2018年11月28日水曜日

微熱 (2018-11-17)

この一週間で家に24時間くらいしかいられていない。出張が多すぎる。直近は10週連続で宿泊を伴う出張をしている。出張自体は苦ではないのだが、そろそろうんざりしてきた。平日の大半を外泊するようになってから、毎週ジムに二回行く健康的な生活が崩れた。出張先でいつも使う(都会ではないので他に選択肢がない)ビジネス・ホテルにジムなんかない。大浴場もない。数年前には冷蔵庫でさえなかったと聞く。ジムで『三宅裕司のふるさと探訪』を観ながら走りたい。もうちょっと家にいたい。家の布団で寝たい。週末にも予定があると、家では再配達の受領、洗濯、睡眠くらいしか出来ない。掃除も出来ていない。モノが散乱している。ゴミも出せていない。今週も金曜の夜に出張から帰宅。土曜には早起きをして新宿から高速バスに乗らなければならない。どうしても金曜日に受け取らないとまずい荷物があったので、業務を調整して帰るのを一時間早めた。

・小野瑞歩【11/18 東京】【抽選】つばきファクトリー 1stアルバム発売記念イベント 個別お絵描き会(数量:1)
・Aグループ【11/18 東京 1部】【抽選】つばきファクトリー 1stアルバム発売記念イベント お時間3倍個別握手会(数量:2)

11月18日(日)に開催される特典会の参加券を、その週に送ってきやがるforTUNE music。名目上はアルバムの特典なんで、発売日の11月14日(水)に合わせて円盤と一緒に送ってきたのはおかしくはない。けど配慮が欲しかった。みんながずっと家にいるわけではないし、代わりに受け取ってくれる同居人がいるわけでもない。私は11日(日)から16日(金)まで出張。17日(土)は名古屋に一泊して、上記の催しに参加するためベルサール新宿セントラルパークに向かう。つまり受け取れるチャンスが16日(金)しかない。受け取れない場合、連絡すれば何らかの措置はとっているんだろうが(さすがにこんな直前に送ってきておいて何の対応もしないってことはないだろ)、公演のチケットを2週間前に送ってくれるアップフロントを見習って参加券だけでも先に送って欲しかった。金曜日に19時までに家に帰るには出張先を出るのを通常よりも早める必要があった。何とか業務を調整し、受け取りに成功。個別お絵描き会は指名が出来るが、お時間3倍個別握手会は山岸理子さんと小野瑞歩さんのランダム。二枚とも山岸理子さんだった。Twitterで検索(譲 小野 お時間3倍)。成約していない取引が見つからない。逆はあった(譲:山岸 求:小野)。もう当日まで時間は少ない。交換できる望みは薄そうだ。仕方ない。山岸理子さんには好感しかないけど、話したいことは何もない。どうしよう。

ともあれ円盤を金曜日にゲトったおかげで、名古屋への移動中にアルバムを楽しむことが出来た。バスタ新宿(新宿駅南口 新宿高速バスターミナル4階)★ 08:40発 リラックス≪NEW≫。4,120円。アルバムを聴いていて前半を聞き逃したが、どうやら出発時の運転手さんからの告示によると東名高速の渋滞で到着が遅れるようだ。到着見込み時間については最初の休憩地点を出発する際に案内するというようなことを言っていた。当初の予定だと14時25分にささしまライブ着。今日の会場は岐阜。17時半開場、18時開演。2時間くらいまでの遅れなら開場に間に合いそう。間に合わなかったら仕方ない。その状況を楽しむしかない。今日は終演後に二人の紳士と飲む予定がある。埼玉からわざわざ電車、バス、電車で岐阜まで行って、ただ飲んで帰るってめっちゃおもろいやん。コレが当日移動のリスクだ。私が気を揉んだところで渋滞がなくなるわけとちゃうねん。なるようにしかならん。つばきファクトリーの1st アルバム“first bloom”を味わうのに専念する。一度聴いて分かった。いや、聴き終わる前に分かった。コレはクラシック。ちゃんと曲順を考えているのがいい。リリース済みのシングル曲が大半とはいえ、アルバムを作る意思が感じられる。(“Juice=Juice#2-!Una mas!-”は本当に残念だった。シングル曲をただ新しい順に並べただけのdisc 1。初音源化の曲をかき集めただけのdisc 2。アルバムというより音源集。いい曲が揃っているのに退屈すぎる構成で台無し。)“first bloom”のアルバム新曲では『帰ろう レッツゴー!』が耳に残る。お前ら早く家に帰れ的なリリック。コンサート最後の定番になり得る。情景が頭に浮かぶ。気持ちが高まる。

9時47分、読書に移る。Evan Osnos, “The Age of Ambition”。中国に関する本。10時、海老名サービス・エリア。30分の休憩。トイレ。便器から離れすぎていてションベンが飛び散って来そうな紳士を避ける。ココは食いモンが充実しているが、糖質、グルテン、カフェインを避けようとするとほとんど何も選べない。料理の写真を見ながらこの部分がグルテン、アレは糖質、コレはカフェイン…なぞとぶつぶつつぶやきながら練り歩く。もっともまだ時間が早い。昼飯は次の休憩で摂る。中国語ばかりが聞こえてくる。発車時の運転手さんによる放送で、ささしまライブ着は予定の30分遅れで済むことが通告された。よっしゃ。コンサートに間に合う。完全勝利(DJ OASIS feat. K DUB SHINE, DZ-T, DIDI)。本を読む。A-THUGの新EP, “PLUG”を聴く。寝てしまう。新幹線でもよくあるのだが、この温度、揺れ、音が私を眠くさせる。12時半から13時、掛川サービス・エリア、じゃなかったパーキング・エリア。30分停まってくれると安心して飯が食えるから助かる。フード・コート物色。吉野家のサラシア牛丼も悪くないけど昨日食べたし、どこでも食べられる。ココに来るとお決まりのおでん。6本、720円。からしを開けるときに飛んでTシャツの袖に黄色いのが付いてしまった。発車時のアナウンスメント。この先、高速の渋滞なし。14時55分前後ささしまライブ到着見込み。昼公演も夜公演も入るホーミーにコイン・ロッカー情報を聞く。会場の最寄り駅であるJR岐阜駅も名鉄岐阜もロッカーは埋まっているというストリートの情報をもらう。宿に荷物を預けてから会場に向かおう。

当初予定から20分遅れの14時45分にささしまライブ。私が6月に傘をパクられたので有名なローソン笹島南店。イヤフォンから流れる『私がオバさんになっても』。私がオバさんになったらあなたはオジさんよ かっこいいことばかり言っても お腹が出てくるのよ。たしかにヒトは加齢によって太りやすくなるのは避けられないが、糖質制限で抑えることは可能だ。私は7月から糖質の摂取を大幅に減らし体重は3キロ、体脂肪率は2%減った。お腹も何センチか縮んだ。セブンイレブンでメガネ拭きを買う。300円くらい。店内で前を横切った青年が残した、マクドナルドを煮詰めたような臭い。ウェルビー栄。ウェルビー今池と名駅に比べてだいぶこじんまりしている。ふくよかでややムスッとした淑女が受付。幅が20センチほどしかなさそうなロッカーにねじ込むBRIEFINGのバックパック。必要最低限のモノを入れたSea to Summit Travelling Light Daypack(旅行用に便利)を背負う。ウェルビー退出時、外出証という紙切れを渡される。戻ったときに見せるらしい。ウェルビー栄は駅から微妙に遠い。名古屋駅に戻ったらいい時間になった。16時24分に名鉄名古屋発、16時53分に名鉄岐阜着。駅前のファミリー・マートでフォーナインのグレープ・フルーツ味350mlとビタミンB剤を買う。ホーミーと落ち合う。昼公演がだいぶよかったらしい。饒舌に語ってくれる。小野瑞歩さんが喉の不調で、思うように声が出せなかった。彼女にとって最大の見せ場と言ってもいい『今夜だけ浮かれたかった』のソロ・ライン、どうしたら輝けるの? は岸本ゆめのさんが代役を務めた。私はさっきTwitterで見て知っていた。ホーミーは他のメンバーさんがステージで見せた小野さんへの気遣いやアイ・コンタクトに胸を打たれた模様だった。

