2017年7月30日日曜日

Seven Horizon (2017-07-26)

昨日は参った。本当に。ZEEBRAの親父も弱音を吐きたくなるレベル(分からなければZEEBRA, “MR. DYNAMITE”を聴け)の異常な蒸し暑さ。一日をやり過ごすだけで精一杯。週に一度はジムで走るようにしていたが、もう無理だ。会社の後にジムに寄っても、風呂に入って帰る。普段は風呂だけを利用しても運動をしたかのようなマッチョなヴァイブスを醸し出しながら受付を通過するが、そんな気力もなくなった。サウナに入るのですらしんどい。こんなに不快な日々が続いているんだからしょうがない。自分を許す。もし私が年寄りになったとしたら、夏に耐えられなくなって死ぬのだろう。今日はマシだ。朝方にざーっと雨が降って、昨日よりは何度か気温が低くなった。天気予報では一日を通して30度を割っていた。夏に変わりはないけど、外に出ても汗が止まらないというほどではなかった。今日でよかった。コンサートは昨日もあったんだよ。二日連続。同じ場所でね。何せ平日なんで、二日とも行くってのは厳しくて。7月25日(火)と26日(水)を比べたときに都合が付けやすそうだったのが26日だったんだ。吉祥寺CLUB SEATAで18時30分開場、19時開演。これに間に合わせるためには15時すぎには会社を出る必要があった。あと1時間くらい後でも一応は間に合っていた。ただ、日替わり写真を買うことを考えると、ギリギリには行きたくなかった。出来れば開演前にメシも食っておきたかったしね。計画通り、15時7分の退勤に成功したんだけど、何週間か前から上司にジャブ(シャブではない)を打ったり、13時からの会議を9時半からに変えてもらったり、17時半からの会議を断ったりする必要があった。平日の現場に行くのは、休日に遠征をするのとは別の難しさがある。いっそのこと休んじゃうのがいちばん楽ではあるんだけど、毎回休むわけにもいかない。

吉祥寺は私にとって、髪を切りにくる場所なんだ。元は青山の美容室で切ってもらっていたんだが、担当してもらっていた人が吉祥寺店に異動になって。吉祥寺だったら行ける範囲だったんで、付いていった。何だかんだ、今月でちょうど丸10年の付き合いになる。だから吉祥寺には一ヶ月半に一度くらい来ている。色んなところを歩き回ったわけじゃないから詳しくはないけど、多少の土地勘はある。Google mapで吉祥寺CLUB SEATAの場所を調べたときも、大体あの辺かって想像ができた。17時11分に、階段を下りて地下1階のグッズ列に並んだ。目と鼻の先に売場が見えている。並んでいるのはざっと10人くらい。窓口が二つ。10分足らずで購入を終えた。同じツアーなのにこの間の京都とは大違いだ。日替わりの宮崎由加さん、宮本佳林さん。あと、今日から発売しているコレクション生写真を5枚、買った。今日の宮崎さんの日替わりに書き込んである自画像、これまでに私が手にしてきた中でいちばん困り眉の度合いが強いかもしれない。

前にいた人たちが買う様子を見ていると、大体の人たちが宮本さんの日替わりを買っているように見えた。休養中の彼女を応援する気持ちがそうさせているのだろうと思った。昨日の16時頃、宮本佳林さんが「機能性発声障害」と診断されたため同日から「ライブ、イベント、声を出す必要のある仕事は全てお休みさせて頂く」旨が発表された。Twitterで見る限り、彼女は7月21日のJuice=Juice熊本公演はダンスのみ、22日の福岡ハロコンでもダンスのみ、23日の宮城でのイベントは不参加だったようだ。機能性発声障害でAmazonを検索しても専門書しか見つからなかった。一般書があれば読んでみたい。どういう病気なのか、治療に必要な期間が三ヶ月なのか半年なのか一年なのか二年なのか、そもそも完治する類の病気なのか、私には分からない。でも、いくら不在にしようと宮本さんはJuice=Juiceに欠かせない存在であり続けるし、ステージに戻ってくる日を私は待っている。

