2016年12月31日土曜日

つばきファクトリー メジャーデビューシングル発売記念イベント (2016-12-29)

無職に優しい池袋の三大娯楽施設:BOOKOFF、新文芸坐、サンシャインシティ噴水広場。BOOKOFFでは立ち読みし放題だ。夏休みや冬休みの漫画セクションではハナから買うつもりがないであろうガキどもが大量発生している。時間と元気を持て余した彼らを店内に閉じこめることでBOOKOFFは犯罪の防止に貢献している。私も職がなかった頃には一冊の本を丸ごと店内で読んだこともあった。もちろんそんな程度の低いことをしなくても、数百円で買える本は無数にある。新文芸坐では、1,300円で二本立ての名画を観ることが出来る。普通の映画館で普通に買ったら映画のチケットは一本で1,800円だ。その三分の一近くの値段で映画を楽しめる。しかも名画だから価値は保証されている。サンシャインシティ噴水広場では、時折ハロー!プロジェクトのリリース・イベントが開催される。観るだけなら無料なので、一円も出さずにハロプロのパフォーマンスを楽しむことが可能である。しかも近い。見える位置であれば、その辺の下手なライブハウス(和製英語)よりも満足のいく体験を得られる。さらにシングルCDを一枚買えば出演者たち全員と高速の握手が出来る。この三つの施設に共通しているのは、少ないお金で多大な時間を消費することが出来る点である。

それは無職にとっては利点であり、有職者にとっては必ずしもそうではない。お金が足りなくて時間が余っている(時間よりもお金が貴重)のが無職だとすると、彼らはいかになるべく安いお金で時間を過ごすかを考えて生活するのが合理的である。体験の価値は第一に「効能÷金額」で計られる。この式に時間を入れる必要はない。なぜなら時間は積極的に消費したいものだから。同じ効能を得るのに時間がどれだけかかったかはあまり重要ではない。一方、時間が足りなくてお金が余っている(お金よりも時間が貴重)のが有職者だとすると、彼らは短時間で効能を得るように生活するのが合理的である。体験の価値は第一に「効能÷時間」で計られる。同じ効能を得られるのであれば所要時間は短ければ短いほどよい。値段が多少安くなることよりも、欲しいものに手っ取り早くたどり着けることの方が価値がある。もちろん無職に時間が無限にあって、有職者がお金を無限に持っているわけではないのは百も承知だ。あくまで無職と有職者を理論的に対比するための大雑把なモデルである旨をご理解いただきたい。

上記モデルを前提にすると、サンシャイン噴水広場でのリリース・イベントは無職のために設計されたようなものである。有料で前方で観るためには優先エリアの入場券を得る必要がある。無料で観る場合には見やすい場所をあらかじめ確保しておく必要がある。優先エリアの入場券も、見やすい位置も、数は限られている。つまり、手に入れるためには早い時間からサンシャインシティに行かなければならない。その早い時間がいつを指すかはグループの人気によって違うようだが、いずれにしてもどれだけ自分の時間を差し出せるかが勝負の分かれ目だ。こういうリリース・イベントからは身を引いて、時間が余っている無職や実質的な無職に任せたいという気持ちがあった。自分は事前にチケットを買って指定席で観るような公演に専念したいと思っていた。実際のところ、サンシャインでのイベントは無職の頃に何度も観に来させてもらったが、職に就いてからの2年半はこういうイベントには一度も行っていなかった。サンシャイン以外でも販促イベントにはこの2年半で一度も顔を出していない。今日なぜ来たかというと、第一に会社が休みであった。第二に、つばきファクトリーが2月にデビューする前のイベントに一度は足を運びたかった。第三に、以前に何回か訪れて噴水広場にいい印象を持っていた。CDの予約販売開始が10時だった。その数分前に列に加わった。並びながら渡された予約用紙に記入する。三つのバージョンを1枚ずつ。計3枚。3,240円。優先エリアの入場券がもらえるかどうかは、会計を済ませた後にならないと分からない。運良く3回とも残っていた。整理番号が107、90、62。11時ちょい前。無料で観るという手もあった。でも優先エリアという最前線からつばきファクトリーのCD売上とイベントの盛り上げに貢献したいという気持ちが勝った。

Juice=Juiceのメジャーデビュー記念イベントのときに一度だけ握手をしたことはあったが、優先エリアに入ったことは一度もなかった。13時の回は12時40分、15時半の回は15時10分、18時の回は17時40分とそれぞれ開始の20分前に「噴水広場裏大階段」という横に広い階段に集合するようになっていた。まず50番ごとに区切って待たされ、時間が近くなってきたら1番ずつ番号を呼び出して列を作らされ、集合時間の少し前くらいから会場への誘導が始まった(つまり整理番号が若ければ集合時間に行っても遅かった)。100番より後は5番ずつの呼び出し。整理番号は各回、大体200番くらいまであったようだ。優先エリアの入場口で入場券を提示し、荷物検査を受け、FCイベントでもお馴染みのゴミ袋(AKBが握手会で刺されてからハロプロのイベントで配られるようになった。握手や見送りの際に所持物品をすべて入れて係員に渡さなければならない)を受け取る。そこから思い思いの位置を取っていくわけだが、107番の1回目は4列目の右寄り、90番の2回目は3列目の右寄り、62番の3回目も3列目の右寄りだった。1回目でたまたま取った右寄りの位置が、小野瑞歩を鑑賞するのに絶好の位置だった。メンバーが整列したときに真正面に来る。3回目は整理番号からすると2列目くらいに行けても不思議ではなかった。どうやら左側が空いていたらしいが、右寄りを確保したかったので3列目に甘んじた。

セットリスト

1.『私がオバさんになっても』
2.『17歳』
-Talk-
3.『青春まんまんなか!』(2回目は『気高く咲き誇れ!』、3回目は『独り占め』)
4.『うるわしのカメリア』
-Talk-
5.『Just Try!』

・1回目の『私がオバさんになっても』途中から小野瑞歩が涙をこらえていて、曲の最後の方には明らかに泣いていた。
・森高千里のカバー二曲で始めたのは一般消費者が通りがかる商業施設で披露するセットリストとして極めて正しかった。私は最前線にいたのでこれらの曲でどれだけ普通の人たちが足を止めたのか、まったく分からなかったが。
・「私がオバさんになったらあなたはオジさんよ」という歌詞を、「いや、既に現時点でオジさんの人が大半なのですが…」と思いながら聴いた。
・今日は『うるわしのカメリア』の衣装。制服をモチーフにしているという。
・3回目では『Just Try!』右手の親指を立てて手を挙げる動きを皆さんもやってくださいということで、みんなでやった。

高速握手会

1回目:山岸理子→谷本安美→秋山眞緒→小野瑞歩→岸本ゆめの→小片リサ→浅倉樹々→小野田紗栞→新沼希空
・山岸さん、谷本さんがYOU THE ROCKのように真っ赤な目をしたフクロウになっていた。
・小野瑞歩との初めての接触。「泣いてたね」と言うと照れ笑い。「嬉しかったの?」と聞くと「うん。嬉しかったの」。そう言いながら左手の指で私の右手の甲をめっちゃスリスリしてきた。未体験ゾーンだった。
・小野田紗栞の握力が冗談じゃないかと思うレベルで強かった。矢島舞美の握手より強かった。思わず「つよっ!」と口に出た。
・新沼希空が握っていない左手でロックしてきた。
・思ったほど高速ではなかった。
・最後の3人くらいがなまらループしているのをみんなで見物していた。まだ券があるのかよという感じで、見ていて面白かった。最後まで残った人は10数枚、CDを買っているはず。

2回目:小野瑞歩→山岸理子→小野田紗栞→浅倉樹々→谷本安美→新沼希空→秋山眞緒→小片リサ→岸本ゆめの
・列に並んでいるときに、25日のイベントで顔見知りになった紳士と遭遇。「宮崎なんて捨ててこっちに来い」という温かいお言葉をいただいた。彼は朝6時から並んでいたらしい。
・小野瑞歩。「足痛くない?」「はい」「怪我しなかった?」「大丈夫です。ありがとう」という感じ(参照:下の「トーク内容、その他」の「2回目」)。
・2回目でも小野田紗栞の握力は衝撃が抜けない。「めっちゃつよっ!」。小野田は笑っていた。
・小野瑞歩とだけは会話をするようにして他は流したのだが、意外と一言の往復が出来る時間はあった。自分から流れすぎた。

3回目:新沼希空→秋山眞緒→小野瑞歩→岸本ゆめの→浅倉樹々→谷本安美→小片リサ→山岸理子→小野田紗栞
・どうやら私が風邪のひきはじめらしく目の奥、腰、背中に痛みがあって、ちょっとしんどくなっていた。全員を「お疲れさまでした」で通すのが精一杯だった。
・小野瑞歩に「お疲れさまでした」と言うと「ありがとう。3回とも!」と左手の指で数字を表しながら返してくれた。
・握手会で、基本みんな向こうから視線を外さない。プロ。

ソロ・パートにおけるコール

小野瑞歩:みずほ
山岸理子:りこちゃん
小野田紗栞:さおり(?)
浅倉樹々:ききちゃん
谷本安美:あんみ
新沼希空:きそら
秋山眞緒:まおちゃん(?)
小片リサ:おがた
岸本ゆめの:ゆめの

あんみー!が面白い。二文字の名前だと○○ちゃんになるのが通例だが彼女だけ違う。
※(?)を記入したメンバーについてはこのイベント中にコールを入れるソロ・パートが発生したかの記憶が定かではない。

トーク内容、その他

1回目
・ACミランのユニフォームの上にグレーのジャージ、茶髪というイキッた大学生のような出で立ちの、ちょっと岩田光央っぽい紳士による前説。「メンバーはサンシャインでのイベントを一つの目標にやってきた」と我々を盛り立てる。アップフロントの人のようだ。マネージャー?
・サンシャイン噴水広場はメンバーが前から立ってみたかった場所。3回のイベントで各メンバーがやってみたいことをやろう。1回目は新沼が「走ってみたい」ということで右から左まで走る。小野田が宣誓をしてみたいということで「どんなことも乗り越えて色んな人を笑顔にすることを誓います」的なことを言う。めっちゃ覚悟がないと言えないよね、これって。
・2017年は「先輩たちを追い越して行きたい」と山岸理子。
・握手会後の挨拶で「こんなに多くの人が来てくれるとは思わなかった」と山岸理子。
・13時に開始。本編は約30分(これは3回とも共通)。握手会、その後の挨拶が終わったのが14時28分。

2回目
・マネージャーらしき紳士が1回目に盛り上がってくれてありがとうございます、と我々を褒める。そのおかげでメンバーの目に光るものがあった、と。
・小野瑞歩がやってみたいことはウェーブ。「全員参加で」と上の方から観ている人たちに呼びかけてからウェーブを始めようとするが、初っぱなで派手に転んでしまう。騒然とした。笑っているがなかなか起き上がらないので、痛いのを我慢しているのではないかと気が気ではなかった。私と同様、前にいた小野瑞歩ファンも言葉を失っていた。どうやら大丈夫だったらしい。転んだときに靴の片方が脱げて、誰かに直してもらっていた。谷本安美がお腹を抱えんばかりに大笑いしていた。その後のパフォーマンスは普通に参加していた。
・小片リサがやってみたいことはターン。何回か連続で軽やかなターンを見せて得意げな表情。
・浅倉樹々がやってみたいことは観客も一緒になっての円陣。9人で各々の名前を言って、メンバーの誰かが「キャメリアー」と言ってから会場の全体で「ファイッ!」。ウェーブといい、事故りそうなことをやってくるなとヒヤヒヤした。でも思い切りがあっていい。
・岸本ゆめの曰く、サンシャイン噴水広場は先輩たちが立っているのを映像でしか観たことがなかった。実際にステージに立って見る景色はぜんぜん違う。小片リサは何回か観客として観に来たことがある。
・15時半に開始。すべて終わったのが16時51分。

3回目
・年末のこの時期に噴水広場を貸していただいてありがとうございます、とサンシャイン側への感謝を述べるACミラン。人気のある会場で、なかなか押さえるのは難しいのだという。我々の喝采。この紳士がいい味を出している。この3回のイベントで我々との信頼関係を築いている。
・ミランさんは今日のイベントの感想をメンバーのブログに書いてくれと我々に3回とも言っていた。1回目だったかな?SNSに感想を書いてくれとも言っていた。近くの人が「(SNSまで検索して)見てるのかよ」と笑っていた。
・岸本ゆめのがやってみたいのは縄跳び。1回目では縄跳びがないということで却下になっていた。小片リサが紫の縄跳びを差し出す。靴を脱ぐ岸本ゆめの。二重跳びを5-6回?やってのける。本人の新記録らしい。
・山岸理子のやってみたいことはステージの中心で愛を叫ぶこと。「みんな大好きだ!」。マイクを使わずに地声でやる、というような振りをしながら思いっきりマイクに乗せたのでメンバーから突っ込みが入る。谷本安美も「なまら大好き!」と叫ぶ。
・小片リサの後ろ姿の美しさ。こちらに背中を向けたダンスではつい目が行く。姿勢がいいんだろうね。
・2017年はつばきファクトリーが主役になる年にしたい、と山岸理子。
・最後の挨拶で、岸本ゆめのが号泣。つばきファクトリーのおかげで楽しい一年になったとファンの皆さんは言ってくださるが、こちらこそありがとうございます、皆さんがいなければここに立てない、と。
・「ハロプロを好きになるきっかけがサンシャインのスマイレージさんのコンサート…ミニライブだったので、このステージに立てて嬉しい」と小野瑞歩。
・18時に開始。すべて終わったのが19時33分。

2016年12月30日金曜日

キャメリア ファイッ! Vol. 4 (2016-12-25)

「よく来られるんですか?」
「つばきの単独は初めてなんですよ」
「え? そうなんですか? (私のTシャツを見て)初めての割に準備いいじゃないですか」
「いえいえ…」
「メインはどこなんですか?」
「Juice=Juiceです」
「ジュースですか! でもジュースに(小野瑞歩に似た系統のメンバーが)誰かいたかな? (推しは)誰ですか?」
「宮崎さんとか…」
「また、あざといのが好きですねえ!」

TFT HALL 300。3回公演のうち2回目(開演15時45分)だけを申し込んだ。まさかの1列目。開演してまずステージから登場したつばきファクトリーは、ほどなくして歌いながらステージを降り、客席の合間を練り歩いた。私の真正面にあった階段から小野瑞歩が降りてきた。「小野(瑞)」と印字された私のTシャツに気付き彼女はパッと顔が明るくなった。このイベント中に私のすぐ目の前(手を伸ばせば触れる距離)を彼女は4-5回、通ったのだが、その度に私に手を振ってくれて目線と笑顔をいただいた。終演直後、「レスもらい過ぎですやん!」と隣の紳士から言われた。「いやいや…」と私はニヤニヤしながら濁したが、それでもなお「レスもらい過ぎですやん!」とかぶせてきた。これまでの人生で観させてもらってきたあらゆるコンサートやイベントで、ここまで直接的に、出演者が自分一人に向かって目を合わせたり微笑みかけたり手を振ったりしてくれたことはなかった。元々そういうのを目当てに現場に来ている訳でもなかった。「○○にお集まりの皆さん」の一人としてしか、現場に臨んだことがなかった。それが私の知る、演者と観客の関係であった。しかし小野瑞歩は、会場で自分のファンを探し出して、そこに対して個人単位でアプローチをかけているように見えた。トークのセクションで他のメンバーがしゃべっている間に小野瑞歩がこちらをちらちら見る目線からは、会場にいる自分のファンを把握し、覚えようとしているような印象を受けた。これは駆け出しのグループだからこそ出来るやり方だと思う。会場の規模と現場に来るファンの数がまだ、個人レベルで認識して餌(レス)を与えるのが可能な範囲に収まっているのだ。会場が大きくなっていけばもっとざっくりした単位でファンを認識せざるを得ない。とにかくエメラルドグリーン色(業者に発注したときに指定した色はミント)の「小野(瑞)」Tシャツが、ゴキブリホイホイのように小野瑞歩の反応を引き寄せていた。ゴキブリは私の方だけどな。

小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。

おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。

オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。

私は至って正気だ。ただ小野瑞歩を眺めたかっただけだ。おのみずほを眺めたかっただけだ。オノ・ミズホを眺めたかっただけだ。これらの文字列をあてにウヰスキーを舐めたい。

事前にファンから募集した質問やリクエストに応えるセグメント。

・クリスマスの悲しい思い出
秋山眞緒:朝、起きてもクリスマスツリーの下にプレゼントがなかった。ツリーの枝に挟まっていた。最初はプレゼントがないと思って悲しかったけど、あることが分かって嬉しかった。
新沼希空:家から歩いてクリスマスケーキを買いに行った。歩いて帰る途中でケーキを落とした。潰れたケーキを家で食べた。

・意外だったクリスマス・プレゼント
新沼希空:お金。起きてもプレゼントがない。床に封筒があって、お金が入っていた。ママが「サンタさんからだよ」と言っていた。

・ハロステ!のアイキャッチ「すごーく幸せ」をやってほしい
浅倉樹々が何かの小芝居を入れてから台詞を言うが、メンバーと観客の反応が微妙。浅倉が小芝居について、子供の家に来てプレゼントを置いてから、子供が喜ぶのを想像してから言ったという設定だったことを説明する。そういうことだったのか、とみんなの疑問が氷解。他人の幸せを願うのは素敵だというようなことを言って小野瑞歩は拍手していた。「将来はあげる側に回ると思うから」と言ってから口を押さえる浅倉。「あげる側なんてないから」と司会のニレンジャー川田。このイベントを通して、サンタ・クロースを信じている秋山眞緒に他メンバーたちがうっかり正体をばらしてしまって秋山が怒ったような反応を取るという流れが何度か繰り返され、面白かった。

・無人島に連れて行きたいメンバーは?
岸本ゆめのが一番人気。4票くらい? 笑かしてくれそう的な理由。

モノマネをして制限時間内に所定の正解を出したらご褒美に楽屋にクリスマス・ケーキを届けるという企画。
・秋山が「ビートたけし」をうまく出来ず大幅に時間を食う。パスを使おうというメンバーの提案に「パスはダメだよ」と冷徹な小片リサ。結局はパス。
・小野瑞歩は「プロレスラー」をやって、ハグやキックの動き。たしか秋山が正解。
・「山岸理子」をうまく表現できず心底くやしそうな谷本安美。「山岸理子」というお題はその後も2回くらい出てきた。
・時間内にノルマの正答数を達成できず。パスを1回しか使っていないから使っていない2回を正解数に加算しろとごねるつばきファクトリー。それが拒絶されるとじゃあ今から2回分やらせてくれと小野が始めようとするが、既に次のお題が見えているので「もう答えが見えている」とニレンジャー川田が断る。観客とつばきファクトリーが一緒になってエーイングをするも「大人は厳しいんだよ」と突っぱねるニレンジャー川田。「大人、イヤだ」「大人になんてなりたくない」とすねるつばきファクトリー。

前回のキャメリアファイッ!からの宿題だというハンドベルの実演。
・1回目、途中で支離滅裂な演奏になりメンバーの判断で打ち切り。何人かがベルを押いて、指揮者がオーケストラを止めるときのような手振り。今のは練習ですよね的なニレンジャー川田のコメントに「何もなかった」と1回目の演奏の存在を抹消する小片リサ。2回目も微妙な出来。手で懸命にリズムを取る谷本安美。泣きの3回目。「これが最後」と川田に言われ、成功させようとなりふり構わずハミングをしながら演奏を合わせるつばきファクトリー。「子犬のような声が聞こえましたが…」という川田。「BGMです」と小片。演奏後のメンバーたちの表情からも明らかに完璧な出来とは言いがたかったが、最後にみんなで一斉にベルを鳴らしたのが揃ったので終わりよければすべてよしだと、強引に成功したことにする小片リサ。

その他
・サンタの衣装を着るのは今日のイベントが初めてだと言ってはしゃぐ小野瑞歩。
・衣装の帽子の先端が髪に引っかかり、直す小野瑞歩。
・モフモフしたレッグウォーマーがずれるのをしきりに気にして直す岸本ゆめの。

「クリスマスって大事な人と過ごす日だと思うんですけど、そんな日に皆さんと過ごすことが出来て、とっても嬉しいです!」と最後に小野瑞歩。

2016年12月28日水曜日

EXCITING!/メリクリ x Juice x Box II (2016-12-18)

横浜Fマリノスに所属するJリーグ屈指のドリブラー、齋藤学。サッカー・ダイジェスト誌に好調の要因を聞かれて挙げたのが腸内フローラ。記事には腸内フローラが何なのかについて一切の解説がない。あるのは「(腸内フローラが何なのかは)ちょっと難しいから説明しづらい」という齋藤のコメントと「“絶好腸”のドリブラーに注目したい」という記者による締めのフレーズである。記者はたぶん調べていないし、知る気もない。サッカーの媒体なんてその程度だ。結果として私の頭には腸内フローラという言葉だけが残った。言葉そのものには見覚えがあった。齋藤学が言及したことで、ちゃんと知りたいと思うようになった。根が知識欲旺盛に出来ているので光岡知足の『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』という本を買った。風呂場で読んだ。腸内環境に関する本は以前にも読んだことがあったので、そこまで新しい知識を得ることは出来なかった。新しく知ったことの一つとして、サイリウムという食物繊維のサプリメントが有効であるということ。この本を読むまでサイリウムといえばペンライトしか私は知らなかった。調べてみると、ペンライトのサイリウムは“Cyalume”という会社名、食物繊維のサイリウムは“psyllium”という植物名であり、まったく別の単語だった。

サイリウムのタブレットは数日前に注文した。光るサイリウムは持たずに家を出た。というか、忘れた。けど、わざわざ取りに帰るほどのものではない。最低限チケットと双眼鏡と耳栓があればいい。町内フラフラ。池袋で昼飯を食った。朝に目が覚めた時点から調子がいまいちだった。「美そ乃」で特選ハラミ・サガリランチと生ビール(プレミアム・モルツ)をいただいて店を出た頃にはだいぶ回復していた。よかった。今日はちゃんと体調を整えないと乗り切れないのが分かっていた。現場が三つもある。14時半と17時半からZepp Tokyoで「Hello! Project 研修生発表会 2016 12月 〜EXCITING!〜」。19時半からTFT HALL 1000で「Juice=Juice FCイベント2016 〜メリクリ x Juice x Box II〜」。年の瀬だけあって多忙なのである。こんな風に現場を回すって、初めての経験だけれど、事情がある。この日は研修生発表会だけのつもりだったが、後になってJuice=Juiceの日程が出た。不可抗力。研修生の二回目が終わってからJuice=Juiceの開演に間に合うのか確証が持てなかったが、たぶん大丈夫だろうと踏んで申し込んだ。KFCで買ったアイスコーヒーを飲みながら、電車で青海駅へ。降りて2-3分あるいたところにZepp Tokyo。

グッズ売場は窓口が多くて進みが早いというツイートを見ていたので安心していたが、実際に並んでみるとほとんど進まなかった。たぶん販売員を減らしている。数時間前に正しかったことが今でも正しいとは限らない。状況は刻々と変化する。ストリートの現実はストリートに行かないと分からない。エスタシオンに雇われたお兄ちゃんが、いま並んでいるヘッズは開場時間(13時半)までに買えなかったら開場後に中のグッズ列の一番前に案内する的なことを言っていた。ということはここに並んでいるのが正解だなと思って本を読んだ。大塚ひかりの『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』を読み終えてPeter Kolchinの“American Slavery”に移った。ところが開場してからの半端な時間になって同じお兄ちゃんが、中でも売ってるからこの列を離れて中に入れ的なことを言い出しやがった。どういうこっちゃねん。私の聞き間違いだったのか? 釈然としないが、販売員が二人しかいなくて、このまま残っても時間がかかりそうだったので、列を抜けて会場内へ。中もけっこう並んでいて、開演までに買えるのか、欲しい商品が売りきれないかという二重の意味でヒヤヒヤしたが、どっちも大丈夫だった。日替わりの小野瑞歩と小片リサ。小野瑞歩の2L写真。

500円で買わされたドリンクチケットを交換する際に「お水ください」と言って、気が付いた。お水ください…お水…おみず…小野瑞歩。お水を買うことが小野瑞歩を推す行為のように思えて可笑しくなった(おみずという愛称については『つばきファクトリーDVD MAGAZINE VOL.2』参照)。ところで以前、ライブハウス(和製英語)で強制的に500円のドリンクチケットを買わされることに文句を言っている奴らについて「ライブハウスは法律上、飲食店として営業しているんだから飲食代を取らないといけないんだよ。文句あんなら利用するなよ」とか何か毒々しく得意げに書いている奴をTwitterで見たことがあるんだけど、お金を取るのが仕方ないという話と、500mlの水やお茶に500円が高いというのは別問題ですよね。大半の人は後者の不満を持っているのではないかな? そこを分けて論じないと、ドリンクチケットが1万円でも文句が言えないことになるよ。それはともかく、おみずを片手に内心ニヤニヤしながら席へ向かった。13列。チケットを受け取ったときには番号を見てあんまりよくない席だなと思っていたが、思ったよりも前方だったし、通路席だった。意外といい場所。

