2016年4月24日日曜日

EMOTION IN MOTION (2016-04-23)

さいたま市民文化センター大ホールで、モーニング娘。さんのコンサート・ツアー“EMOTION IN MOTION”を観させてもらいました。ハロプロのメンバーさんたちは仕事について語るときに「やった」「歌った」ではなく「やらせてもらった」「歌わせてもらった」という言い方をします。おそらく事務所からそう教育されているのだろうと推測します。私はハロプロを見始めた6-7年前にそれに気付きました。冒頭でコンサートを「観ました」ではなく「観させてもらいました」という言い方をしたのは、彼女たちの言葉遣いに敬意を表しているのです。私たちファンにとってもハロプロのコンサートが開催されて観に行くことが出来るのは当たり前のことではなく、ありがたいことです。お金を払っているから当然ではありません。それを忘れないでいたいです。

ハロープロジェクト全体のコンサートで目にすることはありましたけど、モーニング娘。さん単独でのコンサートは私にとってしばらくぶりでした。私が最後に観させてもらったのは2014年の10月1日でした。日本武道館でした。翌月の横浜アリーナでの公演をもって道重さゆみさんがモーニング娘。さんを退団されましたが、私が実際に現場で観させてもらう公演としてはこの日が道重さんの最後でした。モーニング娘。さんのファンではあったものの音源や動画を楽しむのが主で、コンサートにはそこまでたくさん通っていたわけではありません。筋金入りのファンになるとツアーのコンプリートかそれに近いことをする人もいるんですよ。それでもツアーの度に何度かは入っていました。道重さゆみさんが退団されてからは一度も行っていませんでした。その気にはなれませんでした。私にとって道重さゆみさんのいないモーニング娘。さんは、上原ひろみさんのいない上原ひろみトリオ、ウイニングイレブンのないゲームセンター、納豆のない納豆ご飯のように無意味でした。モーニング娘。さんのコンサートに足を運ばなくなっただけではなく、コンサートを収めたBlu-rayすら買わなくなりました。

今回ひさしぶりにモーニング娘。さんのコンサートに来るにあたって、何か心境の変化があったわけではありません。会場のさいたま市民文化センターが、家から近いんです。あと、エース(ラッパーのACEさんではありません)の鞘師里保さんが退団されて初めての単独ツアーということで、どうなるのか興味がありました。ファンクラブの先行受付で一公演だけ申し込んでみたところ、当たりました。16時半開演の、いわゆる夜公演です。当たったとはいっても、外れでしたけどね。3階席でした。まあお前は大したファンでもないんだからこの席で文句ないよね? まずはここで観て、やる気があるなら這い上がってこい。そういうアップフロントさんからの叱咤が聞こえてくるようでした。いや、もちろんそれは冗談です。そんな悪意なんか介在する余地があるはずはなくて、単にモーニング娘。さんの人気が高くて申し込み数が多いからファンクラブの先行でもこういう席が来やすいんでしょうね。

情弱向けのサービスと馬鹿にされがちなグノシーを、私は未だに購読しています。記事へのリンクを貼っているだけなのにあたかも自分たちがそれを作ったかのような態度なのはたしかに滑稽です。ただ無料なので、一日に一本でも興味を持てる記事が流れてくれば購読する価値はあると思っています。グノシーが最近送ってきたある記事に、経営理念は絞れば絞るほどよいという主旨のものがありました。私も今日のような条件でコンサートを楽しむにはやり方を絞る必要があると理解していました。いわば鑑賞理念です。遠距離から漠然とステージを視界に収めるだけで満足できるわけがありません。開演前から決めていました。今日の私は、双眼鏡で牧野真莉愛さんを追いかける。他は見えなくてもよい。とにかく牧野真莉愛さんだけは見逃さない。

実のところ、私は現在のモーニング娘。のメンバーさんたちにそこまで興味がありません。ただハロコン(ハロープロジェクト全体のコンサートのことです)で牧野真莉愛さんは強く印象に残っていました。まず道重さゆみさんが寵愛していただけあって抜群の容姿に恵まれています。そして“One and Only”という曲の間奏で石田亜佑美さんと対面する場面に見られるように、振りまく笑顔が無邪気で、引き込まれるものがあります。その上「まりあんLOVEりん」「ごめんちゃいまりあ」のようなイル(イルとは直訳すると病んでいる、ですがヒップホップ用語ではほめ言葉です)なフレーズを発明されておりご自身の世界をお持ちです。入場前には牧野さんの日替わり写真を買いました。今のモーニング娘。さんは12人いますが全員を豆粒サイズで満遍なく眺めるのではなく、牧野さんだけを拡大して見たいという態度で臨みました。

それは正しい決断でした。もちろん、ときには双眼鏡を外してステージ全体を見ることもありました。たとえば、ステージを暗くしてメンバーさんたちが身に付けた帽子と手袋が光るという演出があったのですが、全体で一つの動きを見せる演出だったので一人だけを見ても意味はありませんでした。それでも全体の9割以上は牧野さんだけを見ていたと思います。他のメンバーさんのソロパートでも、客席への挨拶で他のメンバーさんがしゃべっているときでも主に牧野さんを見ていました。牧野さんはグループ内で群を抜いて可愛らしいにも関わらず後列や端っこにいることが多かったですが、見せ場は比較的多かったと思います。『Mr. Moonlight~愛のビッグバンド~』では工藤遥さん、生田衣梨奈さんとともに男役の一人に抜擢されていました。男役は歌割りが多いのはもちろんのこと、衣装が特別だったので目立っていました。『ファインエモーション!』(2004年のシングル『浪漫~MY DEAR BOY~』のカップリングです)を飯窪さんと誰か一人(覚えていません、何せ私の双眼鏡には牧野さん以外はまともに写っていませんでしたから!)と一緒に歌っていました。牧野さんは歌っているとき、踊っているとき、一つ一つの表情が本当に楽しそうで、自ずと私を笑顔にさせます。にやにやさせると言った方が正確かもしれません。表情といえば、ダンス中に目まぐるしくフォーメーションが変わる中で他のメンバーさんとすれ違ったり対面したりしたときに視線や笑顔を交わしているのがよく分かるのは、双眼鏡を使う醍醐味の一つです。

