2021年10月31日日曜日

つばきファクトリーANNEX ~岸本ゆめの×小野瑞歩×秋山眞緒=Smile♪~ (2021-06-21)

四ヶ月以上前のことなので書くのが難しいが、それ以上に思い出したくもない。イベントのことではなく、その時期の生活のことを。書くとどうしても思い出してしまう。クソ上司との関係悪化(元からよくはなかった)、詰め、業務量の増加と担当変更。ストレスで精神を壊した。私はちょっと困ったくらいでは他人に相談をするタイプの人間ではない。このときも自分で本でも読んで解決できるのではないかと思っていた。不安障害や鬱に有効だとされる認知行動療法(cognitive behavioral therapy)の本を買ってあったのを思い出し、読み始めた(David D.Burns, M.D., “Feeling Good”。G.Lukianoff and J.Haidt, “The Coddling of the American Mind”経由で知った)。認知行動療法を学べるというSPARKSというゲームをiPhoneにダウンロードしプレイした。ただ“Feeling Good”は700ページもある。鬱状態で読むのはかなり難しい。SPARKSは鬱でも最後までプレイ出来た。役に立つ部分もあったが、殴られて痛いのは痛いと思う自分がおかしいからだ的な論理は、苦しみもがいている私を救ってはくれなかった。“Feeling Good”内で出来る診断によると私は重めの鬱のようだった。専門家のアドバイスを受けるのは有効だと本かゲーム中に書いてあったのを見て「ストレス クリニック」で検索。上位に来たクリニックで光トポグラフィー検査というのを予約した。そこの医師曰く健常な脳の血流と比べ私のそれは双極性障害に近い。明確に鬱病とまでは言えないが、問診の内容も踏まえるとこのパターンは適応障害と診断することが多い。私はTMS (transcranial magnetic stimulation)治療を受けてみたかった。その医師からも勧められた。ただそのクリニックが相場に比べ異常に高い(安いところは一回四、五千円だがそこは二万円。三十回やるのが標準的)ため、もっと安いところを探してそっちに通った。五月末から八月くらいにかけては地獄のつらさだった。生きるか、死ぬかという状況だった。これを書いている今でもトンネルから完全に抜け出してはいない。波がある。でも光はだいぶ見えてきた。確実によくなってきている。TMS (transcranial magnetic stimulation)とカウンセリング(タッピング)がなければ私は休職していた可能性が高い。最近ではアシュワガンダで精神状態が改善している感じがするし、クリニックで出して貰った五苓散という漢方薬で頭痛が和らいでいるし、プロセス・ワークというカウンセリングも有益だと感じている。『つばきファクトリーANNEX〜岸本ゆめの×小野瑞歩×秋山眞緒=Smile♪〜』を私が観たのは、トンネルの真っ只中、真っ暗で何も見えない、人生でも五本の指に入る苦しい時期。イベントを観たから次の日から労働を頑張れたなんていう甘っちょろいもんではない。殺されかけていたので。ストレスはマジで人を殺す。

謎のイベントだった。開催が発表されたのは4月23日(金)の蒲田。キャメリア ファイッ! vol.12の最後。メンバーさんのチーム分け、あとは題名もスクリーンに出ていたかな? 情報としてその時点で出されたのはそれくらいで、日時も、会場も、詳しい内容も分からなかった。蓋を開けてみると、行ってよかった、行けてよかったと思える楽しいイベントだった。横浜のランドマーク・ホール。1回目が16時45分、2回目が18時50分開演。ファンクラブ・イベントは事前に謎であればあるほど楽しい傾向がある。最悪の精神状態と体調(鬱は気分だけでなく身体に症状として出る。精神と身体は繋がっている。精神=脳と考えると身体そのものだ)ではあったが、このイベントに関してはそれにはさほど邪魔されず楽しむことが出来た。イベントに占める小野瑞歩さんの濃度が高い。つばきファクトリー全体のイベントだと八人の中の一人、今日は三人中の一人。小野さんを観るのが私がイベントに足を運ぶ目的なので、トークにしても歌にしても彼女の出番が多い方が満足度が高い。あとはこの三人だからこそ生まれる空気感が新鮮で、面白かった。組み合わせの妙というかね。自分のことを考えてみても、たとえばとある三人で飲むのと、そこにさらに二人加わって五人で飲むのとでは会話の中身も変わるわけじゃないですか。共通の話題も違ってくるわけで。イベントの内容も結構盛りだくさんで。パントマイム、寸劇、箱から紙を引いてのトーク企画。衣装もよかった。制服衣装。眼福。小野さんはピンク。めっちゃ似合っていた。2回目で彼女が言っていたけど、つばきファクトリーだとピンク担当のメンバーが二人いるので(浅倉樹々さんと小野田紗栞さん)あまり着る機会がない。稀少だった。岸本ゆめのさんが、皆さん嬉しいんじゃないですか? と我々に問いかけていた。その通りである。しかもみーたんだけスカートを真面目に短くしていて、大好きになった。本当に可愛かったなみーたんは。特に2回目の公演は、4列(実質3列目)という、フェイス・ガードの着用が義務づけられていない一番前の列を与えられて。間近で彼女をたっぷり観ることが出来て幸せだった。
セーラー服とかブレザーとかを着てました。やっぱりマニアックなお客さんが多くて、正直気持ち悪かった。制服とかが好きな人は、みんな40代、50代くらいの方です。親と同じくらいの年齢ですね。[…]会ったばかりなのに何々ちゃん大好きだよ、みたいなことを本気で言ってくる人もいました。何を考えているの、おじさんて。父親くらいの年齢の知らないおじさんに、真剣に冗談ではなく、大好きだよとか、そういうのは精神的に来ます(中村惇彦、『女子大生風俗嬢』)
寸劇の台本は鈴木啓太が書いたという。岸本さん、小野さん、秋山さんはしきりに鈴木を賞賛していた。鈴木もまんざらでもなさそうだった。たしかに我々はところどころで笑ったが、それは彼女たちが演じるから可愛くて思わず相好を崩したのであって、鈴木がそれを自分の手柄のように思わないでほしい。アップフロントさんはよくも悪くも既存の人員や取引先を大事にする社風なのかもしれない。最高のものを作るよりも今いる人たちに仕事を回してメシを食わせるのを優先している。tiny tinyの司会者の人選にしても、手持ち無沙汰な社員に仕事を与えている感が強い。アップフロントさんがファンクラブ・イベントの寸劇の台本を鈴木に書かせているのにはイヤな予感がする。司会者としての出番が減ったとしても、自己顕示欲の強い出たがり作家として末永くHello! Projectに関わりつづけるのではないか。

