅沢な悩みだよ。普通の席じゃ味わえない。「もう少しで40歳になりますけどもマジになる瞬間なんて人生でそんなに無い」(8月8日深夜放送、テレビ東京『フリースタイル・ダンジョン』より)。般若さんにとってのフリースタイル・ダンジョン。私にとっての8月6日のHello! Project 2017〜HELLO MEETING〜。

贖罪も兼ねて、終演後にストリートのイリーガル・フォトグラフ・ハスラーから小野瑞歩さんの写真(私が行けなかった6月の研修生発表会のときの)を買った。が、これ小野さんにもアップフロントにも1円も入らないから意味ないじゃないか。そういや今日のハスラー、2009年のBerryz工房コンサートの嗣永桃子さんというレア物を出していた(昨日もあった)。

新日本プロレス・ヨシタツ似でお馴染みのつばきオタクさんはこの公演でも最前にいた。“The Girls Live”は最前おまいつたちの闇を追いかけろ。私はとても気になるよ。彼らの職業。生活。資金源。手口。チンクエさんのインスタ映えよりもずっと大事だろ? あの枠にチンクエさんを出すんならさ、YouTubeかDVD MAGAZINEでやってりゃいいようなヌルい企画じゃなくて、彼女たちがHello!現場でおまいつたちに突撃取材する模様を流してほしいよ。

2017年8月10日木曜日

HELLO! MEETING/HELLO! GATHERING (2017-08-05)

8時。池袋のコメダ珈琲店でアイス・コーヒー。トースト。ゆで卵。森拓郎さんの『ヤセたければ走るな、食べろ!』で朝にゆで卵を食べることが推奨されていた。実は喫茶店のモーニングってバランスのよい朝食なんじゃないか。同書には肉、魚、卵を中心にタンパク質を最優先して摂れと書いてあった。ゆで卵の他にスクランブル・エッグやオムレツもレコメンドされていたが、なぜか目玉焼きは太りやすい食べ物として触れられていた。理由は書いていなかった気がする。『グランギニョル』のブログ記事を途中まで書く。520円。値上げしたようだ。

10時半。吉祥寺で髪を切る。何もなければあと1-2週間後でもよかった。小野瑞歩さんとの写真撮影が8月19日に控えている。パーマが落ち着く期間を取るため2週間前に美容室に来ることにした。「何か夏らしいことはしましたか?」とHさん(いつも指名している美容師さん)に聞かれる。「バテてましたね」と答える。ここ数日はマシだけど7月はあり得ないくらい蒸し暑かったですからねとHさん。「年寄りになったら夏に死ぬと思うんですよね。耐えられなくなって」というMy Visionを発表すると「もうそこを考えてるんですか」とHさんは笑った。「あとは夏らしいことといえば、スイカを食べたり、カルピスを飲んだりですかね」。

12時半。ピザが食べたくなって、久し振りに「ラ・ベファーナ」。前に来たのはいつだろう。半年前か、一年前か。お昼時はいつも繁盛していて入店待ちの列が出来ていたが、今日は空いている。たまたま何かの巡り合わせでスッと入れたのか、お店の人気が落ちたのか。味は落ちていなかった。客が入ってきたときや注文を厨房に伝える際に店員同士がイタリア語を交えてコミュニケイトしている。こういう店に入ると、「お一人様ご来店です」「いらっしゃいませ」的なことを言っていると見せかけて実は「キモ・オタクが一人で入ってきたぞ」「早く帰らそうぜ」的なことを言っているんじゃないかと想像する。

13時28分。中野サンプラザ前に到着。グッズ列、そこまで並んでいない。ざっと見るかぎり開演までに買えそうだ。暑い中、長時間ならぶのもアレだしグッズは放棄してもいいかなと思っていたが、買うことにした。井川意高さんの『溶ける 大王製紙会長 井川意高の懺悔録』を読みながら待つ。