本編の最後の挨拶では、皆さんが盛り上がってくれてまりあの心にぐっと来ました的なことをおっしゃってから、皆さん飛んでくださいねという前振りを置いて「ホップ・ステップ・まりあジャンプ!」という技を披露されていました。まりあジャンプ!のところで客席の我々も飛ぶんです。ホップ・ステップ・まりあジャンプ!のことは今まで知りませんでした。意味は分からないけど最高だなと思いながら私も飛ばせていただきました。「まりあんLOVEりん」「ごめんちゃいまりあ」「ホップ・ステップ・まりあジャンプ!」。私の人生にはこういった要素が必要なのです。会場を出た私は牧野さんのアンオフィ写真を買って、帰途につきました。この日は工藤さんの凱旋ということでアンコールは「ハルカ! ハルカ!」でした。ダブルアンコールを受けて出てきた工藤さんが泣きながらファンへの感謝を述べていましたが、私にとってはホップ・ステップ・まりあジャンプ!の方が重要なのです。

2016年4月17日日曜日

℃ONCERTO (2016-04-09)

TVドラマ『孤独のグルメ』で知った池袋の楊2号店に足を運び、初めて汁なし担々麺を注文したのが2012年の3月だった。店内はおそらく私と同様『孤独のグルメ』を観て来たであろう客で賑わっていた。大半の客が汁なし担々麺を頼んでいた。食べてみると、コシのない麺にパサパサした食感。独特のクセがある味。好きになれなかった。何とか食べきったが、後半は苦しかった。相席で前に座っていた紳士は半分ほどを残して席を立った。帰り際に他のテーブルを見ると、残している人が大半だった。

3年後、私にとって汁なし担々麺は海外に行くと恋しくなる食べ物の筆頭になっていた。ある時を境に急においしいと感じるようになったのだ。四川料理にどっぷりはまって、池袋のいくつかの料理店に通う日々が続いた。そこでふと、楊の汁なし担々麺のことを思い出した。舌が四川化した今の私であれば、あの料理のおいしさを理解できるのではないか、と。再び対峙してみた汁なし担々麺は、驚くほどおいしかった。それ以来、週に一度は食べないと気が済まなくなった。海外に行っている等の本当にやむを得ないとき以外はほぼ必ず食べている。2015年にはおそらく40-50回はいただいた。最近では、目の前に運ばれてきた汁なし担々麺をちらっと見るだけで麺のゆで具合やタレの調合具合などから今日は当たりだとか外れだとかを判断できるようになった。

それでも、たまによく分からなくなるときがある。私は汁なし担々麺のことが本当に好きだから毎週かならず食べに来ているのだろうか? それとも先週も先々週も来たから今週も習慣で食べに来ているだけなのだろうか? ふと冷静になるときがある。野菜がほとんど入っていない。栄養バランスは悪い。味は暴力的でくどい。過剰にからい。本当においしいか? なぜ私はこんなものを好き好んで頼んでいるのか? そもそもこんな高頻度で食べるほどに好き好んでいるのか? 本当に分からない。

米国のラップでたまに出てくるcheeba (チーバ)という言葉がマリファナを意味することを知った。私はマリファナを嗜んだことはないしこれからもお世話になるつもりはないが、チーバと同じくらい、千葉には縁が遠かった。数えるくらいしか来たことがないし、前に来たのがいつかは覚えていない。この度そんな土地に足を踏み入れたのは、千葉県文化会館で℃-uteのコンサートを観るためだ。軽い気持ちで申し込んだが千葉はそんなに近くない。家の最寄り駅から本千葉駅まで、電車の移動時間が乗り継ぎを入れて1時間半くらいある。外泊は要さないし、遠征というほどではないが、ちょっとした外出でもない。あくまで本千葉駅の周辺を少しだけ歩いただけの印象だが、面白そうな飲食店もなく、つまらない町だった。まあ、コンサート会場があるのを除けばさびれた田舎という感じですよ。ある飲食店は入り口に「定食のみの方NGよ! 2名より!」と書いてあって、クソだった。飲み物を頼めというのはまだ分かるんだけど、1名の客を門前払いする店があるのか。

15時半からの回と19時からの回の、両方に入った。観るのが1公演だけだと長時間の移動は割に合わないので2公演ともに申し込んで、共に当選した。席は11列目と14列目で、割とよかった。℃-uteの単独現場に来るのは昨年の11月以来だった。℃ONCERTOと名付けられたこのツアーは先週、座間で開幕した。私にとっては今日が初めてだったので、楽しみにしていた。ハロプロ研修生の前座が終わると「いっちゃん! いっちゃん! いっちゃん!(一岡伶奈さんのこと)」と異常な声量で延々と叫び続けるキチガイじみた紳士がいた。両方の回で同じように叫んでいた。

2年前、名古屋に住むTwitterのダチに℃-uteのチケットを贈呈したことがある。その方にとっては初めてのハロプロ現場だった。終演後、全員が可愛くて眼福だったという感想を述べられていた。双眼鏡越しに視界いっぱいに飛び込んでくる℃-uteの皆さんを目に焼き付けながら、その言葉を思い出した。彼女たちの姿は、まさに眼福という言葉が相応しかった。もっと直接的に言えば、エロさがある。扇情的ないやらしさとは違って、自ずと発する女性的な魅力。これを出せるのはハロプロでは℃-uteだけだ。とりわけ矢島舞美、鈴木愛理、中島早貴の三人に目を奪われた。特に最初の衣装と、あとは三番目の衣装でhoodieを脱いでから。『デジタリック→0[LOVE]』での鈴木愛理からは目を離せなかった。