三人でのイベントだけあってミニ・コンサートではそれぞれがソロ曲を拾う。小野さんは『夏ダカラ』。最後に三人で合流してからの『表面張力〜Surface Tension〜』、『元気者で行こう!』の流れが熱かった。最後の「よし!」をみーたんが担当していた。『元気者で行こう!』を改めて聴いて思ったが、この曲を聴いて励まされて元気を出せる人はちょっと悩んでいる程度の健康な人。鬱病患者ではない。大体、リアルな鬱に苦しんでいる人には、この曲で連呼される「がんばれー!」は禁句だとされている。

トーク企画には期待していなかったけど意外に面白かった。iPhoneの断片的な覚書を見ても話の流れが甦ってこない。何せ4ヶ月以上前なので。だからここの記録も断片的にせざるを得ないが、残しておく。1回目。箱からお題のようなものを引くのだが、小野さんが「イッちゃうよ」と言ってから引いていて、私は少しドキッとした。何かこう、引いた紙に書いてある嘘をつき通すみたいな企画だった気がする。私、実は双子なんです、と言い張る小野さん。二卵性……一卵性双生児、と言ったら秋山さんが「ソーセージ!」と大受けしていた。そういう言葉があるんだよと指摘され、本当に恥ずかしそうだった。これあんまり(SNS等で)言わないでくださいねと我々に懇願していた。毎日仕事だと疲れるので、双子が入れ替わっている。二人の瑞歩はみずいー、みずにーと呼び合っている。岸本さんは、世界一の大豪邸に住んでいる。二万平米。秋山さんは、未来から来た4,000年後。こんにちは(という言葉)も変わっている。日本語は変わっている。こんにちはにあたる言葉はアザマラ(アズマラ? マラが入っていたのは間違いない)。4,000年後の言葉で自己紹介(イントネイションがちょっとフランス語っぽかった)。流行っているのは靴飛ばし。でも靴が進化し、二万ヘイバー? 二万平米飛ぶ。2回目。秋山さんはギネス記録を保持している。何の記録かと問われ、タマネギを切るうまさと答える。小野さんは英語が喋れる。アメリカにいた(アメリカ出身?)。どの州? と聞かれ答えられない。一つくらいあるやろと突っ込む岸本さん。ロサンゼルス、ジャージージュー。ジャージージューがツボに入る秋山さん、メモっとくと言って笑う。岸本さんは占いができる。修行をした。どこで? アフ……アフガニスタン。小野さんに対して、あなたはチャプチェが好きですよね。秋山さんに対して、あなたは身内の恋人と親しく出来るタイプ。お兄さんの彼女とか。と、実話ネタをぶっ込んでいく。私たちつばきファクトリーっていうんですけど……と集団の将来を占って貰おうとする小野さんと秋山さん。売れるね、と即答する岸本さん。私はみなとみらいの母と呼ばれている、と会場の地域名を入れてくる岸本さんは流石。

私たちは今日のために準備してきた。皆さんも今日のために仕事や学校を頑張ってきてくれていたら嬉しい。そうやってお互いが今日のために頑張ってきて、この空間を作っている。皆さんと会ったり皆さんの前で歌ったりする機会は(コロナ禍で)限定されているが、私たちは皆さんの前で歌って踊るのが一番好き、的なことを最後のコメントで岸本さんがおっしゃっていた。小野さんと秋山さんのコメントは覚書を残していないので記すことは出来ないが、岸本さんと同じように真摯な思いが伝わってきたのは覚えている。

2021年10月30日土曜日

CAMELLIA〜日本武道館スッペシャル〜 (2021-10-18)

バニラの求人見たい 見たい 見たい
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目の前の交差点を女性向け高収入求人サイトの広告宣伝車(バニラ・カーと言うらしい)が左折する。やけに耳に残る替え歌。原曲の名前は知らない。フットボール日本代表の応援歌でも採用されたことがある。
モリシのゴールが見たい 見たい 見たい
モリシのゴールが見たい ラララーラーラララー
かつてセレッソ大阪で活躍し、今は同クラブの代表を務める森島寛晃さん。彼が現役の頃は、まだ俺たちの日本代表と思えた。今の日本代表は、俺たちではない。彼らだ。この感覚は多くのフットボール・ファンが共有しているようである。海外でプレイする選手が殆どいなかった頃は日本の選手が世界にどれだけ通用するかを計る物差しが代表の試合しかなかった。普段Jリーグで観ている選手が代表の試合で名を売って、海外に移籍する。そういう夢があった。おらが村的な田舎根性に支えられた一体感。今では代表に選出される選手の殆どが海外のクラブでプレイしている。

バニラ・カーの動画を撮り始めたところで後ろから誰かに声をかけられた。振り返ると森川さん(仮名)。名古屋から新幹線で東上された。彼が秋葉原の店舗型リフレにつけているいいねがTwitterのタイムラインに毎日のように流れてくる。今日もコンサート前にお楽しみになるのかと思っていたが、品川経由で池袋に直行してくれた。タカセさんに入店。一度入ってみたかった。喫茶室、グリル、コーヒー・ラウンジ、コーヒー・サロンとそれぞれ店が分かれているらしい。グリルがレストランなのは分かるとしてそれ以外の三つの違いが分からない。2階の喫茶室へ。森川さんはロール・ケーキとレーコー。私は果物とビスケットのケーキとホット・コーヒー。各820円。来年の上半期には新沼希空さんと谷本安美さんは退団するのではないかという予想で見解が一致する。まあそう言いつつ、我々が支持するメンバーさん(森川さん:yumeちゃん、私:みずほちゃん)もいつどうなるか分からない。岸本ゆめのさんが昨晩だったかな、Instagramのストーリーで、今のメンバーで武道館に立つのは最後かもしれないと書いていた。