13時40分。グッズ列の左に、エスタシオンが入場列を作り始める。その前から自然発生的に非公式な列が出来ている。

14時3分。開場。暑い。顔から汗が垂れてくる。iPhoneが熱くなって、電池がおかしくなっている。26%で電源を切り数分後に入れ直したら21%になっていた。

14時24分。席に着いて、宮崎由加さん、小野瑞歩さん、高瀬くるみさんの日替わり写真をアルバムに収める。高瀬さんの日替わりはパンダが扇風機に向かって「ア゛ア゛ア゛~」と言っている絵が描いてある。いいよ。今回のハロコンは高瀬くるみさん、清野桃々姫さん、一岡伶奈さんの日替わり写真がある。4枚だけ買ったコレクション生写真の一枚が小野瑞歩さんだった。

14時26分。「日替わり写真の小片リサさん終了です」という声が聞こえてくる。席が27列(最後尾が32列)なもんで、グッズ売場に近い。

14時29分。「日替わり写真 山木さん終了です」という声が聞こえてくる。

14時39分。同じ列に「どっこいしょ」と大きな声を出しながら座った紳士が二人いた。

HELLO! MEETING 15時開演

・各グループの紹介映像が出てくる冒頭、右のひな壇。植村あかりさんと宮崎由加さんのいちゃつき。植村さんが後ろから宮崎さんの両手を取って音楽に合わせて上下に腕を動かす。ノリノリの宮崎さん。
・『世界はサマー・パーティ』での山岸理子さん。華奢でか弱そうな彼女が力一杯の笑顔と大きな動きで踊っているのを観ると何かゾクゾクする。
・牧野真莉愛さんの圧倒的な輝き。ステージに多人数がいてもこの一人だけを観ていれば問題ないと思わせる。
・各グループが自分たちの曲を披露し、他のグループがバックダンサーを務めるセグメントはハロコンならではのよい企画だった。
・『就活センセーション』でつばきファクトリーのバックダンサーにモーニング娘。という絵。この曲を踊る牧野真莉愛さんを観られるのはこのハロコン限りだろうと思うとつばき本体よりも牧野さんばかりを観てしまう。そういえばこの曲をつばきファクトリーがスーツ姿でパフォームするのを観るのは、私にとって初めてだった。
・こぶしファクトリーの『シャララ!やれるはずさ』のバックダンサーをやっているときの小野瑞歩さんの弾けんばかりの快活さ。
・岸本ゆめのさんの笑顔とスタイル。
・小片リサさんの優美な身のこなし。
・コンサートを通して、歌い出しで声が出ていない箇所がいくつか。緩慢さを感じる。

・小関舞さんと山木梨沙さんが楽屋で聞き取ったどうでもいい情報を披露するセグメント。佐々木莉佳子さんは背が伸びてきて、電車でつり革に頭がぶつかるようになった。船木結さんは絶対にぶつからないのに屈んでつり革をよける仕草をする。船木さんはこれ以上、背が伸びないとお医者さんから言われている。

・新日本プロレス・ヨシタツ似でお馴染みのつばきオタクさんが最前で飛びまくっていた。27列目からでもよく見えた。この青年、私は最前以外で観たことがない。

・Hello! Projectの正規メンバーに加わった高瀬くるみさん、清野桃々姫さん、一岡伶奈さん、段原瑠々さん、川村文乃さん。自己紹介の後、五人による新曲を披露。高瀬さんと清野さんは「Hello! Projectの新しいセクションで活動することになりました」と言っていた。この「新しいセクション」へのお二人の配属を五月(Hello! Project研修生発表会2017~春の公開実力診断テスト~)に発表しておきながらまだそのセクションの詳細を決めていないなんて本当に場当たりだな。
・上記五名の新曲は、星部ショウさんによる作詞作曲。誤爆、go back、5秒前に戻りたい、と揃った子音が耳に残る。曲調もファンキーでなかなか私の好みな感じ。フックのユニゾンが気持ちいい。