私は2013年春のツアー『トレジャーボックス』の岡井千聖のTシャツを着て、同氏がデザインした緑のタオルを首にかけてこの現場に臨んでいた。外見は完全に岡井さんの支持者であった。しかし、行動は違った。岡井千聖よりも、先述の三人に注目する時間の方が長かった。今までは、いくら℃-ute全体が好きだは言っても、その中で岡井さんを一番に応援しているのははっきりしていた。それがどうも揺らいでいる。かといって、℃-uteの他メンバーを明確に推しているわけでもない。℃-uteの中に明確な推しがいないという状態になったことに、気付いた。

15時半の公演で、岡井千聖は右目だけが赤くなっていると中島早貴が来場者に説明した。岡井さん本人は、右目だけが充血して眩しいと言っていた。双眼鏡で見たらたしかに右目だけが真っ赤だった。何かの病気なのではないかと心配になった。何もなければいいのだが。19時の公演では岡井さんの目への言及はなかった。

萩原舞はやや元気がないように見えた。客席に顔を向けて話をすることに少し怯えているような印象を受けた。4月1日に文春のウェブに彼氏と歩いている写真を載せられてから動揺しているのだろうかと考えるのは勘ぐり過ぎだろうか? ただ、15時半の回に比べて19時の回では復調しているようにも見えた。アルバム『℃Maj9』に収録された『羨んじゃう』(このアルバムでシングル以外では私はいちばん好きだ)で「彼氏より もっと欲しいモノ 私にはたくさんあるもの」と歌っていた。私の脳内では『フリースタイルダンジョン』でのR-指定との試合のDOTAMAによる「嘘つき嘘つき!」が再生された。

15時半の回で印象的だったのは先週の座間公演での話。鈴木愛理曰く、好物の麻婆ナスをケータリング担当者に頼んで箱に入れて取っておいてもらった。終演後、食べようと思って床に置いたところ矢島舞美が来て一緒に写真を何枚も撮った。矢島は気付かずに麻婆ナスを踏み潰した。お尻のあたりが濡れていたがそのときの感触がなかったという。それを聞き「どんだけケツ固いんだよ(筋肉で感じなかったんでしょ)」と突っ込む岡井。弁当箱が陥没した。というところまでは普通の話なのだが、鈴木さんがその潰れた弁当を交換してもらわず、もったいないと言ってそのまま食べたというのが、誠実に育っているというか、いい子なんだな、と。

Kiss Me 愛してる』で萩原舞が「ほとんどない」と歌うところにかぶせて一部のファンが「萩原舞、舞、舞」と叫んでいるのを、15時の回の最後のアンコール明けに岡井さんが取り上げた。
岡井「ほとんどないのところで新しいコールしてる? 何か舞、舞、舞って…」
鈴木「萩原舞って言ってるんでしょ?」
岡井「リズムが狂って、私がどこで歌い出せばいいのか分からなくなる! でもそうやって新しい試みを入れて盛り上げてくれるのはありがたい」
19時の回では「(1回目の公演で指摘したところ)萩原舞のコールをさらに喜んでやっている人がいた。リズムを取れなくなる。そう言ったらさらにやるんでしょ? もう中学生みたい。でも千聖はプロとしてちゃんと外さずに歌うので、千聖のコールもどこかに作ってください」

15時半の回のアンコールはいつも通り「キュート! キュート!」だったが、19時の回では「愛理! 愛理!」だった。鈴木さんが千葉出身だからというのが主な理由のようだが、誕生日が近いというのも関係しているような雰囲気だった。最後に皆さんがステージから捌ける際に、「(他のメンバーが)残れって言うから」と鈴木さんだけが残った。「今までこんなことあった? なかったよね?」とご本人も驚いていたが珍しい出来事だ。客席に向けて「みんな、つらいこともあるよね?」と問いかけた鈴木さん。「だけどもだっけど(小島よしおのような感じで)、今日のことを思い出してまた明日から頑張ろう!」。会場の盛り上がりは最高潮になった。その後に「これ大丈夫?」と急に不安そうになったのには笑った。

5ヶ月ぶりに来た℃-uteの単独現場。来てよかった。でも正直に言うと、そんなにめちゃくちゃ楽しいというわけではなかった。あっと驚く演出はないし、セットリストにしても衣装にしても、まあいつもの感じで想定内。どうも最近のツアーはそこまで好きになれない。最近の曲もそこまで好きになれない。いい曲が多いとは思うけど…。いや、大きく言えば℃-uteを好きなのは間違いないんだけど、自分の中で細かい感情が変わってきている気がする。自分の中で最近の℃-uteは「いいね」どまりであって「やばい」まで突き抜けていない。その理由が何なのか、自分で理解しきれていない。

今日の2公演を含め、私はこのツアーは7公演も観ることが決まっている。後は中野サンプラザで4公演、日本武道館での1公演が残っている。℃-uteのことが本当に好きだから7回も観に行くのだろうか? それともファンクラブの先行受付で外れるのを見越して多めに応募したところすべて当選したから観に行くだけなのだろうか? 明確な推しがいない。新鮮なワクワクを感じることが出来ない。なぜ私はこのグループを好き好んで現場に参加しているのか? そもそもこんなにたくさんの公演に入るほどに好き好んでいるのか? 中野サンプラザと日本武道館で、それらの問いへの答えを探すことになるのだろう。

2016年4月16日土曜日

宮崎由加バースデーイベント2016 (2016-04-04)

ちょっと焦りました。そろそろ時間だから半蔵門に向かおうと思って地下鉄の改札まで来るまではよかったんです。いつもパンツ(下着じゃない方です)の後ろの左ポケットにあるはずの定期入れがないんですよ。他のポケットも探しました。ダッフルコートのポケットも、カバンの中も探しました。でも見つからなくて。前の日くらいにPASMOに1万円をchargeしたばっかりだったんです。もし悪い人が拾ったら即座に使いますよね。だからなるべく早く鉄道会社に紛失を申し出て、使えないようにしないといけない。一方で時間に余裕がなくて。宮崎さんの誕生日を祝う大事なイベントに遅刻をするという選択肢は最初から頭になかったです。それはあり得ないことです。すぐに駅員さんに言いに行きました。もし時間がかかるようであれば途中で投げ出して会場に向かうつもりでした。最悪、PASMOの残金はなくなっても仕方がないつもりでした。だけど運良く関西弁の駅員さんがテキパキ対応してくれて、数分で終わりました。仮に誰かが拾ったとしても使えなくなっているという確認が取れて一安心しました。