16時ちょい前にサテンを出る。タカセク? と店名に反応していた森川さんがレシートを記念に持ち帰る。入場前にアルコールを一杯入れておこうということで、九段下駅前のターリー屋さんに入る。ココは決してリアルなインド料理店ではない。アパ社長カレーとのコラボ・メニューを打ち出す見境のなさ。だが、武道館公演の前後にお手頃な価格でサクッと一、二杯やる店として価値がある。この区域はあんまり店がない。森川さんは生ビール350円を二杯。私は私はマンゴー・ビールとカシス・ビール各500円を一杯ずつ。それぞれがターリー屋コンボ。あとフライド・ポテトをシェアした。最近で注目のMCはいますかと聞く森川さんにIDKさん(Twitterに顔を見せなくなった某支配層のような芸名)の“USEE4YOURSELF”を勧めた。ラップではないがCola Boyyさんの“PROSTHETIC BOOMBOX”がとてもよかった。この場では言いそびれたがラップでいうとLittle Simzさんの“Sometimes I Might Be Introvert”も非常によい。もっとも私は今のヒップホップを熱心に追いかけてはいない。評価の高い新譜をつまみ食いする程度。あとは過去のクラシックをたまに聴き直すくらい。

いい感じにアルコールが回る。ターリー屋さんを出る。武道館に向かう。あの坂を上がる。人混み、サイリウム商人。アンオフィシャル・フォトグラフ・ディーラーさんの露店で立ち止まる。8枚1,000円なんですね、と驚いている様子の森川さん。名古屋では最近4枚500円になっているらしい。彼は小片リサさんの写真(B55)を買おうとしたが売り切れていたとのこと。私はみずほちゃんの34番を購入。Sapphire & Rubyのときの。その先を歩くとダフ屋。コロナ騒ぎの前の感覚を思い出してきた。これだよ、これ。ちょっとお酒を入れてさ。人混みの中、アンオフィとかダフ屋を通り抜けて。会場前に多数のオタクさんがたむろしていて。どこかうわついた雰囲気で。こういうのも含めてのコンサートなんだよ。喫煙所があったはずの区域に歩を進める。八木栞さんと豫風瑠乃さんに注目なさっている紳士と合流。もう喫煙所ではなくなったようだが、皆さんその辺で勝手にスモークしている。三人でしばし歓談。森川さんは黄色の岸本Tシャツ、私はエメラルド・グリーン(正確にはミント色)の小野(瑞)Tシャツを羽織る。

ヴァイブスは完全に仕上がった。気分は完全にコロナ・バカ騒ぎ前。これからのコンサートで声が出せないのが信じられない。アルコールを身体に入れたが、さっき放尿したばかりなので、そっちの心配もなし。私の席は北スタンド一階。対面の南スタンド二階にはHello! Projectメンバーさんが集まっている。最前にはこっちから見て左から譜久村聖さん、生田衣梨奈さん、小田さくらさん。研修生ユニットさん、BEYOOOOONDSさんの前座。北スタンドからだと彼女たちの背中を見る時間が長い。つばきファクトリーさんの本番(そっちの意味ではない)でもそうなるのだろう。ポジティヴに考えれば、お尻を見る機会が増えるということだ。(ちなみに機会という意味でチャンスという言葉を使う人が多いが、日本語でチャンスというときのチャンスは殆どの場合chanceではなくopportunityである。)

つばきファクトリーさんが姿を現し数分経ったところで、急激な尿意が私を襲った。入場直前にオシッコしたばかりなのに、なぜなんだ。何であのときに一気に出てくれなかったんだ。時間差で来るな。あのクソみたいな規制で、飲食店が久しくお酒の提供をしていなかった。私はそもそもそんなに飲む方ではないとはいえ、アルコールがほぼ入ってこない状態に身体が慣れていたのだろう。気持ちよくなるくらいのアルコール量が急に来て、うまく対応出来なかったのだろう。あるいは、常態的なアルコール摂取をしていたとしても同じ結果になっていたかもしれない。分からない。ともかく尿意でコンサートどころではなくなった。おそらくいいコンサートだったし、大成功と言えるつばきファクトリーさん初の武道館公演だったのだろう。尿意で判断が出来なかった。

抜け出して化粧室に駆け込むことはもちろん考えた。だが、タイミングを見つけられなかった。トークが始まって、どうせ大したことを言わないだろう、今しかないと思い腰を浮かせかけたが、いきなりみずほちゃんのターンだったので席を立つわけにはいかなかった。しばらく映像でも流れてメンバーさんが着替える時間でもあればその間に放尿出来ただろうが、そういう時間が一切なかった。常にメンバーさんの誰かしらが出ずっぱりだったし、トークもコンパクトで、ほぼずっと曲をパフォームしている感じだった。何とかしてオシッコをしたい、コンサートを見逃したくない、通路に出るには右の二人の前を通らないといけない、といった考えがグルグルとせめぎ合う。結局、尿意に終始支配されたまま、私にとってのつばきファクトリーさん日本武道館公演は幕を閉じた。

二着目の衣装が素晴らしかった。メンバーさん一人一人の体型を最大限に生かすためによく考えてデザインされている感じがした。メンバーさん全員が、この衣装はこのメンバーさんしか似合わないと思える衣装を着ていた。この点において私はコンサートを制作する側のつばきファクトリーさんへの愛を感じた。平時の武道館コンサートに比べて予算が限られているのは明らかだった。リハーサルのように簡素な演出と照明。ステージは剥き出しの台。映像効果は皆無。もちろん炎が出るとかの特殊効果もなし。最大で50%までしか客を入れられないというクソ規制は大きな打撃なのだろう。そんな中、二着目の衣装には制約の中でも何とかしてこの特別な日に花を添えようという意地を感じた。谷本安美さんがピタピタのロング・パンツで見せるお尻が物凄かった。私が双眼鏡から観ていた彼女の後ろ姿はそのままイメビとして通用する。岸本ゆめのさんが、この公演のためにジムに通っていた、この日のために私たちは体型を整えてきた、今日は私たちのスタイルも目で楽しんでくださいという旨のことを言っていた。お言葉に甘えさせてもらった。谷本さんについては数時間前のタカセで近々辞めるだろうと話していたが、あの唯一無二の身体を見せられてからは、あんみぃやめないで……という思いが強くなった。

大会場のコンサートでありがちな、ダンスを放棄してメンバーさんが各所に散らばってオイオイを煽る感じで拳を上下させて走り回る感じが殆どなかった。元のフォーメーションに忠実に曲をパフォームしていた。私はその方が好きだ。しかし北スタンドからでは反対側の客席に向けて行われているコンサートを後ろから観ているという感覚が何割か残り続け、消化不良感が残ったのは否めない。もし私の席が反対側だったらだいぶ違う体験を得ていただろう。早くBlu-rayで観たい。でも私は北スタンドから谷本安美さんのイメビ級絶景を目に焼き付けることが出来た。コレはコレでよし。『恋のUFOキャッチャー』のお尻を振る箇所が正面(南スタンド)向けだったのが歯痒かった。