「おなかがすいてちゃだめです。しっかり食べてライブ楽しむぞー」―宮崎由加さんの日替わり写真に書いてあった。その教えをしっかり守るため、線路沿いにある「旺旺(ワンワン)」という中華料理店に入った。看板メニューらしきご飯に豚肉と野菜が乗っているやつと、焼酎のお湯割りを頼んだ。1,200円。メシも酒も思ったより量が少なかった。40度くらいの強い酒を入れるような小さいグラスでお湯割りが出てきた。(これを書いている今ふと思ったのだが、「おなかがすいてちゃだめです」ってもしかして私たちへの訓戒ではなく宮崎さんご本人がそうだっていうことか?)駅前のコイン・ロッカーにカバンを預け、チケットと千円札をポケットに入れ、ピンクの宮崎Tシャツを手に、再び吉祥寺CLUB SEATAへ。食事の量はあれでいいとして、アルコホールはもうちょっと入れておきたい。コンビニで宝焼酎の緑茶割り(糖質ゼロ)を買って、店の前で飲み干して、店内のゴミ箱に空き缶を捨てた。近くには入場待ちのJuice=Juiceのファン(服装から分かる)が数十人。何十メートルも離れてるのに誘導の兄ちゃんたちがやってきて、ここは歩道だから立ち止まるなって言ってきてうるせえ。

今日はチケットに印字されている開場時間は18時半だったが、整理番号ごとに集合時間が分かれていた。これは事前には知らされていなかった。

18時15分:1-150番
18時35分:151-250番
18時40分:251番-

若い番号の集合時間は18時半よりも前だった。私は147番だったので、その中に入っていた。こういのがあるから、ライブハウス(和製英語)での公演には早めに来た方がいい。こういうの事前に言わねえからさ。いい整理番号を持っていても、18時半ギリギリに着いていたら番号通りに入れなかった可能性が高い。

18時14分:1-150番までが地下に降りろと誘導の兄ちゃんが案内する
18時23分:階段を降りたところにオタフクソースの旗がある。オタフクソースとオタク臭そうっすで韻が踏めることに気付く。それをTwitterに投稿し3ふぁぼを得る
18時29分:62番まで呼び出される
18時32分:64番まで呼び出される
18時34分:急に60番代から80番に飛んだ
18時35分:100番まで呼び出される
18時36分:130番まで呼び出される
18時37分:148番まで呼び出される
18時39分:チケットをもぎられ、ドリンク代600円(割高。私が行った中では新宿Renyに続き二回目。普通は500円)を支払い、水を得て、フロアへ

私が入った時点で、感覚的には6割くらい埋まっていた。Juice=Juiceのコンサートにも関わらず、左側の女性限定エリアが広い。フロア面積の3割くらいを占めていたんじゃないだろうか。しかもちゃんと埋まっている。空調がよく効いていて快適だ。9列目くらいかな。前の人のチケットが見えた。107番だった。二、三列前に180センチくらいの紳士がいた。しまった、位置取りに失敗したかと思った。真正面の視界は塞がれた。でも、右側が割と見えたので、悪くはなかった。出演者たちの全身までは見えなかったけど、彼女たちがお立ち台に上ってくれた際には満足できる絵が得られた。なんど観てもいつどこで観ても麗しいJuice=Juice(誰が、とかじゃなく)のお姿を堪能しながら、私は気持ちの悪い笑みを浮かべていた。世界一HAPPYなオタクの子だった。

耳栓を忘れた。ミュージカルとか、FCイベントとか、リリース・イベントでは耳栓をしないことが多いが、コンサートで耳栓をしないのは久し振りだった。幸いにも耳をつんざくような暴力的な音量ではなかった。耳鳴りも残らなかった。ただ通常の生活で経験する範囲を超えたデシベル数であることに変わりはないわけで、しかもそれがずっと続くわけだから、耳にはよくないわな。今日は一公演だけだったけど、二公演だったら違っていたかもしれない。毎週のように何時間もこの音量を浴び続けると耳に悪い影響が出ることが想像できたので、コンサートでは耳栓を付けるべきだなと思った。その一方で、耳栓をかませないことでコンサートそのものが直に身体と脳に入ってくる感じというか、そういう迫力も感じた。

梁川奈々美さんが前髪を作っていて、別人のようだった。これまでのコミカルな要素が一気に失せ、単純に美少女だった。前髪は昨日から解禁したのだという。梁川さん曰く、今日はポニー・テール。昨日は宮崎由加さんのリクエストでツイン・テールにしたが、肝心の前髪の出来がよくなかった。今日はこのコンサート前に撮影があって、メイクさんに前髪を作ってもらった。私が求めていた前髪はこれだと思った。自分でも再現したい。何週間かかるかわからないし、そのときのコンディションにもよるが、温かく見守っていただきたい。「女の子らしく、アイドルらしく、可愛く」やっていきたい。らしく…と言う度に間を空けて、私たちの歓声を呼び込むあたりがこなれている。