TOKYO FM HALLには無事に開演前に着きました。入場前に湯のみ1,500円、2L判生写真4枚セット1,000円、A5ワイドサイズ生写真2枚セット、オフショット2L判生写真2枚セット500円、バースデーDVD 3,000円を買いました。湯のみ、いいですよね。お茶が好きな宮崎さんらしい。まあ僕が湯のみで飲むとしたら日本酒ですけど。最近のハロプロってご本人によるデザインがほとんどなくなっちゃったじゃないですか。Tシャツなんか顕著です。僕だけじゃないと思うんですけど、メンバーさんご自身による文字や絵が入っていると嬉しいんです。

今回のイベントは18時45分開演、20時30分開演、17時開演(追加公演)の三回あったうち、僕は18時45分の回と17時の回に入らせていただきました。17時の回は、C列(三列目)でした。右の方だったので、始まる直前に左の方で待機されている宮崎さんのお姿が見えました。後でおっしゃっていましたけど、緊張のあまり合図が出る前に出てしまったんですよね。それにしても今回のイベントを『桃色片想い』で始められたのはさすがですね。会場が一気に宮崎由加ワールドに染まりましたよ。ご自身の魅力をよく分かってらっしゃる…。もう反則ですよと言いたくなるくらいはまっていましたよ。今のハロプロで、宮崎さん以上にこの曲が似合う人はいないんじゃないですか?

宮崎さんの実際のお誕生日だった4月2日は地元の石川県でコンサートをされていたんですよね。この日ってZEEBRAさんのお誕生日でもあるんですよ。ご存じないですか? ほら「シに濁点で棒でフに濁点でラに濁点はなくて」でお馴染みの。ZEEBRAさんが属するキングギドラの名盤『空からの力』に大掃除というディス曲があってその中の一節です。最近ラジオ日本の『爆夜~BAKUNAI』を聴いていたらたまたま金澤朋子さんもZEEBRAさんを知らないと言っていました。まあ、知らなくてもいいと思います。それはいいとして、22歳になられた瞬間は、ご実家で、東京に行っていたお兄さん以外のご家族と過ごされていたんですよね。お誕生日に地元でコンサートが出来たのも、ご家族と過ごせたのもよかったですね。

Juice=Juiceのメンバーさんからメールの話は意外でした。宮本さんと金澤さんは当日の朝にお祝いのメールが来たけど、「問題児二人」の植村さんと高木さんは今(4月4日のイベント時)でも来ていないだなんて! 「『最後を狙っている』とかよく分からないことを言っている」というのは笑いました。他のグループの話を聞いていると結構みなさんお誕生日のお祝いメールはマメにやる印象があったんです。それこそ日付けが変わった瞬間に送るのが普通くらいの。最初にメールをくれたのはモーニング娘。'16の生田さんだったんですね。司会の鈴木さんが、色んなメンバーのバースデーイベントの司会をやってきたけど生田さんの名前は挙がったことがない。だから生田さんは本当に宮崎さんのことが好きに違いない、というようなことを言ったら宮崎さんは「(生田さんは)顔は金澤朋子ちゃんが好みと言っているのでよく分からないんですけど…嬉しいです」と照れ気味におっしゃっていましたね。「よく分からない」というの、口癖ですよね。

今回のイベントでは回ごとに異なるお題で、事前にWebのアンケートで来場者が回答した結果を宮崎さんが当てていくという企画がありましたね。17時の回のお題は「宮崎由加の魅力」でした。お手つきは5回までで、すべて正解すれば高級焼き肉の食事券がもらえるということでした。お手つきが5回までと鈴木さんが言ったとき、宮崎さんはそんなに外していいんだと喜んでいましたけど、5回でも難しかったですよね。せめて答えがあらかじめ分かっていて、順位を当てていくくらいにした方がよかった。僕が覚えている限りでは、1位が「騙されてもいいと思えるくらいあざとい」。上位には他に「ふわふわしている」「可愛すぎるルックス」、5位あたりに「ライブでの表現力」(「えー? あるかなぁ?」と戸惑いながらも嬉しそうな宮崎さん)、「甘えん坊」、下位の方に「グループ愛」「しっかり者」がありました。考えている最中、客席に目配せして答えを教えてくれと目で訴えていましたけど、僕たちも答えを知っているわけではなかったんですよ。終盤には鈴木さんからヒントをもらうだけにとどまらず「○○は(答えの中に)入ってますか?」「入ってません」「じゃあやめます」というやり取りでお手つきを免れたのには笑いました。反則技を使っても結局は食事券が獲得できませんでしたが、ゲーム終了を告げた鈴木さんに「ファンの皆さんの優しさは無駄だったんですか?」とただでは引き下がらない姿勢に負けず嫌いな一面を見ました。ファンから見たご自身の長所が10個書かれたボードを目の前にして「家に飾りたい!」とはしゃぐ宮崎さんが無邪気で微笑ましかったです。

矢島舞美さんからの祝福動画を、宮崎さんは食い入るように見ていましたね。動画の中で矢島さんは、宮崎さんの魅力として奥ゆかしさを挙げていました。SATOYAMAのロケで二人で一泊したことがあるという話を披露した後に、会場で一緒にハッピーバースデーの歌を歌いました。名前のところは矢島さんがいつもそう呼んでいるからということで「ゆかちゃん」でした。動画の後、「焼き肉は獲得できなかったけど…」と言う鈴木さんに「心は満たされました」と返した宮崎さん、満足そうでした。