整理番号は私が193番、ホーミーが180番だった。近いので一緒に入ることにした。会場近くのファミリー・マートでフォーナインのグレープ・フルーツ味350mlをもう一缶買って、店の前で飲んだ。コレはなかなかよい。他の味に比べ酒っぽさがなくて飲みやすい。700mlをキメて、これ以上は望めない精神状態。ドン・キホーテのトイレを経由して岐阜club-Gの前に着いたのが17時37分。番号の呼び出しを聞いたら180何番とかで、ちょうど自分たちの番号が呼ばれるところだった。ちょっと慌てる。結果的にはギリギリ・セーフ。左右にも前後にもちょうど中央付近だったかな、段差の上の、二列目を確保。さっきホーミーから聞いていたがこの箱は段差がいくつもあって、観やすそう。視界がいい。LIVE ROXY SHIZUOKAとの差は火を見るより明らかだった。メンバーさんが全員見える。皆さんの膝下までちゃんと見える。かなり脚を見せてくださる衣装だ。ありがたい。静岡では分からなかった。岐阜club-G、素晴らしいよ。真ん中くらいの番号なのにココまでちゃんと見える会場は稀少だ。今後もJuice=Juiceとつばきファクトリーの公演があれば積極的に足を運びたい。

どういうコンサートだったのか、詳しくは分からない。先ほど体内に取り込んだアルコホールが脳に影響したからだ。その代わり、異常なほどに楽しかった。それだけは断言できる。心の底から自分を解放し、音楽に身を委ね、小野瑞歩さんを中心につばきファクトリーのメンバーさんの麗しいお姿を目に焼き付けた。全身でコンサートを感じた。余計な考えも、ネガティヴな感情も、一つも浮かばなかった。同じ公演を観た人がTwitterに投稿したトーク・セグメントの報告を後から見ても、そんなことを言っていたかな、きっと言っていたんだろうくらいで、はっきりと覚えていない。通常であればイントロがかかった時点で苦々しい気持ちになる『ハッピークラッカー』の安さも気にならなかった。つまりSHOCK-EYEさんの楽曲群がワックに聴こえるのはあなたのアルコホール血中濃度が足りないのである。『ハッピークラッカー』のときは終盤だったけど何というか、この頃になると全体が跳ねていた。メンバーさんやヘッズが物理的に跳躍していたという意味ではなく(それも多少あるが)、フロアとステージにいる全員が同じ音楽で一つになっている感覚があった。

小野瑞歩さんは、言われてみれば声が100%出し切れていない感じはあった。でも普通に歌えてはいたので、快方に向かっているようだった。コンサート最後の最後。『今夜だけ浮かれたかった』の件のソロ・ライン。昼公演では岸本ゆめのさんが代わりに歌った、どうしたら輝けるの? どうなるんだ、どうなるんだ、頼む、小野さん、歌ってくれ…と念じながら小野さんを見つめてその瞬間を待った。夜公演、そのラインを歌ったのは、小野さんだ! 昼公演の顛末を(自分はその場にいなかったけど)情報として踏まえた上で、小野さんの声でこのフレーズを聞くのは、とてつもないカタルシスだった。

翌日の個別握手で、昼公演と夜公演の前に何か喉のケアをしたのかご本人に聞いてみた。(あ、そうそう。直前で握手券は2枚とも交換出来たんだよ、結局。ありがとうございます。)特別なことはしなかったけど、しゃべらなかったのと、のど飴を舐めたと教えてくれた。気を付けてね、これから乾燥するからとお伝えしたところで時間になった。はい、気を付けます。冬だしね。私がブースを出てから、インフルエンザになりたくないよー! と大きな声で付け加えるのが聞こえてきた。原因不明ですということだったが、大事に至らなかったようなので、よかった。

終演後の握手。楽しかったですの定型句で最初の8人をやり過ごす。最後が小野さんだった。小野(瑞)と印字されたTシャツを着た私と対面した彼女は、めちゃくちゃいい顔をしてくださった。言葉はなかったけど、あー来てくれたんだ! ありがとう、嬉しい的な気持ちが強く伝わってきた。勝手に都合よく解釈するな。いや、分かったよ、私には。言葉はなくても。ゼッタイ小野さんはそう思ってたって。この最後の一秒くらいに小野さんからもらった笑顔を見られただけでも、6時に起きて埼玉から岐阜まで来た甲斐があった。


併せて読みたい:つばきファクトリー ライブツアー 2018秋 -微熱- 岐阜 club-G

2018年11月21日水曜日

TRIANGROOOVE (2018-10-29)

火曜日は起きた時点で喉に違和感。水曜日は喉の痛みで睡眠が妨げられる。銀翹散(ぎんぎょうさん)。木曜日は喉が治ってきた代わりに止まらない鼻水。葛根湯。金曜日はマシになってきたが風邪気味に変わりはなかった。小青竜湯(しょうせいりゅうとう)。土曜日はマリノスの勝利を100%信じてルヴァン杯決勝を現地で観るも無残な完敗。観戦後に駅のプラットフォームで立ちくらみ。日曜日は優勝を逃したショックを引きずる。外出するもしんどく家で15時から19時まで寝る。月曜日はおとといの試合前にヤマザキビスケットから配布された小麦粉の塊を職場に配布し、15時で退勤。向かったのは日本武道館。その前に新大久保。ソルマリ。スパイシー・チキン、スクティ、ラクシ。電車。稲場愛香さんと同郷のTHA BLUE HERBの“THA GREAT ADVENTURE”を聞いて気持ちを高める。九段下。やばい臭いを発しながら私と同じ方向に歩く白髪の紳士。18時ちょうど、入場の列に加わる。18時10分、席に着く。2階の南西スタンド、R列。Juice=Juiceにとって三回目の武道館。そのすべてに居合わせている私。一回目、二回目ともにアリーナの席をもらっていた。悲しい。最前線にいたかった。J=J Dayに続いて引きが悪い。