高木紗友希さんのお話が面白かった。概要。「おばあちゃんとモーニング食べようとお店に入ったら、喫茶店にいる人がみんな私のことを知っている。普段おばあちゃんが周りのお客さんに新聞を見せたりして私のことをしゃべっている。地元だからいいんですけどね。千葉でイベントがあったときは、張り切って来た。イベントの後、ブログのコメントを読んでいたら私のおばあちゃんに声をかけられたというコメントがたくさんあって、やばいと思った。黄色いTシャツを着ている人におばあちゃんが自分から声をかけていた。やめてと言っても聞かないから言うのはやめた。だから皆さんから言ってほしい」
握手会にも来るという高木さんのおばあさま。
「握手会って手しか触っちゃダメじゃないですか。あーりーに思いっきり顔を近づけてさゆきのばあばだよと言ったり、私には抱きついて来ようとしてスタッフさんに止められそうになったりしている」
一連の話を、信じられないと言わんばかりに口を丸くして驚いて聞き入る宮崎由加さん。

今日の一番の見所は、宮本佳林さんの欠場がどう影響するのかだった。彼女がいない穴をどう埋めるのか? 誰が埋めるのか? そもそも埋められるのか? いや、埋められないでしょう。だとすると、彼女がいない分、単純に普段より見劣りするショーになってしまうのか? そういった疑問を頭に浮かべながら、私はコンサートを観ていた。どうだったかというと、宮本さんの不在は感じた。でもそれは必ずしもネガティヴな感想ではない。宮本さんがいないことの歯がゆさよりも、別バージョンのJuice=Juiceを味わえる新鮮な喜びの方が強かった。『大人の事情』における「大人の事情で 私の自由を奪い去っていかないで そばにいたいだけ」という宮本さんのソロ・パートは宮崎由加さんが担当した。さすがに宮本さんのような圧倒的なヴァイブスは出せていないが、そこを宮崎さんがやるんだという驚き、この見せ場を(小野瑞歩さんと並び私がHello! Projectで最も支持している)宮崎さんの歌声で聴ける喜びがあった。宮本さんの歌割りは宮崎由加さんに多く割り振られていた印象を受けた。元々、初期の曲では宮崎さんの歌割りが少ない。宮本さんのパートが宮崎さんに多く割り当てられた結果として四人が均等に歌っていた印象を受けた。『この世界は捨てたもんじゃない』冒頭の「為せば成る? 土砂降り、空振りだって ポジティブ全開」は、植村あかりさん、宮崎由加さんで二分割(宮崎さんが「ポジティブ全開」)。

アンコール開け、最後のサツアイで息が切れているのがマイクに乗る段原瑠々さん。直前にパフォームした“Fiesta! Fiesta!”の歌詞にかけて「情熱を解き放ちすぎた」と言って我々の歓声を浴び、照れ笑い。段原さん曰く、この会場は皆さんとの距離が近くて、恥ずかしい。皆さんの熱がそのまま伝わってきた。これからJuice=Juiceの曲を覚えていって、もっと出られるように頑張る。

金澤朋子さんが段原さんのコメントをなぞって「情熱を解き放ちすぎて…」と言って我々からエーイングを浴びる。金澤さん曰く、今日は公演中にピアスが取れた。イアリングが取れることはたまにあるけど、ピアスは滅多にない。(耳に怪我をしていないのかと心配するフロアの声を受けて)耳は切れていない」
「今日のライブを成功させるため、紗友希と吉祥寺でランチをしたんです。スタッフさんもいたんですけど。(客から「すき家?」という声がちらほら)何ですき家なんですか! 吉祥寺ランチという言葉と遠いでしょ。すき家は好きですけど。(『朋子と一緒だと全部そう思われる』と高木さん。)パスタですよ。おしゃれなパスタ(客、エーイング)何でエーなの? 皆さんもこの後はパスタを食べてくださいね」
(どこで食べたんだろう? 吉祥寺でパスタというと私が知っているのは「ラ・ベファーナ」である。パスタは頼んだことがないが、一時期よくピザを食べに来ていた。はじめの頃はめちゃくちゃおいしいと思っていたが、年月を経るにつれ私の舌が肥えて特別おいしいとは思わなくなってしまった。)

「事件です」と言って我々の注目を引き付ける高木紗友希さん。ここが熱いんです、とこちらにお尻を向けて、お尻の上部というか腰の右側を指し示す。踊りながらどんどん熱くなっていって、「何なの」と朋子に聞いていた。(「知らないよ!」と金澤さん。)原因は、きのう貼っていたタイガーバームだという。「いや、はがしたんですよ。でも今さら熱くなったんです」
今日の高木さんはいつにも増して面白かった。いつもの「心の中スカッとするほど」ソウルフルな歌声に加えて、面白いトーク。最強。