その後、Bitter & Sweetの『恋心』、松浦亜弥さんの『100回のKISS』、カントリー・ガールズの『わかっているのにごめんね』を歌われました。『恋心』では高い音が出せず恥ずかしそうに喉のあたりに手をやっていましたね。17時の回で歌われた5曲中、2曲が松浦亜弥さんの曲でしたね。宮崎さんにとって松浦亜弥さんはどういう存在なのか知りたくなりました。『わかっているのにごめんね』では客席に降臨されていましたが、すべての通路をくまなく歩かれていたのがファンへの思いやりに溢れていました。

今回のイベントは内容が盛りだくさんで、最後の歌に移る前にもう一つ企画がありましたね。17時の回は利き茶。イベントをやりながら好きなお茶が飲める、と宮崎さんは嬉しそうでした。緑茶、ほうじ茶、紅茶の順番でやって、緑茶と紅茶が正解、ほうじ茶は不正解でした。間違える度にジャージ、割烹着、うさぎの着ぐるみを着ないといけないという罰ゲームでした。マイクを持ちながらだったのでジャージを着るのに手こずっていましたね。ジャージに岡井と書いてあるとおっしゃっていましたが、僕も見覚えがありました。去年の℃-uteさんの春ツアー“The Future Departure”のときのジャージですね。最後の紅茶だけ、宮崎さんが飲む前に正解が客席に明かされましたが、宮崎さんが背中を向けて見えない状態で、こっちがこうで、こっちがこうで、と鈴木さんがネタばらしをしたときの客席の「おー」という反応を聞いて「何そのリアクション~?」と戸惑う宮崎さんが可愛かったです。

最後にモーニング娘。さんの『インスピレーション』を歌われて17時の回は終了しましたけど、最後にはける直前に「最後に言いたいんですが、今までに聞いたハッピーバースデーでいちばん歌がうまかった。この中にオペラ歌手がいますよ!」というほめ言葉をいただいたのがこれ以上ない締めくくりでした。

18時45分の回は、B列で見させていただきました。今のハロプロでいちばん好きな宮崎さんのバースデーイベントに二回ともこんないい席を割り当てていただいて、アップフロントさんに感謝の気持ちでいっぱいです。これだけ近い場所に宮崎由加さんがいて、立っている、しゃべっている、歌っている、笑っている、それをこの目と耳で確認できる、それは本当に幸せな時間です。さいきん家に届いたモーニング娘。のチケットはゴミのような席でしたが、宮崎由加さんやJuice=Juiceさんのときにいい席や番号をいただけるのであれば、まったく問題ありません。

2回目は、1回目とは異なる部分も結構あって、同じイベントを2回見ているというのを感じずに楽しめました。違いとしては、まずハロプロ研修生の清野桃々姫(きよのももひめ)さんを招いての対決企画がありましたね。清野さんはケーキを運びながら登場して、ハッピーバースデーの歌も一緒に歌いました。セットリストが一曲だけ違いました。『100回のKISS』だった箇所がモーニング娘。'15さんの『冷たい風と片思い』でしたね。最後に、アンケートの1位から10位を当てるゲームのお題が「宮崎由加に足りないもの」でした。

それにしても清野桃々姫さんは強烈でした。清野さんが憧れているという嗣永桃子さんも顔負けの、徹底したアイドルぶりは見物でした。自撮り対決でも、遅刻を可愛く謝る対決でも、宮崎さんのファンだけで埋められた会場が思わず清野さんに軍配を上げてしまうほどでした。あのやりきっている感じが凄い。自撮り対決では清野さんが先攻でしたが、「伊達にブログに自撮りを載せていないですよ」と自信を隠さなかった宮崎さんを相手に「負けません」と言い放ち、渾身の自撮りで宮崎さんのファンだけで占められた会場をどよめかせ、宮崎さんを本気にさせていましたね。11歳の研修生から本気で勝利を奪い取ろうとする大人げない宮崎さんが見られてよかったです。撮影を終えてスマートフォンを職員さんに渡すとき、少し納得がいっていなさそうでしたがまあいいかと小さくつぶやいていましたね。遅刻を可愛く謝る対決でも先攻だった清野さんは「宮崎さんの美しい写真を見ていたらあっという間に時間が過ぎてしまって…」と宮崎さんのファンである僕たちもうまく味方に付けながら完璧な回答を見せて、宮崎さんはたじたじでしたね。30秒で円周率を覚えて30秒で書き出す速読トレーニングのような対決でも、宮崎さんは3.145926535くらいで間違えていましたが、清野さんは20桁くらいまで行っていたし書いた数字はすべて合っていましたもんね…。何という記憶力。鈴木さんから11歳と22歳でダブルスコアだと煽られていましたが、僕は33歳なので、11の倍数でいい感じでした。会場には44歳と55歳もいたかもしれません。

この回では冒頭に鈴木さんとの話の中で、1回目に比べて緊張がほぐれたとおっしゃっていましたね。実際、さっきの回に比べて伸び伸びされていたように感じました。特に「宮崎由加に足りないもの」を当てるゲームでの奔放さ加減が最高でした。客席を見渡して答えを教えてくれと訴えるのはもちろんのこと、ヒントとして鈴木さんに最初の文字を聞いて「ク」。最後の文字も聞いて「ル」。そのうえ真ん中の文字まで聞いて「ー(棒)」。それで正解が「クール」だったというのはみんな笑っていました。事前に応募ページの選択肢を見ていたから、そこにあった選択肢を言えばいいのかと言う宮崎さんに「カンニングをしたの?」と鈴木さんが聞いて「違います。これを(ブログで)告知してという資料だから見ていいんです」と反論されていましたけど、たしかにそれは正しいです。極めつけは、ちょっとだけめくっていいですよね?と言って正解が分かるまで紙をめくっていて、やりたい放題でした。「こんなおてんばな子だとは思わなかった!」と鈴木さんもびっくりされていましたね。私も、宮崎さんがこんなに負けず嫌いでマリーシアに溢れているとは知らず、今回のイベントで新たな魅力に気付くことが出来ました。(マリーシアというのは勝つための駆け引きというくらいの意味です。戸塚啓さんの『マリーシア~<駆け引き>が日本のサッカーを強くする』が参考になります。)