私は今日のコンサートに臨むにあたり、みずほちゃんがつばきファクトリーさんに加入した当時(5年前)の画像やブログを少し振り返っていた。あどけなさが残る当時の写真。すっかり大人になった今までこうやって活動を続けていてくれている。Hello! Projectの、つばきファクトリーの、アイドルの小野瑞歩さんでいてくれている。感謝の気持ちがわいてきた。私がこの5年間なんとか生きて来られたのも何割かはみずほちゃんのおかげだ。もし彼女が日本武道館公演の前日や当日の夜に彼氏サンとエッチしていたとしても、私は彼女のことを悪く言うことは出来ない。

終演後、奴らは人を密集させないために規制退場をさせておきながら、駅に向かう道では我々をロープで囲って密集を作り出していた。アルバイトだか派遣だかの青年が、ロープをくぐらないでくださいと連呼していた。ロープの先にアンオフィシャル・フォトグラフ露店がある。そこに行きたかった。少し歩いてから私はロープを跨がって(くぐるなって言ってたからちゃんと従ったよ)踵を返した。世の中は本当に馬鹿ばっか。本を読まない、労働の外で何も物事を考えないような人たちが大半。みんながこうしているから自分もそうする。みんながやっているから正しい。誰かがこうしろって言ってきたから正しい。自分で決めて自分で結果を背負う覚悟もない。だからこのコロナ茶番でも国全体があの分科会とかいうキモ集団に牛耳られる。

アンオフィシャル・フォトグラフ露店前。森川さん、八木さんと豫風さんを観に来た紳士に加え、譜久村聖さん支持者(二日前は長崎、その前の週末は名古屋にハロ・コンを観に行って、今日も当たり前のように日本武道館に顔を出すキチガイじゃなかったナイス・ガイ)、初対面のローティーン愛好家と合流。ローティーン愛好家は最近撮ったという宮崎由加さんとのチェキを私に見せながら、ゆかにゃ老けましたよね。もう27歳ですから。27歳はババアですよ。Juice=Juice全員ババアですね、と笑いながら言った。コンビニで飲み物を調達し、コイン・パーキング・エリアで輪になって歓談。九段下サイファー。

譜久村聖さん支持者(以下「譜」):小野瑞歩さんスキルフルですよね
森川さん:熊井友梨奈さんを彷彿とさせる低音域が
私:そうすね。低音がね
譜:俺、シコッてるんで
私:はい?
譜:小野瑞歩さんでシコッてるんで
誇張なしでこの後、二十秒くらいは沈黙が続いた。沈黙が何周もするという感覚を初めて味わった。


併せて読みたい:10/18 日本武道館

2021年10月23日土曜日

Sapphire & Ruby (2021-07-24)

ニック・ストックはたしかコロナ騒ぎの前までは朝7時半から営業していた。今は9時にならないと開かない。朝食を食い始める時間として9時はちょっと遅い。2時間半もすりゃ昼食の時間帯が始まる。営業開始を7時半から9時に遅らせることがコロナ感染者数の抑制にどうつながるのかは不明だが、基本的にみんなバカだし疲れていて気力もないし事を荒立てることをよしとしない国民性なので、いちいち反抗しない。この度で三連泊するウェルビー名駅でゆっくりと朝風呂に浸かる。ニック・ストックで今日一人目の客になる。ニック・バーガーとホット・コーヒー。

名古屋駅前の地下街で昼食の店を物色。海転寿司 丸忠という回転寿司の店に入る。どうせ安いだろうとタカを括って気にせず食っていたら3,828円。精神的ダメージを負うが平静を装い、何事もなかったかのように支払う。700円のうなぎがおいしかった。820円の皿もあった。

金山駅へ。譜久村聖さん支持者の紳士、横山玲奈さんから浅倉樹々さんに推し変しつつある紳士と合流。ブラジル・コーヒーというサテンに入る。ここで昼メシを食うという選択肢もあったが、せっかく名古屋まで来たのだからおいしいものを食べておきたかった。実際、譜久村聖さん支持者が頼んだ定食は見るからにいかにもサテンのメシという感じだった。悪くはないが、私が求めているのはそれではない。

金山駅から地下鉄で数分間。どの駅で降りたのか定かではない。西高蔵駅か日比野駅のどっちか。名古屋国際会議場センチュリー・ホール。今回のハロ・コンはSapphire & Rubyと銘打って、団体を二つに分けての巡業。小野瑞歩さんが属するのはチームSapphire。今日は昼と夜の両方がチームSapphire。このツアーで私が入ったのはこの二公演のみ。

二公演を通しての雑感:
・小野瑞歩さんが、あっと驚くほど可愛かった。特に二つ目の衣装で三人シャッフルで出てきたとき。双眼鏡で観ていてデコルテ、背中。健康的な焼け方。肉の付き方。最後の曲『花が咲く 太陽浴びて』(モーニング娘。'18)で背中をこちらに向けて両腕を頭の上に伸ばして止まるとき、肩を出した衣装から覗く官能的な肌を堪能できた。何回観ても引きつけられる笑顔。彼女を支持すると決めたから義務として追いかけているという感覚は皆無。一から新たに彼女を再発見したような衝撃が、私の中に走った。『愛は今 愛を求めてる』のフックのイェー! とかシャー! 的なラインを歌う彼女がやたらと愛くるしかった。
・羽賀朱音さんがしばらくお見かけしないうちに見違えるほどキレイになられていた。誰かを判別するのに時間を要した。あれは誰だ? 岸本ゆめのさん? いや岸本さんはこの公演にはいないはず。いるはずないけど、和田彩花さん(今の姿ではなく現役時代の)? 衣装がモーニング娘。さんのメンバーさんと一緒。ということは……えっ、羽賀さん?? という感じだった。
・植村あかりさんの一着目衣装で、普通に踊っているだけでもチラチラと中のスコートが覗いていた。『表面張力〜Surface Tension〜』では終盤のキックでモロに見せてくれた。
・とにもかくにも衣装が最高。これがHello! Project。そうだよ、こうじゃなくっちゃ。セット・リストなんかより布の少なさが遙かに重要。つばきファクトリーさんとBEYOOOOONDSさんの二着目が素晴らしかった。特にBEYOOOOONDSさんのデニム生地衣装。岡村美波さんの短パンはそこまでキワキワな短さでもないのに下から肉が若干はみ出ていた。お辞儀をする度にお胸の谷間を見せてくれた。前田こころさんはしゃがんだときにほぼお尻の始まりに近い位置まで脚を見せてくれた。西田汐里さんはこれでもかとワキを見せまくってくれた。この衣装で身体の線が最も際だっていたのは里吉うたのさん。ダンス部でも彼女は目を引いた。
・横山玲奈さんが“Go Waist”で床に座って両ふとももを上げて前後に動かす運動をしていた。凄かった。イメビの世界だった。然るべきアングルから高画質ヴィデオ・カメラでねっとりと舐め回したかった。
・“Fiesta! Fiesta!”における小野田紗栞さんのソロ・ダンスが、目を疑う出来だった。笑ってしまうほど酷かった。キレが皆無で、何かの冗談かと思うほどだった。彼女にダンスが不得意という印象はなかったので不思議だった。
・昼公演と夜公演の間の限られた時間で、先述のお二人に加え、金澤朋子さん支持者、佐々木莉佳子さん支持者、個人事業主の6人で鳥貴族に入った。私にとっては初めての鳥貴族だった。あの値段であれが出てくるのはなかなかよい。