近くの紳士の体臭がきつく、さすが「本場」は違うな…などと思っているうちに開演。すぐ近くに新沼希空が現れた。もう本当に手を伸ばせば触れる距離。間に誰もいない。事前情報を仕入れずに臨んだので降臨があるとは知らず、純粋に驚いた。通常、通路席の利点とは、隣に人がいないから多少横にはみ出しても問題ないのと、他の席に比べて視界が多少よいことである。今日に関しては出演者たちの降臨があった上に、通り過ぎるだけではなくしばらくとどまって歌って踊ってくれたので、通常とは比べられないほどに通路席に価値があった。最初の曲だけではあったものの、ここから見える光景はまさしくEXCITINGだった。前方に目をやると小野田紗栞がいた。この並びにつばきファクトリーが固まっているのか? だとすると数学的に考えて、近くに小野瑞歩さんがいる可能性がある。せっかく目の前で踊ってくれている新沼さんにはごめんやけど後ろに身体を向けると、いた、いた、いた。こっちには後ろ姿しか見せていなかったけど、分かった。彼女はステージに向かうためにこちらに身体を向けた際に、明らかに気が付いていた。13列の通路席に「小野(瑞)」と印字されたエメラルドグリーンぽい色のTシャツを着た紳士がいることを。彼女が目の前を通り過ぎた際に、みずほ!と名前を呼んで手を振ると、彼女はしっかりとあの笑顔で私の目を見て、両手を振り返してくれた。それはF-ZEROの回復ゾーンではなく、はっきりと私だけに向けられた視線と笑みと手の振りであった。世界三大オノ。オノ・シンジ。オノ・ヨーコ。オノ・ミズホ。

トークにおけるまことのおじいちゃん感が公演の絶妙なスパイスとなっていた。微妙に噛み合わない、若い(幼いといっても過言ではないメンバーもいる)ハロプロ研修生たちとの会話。滑らかに意志疎通をしきれていない感じが独特の間を生み出して、客席から笑いを引き出していた。橋迫鈴(はしさこ・りん)という若干11歳(!)の見るからに小さな研修生に対して、とぼけた口ぶりで体重が何キロなのかと聞くまこと。何だこのジジイと言わんばかりの表情で無視する橋迫。ジジイの鈍感さと老獪さでいっさい動じないまこと。橋迫いわく、身長が132.9cmから133.9cmに伸びたが体重は変わっていない。ということは痩せたということ? ちゃんと食べてね。冬だし。とまこと。橋迫さんは傷メイクをするのが好き。100円ショップで血糊を買う。腕にやる。顔は取れにくいのでやらない。孫くらいの話を聞くジジイという構図が明確になっていた。何でそれが面白さにつながるかというと、客も世代的にまこと寄りの人々が多いからだと思う。そこまで行かなくとも、ハロプロ研修生たちと世代が大きく違うのは間違いない。まことは観客が彼女たちの言葉を消化する媒介になってくれているのだ。ハロコンのときとは比較にならないほどにまことが生き生きとしていた。ハロプロ研修生発表会の司会が彼ほど似合う人は他にいない。氏の天職である。終盤にはモーニング娘。入りが決まった加賀楓に向けて「加賀ちゃんは永遠の研修生だと思っていた」という名言を放った。

つばきファクトリーから3名が登場しまこととトークを繰り広げる時間があった。小野瑞歩が「先日、初めてのMV撮影に参加した。屋外だった。雨が降っていてメンバー一同で心配していたが、撮影を始める頃にはやんだ。つばきファクトリーは晴れ女が多いグループ」的なことを言った。あとは小片リサ、もう一人は忘れた。その忘れた一人が「リップシーンで…」と言い出したのを遮って「リップシーンというのは、歌っている顔だけを撮ることなんですけど…」のような注釈を挟んでいた。出来る子。しっかり者。

会場から出たのが15時52分だった。ということは80分強。次が17時半から。19時半からのJuice=Juiceのイベントには間に合いそうだ。しかし、TFT HALL 1000という会場には行ったことがない。夜公演までの時間を利用して、Zepp TokyoからTFT HALL 1000まで歩いてみた。時間を計ったら13分くらいだった。途中に引っかかると長い信号待ちがある。でも長めに見たとしても15分くらいだ。間に合うという手応えを得た。ガラス越しに建物の中を見ると、サンタの仮装をしたファンがちらほらといた。心と時間とお金に余裕のある人たちだ。ついでにグッズを買おうとしたが、列の長さと販売員の数を見て、諦めた。場外と場内で二つずつしか窓口がなかった。

Zepp Tokyoは空調と換気がよく、昼公演で付近にいた紳士の異臭も序盤だけで済んだ。夜公演の席(19列の左の方)は空調がもろに当たる場所で、半袖では肌寒かった。夜公演の方が客が盛り上がっていたけど、私は昼公演の方がはるかに楽しかった。昼の方がステージがよく見えたし、すぐ側で何人もの出演者たちの歌と踊りを鑑賞できたし、オノ・ミズホから濃厚なレスをちょうだいするという幸運すぎる出来事があったからだ。

つばきファクトリーとまことが話すセグメントでは山岸理子、小野田紗栞、浅倉樹々が登場した。初めてのリリース・イベントの話。
・山岸曰く、踊っているときに髪飾りが取れたので脇に投げた。後で見たら壊れていた。小野田と浅倉を連れて、イベント会場のショッピング・モールに代わりの髪飾りを探しに行った。似たのを見つけて、買った。1,000円未満。自腹ではなく「大人のお金」(山岸)。「(髪飾りを途中で変えたことに)気付いた人いますか?」と客席に投げかけるも、挙手ゼロ。
・小野田曰く、初めてのリリース・イベントだったので緊張して何も覚えていない。え?と驚く山岸、浅倉。「イルミネーションを見たじゃん」「イルミネーションを見ながら踊ったじゃん」と浅倉が思い出させようとするが「それも覚えていない…」ということで、小野田からはエピソードなし。
・浅倉曰く、リリース・イベントのときは一日メンバーと共に過ごした。ご飯も一緒に食べた。中華料理の出前を頼んだ。チャーハンとか、麻婆ナスとか、色々あった(まこととのやり取りで麻婆ナスが言い間違いで、麻婆豆腐であったことが判明)。浅倉は麻婆豆腐を選んだ。食事中にメンバーが「ご飯はどうしたの?」と聞いてきた。他のメンバーはおかず以外にご飯を一つずつ食べていた。自分のご飯はなかった。あれ?と思ったら、まおぴん(秋山眞緒)が天津飯をおかずにご飯を食べていた。それで浅倉の分のご飯がなくなっていたことが分かった。発覚した時点で秋山はそのご飯をほとんど食べていた、と小野田。

加賀楓と清野桃々姫がまこととトークを繰り広げた。
・加賀楓はモーニング娘。入りを言われたときは頭が真っ白で、どう返事したかも覚えていない。
・清野桃々姫の最近の悩みは、思ったことを無意識に口にしてしまうこと。先日も学校でふと石って食べたらおいしいのかな?と思っていたら、隣にいたクラスメイトが驚いて「何言ってんの?」と言ってきた。何のことかと聞き返したら「今『石って食べたらおいしいのかな?』って言ったでしょ」。清野はその言葉を発した自覚がなかった。

つばきファクトリーとこぶしファクトリー以外の純粋な研修生で、この子を今デビューさせないでどうする!とテーブルに拳を打ち付けたくなる存在はいなかった。現時点でめぼしい研修生は一通りグループに加入済み・加入が決定済みという印象を受けた。私が前に研修生のコンサートを観に来させてもらったのは2年前だった。そのときはまだこぶしファクトリーが出来ていなくて、浜浦彩乃や小川麗奈の処遇をどうするんだ、まさかこのまま飼い殺しにはしないだろうな…という落ち着かなさがあった。個人的には『ネガポジポジ』に出演していた研修生たちには自然と目が行った。高瀬くるみ、前田こころ、清野桃々姫といった面々にはいずれどこかのグループに入ってほしいと思った。私は昨日(12月17日)『ドント・ブリーズ (Don't Breathe)』という映画を観た。3人組の強盗が盲目の老人が住む屋敷に忍び込む。ところがその老人、実は目が見えないかわりに超人的な聴覚を頼りに侵入者をしとめる殺人者だった。強盗たちが必死にその老人から逃げまどう。というイカした映画である。おすすめ。私は3人の強盗のうち一人について、お前は生き残ってくれ、と映画館の座席から祈っていた。私が『ネガポジポジ』組の何人かに覚えた感情もそれに近かったかもしれない。

18時56分に外に出た。私と同じように徒歩でTFT HALL 1000に向かう人の群れが出来ていた。歩いていると後ろから誰々はよく動けていた、どこかの小野瑞歩と違って…なぞという声が聞こえてきて、胸がチクっとした。小野瑞歩をディスられて穏やかでいることは出来なかった。少し間を置いて振り返ると、頭が小さくバーコード・ヘアーのチンパンジーのようなジジイと白髪ダウン・ジャケット歩きたばこジジイの二人組だった。小野瑞歩への悪口の出所はおそらくチンパンジーの方だった。顔は覚えた。動けていないって、あんたの人生こそ真っ当な方向に動かないまま取り返しがつかなくなっているじゃないか…でももし公演中に小野瑞歩が目の前に来たら顔をほころばせて手でも振るんだろ? オタクってのはそういうもんだ。私もそんなもんだ。だから許す。私は最近、過去に小野瑞歩が更新してきたハロプロ研修生日記をぜんぶ読んだ。彼女がレッスンや公演毎に自分の課題を冷静に把握し、ことごとく乗り越えてきたのがよく伝わってきた。チンパンジーの批判がどれだけ的を射ているかは知らない。間違いないのは小野瑞歩が自身のスキルを向上させ続けヘイターどもを黙らすことだ。小野瑞歩のヘイターはユニクロのヒートテックしか冬の防寒肌着を知らずに死ぬまで過ごせ。私はTHE NORTH FACEのNU65135やNU65136を愛用しているし、場合によってはそのうちARC'TERYXのPhaseに手を出すことも厭わない。

19時11分にTFT HALL 1000に入った。グッズにはほとんど列が出来ていなかったがそれもそのはずで、ほとんどすべての商品が売り切れていた。私の席は26列目。いちばん後ろで30列だった。後方から全体を見渡すと、かなり劣悪な会場だというのが分かった。これは、ステージ・パフォーマンスを鑑賞する場所ではない。立食パーティをやる場所だ。リッツ・パーティをやる場所だ。巨大な披露宴をやる場所だ。ステージには段差があるけど、それ以外は完全に平らだ。この会場では多くは期待できない。キリン・カップで来日したサッカーの海外代表チームくらいのモチベーションで開演を待った。始まるともっときつくなった。距離の遠さにトドメを刺すように音が遠い。スピーカーがステージの上にしかない。おそらく会場自体にはスピーカーが備え付けられておらず、イベントの主催側がすべて持ち込んで設置する形式なのだろう。ただでさえメイン・ステージが自分の席から離れているのに、音の遠さが心理的な遠さも付加した。ショッピング・モールでのイベントを遠巻きに見物しているような感覚だった。Zepp Tokyoとの落差が明白だった。

この会場の構造的な見づらさを緩和するための裏方の工夫は感じた。後方にサブ・ステージが設けられて、何度かメンバーが来たからだ。サブ・ステージに置いてある紙を拾い上げて、そこに書いてある台詞を叫ぶという企画があった。そこで高木紗友希が下の紙を取る際にこちらに背中を向けて前屈みになった。こっち側にいた観客は一人残らず、ワンピース的な服(茶色のモコモコしたフリース素材のサンタ衣装)から覗くふとももとその上に注視していた。彼女が下に履いていたのは同素材の短パンに過ぎないのだが、それを分かった上でも視線をやらざるを得ないのが人間の本能である。スカート的な履き物の下にある何かがチラリと見える瞬間。流れ星の儚さと通ずるものがある。もののあはれである。

人間は五感のうちどれかを塞ぐと他の感覚が強くなる、と何かで読んだことがある。たとえば飲食店が照明を薄暗くするのは料理の味や匂いを際だたせるためだ。これは映画『ドント・ブリーズ』に込められたテーマの一つでもある。美容室で読んだ雑誌のインタビューで監督がそんなことを言っていた。目を開けていてもどうせJuice=Juiceは大して見えないので、歌のセグメントの大半は目をつむって聴いた。視覚を遮ることで音に集中するようにした。まあ、実際のところは半ばふてくされた鑑賞態度だった。フックで“All I Want For Christmas is You”と歌っている英語詞の曲にはグッと来た。そこで私のふてくされは解消した。各メンバーの特長を存分に生かした歌唱とバッチリはまったユニゾンに思わず引き込まれた。後で調べたらマライア・キャリーのまさに“All I Want For Christmas is You”という曲だったらしい。この曲を聴いてJuice=Juiceのグループとしての歌唱表現力に舌を巻いた。KICK THE CAN CREWが「キャラ立ち3本マイク+キャラ立ちDJ」(“3MC'S + 1DJ”)ならJuice=Juiceはキャラ立ち5本マイクだ。単にみんな上手いとかそういう問題じゃなくてね。それぞれの個性が絶妙に合わさっているんだ。

会場のファンから指定された条件に当てはまる人を4人あつめてきて、一番はやい人が勝ちというゲームがあったのだが、そこで宮崎由加に与えられたのが「10代の人」であった。「えー! それだけ簡単」と金澤が騒いだ(そのときは金澤に「携帯カバーに鏡を付けている女性」、宮本に「射手座の人」という条件が与えられた。高木と植村はその前に二人で対決した)。「そう? 10代じゃない人なら簡単に分かるけど…」という司会の鈴木啓太が正しかった。宮崎は10代の観客を一人しか見つけられなかった。そもそもこの会場に10代の人が4人いるのか?という宮崎の問いから鈴木が10代の人に挙手させる。すると会場の右半分で一人、左半分で3-4人。800人くらいの観客で、10代が4-5人。「ちょうど20歳の人が多いんだね、きっと。私も20歳超えてるし」と宮崎。

衝撃だったのが、26列から双眼鏡を使わなくてもトーク中に宮崎由加の表情が変わるのが分かったことである。私は以前から彼女に絵文字スロットマシーンという二つ名を付けているのだが、そのスロットマシーンでよく出てくる表情に、口を丸くして目を見開くというのがある。驚きと喜びを掛け合わせたような表情である。普通の顔からその顔になるのが、26列目から鮮明に判別できた。

武道館での公演という大きな夢を最高の形で達成したJuice=Juiceの、その後のビジョンを私は気にしていた。彼女たちのSTORYは、本当に続いていくのか? どうやって続いていくのか? 本日のイベントで確認できたのは、FCイベントをたくさんやっていくというのが当面のビジョンであるということだ。MISSION 220における禁欲的で過酷なライブハウス(和製英語)周りに比べてまったりしていて緩いFCイベントに、メンバーたちは新鮮な喜びを感じでいるように見えた。宮崎由加は「1回目、2回目と終わる度にメンバー同士で楽しいねって言っていた。毎日ファンクラブイベントだけをやり続けたいくらい」的なことを言っていた。バスツアーをやりたいねとも言っていた。こういう場で言うということは水面下では決まっているのかな?

Juice=Juiceのイベントを観させてもらいながら、田村芽実のブログ記事(「後悔のない人生。田村芽実ですっ。」2014年12月18日)が何度も頭にちらついた。
ファンの皆さんも、人間人生1度。ヲタ人生1度。

私推しの方が、3期いいなーとか思っていたら、3期を応援して下さい(^ ^)

ヲタ人生は1度きりだし、ライブやイベントは第一、ファンの皆さんに一番楽しんで頂きたいので、1番応援して楽しい子を思いっきり応援してくださいな(ノ▽〃)
来年は初めてFCのエグゼ(詳述は省く)に申し込むつもりなのだが、応募する際に第一から第三までメンバーの希望を出すのだ。第一希望を宮崎由加にするのか、小野瑞歩にするのか。これが非常に悩ましい。私が2016年1月4日のハロコンで小野瑞歩を「発見」していなければ…小野瑞歩がつばきファクトリーに加入していなければ…『ネガポジポジ』を何かの事情で観られていなければ(もしくは小野瑞歩が出演していなければ)…℃-uteがこの先もバリバリ続けていく未来が見えていれば…第一希望は宮崎由加の他に選択肢がなかった。歴史にifはないというが、いくつものifを頭に浮かべざるを得ない。まさか小野瑞歩がここまで急浮上するとはつい最近まで私も想定していなかった。小野瑞歩、恐るべしである。

2016年12月4日日曜日

宮本佳林バースデーイベント2016 (2016-12-01)

フェイクな奴らはお誕生日おめでとうございますとTwitterに書き込み、リアルな奴らはバースデーイベントに行く。いや、そんなことはない。たまたま私が幸運にも東京近郊に住んでいる上に仕事を早く上がりやすい環境にいるだけだ。遠くに住んでいる奴ら。まともに休みが取れない奴ら。お金がない奴ら。何かの事情でファンクラブに入れない奴ら。バスじゃもろ最後部な奴ら。その他にも色んな事情があるだろう。今日、山野ホールで宮本佳林の18歳を祝うことが出来た奴らは運が良いだけだ。来なかったからフェイクということはない。ただ文章のつかみとして思い付いたから書きたかっただけだ。開催されたのは17時15分からと19時45分からの二回。両方に申し込み、当選したのは17時15分の回だった。平日のバースデーイベントに申し込んだ結果は大体こうなる。東京で働いていれば、残業をしなければ19時45分には間に合う。17時15分からとなると定時まで会社にいたら間に合わない。普段ハロプロのファン層は職業不詳の人が多い印象だが、早い時間の回が当たって遅い時の回が外れる度に、ちょっと安心する。みんな働いているんだなと。私に関して言えば、今日は午後半休を取得した。健康診断があった。去年から体重が2.1キロ増えていた。まったく自覚がなかった。タニタの体組成計が正しければその内訳は脂肪が1.7キロ、筋肉が400グラム。ここで筋肉を0.4キロと書かずに400グラムと書いた乙女心を理解してほしい。リポビタンDに配合されているタウリンが1,000ミリグラムなのと同じだ。つまり、大正製薬は乙女なのである。「俺、去年から脂肪が1.7キロ増えたぞ」と近くの若手に言ったら「俺はそれどころじゃないっすよ…」と嘆いていた。すると近くにいた上司が「俺なんか…」とかぶせてきて、傷の舐め合いが始まった。昼になって会社を出ようとすると別の同僚から呼び止められ、結婚しますという報告を受けた。そうなんだ、おめでとうございますと言って、宮本佳林の18歳の誕生日を祝うために代々木に向かった。

電車の中で、今日はA5写真2枚セット1,000円だけを買おうと決めていた。コンサートでいう日替わりにあたる写真だ。会場に掲示してあった商品の見本を見たところ、A5の方には「2016.12.1(木)山野ホール 宮本佳林」と書いてあって、2Lの方には「Juice=Juice 宮本佳林 バースデーイベント2016」と書いてあった。2Lには会場と日付が書いていないし、A5にはイベント名が書いていない。両方を買わないと今日の開催情報が揃わない。そういう作戦で来たか。その手には乗らないぞ、と見せかけてA5だけでなく2L生写真4枚セット1,000円も買った。他にはL判生写真4枚セット600円、A4サイズ生写真1,500円、マイクロファイバータオル3,700円、バースデーDVD 2016 3,000円、バースデー記念セット(全部入り+おまけL判写真1枚)9,300円があったが、私はライト層なので手を出さなかった。16時45分頃に階段を降りて当選メールと会員証と免許証を見せて緩い荷物検査を受けた。今日はファンがステージ上で宮本さんと踊る企画がある。何人かが応募用紙に記入していた。当然、私は素通りした。今日の席は、13列の15番。縦にも横にもちょうど会場の真ん中ら辺だった。おそらく松田聖子とおぼしき音楽が流れていた。カバンから週刊文春を取り出し、横田増生によるユニクロ潜入記を読んだ。開演の直前までエマニュエル・トッドの『問題は英国ではない、EUなのだ:21世紀の新・国家論』を読んだ。

宮本佳林が姿を現す前に声だけでイベントを楽しむための三つの約束を読み上げた。最初に「本日は、Juice=Juice…」と言おうとしたところで噛んで、ティヒ的な笑いをこぼし、18歳のはじめから噛んじゃったーと、言って、それで会場は和んだ。正式な注意事項のアナウンスメントはその前にあった。三つの約束というのはガチで事務的な注意というよりは、宮本佳林に夢中になること、とかそういう感じだった。他の二つはちゃんと覚えていない。登場はステージからではなく、後方の通路からだった。後で登場したさわやか五郎がそのときのことを振り返って「モニターで見ていたけど(観客が)みんなニコニコしていた。みんな口角が上がってた」と言っていたが、私を含めて実際その通りだったんだろう。18歳になって嬉しいのは夜9時以降も働けることだという宮本さん。事務所に馬車馬のように働かされるよというさわやか五郎に「それを望んでるよ、佳林は」と涼しい顔。竹内朱莉からの動画メッセージ。「私のバースデーイベントに3回も連続で出てくれてありがとう。次は20歳なのでそのときは司会の横のアシスタントとして出てほしい。私のバースデーイベントのレギュラーを認定する」的な内容だった。画面には初め竹内だけが映っていたが、最後の方になって向かって左に笠原桃奈、右に上國料萌衣が座っていたことが分かって、映像の締めの挨拶は全員がやっていた。

宮本さんはイベントの序盤に、昨日の仕事で足を怪我したため、激しく踊ることが出来ないと明かした。そのため、ファンとステージ上で踊る企画では代役として高木紗友希が踊ることになった。左からケーキを乗せた台車を運びながら出てきた彼女の出演は、予告されていなかった。昨晩スタッフから宮本の代わりに踊ってくれないかと言われた彼女は「佳林が好きな人たちの前で私が踊っていいのか」と最後まで迷ったという。今日も来るかどうかで悩んでいたという。宮本さんはどういう怪我なのかには触れていなかったが、高木さんが代役で踊った後に「途中で何度かグキッてなった」と言って「二人して右足をくじかないように」とさわやか五郎が言っていたので、どうやら右足の捻挫っぽい。そういうわけで、今日の宮本さんの踊りはいつもに比べて動きが押さえ気味だった。ただ、普段の彼女を見ていなければ怪我をしているとは気が付かなかったかもしれない。高木さんとファン10人が『ここにいるぜぇ!』(モーニング娘。)を踊るのを、宮本さんは客席の18列15番あたり(通路を挟んで段差が始まるブロックの一番前)で審査員として見守っていた。高木が真ん中、左右に5人ずつのファンというフォーメーションだった。左右のトーシロー軍団との対比が、高木さんのダンスのキレ、動きの大きさ、オートマティズムを際だたせていた。さすがにモノが違いすぎた。審査員の宮本氏は、左の5人をほめる一方、右の5人に辛辣な批評を行い私たちの笑いを取っていた。MVPを一人選んでプレゼントをあげるということだったが、最優秀賞はまさかの「紗友希」とのことで、高木紗友希に向けてサインを書き始めた。客席からはブーイングに近い反応が出た。高木さんは困惑して「あなたは私にサインなんていつでも書けるでしょ。ファンの人にあげなさい」と親が子供に教え諭すような口調で宮本さんに言った。すると宮本さんは「最優秀は紗友希だけどね」と前置きして、ファンの中で一番よかったのは○○さんだということで「紗友希へ」と書いたサインを左側にいた女性の一人にあげた。

踊りの企画で、研修生Tシャツを着た宮本佳林と高木紗友希を見られたのがこのイベントのハイライトだった。それだけでこのイベントを観に来た価値があった。しかも、このために作り直したのではなく、ハロプロ研修生だった当時に実際に着ていたモノホンだからなおさら稀少であった。当時のサイズだから、「(Tシャツが)ちっちゃくなった」と宮本さんは笑っていたがピチピチにはならず、着られていた。このTシャツを物入れから引っ張り出すために、誕生日にも関わらず部屋がTシャツで散乱したそうである。

わずか1時間のイベントなのでフル・コーラスではなかったが、宮本佳林さんは10曲も歌ってくれた。

『シューティングスター』(スマイレージ)
『自転車チリリン』(スマイレージ)
『夕暮れ 恋の時間』(スマイレージ)
『制服』(松田聖子)
『学級委員長』(スマイレージ)
『大人の事情』(NEXT YOU)
冷たい風と片思い』(モーニング娘。)
わがまま気のまま愛のジョーク』(モーニング娘。)
『涙ッチ』(モーニング娘。)

「そんなつもりはなかったんですけど、全部つんくさんの曲になりました。やっぱつんくさんの曲っていいなって思いました」と宮本さんが振り返ったように、突如として差し込まれた松田聖子を除けば、すべてがつんくの曲だった。

宮本さんが捌けてからも三つの約束があった。家に帰るまでがバースデーイベントだとか、今後も宮本佳林に夢中でいること、とかそんな感じだった。最後のお見送りでは「おめでとう」と言ったら、目を合わせて「ありがとう」と言ってくださった。本当に一瞬しかなくて、辛うじてこのやり取りが出来るくらいだった。宮本佳林さんの誕生日の当日に、面と向かっておめでとう、ありがとうというやり取りが出来たことに心が満たされた。