宮崎由加さん曰く、このコンサート前の撮影で段原瑠々ちゃんと梁川奈々美ちゃんの可愛い写真が撮れた(「梁川奈々美」を甘噛みしていてちょっと笑いが起きた)。「ブログに載せたんですけど、載せる前に宮本佳林ちゃんに送ったんです。そしたら『可愛い〜』って反応してくれて、送ってよかったって思いました。佳林ちゃんはこれからブログを充実させていくと宣言していたので、期待していてください」

21時を過ぎてしまう可能性があるという判断であろう、18歳以下の段原瑠々さんと梁川奈々美さんは終演後の高速握手会には参加しなかった。そのかわり、握手会の前に二人がステージに登場し、握手会の注意事項を読み上げた。「私たちは参加できません」と梁川さんか言うと我々はエーイング(もちろん本気の抗議ではない)。すみませんと頭を下げるお二人。ちょっと嬉しそうにはにかむ段原さん。20時36分、二人による注意事項の読み上げが終了。公演中は微塵も感じなかったが、握手会で対面したJuice=Juiceの皆さんは少し消耗している感じがした。あり得ないくらいの蒸し暑さに体力を削られる日々。いくらお若いとは言っても肉体と感情を酷使する上にサボる余地のない重労働に従事されている彼女たちにこたえないわけがない。目を疑うほどにスケジュールが詰め込まれているし。そんな中でも宮崎さんは私を見て「あー!!」と目を細めて手を振ってくれた。20時52分、退場。コンサートは京都のときから練度が上がっていて、観賞環境もよく、最高に楽しめた。酒も少しは効いたかも。強い意思を貫き会社を15時に出てよかった。

2017年7月23日日曜日

Seven Horizon (2017-07-17)

ここが西成区だというのを忘れるほどに安らかな気持ちで目が覚めた。隣の部屋のオジサンが断続的に咳き込んでいるのが聞こえたのを除けば、至って平和な一泊だった。今日のコンサートは京都なんだけどね、大阪で前泊したの。昨日の朝8時過ぎだったかな、夜行バスで大阪に着いたんだ。前に名古屋に行ったときに利用したコクーンに今回も乗ってみた。名古屋のときは割と眠れたんだけど今回はちゃんと寝られなくてね。しんどくなって宿で13時半から16時半くらいまで仮眠した。先に荷物を預かってもらおうかと思ったらもうチェック・イン出来ますって言われてね。一泊3,400円だったんだけど、この価格帯ならではの、ベッドと小さな椅子と机があるだけ、トイレも風呂もないという絵になる部屋だった。思わず写真を撮った。で、後からiPhoneのカメラ・ロールをめくってたらさNishinari-Ku, Osakaって書いてあったんだ。ほらiPhoneって写真に地名が出てくるじゃん。それで初めてこの宿が西成区にあることに気が付いた。来山北館というホテルだったんだけど、受付の人の対応が凄くよかったし、気持ちよく泊まることができた。ロビーにはバックパッカーがたむろしていた。この辺で安い宿をお探しの際にはお勧めするよ。

大阪に泊まったのは京都の宿がどこも高かったから。4月に福岡、5月に名古屋、6月に新潟に行ってさ、今回は京都、で来月も仙台に行くんだよ。交通費と宿泊費が馬鹿にならない。福岡のときはJALのマイルを使って飛行機代が無料だったけどね。いい宿になんて泊まってらんねえよ。昨日は昼に新梅田食道街の「笑卵(わらう)」でかすうどん680円とクリア・アサヒ280円を食った。うどんにあぶらかすが入ってるの。あぶらかすは上原義広さんのルポタージュで知ってからずっと気になってたんだけど、食えてよかった。うどんの出汁にあぶらが溶けて、よく合うね。新世界をうろうろして、「だるま」(新世界だけで四店舗あるらしい)という串カツ屋に入った。大阪ってさ、ほら飲み屋にでも入ると店の人や常連から「見ない顔やな。兄ちゃんどこから来たん? 何しに来たん? 何でやねん、いてまうぞ」的に絡まれそうじゃん。そういうのが俺は苦手で、気後れする部分があったんだけど、「だるま」は店員の多くが外国人だったしウチのシマに何しに来たんじゃ的な態度は誰も示してこなかった。もっと個人がやってる小さな店だったら多少の洗礼はあったかもしれないよな。「だるま」で新世界セット(どて焼き+串カツ12本)、焼酎、カシス・ウーロン、たこと紅生姜、カシス・ウーロン。3,500円くらい(宿代より高い)。(だるまといえば、うちの会社でいつもイヤなメールを送ることで知られる人がHumpty Dumptyじみた体型であるため一部では陰でだるまちゃんと言われている。普段からもっといい印象を与えていれば誰もだるまちゃんとは言わなかっただろう。イヤなメールは送らない方がいい。)食後にぶらぶらストリートを散策していると気付いたら西成区の深部に入っていた。足を引きずった白髪の老紳士がすれ違いざまに怒った様子で何かをわめきだしたときはちょっと恐かった。その人、指をさして誰かに向かって文句を言っているようだったんだけど、さしてる先を見たらさ、誰もいねーの。当人には誰かが見えてたんだろうか。路上に座り込んでいた老紳士が甲高い声で「おいお前オカマか? おいお前オカマか? おいお前オカマか?」って連呼してた。どうも独り言じゃなく俺に言ってるようだった。というのが、俺の格好がこの近辺をうろつくにはあまりにファッショナブルだったんだ。Needlesの紺色トラック・パンツにBarbarianの白黒ボーダー柄Tシャツ、Alain Mikliのチェック柄メガネ。俺はオカマじゃなくてオタクだ。あいりん労働公共職業安定所を取り囲む形で、閉じたシャッターの前にホームレスの皆さんが野宿している光景を通り過ぎ、スパ・ワールドという公衆浴場に入った。1,500円。入浴中に近くの若者同士が「お前、ぼんぼりみたいなちんこやな。亀頭でかっ」「でかい方がええんやで」という会話を交わしていた。