「宮崎由加に足りないもの」の1位は「セクシーさ」でした。最初の文字が「セ」だと知って一旦「セクシー?」と言い掛けてから「いや、でも最近出てきたから違うはず」と回答を引っ込めようとしていましたよね。正解が「セクシーさ」だと聞いて「まだ気付いていないんですね~」と僕たちに向けておっしゃっていました。他には「芸能人の友達が少ない」、「運」(「私、運めちゃくちゃあるよ」的なことをおっしゃっていましたね)、「ずる賢さ」、「歌唱力」、「かわいさ」(会場が「え?」という感じで若干ざわつきました)、「トーク力」といったあたりがありました。あの手この手を使って1位~10位をすべて正解したものの、「不正が過ぎるので高級焼き肉から牛丼に変更」というカンペがステージの袖から回ってきていましたね。

Bitter & Sweetの『恋心』では1回目と同様、苦手な箇所で声が出せず、1回目よりも歯がゆそうでした。歌いたいという気持ちは十分に伝わってきましたし、難しい曲に挑戦したことが素晴らしいことだと思います。僕は宮崎さんが100点を出す姿が見たいのではなくて、今の宮崎さんが出来ることをやってくれれば嬉しいのです。最後の『インスピレーション』では歌い出しの場所を早まってしまい、曲の後に謝って、思いっきり悔しがっていましたね。このイベントのセットリストをどうするかは迷った、何を歌えば盛り上がるのか分からなかったというようなことをおっしゃっていましたが、十分に盛り上がったと思います。ちょっと声が出なかったとか、間違えたとか、そんなのは些細なことです。終演後のお見送りでは清野さんとの対決に負けた罰としてうさぎの着ぐるみをお召しになっていましたが、「こんなのを着させられちゃって…」的な表情が可愛すぎましたし、陳腐な表現ですが癒されました。定期券を紛失したことがどうでもよくなるくらいにほっこりした気持ちになりました。素敵な時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。

2016年4月10日日曜日

気絶するほど愛してる! (2016-04-02)

池袋BIG TREE THEATERというと真っ先に℃-ute主演の舞台『さくらの花束』を思い出す。2013年の3月だった。でも去年のこの時期にこぶしファクトリー主演のミュージカル“Week End Survivor”を観に来たのもこの会場だった。去年の“Week End Survivor”よりも3年前の『さくらの花束』を先に思い出すのは、後者の方が自分にとって楽しかったし、観た回数も多かった(3種の公演を計5回。“Week End Survivor”は2回)ので深く記憶に残っているからだ。

『さくらの花束』は劇の後に出演者の方々によるトークショウがあって、私が観たある回(2013年3月17日)では花粉症が大変だという話をしていた。岡井さんが演技中に鼻をすすったけど失敗した、手で鼻をつまんだら鼻水が伸びた、鈴木さんも岡井さんも会場を移動する(三つの会場で同時並行で話が進んでいくという試みだった)度にティッシュペーパーをつかんで鼻をかんでいる、といった話をひとしきりした後にアイドルなのにこういう話して大丈夫?と鈴木さんが気にしていた。℃-uteの皆さんが花粉症に苦しんでいる話を聞いて、彼女たちも一応は自分と同じ人間なんだなと少し安心したのを覚えている。

私は2013年に『さくらの花束』を観たときも花粉症だったし、2015年に“Week End Survivor”を観たときも花粉症だったし、カントリー・ガールズとつばきファクトリー主演のミュージカル『気絶するほど愛してる!』を観に来た2016年の今日も変わらず花粉症である。今日は鼻水、くしゃみ、目のかゆみという典型的な症状にとどまらず、頭が痛い(池袋のベローチェでこれを書いている後日の今も頭が痛い)。しばらく放っておいたら治るのを期待したがその気配がないので、会場に入る前にバファリンを飲んだ。バファリンと言えば以前Public Enemyのアルバムを聴いていたらBufferinとsufferingで韻を踏んでいて、調べてみたところアメリカの薬であることを知った。

池袋BIG TREE THEATERというのは同じ建物の中にある三つの劇場の一つで、あと二つはBOX in BOX THEATERとBASE THEATERである。BIG TREE THEATERがいちばん大きい。とは言っても収容人数は備え付けの席で167人。今日はそれに加えて補助席が10人分ないくらい設けられていた。私の席はI列で、後ろから4列目。あまり期待していなかったが、十分に近くて見やすかった。双眼鏡を持ってきたがたまに使う程度だった。主に使ったのは舞台に出ているのが一人か二人のときだった。たくさんの人が出ている状態で双眼鏡を用いると舞台で起きていることの殆どを見逃してしまう。嗣永桃子さんを除くカントリー・ガールズとつばきファクトリーの全員(+数名)が出演していたのでハロコン的なきらびやかさがあった。

話の内容としては、稲場愛香さん(役名:ヒロコ)が、亡くなった妹が大ファンだったロック・バンドの演奏を観る(妹に「見せる」)ために田舎から東京に出てくる。親衛隊に入れてもらう。その中の一人(森戸知沙希さん)と仲良くなる。バンドの人気を支えるvocal岸本ゆめのさん(役名:ビリー星野)の傲慢さに嫌気が差した山木梨沙さんがバンドを脱退する。ひょんなことから稲場さんがその補充要員となる。岸本さんと恋愛関係になる。バンドのメンバーに近づいてはいけないという親衛隊の規則に反するため親衛隊の面々に隠しながらバンド活動を続けるが、ついに森戸さんにバレてしまい、友情に亀裂が入る。一方でバンドは流行から外れてファンは減り落ち目になる。という感じであった。役名はヒロコとビリー星野しか覚えていない。

バンドの音楽に合わせて親衛隊がワーキャー言って手を振って身体を動かす場面が何度も出てくるのだが、日頃は応援を受ける歌手であるハロプロメンバーさんたちが歌手を応援する役を演じているというのがとても面白かった。ハロプロ構成員の皆さんが客席に背中を向けて憧れのスターに熱狂している様は、いくら演技とは言ってもまず目にすることがない。