・ハロプロ研修生、緑のチア・リーダー風の衣装。まことさん曰く「『今日から衣装が変わったの?』と研修生たちに聞いたら嬉しそうに『はい』と言っていた」。悪くはないが、おへそを出さないのはハロプロの理念に対する冒涜。今後もし研修生の公演でこれまでのあの衣装が使用されなくなるのだとすると、残念である。

・つばきファクトリーのトーク・セグメント。ヘルニアで様子を見ながらの活動をしている浅倉樹々さんがトークだけに登場。自身の身体について「少しずつ治っています」と言って我々から温かい拍手を受ける。「成長期なんだから骨はしっかり治さないと」とまことさん。
・小片リサさん曰く、ふだん肉はあまり食べない。魚派。先日、北海道でジンギスカンを食べて肉いいかもと思った。でも食べられる肉と食べられない肉がある。叙々苑の焼き肉弁当やA5ランクの肉は食べられる。「舌が肥えてるだけじゃないですか」と突っ込む山木梨沙さん(彼女と小関舞さんがまことさんの司会アシスタントを務めた)。高級なものしか受け付けないと小片さん。岸本ゆめのさんが手を挙げて「私は逆です」。曰く、私はお風呂の扉が7年間壊れっぱなしの家に住んでいる。たまにお母さんが奮発していい肉を買って焼いてくれるわけじゃないですか(「給料日とかね」と浅倉さん)。半分で気持ち悪くなるんです。私が食べている肉はCランクです。Cランクの素敵なお肉。その他に挙がった話としては、小野田紗栞さんは焼き肉屋に行くとタンばかり頼むのだという。

・どういうわけかあんまりワクワクできなかった。コンサート経験としては50点(コンサートが50点だったわけではない。あくまで私がどれだけ楽しめたか)。なぜかやたらと足が痛い。左足裏のかかと。一部の負傷者を除きHello! Projectの全員が集結しているにのに、きらびやかさがグループの単独コンサートよりも薄まっているというか、Hello! Projectを一つに繋ぎ合わせる何かが不足しているというか。6回も観るのはきつくないか…。

・チンクエさんのシングルCDが大量に「ご自由にお取りください」と書かれた箱に入れられている様を「これぞチンクエさんお得意の“インスタ映え”する写真だなw」というコメントを添えてTwitterに投稿しようとしたところiPhoneの電池が切れて写真を撮り損ねた。5%の状態から電池を切ったらその直後にはもう電源が入らなくなった。

・泰陽飯店。牛肉と玉ねぎの炒め物。一口目はおいしいと思ったがカップ・ヌードルの味に思えてきた。化学調味料か。

HELLO! GATHERING 18時半開演

・初っぱながダンス部だった。HELLO! MEETINGでは中盤の方だった。ダンスの内容は同じ。佐々木莉佳子さんはレース越しにおへそが見えていた。石田亜佑美さんも。牧野真莉愛さんはヴァイブスもあるし身長が高いから、こういう集団芸でもパッと見で目立つ。

・ダンス以外にも、シャッフル・セグメントも同じだったし、Hello! Projectの新正規メンバーたちが新曲を披露するのも同じだった。MEETING公演とGATHERING公演は完全に異なるコンサートではなく、重なる部分が多かった。それだったら別に無理に二種類にせんで、一種類でいいような気もするが。

シャッフル・セグメントの衣装はメンバーたち自身で選んだとまことさんが説明。昼にはこの説明はなかった。印象に残った何人か。
・勝田里奈さん:アディダス?のワイドな黒トラック・パンツに黒の開襟シャツをタック・イン。この難易度、普通の人が真似したら痛くなりそう。
・田口夏実さん:デニムのショート・パンツ。上にシャツを巻いている。へそ出し。上はぴったりした白い布。Twitterで複数の紳士たちが話題にしていた。
・井上玲音さん:上下に分かれた白。おへそちょい出し。