公演後。佐々木莉佳子さん支持者の紳士に佐々木さんは肌の露出度が低かったですねと言うと、よく見たら衣装が半透明で脚が透けていたしふとももとお尻の境目まで見えていた、と満足げだった。(Instagramで彼女に)DMするんですか、見えてたよって。と私が聞いたら、しないです。と彼は即答した。

東京五輪の開催に合わせた祝日配置で、7月22日(木)〜7月25日(日)が四連休だった。私は初日から名古屋に来ていた。精神的に限界に近かった。この時期は抑鬱症状が毎日きつく、そのままずっと労働生活を耐えきるのは難しい状況だった。今回の旅で毎日誰かしらと会って、コーヒーを飲んだり、メシを食ったり、お酒を飲んだり、コンサートを観たりと楽しい時間を過ごして、だいぶリフレッシュ出来た。一命を取り留めたと言っても大袈裟ではない。

ジェイミー (2021-08-14)

罹ったこともねえ癖によくもまあ一年半以上コロナコロナ言い続けられるよな。世の中のほぼ全員がコロナに強い関心を持っている。この状態が異常。いくら対立しようが同じ土俵。頭をコントロールされている。感染者数、感染者数って言うけどその感染者たちはその後どうなったんですかっていう話。みんな死んだの? 感染したことがないつもりのあなただって検査を受けていたら鼻腔や唾液からヴァイラスが検出された可能性はある。メディアが遊び半分で蔓延させたコロナ恐怖症がなければ、風邪をひいたで殆どの人は終わっていた。少なくとも日本では。コンサートやサッカーの試合で好きに声が出せていた。アイドルさんの握手会も続いていた。我々は物事を自分で体験せずに他人の作った文字や映像で知ったつもりになることに慣れすぎている。インターネットが便利になり過ぎて、遠く離れた異国で起きていることと身の回りで起きていることの区別がつかなくなっている。ことコロナに関しては、それらの弊害が社会や文化に甚大な被害をもたらしている。

せめて感染してからモノを言え。私のように。そう、私は唾液PCR検査でコヴィッド・ナインティーンの陽性認定を受けた。自分の身体でこのヴァイラスと付き合い、どういうものかを感じた。当事者として。インターネットで聞きかじった情報を元に稲川淳二さんの怪談のようにおどろおどろしく後遺症を語る奴らとは違う。この期に及んでコロナを素朴に恐れ続けるのは精神の病気だろう。煽りでも何でもなく信頼できる心療内科に通って適切な治療を受ければ楽になれるかもしれない。Twitterは精神病との相性がよすぎる。ストリートでは誰しもがマスクを着けているが雰囲気はTwitterより大らかだ。いくら従順な馬鹿でもみんな肌感覚で何となくは気付いている。コロナが大したものではないって。生きていく上では生活実感、肌感覚ってのが重要なんだ。

池袋の東急ハンズ(10月いっぱいで閉店する)の近くにあるブリリア・ホールで、ミュージカル『ジェイミー』を観劇した。後から振り返ると私はこのとき既にコロナ感染者だった可能性が高い。体調はまあ、ちょっと風邪っぽいかなというくらい。やや身体が火照るなという感覚はあったが、正確に体温が何度だったかは分からない。私には体温を測るという習慣がないため、自分の平熱も知らない。興味もない。体温が何度だろうと労働の責務からは免除されない。休んだら後からその分を取り戻さないといけない。劇場に入るときの検温では引っかからなかった。近所のクリニックで唾液PCR検査を受けたのが8月16日(月)。結果を私が知らされたのは8月18日(水)。クリニックで症状を説明したときでさえ、コロナの可能性は低いと医師は言っていた。8月14日(土)にコロナ感染を自覚する術はなかった。何せ、風邪っぽいという以外の何でもなかったからだ。コロナはただの風邪という標語は「ただの」の部分でバイアスがかかってしまうが、実際に風邪なのだろう。私はそれを自分の身体で理解した。

もちろん高齢者を中心にコロナ感染が生命にかかわる場合もあるのだろう。でも彼らの延命のためにそれ以外のすべての人々が我慢を強いられ、失業や収入源に苦しみ、鬱になり、自殺する社会はディストピアだ。糖尿病が恐いからといって世の中のありとあらゆる飲食店に糖尿病患者専用のメニューだけ提供させるようなモン。国全体が入院病棟のようになって、行動や経済活動を細かく管理される。それが日本という国の死に方なのかもしれない。

コロナが落ち着くなんてことはなくて、あるとすればコロナに対する人々の反応が落ち着くということしかあり得ない。知らないだけでコロナと同等もしくはそれ以上に健康や生命を脅かす要因はたくさんあるし、どれにどれだけ注意を払うかというだけの話。副島隆彦さんが『日本は戦争に連れてゆかれる 狂人日記2020』で書いていたように、コロナをいつまでも恐れてマスクだの人との距離だの県外移動だのワクチンだのを神経質に気にし続ける人たちは、震災から何年経っても福島の農作物が、放射線が、なぞと強迫的に騒ぎ立てる人たちと同じ分類のヤバい人たちとしていずれ無視されることになる。その日が早く来てほしい。

この日は私にとって誕生日の二日前だった。『ジェイミー』のファンクラブ先行受付が始まったとき、誕生日の付近に入りたいなと思ってこの日に申し込んだ。まあ、歳をとるってことはだいぶ前からめでたくはなくなっているし、特に祝いたいわけでもないのだが、どうせなら気分が高揚するような予定を入れておきたい。そういう気持ちがあった。