会場の規模によって客層は少し変わる。武道館ともなると普段の会場には来ない人たちがたくさん来る。そういう人はアリーナよりも2階に多い。データはないが、体感として。会場が広くなればなるほど、というよりは普段の規模との隔たりが大きければ大きいほど、一体となって熱を帯びるのは難しくなる。Juice=Juiceが主戦場とするライブハウス(和製英語)は400-500人程度、いわゆるホール会場は1,500-2,000人程度を収容する。8,000人だか10,000人だかが入る日本武道館となると、普段のノリに習熟していない人たちの割合が増える。コレは自然なことだ。私の左が若いナオン、右が汗染みのあるグレーのストライプ・スーツを着てきったねえスニーカーを履いた白髪の紳士。二人ともほぼ無言で立ち尽くすスタイルだった。それが悪いわけじゃない。自分の領域をはみ出してぶつかってくるよりは全然マシだ。でもコンサートを観る上での自分の気分は周囲の席にいる人たちに感化される部分ってのが多少ある。左右の人たちに限らず、自分がいた一帯の温度の低さに引きずられてしまったかもしれない。いや、分かってる。他人のせいにすんな。被害者ぶるな。自分が感化する側に回ればいい。この区域は自分が盛り上げるくらいの気概で。そもそも自分が音楽と演者さんに集中していれば気にならないはず。この間『やべっちFC』で川口能活さんが2004年のアジア杯ヨルダン戦を回想していて、PK合戦のときはボールしか見えなかったと言っていた。集中すれば大事なもの以外は気にならないはず。余計なことが気になるということは集中ができていないということ。今日の自分がそうだったんだろう。60%くらいしか楽しめなかった。風邪が完治していなったのが原因だ。自分の状態がよければ、周りの環境に多少めぐまれなくとも楽しめるものだ。他責的な考えに至ることはない。現にこの間のJ=J Dayでは後方からの鑑賞だったにもかかわらずあれだけ楽しんだではないか。

前座はつばきファクトリーが『今夜だけ浮かれたかった』、こぶしファクトリーが『ドスコイ!ケンキョにダイタン』。捌ける際、今夜だけ浮かれちゃってくださいね的なことを言う山岸理子さん。オタクさんが浮かれているのは今夜だけではない。いつまでたってもアイドルさんを追いかけて浮かれ続けているからこのような人生になってしまったのである。こぶしファクトリーは我々が一緒に盛り上がるように煽っていた。言うまでもなく私はつばきファクトリーの支持者だが、ステージでの立ち振る舞いはこぶしファクトリーが一枚上手だと認めざるを得なかった。この時点から、いよいよコンサートが始まるというワクワクよりも、この席はステージから遠いなという思いの方が勝って、あんまり気分が乗ってこなかった。

Juice=Juiceは例によって全員がことごとくマブく、遠距離から見惚れてしまった。中でもハッとするマブさのナオンがいて、誰かと思ったら植村あかりさんだった。いつもと雰囲気が違う。何でも開演の直前に髪を切ったらしくて。はじめの髪型がとにかくマブかった。一瞬、宮崎由加さんに見えた。たとえば今日、私がJuice=Juiceを初めて観ていたとしたら(実際には単独コンサートだけでコレで60公演目なのだが)植村あかりさんを推しにしていたかもしれない。それくらいに目をひいた。特にコンサートの序盤は彼女ばかりを双眼鏡で追った。前にも書いたが私はもうJuice=Juiceを観るときに宮崎由加さんの一挙一動を逃さずにとらえるという感じではなくなっている。もちろん結果として宮崎さんが目に留まるときもあるが、彼女が無条件の第一優先ではない。私のJuice=Juiceへの見方が、個人崇拝からグループへの愛へと変わってきている。マリノスを応援する気持ちのような。この選手がいるからマリノスが好きなのではなく、マリノスだから応援する。℃-uteのときもこれに近い変化があった。岡井千聖さんの踊ってみた動画をきっかけに℃-uteをちゃんと観るようになった私は、はじめは彼女を推しに設定していた。最後の方は公演によっては鈴木愛理さんや中島早貴さんを観ている時間の方が長くなっていた。かといって明確にいわゆる推し変をしたわけでもない。玉虫色の状態が続いた。

公演名のTRIANGROOOVEは、可愛い、セクシー、クールというJuice=Juiceの三つの魅力をお届けする的な意味だった。可愛いが宮崎由加さんと梁川奈々美さんの『もしも』(モベキマス)。セクシーが高木紗友希さん、植村あかりさん、金澤朋子さんの“Melodies”(GAM)。クールが宮本佳林さん、稲場愛香さん、段原瑠々さんの“LOVE LIKE CRAZY”(後浦なつみ)。とても大雑把に言うとコンサートの前半がTRIANGROOOVEのコンセプトを表現し、後半がいつものJuice=Juiceという構成だった。『もしも』では16歳の梁川さんに一歩も引くことなく何の違和感もなく可愛さの正面衝突を挑む24歳の宮崎さんが眼福で、私はにやけてしまった。いいものを見せてもらった。“Melodies”はオリジナルを上回るほどの妖艶さがあって、グループ結成当初から彼女らを観ている身としては、オジサンが知らないうちにこんなことも出来るようになったんだなと感慨深かった。“LOVE LIKE CRAZY”は途中加入組の中でもひときわスキルフルな段原さんと稲場さんに、集団創設当初からのエースだった宮本さんの組み合わせの精鋭感が強かった。三曲とも大変に納得できる、ツボを押さえた人選であり、曲の選択であった。

Hello! Project研修生から結成された新集団、BEYOOOOONDSの皆さんが前座ではなく本編に出演していた。彼女たちが担ったのはインタールードというか、箸休めというか。主に曲間に現れて、踊っていた。歌唱はなし。もちろん魅力的なメンバーさんたちばかりだし、ダンスも見応えがあった。彼女たちにケチをつける要素は何ひとつとしてなかった。ただ、私は彼女たちの起用法に疑問を抱いた。BEYOOOOONDSが出ている時間とコンサートの本編やコンセプトとのつながりが希薄だった。コンサートの流れが寸断されて、Juice=Juiceの世界がぶつ切れになる感覚を覚えた。ただでさえ上述した可愛い、セクシー、クールの三分割のセグメントによっていつものJuice=Juiceに比べ変則的なショーとなっていた。ようやくJuice=Juiceのコンサートらしくなってきたと思ったらBEYOOOOONDSが踊るセグメントに切り替わり、ブレーキがかかる感じだった。気持ちよくアクセルを踏んで加速し続ける時間が少ないコンサートだったように思う。(ちなみに私は2005年に運転免許をオートマ限定で取得して以来、一度しか運転をしたことがない。)BEYOOOOONDSが独立して出演する時間を減らして、もっとバックダンサーに徹してもらった方がコンサートとしての統一感が出たのではないか。そもそも、前座でよかったのではないか。こぶしファクトリーなんてメジャー・デビューしてからもう何年たつんだ。いつまで先発集団の前座をやらせんねん。

いきなり!武道館ではなく、ツアーで何公演かやってから千秋楽としてココでやるべきだった。新しいJuice=Juiceを見せる、コンセプトの強いコンサートにするという野心的な試みを、私は支持する。ただJuice=Juiceそして我々も含めた集合体として、仕上げる期間が欲しかった。こういうケチをつけてしまうのもつまるところは私の体調が万全ではなかったから、それに尽きると思う。終盤にテープ(おそらく各メンバーのメッセージが印刷されている)が噴射されたが2階には届かなかった。悔しかった。テープをモノとして手に出来なかったことではなく、熱の中心にいられなかったことが。席を離れて必死に拾い集めるジジイ。見苦しい。メルカリで売んのか? 20時46分の終演後、私はグッズ売り場に直行し、植村あかりさんの日替わり写真とDVD MAGAZINE VOL.19を購入し、帰途についた。