・Juice=Juiceが『バッチ来い青春!』(こぶしファクトリー)をカバーしていた。間奏でオリジナルでは「かっとばせー、りーおーちゃん!」と我々が叫ぶところ(藤井梨央さんが脱退した今、ここは誰になったのだろう)は植村あかりさんがバッター役だったので「あーりー!」になった。私は追いつけなかった。よくみんな咄嗟に分かるな。
・Juice=Juiceの新曲“Fiesta! Fiesta!”はMEETINGでもGATHERINGでも披露されたが、衣装が違った。こっちのGATHERING公演の赤い衣装がどうやらこの曲の正式な衣装。MEETINGのときは緑っぽい衣装だった。

・同じ曲の一番と二番でグループが交代するセグメントがあった。いいアイデアだ。細切れのメドレーのように曲の世界がぶつ切れにならないからだ。

・Hello! Project新正規メンバー五人が曲を披露する前のトーク。川村文乃さんが色んなダンスができるということで「バレエっぽいジャンプ」を披露した。凄い!と感心してから「なんでHello! Projectに入ろうと思ったの?」と聞く山木梨沙さん。唐突な質問に苦笑する川村さん。高知県にいてどういうきっかけでHello! Projectに入ることになったのか、山木さんとしては気になったらしい。川村さん曰く、よさこいの大会に参加したときに、後列に回された。よくない位置だったので悔しくて、次は前に行けるようにとダンスを習い始めた。それでアイドルに興味を持った。高知県の方言はどういう感じ? という話になって、「…やき」と言うんですと川村さんが答える。可愛いと反応する山木さんに小関さん。同じステージには広島弁を武器にしている段原さんがいたのに、方言の話を彼女には振らなかった。この辺がまことさんの限界である。まあ、時間の制約もあったんだろうが。
・この五人だと段原さんがダントツで自信に溢れているし、他の四人を引っ張っている感じがする。
・曲の中で、メールを間違った相手に送ってしまいショックを受ける箇所で、清野桃々姫さんがコミカルな表情を見せる。思わず笑ってしまう。8月11日に配信開始とスクリーンに表示されていた。mp3で聴くのが楽しみだ。
・高瀬くるみさんが、まだ詳しい処遇は未定とはいえHello! Projectの正式メンバーの一人としてハロコンで躍動しているのが、私は嬉しい。誤爆の歌だけじゃなく、シャッフルにも参加していた。

・昼と夜で、まことさんのスーツが違った。昼はカラフルな柄がついていた。夜はグレーのチェック。まことさんのスーツを見て、「お揃いですね」と赤いチェックのロングシャツ的なものを見せる小関舞さん。山木梨沙さんが悔しがって共通点を探し、黒の靴がお揃いです、と靴をまことさんの靴に寄せる。小関さんも黒い靴を履いていたので、私も、と足を近づける。「カントリー劇場ですか」と呆れ気味のまことさん。

・まことさんが最後のサツアイ時にHello!をハレオ…のように噛み、観客からエーイングを受ける。「聞いてるなあ…」と苦笑いを浮かべるまことさん。笑いが起きる。まことさん曰く、ステージ裏の会話を聞いていると「ちょっと太っちゃった」等とメンバーたちは言っている。彼女たちも普通の乙女。皆さんを楽しませるために青春を懸けている。これからも温かく応援してあげてほしい。我々、拍手。

・昼のMEETING公演では一曲目の『初恋サンライズ』にメンバーさんが降臨されて、最後にも降臨があったが、GATHERING公演では最後だけだった。私の席は15列だった。後半ブロックの最前が13列だったので、私の前に二列を挟んで通路をメンバーさんたちがお通りになった。私の左斜め前にお立ち台があって、そこに上國料萌衣さんと牧野真莉愛さんが数分間に渡って、お二人でお立ちになっていた。すげえ…と思った。間近に上國料さんと牧野さんがおられる。顔の小ささと造形の非現実性。『リズムが呼んでいるぞ!』で我々がクラップをしたときに牧野さんが見せた、よく出来ました的な表情と仕草。フィクションがそこで動いている。
・最後の曲は全員での『ドンデンガエシ』。最高。私としてはセット・リストが全体的にMEETING公演よりもしっくりきた(とはいっても前述したように重なる部分も多いのだが)。こっちの方がずっといい。昼の堪能度が50点だったとすると、夜は75点。