途中加入したヒロコを除いてバンドは全員が男なので、バンド役の方々は男装して男役を演じていた。前述したvocalの岸本ゆめのさん以外にはbass担当者を山木梨沙さん、guitar担当者を小野田暖優さん(演劇女子部)、drums担当者を小関舞さんが演じた。演技の経験すらほとんどない彼女たちが男役をどうこなすのかと思っていたが、しっかりと男になりきっていた。私が観に行った4月2日の15時公演は23公演中の15公演目である。これまでに回数を重ねて完成度を高めてきたのが伝わってきた。あと彼女たちは年齢的にまだ中性的な部分が残っているので男役がはまりやすいのかもしれない。

稲場さんも岸本さんも山木さんもよかったし、よくなかった人なんていないけど、MVPは森戸さんか須藤さん。特に今回は自分の中で森戸さんの新たな魅力を発見した。純粋でひたむきな性格の役柄が森戸さんの雰囲気と合っていた。須藤さんはバンドのA&Rのような役だった。しゃべり方や仕草が過剰な感じでユーモアに溢れていて何度も笑いを取っていた。岸本さんたちのバンドが出場を狙う音楽フェスがあって、今日はそのプロデューサーが観に来ているという場面があった。その「プロデューサー」は須藤さんが客席の通路を練り歩きながら客の一人から決めた。須藤さんがその「プロデューサー」に誰を応援しているのかを聞くくだりがあったのだが、当てられた客が「かななん」と答えたのがどっと受けて、拍手まで起きた。真剣な場面もあったし、そうやって笑いが起きる場面もあったし、緩急があったのがよかった。

公演中、私の頭痛は引かなかったし、途中からケツも痛くなった。ここは椅子が固い。クッション必須。次にここに来ることがあれば忘れずに持ってこなくてはならない。私の中で“Week End Survivor”がいまいちだったことによる演劇女子部への低評価は払拭された。終演後、買う予定のなかったsoundtrackを思わず購入した。このミュージカルを私が観たのはこの一回のみだが、もう一、二回は入りたかった。次の演劇女子部の公演も、ぜひ観に来たい。

2016年4月5日火曜日

MISSION 220 (2016-03-27)

聞いてくれよ。俺のチケットは121番だったのに、400番くらいになるまで会場に入れなかったんだ。いや、チケットって大体2週間前に郵送されて来るじゃん? でも海外出張に行っててね、おととい帰国したばかりでさ。受け取れなかったんだ。ファンクラブに電話して、当日に会場で引き渡してもらえるという算段はつけてあった。ファンクラブ会員証と顔写真入りの身分証を提示して、開場してから開演の15分前までの間に当日券売場に行ってくれということだった。事前に席や番号が分かっていないまま現場に向かうのは初めてだったんだけど、どうも気持ちの持って行き方が難しい。今日は時差ぼけで午前3時過ぎまで眠れなかった。眠れない夜はYouTubeにある「20分以内に眠くなる音楽」というのをかけるんだけど、あれの効力をまったく感じなかったのは初めてだ。起きてもだるさが残っていて、これから横浜に移動しなきゃいけないというのは気が乗らなかった。帰国した二日後に現場というのは無理があったかな、と少しだけ思った。

で、チケットを持たないまま横浜Bay Hallに着きましたわ。開場時間である14時の少し前だったんだけど、トランシーバーを持った職員に事情を説明してどうすればいいのか聞いてみた。開場してから階段を上がったところで受け取ってくれと彼は言った。混雑が予想されるので先にお客さんが入ってからの方がいいというようなことも言っていた。それは意味がよく分からなかった。ひとまず了承して、入場待ちの人たちが立たされている区域で待っていた。さっきの人がいまいち信用ならないので、入場列を仕切っていた別の職員に同じことを聞いてみた。すると結局その人も俺が最初に聞いた職員に聞いていた。入場列の最後尾に並んで入ってくれとのことだった。従ったけど、いまいち納得できなかった。だってここにいる人たちって、列に並んだ先着順に入っているわけではなくて、チケットに印刷された整理番号順に入っているわけだからさ、この指示じゃいつ入っていいのか分からないんだよ。しかも俺の番号がめちゃくちゃいい番号の可能性もあるわけじゃん。ライブハウス(和製英語)は指定席じゃないからさ、俺の番号はとっくに過ぎているかもしれないんだなと思いながら番号の呼び出しをやり過ごしていくのは落ち着かないよね。さすがに三百何十番とかになってきたあたりで痺れを切らして「全員が入るまで待つんですか?」と例の男に聞いた。すると小僧ときたら「私は会場のスタッフであって運営のスタッフではないので、番号の呼び出しをしている方に聞いてもらった方が…」と急に掌を返してきやがった。唖然とした。え、だったら何で後ろに並んでくれと中途半端な指示を出したわけ? お前の所属なんて知らねえよ。自分じゃ分からない、判断できないんだったら最初から言えよ。そういった文句が口から出かけたが、二十歳前後の美少女たちのコンサートを観に来た30代男性が会場に入るタイミングを巡ってムキになって会場の職員に文句を言うのは格好がつかないし、何より今まで無駄に待った時間は戻ってこないのでやめておいた。こうやってブログで後からねちねちとディスることでお茶を濁すことにする。それが大人の態度だ。

入り口の前にいたエスタシオンの職員に言ったらあっけないほどすぐに入れた。くそ、さっきまでのあれは何だったんだ。列に並んで階段を上がってチケットを見せるところで「会場で引き渡しなんです」と言うと横のテーブルを指し示された。そこでチケットを受け取った。手慣れた様子だった。開封すると121番だった。ああ、結構いい番号だったじゃないかよ! そのときは既に400番くらいまでは呼び出されていた。案の定、中に入ると前方の空間は殆ど埋まっていた。やっちまった。しかし横浜Bay Hallは他の多くのライブハウス(和製英語)とは違って、後方に段差があってステージが見やすそうな場所が広く取られている。しかも2段階。一番上で割と見えそうな位置を見つけたので、今日はそこに陣取ることにした。