大浴場でシャワーを浴びて、チェック・アウト。新梅田食道街のPRONTOで冷コとホットドッグ。450円。SEA TO SUMMITのULTRA SIL DAYPACK(これは旅行に便利!)に必要最小限のモノを詰めて背負い、大阪駅のコイン・ロッカーにBRIEFINGのでっかいバックパックを預けた。大阪駅から電車で京都駅。そこから国際会館駅。京都での乗り換えのときプラットフォームがやたらと混んでいて、一本見送った。同じく京都FANJに向かっている人のTwitter投稿によるとどうやら祇園祭というのが開催されていて、それで混んでいるらしい。途中から乗客はまばらになった。国際会館駅から会場への道のりは分かりやすかった。3番出口を出て右に曲がって、そのまま直進するだけ。10時42分頃に会場前に着いた。誰かファンが置いたんだと思うけど、梁川奈々美さんのフィギュア・スタンドっていうのかな、あれのでっかいやつ。50-60センチくらいあるやつが飾ってあった。今日は昼公演が13時半開場・14時開演、夜公演が17時開場・17時半開演。グッズの販売が11時半から。思ったよりも人だかりができていた。ざっと四十人くらい。何となく後ろの方に立ったら、横にいた紳士がここは最後尾じゃない、ここで折り返していていちばん後ろはあの辺だ、と親切にも教えてくれた。ディーン・R・クーンツの『ベストセラー小説の書き方』(大出健 訳)を読みながらグッズ販売が始まるのを待った。屋外だったけど、幸いにもそんなに日が差していなかった。本が普通に読める程度の快適さだった。10時59分にONE TO ONEのお兄ちゃん(以下「ワンちゃん」)が「出来るだけ前に詰めてお並びください」と俺らに言った。近くで並んでいる人たちの会話が耳に入ってきた。
「今日は500番まで出てるらしいねんけど、ここは500人いれたらパンパンやで。フロアも平らやしな」
「オレ地元やのに(整理番号が)300超えてんねんけど」
「10時半過ぎにメンバーが入ってきた。小さいタクシー2台で。高木さんだけ派手なTシャツを着ていた。他のメンバーは地味な色やってんけど」
「植村さんは眠そうだった。いつものように。恐かった」
11時15分に後ろを振り返ると俺の後ろには1ダースくらいの人がいた。11時26分には2ダースくらいになっていた。11時28分にワンちゃんが「今日の公演は好評でチケットが完売している。たくさんの人が来る。すべてのお客さんを入れるために大きい荷物を持っている人は預けて欲しい」ということを俺らに言った。グッズの販売は予定通り11時半くらいに始まったようだが、やたらと進みが遅かった。読書がはかどった。12時2分にはワンちゃんがグッズ列の後ろの方に向けてあなたたちは開場までにグッズを購入できない可能性があるから了承してくれと言っていた。階段を降りて12時26分にようやくグッズの販売窓口が見えた。グッズ売り場を切り盛りしているのが一人! そりゃ進まねえわ。ワンオペを強いられている感じのいいワンちゃんにDVD MAGAZINE VOL.12と日替わりの宮崎さん、宮本さん、段原さん、梁川さんを注文し、無事に購入を済ませた。段原さんと梁川さんのJuice=Juiceメンバーとして初めての日替わり写真は是非とも入手したかった。たぶん俺と同じ考えを持った人は多かったと思う。この二人は書き込みのこなれ具合が対照的だった。梁川さんは文字の配置や装飾に工夫が見られ、抹茶の絵も添えていたけど、段原さんのは拍子抜けするくらい簡素だった。日付、会場名以外はいくつかハート・マークが描いてあるだけだった。今後どうやって洗練されていくのかが楽しみだ。