最近、大久保駅の近くに気になる店が出来たので、夕食はそこで摂ることにした。駅から徒歩1分と書いてあるのに明らかに5分くらいかかった。店の入り口が隣の店とほぼ同じ場所にあって、違う方に間違えて入ってしまった。謝って、正しい入り口に入り直そうとすると「並んでますよ」と欲情したカバが睨んで威嚇してきた。カバ一頭と人間が一人、店の外で並んでいたようだ。私は頷いて、その場を去った。店を間違えたのが恥ずかしくてその場を離れたかったし、メシを食うために並ぶのは好きではないし、何よりもそのカバと、さっきまで双眼鏡で舐め回すように見ていた宮本佳林さんとの落差が激しすぎて耐えられなかった。脂肪だらけの身体。メシのことばかり考えて50年以上(推定)も無駄に生きてきた俗物としての年輪が刻まれた面構え。歩きながらも頭にそいつの余韻が残り、吐き気を催す何歩か手前までいった。これが私が生きなくてはならない現実なのか。今日は自分が2.1キロ太ったことを知り、同僚から結婚の報告を受け、ティーンエイジャーの誕生日を祝い、よく知らない町で恥をかき、得体の知れない脂肪の塊にガンを付けられた。色んなことが起きすぎた。しかも大久保という町は何かガラが悪くて落ち着かない。もうイヤだ。帰りたい。でもまだ帰らない。適当に歩いて「ネパール居酒屋ナングロ」に入った。おすすめと書かれていたサマエボウジという謎の料理1,200円とネパールアイス(ビール)550円を頼んだ。周りに野菜と肉が配置してあるターリー的なフォーマットには馴染みがあったが、真ん中に敷き詰めてある物体の得体が知れなかった。パラパラのフレーク状になった米だった。こんなの初めて見た。初めて食った。私はリアルなのでスプーンは使わず手で混ぜて口に運んだ。何だこれ。なまらうめえ。うますぎる。久しぶりに食に関して衝撃を受けた。この店にはこれからも来なくてはならない。最初に目を付けていた店に入れなくてよかった。どうせ大した店じゃねえし、あそこに行ったらカバになる。

2016年12月2日金曜日

℃OMPASS (2016-11-23)

ちょっとげんなりするくらいに現場が立て続いていた。11月に入ってから3日に『ネガポジポジ』、6日にも『ネガポジポジ』、7日にJuice=Juice武道館、12日にもまた『ネガポジポジ』2公演、16日に上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト。そして今回は23日、℃-uteのパシフィコ横浜公演である。7日の武道館がとにかく特別だった。優に一週間は明確な余韻が残っていた。あのコンサートの感触が、洗っても洗っても頭と身体から取れなかった。(私が頭を洗うシャンプーはNature's Gate、身体を洗う石鹸はIVORYである。)ふと気を抜くと、脳内で再生される、幸せな時間。その心地よい感覚にしばらくは浸っていたいという気持ちがあった。それを引きずっていたから、正直なところ12日の『ネガポジポジ』は完璧な集中で臨めたとは言いがたい。11月13日にブログを更新したことで、自分の中での11月7日は一旦、終わった。ポメラを閉じ、喫茶店を出ると、数時間は放心状態が続いた。その三日後の16日に、上原ひろみトリオのコンサートが控えていた。早く退勤して六本木に向かった。すべて自分で決めたことだし、好きでやっているし、これはライフワークなのだが、現場の過密ぶりに呆れていた。でも実際にコンサートが始まるとそんな気持ちはまったくなくなって、夢中で上原ひろみちゃんさんの妙技とチャームを堪能した。

パシフィコ横浜に来るのは私にとって6回目だった。はじめは2013年6月29日、℃-ute『トレジャーボックス』ツアー。二回目は同年11月4日、℃-ute『Queen of J-POP〜たどり着いた女戦士〜』ツアー。三回目は同年11月24日、モーニング娘。『CHANCE』ツアー。四回目は2014年6月29日、℃-ute『℃-uteの本音』ツアー。五回目は2015年11月21日、℃-ute『℃an't STOP!』ツアー。パシフィコ横浜のコンサートは、ちょっと特別だ。中野サンプラザが約2,000人、日本武道館が約10,000人を収容するのに対して、この会場の収容人数は約5,000人である。日本武道館ほど大きくはないけど、中野サンプラザの倍以上に人が入る。普段よりも大きなコンサートをやっているという高揚感が、演者にも観客にも出やすい気がする。実際、思い返すと過去5回のうち4回はコンサートに心が完全に満たされたし素晴らしい思い出だ。残りの1回は主に開演直前にiPhoneをなくしたという完全に個人的な事情によるものだ。あとは席が悪すぎたというのもある。今回はiPhoneをなくさなかったし、席も悪くなかった。むしろこれまでの6回で一番よかったかもしれない。1階の23列。実際に席に着いてみると、数字以上に近かった。近くの紳士はこんなにいい席が来たのは久しぶりだと仲間に言っていた。私は、これから℃-uteのコンサートが始まるという状況を前にして、ワクワクしているような、していないような、変な気持ちだった。随分と久しぶりに来たような落ち着かなさがあった。久しぶりというほどでもない。9月にも、6月にも、5月にも、4月にも℃-uteのコンサートを観させてもらっているし、それに加えて℃-uteの姿は8月のハロコンでも見ている。パシフィコ横浜も過去に何度も来ている。でも、何かの間違いで来てしまったような、しっくり来ない感じが拭えなかった。それはコンサートが終わるまで、ずっとだった。

客席にはJuice=Juiceの現場にはほとんどいない20代前半くらいの男女がたくさんいた。列によっては半分くらいが女性というのもざらだった。以前(2016年5月4日)、Juice=Juiceでコンサート中に観客を二つに分けて声を出させるくだりがあって、宮崎由加さんが30歳以下と30歳以上で分けたところ30歳以上の声が圧倒的に大きかった。そのときのJuice=Juiceの観客は40歳くらいが中央値っぽかったのだが、下手すると今日の℃-uteを観に来た観客は10歳くらい若かったかもしれない。以前の℃-uteのコンサートに比べても、客層がだいぶ変わっている印象を受けた。ここ数ヶ月で、現場に若いファンが急増しているのかもしれない。私が今までに観させてもらってきた℃-ute現場に比べて、普通の人たちが観に来ていたんだろうね。ちょっとノリが違う。長年「エル・オー・ブイ・イー・ラブリー千聖!」のようなかけ声を叫び続けてきた人たちじゃないわけですよ。℃-uteのコンサートはここでこう声を出すというオートマティズムが出来上がっていない人たちが多かった。だからそういう意味では会場の一体感が薄かった。それが悪いと言っているんじゃない。そういう人たちがたくさんいたのは℃-uteが新しいファンをそれだけ獲得して会場まで足を運ばせた証拠だ。喜ばしい。これは凄いことだよ。11月7日に武道館に集まったJuice=Juiceファンのような人々が訓練されすぎで、異常なのである。ただ、アンコールのときにはもっと声を出して欲しかった。椅子に座ってずっと隣の同行者と談笑するのはダメでしょう。声を出すのが恥ずかしければせめて掛け声に合わせてサイリウムでも振りなさいよ。参加者としての意識が足りない。アンコールからのメンバー再登場は実質上コンサートに組み込まれたお決まりですが、あくまで私たちの声で登場させるんだからね。みんなが出さなかったらそこでコンサートは終わるんだよ。

客層が変わったから楽しめなかったということでは、ない。それよりもはるかに重要なこととして、私の中における℃-uteの地位が大きく揺らいでいるんだというのが明確に分かった。それはもうはっきりしすぎていて、自分で愕然とした。前回のツアー『℃ONCERTO』には7回も入った。そのときにはまだ自分の中で℃-uteとJuice=Juiceが(後者がリードしつつあったとはいえ)ある程度は拮抗していた。今日、℃-uteのコンサートを観させてもらって、差が埋めがたいほどにJuice=Juiceが好きなのだという確信に至った。℃-uteが二位なのかどうかも分からなくなった。5月のゴールデンウィークに、℃-uteのコンサートの2日後にJuice=Juiceのコンサートを観させてもらう機会があった。そのときには℃-uteに比べてJuice=Juiceの未熟さが目に付いた。やっぱり℃-uteの方が色んな面でまだまだ上だな、と思った。今日は異なる感想を抱いた。今の℃-uteよりも、今のJuice=Juiceの方が歌がいいと、はっきり思った。実際のところ歌唱の技術は℃-uteの方がおそらく上なんだろうと思う。でも、歌をどうしても届けたいという思いと、歌えること・コンサートが出来ることの喜びがどれだけマイクに乗っているかという点では、Juice=Juiceが℃-uteを大きく突き放していると感じた。11月23日の℃-uteからはそれを強くは感じなかった。かつて私を高揚させてきた曲たちが次々に流れてきても、前のように熱くなることは出来なかった。どこか醒めた目で見てしまった。

よかった点として、
1.5人の容姿・体型の仕上がりが相変わらず完璧だった。その点においては今の℃-uteに穴はない。誰がどう見ても全員、美しい。
2.メンバーたちがパーテーション越しに着替える演出が面白かった。
3.テレビ出演で鍛えられた岡井千聖が牽引するトーク。ハロプロや℃-uteをよく知らない人が聞いても笑えると思う。
・ベッドで飼い犬が用を足した話を披露する岡井千聖。「舞の犬も3匹中2匹は出来ない。犬にも性格がある。ちゃんとトイレが出来ない性格なんだよ」という萩原舞。「ブログのコメントには私の育て方が悪い、言うことを聞かないときに一緒に寝るのがよくないと書いてきた人がいた。じゃあベッドの下でずっと犬がキャンキャン泣き続けたらどうするんですか?」と怒る岡井に「なんでコメントと対決するの?」と笑う萩原。「コメントに言い返したい。じゃあさ…とか。コールアンドレスポンスがしたい。いいねだけ押す人は論外」と岡井。観客は爆笑。「(自分がファンの立場だとして)舞だったらブログにコメントはしない」
・岡井のさまざまなログイン情報を中島早貴が代わりに覚えている。一度、自分で持っていたら使っちゃうから銀行のカードを預かってくれないかと岡井が打診したら、それはさすがに…と中島が断った

『℃OMPASS』(コンパス)というツアー名で何を表したいのかがよく分からなかった。いや、もちろん彼女たちがこの先どこに進んでいくかの道しるべ的な意味合いなのは分かるんだけど、℃-ute解散後に各メンバーが何をするのかって相変わらずふわっとしているからね。終演後に「自分のコンパスは必ず見つかるさ!」という岡井千聖のメッセージがステージに映し出されたのだが、自分に言い聞かせているのかな、自身が持つ不安の裏返しなのかなというひねくれたことを言いたくなる。今後どうしたいのかがよく見えてこない(けど解散という事実と時期だけは決まっている)彼女たちが私たちに向かってそういうことを言っても、あまり説得力がない。もっと言うと、2013年の9月9日と10日に日本武道館での公演を達成してからの彼女たちに最も欠けていたのがコンパス(方向性、指針)だったのではないか。今日のセットリストは寄せ集め感、これまでの活動のダイジェスト感が強かった。そう、解散を発表してからの℃-uteはダイジェスト感、総括感が強すぎて、今の℃-uteにしか出来ない新しいことをやるというチャレンジが弱くなっている。よく言えば完成されたグループ。悪く言えば

2016年11月26日土曜日

『SPARK』ジャパンツアー2016スタンディングライブ (2016-11-16)

世界の二大ちゃんさんといえば宮本佳林と、上原ひろみである。通説では鞘師里保がブログで宮本佳林のことをカリンちゃんさんと書いたのが宮本がちゃんさんという愛称で知られるようになったきっかけである。彼女がJuice=Juiceの一員になってからはこの呼称が立ち消えていったが、ハロプロ研修生だった頃には宮本佳林といえばちゃんさんというくらいに普及していたと記憶している。単に語呂がいいとか面白いというだけの理由ではそこまで広まらなかったであろう。鞘師里保がブログにカリンちゃんさんと書いたのはきっかけに過ぎず、原因ではないのである。人をしてちゃんさんと呼ばせる力が、宮本佳林にはある。若さと可愛らしさと元気を兼ね備えたアイドルへの敬称は、普通はちゃんである。ちゃんだと愛でる感じだが、宮本佳林の場合は言動やパフォーマンスからにじみ出る禁欲主義とプロフェッショナリズムが畏怖の念をも抱かせる。したがって、ちゃんとさんを掛け合わせたちゃんさんという敬称のすわりがよいのである(鞘師のブログでは名前の後に付ける敬称だったが、ファンの間ではちゃんさんだけで宮本の愛称にもなった)。上原ひろみにも、ちゃんさんという敬称がしっくりくる。コンサート映像を観れば分かる。現場に行けばもっとよく分かる。ほんわかした人柄と笑顔。泣く子も黙る技の数々。ステージにおける上原ひろみの一挙一動は、ちゃんであり、さんでもある。高次元に融合したちゃんとさんが我々を魅了してやまない。『上原ひろみ サマーレインの彼方』という伝記によると、上原ひろみが音楽に生きると決意したのは11歳である。10歳手前でハロー!プロジェクトに加入し、アイドル・サイボーグと呼ばれるまでにストイックに生きる宮本佳林と重なる。この二人以上にちゃんさんという敬称・愛称が似合う人物は、今のところ存在しない。

上原ひろみは日本に拠点を置いて活動している訳ではなく、世界中を飛び回っている。前掲書によると飛行機での移動距離が客室乗務員を凌駕しているほどである。したがって、日本でのコンサートは来日公演なのである。私がこのたび観させてもらった公演名は「上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アドリアン・フェロー&サイモン・フィリップス『SPARK』ジャパンツアー2016スタンディングライブ」である。スタンディングとあるように立ち見で、整理番号順に入っていく方式だった。18時開場、19時開演。私のチケットに印字された整理番号は504番だった。18時4分にEX THEATER ROPPONGIに着くと、既に350番まで呼び出していた。4分だけでここまで進んだとは考えにくいので、開場時間の前から呼び出していたのだろう。会場は地下3階だった。あらかじめ六本木駅内のコインロッカーにカバンを預けておいたのだが、入ってみるとコインロッカーがたくさんあって、値段も駅と同じ300円だった。ライブハウス(和製英語)での催し事ではいつもそうであるように500円(たまに新宿Renyのように600円取るところもあるが)を払ってドリンク引換券を受け取る。ジントニック。飲み干してカップをゴミ箱に捨てて、フロアへ。上原ひろみちゃんさんのピアノが置かれた左端(下手)に露骨に人が集中し、右の方(上手)はまだ人がまばらだった。ドラムすぐ前の二列目に陣取ることが出来たが、ハロー!プロジェクトさんのコンサートではないので前方にこだわってしょうがないと思い直し、段差があってステージ全体が見やすそうな後方に移った。開演前はみんな写真を撮りまくっていたが、開演前でもいっさいの撮影が禁じられているハロプロ現場と違ってそれは許されていた。係員が歩き回りながら、コンサート中の撮影は禁止だと言っていた。開演前にメンバーの名前を叫ぶ人がいないのが新鮮だった。18時45分くらいになるとだいぶ客が入ってきて、左右の埋まり方は均等になってきた。

これまでに私は上原ひろみトリオ・プロジェクトのコンサートを二回、観させてもらったことがある。2014年12月6日(土)と7日(日)。そのときもそうだったが、コンサート中のトークはすべて上原ひろみが担当した。これは世界のどこに行ってもこうなのかな? それとも日本での公演では上原が担当するけど、海外だと他のメンバーもしゃべるのだろうか? 今日は記憶している限り、こんなことをおっしゃっていた:
・今日はスタンディングということで、意を決して来てくださった方もいると思います。腰に不安を抱えながら立っている方もいると思います。私の公演ではライブハウスのときも着席のことが多い。しかも今回はまさかの演者が全員、座っているという。こんなスタンディングも珍しい
・伝説のライブハウス新宿ロフトの40周年記念ということで、歴史に名を刻めて嬉しい。今年は五大陸を回った。今日からアジアツアー
・日本に来てお鮨を食べたいという外国人の方はたくさんいらっしゃいますが、ベースのアドリアン・フェローが食べたいと言ったのが「すしざんまい」(すしざんまいという単語を聞き取ったフェローさんが「そうそう」という感じの仕草)

スタンディングがつらい人もいるでしょうという上原さんの気遣いを他人事として笑い飛ばせるのが、喜ばしい。私にとって、コンサートを楽しむための体力づくりが、定期的な運動のモチベーションになっている。多いときには土日に二公演ずつのときもある。土日の片方は何もせず純粋に休みたいなどと言わせてはくれないのである。最近はジムで時速9キロで40分。海外出張等でリズムが崩れるときを除けば、週に一度。大した運動ではないが、続けることで確実に効果を感じている。ジムに入りたての二年前には、5キロくらい走ったら二日くらい疲れが取れず仕事に支障をきたした。今では上述のジョギングを経ても疲労は残らない。むしろ心地よい。先日、二年ぶりにフットサルに参加したのだが、よく動けた。普段から少しずつ走り続けている成果だ。二年前は久しぶりの運動で吐きそうになった気がする。何事も小さな積み重ねが、時間をかけて大きな違いを生むのである。

私が週に一度、6キロ走ったり走らなかったりだとすると、上原ひろみさんは毎日欠かさず100キロ走ってきたようなものである。(これはあくまでたとえであって、実際に毎日100キロ走ったら死ぬかもしれない。)上原ひろみさんに天賦の才能があるのは間違いないだろうが、努力、気合い、根性を信条とする(前掲書)だけあって、子供の頃から絶え間ない鍛錬を繰り返してきて今がある。つまり、才能、努力、すべてにおいて我々と上原ひろみさんは比較のしようがない。自分も頑張れば上原ひろみさんのようになれるかもしれない、もしくは育ってきた環境次第では上原ひろみさんのようになれていたかもしれない、などということはあり得ない。私やあなたと上原ひろみさんの間には、海を隔てて向こう岸が見えないくらいの差がある。手は届きようがない。向こう岸に泳ごうとしても途中で溺れて死ぬ。これだけの違いを見せつけられると、みんな違ってみんないいという問題ではない。みんな違ってみんないい場合があるとすれば、それは同じレベルにいる対象同士を比較したときだけである。

この方は真のアイドルだと思った。人並み外れた存在。近距離で実在しているのがにわかに信じられないという感覚。ステージで光り輝く、圧倒的で、我々と対等ではない存在。ぽかーんと見とれる対象。最近ではアイドルという言葉が職業を指すようになっている。資格も要らないので、もはや自称すれば誰でもアイドルだ。会社員くらいの軽い言葉になりつつある。でもアイドルという言葉の意味に忠実であるならば「私はアイドルです」と当人が言うのは本当はおかしくて、他人が「あの方は私にとってのアイドルです」と崇めるのが正しい。横浜マリノスで活躍していたダビド・ビスコンティが、同チームで先にプレーしていたラモン・ディアスについて、彼は私のアイドルだと言っていた(裏の取りようがないが20年くらい前にマリノスのファンクラブ会報か何かで読んだ気がする)。アイドルという言葉はそう使うのが本来である。誰かが職業としての「アイドル」ではなくアイドルの語義通りの存在であるには、常人ではたどり着けないレベルの能力と魅力を身に付けるしかないのだと、今日の上原ひろみさんトリオのステージを目の当たりにして気が付いた。

比較するのもおこがましいが、私が文章を書くときに降りてくるひらめきのようなものがこの方には常に数千倍あるのだろうと、半ば打ちのめされながら、上原ひろみさんの即興演奏を堪能した。どんな舞台でも表現できる確固たる自分の世界があるのだろう。それでいて独善的にならず、その場の観客と対話をしている。演奏しながらトリオの二人と目配せをして呼吸を合わせるのはもちろんのこと、客の方を見て、「こう来るとは思わなかったでしょ?」的な、いたずらっぽい笑顔を浮かべる。それをちゃんと理解できるか、我々の感性も試されている感じがして、スリルがあった。超絶的な技巧だけでなく、感情豊かでお茶目な仕草があるから、彼女はちゃんさんなのである。アルバム『SPARK』を聴いていてよかった。聴いたのは今のところ30回くらいかな? もちろん何も知らない状態で臨んでも楽しめるとは思うけど、アルバム・バージョンとの違いが分かった方が100倍くらい楽しいはず。私は今年の2月-3月にドイツに長期出張で行ったが、『SPARK』を受け取ってから渡航できるように出発時期を調整していた。

終演後に貼り出されたセットリスト:
M1. SPARK
M2. DESIRE
M3. WONDERLAND
M4. WHAT WILL BE, WILL BE
M5. DILEMMA
M6. INDULGENCE
M7. IN A TRANCE
-ENCORE-
EN1. MOVE

コンサート・グッズは「SPARK」日本ツアー2016公演パンフレット1,700円と、SPARKオリジナルTシャツ3,000円の二種類だけだった。パンフレットを買って、帰途についた。家に着いて、5時間ぶりに座れる喜び。好きなことで疲れる幸せ。将来的には人工知能の発達でほとんどの労働が不要になった社会で、十分なベーシック・インカムをもらいながらこういうコンサートを定期的に鑑賞したい。

2016年11月20日日曜日

ネガポジポジ (2016-11-12)

土日の開演時間が11時半、15時、18時半の三通りあって、私にとって一番あり得ないのが11時半だった。昼飯の時間なんだよ。お昼に何をいただくか。それは私にとって土日の成否を左右する決断事項である。別の場所に用事があるときを除けば、土日はほぼかならず池袋に足を運ぶ(大半の行程は電車で運ばれる)。その主な目的はお昼ご飯を食べに行くことで、他に確たる目的がないこともある。それだけ通っていると、いくつかお気に入りの店やメニューは出来てくる。ただ、そこに安住は出来ない。お店が潰れることもあるし、お気に入りだったメニューが消えることもあるし、味が落ちることもある。ランチ営業をやめることもある。たまには新しい店を開拓していかないと手駒は減っていくばかりである。お昼ご飯は一日に一回。土日は週に二日。その二回の選択をどうするかに私の現在と未来の満足度がかかっているのである。私の土日は昼ご飯を中心に回っている。大抵の店ではお昼の営業が11時半から始まる。この時間帯は私のゴールデンタイムなのである。だから『ネガポジポジ』のファンクラブ先行では、11時半からの回は申し込まなかった。A、B、Cのパターンのうち土日のBはすべて11時半からだった。Bを観ないことになるが、仕方ないと割り切っていた。Aを二回、Cを一回の計三回で終わりにするつもりだった。それでいい、はずだった。

そうは問屋が卸さなくなった。オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)がBでキャストの主役を張ることが後になって分かったからだ。そもそもファンクラブ先行受付の段階(7月)では、たしか三つのパターンで出演者が違うということは明らかにされていなかったし、つばきファクトリーは全員出るはずだったし(新沼希空さん、谷本安美さん、岸本ゆめのさんが出演しないことが8月2日に発表された)、当然ながらパターンごとの割り振りは決まっていなかったし、オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)に至ってはつばきファクトリーに加入すらしていなかった(8月13日に加入)。インサイダー情報でも握っていない限り、7月の時点でBにオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)が主役として出ることを知るのは不可能だった、というよりおそらくインサイドでも決まっていなかった。チームAのアンサンブルで躍動するオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)を観て、キャストとして出演するチームBの公演も一度は観なければまずいという思いを強くした。11月5日(土)に原宿の娯楽道に赴き、泣く泣く(実際には泣いていない)大枚(10,800円)をはたいて11月12日(土)11時半からのチームB公演のチケットをゲットした。前日の夜にホームページを見たら8,000円くらいのチケットがあったのだが、売れたようで、店頭にはなかった。

五日前のJuice=Juice武道館公演があまりにも鮮烈で、その感触が頭と身体に残っていた。この週末は新たな刺激を取り込むのではなく、ぼーっとして11月7日の余韻を噛みしめたかった。あの日のことを消化してブログを書きたかった。でも本当にサボる訳にはいかない。今日は11時半からチームB、18時半からチームAの公演を観させてもらう。これで『ネガポジポジ』は見納め。11月16日(水)にはギロッポン(六本木)で上原ひろみちゃんさんトリオ・プロジェクトのコンサート、11月23日(水・祝)には℃-uteのコンサートが待ち構えている。これまでの人生で今年は現場の数がいちばん多い。

つばきファクトリーにおける私の一推しの座をめぐってオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)と小片リサさんが争っている。私のために争わないで。11月3日(木・祝)の『ネガポジポジ』初演、チームAを観させてもらってからオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)が頭一つ二つ三つ突き放していた。チームAには小片リサさんはいなかった。次に観させてもらったのが11月6日(日)のチームC。キャストとして主役を務める小片リサさんに引き込まれた。3日前にオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)に付けられた差は、取り返せないかと危惧されていたが、この日の大活躍で挽回のチャンスを残した。今日11時半からのチームBでは前述したようにオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)がキャスト、小片リサさんはアンサンブル。18時半からのチームAではオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)がアンサンブル、小片リサさん不在。つまり、11時半からの回がこの両雄が私の一推しを勝ち取るための直接対決となった。