横浜Bay Hallのつくりは、そんなに悪くない番号だったにも関わらず後ろに立たざるを得なかった俺にとって、救いだった。最後の方に入って演者の皆さんがちゃんと見えるなんて経験は、初めてだった。ライブハウス(和製英語)でコンサートをやることの意義として、客が近くからstageを見ることが出来るというのはよく言われることだ。ハロプロのグループが全国のライブハウス(和製英語)を回るツアーを大々的に始めた頃はツアーがナルチカ(なるべく近くの略)と名付けられていた。でもよほど前方に行かないかぎり、人が邪魔になって見えない。近さの恩恵にあずかることが出来るのは運良くいい番号のチケットを割り振られた奴らだけだ。しかし、横浜Bay Hallは違った。後方でも近さの恩恵を享受できる、来場者に優しい、稀有な会場だった。その上、俺がいた付近は人が密集しておらず、快適だった。メンバーさんがstageに広がった際に宮崎由加さんが一番左(下手)に来ることが多くて、ちょうど俺の位置から正面になることが多かったのも都合がよかった。

開演前のannouncement(影アナ)は金澤さんが担当した。彼女が注意事項を読み上げる度に他のメンバーたちが最後の単語を繰り返したり「そうだ」等とちゃちゃと入れているのが小さく聞こえてきて、笑った。影アナでopening actがあることが告げられた。間もなくNEXT YOUが登場したが、最初に現れたのは真由、波奈、るりかの三人だけで、愛子と碧はいなかった。昨日の夜にTVドラマ『武道館』(フジテレビ版)が最終回だったんだけど、俺はまだ観ることが出来ていなかった。これを書いている今はもう観ているから分かるんだけど、愛子と碧が武道館よりも恋愛を選んでグループを脱退したことが最終回では示唆されているんだ。でもドラマと違って、後から現れた碧は「私は、武道館を選ぶ」、愛子も「武道館を選ぶ」と言って客は拍手喝采だった。自己紹介のときにも真由が「スキャンダルゼロ!」と言ったのに対して碧が「スキャンダルは、計2回」と言ったり(るりかが大受けしていた)、愛子も「剣道が好き」と言って「剣道をやっている人が好きなんでしょ?」と真由に突っ込まれていたりして、ドラマを引っ張っていて面白かった。

序盤の挨拶で高木さんが「大事な日曜日を私たちのために使ってくれてありがとうございます」ということを言っていた。今の状況を当たり前と思わずにこういう分別のある言葉を発することが出来るのはいいね。俺からしてみると、こちらこそ日曜日にこんなに平和で楽しい空間を提供してくれてありがとうございます、だよ。こんな現場を日常的に体験できるのは日本それも東京周辺だけだ。日本に帰ってきてよかったし、帰国したばかりのところ多少の無理をしてでも来てよかった。

宮本さんが今までのしゃかりきコロンブス的な印象に比べて肩の力が抜けているように見えた。過去にはすべての動作で10割の力を出し切っているように見えた。今日に関してはあえて8割、9割でこなしているときもあるようだった。手抜きとは違う。余裕から生まれる優雅さがあった。宮本さんのプレイスタイルを俺は以前、岡崎慎司のようだと評したことがあったけど、岡崎慎司がレスターでオーバーヘッドを決め日本代表でも巧みな足技からのゴールを見せるようになったのと同様、Juice=Juiceの岡崎慎司も日々進化を続けている。

「私の写真集を買ってくれた人?」と植村さんが呼びかけると大半の客が手を挙げた。「たくさん買ってくれた人もいると思うんですけど、そういう人は最後の一冊になるまで捨ててください。私、厄年なんで写真集にいっぱい厄が詰まっていると思います」と植村さん。「他のグループのファンにあげてJuice=Juiceを広めてもらえばいい」とメンバーさんの誰か。
「最近キー(高木さん)から大きくなったねって言われて」客から、どこが?という声。「どこがって身長に決まってんだろうがバーカ!」とキレる植村さん。このとき宮崎さんが口をあんぐりと開けて唖然としていて、顔文字のようだった。高木さんは胸が膨らんでいる様を身振りで示しておどけていた。

アンコールを挟んだ本当に本当の最後の曲が『生まれたてのBaby Love』なのは嬉しい。2015年に出た曲で、俺がいちばん好きな曲だからだ。ただ一つだけ不満がある。間奏でメンバーさんと客が全員で同じ動きをするところがあるんだけど、過去には都度アドリブで毎回ちがう動きだったのが、ある時期から毎回おなじ動きになったんだ。今回はどんな動きが来るんだろう、っていうのが楽しみだった。最も印象に残っているのは、山口県の周南チキータ(2015年8月)の昼公演だったかな?で「山!山!口!口!」と山と口を手で作る動き。

最後の挨拶。「今日はタオルを持って振ってくれる人がいつもより多くて嬉しかった。持っていない人は、たぶん(物販で)売っていると思うので」と言って笑いを誘った後に、「強制じゃないですよ」と付け加える宮崎由加さんの優しさ。この日がCODE 2の最終日であるとのこと。「そんなにセットリストが大きく変わるわけでもないのに何度も来てくれる人もいる。何度でも来たいと思ってもらえるperformanceを見せられるようにしていきたい」と金澤さん。

コンサートが終演して、もうね、完全に満足した。本編の後には恒例の高速握手会があるんだけど、参加せずに帰った。たらふく料理を食って満腹なのに、デザートを無理に詰め込むようなことはしたくなかった。会場を後にし、元町・中華街駅に向かった。Velva Sheenの長袖Tシャツの上に、前と後ろに大々的に宮崎と黒で印字されたピンクのTシャツを着ているのを忘れたまま(上着は駅のロッカーに預けてきた)5分くらい歩いてしまい、慌てて宮崎Tシャツを脱いだ。