2018年11月16日金曜日

浪漫活劇 るろうに剣心 (2018-10-14)

サテンの入り口に置いてあるメニューを見る目的。自分の場合は一つしかない。カフェインレス珈琲があるかどうかを確認する。それだけ。なかったら店に入らない。珈琲にこだわらなければカフェインを避けることはさほど難しくはない。次に立ちはだかるのが糖質。サテンてさ、だいたい珈琲か紅茶かココアかジュース(Juice=Juiceのグループ名発表時につんくさんが説明したように本来ジュースとは100%果汁のみを指すが、ここでいうジュースはそうじゃないのも含む)じゃないですか。そうするとね、もう私にとってはほぼゼロなんですよ、選択肢が。ビールも糖質かつグルテンだし。オール・フリー的なビールもどきは糖質ゼロでもグルテンは入っているし。店によっちゃトマト・ジュースがあるから、それを頼んでお茶を濁す(喫茶店だけに)っていう手もある。でも違うんだよね、トマト・ジュースは。何か侘しい気持ちになる。珈琲の代わりにはならないんだ。風味は多少、劣ってもカフェインレス(カフェインを90%以上削減)やディキャフ(decaf、カフェインゼロ)で珈琲を楽しみたいんだ。でもさ、ほとんどないんだよね。ハーブ・ティもノン・カフェインだけど出す店はほとんどない。7月にカフェイン制限を始めてからはサテンに入る回数が激減したよ。以前はサテンでレーコーを飲んで本を読んだりブログを書いたりするのが趣味と言っていいくらいだったのに。欧米先進国ではカフェインレス珈琲やディキャフが相当に浸透しているそうだ。我が祖国でも当たり前になってほしい。ローソンのレジで頼むやつ。アレにカフェインレスがあるのは助かってる。そういえばなっきぃ(元℃-uteの中島早貴さん)がこの間ラジオ(181110ラジオ日本『中島早貴のキュートな時間』)でさ、寝る前にカフェラテ(理由は書かないがこの言葉がなっきぃの声で再生されたのはちょっと嬉しかった)を飲むって言ってた。カフェイン摂ってもぜんぜん寝られるタイプなんでーってサラっと言ってたけど、たぶん睡眠の質に影響は出てると思うよ。自覚していないだけで。ともかく、日本ではサテンでカフェインを抑えた珈琲に出会える望みが薄い。だから期待してなかったんだけど、あったんだよ。カフェインレス珈琲。新橋駅前。新橋珈琲店。14時45分頃に店に入った。今日は開演が16時半。

実のところ、自分が三ツ沢にいないのが悔しかった。J1リーグ、ルヴァン杯の準決勝。横浜F・マリノス対鹿島アントラーズ。カシマ・スタジアムでの第一戦を2-1と制したマリノス。引き分け以上で決勝進出が決まる。満員にして力を貸してほしいとファンに訴えかけるウーゴ・ヴィエイラ選手。それに応えるマリノス・サポーターたち。選手と観客の距離が近いサッカー専用スタジアム、ニッパツ三ツ沢球技場。どんだけ熱い空間になるんだ。YouTubeのハイライト動画で分かるわけがない。その場にいたかった。身体で感じたかった。それは可能だった。新橋演舞場で上演される『浪漫活劇 るろうに剣心』、16時半の部を観る権利を放棄すれば。でもな、チケットが13,000円したんだ(送料・手数料を入れると+600円)。高いだろ? 私もこんなに高いとは思わなかった。田村芽実さんのファンクラブから先行受付の案内が来て、値段を見ずに申し込んだんだ。メールで来た振込先の案内を見て、2枚分の値段と間違えてるんじゃないかとファンクラブにメールを送りかけた。ウェブで検索したらどうやら正しい値段らしくマジかよってなった。一等席。ちゃんと値段を認識していれば申し込んでいなかったかもしれない。だって今回に関しては田村さんが演じるのは主要な役ではないから。プレイガイドの公演紹介でも出演者一覧に名前が載ってなかった。ほか、と最後に一括りされていた。ほか、じゃないんだよ、ほかじゃ。こっちはそのほかを目当てに13,600円払って、贔屓のフットボール・クラブの大事な試合をすっぽかして新橋に来てるんだよ。そっちから観ればその他大勢の一人かもしれないけど、私にとってはすべてなんだよ。チケットを売って手放すという選択肢もあったかもしれないけど、やったことがないし、気が進まなかった。それにしても申し込むのは1公演だけにしておいてよかった。田村さんが主演ならともかく、脇役の舞台にそこまでお金と時間を突っ込みたくない。

マリノス対アントラーズは、マリノスが2点を先取し決勝進出確定かと思いきや2-2まで追い付かれた。もう1点取られれば敗退していたが、何とかそのまま試合を終えてくれた。これで決勝進出が決まった。ホッとした。安らかな気持ちでミュージカルの開演を迎えることが出来た。めでたしめでたし。『るろうに剣心』が元は漫画であることくらいは知っていたが、まともに読んだことも興味を持ったこともなかった。どういう話なのかもいっさい知らなかった。田村芽実さんを観られるという以外に、事前に楽しみだったことはほとんどなかった。強いて言えば、新橋演舞場という会場。Google検索で画像や座席表を見るかぎりふだん私がHello! Projectのコンサートやイヴェントで行く会場とは毛色が違う。構造が独特そう。実際どんな雰囲気の会場なんだろうというのは興味があった。ファンクラブから受け取ったチケットには1階13列と印字してあった。13,000円の一等席で13列かよ、という不満があった。一等席の区画は20列まであるようだった。普段の感覚で言うと13列ってのは特別よくはない位置(悪くもないけど)。でも実際に座ってみると思っていたよりも数段、いい席だった。何といっても花道。私がいた席の左に、席を一つ挟んで、横に三席分くらいの幅の通路があって。通路というよりはステージの一部。演者さんが花道を走り抜けると、その風を感じた。私は2013年の春に池袋で℃-ute主演の舞台『さくらの花束』を観た。なっきぃ主演の部を最前で観させてもうたことがあったんだけど、なっきぃが走ったときに風を感じて、自分となっきぃが同じ世界に生きているという実感を得て、感動したんだ。そのときの感覚を思い出した。花道は劇を通してふんだんに使用されたので、とても迫力があった。なるほどコレは一等席、その中でもいい席だった。田村芽実さんも一、二度通られたけど、後ろから前に移動されていたので、私は彼女の背中を見る形になって、間近では正面からお顔を拝見することは出来なかった。

物語が進んでいっても田村芽実さんはなかなか登場なさらなかった。もしかしたら既に出て来た中にいるんじゃないかと不安になった。というのが、皆さんメイクアップが強めで、衣装もキメキメで。元が漫画で、キャラクターに寄せないといけないからね。あんまり素の人間っぽさを残しすぎるとよくないんだろう。田村さんがステージに出てこられても13列からじゃ、一瞬じゃ自信を持って判別できなかった。確信に数秒を要した。彼女が担当したのは、出演者の欄に名前が省略されるのもまあ理解できる、なかなか出てこなくても仕方のない、そういう役だった。赤べこという牛鍋屋さんの看板娘が二人いて、その片方。看板娘が一人でもまあ成り立つっちゃ成り立つ。物語の進行に影響はない。トヨタ生産方式のコンサルタントだったらココ一人減らせるねって言うだろう。もちろん、減らすべきではない。そういう役もいなければ劇から遊びが減るからだ。でも私としては田村さんに遊びの部分ではなく物語の展開に欠かせないピースを担ってほしかった。私は歯がゆかった。彼女であれば、もっと出番の多い主要な役でも十分に務まったはず。上白石萌歌さんという上國料萌衣さんのような名前のレディーがヒロイン役だった。この役を演じる田村さんを想像せざるを得なかった。もちろん上白石さんの演技も歌も十分に魅力的だった。ヒロインに相応しかった。そこに対して何の文句もない。でもやっぱりね。田村芽実さんの能力と才能を信じて疑わない者の一人としては、この役が田村さんであれば…彼女であればどういう演技を歌を魅せてくれたのだろう…という思いを捨てることは出来なかった。