対決の結果はどうだったかというと、引き分けだった。ハロプロソートでは引き分けをほとんど選ばない白黒はっきりさせる性格の私でも、甲乙付けがたかった。チームBのオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)は、キャストの中でも二人いる主役の片方に抜擢されていた。出演者たちの中で台詞とアドリブの見せ場が最も多く、目立つ役所(やくどころ)だった。すべてのチームの公演を観させてもらって分かったのだが、同じミュージカルを違うメンバーがまったく同じように演じている訳ではなく、細かい部分で違いがある。たとえば序盤の「ミチ・リサ・マイ・ルミ」を連呼する歌では、チームAの山岸理子さん、チームCの浅倉樹々さんに比べてオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)はキーが高かった。アドリブの場面ではチーム毎の違いがよく分かった。ユミ(A:山岸、B:小野、C:浅倉)がリサ(A:加賀、B:高瀬、C:小片)にアイスクリーム代として1万円を受け取らせようとする場面がある。「お金が苦手なんだ」と固持し逃げ回るリサをユミが追い回すのだが、オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)は「じゃあこれを機会に好きになろうよ」と言って我々を笑わせていた。他のチームではこの台詞はなかった。お風呂の椅子に座る場面では横の桶を「兄弟みたいだね」と言ってなでていた。オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)の歌声をちゃんと聴いたのは初めてだったのだが、ほんわかした見た目とは異なり低い声が出て意外とドスがあった。他にあまりいないタイプなので、つばきファクトリーの歌唱を牽引する一人になるのではないか。ユミ役はステージに一人で立って何分か歌う場面がある。オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)はつばきファクトリーに加入して間もないし、こんな機会はまだほとんどないだろうから、嬉しいだろうな、いい経験になるだろうなと思いながら観ていた。全般的に、オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)ならではの優しい雰囲気が演技によく生かされていた。一方の小片リサさんに関しては、今まで思っていたように雰囲気が好きだし、(決していやらしい意味ではなく芸術的な観点から)身体の線が魅力的で目を奪われた。アンサンブルの衣装は、脚を出したぴったりした衣装。太いボーダー柄のストッキング。その中でも小片リサさんは脚を多めに露出していて、(決していやらしい意味ではなく芸術的な観点から)目に焼き付けざるを得なかった。キャストのときとはまた違う魅力を感じた。あと今日わかったこととして、小片リサさんはけん玉がお上手だ。アンサンブルでけん玉をやる場面があるのだが、慣れた手つきで巧みに玉と棒を扱っていた。(後で彼女のブログに「けん玉お上手ですね」というコメントを送ったのに掲載されなかったようなのだが、検閲者が金玉と読み違えたのかな。)こうやってお二人がそれぞれの魅力を発していたので、私の注目はどちらかに偏ることはなかった。

11時半の回に関しては、MVPは高瀬くるみさん。私にとっての個人的なMVPです。オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)と小片リサさんを差し置いての受賞である。歌にソウルがあった。オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)の歌もよかったけど、高瀬さんの歌の方が強く印象に残った。終演後のアンケートにもMVPが高瀬くるみさんである旨を書いて投函した。後にハロプロ研修生のブログを見たら「今日は高瀬絶好調だったかなぁーって思います!」と書いていたので、本人にとっても会心の出来だったのだろう。私はアイドルオタクではなく音楽ファンなので、パフォーマンスの出来については推しがどうとかに関係なく公平に評価するのである。高瀬さんは前田こころさんと言い争う場面で「このくちびる!」というアドリブのディスをぶっ込み我々の笑いを取っていた。

会場から出ると13時半。駅の逆側に一目散。14時半までランチをやっている「美そ乃」。いま私の中でいちばん熱い店「美そ乃」。A5黒毛和牛ランチ1,480円+税、金メダル。特選牛タンランチ1,180円+税、金メダル。特選ハラミ・サガリランチ980円+税、金メダル。特選ホルモンランチ980円+税、金メダル。「美そ乃」のランチは全部、金メダル(参照:MC松島“She's a Hero”)。少し変な時間にも関わらずほぼ満員だった。左にいた青年二人が「向かいの焼き肉屋より4倍うまい」「ランチのコスパが最強」と言っているのが聞こえてきた。特選ホルモンランチと芋焼酎オンザロック。味噌ダレと塩でいただく。1,544円。店を出ると14時11分。

18時半のチームA公演。4回目なので、さすがに話の展開や台詞がだいたい頭に入った状態で観ることが出来た。他のチームと比べて演技がどう違うのか、台詞の言い方がどう違うのか、アドリブではどう遊んでくるのか、この演者はどういう表情を見せるのか、といった細かい部分に注目して鑑賞するだけの余裕があった。アンサンブル、キャスト、アンサンブルの順番でオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)を観察したが、アンサンブルとして躍動する彼女により引き付けられた。道具をアンサンブル4人くらいで動かすときに小声で「せーの!」と言って他の子たちとタイミングを揃えていた。はちきんガールズからハロプロ研修生に加入した川村文乃さんがすべてのチームでアンサンブルとして出演していた。彼女は宮本佳林さんに似ていると評判で、Juice=Juiceのメンバーたちもラジオか何かで言及していたのだが、実際に見た印象としてはそんなに似ていなかった。ただいつでも心底たのしそうにしていて、観ているこちらも顔がほころんでしまう感じ、ハツラツとしたアイドルサイボーグ的な雰囲気を醸し出している点は共通していた。あらゆる動きが大きくて、マシンのようだった。清野桃々姫さんは身体は小さいけど舞台上の振る舞いは年齢が下な感じが全然しなかった。堀江葵月さんには人を引き付ける笑顔があって、彼女を観ているとこちらも楽しい気持ちになった。

千秋楽は来週の11月20日(日)だが、私はこれで最後だ。観させてもらった4公演を通して、ハロー!プロジェクトの新たな魅力を発見することが出来た。たしかに少し難しくはじめは呆気に取られたが、何度も入るに値するミュージカルだった。一回観ただけではよく分からない方が、分かりやすいけど一回で飽きるよりはずっといい。これからも演劇女子部にはファンが付いてこられて興業として成り立つ範囲内で、どんどん難しいこと・高度なこと・新しいことに挑戦していってほしい。今までに観たことがないミュージカル、舞台を見せて我々を魅了してほしい。ハロー!プロジェクトのメンバーや研修生たちが活躍できる場所、才能を発揮できる場所を広げていってほしい。

11時半の回に入る前に、私はオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)の日替わり写真と、コレクション生写真を3枚買っていた。当たったのは山岸理子さんが2枚(別種類)と横山玲奈さんという何役だったか記憶にないハロプロ研修生が1枚。それほど知らない出演陣のコレクション生写真を買って開封して「誰だこれ?」「うわ3枚しか買っていないのに2枚が同じ人、しかも特に推していない人だ」となるのは大人の遊びという感じがした。結果を受け入れるつもりだったが、18時半の回を出ると会場前でアルバムを広げている紳士がいたので、交換してもらった。
「何かお探しですか?」
「小野瑞歩さんが欲しくて、持っているのはこれです」
「じゃありこりこセットで」
「ありがとうございます」
山岸理子2枚と引き替えにオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)2枚を手に入れた。それにしても『ネガポジポジ』の写真類は日替わりがあんまり日替わっていないし、日替わりとコレクション生写真の違いが小さすぎる。まあこんなもんっちゃこんなもんか。

私のつばきファクトリーでの一推しをめぐるオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)と小片リサさんの戦いはまだ完全に決着がついていないのだが、12月のハロプロ研修生発表会は「小野(瑞)」と印字されたTシャツを着て臨むことになる。もう注文した。

2016年11月13日日曜日

LIVE MISSION FINAL (2016-11-07)

鼻毛を切りました。電動の鼻毛カッターというのが世の中にはあってですね、うちの洗面台に一つ置いてあるんです。パナソニックのER-GN50-W11。身だしなみの一環です。いくら清潔にしてファッショナブルな服を着ても、おけけが鼻からこんにちはしていたら台無しですからね。そりゃ手入れせなあかんですよ。廃墟の庭ちゃうねんから。手入れって言っても髪の毛にやるようにコンディショナーを付けるとかそういうんじゃなくて、出入り口付近の余分な毛を刈り取るんです。芝刈りと同じ要領です。しばらくやらないと露出しますからね。しばしばというよりは不定期にカットしています。そこまで伸びるもんじゃありませんので。実際、目に付くほど伸びていた訳じゃないんですけど、鼻毛も切っておこうという考えが勝手に頭に浮かんで、勝手に身体が動いたんです。朝にお風呂に入って、顔を洗って、身体を洗って、ヒゲを剃って、髪の毛を整えました。そこまでは普通でしたけど、最後に鼻毛も切らなきゃと思ったときに、今日は特別な日なんだなという実感がふつふつと沸いてきました。4日前には、髪を切りました。前髪がうるさくなって横も膨らんできていました。普段であればあと1週間くらい放置していたかもしれません。

宮崎由加さん、宮本佳林さん、金澤朋子さん、高木紗友希さん、植村あかりさん(順不同、ではなく私の推し順)の5人が老後に生涯を振り返るときに、2016年11月7日(月)という日がハイライトの一つになるのは間違いありませんでした。それはもう、自明(self-evident)でした。というか、なる、じゃないんだよ。そうなるのを受け身で待つのではなく、そうさせるのです。彼女たちが一生忘れられない思い出を作り出す一員になるのです。彼女たちが一生忘れられない景色の一部になるのです。彼女たちが一生忘れられない歓声の一部を出すのです。Juice=Juiceが目標であった日本武道館での公演を達成する姿を観客として見届ける、という生ぬるい気構えではありませんでした。我々も参加者なのです。今日という一日が宮崎さん、宮本さん、金澤さん、高木さん、植村さん(順不同、ではなく私の推し順)にとって人生最良の思い出の一つになるのか、苦い思い出になるのか。それは我々にもかかっているのです。その強い決心を胸に、家を出ました。それは私の個人的な思いというよりは、我々の集合意志だったはずです。

私は10月の中旬から下旬にかけて仕事でヨーロッパに行っていましたが、この日程には私の狙いがありました。11月7日の直前に海外出張を入れておくことで、11月7日に新たな海外出張が入るのを防ぎたかったのです。私の上司は人道的なので、私の体調に配慮してくれます。海外出張から戻ってきた直後にまた次の海外出張に行けと命じてくる可能性は非常に低いです。(海外出張をバカンスみたいに思ってる奴がたまにいるねんけど、長旅は疲れるし何より時差ボケがめっちゃきついねんで。)それを見越して、自分で日程を決めて出張を仕掛けたのです。もちろんその日程が同行者と先方にとって都合がよかったというのが前提ですよ。私は普段からハロー!プロジェクトの公演を観られるように仕事のスケジュールを調整しているのですが、11月7日に関しては特に入念にやる必要がありました。失敗は許されませんでした。絶対に、絶対に、絶対に失敗はあり得ませんでした。ダメ。ゼッタイ。世の中に絶対はないとしても11月7日の18時までに日本武道館のアリーナ席にいるのは絶対でした。その場にいたいのではなく、絶対にいるのです。それはもう、5月4日のコンサート中に武道館での公演が決定したという知らせを受けた瞬間から決めていましたし、譲れませんでした。

日本武道館での公演を成し遂げるのは、Juice=Juiceにとって大きな夢でした。記念日としての結成日やメジャーデビューの日は、グループが存続する限り、年に一度はやってきます。大きな夢が叶う日というのは、そもそも一度でさえ訪れる保証がありません。だから大切で、貴重だったのです。武道館での公演実現を目指して全国各地を回って1年強で220回の単独コンサートを行うという狂ったコンセプトのMISSION 220というツアー。2015年6月21日の横浜を皮切りに、2016年10月29日に沖縄にて目標を上回る225公演をやり遂げるという形で、彼女たちは走り終えました。2015年5月にMISSION 220の実行を宣言してからは、Juice=Juiceの活動すべてが日本武道館という目標に向かっていました。その目標に向かって、ファンも含めて一丸となっていました。225公演のうち、私が観させてもらったのは21公演でした。全部の1割にも満たないという、本当にささやかな参加数でした。


中には225公演のうち100回以上とか、200回以上も入った方々がいるそうで(Juice=Juiceのメンバーたちがブログ等で言及していました)、そのような正真正銘の猛者たちを前にすれば、私の参加の仕方なんて本当に可愛いものでした。それでも自分はMISSION 220に参加してきたんだからツアーの集大成としての日本武道館公演には必ず入りたいと思うには十分な回数でした。特に、遠征が印象深いですね。このツアーを観させてもらうために山口県、愛知県、滋賀県に行きました。Juice=Juiceの現場に行かせてもらうまでは遠征というもの自体、やってきませんでした。普通に考えて、東京近郊に住んでおきながら、わざわざ地方の現場に行くのはおかしいんですよ。現場は東京近郊で十分にあるはずなんです。それにチケット代以上に交通費と宿泊費がかかります。遠征にかかる費用を突っ込めば、転売市場で相当にいいチケットが手に入りますからね。でもMISSION 220で3回の遠征をしたことで、近場での公演を観に行くのとは違った楽しさがあることを知ってしまいました(2014年11月にもJuice=Juiceをコンサートのために新潟に行っていて、それが私にとって初めての遠征でした。MISSION 220の前でした)。MISSION 220がなければ、山口県、愛知県、滋賀県といった辺境の地には一生、足を運ばなかった可能性があります。そういった土地に足を踏み入れ、現地の空気を感じることが出来たのは喜びでした。

ハロー!プロジェクトのコンサート・グッズには、その当日に会場でしか買えない日替わり写真というものがあります。メンバー毎に一種類ずつ。MISSION 220に入る度に、必ず一枚は買ってきました。日替わり写真を買うという習慣も、MISSION 220で身に付きました。(それ以前にも買ったことはありましたが、コンサート参戦の恒例行事のようになったのはMISSION 220以降です。)A5サイズとはいえ1枚の写真が500円するのが理解できなかったですし、それを買うために列に並ぶのもだるすぎました。その正常な感覚はMISSION 220によって失ってしまいました。今日という特別な日の写真は是非とも手に入れたかったです。丸一日の休みを取っていたので、早朝からグッズ列に並ぶことも可能でした(販売開始は12時半でしたが、実際にはもっと早くから列は出来ます)。でも私はそうしませんでした。二つの理由がありました。第一に、万全の体調でコンサートに臨みたかった。ちゃんと寝て、ゆっくりお湯に浸かって、ちゃんとお昼ご飯を食べて、体力と気力を残した状態で夜を迎えたかった。第二に、前日に観させてもらった『ネガポジポジ』の感想をブログに吐き出しておきたかった。語っていない現場をなくして、頭がすっきりした状態でJuice=Juiceの武道館公演を迎えたかった。池袋で昼飯(「四季海岸」で回鍋肉定食)をいただいてから九段下に行って、13時過ぎにグッズ列を見に行ったのですが、想像以上の長さでした。3-4時間かかりそうに見えました。コレクション生写真は売場が別になっていて、ほとんど並ばずに買えました。ひとまずそれでよしとして、日替わり写真は諦めて、PRONTOに避難しました。コーヒー290円と小さなキットカット50円を買って、ブログを書き上げました

結局、日替わり写真は15時前には全員分売り切れていたようです。グッズの販売開始が12時半だったのですが、おそらくその2時間前には列に入っていないと買えなかったんじゃないですかね。スパッと諦めたのは結果的によかったです。11月3日の『ネガポジポジ』のブログが書けたのも大きかった。それが出来ていなければ、今(11月12日の16時42分)11月7日のブログは書けていなかったと思います。とはいっても正直すこし悔しかったのですが、ここで前日の夜(11月6日21時44分)に投稿された宮崎由加さんのブログを思い出しました。
映画館にいるかたも
BSスカパー!からご覧の方も
武道館にいると同じです。
映画館にいるのが武道館にいるのと同じ。ということは、映画館会場の日替わり写真は事実上、武道館の日替わり写真と同じ。数学的に考えてそうなることに気が付いた私は、名古屋の映画館からライブ・ビューイングでコンサートに参加するTwitterのダチに頼んで、映画館会場の日替わり写真を買っておいてもらいました。宮崎さん、宮本さん、金澤さんの分を買ってもらいました(後で気付きましたが映画館の日替わり写真はネット通販でも買えるようになっていました)。そのダチ曰く、映画館では写真を買っている人がほとんどいなくて、売り切れてもいないとのこと。九段下との温度差には笑ってしまうほどでした。それはさておき、完璧に準備が整った状態で開場時間の17時になりました。朝から入浴。髪を切ったばかり。鼻毛まで行き届いた身だしなみ。体調は最高。グッズ列に並んでいないから消耗していない。昼ご飯もしっかり食べて…あ、そういえば回鍋肉定食に加えて滋養強壮に効くというアルコール42度の参茸酒を一杯、煮卵を三つもいただきました。その上、ブログまで書いたので余計な宿題を抱えずに、ただ目の前のコンサートを楽しめばよい状態に持ってくることが出来ました。

入場列に並んでいると、MISSION 220でよく見た紳士がいて、つい顔がほころんでしまいました。その方と話したことはない(私は現場には基本的に一人で行って誰とも交流はしない)のですが、戦争を生き残った仲間のような気持ちになりました。あんたも生きてここまでたどり着いたのか、的な。入場口の手前には華々しい晴れ舞台に相応しく色んな人たちから贈られた花々が飾られていました。チケットのもぎりと荷物検査を抜けて建屋の中に入ると、周りの人たちが口々に凄い、凄いと言っていました。何かと思ったら、果物を使った精巧なアート作品のようなものが飾られていました。金澤朋子さんと毎週ラジオ番組で共演している元祖爆笑王さんからの贈り物でした。みんなが花を送るところをこうやって違うことをやるのは人を喜ばせるのが上手であると同時にさすが放送作家を自称しながら前に出てくるだけあって目立ちたがり屋だなと思いました。私の席はアリーナB3の99番でした。アリーナという最前線で戦えるのは嬉しかったものの、番号的にそんなに高い期待は持っていませんでした。ステージを正面に、A1、A2…とブロックが続いていくので、B3となるとだいぶステージからは遠いんだろうな、と。実際にはアリーナの中央に設けられたサブステージに近くて、メンバーたちがサブステージに来たときは近距離でその姿を拝める席でした。

開演直前のJuice=Juiceの皆さんの様子が、コンサートが始まる少し前からLINE LIVEというサービスで生中継されていました。ハロー!プロジェクトのライン・アカウントから16:35に来たメッセージによると17:30頃から配信が始まるとのことでしたが、17:25には17:45頃〜に変更になったというメッセージが来ました。中継をやることを急に発表して、直前に延期して、Juice=Juiceの皆さんも裏方の皆さんもバタバタしているのが伝わってきました。はじめは中継を観るつもりでiPhoneを片手に会場内をそわそわしていましたが、17:45〜となるとつばきファクトリーの前座と重なるだろうし、電池の残量も少なくなっていたので、観るのはやめました。一旦、席を離れて壁際で会場全体を眺めながら身体を伸ばしました。17時45分頃に席に戻りました。つばきファクトリーの前座は小野瑞歩さんと小片リサさんを中心に観ました。開演は少し遅れていました。会場内の時計で18時5分くらいまでは確認していますが、それからさらに数分はたっていました。つばきファクトリーの出番が終わると、会場のモニターにJuice=Juiceの皆さんが映し出されました。どうやら前述のLINE LIVEの中継のようです。間違えたらどうしよう間違えたらどうしようとパニックになる金澤さんを、大丈夫だよとなだめる植村さんと宮崎さん。開演前の音楽に合わせてオイ!オイ!と叫ぶ我々に合わせてリラックスした笑みを浮かべてリズムに乗り身体を揺らして拳を突き上げる宮本さん。メンバーの皆さんの緊張、ワクワクを共有することが出来て、とても臨場感がありました。DVDマガジンや『ハロステ!』のようにこちらが一方的に観るのではなく、向こうが問いかけてこちらがワーってなる掛け合いがあったのでなおさらでした。

Juice=Juiceの初めての武道館公演で、最初に歌声を響かせたのは、高木紗友希さんでした。一曲目を『選ばれし私達』にしたのは、グループの中でも特に歌唱が安定している彼女のパートからコンサートを始めることでグループ全体を落ち着かせたいという意図もあったのではないでしょうか。早々の第一声から音程を外したらその後のメンバーも引きずっちゃう恐れがありますからね(そうは言っても、今のJuice=Juiceに目立って歌唱力に不安のあるメンバーはいないのですが)。先述のLINE LIVEによる中継、我々のオイ!オイ!を誘う開演前の音楽、登場前に各メンバーのシルエットをなぞる電光。場内の興奮と高揚と期待と緊張が頂点に達しました。彼女たちが姿を現した時点で、私は少し涙ぐんでいました。そこで高木さんの歌声が鳴り響いたことで、いつものJuice=Juiceのコンサートが始まったという安心を得ました。それにしても、日本武道館の舞台に立って一曲目が『選ばれし私達』って格好よすぎます。選ばれし私達というフレーズと、彼女たちの状況が、完全にリンクしていました。これまでに彼女たちが辿ってきた道のりを知っている人であれば、まず泣きますよ。

特別なコンサートなのは開演前から明らかでしたが、コンサートが進んでいくにつれ、特別でありながらいつものJuice=Juiceのコンサートでもあることが分かりました。収容人数が300人のライブハウス(和製英語)や2,000人のコンサート・ホールで発揮されていたいつものJuice=Juiceの魅力が、1万人を収容する日本武道館でも、まったく損なわれることなく表現されていました。それを目の当たりにする度に、幾度となく私の目は水分で満たされました。Juice=Juiceは、会場の大きさと、夢の舞台であるという重圧に飲まれることなく、いつもの歌を届けてくれました。もちろんメンバーたちが感極まる場面はありましたが、歌がぶれることはありませんでした。会場が大きすぎるとは一度たりとも感じませんでした。これは紛れもなく、MISSION 220という過酷な試練における彼女たちの行動的禁欲の成果でした。過剰なほどに詰め込まれた現場経験で培ってきた、場慣れした離れ業でした。何かのお祝い、記念日、ご褒美という生やさしいものではありませんでした。日本武道館という箱に相応しいパフォーマンスでした。

MISSION 220とは切り離された何かではなく、あくまでMISSION 220の延長線上にあるコンサートでした。Juice=Juiceはハロプロ内の歴史ある他グループ(例えばモーニング娘。や℃-ute)に比べて持ち歌が少ないのですが、(カバー曲を取り入れて変化を持たせたとはいえ)その状態で225公演をやり遂げたことで、一つ一つの曲に対する習熟度がこれ以上に上がりようがない領域に達しています。これはメンバーたちはもちろんのこと、我々ファンもそうです。どこでどのメンバーが歌ってどういう動きをするのか、我々がどこでどういう声を出すのか。すべてが暗黙の了解です。しばらく聴いていない曲が出てきたときもバッチリでした。ドラマ『武道館』の主題歌となった“Next is You!”ではつんくさんの発案によってある時期からフックの合間に我々が“NEXT IS YOU!”と叫ぶようになりました。我々はそれをちゃんと覚えていました。どんな曲でも、進研ゼミで昨晩やったばかりの問題を解くノリで楽々とこなしていきました。Juice=Juiceと裏方と我々がこれまでに築き上げてきた確固たる信頼関係。オートマティズム。お祭りではなく、これまでに地道に続けてきたコンサートをそのまま拡大・強化して届けるという、現場叩き上げのJuice=Juiceらしい武道館公演でした。特に、高木紗友希さんの、吸い込まれそうなフェイク。宮本佳林さんの精緻に作り上げられたアイドル歌唱。それらは可愛いとか格好いいとかの域を超えて、冷酷でした。夢の舞台にただ立っているだけではない、夢の舞台に相応しいパフォーマンスを見せる彼女たちの姿に、何度も涙が溢れそうになりました。その彼女たちに、我々も十分に応えたと思います。聴き慣れた曲はもちろんのこと、ほとんどの人がまともに聴いたことがないはずの新曲『Goal〜明日はあっちだよ〜』でさえ旧知の曲のように声を出していました。『生まれたてのBaby Love』の間奏での(今までやったことのない)ウェーブもきれいに決まりました(私がスタンド席のウェーブを見る際、後ろを向いたところに関係者席がありました。最前列にいた矢島舞美さんがわーと口を開けて笑いながら手を挙げているのを目撃しました)。極めつけは、二度目のアンコールを受けて披露された“Wonderful World”です。最後に我々が歌う場面があるのですが、我々による歌唱の異常なまでの揃い方と声量。そして宮本さんの咄嗟の判断で我々の歌唱が延長された際の一連のアドリブと阿吽の呼吸は、今後ハロプロ・ファンの間で語り継がれるべき名場面です。

6日もたって未だに泣けるコンサートは、初めてです。これまでに観てきた中で、私にいちばん強い余韻を残したコンサートです。MISSION 220を観てきて本当によかった。Juice=Juiceを応援してきて本当によかった。

2016年11月7日月曜日

ネガポジポジ (2016-11-06)