・最後は各グループのリーダーたちが一言ずつ発してグループ毎に捌けていった。山岸理子さんは『就活センセーション』の「よろしくお願いいたします」の部分を口ずさんで、これからもつばきファクトリーをお願いします的なことをおっしゃった。和田彩花さんは「なかの、のなかの、なかのさんぷらーざー」と元℃-uteの鈴木愛理さんが作詞作曲した『中野サンプラザの歌』を歌った。譜久村聖さんは「おつかのんでした」と元モーニング娘。鈴木香音さんの決まり文句で締めくくった。どうやら今日が鈴木さんのお誕生日らしい。終演してまもなく、時計を見ると20時17分。

・NHKもさ、やたらと金髪率の高いHello! Project現場の最前常連組とか各グループのおまいつたちの生態に関する調査報告のような、そういう公共性の高い番組を流してくれればこっちも少しは納得して受信料を払えるってもんだよ。

・今日最大の誤算は、中野サンプラザの前でアンジュルムの新曲シングルCDを誰も配っていなかったこと。ただでもらう気満々だった。

・世界が賞賛するニッポンよりも、私が賞賛するHello! Projectの方が尊い。

2017年8月6日日曜日

グランギニョル (2017-07-30)

カーテン・コールが3回。最後はスタンディング・オベーション。拍手が鳴り止まなかった。それは自然な反応だった。義務感に駆られてとか、礼儀として、といった要素は皆無だった。一人一人の観客に聞かなくてもそれは分かった。「体が勝手に動き始めるの」(モーニング娘。、『Fantasyが始まる』)とはこのことである。あなたはこの舞台が終演すると同時に出せる限りの力を振り絞って拍手を送ります−サンシャイン劇場の客席に座っていた全員が『A女E女』の催眠術師からそういう暗示をかけられていたに違いない。『A女E女』が分からなければ、分からなくていいよ。劇場を出ると、女装したオジサン。仮装した女。女を撮影するお兄さんとオジサン。コスプレのイベントが開催されていた。さっきまで私が浸っていた世界との落差が大きい。『グランギニョル』の衣装や化粧も、現実の現代日本からかけ離れた虚構の世界を表現している点では、コスプレ的だった。田村芽実さんは全身白の衣装(ジャンルとしてはゴス・ロリっていうのかな?)に、髪はグレーっぽいカツラ。お顔まで真っ白に塗って、眼の周りはパンダのように黒く塗ってあった。離れた場所からパッと見ただけじゃ田村めいめいさんだってすぐには判別が出来ないくらいに、別人になっていた。出演者たちの中で私が素に近いお姿を知っているのは田村さんだけだった。だから断言は出来ないのだが、おそらく他の出演者たちも普段とは大きく変貌を遂げていたのだろうと思う。我々が『グランギニョル』独自の世界にグッと引き込まれた要因として、最大の要因はもちろん脚本や演技だろうが、服飾とメイクアップの効果も大きかったと思う。コスプレ・イベントを楽しむパンピーのトーシローたちとはまず素材が別物すぎたし、コスチュームとメイクの手の掛かりようも別次元だった。その対比は残酷だった。