ステージにしても大道具にしても演出にしても何にしても、時間やお金を惜しまずに作り込んだのが伝わってきた。殺陣で主人公が刀を振って、木が切り落とされてドサッと落ちる場面。クルクルとステージが回って場面が変わる演出。一番のハイライトはパーティが行われる洋館。圧巻。豪華。うわあって、思わず口が開いてしまうほどだった。多くのプロフェッショナルが裏で関わっているんだろうな、と思う。当たり前のことだが演者さんも全員が全員、ちゃんと演じて歌えるプロしかいなかった。原作を何も知らない私でも楽しめる演劇、エンターテインメントだった。13,000円という値段も納得できた。

途中で35分の休憩があった。その間、8-9割の人は外(施設内)に出ていた。混んでいるだろうし、膀胱もおとなしいので私は席で待った。少し伸びをした。フットボールの5レーン理論でいうところの一番左と一番右のレーンの席が特殊な席っぽくて、テーブルが付いていた。そこの席の皆さんは休憩中にお弁当を召し上がっていた。さっき弁当売場をちらっと覗いたけど、どれも糖質まみれだった。アレを休憩時間中に食べたら血糖値が急上昇し、下げるためにインスリンが多量に分泌され、反動で一時的に低血糖になって、休憩明けに眠くなってしまうのではないか。皆さんちゃんとスッキリした頭で最後まで観劇できたのだろうか。

カーテン・コールで演者さんたちが順番に出てきて我々が拍手を送る場面で、田村芽実さんは開いた両手を頭の上に乗せてうさぎを表したようなポーズでニコッとされていた。こんなことをしていたのは彼女だけで、一人だけアイドルっぽさを出している彼女を見て私の頬が緩んだ。

池袋の中華料理店、新天地。ココはちょっとした穴場かもしれん。混んでいないし、味も良い。ランチは平日しかやっていないのが残念だが、オススメ。先日食べた魚と豆腐のスープはとてもおいしかった。麻婆豆腐は悪くないけどそこまででもなかった。グラス入りの赤ワインと、ネギ・チャーシューと、唐辛子と鶏肉の揚げ物。こんなに丁寧に作られたネギ・チャーシューにはなかなか出会えない。近くにいた青年たちがブランド名を色々と挙げて服の話をしていた。よし、今からジーンズ・メイトに行こう。彼らは力強くその結論に達し、店を出た。

2018年11月12日月曜日

Esperanza J=J DAY SPECIAL (2018-10-10)

つばきファクトリーの某おまいつとクリソツな同僚。背格好。顔の形。朝、会社の最寄り駅で電車を降りると少し前を歩いていた彼。私の脳内でその同僚とおまいつが同化しつつある。彼は元々Juice=Juiceの金澤朋子さんを一番に応援していたはずだ。いつぞやの金澤さんのバースデー・イベントではステージに上がってゲームに参加する姿がDVDに収録されている。私はそのDVDを買ってはいないがYouTubeの違法投稿動画で部分的に観たことがある。(ちなみにそのバースデー・イベントに私は申し込んだが落選した。)彼くらいになるときっと金澤さんご本人からもファンとして認識されていたことだろう。それがどうだ、最近では主戦場をつばきファクトリーに移し、すっかり某メンバーさんに熱を上げてやがる。Hello! Projectのコンサートでは某色の自作らしきTシャツを着用し、ペン・ライトを掲げ、某メンバーさんのソロ・パートで飛び跳ねている。Juice=Juiceが出てくるとペン・ライトを赤にして金澤さんのファンのように振る舞っているが、彼の中で彼女が第一の存在ではなくなっているのが明らかである。金澤朋子さんがバリバリ現役なのに平気でフラフラと崇拝対象を変える。節操がない。芯がない。リスペクト出来ない。そういえば、似た話を聞いたことがある。Juice=Juiceの宮崎由加さんが一推しだったのにつばきファクトリーの小野瑞歩さんに流れた奴がいるらしい…ってオレのことやないかい。

認める。私にとってナンバー・ワンの個人は宮崎さんから小野さんへと移った。(ナンバー・ワンとオンリー・ワンは数学的には同じなので区別するのは無意味だと何かで読んだ記憶がある。)ここでもはっきりと宣言している。ただ、集団としては相変わらずJuice=Juiceを最も強く支持していることに変わりがない。だから平日でも迷わずに申し込んだ。10月10日。Juice=Juiceの日。J=J Day。記念日、といっても結成日でもデビュー日でもない。語呂合わせに過ぎない。それでもJuice=Juiceにとって大切な日であることに変わりはない。平日(今日は水曜日)だからお客さんの来やすさを考えて次の週末に開催しようという生温い発想をアップフロントが抱くわけがない。こっちの都合はハナから関係ない。10月10日という日にJuice=Juiceと支持者たちが一堂に会することに意味がある。どうせ平日だろうと我々は会場を埋め尽くす。私に割り振られた1436という整理番号がそれを物語っている。年号でいえば室町時代。ファンクラブ先行の時点で、そもそも今日の会場にそんなに人が入るのかという疑念を抱かせる番号が出ているのだ。

午後休。全休も可能だったが、気乗りする整理番号ではなかったし、労働の状況が相当に穏やかではない。私の直属の部下の一人が自己都合で退職する。私の上司は以前から彼を低く評価しており、強制的に辞めさせたがっていた。アイツを即時に辞めさせろと息巻く上司。日本の労働法では解雇をするのが難しいという人事。彼のやっていたことを引き継がないと日々の業務が回らないという現実。その上司に反発を抱く部下(感情の振れ幅が大きく、問題児)。それらすべての板挟みにあう私。何とか穏便に彼の退職日を決めて(今思い返しても本当によくやったと思うわ)、昼で会社を出た。SpotifyでNORIKIYOの『断片集』(NORIKIYOはいくつか聴いたがハマり切れない)とPrimitive Art Orchestraの“Artifact”を聴きながら電車に揺られ、Zepp Tokyoへと向かった。