開演前に繰り返し流れる、ネガネガを連呼するギャングスタ・ラップのような主題歌に気を取られて本が読めませんでした。隣の会場でハロプロとは関係ない別の舞台が開催されていました。そちらの入場列とおぼしき人たちの中に、小学生の体操着のような、ホットパンツと言って差し支えのない履き物をお召しになった白髪交じりの50がらみの紳士がいました。上はアウトドア・ブランド(たしかTHE NORTH FACE)のシェルでした。ちょっとやばいな、『ネガポジポジ』の列じゃなくてよかったと思いました。しかし安心も束の間、それは『ネガポジポジ』の列でした。前回(3日)に来たときと違う場合に列があったんです。そこに並んで、14時半の開場直後に池袋BIG TREE THEATERに入りました。客席に入るのは私が二人目でした。15時の開演まで時間に余裕があったので本を読もうとしたのですが、けっこう大きな音でネガネガ言うもんだからヒヤヒヤして、内容に集中できなかったんです。私はヒップホップを聴いているだけではなくアメリカの人種差別の歴史も多少かじっているので、どうしても気になってしまいます。以前、職場に中国語の堪能な同僚がいて(数年前にクビになって退職済みです)電話で「ネッガー…」とよく言っていたのですが中国語で「えっとー」みたいな意味らしいですね。飲食店でその「ネッガー」を言っていた中国人が、その言葉を自分に向けられた挑発と勘違いした黒人に殴りかかられる事件があったというのをインターネットで読んだことがあります。Juice=Juiceの新曲『明日やろうはバカやろう』に「これだけたくさんの人がいるぜニッポン きれいだけじゃなくてブラックでもあるけど」という歌詞があります。ブラック企業のブラックを指していると思うんですけど、歌詞の中にちょっと時代性と毒のある言葉を放り込むのが福田花音さんならではだなと感心しました。ブラック企業という言葉は、日本社会での使用に限定すれば人種差別を想起させるものではありませんから、見直す必要はないとは思います。ただ、ブラックという単語を悪いもの全般に使うような発想は考えものなんですよね(福田さんがそうだと言っている訳ではないです)。何かの映画で黒人が白人に対して「あなたたちはblackという言葉をいつも悪い意味で使う。Black history, black market…」と訴えかける場面があったのを覚えています。たしか『マルコムX』だったかな。“The Autobiography of Malcolm X”にもマルコムが辞書でblackを引いたところ否定的なことばかりが書いてあってショックを受けるくだりがあったような気がします。Nワードそのものはもちろんのこと、それを連想させる単語、ブラックという言葉も取り扱いには気を付けないといけません。

今日の公演はチームC。『ネガポジポジ』にはチームA、B、Cという3通りの出演者がいるのですが、チームCには唯一オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)がいないんです。
キャスト:浅倉樹々、小片リサ、一岡玲奈、小野琴己、西田汐里
アンサンブル:川村文乃、横山玲奈、山岸理子、加賀楓、堀江葵月、清野桃々姫、吉田真理恵
正直、三日前に初めてこのミュージカルを観させてもらったときは、劇そのものに対しては少し戸惑う中、オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)を目で追うことで乗り切った感がありました。だからオノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)不在のチームCの公演にどう臨めばよいのかが、少し不安でした。その一方で、楽しみでもありました。まず、同じ内容のミュージカルを違う出演者たちが演じるのを観るのが初めてだったので、どういうものかとワクワクしました。あと個人でいうと、このチームには、小片リサさんがいるのです。オノミズミズ(小野瑞歩さんのことです)が加入されるまでは、もしつばきファクトリーで私が誰かを推すのであれば小片リサさんだろうなと思っていました。ハロコン現場やつばきファクトリーのDVDマガジンでの印象が元です。ステージでのパフォーマンスからは何と言いますか、芯を感じます。あとこれは完全に私の偏見なんですけど、小片リサさんって女の意地悪さというか、性格の悪さがちょっとにじみ出ている感じがするんです。いや、いい意味で、ですよ。いい意味で。例えば、つばきファクトリーに新メンバー3人が加入することが告げられたときに悔しそうな顔で涙を流している場面とか、つばきファクトリーのDVDマガジンVOL. 2でチームに分かれて激辛カレーライスの早食い対決をしたとき、「(ルーを避けて)ご飯ばっかり食べてるの、本当に誰?」と仲間に怒ってちょっとチーム内の空気を険悪にした場面とか、そういうところから感じました。

意地悪さ、性格の悪さというのが正しい表現なのか、分かりません。でもつばきファクトリーの他メンバーに比べて、しっかり自分を持っている気がするんです。今日、『ネガポジポジ』の主演として舞台で躍動する小片リサさんをじっくり追わせてもらって、彼女が持つ内面、人間性が、演技に生きていると思いました。もちろん、私が小片さんのことを贔屓目に見ているというのはあったと思いますが、それを差し引いても、彼女の演技には観客の注目を引き込む力がありました。そして特筆すべきは、彼女には観客と無言の対話をする力がありました。どういうことかというと、台詞をほんのちょっとだけ変えてみるとか、台本上では2回言うところを3回言ってみるとか(回数はたとえばの話です)、ふとしたタイミングで台本にはない台詞を相手に投げてみるとか、そういう類の工夫を、その場の判断でこなしているように見えました。私はこのチームの公演は1回しか観ていませんし、元の台本を読んだ訳ではないので具体例は挙げられません。あくまでそういう感じに見えた、というぼんやりした話です。的外れの可能性もあります。ただ、どうもそういう感じに見えたのです。そういう一つ一つの判断が的確で間がよく、何度も笑いを取っていました。笑いが起きるということは、その瞬間の観客のツボを突いているということです。ミュージカルでめっちゃポテンシャルを発揮してはると思いました。で、小野瑞歩さんのことをオノミズミズと言ったから今度はオガリサリサと来るのかと思うかもしれませんが、そういう訳にはいきません。語呂がよくない。MC松島さんのラップを毎日のように聴くことで研ぎ澄まされた私の言語感覚では、オガリサリサは、なしです。

2回目の『ネガポジポジ』は、初回に比べて段違いに物語が理解できました。この情報量は一度では到底つかみきれない。ちゃんと楽しむには事前予習が必要だと痛感しました。かといって予習の資料は存在しないので、何度か会場に足を運んで鑑賞する他ありません。1回観ただけでは少し私の中に困惑が残っていましたが、2回観た後では、観れば観るほど面白いミュージカルだなと思いました。みんな違ってみんないいとはいえ、同じ役同士の演者はどうしても比較しながら観てしまいます。一つの公演にはキャストとアンサンブルという二本立てがあって、公演全体にはA、B、Cというチームの三本立てがある。そうやって何重にも楽しめる仕掛けがある。一回観ただけでは観たことにならないと思いますし、何度も観る価値があると思います。あと2回観るのが本当に楽しみになってきました。とんでもなく凄いミュージカルなのかもしれません、『ネガポジポジ』。

2016年11月5日土曜日

ネガポジポジ (2016-11-03)

題名にするくらいだから『ネガポジポジ』という言葉には深い意味があるのかと身構えていましたが、そんなことはなさそうでした。見ての通りネガティブとポジティブを掛け合わせた造語です。劇の中で言動がネガティブな役とポジティブな役がいるという、その程度でしょうね。実際には作り手の側にはもうちょっと意図があったのかもしれませんが、この劇を楽しむ上ではそんなに重要じゃないと思いますね。というか、観れば分かりますが、劇の主題や台詞や歌詞の意味をじっくり考える余裕はいっさい与えてくれません。何かに浸る暇はないです。浸ると必ず何かを見逃します。見逃すまいとひたすら注視してもすべてを把握することは出来ません。あまりにも多くのことが同時に起きるのです。あれだけの情報を処理するには速読トレーニングは必須です。私は「クリエイト速読スクール」というところに通っていたことがあります。だから速読に関しては完全なトーシローという訳じゃないんですけど、そんな私でも無理だと思いました。でもやらないよりはマシじゃないですかね。『ネガポジポジ』を観ようとする人は「クリエイト速読スクール」で訓練を積んで情報処理の能力を高めた方がいいです。『ネガポジポジ』会場のシアターグリーン BIG TREE THEATERから歩いて15分くらいのところにあるんですよ。ああ、でも千秋楽が11月20日(日)ですから、今から通い始めても間に合わないですね…。いずれにしても、ステージで起きているすべてを把握しようと臨んでも呆気に取られてよく分からないまま終わる可能性が高いです。2週間くらい前に私はロンドンに行ったんですけど、大英博物館がそんな感じでした。あまりにも広いし、展示物が多すぎる。今回はこれを見るというのを決めないと、何となくさまよっているうちに時間が過ぎてしまいます。しかもその日は急にお腹の調子が悪くなりましてね、トイレの空きを探すのに30分以上うろうろして、本当に苦しくて汗をかきました。それは関係ないですね。

大英博物館ではけっきょく何を見るかが絞れず、何となく歩き回って2時間を消費しました。大英よりも大便の問題が大変でした。『ネガポジポジ』は始まって数秒で何を見るかが明確に決まりました。開演の直前に前の列に座った紳士がタオルをはちまきのように頭に巻いて、その上からバンダナを巻いて、水を飲んでいました。何か動きに落ち着きがなくいちいちコミカルで、私の気が散りました。でも開演して間もなく、ステージにいた一人の人物に意識のすべてを持って行かれました。私の席はE列の真ん中のブロックの右端だったんですけど、ちょうど正面の位置に彼女はいました。その瞬間からこのミュージカルは『ネガポジポジ』ではなく、事実上の『オノミズミズ』になりました。そう、オノミズミズ。おのみずみず。え? いや分かるでしょう、自ずと。小野瑞歩さんね。オノミズホさん。覚えてくださいね。今後のハロー!プロジェクトを担う重要人物です。何かの映像でつばきファクトリーの同僚からおみずという愛称で呼ばれていましたけど、おみずでいいんですかね? おみずっていうとね、ほら水商売という単語が連想されるじゃないですか。いま水商売の定義をネットで検索したら彼女たちの仕事も当てはまっているっぽいので間違ってはいなさそうでしたけど。

公式ホームページには出演者情報がこう書いてありました(今日はチームA):
キャスト:山岸理子、加賀楓、堀江葵月、金津美月、清野桃々姫
アンサンブル:小野瑞歩、高瀬くるみ、前田こころ、川村文乃、横山玲奈、吉田真理恵、西田汐里
アンサンブルというのが何なのか予想できませんでしたが、端的に言うと、前に出てくる黒子でした。黒子といっても顔を出して、誰なのかを識別できる形で出演します。さっき情報量が多いと言いましたけど、それを生み出すのがアンサンブルの皆さんなのです。たまに声は出しますし、全体の歌にも参加するのですが、台詞と言えるような台詞はないです。しかし決して脇役ではないんです。とにかく常に何かしら目を引く動きや表情を見せています。キャストの皆さんが台詞を回している最中、道具を動かすという本当の黒子としての役割を果たしつつ、変な踊りをしたり、キャストが通る道に物を置いてこけさせたりします。この公演で初めての笑いが起きたのがキャストの誰かが「何だこいつらは」的にアンサンブルに言及したときでした。

アンサンブルの皆さんは、話の展開上、必要な役ではありませんでした。そうでありながら、このミュージカルにはなくてはならない存在でした。もしアンサンブルの皆さんがいなければ『ネガポジポジ』は本当に退屈な舞台になっていたと思います。劇の主題とか物語の内容にはほとんど見るべきところはありませんでした。その辺は気にしなくていいんだと思います。ステージ上でキャストとアンサンブルが繰り広げるドタバタと混沌。それを楽しむのが醍醐味であって、内容そのものはおまけ程度なんだと私は受け止めました。つい最近観させてもらったばかりのアンジュルム主演『モード』や他のハロプロの舞台やミュージカルとはまったく異なりました。公演が始まってからしばらくの間は、何だこれは、ステージで何が行われているんだという感じで、独特の世界に適応するのに時間がかかりました。特に今回は初演だったので、このミュージカルがどういうものかという情報も出回っておらず、我々も全員が初体験だったので、観ている側にも少し不安が入り交じっていたと感じました。前述した笑いが起きたことで徐々に空気がほぐれていきました。

話を戻すと、とにかくオノミズミズでした。小野さんは笑顔を作るとき、目を見開いて口を大きく開いてから思いっきりニコッとするんですけど、そのスマイルを浮かべたときの雰囲気、ヒップホップ的に言うとヴァイブス、に引き付けられます。私にとってアイドルの魅力を語る上で、どう笑うかというのは凄く大事なポイントです。表情もそうだし、ステージ上のちょっとした所作にしても、私の注意を釘付けにして離さない何かが小野瑞歩さんにはあります。今、私の脳内におけるハロー!プロジェクト現役メンバーの順位は一位が宮崎由加さん、二位が宮本佳林さん、三位が牧野真莉愛さんなんですけど、小野瑞歩さんがこの三人を脅かす可能性は十分にあります。配布されたアンケートは普段は提出しないんですけど、今日は出しました。たぶんアンケートって中の人や出演者の方々が目にすると思うので、そこで小野瑞歩さんを褒めておきたかったんです。願わくば私が書いた言葉が小野さんに届いて少しでも嬉しく思ってくれれば。少しでも自信の元にしてくれれば。

今日、観させてもらったのはAパターンでした。あとチケットを持っているのが11月6日(日)のCパターン(小野瑞歩さんの出演なし!!)と11月12日(土)のAパターンです。チーム編成を見ると、Bパターンで何と小野瑞歩さんがキャストの主役を張っているんです。一度は観に行かないといけない。これを書き終えたら昼飯を食って、原宿の娯楽道に行くつもりです。昨晩ホームページを見たところたしか来週末のBパターンのチケットがE列で8,000円くらいで売っていましたので、その辺のを一枚、ゲトるつもりです。このミュージカルはファンクラブ先行受付の段階ではチーム編成が決まっていませんでしたし、つばきファクトリー全員が出る予定でしたし、ハロプロ研修生の出演予定はたしかなかったはずですし、小野瑞歩さんに至ってはつばきファクトリーに加入すらしていませんでした。

2016年10月26日水曜日

Special Code (2016-10-10)

これを書いている時点で、この一週間半で飛行機に14時間。電車に6時間。車に2時間。長旅の疲れに、時差。月曜に日本を離れてから、ほぼ毎日、寝落ち。今は日曜日の21時。朝から夕方までロンドンを歩き回った。眠い。さっき部屋の電気を消した。でも途中まででいいから書いておきたい。電気を付け直して、ベッドの上。iPhoneで秘密結社MMRのアルバムを流して、ポメラを開く。結局、疲れでほとんど進まなかった。月曜の夜、ロンドンのホテルでMC松島の“Major Cleanup 2013”を聴きながら続きを書くけど続かない。疲れていると長時間、文を書けない。今は帰りの飛行機でポメラを叩いている。火曜日。日本に着いたら水曜日になる。

英国の前にはオランダにいた。その前にはドイツにいた。その前には成田にいた。普段は埼玉に住んでいる。10月10日には、埼玉の川口にいた。その二日前には滋賀にいた。何で滋賀にいたのか? Juice=Juiceのコンサートを2回観るためだ。何で川口にいたのか? 滋賀で観たコンサートをもう2回観るためだ。最近はまっている池袋の立喰い焼き肉「美そ乃」で特選ハラミ・サガリランチ、焼酎をオン・ザ・ロックでいただく。私は何をやっているのか? なぜ同じコンサートを3日の間に4回観るのか? 正直、少しだるいなと思いながら川口に向かった。ここに来るのはたぶん二度目だ。前は℃-uteだった。

「前の方にヤンキーがいるでしょ。ああいう奴が…」
「あれヤンキーかな? ヤンキーというか…」
「イキがっているだけか」
「うん」
忘れる訳ねえ。あのJ=J Day。いま思い出してみてもヤバめ。上から下まで決めてるアディダス、かどうかは知らないけどそいつが着ていたのは赤いジャージ。金澤朋子さんの色付いた服を着たオラついた金髪のガキがうろついているのを見て、私はイラついた。上の会話は部分的にしか聞いていないが、ああいう奴は見かけからして迷惑オタクなんだと、男が連れの女に教えていたのが明らかだった。私もそのイキった金髪を見て嫌な予感がしていた。思うことは同じなんだな。可笑しくなって、気が紛れた。予想通り、そいつは最前列で飛びまくっていた。でもそんなに気にならなかった。

15時に始まった公演を、私は6列から鑑賞する幸運に恵まれた。1列目をカメラが通るために潰してあったので、実質的には5列目だった。席の近さとそのコンサートを自分がどれだけ楽しめるかは別問題だ。でも、近いからこそ味わえる喜びがあるのも確かだ。この公演に関しては近さの恩恵を存分に感じた。メガネのレンズを通して私の眼球に映った光景は永久に保存したかった。過去に観たコンサートをそっくりそのまま追体験できるVR装置が本当に欲しくてたまらない。人生に希望がなくなったら過去に経験してきた最高のコンサートの数々をVR装置で再び体験し、意識が薄らいでいき、眠りにつくように死んでいるというのが望ましい。

宮本佳林さんが数メートル先で繰り広げるダンスに見とれていると(目の前であんなものを見せられてしまうと、見とれる以外の選択肢は人類にない)、動きの合間にとびっきりのお茶目な笑顔でこちらを見てくださった。

『黄色い空でBOOM BOOM BOOM』の終わりにJuice=Juiceの皆さんが静止する数秒の間、宮崎由加さんがこちらを見てくださった。私の前が長身の紳士だった。ちょうど正面に来た宮崎さんを見るために人混みをかき分けるようにその紳士の横から顔を出したところ、こちらが戸惑うくらいに由加ちゃんがじーっと見てくださった。あのとき彼女は絶対に私のことを見ていたし、私の周囲にいた20人くらいもまったく同じことを思っていたはずだ。

“F-ZERO”というスーパーファミコンのレーシング・ゲーム(1990年)で、路肩に寄せると上から光が降り注いでダメージから回復できるゾーンがある。分からなければYouTubeかニコニコ動画でプレイ動画を観てほしい。この公演で分かったことの一つは、アイドルが客席に注ぐ視線とはF-ZEROの回復ゾーンと同じであるということだ。分かるか? 普通、我々の視線の有効範囲なんてのは限られているんだ。まあ普通は一対一。講演者や変質者には複数の人で一人を見ることもあるよね。それが普通の視線だ。アイドルはその逆なんだ。つまり一人の視線で同時に何十人もの人々に「私のことを見てくれた」と思わせることが出来るんだ。“F-ZERO”の回復ゾーンのようにある一帯に視線という光を降らせることが出来るんだ。

神は「光あれ」と言われた。すると、光があった。10月8日、びわ湖ホールで宮本佳林さんは「世界でいちばん熱い場所にしましょう!」と言われた。すると、びわ湖ホールが世界でいちばん熱い場所になった。10月10日、川口総合文化センターで宮本佳林さんは「世界でいちばん熱い場所にしましょう!」と言われた。すると川口総合文化センターが世界でいちばん熱い場所になった。びわ湖の昼公演よりも、夜公演の方が熱かった。びわ湖の夜公演よりも、川口の昼公演の方が熱かった。私の主観的な点数がびわ湖の昼が75点、びわ湖の夜が85点、川口の昼が95点だった。びわ湖ホールでの2公演が悪かった訳ではない。素晴らしいコンサートだったし、十分に盛り上がっていた。でも川口は客席のバイブスが段違いだった。客の思い切りがよかった。単に私が前の方にいたからそう感じただけなのか? その考えが頭をよぎったが、おそらくそうではない。いくら日本中を回っているとは言ってもJuice=Juiceそしてハロプロは東京近郊がホームで、地方に比べてファン層の厚さが違うのだと思った。あとは少数だろうが私のように二日前にびわ湖ホールにいた紳士たちが、このコンサートを初めて観る紳士たちを引っ張っている部分もあったかもしれない。(音響的にもびわ湖のときより迫力を感じた。これに関しては私の席がスピーカーに近かったのが影響しているかもしれない。)75点、85点、95点。数学的に考えて、18時半からの夜公演は105点になるはずだった。

結果は、105点だった。びわ湖ホールでの2公演を観させてもらったときに、昼公演がウォーミング・アップで、夜公演が本番だと感じた。この一連の4公演を全体として見ると、びわ湖ホールでの2公演がウォーミング・アップで、川口総合文化センターでの2公演が本番だと感じた。105点になるというのは自分で立てた予想ながら半信半疑だった。なぜなら夜公演の席は1F19列であり、昼公演の席に比べて13列も後ろだったからだ。1Fは30列まであるので、決して悪い席ではない。双眼鏡を使えば細かい表情も堪能できる。とはいえ、昼公演に味わった特別な臨場感は望めない。それでも、夜公演は105点だった。それだけJuice=Juiceの皆さんは出せる力のすべてを振り絞り、観客の我々も本Special Codeの集大成を見せた。観客の参加回数に個人差はあるにせよ、集合体としての我々にとっては4公演目だ。Juice=Juiceさんと我々の間のオートマティズムが最高潮に達した。何だかもう、現実なのか夢なのか分からない夢心地の2公演だった。一日に観させてもらったコンサートの合計点数が200点になることなんてことはほとんどない。世界でいちばん美しいものを観させてもらっていると心から実感し、恍惚状態だった。アルコールなしでこんな精神状態になるなんて滅多にないと思ったが、そういえば昼に焼き肉屋で焼酎を飲んでいた。でも少量だったからほとんど酔わなかった。アルコールの助けは実質ゼロだった。今日は3連休の最終日だ。コンサートのすばらしさもさることながら、これまでの2日間で気持ちがほぐれていたのも大きかったかもしれない。

夢か現実かの判別がつかない極地が、『生まれたてのBaby Love』で訪れた。右側(上手)の宮崎由加さんを双眼鏡で見ていたところ、彼女は両手の親指と人差し指で輪っかを作って両目に当ててから、その手を目から外し、笑顔で客席に手を振ったのである。より正確には、私に向けて手を振ったのである。もちろん、先に述べたF-ZERO理論の通り、この一連の動作の有効範囲は相当に広かったはずだ。多くの紳士が自らに対する個人的なメッセージとして受け取ったはずだ。いや、分からない。もしかすると、そもそもそんなジェスチャーはしていなかったのかもしれない。確かなこととして言えるのは、私の脳内では双眼鏡で宮崎さんを見ていた私に対して、彼女が個人的に反応してくれたのである。私の脳内でそうだったのであれば、それが現実であり、事実なのである。アイドルとファンの関係とはそういうものなのである。つまり宮崎由加さんが一番なのである。

何度見ても宮崎さんは手足が長くて、顔が小さい。スタイルとカリスマ性が、1996年のアトランタ五輪におけるサッカー・ナイジェリア代表のヌワンコ・カヌーのようだ。あの大会のナイジェリアはUNSTOPPABLE(何使ったって止めらんねえ)だった。彼らがアルゼンチンを破って優勝したとき、宮崎さんは2歳のお子ちゃまだったわけだが、私の近くの席にはオコチャのユニフォームを着てコンサートに臨んでいる紳士がいた(どういう意味だったのか?)。オーガスティン・オコチャもアトランタを制したメンバーの一人だった。

この4公演で、私にとっての一推しが宮崎由加さんで、二推しが宮本佳林さんで、そのお二方が自分の中の圧倒的二強であるというのを確信した。全体や複数人を同時に見ているときを除けば、私が見ていたのは宮崎さん6割、宮本さん3割、金澤さん1割であった。

埼玉県は金澤さんの出身地だ。出身地でのコンサートは凱旋といって、アンコールのときに通常のコールではなくそのメンバーの名前を呼ぶのが通例になっている。私が観に行かせてもらった5月14日の三郷市文化会館でのコンサートでは、昼公演でも夜公演でも開演前とアンコール時に「朋子! 朋子!」と我々は声を上げた。今日は昼公演の開演前は「ジュース! ジュース!」だったし、アンコールは「朋子」で行くのかと思ったら、いつもの「ジュース! もう一杯!」だった。夜公演のアンコールは「朋子!」になって、ホッとした。なぜホッとしたかというと、金澤さんは地元の埼玉でコンサートをやれることが嬉しそうだったからだ。“GIRLS BE AMBITIOUS”の自身のパートではステージに寝っ転がるという後藤真希さんの“SOME BOYS! TOUCH”を彷彿とさせるアドリブを見せていた。それを後のしゃべりセグメントで高木紗友希さんから突っ込まれ、「埼玉だから嬉しくて」と照れ笑いしていた。昼公演では川口という場所は自分にとって映画を観に来る場所だと言っていた。それだけ張り切っているのに我々が金澤さんの凱旋公演であることを無視してしまうと、きっと彼女は悲しむだろうと思っていた。「祝ってもらえると思っていなかった」と朋子コールを喜ぶ金澤さん(きっと思っていたか、少なくとも期待はしていただろう)。「こんな取り柄のない私でも応援してくれる人がいるんだなと…(客、エーイング)ごめんね(エーって)言わせて」

Wonderful World”で宮本さんが「あなたに出逢えたから」を「みんなに出逢えたから」と替えて歌ったことが、川口の夜公演そしてこのSpecial Codeの4公演を締めくくる大団円感に拍車をかけた。昼公演で高木さんは「Juice=Juiceの日ってただの語呂合わせだし、℃-uteの日のパクリじゃん。でもこうやって多くの人が集まってくれるのが嬉しい」的なことを言っていた。来年からハロプロの催しとしての℃-uteの日はなくなる。この記念日の元ネタが℃-uteの日であるということを我々が忘れてしまうくらい、何年も先まで続けて欲しい。

2016年10月15日土曜日

Special Code (2016-10-08)

伊丹空港前の東横インからアウト。朝食をホテルで済ませてから出ようと思ったが、混んでいるし、何よりまずそうだ。品数も少ない。貧しい気分になりそうだ。このホテルは朝食を「無料」と謳っているのだが、無料ではないだろ。二泊で17,496円の宿泊料金に含まれているだけの話だ。こういうごまかしは嫌いだ。私からすると望んでもいないサービスを勝手に付けられて料金に上乗せされたに等しい。朝食は要らないから一泊あたり500円でも安くしてほしかった。そんなことよりも大浴場がないのが残念だ。ただ空港からすぐ近くでそこそこ安いとなると、ここくらいしか選択肢がなかった。節約したかった。昨日の晩飯も吉野家で豚丼と豚汁と生卵の計550円だった。予定変更。空港内の喫茶店「英國屋」でモーニングのB(サンドウィッチ)450円。ホットコーヒー。7時半の開店直後に入ったら店員がレジの奥で何かを立ち食いしていて私に気付くと気まずそうだった。地元のおっちゃん数名は皆ホットコーヒーを頼むとき「ホット」と言っていた。