昼飯を食おうと近辺を物色したが、そば屋と、日曜祝日はランチ・メニューのない寿司屋と、3,000円は出さないといけないステーキ屋と、アホみたいに混んでいるガストと、アホみたいに混んでいるマクドくらいしか店がなかった。選択肢の数はあるにはあるんだけど、しょっぱい。ステーキ屋が少し魅力的だったが、13時の開場まで時間に余裕がなかったし、出費を抑えようと思ってスーパーマーケットで適当に何かを買って腹に入れることにした。アサヒもぎたてまるごと搾りオレンジライム、牛肉コロッケ(三つ入り)、ハム玉子サンドウィッチ。540円くらい。スーパーの前で立ち食い。「もぎたて」は過重労働に従事しているTwitterのブラザーが絶賛していたので買ってみたが、まずかった。俺が日頃からいいものを口にしすぎているのかもしれないけどさ、ダメだよこれは。まずさの正体は、アセスルファムKとスクラロースだ。人口甘味料の入った飲食物をありがたがる奴は味覚がイカれている。でも、あれだね。アルコホール度数9%ってのはいいね。一缶のんだだけでちょうどよく仕上がった。

昼公演でアップフロントが俺に与えた整理番号は、393番。入ってみると、もうこれ最後じゃんって感じだった。客が入りきっている感があった。でもこれからまだ100人が入るから前に詰めろと係員が俺たちに呼びかけていた。ワンちゃんたち、周りの人との間隔がなくなるまで詰めろとか言っててさ。間隔がなくなるってどういうこっちゃねん。満員電車のように身動きが取れなくなるまで密着しろってことかよ。無理を言いなさんな。新宿から池袋に行くのとちゃうねんで。そんな状態でコンサートを鑑賞できるわけねえだろっつーの。実際にはそこまでギューギューにはならなかった。他の観客と接触しない程度の距離は保たれていた。もし本当にワンちゃんたちの言う通りにしたらステージなんか見えないよ。

ほぼいちばん後ろだったけど、開演が待ち遠しかった。今日のコンサートは特別な意味を持っていたんだ。何せ、段原瑠々さんと梁川奈々美さんが加入した7人のJuice=Juiceとしての初めての単独公演なんだ。7人でのパフォーマンス自体は二日前の大阪のハロコンで披露されているんだけど、単独公演というのに意味がある。俺がこの日に居合わせることになったのは偶然だ。狙ったわけじゃない。というか、このツアーのファンクラブ先行受付に俺が申し込んだ時点ではJuice=Juiceが7人になることは発表されていなかったし、おそらくアップフロントの内部でも決まっていなかった。“Seven Horizon”というツアー名にも関わらず、初日の名古屋は5人でのコンサートだった。Hello! Projectのいわゆる新体制が7月15日のハロコンからということで。こういうことからも今回の移籍と新加入が何ヶ月も前からではなく比較的、急に決まったことが分かる。俺も6月26日(月)のハロ!ステ号外で発表される直前まではJuice=Juiceが増員するとは思っていなかったよ。ただ、これは完全に後出しジャンケンだが、もしJuice=Juiceに入れるのであれば段原瑠々さんがいいのではないかとは思っていた。このグループに入るには何よりも歌唱力が必要だと思ったからだ。どこにも書いていないから予言者面が出来ないのだが…。梁川奈々美さんの加入は俺にはまったくの予想外だった。

開演の直前には「瑠々ちゃん! 瑠々ちゃん! やなみん! やなみん!」というチャントがわき起こった。二人への期待、加入を歓迎するポジティヴなヴァイブスで京都FANJのフロアは満たされていた(このチャントに関しては段原さんと梁川さんはもちろん既存メンバーたちも嬉しかったと口を揃えていた。)ところがコンサートが始まってステージに現れたメンバーは5人だった。カタルシスを期待したが肩透かしを食らった。そのまま数曲をパフォームしたので、5人のJuice=Juiceによるコンサートがいつものように執り行われているようだった。でも『Goal~明日はあっちだよ~』で高木紗友希さんがソロ・パートの「ふいに振り向いたら」(俺らが「さーゆき!」×4回のやかましいチャントを被せて高木さんの歌が聞こえなくなるところ)の直後あたりで泣いて、しばらく歌えなくなっていた。それを見て、いつもの5人のコンサートじゃないんだなって俺は実感した。新メンバーに出てくるように促す宮崎由加さん。右から登場した段原瑠々さんと梁川奈々美さんが加わった7人のJuice=Juiceが単独コンサートで披露した記念すべき一曲目は『Feel! 感じるよ』だった。どの歌詞だったかは忘れたけど段原瑠々さんのソロ・パートがあった。これが段原さんがJuice=Juiceの単独コンサートで歌う初めてのソロ・パートなんだなと思いながら聴いた。梁川さんが自己紹介をするときにメンバー・カラーはミディアム・ブルーですと言ったときにチームメイトたちは驚いている様子だった。「ミディアムは初めて聞いた」と宮本佳林さんが言っていた。