田村芽実さんがソロ女優として出演される舞台を、私は一度ずつしか観ていない。チケットは安くない。一万数千円する。Hello! Projectと横浜F・マリノスの出費もある。それに舞台において田村さんはあくまで登場人物の一人。ずっと彼女だけを観られるわけではない。だから一回だけに抑えている。チケットが高額なだけあってどの劇も出演者、衣装、演出等々すべてに抜かりがなく一流。いいものを観られてよかったという満足感を得て、それで完結していた。経済的な理由で我慢しているというよりは、一回で満足していた。今回の『ジェイミー』に関してはちょっと違った。翌日も心地の良い余韻が残った。観に来てよかった、もう一回観たい、と心から思った。田村さんが演じたのは主人公の親友という比較的いい役ではあったが、それよりも劇全体として、とても気に入った。結局、二度目の観劇は実現しなかったが、もしBlu-rayが出るなら買いたいなとは思う。

物語としては、高校のクラスで、これから進路を決めないといけない生徒たち。君たちはスターにはなれない、現実的な職を選べと言う教師。ドラック・クイーンになるという夢を密かに抱く主人公。教師、同級生、社会の多数派による圧力やいじめに傷つきながらも、なりたい自分になるためにもがいていく。という感じ。登場人物の一人一人が本当に魅力的だった。もちろん役の重要度によって描かれ方に濃淡はあるのだが、基本的に全員が濃い。それぞれに人生があって、人間味があった。どの登場人物にも、どこかしら入り込める要素があるというか。主人公の青年がチャーミングで、これ以上ないほどの適役だった。徐々にドラック・クイーンとして自信をつけていき、クラスの中でも立ち振る舞いが変わっていく、その様を表現する演技が見事だった。観ているこっちも応援したくなる感じ。私はドラック・クイーンのことをHubert Selby Jr.さんの小説などで文字としては認識していたけど、この劇で映像として認識出来たのは今後の読書に役立つはず。主人公と対を成す存在として、事ある毎に主人公をなじるいじめっ子の存在も欠かせなかった。横浜F・マリノスの仲川輝人さんに似た、実際に不良経験がありそうな紳士。2019年明治安田生命J1リーグ第33節の川崎フロンターレ戦で長谷川竜也さんに後ろから削られてガンを飛ばして詰め寄る仲川さんのような感じの威圧感と不機嫌さを常に放っていた。田村芽実さんは理解者として主人公に寄り添う内気な処女。(イスラム系の役のため肌の露出がほとんどなかったのは遺憾だが、今回に関してはミュージカル自体の魅力がそれを上回っていた。)

私は観劇前に本家米国のサウンドトラックを何度か聴いていた。今は便利なものでSpotifyに大体ある。劇中、どこかで聴いたことのある曲だな、というのがあって、咄嗟に思い出せなかったが、サウンドトラックに収録されている曲だった。音楽がいいというのも私が『ジェイミー』好きになった理由の一つだ。

学校という閉鎖された空間に特有のヒリヒリした人間関係やクラス内階級が痛いほど伝わってきたが、笑える場面も多く、とにかく全員のキャラクターが濃く、全体としてはポジティブで、爽やかで、楽しいミュージカルだった。いわゆるdiversityとかinclusionの話だと私は感じた(もっと広義にはsocial justice)。ただそのinclusionが、結局は権威(先生)に認められる形でしか達成できないというのに、私としては何となく後味の悪さを覚えた。(当初はドラック・クイーンとして新しい自分になった主人公がその仮装で学校のパーティに参加することを教師に拒絶されるが、最終的には教師が折れて参加を認められる。)多文化主義にしてもそうだが、いわゆる現代でリベラルという立場を取る人たちの目指すところは個人の自由ではない。マイノリティとされるさまざまな集団的属性を定義し、彼らへの資源配分を公共政策に反映させることだ。そのためには上から「認めて」「配分する」権威の存在が欠かせない。

2021年10月2日土曜日

つばきファクトリー 小野瑞歩バースデーイベント2021 (2021-09-29)

――ご家族の来日が決まり、奥さんや生まれたばかりの娘さんとも会えることになりました。一方、他のクラブには家族と一緒にいられないことに耐えられず、退団してしまう選手もいます。レオ選手はなぜ我慢して戦い続けられたのでしょうか?

 家族と一緒にいられなかったことで、正直つらい時期もありましたね。でも、またJリーグに戻ってきて、J1でプレーするのが僕の夢でした。以前の自分と今の自分がまったく違うことをJリーグのファンに見せたかったんです。そして、生まれてきた娘の未来のためにも僕は辛抱強くならなければならない、と自分を奮い立たせて、つらい時期を我慢しました。

――奥さんと娘さんはもう日本に到着しましたか?

 今はもう来日していて、隔離中です。あと1週間ちょっとで会うことができます。

――待ち遠しいですね。

 そうですね。早く会いたいです! もうつらい時期は過ぎ去りました。家族が日本に来られただけで、本当にありがたいなと思います。
筋骨隆々のフットボーラーでさえ、愛する妻や子供と数ヶ月会えないだけで精神の安定を保つのが難しくなる。運動が鬱の治療に効果的だと医者やトレーナーは言う。それなら運動を職業とする人々の精神的な不調はどう説明するのか? 彼らはもっと運動をすれば鬱や不安に苛まれなくなっていたのか? レオ・セアラさんの筋肉を見てみろよ。知らない人は検索してみてほしい。Jリーガーの中でも際だつ体躯。ストレスをレオ・セアラさんのように乗り越えられず日本でのプレイ継続を断念した選手もいる。筋トレさえすれば精神の問題と無縁でいられるなんていう無邪気なものではないことが分かる。ドイツ代表にまで上り詰めたゴール・キーパーのロベルト・エンケさんは2度の鬱に苛まれ、32歳で電車に飛び込み自ら命を絶った(著:ロナルド・レング、訳:木村浩嗣『うつ病とサッカー』)。サンフレッチェ広島さんで活躍した森崎兄弟も鬱に苦しんでいた(森崎和幸、森崎浩司、『うつ白 そんな自分も好きになる』)。