空港からバスで京都駅。1,310円。定時の50分間ぴったりで着いた。少し苦い記憶がよみがえった。3年前だ。無職の頃、職が決まらず意欲もわかずどうしたらいいか分からず途方にくれた私は、すがる思いで高速バスに乗ってここに来て、あるキャリア・コンサルタントに会った。面談の後にふらっと入った店のお好み焼きはおいしくなかった。どこかの有名な寺の日本庭園には息を呑んだ。日本的な美とはこういうものかと合点した。冬だったけどまだ紅葉が残っていた。バスでの移動は消耗した。コンサルタントとの面談は結果的に役に立たなかった。話し始めると長い。今日は京都は単なる通過点だ。感傷に浸る間もなく、JRびわ湖線に乗って11分の膳所で降りた。駅前のオタクっぽい女集団に付いていった。「ナマステ タージマハル」という日本でいうなら「こんにちは 富士山」のような店名のインド・ネパール料理店や3軒のマッサージ店、パルコ等を通り過ぎて、びわ湖ホールに着いた。9時45分くらい。11時からのグッズ販売を待つJuice=Juice familyの皆さんが15人くらいいた。先ほどの女集団はびわ湖ホールに別の目的で来たらしくどこかに消えていった。

10時5分に係員からこの辺にグッズ列を作るから座っているようにという指示が出た。私は地べたに座りたくないし立ち続けるのは苦ではないので立ったまま並んだ。26人目くらいだった。後ろの人の会話が聞こえてきた。自分、埼玉から来たんですよ。4時半に起きて、6時台の新幹線に乗って。終わったら終電で帰ります。あさっての川口はね、家からめっちゃ近いんですけど、夜勤で行けなくて。今日にすべてを賭けてるんです。今日は昼のチケットが1Bなんでもし1Aを潰したら最前です。いやあ、がっつけないと思いますね。もうポカーンだと思いますよ。ポカーンてなりますよ。「僕も埼玉なんですよ」と私も会話に混ざりたかったが、タイミングを逸した。カントリー・ガールズのnew single『どーだっていいの/涙のリクエスト』を配布している紳士がいた。まだ買っていなかったので1枚いただいた。別の紳士がアンジュルムのsingleを配っていたのでこちらも1枚いただいた。『次々続々/糸島Distance/恋ならとっくに始まってる』。既に持っているのであとで合流するTwitterのダチにあげる。グッズ列から生まれて初めてびわ湖を目にした。ガラス越しに。

「いや、思ったより…と言ったら失礼ですけど、色々あるなと思いました。パルコがあって、西武があって」
「でもパルコなくなるんですよ」
「そうなんですか。近いうちにですか?」
「いつだったかな、でもなくなるという噂があります」
今日は最後まで予約で埋まっているというにわかに信じがたい理由により1軒目は入れなかったが、「り・ふぁいん」では待ち時間なしでマッサージを受けられた。高品質でありながら14時までは早割で20%引きになるらしく、80分で6,225円だった。私の生活圏内にあったら通いたいし、びわ湖ホールに来る機会があればまた利用したい。

13時すぎに「り・ふぁいん」を出て、パルコ6階の「カプリチョーザ」で名古屋から来たTwitterのダチと合流した。先ほど買った日替わり写真の宮崎さん1枚、宮本さん1枚、金澤さん1枚、高木さん2枚、コレクション生写真8枚のうち、日替わりの高木さん1枚とコレクション生写真2枚はダチのだ。彼女が来る前にコレ生を開封した。宮崎さん2種、高木さん2種、宮本さん1種、植村さん2種で片方が2枚。ダチは高木さん推しなので高木さん2種を譲ることにした。本当はダブった植村さんのを折半するのが筋だが、私の温情だ。目先の利益に食い付かず、こうやって恩を売って、後でたっぷり返してもらうのが大人のやり方なんだよ。シーフードのピザを食って、ビールを飲んだら14時半の開演までギリギリになった。食後のコーヒーを急いですすった。

びわ湖ホールは前からTwitterでいい評判を目にしていた。実際、中に入ってみると収容人数(1,848人)のわりに小じんまりしていてステージが近く、会場そのものが醸し出すいい雰囲気があった。私は1FのR列、ダチは3Fのファミリー席だった。1Fと2Fが階違いというよりは段差と言った方が近く、2Fが実質的には1F後方、3Fが実質的には2Fだったし、その実質2Fにしても他のホールよりは近かった。

過去のSpecial Code(ホール公演)でも観客をあっと言わせる仕掛けがいくつもあったが、今回はそれを上回る多種多様な演出が用意されていた。情報量の多さに圧倒され、何が起きているのか十分に認識が出来なかった。コンサートが始まると巨大な風船が膨らんでいき、そこに各メンバーの影と名前が映し出され、最後に中からJuice=Juiceの5人が出てくるのだが、観た時点では分かっていなかった。何やらステージ中央に何か大きな丸い何かがあるな、と思って気が付いたらメンバーが出てきたという感じで、追いついていなかった。公演中にメンバーたちが説明するのを聞いて初めてそういうことだったのかと理解した。

風船から出てきて一曲目の『明日やろうはバカやろう』を歌い始めた赤い衣装のJuice=Juiceを双眼鏡越しに見てまず私が思ったのが、右端の宮崎由加さんが可愛いということだった。ステージでは色々なことが起きていて、初見では見落とした部分も多かったと思うが、宮崎由加さんが一番かわいいということだけは疑う余地なく分かったし、その点は見落としようがなかった。もっとも、右から二番目(右は空席だった)という私の位置からは、全体的に左(下手)側にいがちな宮崎さんは少し見づらかった。宮崎さんが見づらいときは主に宮本さんを見ていた。

今日の宮本佳林さんは髪型が至高だった。残念ながら私は女性の髪型を語るボキャブラリーを持ち合わせておらず、至高だったとしか言えない。チケットや日替わり写真の黒柳徹子さん的な髪型とは違った。その新しい髪型は汗で前髪が崩れやすいらしく、終盤には完全に崩れていた。メンバーが指摘すると、びわ湖に浸かってきたんだと宮本さんはおどけた。最後のしゃべりで彼女の崩れきった前髪が大写しになった。客席がざわめくと「そんなに顔キモい?」と問いかけてから思いっきりぶりっ子に振り切った表情を見せて我々から喝采を浴びた。もちろん髪だけじゃなくて元気ハツラツぶりは相変わらずだったし、色っぽさにも磨きがかかっていた。『背伸び』でのしなやかで腰の入ったダンスと曲の世界に入りきった表情。

『チクタク 私の旬』では映像とソファを使用していた。まず目覚まし時計がモニターに映し出されて、アラームが鳴るとソファで寝ていたメンバーたちが起きて曲が始まるという具合だった。寝そべる宮本さんを蹴る(実際には蹴っていない)植村さん。ソファに土足で立ち上がる高木紗友希さん。

『香水』から始まるブロックでは『Keep on! 上昇志向』の衣装をアレンジしたような衣装でJuice=Juiceが登場した。金澤朋子さんはギリギリでおへそが見えないくらいの位置でパンツ(下着のことではないです)を履いていたのだが『香水』の曲中におへそが見える位置まで下にずらす場面があった。そして数秒後には戻したのである。このお嬢さんはこうやって我々の心をもてあそぶのか。もし私が個別握手回に通うタイプのファンだったら彼女のブースでこの幻惑的な動きの意図を詳しく聞いてみたいし、金澤さんからどこまで細かいとこ見とんねん的に呆れられるとともに軽く変態扱いされたい。

このコンサートにはダンスのセグメントがあるのだが、高木さんは膝をつく動きの練習で脚にあざが出来たと言っていた。あざが会場のモニターに大写しになると我々は当然フーとひやかす。金澤さんが「汚い」と言って、高木さんが「汚いって言わないで」と言って、金澤さんは笑っていた。

変わり種では『黄色い空でBOOM BOOM BOOM』がセットリストに入っていた。この曲をJuice=Juiceは完璧に乗りこなしていたし、ステージから発するグルーヴ感が凄かった。特に金澤さん。会場がハッピーな空気で充満した。

本編中にも一度降臨があったが、ジュース! もう一杯!コールを受けての登場も客席の後ろからであった。このびわ湖の昼公演が初めてなので観客は誰も降臨のことを知らない。だから周囲の雰囲気で何となく察するということがなく、純粋に驚くことが出来る。そのあたりは初回を観させてもらうよさの一つだ。

宮崎さんが最後のあいさつでこのツアーが出来る喜びを語る際に「こーんなに可愛い衣装を着させてもらって」、と満面の笑みでくるっと回るのを3回くらい繰り返していて、その度に我々はフーと言って、これがアイドルと観客のあるべき関係であると感じた。

昼公演と夜公演の間にTwitterを始めた初期から(つまり6年くらい前から)フォローしている方と初めてお会いすることが出来た。その方は横浜にお住まいで、私は埼玉に住んでいる。6年越しの初対面が滋賀になった。

夜公演は私が取った席でTwitterのダチと連番だった。18時半開演だと思っていたのだが、18時開演だと気が付いたのが17時47分だった。わざわざ滋賀まで来て、他に用事がある訳でもないのに開演時間を間違えて遅れたとしたらアホすぎたが、開演5分前に席に着いて事なきを得た。1FのV列という昼に比べて4列後ろの席だった。後方ではあったが、双眼鏡のおかげでじっくり細部を楽しむことが出来た。双眼鏡を外して盛り上がるタイミングも昼で心得ていたので、バランスよく楽しめた。

夜公演の方がよいコンサートだったと感じた。Juice=Juiceも我々も、昼よりも乗っていた。一回目だといくらリハーサルを重ねているとはいえ演者も裏方も慣れていないし、観客も慣れていないので、コンサートにフィリップ・トルシエの言うところのオートマティズムがあまりない。もちろん披露される曲の大半はよく耳と身体に馴染んでいるので曲単位で見ればオートマティズムはあるだろうが、コンサートに真のオートマティズムが生まれるには客側がセットリストの展開を身体で把握している必要がある。そういう意味では昼公演は一種のリハーサルで夜公演が本番だったという言い方が出来る。誤解を招くかもしれないので補足しておくが、昼公演はもちろんそれ単体で十分なクオリティを備えた公演であった。客も盛り上がっていた。しかしながらコンサート・ツアーとは一つ一つが独立した公演であるのと同時に、回数を重ねていく毎に演者・裏方・観客の三者がそれぞれ学び、完成度を高めていくものなのだ。演者にとってみれば一回目よりも二回目の方が緊張がほどよくほぐれているだろうし、客もいつ何が起きるかを察しているから状況をわきまえた反応が出来る。もちろん夜公演だけを観る人もたくさんいたとは思うが、昼に続いて観ている人も一定の割合はいる訳で、そういう人たちが昼公演で学んだ結果を夜公演で生かしたのだ。私を含めて。

昼公演に比べて宮本さんの前髪が乱れるのが遅いように見えた。しかし終盤になると昼と同様に赤ん坊のようになっていた。『GIRLS BE AMBITIOUS』のフリー部分では頭を振り回して汗を飛ばしていたのだが、後のしゃべりでも同じことをして「犬みたいでしょ」と言っていた。ファンは大喜びで前方の誰かがちょうだいと言ったらしく「ちょうだいじゃないでしょ」と植村さんが諫めていた。その後メンバーから「気持ち悪い」「やめなさい」という言葉が発せられた。いずれも「ちょうだい」と言ったファンに向けられたと思っていたが、後からよくよく考えてみると(後でダチと議論した)、どうやら「気持ち悪い」と「やめなさい」は宮本さんへの言葉という解釈が正しかったようだ。確証は持てないけど、発言主は「気持ち悪い」が高木さん、「やめなさい」が金澤さんかな? 最後のあいさつでは宮本さんがしゃべっている最中、高木さん以外の三人がモニター後ろのモニターに釘付けだった。植村・宮崎・宮本・高木・金澤という並びだった。植村さんが宮崎さんに「りんかの前髪やばいよ」的なことを言ったようだ。しゃべり終えた宮本さんを呼び止めた宮崎さんが、宮本さんのおでこに汗で引っ付いた前髪を横に流してあげていた。

『GIRLS BE AMBIITOUS!』でメンバーが一端ステージから捌けて、着替えている間に映像でメンバーが再登場して観客を煽る場面があるのだが、そこで高木さんは男性に「にゃんにゃん」と言うのを要求している。再登場した高木さんが男性のにゃんにゃんが可愛い!と我々をほめた後に発した「普段から可愛い女の子を見ているだけありますね!」というコメントには笑った。高木さん曰く、今回の4公演(今日びわ湖で2公演+あさって川口で2公演)はDVD化されない。だから皆さんでこのコンサートのよさを広めて、来なかった奴、バカだな!ってなるようにしてほしい。しかし冷静に考えると、同じコンサートを2回観るために埼玉県から滋賀県に来て、あさっても同じコンサートを埼玉で2回観る私が一般的な尺度ではバカだった。

2016年10月9日日曜日

モード (2016-10-06)

上國料萌衣さんのくちびるの上と下が離れる音が聞こえました。上國料萌衣さんが口を開けて息を吸い込んで台詞を発する場面がありました(劇なので当然です)。人間が何かを言うには口を開ける必要があります。口を開くのはくちびるを上下に開放することでもあります。その音が私には聞こえたのです。どういう音だったのかを擬音でここに書くことはあえてしません。今ご自身のお口でお試しになってみてください。大体そんな感じですよ。ただし、あなたや私では上國料萌衣さんのお口元から出るのと同じ音は出すことが出来ません。一緒にしないでくださいね。汚らわしい。「大体そんな感じ」と書いたのは上國料萌衣さんと我々が同じ人間という種に属するから身体の構造が大枠では同じであるという事実のみに依拠しているのであって、それ以上の意味はありません。なぜ私にその音が聞こえたのでしょうか? それは第一に、上國料萌衣さんのくちびるが潤っていたからです。カサカサに乾いたくちびるではこうはいきません。第二に、私が1列目にいたからです。大枚(15,000円)をはたいて原宿の娯楽道でチケットを買いました。上國料萌衣さんがすぐ目の前にいたのです。私と上國料萌衣さんを隔てる人間は一人もいませんでした。会場にいた観客で、この音に気付いた人は相当に少ないはずです。なぜなら、あの音はスピーカーでは拾えていないはずだからです。つまり、生音として聞こえる距離でないと気付けないのです。私のように最前列にいてなおかつ上國料萌衣さんが目の前に来たときくらいではないと、聞き取るのは非常に難しかったと思います。地獄耳の持ち主であれば別かも知れませんが。第三に、今日の公演はミュージカルだったので芝居のときには台詞以外の音はステージからもスピーカーからも出ない公演でした。観客も笑うときを除けば黙って観ていました。コンサートのようにスピーカーから爆音が鳴り響き客席もワーワー声を出す公演でこのような細かい音には気付くのは不可能です。この事象はさまざまな条件が重なったことで起きた僥倖でした。私は2013年に『さくらの花束』という舞台を一番前で観させてもらったことがありました。中島早貴さんがすぐ近くで舞台の上を走ったときに起きた風を身体で感じました。中島早貴さんが動いたことで発生した風を感じたことで、私と中島早貴さんが同じ空気の中で生きていることを実感しました。今日はそのとき以来の衝撃を受けました。自分の中で新たな地平が開かれました。他にも、和田彩花さんがお召しになっているシャツのテカテカ感がよく分かったり、勝田里奈さんの手が他のメンバーさんに比べて血管が分かりやすく浮き出ていることに気付いたり、メンバーさん全員の歯が真っ白なのがよく見えたりと、3列目の端っこから二番目で観させてもらった4日前には見えなかったものが見えました。いや、もっと普通にね、話の内容とか、各メンバーの演技とか、印象に残った場面とか、推す等という軽い言葉よりは拝むとか尊敬するといった言葉が似合う和田さんの神々しさとか、色々書こうと思えば書けますよ。でも、上國料萌衣さんの瑞々しいくちびるが開く音が聞こえたという衝撃を前にすると、それ以外のことはほとんど書くに値しないんですよ。

2016年10月7日金曜日

モード (2016-10-02)

夏が終わっとるんか終わってへんのかよう分からん天気が続いてますな。日付だけ見るともう秋やん。長袖の服を着たくてうずうずしている訳ですよ。せっかくの休日やしね、お洒落もしたいわけですよ。でもね、四季いうても最近は夏が実質4ヶ月はありますやん。今日も30℃まで上がるとかで、もう上はGoodwearの半袖ポケットTシャツ(米国製)一枚にしましたわ。Engineered Garmentsの薄手ジャケット(米国製)くらいならいけるかと思うてんけどな、やっぱ暑かってん。下はNeedlesのトラックパンツ(日本製)。カバンはMIL-TECのヘルメット・バッグ(たぶん中国製)。靴はPF Flyersの白スニーカー(米国製)。スニーカーが洗うたばかりやったけん、日差しを受けて眩しいくらいにピッカピカでしたわ。TWIGYさんが「毎日磨くスニーカーとスキル」言うてはりましたけど、さすがに毎日は磨きすぎですな。そもそも毎日履かへんわ。毎日履いたらな、靴が傷むねん。一日履くと靴にごっつ負荷がかかるねんで。何足かを交互に履いて、休ませなあかん。

お洒落と言えばな、今日のミュージカルはファッションが関係してる話らしいねん。詳しく見てへんねんけどな、ファッション誌とかモデルがどうのとかいう話らしくてな。タイトルも『モード』やしな。興味ない訳じゃないねんで。俺な、映画観るときもそうやねんけど、あんま事前に情報を見いひんねん。あらすじくらいは見んねんけど、あんま先入観を持たないで楽しみたいねん。まあ、単にめんどくさいちゅうのもあるな。と言っても、和田彩花さんが編集者、上國料萌衣さんがモデルの役で、このお二人が主役ということくらいはさすがに分かっとったで。

ほんまはな、今日は行く予定じゃなかってん。行く予定だったのは、来週10月8日(土)の公演やねん。ファンクラブの先行申し込みで当選してゼニも支払い済みでな。でも同じ日にJuice=Juiceのコンサートが入ってもうてな。ファンクラブの先行受付があったのはアンジュルムさんがたしか一ヶ月先やってんけどな、ダブル・ブッキングに気付いたのがJuice=Juiceさんの方に申し込んで当選した後やってん。アンジュルムさんは場所が新宿、Juice=Juiceさんが滋賀県。アンジュルムさんのミュージカルが15時開演やったから、同じ東京やったらJuice=Juiceさんのコンサートの夜公演とハシゴが出来たかもしれんな(その場合Juice=Juiceさんの昼公演は諦めることになるな)。でも東京と滋賀となると物理的に不可能や。アンジュルムさんとJuice=Juiceさんのどっちかを選ばなあかん。前にも書いてんけど、俺の職務分掌上、Juice=Juiceと℃-uteが最優先でな、アンジュルムさんよりもJuice=Juiceさんの優先度が高いねん(正直℃-uteさんの方は少し揺らぎつつあるけどな)。だからアンジュルムさんにはごめんやけど観に行かへんつもりやってん。手元に届いていたチケットは先週ある友人に贈呈した。

でもな、やっぱどうしても一回は観たくなってな。昨日、原宿の娯楽道に駆け込んでチケットを買うてん。ちゅうのもな、今回のミュージカル、おもろいに決まってんねん。観いひんかったら損する匂いがプンプンすんねん。経験から分かんねん。みすみす見逃すのはミステイクだっちゅうのがもう明白やってん。12,000円やったか13,000円やったかは忘れたけど、ちょい奮発して3列目のチケットをゲトりましたわ。定価の5割増しやけど、彼女たちが見せてくれはるもんからすると、この席でこの値段だったら十分に安いと観る前から分かってましたわ。

新宿ちゅうのは難儀な駅でな、出口を間違えたらごっつう遠回りせなあかん。一旦出口を間違えたらもう迷路やで。全労災ホール・スペースゼロは南口や。ここは前にスマイレージのミュージカル『SMILE FANTASY』を観に来させてもらった会場や。南口を出てからの道は覚えてたわ。ちょっと早めに着いて、グッズを買うた。時間的に、俺が観させてもらう15時からの回の一つ前の公演中やった。前に女の人が一人いただけで、すぐに買えた。販売する台の後ろに座っていたエスタシオンさんの係員さんたちがけだるそうで海外っぽかったわ。日替わり写真の室田瑞希さん500円と、コレクション生写真500円を3枚。室田さんは男役やねんけど、日替わり写真は男装バージョンといつもの室田さんバージョンを交互に出してるっぽくてな。今日はいつもの女の子の室田さんでな、俺的には嬉しかった。コレクション生写真は勝田里奈さん、中西香奈さん、和田彩花さんが当たった。会場の前で店を出して交換しているおっちゃんがいてんけど、俺はアンジュルムさんに明確な推しがいる訳でもないし、交換はせんかった。かぶってへんから特に交換する理由もないしな。

14時半開場やってんけど、ロビーにはもっと前から入らせてくれはった。チケットを見せるだけで、コンサートと違って荷物検査がなかったのがちょっと新鮮やった。中には椅子が用意されとってな、座って待ってはる人もたくさんおったわ。係員の皆さんの感じがよくて、快適な待ち時間やったわ。14時26分になったら客席に入ってええという案内が出されて、扉が開放された。入って中を見渡した途端、ニヤケそうになってもうたわ。もう照明といい客席の配置といい中央に設けられた花道といい、素晴らしいミュージカルが繰り広げられる予感しかないねん。雰囲気が抜群なんよ。DOTAMAさんが晋平太さんとの試合で言うてはった「上がらずにはおられへんやろ!」というのはまさしくこれのことですわ。何か挙動不審で目に付くおっちゃんがおるな思うてたら右隣に来はった。左隣にはでかいカバンを持ったふくよかなおっちゃんが来はった。濃いメンツに囲まれてちょっと不安になってんけどお二人ともおとなしく観てはったし何の問題もなかったわ。

このミュージカルを観させてもうて思ったのがな、労働がキラキラしてんねん。これには正直、びっくりしたわ。『モード』の世界では会社で働くっちゅうこと、仕事に心身を捧げることが忌避すべきことではなく、祝福すべきことなんや。社会でいっちょまえの人間として認められるため、夢を叶えるため、自分らしく生きるためには働くことが不可欠どころかほぼイコールなんや。男性が独占してるその労働を通した自己実現という特権を、女性が自らの手でつかみ取ろうとする姿が描かれてんねん。労働が男性の特権というのは女性の被害妄想ではなく、男性もそう思ってるらしいねん。例えばな、和田さんが勤める雑誌の副編集長(ヒルタ街さんという女性による男役)がしょっちゅう和田さんに女だからということで嫌がらせをすんねんけど、「女のくせに男の仕事を取りやがって」みたいなことを言うねん。自分のことでごめんやけど、俺にとって労働は必要悪で、精神安定剤。服用しすぎると危険や。なくて済むならそれに越したことはないと思ってんねん。『モード』の世界は1970年代の設定らしいねんけど、もしかしてこの時代ってまだ労働にこんな無邪気な希望を持てた時代だったんやろか? 時代考証の精度は分からへんけど、おそらくある程度の現実性はある労働観なんやろうな。2016年現在の女性たちの一般的な感覚からすると、どうなんやろな。

劇で描かれるモデルという仕事が、アイドルと重なる部分があると思った。和田さん(の役)はファッションを女が自立するための武器と捉えてるねん。その象徴がモデルやねん。一方で、副編集長はモデルなんてのは男に媚びた可愛い服装やエロい服装でニコニコしていればええ的なスタンスやねん。上國料さんの許嫁の室田さんも、モデルという仕事には簡単な仕事だのジロジロ見られるだけだの、ちょっと偏見を持ってはるねん。そういう周囲の視線があるから、上國料さんは初めは女中の相川茉穂さんを除いて秘密で活動をするねん。世の中には色んな「アイドル」のあり方があるやんか。そんな中で、和田さんが推進するファッションやモデルのあり方が、そのままアンジュルムやハロプロが目指すところなんじゃないかって、自分の中で重ねて見てたんや。いや、それは別に劇の中で明示されている訳じゃなく、俺が俺の中で勝手に重ねてるだけやねんで。重ねざるを得なかった最大の理由は、和田さんがめっちゃ役にはまってるからやねん。和田さんの役は、格好良くて、強くて、美しくて、ビジョンがあって、リーダーシップがあって、厳しいけど優しい、本当に惚れ惚れする女性なんやけど、和田さんが完璧に熱演してはるんや。それが出来るのは、和田さん自身の中身が、役が求める人間性に付いてきてるからやと思う。昔は宇宙と交信できるとか言うてはる不思議ちゃんの印象が強かったのに、今ではこんなに凛とした芯のある女性に成長したんだと思うと、感慨深い。和田さんに限らず、各メンバーさんの個性を生かした絶妙の配役やった。

真面目なテーマやけど、笑いどころがたくさんあって、純粋にコメディとして肩の力を抜いて楽しめた。悪役もいるし、上國料さんがイヤなことを言われて泣いたりもすんねんけど、そういう場面もミュージカル全体の中ではあくまで楽しさを引き立てるスパイスとして機能してんねん。ハッピーな話や。観客も真摯に楽しもうとしていて、凄くええバイブスやった。カーテンコールでは笠原桃奈さんが挨拶をしはったんやけど、「モデルの歩き方が苦手でレッスンではうまく出来なかったが、今日は皆さんの温かい視線の中でうまく出来たと思う」的なことをおっしゃっていて(勝田さんが「真面目…」と笑っていた)、観客のバイブスが伝わっているんやなと思うた。