はじめからなかった。並ぶ気は。まず昼まで働いている時点で出遅れている。新大久保のナングロでアチャールを食って、黒ホッピーを飲んで、サマエボウジを食って、15時47分にZepp Tokyoのすぐ上の通路に着いた。見下ろすと長蛇の列。2時間くらいはかかりそう。微妙に暑いし、日替わり写真1-2枚のためにコレに参入するのは馬鹿馬鹿しい。誰かしらの写真は終演後にさほど並ばずに買えるような気がする。メンバーさんを選ばなければ。それを狙う。買えなかったらしょうがない。国際展示場駅のコイン・ロッカーに荷物を預ける。双眼鏡、宮崎と印字されたピンクのTシャツ、財布を入れたウエストポーチ(和製英語)、本。閉じてから気付いた、チケットを忘れた。お金がもったいないが、背に腹は代えられない。一度ロッカーを開けて、お金を払い直そうとすると、数十秒以内であれば追加料金なしでモノの出し入れが出来た。無事にチケットを救済。仕様の親切さに感激した。カフェインと糖質を含まない飲料を出す喫茶店を探してさまよう。見つける。隣の不動産屋?の商談空間も兼ねているようだ。カモミール・シトラス・ティ。Dr. Robert Lustig, “Fat Chance”を読む。グッズ列に並ぶよりも時間を有効に使っているつもりだったが、仮に並んでいたとしても同じ本を読んでいただろうから、結局は変わらなかったかもしれない。

整理番号、呼び出し。最後に入ったとしても大差のなさそうな番号なので、まったくそわそわしない。17時50分、800番。17時54分、1,000番までとファミリー席。18時1分、1340番。18時2分、1420番。この辺の進みは早く、気を抜いているうちに自分の1436番を過ぎていた。開演は18時半。大きな番号の利点として、入場してからの待ち時間が短くて済む。Zepp Tokyoは私にとって、研修生発表会を観るため年に四回くらい訪れる場所。研修生発表会は全席指定。立ち見会場としてのココに来るのはコレが初めてだ。番号が番号だけあって、主要な位置にはあらかた人が埋まっている。後ろの方はまだ通行できるくらいの余裕がある。私は音響設備があるあたりの右側を選んだ。前の一人を挟んで段差があるとは言え、視界には多数の後頭部。想定済みだ。ライブハウス(和製英語)とは言ってもこの広さと距離となると双眼鏡を持参することに戸惑いはない。

正直に言う。私は今日の公演から多くを得られるとは思っていなかった。消化試合…とまでは行かないが、顔を出すことに意義がある現場くらいに思っていた。Zepp Tokyoで1436番。良好な視界を得られる見込みは薄い。それに現場がたくさんあって、渇望感はない。仕事は調整したけど、何が何でもここに来なくてはいけないというほどの気持ちはなかった。四年連続でJuice=Juiceの日に現場にいた。その事実を残すために来ているという気持ちが多少はあった。初めてHello! Projectのコンサートに入ってから8年半。番号や席に関係なくワクワクできるような初心はもう持ち合わせていない。仕方がない。そういうもんだ。中野サンプラザの二階後方から一階を見下ろし、いつかあっち側の世界でコンサートを観てみたいと夢想した時期が私にもあった。実際に一階席や若い整理番号を何度も体験してから同じ純粋な気持ちを保つことができないのは自然なことだ。もちろんJuice=Juiceのコンサートが楽しみじゃないわけがなかったけど、私のモチベーションが高いとは言いがたかった。

開演して数分。観ている場所が後方なんてことは大事なことではなくなっていた。ステージで歌って踊る集団が、フロア後方との距離を吹き飛ばすくらいに魅力的だったからだ。特定の誰かが可愛かったとか、そういう次元の話じゃねえんだ。全員が全員、いつ観ても、どこをどう切り取っても輝いている。Juice=Juiceは増員によって失ったものもあると思う。5人時代と今のどちらがグループとして魅力的かというのは簡単に答えが出せる問いではない(6人時代はなかったものとする)。ソロ・パートの配分などを考えると、℃-uteがそうだったように5人が一つの黄金比な気はする。ただ、8人になったことで5人のときよりも豪華絢爛さが出ているのも確かだと思う。満遍なく観ても一人一人の印象が鮮烈に残る。化けモンの集団。今年のHello! Projectは20周年を記念し、ハロプロ・オールスターズというユニットでシングルを出した。オールスターズとはいっても実際には現役Hello! Projectメンバー全員だ。Juice=Juiceの方が語義通りのハロプロ・オースターズに近い。中でも、今日の私は稲場愛香さんを見てしまう。歌割りは多くないし身長も低いんだけど、他とは違う存在感と技巧がある。彼女はフットボーラーで言うなら仲川輝人選手、中島翔哉選手だ。

セットリストで特に私が高揚したのが“Vivid Midnight”、『禁断少女』、『地団駄ダンス』。“Vivid Midnight”は私の中で2018年のHello! Project楽曲の中で上位に属する。音として耳に心地よい。トラックも、児玉雨子さんのリリックの言葉遊びも、メロディも。『禁断少女』は、誰が聴いてもいい曲と思うような、間違いのないチューンだ。冒頭の金澤朋子さんのソロ・ライン、だけど体温 昨日と何ら変わらない…の箇所が妙に耳に残る。『地団駄ダンス』は(特にリリース当時の彼女たちにとっては)イロモノの曲で当初はファンの間でも賛否があった。今ではすっかりJuice=Juiceの定番曲だ。Juice=Juiceはこの曲を自分たちのものとしたことで表現の幅を広げ、次の段階へと進んだ。集団の分岐点と言える曲だと思う。私は同曲の単独コンサートでの初披露を目撃している。今でも現場で聴けるのは嬉しいし、段原瑠々さん、梁川奈々美さん、稲場愛香さんが新たな彩を加えてくれているのがまた新鮮だ。一つの見どころが、目の前で売り切れ…の直後のメンバーさんの顔芸。

トーク・セグメントでは10月8日(月・祝)に千秋楽を迎えたばかりの『タイムリピート~永遠に君を想う~』の裏話が多く披露された。メンバーたちはまだ舞台の興奮冷めやらぬという感じだった。それだけ彼女たちにとって大切な舞台で、没入していたんだなというのが分かった。観ておいてよかった。

梁川奈々美さん:高木紗友希さんにビンタする場面。どの角度でやったら本当にビンタしているように見えるか、演出家さんと話しながら、高木さんにも協力してもらって研究していた。一度間違えて本当にビンタしてしまった。高木さんの?に付いているマイクに当たってボフって音が出た。ごめんなさいと思いながらも舞台のキャラクターがあるので表に出さないようにしていた。
宮崎由加さん:やなちゃんは悪くないよ。
高木紗友希さん:ビンタされたとき痛かったけど、トークのネタにしたら受けると思った。それなのにやなちゃんが先に話した。

植村あかりさん:劇中のスペシャルドリンクをスペシャルジュースに変えたらいいんじゃないかと誰か(岡村美波さんか山﨑夢羽さんだったか)が言った。演出家さんに相談しようと思ったけど、しないうちに本番になった。変えちゃえ、と自分で判断して実行した。気付いた人、いますか?(ほとんど挙がらない手。)数えられるほど…。舞台中は皆さんのことを見られない。まあ見られるっちゃ見られるんですけど。がっつりは出来ない。台詞を忘れてしまう。コンサートは自由に見られる。(『タイムリピート』は全部の回を観てくれた人もいるんですよ。ここにいますか? と植村さんが挙手を促すが誰も手を挙げなかったのが面白かった。)

宮崎由加さん:『タイムリピート』の観客で靴を脱いでる人がいた。リラックスしてる。いいんですけど。

段原瑠々さん:スペシャルクッキーのくだりのあと、いる? いらないというやり取りを植村さんとひたすらやっていた。植村さんがしつこい。一回、クッキーを落とした。岡村美波ちゃんが拾ってくれた。客席に落ちたら大変なのでヒヤッとした。