家族に会えない環境での生活に耐えられないフットボーラーの話を読むと、私の頭にはこういった疑問が頭によぎる:会えない以前に、そもそも愛するパートナーや子供がいない我々の立場はどうなる? 彼らが耐えられないその状況に、我々は常に置かれているのだが? ただ慣れているだけで、我々は慢性的に精神を病んでいるのではないだろうか? 少なくとも私には当てはまっているように思える。心の溝を、趣味を加速させることで誤魔化している。好きなアイドルさん、フットボール・クラブ、音楽家といった人々の活動への没入が、いつしか自分の人生から目を背ける手段になっている。同じコンサートに何回も入る。ほぼすべてのホーム試合を現地に観に行く。より多くの、より強い刺激と癒しを求め続ける。たとえば食事にしたって、妻子がいたならたまに家族でバーミヤンにでも行けば満足出来るのだろう。中国語の飛び交う池袋チャイナ・タウンの店に通って変に舌を肥えさせる必要などない。いつまで持ち堪えられるのか、分からなくなってきた。いつ死んでもおかしくない段階に、私の人生は入りつつある。

ランドマーク・ホールの10列(1回目も2回目も同じ列だった)から双眼鏡を使いながらおのみずchanを粘着質に追いかけていると、死にたいという考えが少しだけ私の頭に浮かんできた。正確には、毎日こうやって好きなものを観てヘラヘラして過ごしたい、もしくは死にたい。サブ・カルチャーの世界の人は四十で鬱になると誰かが言っているのを聞いたことがある。ナインティナインの岡村隆史さんが体調を崩した(鬱病と言われている)のも四十歳の頃。独身だった。人生の軸を家族に移さず他の何かで幸せを得ていたつもりだったのが誤魔化しが効かなくなってくる、節目の年齢なのかもしれない。もちろんすべての人間をひとまとめにして語ることは出来ない。Hello! Projectの現場には真っ当な人生のレールに乗り損ねた、行き遅れの成れの果てのような50代、60代男性がたくさんいる。彼らは彼らで幸せそうである。もちろん、何歳だからこうなっていなくてはいけないという考え方が間違っているのはTodd Roseさんが“The End of Average”(邦訳:『平均思考は捨てなさい』)で論じた通りだ。しかし一方で、そういった規範が現に社会に存在し、同調圧力がある以上、我々がそれに大きな影響を受けるのは避けられない。

気圧のせいなのかもしれない。先週、先々週と私は調子がよかった。二週間連続で調子がよいと思えたのはここ4ヶ月で初めてだった。今週は気分が落ち込みがちだった。これを書いているのは10月2日(土)なのだが、特に昨日は本当にきつかった。頭痛が酷かった。メンタル・クリニックで先生にそう伝えると、今週は気圧の変化が激しく、そのせいで調子の悪い人が多かった。昨日は台風が凄かったから(不調も不思議ではない)と言っていた。1回目が16時45分開演、2回目が18時50分開演。午後休を取って横浜に向かった。よく分からなかったのが、労働から解放され好きなことをやっているはずの午後の方が胸が苦しく頭が重かったことだ。

今日は平日ですよね? 火曜日? 今5時くらいですよね。違ったかな? 皆さん絶対、仕事をしてるでしょうに……。(笑いが起きる)何で笑うんですか?(これはきっと、まともに働いていない奴も一定数はいるだろうという暗黙の了解があるからだ。何らかの恵まれた境遇にいて働かなくても食っていけている。そうじゃないと説明がつかない人々がHello! Projectの現場にはいる。)私のためにきっと半休を取ったり、休んだり、他の手段を使ったりしてくださっている。それは普通のことではない。と、みずほchanは1回目の公演で噛みしめるように感謝を表していた。2回目でも、皆さん、仕事は終わらせてきたんですか? と我々に問いかけていた。本当に優しくていい子に育っているなと思う一方、企業勤めの彼氏がいるのではないかと勘ぐってしまう。Hello! Projectメンバーさんの殆どが異性交遊を文春にスッパ抜かれないのは取材費用に見合うニューズ価値がないだけで、普通に考えて多くのメンバーさんに彼氏はいる。つばきファクトリーさんの全員が我々に優しいのは、全員に彼氏がいて心に余裕があるからだ(※ここでいう全員に新メンバーさんは含めていない)。

アイドルとファンの関係は金銭を介さないと成り立たない。金の切れ目が縁の切れ目。これは産業、事業、商売。「需要 供給 満たす欲求」(漢、『需要と供給 feat. YOUTH』)。アイドルという存在は虚構、幻想。アイドルさんに(少なくとも第一線からの)事実上の定年があるのは労働条件の問題ではない。少女性に期限があるからだ。いま好きな子が活動から足を洗ったら、我々は何事もなかったかのように次の若い子に鞍替えする。(最近思う。若さの切り売りであり、歳をとって続けるのが厳しいという点で、アイドルと不良系のラッパーは似ている。)

アイドル産業とは愛の共産主義である。アイドルさんの愛はみんなで分かち合うものであって、私有してはいけない。その原則に反するから、彼氏の存在を公にすることはアイドル生命の終わりを意味する。労働環境とか人権の話ではない。疑似恋愛を商売にするのはいかがなものか的なことを訳知り顔で論評する奴らは、愛の資本主義で戦えない人たちへの救済策を提示してみろ。自分を磨いて婚活をしろなんてのは答えにならない。それこそが資本主義の論理だからだ。資本主義が必然的に生み出す敗者をどうやって救うのか。それが問題だ。仮にアイドル産業を規制したとして、他の産業が形や名前を変えてアイドル産業化するだけだ。私がこのブログで何度も書いてきたように愛とセックスへの『闘争領域の拡大』(ミシェル・ウエルベックさん)への日本からの回答がアイドル産業なんだ。

我々がアイドルに会いに(観に)行くのをやめられないのは、金銭を介さないと得られない関係とはいえ、そこにはたしかに愛があるからだ。少なくとも、この日のランドマーク・ホールには紛れもなく、それがあった。私が普段の人生では感じる機会が殆どない、それが存在した。小野瑞歩chanの21歳のお誕生日を祝うため、9月29日(水)、それぞれの異なる事情を抱えながらも横浜に集結した我々の愛。おみずchanがステージから我々に恵んでくださる愛。お金を払っている消費者と、職務を遂行している労働者というだけの関係ではない。もちろんファンクラブの年会費を払い、チケット代を払っていなければ我々は席を与えてもらえなかった。でも、それだけじゃないんだよな。
愛……。愛というのは、<滅多にない>ものですよ。知らなかったんですか? だれもそう教えてくれなかった?
(ミシェル・ウエルベック、『地図と領土』)
15歳の頃から観ていた小野瑞歩さんが21歳のお誕生日に『私がオバさんになっても』を歌う場に居合わせたのは私にとって感慨深く、時間の流れを感じた。この曲は二十歳を超えてベテランになってきたメンバーさんがソロ・イベントで歌うと鳴りが違う。私より若い子がたくさん入ってきたけど、これからも私のことを応援してくれる? とファンに聞いているような、そういう含みがある(と私は勝手に思っている)。