とてつもなくファンタスティックやった。ちょっとやそっとの引き込まれ方ではなくて、観ていくうちに自分の心身が作品の世界と一体化して、雑念が消え去り、疲れや体調不良が癒え、ステージで起きていることだけに集中できた2時間やった。極上のミュージカルやった。ほんまに。会場を出た直後の高揚感では、2016年に観させてもろた現場で一番なんちゃうかと思ったくらいやわ。最高の現場はたくさんあったから一番とは断言できひんけど、3本の指には入るんちゃうやろか。それくらいに最高やったわ。主役の和田さんと上國料さんがめっさ印象的やったから帰りに日替わりを買い足そうとしてんけど、上國料さんのだけ売り切れてた。みんな同じこと考えてはったんやろうな。ところでこの記事の口調やけど、何弁なのかよう分からんわ。何でこんなん書いてもうたんや。

2016年9月17日土曜日

℃-Fes!Part1 9月5日も℃-uteの日 at日本武道館(2016-09-05)

最近どうも体調が悪くてだるくて疲れが取れない。本を読んでも長く集中できず寝てしまう。夜中によく目が覚める。休日の外出を押さえて家で横になっていたらますますヘロヘロになって弱っていく。マッサージを受けても効果は薄かった。喉まで痛くなってきたときには風邪薬を飲んだら症状は和らいだ。だが、根底にある疲労感は風邪薬では治らなかった。ジムで走ったら幾分か楽になった。フットサルに参加して友人と絶品のインド料理をいただいたらもっとよくなった。心地よい筋肉痛が不調を忘れさせてくれている感覚がある。「売上はすべてを癒す」ならぬ「筋肉痛はすべてを癒す」である。今でもなるべく週に一度はジムで走っているが、筋肉痛がするくらいの運動も定期的にやっていかないといけないなと痛感している。

『筋トレが最強のソリューションである:マッチョ社長が教える究極の悩み解決法』という本がある。私は読んでいないのだが、著者のTwitter accountは前からフォローして見ている。本の題名と同様、とにかく筋トレをしろ、そうすればすべての問題は解決するというのを手を変え品を変え面白おかしく書いている。筋トレを「筋肉痛がするくらいの運動」と置き換えれば、あながち極論やジョークではないのかもしれない。ここ数年の私はあらゆる自己啓発書から距離を置いているので『筋トレが…』にも手は出していないのだが、読んでみようかな。

ブログの執筆が現場の2週間くらい後になることは今までもあったのだが、それは週末に現場が立て続いたため書く時間が捻出できなかったのが主な理由だった。今回の場合は、月曜の9月5日に現場があって、週末に予定はなかった。一度ベローチェに入ってまとまった時間を取ったのにあまり筆が進まなかった。書くということに入り込めなかった。乗ってこなかった。スウィングしなかった。自己満足の零細ブログとはいえ、一つ一つの記事には産みの苦しみがある。一定の時間、喫茶店にいれば最初はうまく書けないが途中からスイスイ進むいうのは過去に何度もあった。降りてくる瞬間というのがある。先週末は最後までその瞬間が訪れなかった。

執筆だけではなく、コンサートを観てそれをどう消化できるかも心身の調子にかかっている。コンサートは目で観るだけではない。耳で聴くだけでもない。身体全体で感じるものなんだ。それを実感した。コンサートやイベントやミュージカルや舞台を観てそれについてブログやTwitterに書くという行為は、その公演に関する感想や報告であると同時に、自分の心身が置かれている状態の告白でもある。同じ公演を同じ会場のほぼ同じ位置から観ていても、心身ともに良好な状態な人はさまざまな楽しさ、美しさ、愛しさを見出すことが出来る一方、激しい頭痛、腹痛と下痢に襲われている人にはそういったことはぼんやりとしか感じられないだろう。それどころかいつ抜け出してトイレに行こうかとか、早く終わってしまえというような考えで頭がいっぱいになっているかもしれない。9月5日(月)には有休を取っていた。土日と合わせると3連休だったので放っておいても元気満タンになっているだろうと、楽観的でいた。しかし前日からうっすらと頭が痛かった。

以下に記す内容は、先週末にベローチェで書いていたものの最後まで乗ってこなかった作りかけの文章をもう一度ひっぱり出して調理し直したものである。ジムでのジョグとフットサルを経ていない、今(9月17日)よりも弱っていて刺々しい状態の私が考えた、機嫌の悪い文章である。しかしながら、私の人生における9月5日の思考記録としては今の状態で書くよりもずっとリアルなのである。私はこのブログでなるべくそのときの主観的な気持ちや考えを残したいと思っているから、後知恵による大幅な修正は加えない。

2016年8月20日に解散を発表した℃-uteは、9月3日に広島で同グループとしては最後となるハロコンへの出演を果たした。現場で観ていた方々の声をTwitterで見るかぎりでは、感動的なコンサートだったようだ。開演前には℃-uteの『忘れたくない夏』が(℃-uteにも秘密で)流れ、本編の最後には通常のセットリストに含まれていない『がんばっちゃえ!』がハロプロメンバー全員で披露され、数多くのハロプロ構成員やハロプロ研修生たちは泣いていたらしい。終演後にモーニング娘。の工藤遥から手紙、アンジュルムからは写真アルバムが贈られたことが、℃-uteメンバーのブログには記されていた。私は現場にいた訳ではない。そんな人間の戯言であるのを承知の上で正直に言わせてもらえば、最後のハロコンの様子を知った私の胸には違和感が残った。もっとはっきり言えば、スポーツ新聞を通して解散を世の中に発表してからの℃-uteには少し白けている。解散という決断そのものについては、℃-uteとアップフロントの意向を尊重したいとしか思わない。こちらには知り得ない事情も多々あることだろう。それに関して外野から野次を飛ばすつもりはない。では、腕を組んで首を傾げたくなるこの感じの正体は何なのか?

第一に、決断の重さに対する、その後の展望の耐えられない軽さ。「女優」(矢島舞美)、「キャスターとかマルチタレント」(鈴木愛理)、「旅番組を持ちたい」(中島早貴)、「全力でバラエティーで生き残りたい」(岡井千聖)、「アパレル業界にかかわれたら」(萩原舞)というのが8月20日のスポーツ新聞に載った解散後の「夢」である。メンバーによって個人差はあれど、何なんだ、このふわっとした感じは。結成11年のグループの解散という衝撃的な発表と添えて発表するには、あまりにも生煮えで、ぼんやりしてはいないか。一つ一つに突っ込みを入れるのはやめておく。メンバーたちが独力で明確な展望を描けないのは仕方ない。それ以上に、彼女たちに次の具体的なポストを用意できない事務所がふがいない。奇跡のような存在である彼女たちをこれからどう生かしていくか会社としてまともな見識がなさそうだ。未来の展望がこれだけ軽いと、決断まで軽く感じられてしまうのだ(実際には軽い訳がないのだが)。

第二に、解散の宣言から終わりまでの長すぎる期間。最後の℃-uteの日を迎える前にファンに伝えたかったというのは理解できるが、まだ9ヶ月もあるのにもう終わっているような雰囲気を強く感じるのだ。最後のハロコンでの演出や後輩たちの涙、手紙、アルバムも、もう来月くらいに解散するのであればしっくり来る。解散が来年の6月となると、これからが消化試合のように思えてしまうのだ。もちろんご本人たちは私のような泡沫会社員とは違う次元にいるプロなので残りの活動を軽く流すというようなことは一切ないだろう。でも8月20日に℃-uteは解散を発表したのではなく、解散したんだと今の私は受け止めている。もちろんこれからも最後までコンサートを観に行かせてもらうつもりだし諸々のDVDや音源も引き続き買わせてもらう。だが、8月20日の前と後では、同じグループとして℃-uteを見ることは出来ない。

℃-uteの辞め方からは、若手会社員の退職に近いものを感じる。道重さゆみさんのようにアイドル(モーニング娘。)としてやれることをすべてやり切って、もう悔いがないから辞めるというのとは少し違う気がするのだ。もちろん℃-uteがハロプロに人生を捧げてきたことに変わりはないし、彼女たちがさまざまな偉業を成し遂げてきたことは言うまでもない。十分に長い間やってきたとも思う。でも、まだまだ上を目指す(その「上」が何を意味するかは不明瞭にしても)グループだと私は認識していたので、ここで走り終えちゃうんだという拍子抜け感はある。下書きのような軽い未来設計しか言えない状態で、9ヶ月前に解散を発表するという姿勢から強く伝わってくるのは、とにかく辞めたいという固い意志だ。20代後半の会社員が、部署の仕事を一通り覚えて仕事を一人で回せるようになってきたけど、一生この会社で終わりたくないし、この会社で課長や部長になりたいと思わないし、このままでは成長しないし、業界や職種を変えるなら年齢的に今が期限だし、というような理由で会社を辞めるのと雰囲気が似ている。で、そういう奴に何の業界で何の仕事をしたいのかと聞いても明確な回答は持っていないんだ。道重式と℃-ute式の、どちらがいいか悪いかの問題ではない。でも℃-uteの最後のコンサートは道重さゆみさんのときに比べてよくも悪くもあっさりした公演になると予想する。

℃-uteは常に、今まで出来なかったことを達成しようとするグループだった。コンサート・ツアー毎に新しい試みを取り入れてきた。今までに発売した全シングルを歌うという9月5日のセットリストは、それとは真逆を行くコンセプトだった。今まで積み上げてきた資産で、無難なコンサートを作り上げようという意図が感じられた。すべてのシングルを歌えば、大当たりでもなければ大外れでもないコンサートになるのは見えている。もちろん℃-uteの日というのはコンサート・ツアーとは別だから単純に比べることは出来ないが、℃-uteは早くも思い出づくりの段階に入っている、もうこのグループは明確に終わりつつあるんだな、と実感した。終わりつつあるというのは単に時期の問題ではなく、である。序盤にオリンピックのレスリング日本代表の吉田沙保里、伊調馨、登坂絵莉の三選手が登場したのも、(曲順は別として)事前に公表されたセットリストの驚きのなさを補いたいんだなと思った。(驚きと言えば、開演前に関係者席を見ていたらワンピースをお召しになった牧野真莉愛さんが席に向かうのが見えた。隣にいた同行者に伝えるために普段は牧野さんと言うのに不意に「まりあちゃん!」と言ってしまった。)吉田沙保里さんが登場した瞬間、私の頭にはMC松島さんの“I am Yoshida Saori”が流れた。(MC松島さんが吉田沙保里さんについて歌った曲だけを集めたミックステープ『#日本の宝』、無料で落とせるので聴いてみてください。)

以上はコンサートを観させてもらいながら、リアルタイムでは6年くらい前から見ている℃-uteというグループそのものの現状について、すぐれない体調で考えたことである。9月5日の℃-uteのパフォーマンスやコンサートそのものに否定的な見方をしているわけではない。それどころか、彼女たちの体型や容姿の仕上がり具合、歌唱とダンスの水準、過酷なセットリストをものともしない体力とコンサートを通しての安定感は巧の域だった。すべての曲がシングルだったので欠けるメンバーがいない。つまり彼女たちからすると休む暇がない。にも関わらず2時間45分の長丁場を完璧な笑顔で走り抜けた。ステイジ上の全員が本当に楽しそうだった。演出は比較的シンプルだったが、上から落ちてくる大量の風船をバンバン叩いて上に戻すのが童心に戻ったようで心が躍った。中島早貴さんがトークのときに客席に向かって「ちょっとみんな風船で遊ぶのやめて話を聞いて」と言っていたのには笑った。正直なところ序盤は曲がぶつ切れすぎて(『江戸の手毬歌II』の短さには客席がどよめいた程だった)あんまりよくないなと思ったが、中盤からはいつもの℃-uteコンサートらしい熱い空気になってきた。

2016年8月21日日曜日

Sunshine Parade (2016-08-20)

午前3時頃:またか。この時間に目が覚めた。枕元のiPhone 6sでTwitterを開くとよく話す人から@が来ていた。つい30分ほど前だ。ここでやり取りを始めると完全に覚醒して眠れなってしまうので、返事はしないでおく。ただ、どうもその人の様子が普通ではないのでTLを遡ってみた。「℃-ute解散」の文字が目に飛び込んできた。心臓がバクバクした。解散そのものはまったくの想定外ではない。むしろ最近の℃-uteからは終わりの始まりを何となく感じていた。でもこんな時間に何気なく開いたTwitterで、いきなりスポーツ新聞の画像が投下されて知らされるとは思いもよらなかった。不意打ちすぎた。記事には20日のハロコンでファンに発表すると書いてあった。

午前7時すぎ:二度目の目覚め。Twitterでは℃-ute解散の報道に気付いた人たちがどんどん増えていく。私は一度の睡眠を挟んでいるので、少し落ち着いている。今日のハロコンで発表するということは、最初の朝公演か。私が入るのは昼公演(14時45分開演)だ。発表の場に居合わせたいという気持ちが湧いてきた。HP(Hello! Project)の公式HP(Homepage)のハロコン日程を見たところ、今日は朝公演がなく、昼公演(14時45分~)と夜公演(18時半)の2回だけであることが分かった。つまり、私が観に行かせてもらう回こそが、今日の1公演目であり、℃-uteが解散を発表する公演なのだ。

午前8時すぎ:公式の発表文「℃-uteに関するお知らせ」を読む。2016年8月20日付けで、株式会社アップフロントプロモーションの代表取締役・西口猛と、℃-uteの名前で別々の文章が掲載されている。真っ先に思ったのが、会社としても℃-uteとしても、ファンにしっかりと向き合い、誠実に説明しているということだ。もちろん、この一つのページに書いてある文章ですべてのファンを納得させるのは無理だ。というか、どんな手段を使っても全員を納得させるのは無理だ。公式の発表としては必要十分な分量と内容だと私は感じた。広島「茶の環」で買った抹茶満月を少し食べて、シャワーを浴び、布団を畳み、部屋に掃除機をかけて、マイクロファイバーの雑巾でフローリングの床を拭いた。

午前11時半すぎ:電車でKダブシャインさんの『ザ ジャッジメントデイ』を聴く。「イエローモンキー→見栄も呑気→家六本木」「何もかもすべてが自動的→にうまく行ってると思い込み思考停止」「将来の給料で払わす商売→クレジットに縛られてく生涯→これって最初から決まってる勝敗」といった韻にしびれた。数年ぶりにケーダブのラップを聴いていいと思った。池袋「四季海岸」で火鍋をいただく。西武地下のTHE GARDENでコンサート前に飲む用の「マウントレーニア リッチカフェラッテ砂糖不使用」と、コンサート中に飲む用の「冴えるハーブと緑茶」を買う。

午後12時55分頃:中野サンプラザ前に着く。グッズ列の左に人の塊。いつもは入場列が出来ている場所。係員が当日券の抽選列だと言っている。当日券にこんなに人が並んでいるのは初めて見た。入場列はまだ出来ていないのかと聞くと、まだという答え。裏の本屋に入って、少し時間を潰す。列に並ぶ間と開演前に読むために山崎ナオコーラさんの『人のセックスを笑うな』432円を買う(結局、開かないまま終わった)。MC松島さんの『すごいぞテープvol.1 #春ディスコ』に収録されている『逆に大丈夫か?』を繰り返し聴く。100円をくれないあなたはケチ野郎、守銭奴、銭ゲバ、馬鹿。人類みな兄弟なのにおっぱいを揉ませてくれないあなたは差別主義者、人でなし、悪人だと罵る歌詞が大好きだ。

午後1時15分頃:中野サンプラザ前に戻ると既に入場列が出来ていた。近くにいた女性たちが「女性アイドルのコンサートに行くのを(話の雰囲気からして会社の人から?)気持ち悪いと言われた。女が安室奈美恵のコンサートに行ってもいいし、男がミスチルのコンサートに行ってもいい。それと同じだから気持ち悪がられる筋合いはない」ということを言っていて、正論だと思った。

午後1時50分頃:会場内のグッズ列。早めに入場列に並んで中のグッズ列に並ぶといういつもの作戦が成功。思惑通り。日替わりの宮崎由加さん、宮本佳林さん、岡井千聖さん、中島早貴さん、牧野真莉愛さんを購入。なっきぃのは本当はここにいたかったであろう友人の分だ。1998年のサッカーW杯日本代表を落選したときの三浦知良さんのように、彼女の魂はここに置いてあるのだ。すぐに席には着かず、階段近くのベンチへ。日替わり写真をアルバムに収納するのと、席の交換を打診してくる奴らを避けるためだ。今日もとんでもない良席だ。1列(実質4列目)の中央寄り通路席。この夏ハロコンの中でもとりわけ大事な意味を持つ公演をこんな場所で観させてもらえるのは本当にありがたい。

午後2時40分:席に座った私の横に来て「すみません、小関舞のオタクなんですけど…」と話しかけてくる小僧が続きを言うのを「すみません。ごめんなさい」と遮った。「ダメですか?」「はい。ごめんなさい」。2時半頃(開演15分前)まで席に着かなかったにも関わらず、虫が沸いてきた。席の交換交渉は近くで行われているのは何度か見たことはあるが、実際に自分が持ちかけられた(持ちかけてくる前に断ったが)のは初めてだ。

午後2時45分:開演。一曲目がハロー!プロジェクト全員による『Good bye 夏男』(松浦亜弥)。曲が始まった割にはステイジに演者が出てこない。周りの観客が後ろをチラチラ見てそわそわしている。どうやら通路から現れるようだ。2016年の夏ハロコンを観させてもらうのはこれで3回目だが、今までの2回はともにRainbow Carnivalだった。Sunshine Paradeに入るのは初めてだからどうなるのかが分かっていない。私の横の通路にも誰かが通るのだろうか? とよく分からないまま後ろを見るといきなり野生の宮崎由加さんが現れてこちらに接近してきた。頃合いを見計らってゆかにゃと呼びかけて手を振ったら一瞬こちらを見て手を振ってくださった。私の前を通過するのに要した時間は一秒ないくらいだったと思うんだけど、その一瞬にやられた。麦わら帽子が似合いすぎていたし、帽子から出ている前髪、目、表情、いくら宮崎さんとはいえ、可愛いにも程がある。加減というものを知らないのか、この方は? 時が止まり、我に返ったときには植村あかりさんが前を通り過ぎていた。そのときになって初めて、宮崎由加さんが後ろに他のJuice=Juiceメンバーを引き連れていたことに気が付いた。宮崎さんと植村さんの間の記憶がまったくないのだが、その間に宮本さん、金澤さん、高木さん(順番不明)もいたはずだ。さっきの野郎に耳を貸さなくてよかったと、心から思った。宮崎由加ファンの特等席じゃねえか。何が小関舞のオタクなんですけど、だよ。ただ良席に潜り込みたかっただけだろ。せめて万札を10枚くらいちらつかせながら寄って来いよ。

8月6日と7日のハロコンでは、宮崎さんが本調子ではなさそうな印象を私は受けていた。今日の宮崎由加さんは絶好調に見えた。完全復活どころか、今までに目撃してきた宮崎さんの中で一番かわいかった。『Dream Road~心が踊り出してる~』は静かな曲調と内省的な歌詞に合わせるようにメンバーの皆さんは真顔なのだが、最後のフックにさしかかるときに宮崎さんはスイッチを一気に切り替えて笑顔になっていた。一辺倒な表情の豊かさではなく、曲による、また曲の展開による表情の使い分けが見事だった。歌、ダンス等、メンバーによって得意とする表現の分野があるが、宮崎さんの場合は表情を中心に見るのが正しいのだと思う。『KEEP ON 上昇志向!!』のintroでトラックの中に「カモーンナッ!」的なフェイクが入っているのだが、それに合わせて口を動かしていた。

話が前後するが、『Good bye 夏男』の後に℃-uteからの解散報告があった。℃-uteから発表がありますとまことに差し向けられて一列に並ぶ5人の目が、涙で満たされていくのが分かった。まず矢島舞美さんがグループを代表して来年の6月に埼玉スーパーアリーナ(たまアリと略している記事をネットで見たんだが、その略し方はちょっと卑猥じゃないか?)でコンサートを行うことが決まった旨、そのコンサートを最後に℃-uteは解散する旨を発表した。みんなでよく考え、話し合った上で決めたことだ、というようなことを付け加えていた。それから残りの4人が、涙で声を詰まらせながら一言ずつコメントを発した。他のハロプロメンバーたちが神妙な面持の中、嗣永桃子さんは、℃-uteを元気づけるかのように温かい笑顔で見守っていた。私はメンバー一人一人が言ったことは細かく覚えていない(というよりあまり頭に入ってこなかった)が、至近距離から℃-uteの表情、目に浮かべた涙を見て、これは本当なんだな、もう決まったんだなと、事実を受け入れた。会場全体がしんみりと神妙な心情で受け入れている印象だった。少なくとも、断末魔の叫びや悲鳴は聞こえてこなかった。先にネットで広まってみんな既に知っていたというのが大きかったと思う。

そこからステイジから人が捌けて各グループの紹介映像に移った。さすがにあの発表の後すぐに切り替えることは出来なかったが、実のところ私はそこまで悲しい気持ちにはならなかった。第一に、既に朝の3時に一旦ショックを受けてそこから一寝入りしていた。ここに来るまでの間に、自分の中である程度は消化が出来ていた。第二に、冒頭に宮崎由加さんがすぐ目の前をお通りになった上にいわゆるレス(反応)をくださったことで、脳内がやばい物質でいっぱいになってしまった。第三に、℃-uteを含むハロプロメンバー全員が目の前で繰り広げる大迫力の『Good bye 夏男』に圧倒され、ポジティブな気持ちが心の大部分を占めていた。

研修生を除けばハロプロのメンバーは一通り広く浅く知っているはずなのに一人見慣れないメンバーがいて、誰だこれは?と思ったら相川茉穂さんだった。前髪パッツンの髪型に変えていた。そういえばTwitterで誰かが相川さんが前髪パッツンにしたと書いていた。一気に化けて大人っぽくなっていて、びっくりした。以前いわゆるアイドルとおぼしき方々が「オタクはパッツンが好きらしい」と言っていたのを盗み聞きしたのを思い出した。私はオタクではないのだが、相川さんのパッツンには目を奪われた。

トーク・セグメントは「家でゆっくりしていたら宅配便が来た。どんな人だったか」的なお題に、中島早貴さん、植村あかりさん、嗣永桃子さんの三人が前に出て来て答えた。これが何を意味するかをスクリーンに映すのでメンバーの皆さんは目をつむってくださいとまことさんが言うと、宮崎さんはただ目をつむるだけではなく両手で目を覆い被せて、さらに下を向いていた。もういいですよとまことさんが言うと、2秒くらい時間を置いてから元の体勢に戻ったのだが、そのときに驚いたような表情を見せていた。中島さんは「年齢は行っているんだけど、会社の中では新人のおじさん。うまく仕事の段取りが出来なくてあたふたしている。DVDのことをデーブイデーと言う」的な答え。植村さんは「しゃべらなかったらいい人なんだけど、しゃべったらチャラい」的な答え。三人目の嗣永桃子がしゃべり出す前に我々から「おー?!」という期待の声が挙がり、嗣永さんは「おーはやめて」と我々をいなしていた。「これといって特徴もない、可もなく不可もない、凡人」的な回答。それぞれの回答が自分の第一印象を示すというのを知った上で聞くと聞くと三人とも内容がドンピシャだったので、客席から何度も大きな笑いが起きた。その度に中島さん・植村さん・嗣永さんは戸惑っていた。追加で当てられた工藤遥さんは「ヤンキーぽい感じ」(この回答のときの盛り上がりと「え?」という工藤さんの顔も見物だった)、宮本佳林さんは「帽子をかぶって顔を隠している。詐欺師」と答えた。種明かしをされた上で回答の内容がぴったりだとまことさんに言われた植村さんは、えー?そうですか??と微笑みながら困惑し「このコーナーをやる度に(自分の)印象が悪くなる」と愚痴った。「そうだよね」と同調する嗣永さん。このときの植村さんの反応は私にとって少し意外で、どちらかというとこういう場面ではキレて「おい、どういうことだよ」と客席に毒づく印象を持っていた。Juice=Juiceの単独現場ではないからおとなしくしているのか、それとも大人になってきたのか。

昔のハロプロの楽曲を掘り起こしてパフォームするセグメントでは、2001年の2曲が選ばれた。井上玲音さん・佐々木莉佳子さんによる『トロピカ~ル恋して~る』(松浦亜弥)と、牧野真莉愛さん・和田桜子さんによる『悔し涙ぽろり』(中沢裕子)。『悔し涙ぽろり』で牧野さんを見ていたらどうも途中から本当に涙を浮かべているようだった。牧野さんはコンサートの始めから最後までキラキラに輝いていて、本当にリアルで完璧なアイドルだなと改めて思った。

こぶしファクトリーの浜浦彩之さんの顔が小さくて脚が長い。一般の水準に比べたら顔も小さく脚も長いであろう他のメンバーと比べてもちょっと浮いている。脚が頭ひとつぶん短くなってもまったく違和感がなさそう。