宮崎由加さん:私は階段が苦手。歳とかじゃないですよ、元々苦手なんです。『タイムリピート』のステージは階段が結構あって…。
稲場愛香さん:そんなに多かったかな…(首を傾げる)。
宮崎由加さん:階段の上の場所が不安定で、ぐらついた。

宮本佳林さん:まなかん(稲場愛香さん)と抱き合った時にまなかんの右肩に私の頭があった。鼻血が出てまなかんの右肩が血だらけになった。
稲場愛香さん:洗ってもらわないといけませんね、と私は言った。肩だけかと思ったら前身頃もフンッ!ってやったみたいに血まみれになっていた。
宮本佳林さん:劇中でソーマ君(宮本さんの役名)はルナ(稲場さんの役名)のことが好きなので。

・10月10日は…と我々に振って、Juice=Juiceの日!! と言わせる宮本佳林さん。やり直しはしない。出来なかった人は来年も来てください、と笑う。
・衣装替えで戻ってきたときに全員揃っているか1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8と確認する金澤朋子さん。

高木紗友希さん:(肩で風を切ってガニ股で歩いて)おめえら楽しかったか?!!(『タイムリピート』の役柄を再現している。)普段はこんな子じゃないんですけど…(我々、エーイング)。…応援してくれてるんですよね?? 今日は人がいっぱい入ってるよ、満員だよと聞いていた。たくさんの人がいて、力が入った。

本日は足腰の悪い中…と締めの挨拶を始める金澤朋子さん。騒然とする会場全体。どよめきが収まらない。足元の悪い中の言い間違いかと思ったが、雨は降っていなかったので。他のメンバーたち同様、多さに感謝を表しつつ、(こんなにファンがいるなら)普段のライブハウスやホールでの公演もぜんぶ満員じゃないとおかしいのになあ…と毒づく。

稲場愛香さん:皆さんの前でパフォーマンスをするこの1分1秒が幸せ。Juice=Juiceのメンバーさんは私の加入が決まった時点から皆さんが優しい。Juice=Juiceファミリーの皆さんも。恩返しをしなくてはいけないと毎日毎日、考えている。ステージでのパフォーマンスで、そしてお会いする機会があれば気持ちをしっかり伝えられるようにしたい。

宮本佳林さん:このコンサートをタイムリピートしたい。体力もタイムリピートした(元に戻した)上で。

宮本さんの被っている帽子を差して、聖徳太子みたいだね、と高木さん。理解に苦しみますけれども…と首を傾げる宮本さん。

宮崎由加さん:(約2,000人という入場者数に触れて)ブログのコメント数はこの200分の1もいないわけで、サボっている人がそれだけ多いということ。コメント、いつでも待ってます。

・最後の最後の曲振りで言い間違える宮崎由加さん。タイムリピートしよう、とやり直す。乗っかるメンバーたち。
・『この世界は捨てたもんじゃない』 の8つ目の虹的なリリックで稲場愛香さんの肩に腕を回す高木紗友希さん。驚いて感激する稲場さん。その後、涙ぐむ。

終演後、すぐにグッズ売り場へ。日替わり写真はこの時点では宮本佳林さん以外は全員のが残っていた模様。今日はあまり買う機会の少ない段原瑠々さんのを選んだ。今日の彼女はいつにも増して元気が溢れていたし、楽しそうだった。

あまり期待をせずに臨んだが、蓋を開けてみれば2018年の現場でもトップ・クラスだった。今年一番なんじゃないかと思えるくらいの公演が年に何度もあるから、Hello! Projectのファンを止める目途がつかない。コンサートとほぼ同時刻に行われていたJ1リーグのルヴァン杯準決勝では横浜F・マリノスがウーゴ・ヴィエイラ選手の決勝点で鹿島アントラーズを打ち破り、勝利と貴重なアウェー・ゴール2点を手にした。Juice=Juiceとマリノスのおかげで、最高の気分で帰途についた。

2018年11月7日水曜日

タイムリピート~永遠に君を想う~ (2018-10-07)

高木さゆぴょんさんの大股開き。印象に残った場面を一つ挙げろと言われたらソレですね。普段はJuice=JuiceそしてHello! Projectをレップする歌姫であられる彼女が演じていたのは男性でね、それも肉体労働者で、てやんでい、べらんめえ的な、オラオラした感じの役だったんですよ。がに股でガシガシ音を立てて歩くような。何人かいた男役の中でも宮本佳林さんが最も中性的で少年ぽさがあったのに対し、高木さゆぴょんさんの役はいちばん分かりやすくオトコに寄っていました。テストステロンの量が多そうです。舞台が始まるや否や、彼女が思いっきり脚を開いてお座りになっているんですよ。私はJuice=Juiceのコンサートを60公演近く観させてもうてるし、ファンクラブイベントにも入らせてもうてますけど、メンバーさんがここまで脚をおっぴろげになっているのは初めて目撃しました。こんなシーンを待ってたぜ、ですよ。凝視してまうやん。股ぐらをさ。いや股ぐら言うてもね、何かが見えるわけちゃうで。分厚い作業着を履いてはるし。でもこの先、二度とないかもしれないんですよ。高木さゆぴょんさんが演じはったのがマスキュリンな男役だった上に、冒頭で開脚する高木さゆぴょんさんと正対する角度と距離の席に私が居合わせたからこそ起き得た事象なのです。

昨日と同じ15時半からの回を観劇しました。この時間が私にはちょうどいいんですよね。私の休日は、お昼ご飯を中心に回っているんです。何も予定がなくてただダラダラするような日でも、出かけて昼メシだけ食って帰ってくることもあります。一つ前の11時半からだとお昼時とモロにかぶるし、一つ後の18時半からとなるとお昼ご飯を外で食べてから時間を持て余す。15時半からがいい塩梅なんです。今日はね、火鍋を食いました。池袋の四季海岸で。一時期は毎週のように食べにくるほどどはまりしてたんですけど、最近は滅多に行かなくなりました。このお店のランチはね、煮タマゴが食べ放題なんですよ。料理はそこまででもないですが、煮タマゴがおいしいです。それで安いんで、日常的に使う店としてはおすすめできます。ただ周りを見ると中国人はあんまりランチのお得な定食を頼んでないんですよね。単品を頼みまくって楽しそうに豪遊してんの。たぶんですけど、彼らの富裕度合いからするとお得なランチと単品の値段など誤差の範囲なのではないでしょうか。たとえば我々が物価の安い国でレストランに入ったとして、100円と300円の差を気にしないように。

稲場愛香さんの日替わり写真をゲトりました。昨日も彼女のを買いました。私が日替わり写真を買うメンバーさんを選ぶ際にはいくつか基準があります。好きなメンバーさん。(終演後に買う場合は)印象に残ったメンバーさん。その写真の衣装やメイクアップを含めた写真うつり。そして、書き込み内容。これらの点から売り場のサンプルを眺めて決めます。稲場さんの日替わり写真は、最後の書き込み内容において他のメンバーさんを圧倒的に上回っていました。ご自身が持っている石を紹介されていて。丁寧で手が込んでいて、後に残したくなる写真でした。ご自身の名前、日付、会場名を書くまでは全員が共通ですが、どう装飾するか、何を付け加えるかは各人の工夫の見せ所です。日替わり写真に趣向を凝らした書き込みが出来るメンバーさんは出来る子って感じがします。