鈴木啓太がいないのは本当によかった。イベントの思い出がみずほchanだけになるから。みずほchanはグダグダになってしまったと一人でのイベント進行に反省しきりだったけど、私はとにかくみずほchanを視覚的、聴覚的に舐め回したいのであって、共演者気取りの二流三流司会者はその妨げでしかない。たとえグダグダであったとしても彼女の緊張している姿が愛しい。去年も書いたが鈴木啓太がやっているのはメンバーさんとの個別お話し会。メンバーさんの魅力を引き出す脇役に徹することが出来ていない。ただメンバーさんとの交流を楽しんでいる強いファン。そんなのを見せられるために私は労働を調整し平日の横浜に足を運んでいるわけではない。上々軍団さんはそろそろ潮時。彼らはファンクラブの仕事やエスタシオン的なことをやっていればいいんじゃないか。ともかく鈴木啓太がいなかったおかげもあって、私はみずほchanのことを新たに好きになり直した。

1回目
・まだお祝いのメッセージをくれていないつばきファクトリーのメンバーもいる。誰かは言わない。新メンバーからは昨日プレゼントを貰った。まだ八木栞chanにお誕生日のプレゼントをあげていないのに。
・20歳だと大人になりたてという感じがしますけど、21歳だと完全に大人じゃないですか。“完全に大人”の皆さんからしたらまだ子供かもしれないけど……。
・ビデオ・メッセージは佐藤優樹さんから。スケスケのエッチ衣装。
・おみずの前向きアドバイスというお悩み相談セグメント:一枚目だったかな、全部の漢字にふりがなが振ってあったらしく、私はそこまで馬鹿じゃないですよとやや不服そうだった。
・(最近、BEYOOOOONDS小林萌花ちゃんに似た一般女性に振られました。もう二度と一般女性を好きにならず、アイドルに専念するにはどうしたらいいですか?)(ヘッズ、笑う)何で笑うんですか?
・(たしか猫がなつきません的な悩み)自分も猫になってみればいいんじゃないですか? 自分と同じだとなつくと思うので。ニャーって……そんな冷たい目で見ないでくださいよ~。
・『私がオバさんになっても』の途中でちょっと泣きそうな顔になって歌に詰まりそうになっていた。客席に佐藤優樹さんでもいたのかと思ったら単純に歌詞を忘れただけのようだった。
・後輩が出来て教えることも増えたが、私はまだ人に教えられるような人間ではない。応援されるに相応しい人になりたい。

2回目
・(客席を見て)見るかぎり……。(ヘッズ:笑う)見るかぎり、21歳より上の人が多そうじゃないですか。21歳になったときってどうでしたか?
・普段のバースデー・イベントの企画は上々軍団が考えている的なことを言っていた。
・おみずの前向きアドバイスのセグメントで読まれた投稿の半分くらいがなぜかお悩みではなく質問だった。事前に裏方がチェックしていないのかな?
・(最近、一推し以外の子に目が行ってしまいます)いいんじゃないですか?(ヘッズ:笑)たくさんの人を見るのはいいと思う。この方も私が一推しじゃないかもしれないし。でも一推しの方のアレがアレしたらアレですけど……。いちばん好きな方のことは傷つけちゃダメだと思います。
・(名前が鈴木啓太なので上々軍団の鈴木啓太さんが滑ると自分も滑ったみたいで恥ずかしい)鈴木啓太さんが滑ることなんてあるんですか?(うなずくヘッズ)うんって、酷い! 鈴木啓太さんは色んなハロプロ・メンバーと写真を撮ったりイベントの司会をしている人ですよ。鈴木啓太さんが私とツー・ショットを撮っていたら、それを私とあなたのツー・ショットと思えばいいじゃないですか。
・(瑞歩ちゃんにとっての癒しは何ですか?)新メンバー。(豫風)瑠乃chanなんて楽屋で夏休みの宿題やってるんですよ! 私なんてもう何年前なんだろうって……。パフォーマンスは凄いけど普段は中学生らしさがある。
・瑠乃chanなんて何歳差? 6歳? 中二と21歳って何歳差? 7歳? 7歳も離れた子が入ってくるなんて!
・ミニ・コンサート中のたしか最初のブレイクで「ライブ、MC、楽しい」、とナチュラルに韻を踏んでいた。
・実は『愛・愛・傘』は研修生の頃に歌っていた。その頃からすると一人で続けて三曲も歌うなんて考えられなかった。
・1回目はとにかく緊張していて、それはそれで楽しかったんですけど、2回目は楽しんでいる自分を感じながら出来た。
・本当は客席側に降りて借り物競走とかやりたかった。前にやったことがある。でも今は出来ないので前向きアドバイスのコーナーにした。
・(バースデー・イベントが5回目なことについて)3から4よりも、4から5になる方が数字が大きくなったって感じがしませんか? ……しないか。19歳から20歳になるよりも20歳から21歳になる方が大人な感じがするんです、私は。それと同じように5回というのは大きい。5回もやってればそりゃ後輩も出来るなって思います。
・バースデー・イベントで歌いたい曲リストをいつも作っている。今回は、この衣装に合う曲は何かなと考えて今年はカッコいい感じの曲は封印した。来年は22歳になるので大人っぽい曲をたくさん歌いたい……今から来年の宣伝? 出来るかどうかは分からないですけど、楽しみにしていてください。

セットリスト
片思い』(Miwa)※
『夜風のMessage』(℃-ute)

『ダレニモイワナイデ』(真野恵里菜)
『愛・愛・傘』(Juice=Juice)
One Summer Night~真夏の決心~』(カントリー・ガールズ)

『私がオバさんになっても』(森高千里)
『明日の私は今日より綺麗』(こぶしファクトリー)
※2回目は1曲目が『I LOVE YOU』(尾崎豊)

最後に。しばらく私がブログを更新していなかったのは、現場がなかったからではない。精神の調子を崩し、抑鬱症状がきつく、毎日をやり過ごすだけで精一杯だったからだ。このブログを2015年に始めてから一番きつかった。治療の甲斐あって徐々に調子が上向いてきた。書けていなかったいくつかの現場の記事も、これから書いていく。