昼公演ではJuice=Juiceから嬉しいお知らせが二つあった。一つ目は、今年もJ=J Dayが開催される。10月10日に東京、10月6日に大阪。これは金澤朋子さんが発表した。もう一つ発表がありますと宮崎由加さんが言うと、私たちは聞いていないと他の6人が色めき立った。俺たちから見ていちばん右に梁川奈々美さん、その左に宮崎由加さんがいた。他の5人が、こっち来なと梁川さんを呼んだ。右に宮崎さん、何メートルか離れて左に段原さん、宮本さん、植村さん、高木さん、金澤さん、梁川さん。6人が肩を寄せて固まって固唾を飲んでカタカタ震えてリーダーの言葉を待つ構図。それがコミカルで。ちょっとカントリー・ガールズっぽかった。いわゆる嗣永劇場の、あの感じというか。梁川さんが入ったことでJuice=Juiceにもこういう色が出てきたのかな。宮崎さんが「朋子が…」と言い始めて、金澤さんが卒業するような空気になった。「勝手に卒業させないでよ。しませんしません」と否定する金澤さん。笑いが起きた。宮崎さんから発表されたのは、日本武道館でのコンサート決定。11月20日。次の瞬間、新メンバー二人は泣いていた。フロアではそこら中の紳士たちが手を挙げてばんざーい!ばんざーい!と叫んでいた。知っていると思うけどJuice=Juiceのファンは年齢層が高く、戦中派が多い。何かを祝うときの最上級の表現が万歳なんだ。俺は中野サンプラザで初の武道館公演が発表されたときにも現場にいた。二回目の発表にもこうやって居合わせることが出来て幸運だった。

最近は地上波でJリーグの中継が放送されることがほとんどなくなった。たまーに放送されるのが、何かの決勝とか、優勝が決まる試合とか。あとはシーズンの一試合目。でも開幕戦ってさ、あんまり面白くないんだよね。どうしても消化不良になる。監督が代わったり新戦力が加わったりして新鮮さがあるんだけど、戦術は浸透しきっていないし、コンビネーションも出来上がっていないしで、探り探りになりがちなんだよね。チームとしてまだ出来上がっていないというか。リーグが進むにつれてその辺が成熟してくる。この一年くらいで俺が観させてもらったJuice=Juiceの公演がサッカーでいうとリーグ中盤や終盤の試合だった。武道館は決勝戦だった。Juice=Juiceは優勝した。それで、今日の昼公演は、新しい選手を迎えてのシーズンの開幕戦だった。段原瑠々さんも、梁川奈々美さんも、それぞれが個人としての力量と魅力を持っていることはよく伝わってきた。でも、まだJuice=Juiceという既存のグループに融合しきれていない。段原さんと梁川さんが参加したのはコンサート全体からすると半分以下だったと思う。まあ、そりゃそうだ。成熟したグループにポンと二人がいきなりフルで出場できるわけがない。どんな素晴らしい選手でもチームに馴染むのに時間はかかる。正直いって、コンサートの完成度としては5人だけでやっていた頃よりも少しだけ落ちたと思う。五人でのパフォーマンスの方がしっくり来ていたし、クラウドをロックしてたもん。『ロマンスの途中』。『明日やろうはバカやろう』。でも、その代わりに未来の可能性が広がった。二人の個性的な新人が入ることで、一旦は完成したJuice=Juiceがどう変わっていくのか。それを見守る楽しみができた。段原さんと梁川さんの力量は間違いないので、心配は要らないと思う。(植村さん曰く今日は段原さんに髪を巻いてもらったらしい。今日の私は何かが違うと思いませんか?とマネージャーに聞いたら「うーん、目?」と言われたという。ちなみにMC漢が巻くのはポリスとガンジャだけだ。)