昨日は8列目で、今日は4列目の席をいただきました。近くなった分、迫力は感じられました。ただ昨日の方が舞台に没頭できました。何ででしょうね。はっきりとは分からないですが、昨日、東池袋中央公園で23時過ぎまでTwitter経由でお会いしたHello! Project愛好家の紳士お二人と飲んでいたのと関係しているかもしれません。全員が初対面でした。片方の紳士が、ご自身のソーセージ(変な意味ではなく)に乗ったゴキブリをフラッシュ撮影するのを二人で笑いながら見ていたのを覚えています。たしかフォーナインだったかな、私が飲んだのは。寝る時間も遅くなりましたし、影響ゼロとは言えないでしょうね。昨日に比べると多少の眠さ、だるさはあったのは否定できません。劇の途中で寝てしまうほどではありませんでしたが、集中力は少し落ちたと思います。実のところ、昨日よりもさらに楽しめるんじゃないかと期待していたんです。いちど観て展開を把握しているわけですから、理解が深まって、細かいところに色々と気付くんじゃないかと。もちろんそういう面もあったし、『タイムリピート〜永遠に君を想う〜』が観てよかったと思える最高の舞台だったことに変わりはありません。ただ、初めて観たときの驚きや新鮮な感動を上回るものを今日は得られませんでした。自分がどれだけそのコンサートや舞台を楽しめるかはさまざまな要素が関係していますが、事前に正しく予測するのは難しい。特段、楽しみにしていなくて席が8列。それよりも楽しみにしていて席が4列。普通に考えたら後者の方が楽しめるはずですが、今回は逆の結果になりました。こうやって書くと今日はイマイチだったような感じの文に見えてしまうかもしれません。繰り返しますがそんなことはなく、Juice=Juiceの底知れぬ能力を再認識し、新たな魅力を発見できたし、Hello! ProjectやJuice=Juiceを知らない人にも見せたいくらいの舞台でした。

2018年11月5日月曜日

タイムリピート~永遠に君を想う~ (2018-10-06)

それほど期待はしていなかったんだけど、見る見るうちに引き込まれて、最後には涙ぐんでいた。それだけ素敵な舞台だった。たとえばコンサートだったら盛り上がりに行く、サッカーだったら応援するチームのゴールと勝利を喜びに行く、感動系の映画だったら泣きに行くというように、多くの娯楽ではあらかじめ自分がどう反応するかというのがある程度、予期できる。予期というよりは、そういう感情を求めて足を運ぶ。私が『タイムリピート~永遠に君を想う~』を観劇するにあたってはそういう事前の想定が何もなかった。もちろんJuice=Juiceというイルな集団を割と近い距離で観られるのは心待ちにしていたけど、内容についてはすっげー楽しみというわけでもなかった。ほぼニュートラルと言っていい状態で開演を迎えた。まず、いつものようにファンクラブ先行受付が始まった時点では詳細が分からなかった。Juice=Juiceが主演の舞台。会場は新宿のスペース・ゼロ。その程度の情報で、申し込むかどうかを判断しなければならなかった。簡単なあらすじくらいは出ていたかもしれないけど、それだけを読んでもよく分からない、申し訳程度のものだった。初日が近づいてきて初めて、具体的に想像できる材料(画像)が公開された。どのメンバーさんがどういう役を演じて、どういうメイクアップで、どういう衣装で、というのが分かってきた。解禁されていく情報に、この舞台に対する私の期待を高める要素は一切なかった。服や髪型が総じてダサい。筋書きはあまり興味をひかれない。何より、肌の露出が少ない。特に宮本佳林さんの髪型とメイクアップは、普段の彼女のよさを消しているように見えた。その宮本さんをはじめとした数名が担当するのが男役というのもあまり楽しみと言える要素ではなかった。

それが、開演して時間がたつごとにグイグイ持って行かれた。舞台は終始、宇宙船。何やら世界では二つの陣営が対立していて、その片方に属する人たちが船に乗っている。宇宙を探索中に資源が豊富な惑星を見つける。宇宙法では先に上陸した陣営が所有権を得られることが定められている(ジョン・ロック方式ですね)。この星が蓄える膨大なエネルギーを占有できるかどうかは、対立する陣営との戦いを制する上で極めて重要。船に学者が二人乗っていて、その惑星に上陸するかどうかについて意見を求められる。学者が宮本佳林さんと稲場愛香さん。稲場さんは他の乗組員とは仲良くせず、鼻につく態度をとる。宮本さんのことも馬鹿にしている。上陸に関して宮本さんは危険だと反対し、稲場さんは上陸すべきと主張する。船長の宮崎由加さんは、これまたツンとした乗組員(高瀬くるみさん)にも押されつつ、上陸するという決断を下す。向かっていたところ、突如として小惑星が接近し、宇宙船にぶつかる。乗組員は全員、死ぬ。それで話が振り出しに戻るんだけど、稲場さんだけ記憶が残っている。彼女はこのままではみんなが死ぬことを必死に説明し、未来を変えて生き残るための道を模索する。それで四、五回だったかな、また初めに戻るというのを繰り返す。その都度、微妙に展開が変わって、新事実が次々に明らかになっていく。

・一つの物語の中で短い話がループするというのが、私には妙に心地がよかった。ジャズやヒップホップ的だからかもしれない。こういうジャンルの物語に関する興味が喚起された。百数十冊を数える私の積ん読の中で、Ken Grimwoodさんの“Replay”という小説の序列が急上昇した。
・難易度設定が絶妙だった。ひねりがありつつも難しすぎない。一回でもしっかり楽しめるけど、二回、三回と観たくもなる。これくらいがちょうどいいんだ。私が演劇女子部を観に来るのはHello! Projectのメンバーさんを鑑賞することであって、舞台が好きだからではないんだよ。いや、好きは好きだけど(私には下北沢の小劇場に演劇を観に行っていた時期もある)、それが主目的でないの。私は演劇女子部に、コンサートやイベントといった現場の一つとして来ているんだ。だから脚本、演出、衣装、メイクアップ、等々、舞台を成立させる要素のすべてはメンバーさんの魅力をどれだけ引き出せるかで価値が決まる。
・観る前には何だコレ…と思った宮本佳林さんの髪型やメイクアップは、彼女が演じたキャラクターによくマッチしていた。舞台が始まるとすぐに違和感はなくなった。Refugeecampさんの“Sensei”の早口フローのような独特なしゃべり方でまくし立てるガリ勉。これまでに見たことのない宮本佳林さん。
・通底しているテーマが没入しやすかった。自分だけが記憶や経験を保持したまま過去に戻れないかというのは、多くの人々が夢想したことがあるんじゃないだろうか。私も、今の自分のままで年齢だけ20歳になれないかと考えたことが何度かある。
・『気絶するほど愛してる』ぶりに目にする、稲場愛香さんの演技。特別。引き込まれる。Juice=Juiceが舞台をやるのであれば今後も彼女は欠かせない。彼女の存在がグループとして出来ることの幅を広げていると言える。それに負けない演技を見せた宮本佳林さん。この二人が見事に主役を演じきった。
・宮崎由加さんと植村あかりさんの滑舌の悪さは少し気になった。自身の間でしゃべれる場(ラジオとか、コンサートやイベント中のトークとか)だとそれも一つの個性や魅力だが、言い回しや速度を調整できない舞台の台詞では仇になる。