田村芽実さんのファンクラブ先行で申し込んだ。席は、13列。通路を挟んで後半ブロックの最前だった。私の隣は何かと挙動がキモめなヴァイブスのオジサンだった。軽く体臭が漂ってきたのは仕方ないとして、革靴を脱いてダランと足を投げ出して組み始めた。一時的に私の領海を侵犯していた。私を含め四人連続で男だった。たぶん他の三人も田村さんのファンクラブ会員なんだろうなと思った。というのが、観客の大多数が女性だったんだ。8割は優に超えていたと思う。20代くらいの人が多かった印象。出演者のほとんどは男性だから、彼らのファンなんだろうね。田村さん以外の出演者に関しては何の予備知識もなかったし、調べもしなかった。だからふだん何をやっている人たちなのかまったく分からなかった。これを書いている今でも調べていないので分からないままなんだが、おそらく活動の主軸として演技をやっている人たちなんだろうなとは思った。私は6月に同じ会場でモーニング娘。主演の『ファラオの墓』を観ていた。時期が近く会場も同じだったので、自ずと対比せざるを得なかった。印象的だったのが、殺陣の迫力。『ファラオの墓』でも殺陣があって、ヒールを履きながらよくここまで出来るなとモーニング娘。に感心した。それはそれで凄かったが、ガッチリした男たちが繰り広げる殺陣はひと味ちがった。声量の大きさ。特にダリ役の人の声の通り方が尋常じゃなかった。舞台俳優としての訓練をしている人なんだろうなと思った。あとHello! Projectの場合はコミカルな役を与えられる人はコミカルなことしかしない傾向があるが、今日の男性陣は同じ人の演技にコミカルさとシリアスさの振り幅があった。

そういう中に入っても、田村芽実さんは埋もれていなかった。キキ・ワトソンという、繭期の少年少女たちの一人。彼らはみんな情緒不安定でそれぞれの症状があるんだけど、キキの場合は見るものすべてが愛おしくなってしまう。そして怒りっぽくて暴力的でもある。歩き方にぎこちなさがあって、殺陣のときの動きも他の登場人物とは違う、独特さがあって目が離せなかった。常にほのかな狂気を振りまいている。この役が田村さんのトリック・スター的な持ち味をよく引き出していた。『グランギニョル』に欠かせない強烈なスパイスだった。主役級ではなかったとはいえ、ソロで歌う場面もあった。(そういえばこの舞台、思ったよりも歌が少なかった。)

Hello! Projectの舞台とは違う見方になった。私にとってHello! Projectの舞台は、メンバーたちの個性を味わう色んな媒体の一つである。人って自身ではない誰かを演じることで、本人の人間性がにじみ出てくるというか、光の当て方が変わることで見えにくかった特徴が発見できるというか。そういう感じがするんですね。でもそれはコンサートやラジオやYouTubeやブログを通して彼女たちに関するある意味での先入観を持っているからこそ可能な楽しみ方であって。『グランギニョル』に関しては知っている人が田村さんしかいなかったから、彼女を除けば、そういう見方は出来なかった。いま思ったけど、もしかしたらそれが私が『グランギニョル』の世界に入り込みやすかった一因だったのかもしれない。何せ出演者たちをこのお話の登場人物としてしか知らないわけだから。誰々が○○(役名)を演じている、ではなく、○○(役名)としてしか認識していなかったから、内容への集中という点に限ればよかったのかもしれない。とは言ってもね。私がこの舞台の物語や世界をちゃんと理解できたとは言いがたい。シリーズものなので、これだけを単体で観て分かるもんじゃないんだよね。作品群の一つであるHello! Projectが演じた『LILIUM-リリウム 少女純血歌劇』はDVDで観たけど、Hello! Projectじゃない人たちが演じた『TRUMP』というのもあってそっちは観ていない。他にもあるのかな? ただ、背景知識が乏しくても『グランギニョル』単体で普通に楽しめた。要所要所で、台詞に邪魔にならない程度の解説が挟まれていた。相手を噛むことでイニシアチブを握る(命令を聞かせることが出来る)とかね。繭期の少年の一人がキキに対して君はマリーゴールドという名前の女の子になるというようなことを言っていた。ちょっと会場がざわついた。マリーゴールドって『LILIUM-リリウム 少女純血歌劇』での田村さんの役名なんだ。シリーズの全作品をしっかりと何度も観て、専門用語、設定、登場人物のことをちゃんと知った上で観たらさらに楽しめたんだろうと思う。ただ、私は深入りする気はない。そこに時間を費やすなら読みたい小説がたくさんある。