司会のまことさんと、つばきファクトリーに加入が決まった3人、アンジュルムに入った笠原桃奈さん、こぶしファクトリーの広瀬彩海さんが話すセグメント。つばきファクトリーへの加入が決まった小野瑞歩さんの趣味はウォーキング。知らない道を歩くのが好き。川のあるところが好き。川が分岐していて、見渡せるのがいい。小野さんはほのぼのとしていて、優しそうな雰囲気。なお、私は8月6日の公演におけるまことさんの司会をひどいとディスったが、今日のまことさんはだいぶよかった。

私の見るかぎりTwitterではRainbow Carnivalの方がSunshine Paradeよりも評判がよさそうだが、私はSunshine Paradeの方がずっと好きだ。セットリストや構成が、比較にならないくらい好きだ。完璧なコンサートだった。既存グループが他のグループの曲をカバーするセグメントがたまらない。Rainbow Carnivalのぶつ切れメドレーより100倍いい。Juice=Juiceの『臥薪嘗胆』はハツラツ感と活力に溢れていた。最後の曲がハロプロ総出演の『泡沫サタデーナイト』だというのが極めつけだった。モーニング娘。単体よりも楽しさが数倍。Rainbow Carnivalのワックなサンバ曲とは比較にならない。今日はDJ役を石田亜佑美が担当した。煽りの台詞が途中から何を言っているのか分からなかった。音源だったらいいのかもしれないが、コンサート会場で言うには台詞が長すぎる。

泡沫サタデーナイト』前の最後の挨拶でまことさんは、「今日は℃-uteから動揺する発表があった。Berryz工房活動休止のときにも言ったと思うが、ハロプロはこうやって月のように満ち欠けを繰り返して輝きを放つ大きな存在だ」というようなことを言っていた。

午後4時58分:退場。特別な意味を持つ公演だったが、私にとっては楽しかった、最高のコンサートだったという気持ちが他のすべての気持ちを上回った。いつものPIZZERIA BAR NAPOLI。ハッピーアワー。カンパリビア。カプリチョーザ。池袋のストリートでスイカと桃を買って、帰宅。

2016年8月14日日曜日

Rainbow Carnival (2016-08-07)

失業者が給付を受け取るためには月ごとに指定される日時にハロー・ワークに足を運び、求職活動の履歴を更新した紙を提出しないといけない。一ヶ月に三回以上、企業の選考に応募するか試験を受けなければならない(厳密にはそれ以外でも求職活動に数えてもらえる行動があった気がする)。無職期間に豊島区民だった私にとって、最寄りのハロー・ワークは池袋のサンシャイン・シティ内にあった。一般的には商業施設として知られているが、色んな会社の事務所が入居している棟もある。いくつか頭にこびりついている光景がある。一つ目は、エスカレーターですれ違うスーツ姿の会社員たち。彼らは私のことを馬鹿にしているだろうと想像した。ハロー・ワークに入るところを彼らに見られたくなかった。二つ目は、ハロー・ワークの施設内で求人票を眺めるシングル・マザーらしき女性。一人の子供を背負って、足元で走り回るもう一人の子供を見ながら、壁に貼り出された最低賃金近辺の仕事を物色していた。三つ目は、サンシャイン・シティ内のTULLY'S COFFEEで時間を潰す有閑マダムの皆さん。平日のTULLY'S COFFEEは、意外と混んでいた。夫が仕事をしている間、ママ友同士で喫茶店で他愛もない話に花を咲かせている彼女たちを見ると無駄に消耗させられた。話の内容を聞いた訳ではないがどうでもいい話なのは彼女たちの弛緩しきった面構えで分かった。

私は今、TULLY'S COFFEEのエールエール広島駅前店でAphex Twinの“Drukqs”を聴きながらポメラのキーボードを叩いている。職がなかった頃の私には、二つのハローがあった。ハロー・ワークと、ハロー・プロジェクトだ。職がある今の私には、一つのハローしかない。ワークじゃない方のハローに集中できる状態がずっと続くのが人として好ましい。8月6日に続き、翌日の7日にも夏ハロコンのRainbow Carnivalを鑑賞する機会に恵まれた。今日もグッズ列は長蛇の列だったので、昨日と同じ作戦を取って入場列に並んだ。入場は定刻の13時45分よりも数分はやく始まった。昨日よりも中野に着くのが遅くなったが、タイミングは絶好だった。中に入ってからほとんど並ばずに日替わり写真を入手できた。宮崎由加さん、高木紗友希さん、牧野真莉愛さん、中島早貴さんの計4枚。昨日はJuice=Juiceメンバーのしか買わなかったのだが、せっかくハロコンに来たのだからJuice=Juiceの単独現場と同じ買い方をするのも能がない。宮崎さんは外せないとして、他の3人についてはJuice=Juiceでもなかなか日替わりを買うことが少ない高木さんと、他のグループでいま気になっている牧野さんと中島さんにした。

高木さんはここ数ヶ月で私の中での順位が急上昇している。昨日のRainbow CarnivalでもMVPだった。牧野さんの『まりあんLOVEりんですっ』は最高のラジオ番組だ。最近見た夢の話をし始めたり、小学四年生のときに学校で書いた作文を読み上げ始めたりと、とにかくドープなんだ。道重さゆみさんの『今夜もうさちゃんピース』のように長く続いてほしい。中島さんは昨日、間近で見させてもらったときの美しさが印象的だった。今の彼女の仕上がり具合は完璧だと思う。そう思ったのを何かしら形にして残しておきたかった。

最近どうも疲れが抜けない。ここ数日では本がじっくり読めるくらいには回復している。とはいえ、まだ万全ではない。席に着くと目をつむって、うとうとした。前方の席にいる紳士による「さくらちゃーん!さくらちゃーん!さくらちゃーん!」という絶叫で起きた。時間を見たら14時45分。ちょうど開演時間だ。いい目覚ましになった。2列という絶好の位置だった昨日とは打って変わって、今日は29列という後ろから4列目それも一番左端という、ジャパネットたかたの高田明氏も良席と強弁して売るのに戸惑うような席だ。当然、双眼鏡(VixenアトレックライトBR 6x30WP)を持ってきた。私は与えられた席によって明確に鑑賞方法を変える『置かれた場所で咲きなさい』的なスタンスを取る。今日はほとんど声を出さず、身体も動かさず、ひたすら双眼鏡でステイジ上の星々を観察した。

シャッフルの一曲目『ドットビキニ』で一番星の宮崎由加さんが登場したのに不意を突かれた。昨日は同曲をパフォームする一員だった金澤朋子さんがいない。宮崎さんの代打だったようだ。もしかすると宮崎さんが本調子ではないというきのう私が抱いた印象が合っていて、今日は幾分かマシになってきたのかな。だとするとよかった。でもやっぱり、双眼鏡越しに見える宮崎さんの様子はいつもの絵文字スロットマシーンではなかった。彼女がステイジにいるときにはずっと見ていたけど、親知らずでも痛んでいるような感じに見えた。いや、まったく的外れかもしれないし、そうであってほしいけど。

まことさんとアンジュルム新メンバー笠原桃奈さんの絡みは昨日よりはよくなっていた。笠原さんが自己紹介のときに好きな戦国武将が石田三成だと言って、何で石田三成が好きなんだと聞くまことさんに、明智光秀に身を捧げたから的なことを答えていた。理由を聞き出せただけで、昨日と比べてまことさんの司会がだいぶ進歩している。

『明日やろうはバカやろう』『KEEP ON 上昇志向!!』のときに金澤さんのおへそが少しだけ見えた。もしかしてこれは歴史的瞬間? 過去に記憶がない。いや、どうだろう、以前も拝見したことがあったかな? まあ初めてではないとしても、少なくともレア(金澤さんの口癖で彼女がブログでも多用する言葉)なのは間違いない。しかしJuice=Juiceのヘソ出しがレアであるという状況は深刻な文化的損失であり、早期に是正されなければならない。衣装をプロデュースしている奴らは自分の仕事の重みを知れ。もう一度『おへその国からこんにちは』から聴け。

田村芽実さんのものだった『恋ならとっくに始まってる』冒頭の台詞は、彼女の退団後、和田彩花さんが受け継いだ。昨日も思ったが、違う。これじゃない。田村さんじゃないとダメだ。この台詞だけではない。田村さんのいないアンジュルムは何かが足りない。私にとってアンジュルムの魅力の大部分は田村さんだったのだと、彼女がいなくなってから分かった。アンジュルム主演ミュージカルの10月8日公演のチケットが当選して既に支払いも済ませてあるのだが、後から同じ日にJuice=Juiceの滋賀公演が発表された。Juice=Juiceを申し込んだ後に、Robert Glasperばりに“Double Booked”であることに気付いた。Juice=Juiceが当選したらそちらを優先するつもりだ。誰か代わりにアンジュルムのミュージカルを観に行ってブログを書いてくれないかな。

今日のトーク・セグメントは、無人島に二人きりで行っても頼りになりそうなメンバーは?的なお題だった。5位:石田亜佑美。料理も出来るしスーパーで安い食材を探してくるのも得意なので、無人島に行ってもうまくやれそうだし「利用できそう」と生田衣梨奈。4位:山木梨沙。スクリーンには「山本」と表示され、やま・き・りさですと名前を訂正する山木さん。お金持ちなので自家用ヘリを派遣して助けてくれそうという小関舞さんに、「クルーザーも用意するよ」と乗っかる。3位:生田衣梨奈。岸本さんだったかな、守ってくれそう的なコメントを発し、生田さんが守るよ的な返しをしていた。2位:矢島舞美。私の周囲では「え、1位じゃないの?」的な反応の観客が多かった。私も矢島さんが1位だと思っていた。1位:岡井千聖。植村あかりが投票していたことを知った岡井さんが「こんな美人が」と言い、植村さんが笑った。「こんな美人が指名してくれるんだから守ってあげなきゃですよ」的に補足した。面白いから一緒にいて楽しそうだし、食べられそうなものを取ってくれそう的なことを言った山岸理子さんに「動きのろそうだもんね」と岡井さん。竹内朱莉さんも岡井さんを選んだ。「タケちゃんは守れない」「何でですか!」。

まだ発売されて間もない曲や、まだ発売もしていない曲が多く、我々はいま一つ乗り切れていなかった。この夏ハロコンはこれからも公演があるので、これから徐々に馴染んでいって乗り方が確立されていくのだろう。『KEEP ON 上昇志向!!』は周りの客席では「へえそう来るのか。面白い」的な空気だった。初めて聴く人が多そうだった。実際、私も昨日はじめて聴いたばかりだ。つばきファクトリーの新曲がいわゆるプラチナ期のモーニング娘。っぽいと思った。『しょうがない 夢追い人』的な印象。路線としては私の好みである。こぶしファクトリーのサンバの新曲はワックだ。たしかにお祭りっぽいしハロコンには相応しいのだろうが、子供騙しの曲に思える。これで弾ける気にはなれない。

2016年8月12日金曜日

Rainbow Carnival (2016-08-06)

VIE DE FRANCEというパン屋で、私が高校生くらいの頃に母親がパート・タイムで働いていた。仕事の帰りによく店のパンを買って来てくれた。お好み焼きパンなぞというのが割とおいしかったのを覚えている。どこがFRANCEなんだと言いたくなる実験的な総菜パンだったが、好きだった。(たぶんいま食べてもおいしいとは思わないだろう。)これを書いている今、私はVIE DE FRANCEの羽田空港店にいる。豆乳アイスロイヤルティー370円を飲みながら、広島行きの飛行機の時間までこのブログ記事を書く。指先で叩いているのは先ほど箱から出したばかりのピカピカのポメラDM100。ポメラとしては通算3台目、DM100としては2台目だ。本ブログにある53本の記事のほぼすべてを書いてきたDM100が今日8月12日にQDT(急に電源が付かなくなった)という悲劇に襲われた。仕方なくビックカメラで新しいのを買った。2万3千円くらい+ポイント10%だった。アマゾンでは20,220円だったが、今すぐに手元にないと困るので店舗で購入した。故障したDM100は、お盆休み明けにキングジムに問い合わせて、修理代金によっては直してもらうつもりだ。予備の機体があってもいい。私にとってそれくらいに代わりの効かない道具であり相棒である。使い始めてから1年半だった。3年くらい持ってほしかった。

8月6日。3回観に行く夏ハロコンの1回目。10時から12時過ぎまで映画『シン・ゴジラ』を観た。「厄介者、学会の鼻つまみ者…」というナレーションが流れるくだりで厄介と学会で韻を踏んでいるのに興奮した。何人かの人たちが石原さとみさんの英語を褒めているのをTwitterで見ていた。私は、英語をよく勉強したというよりはメリケンぽいしゃべり方を体得したという方が正確だろうと思った。あの英語は地味で地道な知識の積み重ねに裏打ちされているというよりは、ひたすら対人で練習を重ねてそれっぽく仕立て上げたというのが私の見立てである。実生活ではカタギの役者が、映画ではヤクザの言葉遣いをしているのと同じだ。実のところ米国人は彼女の英語を字幕なしで理解できるのだろうか? ちょっと怪しいんじゃないかと思う。ただそう思っても言わないだろうけど。外国人の英語をアメリカ人が表立って批判するのは政治的に正しくない。最悪の場合、人種差別主義者として叩かれるだろう。まあ、この話はどうでもいいんだけど。『シン・ゴジラ』もそうだが、Twitterがなければ出会わなかったかもしれない本、映画、音楽はたくさんある。例を挙げるとCharles Bukowski、西村賢太、樋口毅宏、根本敬、Milan Kundera、園子温、fox capture plan…。

13時過ぎ(15分くらい?)に中野サンプラザに着いたところ、会場前は人の塊で埋まっていた。グッズ列だ。見た瞬間に無理と悟って、並ぶのを諦めた。どうやらまだグッズの販売は始まっていないようだ。私が観させてもらう公演は13時45分開場、14時45分開演なのだが、仮に並んだとすると開演にすら間に合わないかもしれなかった。それくらいに人が多かった。そこで作戦変更。グッズ列ではなく入場列に並ぶ。まだ人が少ないうちに会場に入ることが出来れば中のグッズ売場では短い待ち時間で買えるのを経験から知っている。真夏だ。炎天下で延々と待った。これでは観客が多少は臭くなるのは仕方ない。頭にタオルを被せている人がちらほらいた。開場は10分遅れた。途中から日陰に入れたからまだよかったが、後ろの人たちはずっと陽に晒されていた。誰も言わない文句。荷物検査。チケットもぎり。すぐにグッズ売場へ。サクサク進んだ。作戦通りのサクセス・ストーリー。買ったのは宮崎由加さん、宮本佳林さん、金澤朋子さんの日替わり。そしてコレクション写真を6枚。コレ生の取れ高を確認。浜浦彩乃さん、牧野真莉愛さん、佐藤優樹さん、小田さくらさん、中西香菜さん、佐々木莉佳子さん。全員の書き込みが「私の思う夏の風物詩と言えば」というお題に答えていた。浜浦:「冷凍桃」、牧野:「わらびもち」、佐藤:「アイスクリーム」、小田:「水ようかん」、中西:「コンサート」、佐々木:「風鈴」。浜浦さんと牧野さんを残して、残りの4枚を元手に後で宮崎さんと宮本さんを狙いに行こう。

今日のチケットを受け取ったときは声が出た。何せ2列目、中央寄りの通路席である。まあ、2列目といっても中野サンプラザは0列というのが3列あるので実質5列目ではあるが、良席に変わりはない。14時5分頃には写真の購入が終わっていたが、あんまり早く席に着いて席交渉の隙を与えたくなかったので、14時半すぎまで時間を潰してから席に向かった。ももちの旦那さんが3列前にいた。彼はTwitterで席番号を公開していたので近くなのは知っていた。前回にお見かけしたとき(2月の中島早貴さんのバースデーイベント)から髪がだいぶ伸びていた。0列でも当然のように双眼鏡をフル活用していた。

私が最後に足を運んだハロプロの現場は6月26日のJuice=Juice横浜Bay Hall公演だった。1ヶ月半の間ハロプロの現場から遠ざかっていたが、特に欠乏感はなかった。まったり過ごす週末も悪くなかった。でも注意事項の映像の後に客席の照明が落ちて、音楽が流れて、歓声が挙がって、各グループの紹介映像が音に合わせて切り替わっていくと、思わず顔がほころんだ。これだよ、これ。私の休日にはこれが必要なんだ。このワクワクは他には代え難い。ずっとなかったらおそらく耐え難い。それを再認識。2016夏ハロコン、最新式。

ハロプロ研修生の新曲で始まった。花火がどうのという、夏のために作られたような曲だった。途中でスクリーンに花火が上がる演出があった。加賀楓さんの髪型が一段と可愛かった。表情が前よりも柔らかくなった気がする。研修生の中ではひときわ目を引いた。小野瑞歩さんはたしか5月のJuice=Juiceの前座で見たときにちょっとふっくらしたと思ったが、そのときよりもさらにふっくらしていた。もちろんこれは年齢的に当然ではあるのだが、近い将来にどこかのグループに加入をしたいのであればもう少し状態を整えないと厳しいでしょう。新グループの結成と既存グループへの加入によって、残された研修生たちの顔ぶれはだいぶ地味になった。まことさんから岡井千聖さんの手術によるパフォーマンス制限、和田桜子さんと船木結さんの欠場が発表された。稲場愛香さんのカントリー・ガールズ脱退には触れていなかった。

広島に着いて、空港の「つけ麺本舗 辛部」でつけ麺大950円と麦焼酎ロック500円をいただいて、呉に向かうバスの中だ。焼酎が思ったよりも多かった。いい気分だ。いい身分だ。『初恋サイダー』で中島早貴さんが向かい合った(6月26日のJuice=Juiceのコンサートで植村あかりさんが使った言い方だと「シンメになった」)尾形春水さんの髪の毛を直していた。尾形さんが付けていたうさぎのカチューシャの後ろから前に回ってきた毛を、中島さんが後ろに戻すと、尾形さんは照れたような嬉しそうな表情を見せた。私の位置から中島さんが0ずれになる時間が数秒だけあって、ハッとするほどきれいだった。

まことさんの司会の下手さが際だっていた。こんなに下手だったか? 私は氏の司会にそこまで批判的な意見は持っていなかったが、今日はひどかった。アンジュルム新メンバー笠原桃奈さんを呼んで二人で話すセグメントがあった。せっかく彼女をフィーチャーする絶好の機会だったのに自己紹介をさせてそこから話をいっさい広げることなく次の曲に移ったときには本当に唖然とした。

モーニング娘。はヘソ出し衣装が素晴らしかった。一曲だけで着替えてしまったのが惜しい。PRISMツアーのときの衣装かな? 牧野さんは客席から見て右端にいることが多く、私の席からはあまり見えなかった。衣装といえば…ちょっとバスの揺れがひどいからここでいったん書くのをやめよう(といっても次の段落まで既に書いてある)。高木紗友希さんのシャッフル時の衣装が印象的だった。チューブトップの上に透けた紺色のセーラー服。下はたしか白い短パン。高木さんは誰よりも自信と喜びに溢れていた。今日のMVPは彼女だ。

金澤さんがシャッフルに引っ張りだこだった。2016年冬のハロコンでは病気があって休み休みの参加だった。Blu-rayに収録されているのは2016年1月10日の17時半開演の公演のはずなのだが、このときに金澤さんは冒頭にちらっと出ただけで残りは欠場していた。でもBlu-rayを観ると欠場していない。欠場していた曲については別の公演の映像をつぎはぎしている。あのBlu-rayには前方の席で後ろに宮崎と大きく印字されたTシャツを着ている私の後ろ姿が映っている。病気とはまだ戦っているのだろうが、今日は客席から観ている分にはその影響を感じさせない笑顔。大活躍だった。喜ばしい。

金澤といえば、全裸と字面が似ていることでお馴染みだ。私は裸眼での視力が0.1程度なので、メガネをかけていなければ全裸朋子と書いてあっても見過ごす可能性が高い。つまり金澤さんは実質的に全裸と言っても過言ではない。金澤朋子さんの全裸を見たいか見たくないかのニ択を突きつけられたら、見たいというのが私の答えだ。でもその願いは叶わないので、自分が全裸になってホテルでこれを書いているのが現実だ。

今回のハロコンでは毎回「○○なメンバーは?」というお題にメンバーたちが投票した結果を発表するセグメントがあるようだ。今日は「毎晩、鏡を見て微笑んでいそうなメンバー」だった。5位は生田衣梨奈。誰かは忘れたが「えりどうやったらもっと可愛くなると?」と言っていたというエピソードを披露した。生田さんはご本人曰く『彼と一緒にお店がしたい!』というモーニング娘。に加入して半年後くらいの曲の頃がいちばん可愛かったという。4位は嗣永桃子。「3年前だったら1位だったと思う。自分はもっと後に来るなと思って油断していた。メンバーの入れ替わりと時代の変化を感じる」というようなことを嗣永さんは言っていた。3位は宮本佳林。「そんなに見てないですけどね…」と困惑気味な宮本さんに「嘘だね!」とすぐさま突っ込みを入れる嗣永さん(ひな壇で一つ後ろの列にいた)。携帯のカバーの鏡は最近ではペラペラのタイプを使っていると弁明。金澤さんがそれを笑って否定し、いつも鏡の前で決め顔をしていると暴露。いや、それは化粧をしているだけであって顔を決めている訳ではないと宮本さん。佳林ちゃんはメンバーの中でいちばん化粧品を持っている印象があるとまことさんが言うと、チーク三つ、アイシャドー三つくらいは持っているのが女子として当たり前だと釈明する宮本さん。ざわめき立つひな壇。最前列で口をあんぐりさせる和田彩花さん。2位は和田桜子(今日は欠場)。広瀬彩海曰く、投票した7人の大半はこぶしファクトリーのメンバーだという。和田さんは食事中でも鏡で自分の顔を見ながら食べているという。1位は小関舞。ついに私の時代が来たといつものラッパー的セルフボーストをかまし、「4位でしたっけ?」と嗣永さんを挑発する小関さん。美意識が高く、それに比例して自意識も高いとうまいコメントを放つ梁川奈々実さんに複雑な表情を浮かべる小関さん。「3年前なら桃に入れていたんですけどね、今は小関ちゃんの時代ですね」と嗣永のコメントをなぞる矢島舞美さん。「おい! リーダー! どういうことだ!」と抗議する嗣永さん。

宮崎由加さんがどうも本調子ではないように見えた。いつもの表情の変幻自在さ、底抜けの笑顔が今日はなかった。何かこう調子が悪いのを表に出すまいと我慢しているように見えた。宮崎さんは何とシャッフルに一つも参加していなかった。Juice=Juiceとしての出場のみだった。一番観たいメンバーなのに限られた場面でしか出てこなかった。深夜まで起きて観たペルージャの試合に中田英寿が出場していないような感覚だった。

モーニング娘。の『泡沫サタデーナイト』を初めて生で聴いた。理屈抜きで、ただ楽しいだけの曲だ。イントロのうーたかた!うーたかた!の手の動きをやるのが楽しかった。サンフレッチェ広島のエース・ストライカーはピーター・ウタカだ。ベンチ要員なのは浅野拓磨と佐藤寿人のお二方。野中美希さんの笑顔の笑顔度が凄かった。今日のベスト・スマイル賞を贈呈する。以前わたしは笑顔が素敵な社員にステッカーをあげていちばん多くのステッカーを集めた社員がベスト・スマイル賞を贈呈されるという気持ちの悪い会社に所属していたことがある。自分で言っておいてなんだがベスト・スマイル賞という言葉からそのクソみたいな記憶が掘り起こされた。

Juice=Juiceの新曲を三つとも初めて聴いた。第一印象では『Keep on 上昇志向!!』が一番好きだ。初めて聴くにも関わらず自然と馴染んできた。Michael Jacksonぽかった。ダンスにムーンウォークぽい動きがあったし、曲のフックが“Thriller”のようだった。家に帰ってから“Thriller”を聴いてみたらやっぱりオマージュと言っていいほどに似ていた。ラジオ番組“We are Juice=Juice”で高木さんと金澤さんがこの曲のレコーディング時にマイケルっぽくやってくれと言われた等のエピソードを披露していたことを知った。Michael Jacksonを明確に意識した曲だったのだ。

もちろんハロコンが最高で今日も楽しかっという前提の上での比較だが、今までに観てきたハロコンの方が好きだ。私にとってハロコンの魅力を一言で言うと、それは二つの眼で拾いきれないくらいの情報量である。ステイジで歌い踊るメンバーたちがいれば、両脇のひな壇で思い思いにふざけたり乗ったりしているメンバーたちがいる。ハロプロ全員が一気に登壇して曲を披露する。どう頑張っても見所のごく一部しか把握することが出来ない豪華さ、贅沢さ。お祭り感。今日はパフォーマンス中のひな壇がなかった。夏にまつわるメドレーのセグメントではグループが代わる代わる出てきたが、あまりにもぶつ切れすぎた。細切れのメドレーをやるなら全員でやってほしかった。

16時43分頃に終演。水分補給を怠っていた。喉がとても渇いた。すぐにでも何かを飲みたかったが、まずはコレ生の交換だ。テントに入って右奥の紳士と取引。佐藤→宮崎。小田+中西→宮本。無事に宮崎さんと宮本さんのコレ生を手に入れた。上出来。まだ東京の初日が始まったばかりなので交換の胴元に在庫が揃っていないようだった。特に宮本さんのは胴元の紳士が1枚しか持っていなかったらしく、だいぶ渋っていた。中野サンプラザから徒歩数分のPIZZERIA BAR NAPOLI。15-18時のHAPPY HOUR。カンパリビア。ナポレターノ。カンパリビア。1,180円。ほろ酔い。帰宅。