・宮崎由加さん、宮本佳林さん、梁川奈々美さん、金澤朋子さんがメロン記念日の『夏の夜はデインジャー!』
・植村あかりさん、高木紗友希さん、段原瑠々さんが℃-uteの“Summer Wind
をカヴァーした。片方のチームがパフォームしている間、もう片方のチームは捌けていた。こうやってチーム分けして曲を披露するのは、5人のときはあんまりやっていなかった。5人が出ずっぱりというのが最近の公演では多かった。7人になったことによってこういう組み合わせの選択肢が広がった。Hello! Projectは歌う人と踊る人に分かれているわけじゃなく、全員で歌って全員で踊るから、人数が増えれば増えるほど一人一人の目立ちどころは減ってしまう。こうやってチームを分けたり、たまにはソロ・パフォーマンスもやったりして、スポットライトの当て方を変えていくのは大事だと思うよ。出ていないメンバーはその間ちょっと休めるしね。

段原瑠々さんはハロプロ研修生では圧倒的な歌唱力で有名だった。彼女はHello! Project研修生発表会の実力診断テストにおいて、参加した4回のうち2回でベスト・パフォーマンス賞を勝ち取っている強者である。ところが研修生としては抜きんでていた段原さんの歌声も、高木さんを前にすると霞んでいた。それだけ高木さんの歌唱が完璧だった。あの心を鷲掴みにしてくる感じ。非の打ち所がなかった。俺は全グループをちゃんと観ているわけではないし、他にも歌がうまい子が何人もいるのは知っているが、歌唱力に関しては高木さんが現在のHello! Projectで一番なのでは? 異論はあるだろうが別に議論をしたいわけじゃない。

配信限定でリリースされるというシングル曲“Fiesta Fiesta”を昼公演で初めて聴いたんだけど、ダサい曲だというのが第一印象。ありがちなメロディ。ラテンぽくという注文を受けたので作ってみました的な。こぶしファクトリーの『サンバ!こぶしジャネイロ』に通ずるワックさがある。もちろん、はじめの段原瑠々さんのフレーズには思わず歓声をあげてしまう爽快感があったけど、曲がいいかといったら、ちょっとね。上述のカヴァー二曲と、“Fiesta Fiesta”がセットリストでは目玉だったと思う。あと俺としては『大人の事情』が聴けたのは嬉しかったね。去年11月7日の日本武道館以来。

15時45分ごろ終演。高速握手会が始まってもほとんど列が進まない。周りからも遅いなという声が聞こえてくる。帰りが少し心配になる。夜公演は17時半から。帰りのバスが21時半(実際には21時50分だった)に大阪発。国際会館駅から大阪駅まで1時間ちょっと。ウィラーのバス・ターミナルが大阪駅から少し歩いたところにある。初めて行く場所なのでまっすぐにたどり着く自信がない。遅くとも21時には大阪駅には着いていないとバスに間に合うかが危なそうだ。握手の順番は、記憶では段原さん→梁川さん→高木さん→金澤さん→植村さん→宮崎さん→宮本さんだった。段原さんと梁川さんには「加入おめでとう」、他の五名には「武道館おめでとう」と申し上げた。金澤さんが「メガネおしゃれ!」とおっしゃってくださった。宮崎さんは「おおおーーー!!!」とそんなに驚くかというくらい驚いてから「凄いメガネ!」とおっしゃってくださった。凄いメガネをかけてきてよかった。握手を終えて会場を出ると16時7分だった。はじめはどうなることかと思ったが意外と早く終わった。夜公演の時間に置き換えると19時37分。大丈夫そうだ。

外に出ると、小雨がぱらついていた。だいぶ足腰が疲れた。公演の途中から立っているのが少しつらかった。コンビニでトリス・ハイボール<キリッと濃いめ>を買って、店の前で飲んで、ゴミ箱に捨てた。昼公演の前に飲んだフェイクな酒と同様、アルコホールは9%だったが、どういうわけかぜんぜん効かんかった。もうすぐで開場だったので会場前で座って待った。入場が始まらないなと思ったら開場の時間を勘違いしていた。なぜか16時半と思ったが正しくは17時だった。

「とうとう来たな、この時が!!」―フロアで夜公演の開演を待つ俺の心境を表すのに、これ以上に相応しい言葉はなかった。何でだと思う? いきなり聞かれても分かんねえよな。あのな、2番だったの。2番。整理番号が。凄くね? 先走って入場口に向かう早漏野郎どものせいで実際に中に入ったのは4人目になったんだけどさ、それでも申し分のない位置につくことができた。左のお立ち台の、目の前。左右を見て数えたら最前にいたのは俺を含めて11人か12人だったと思う。右端の二人くらいは女性限定エリア。393番で入った昼公演では、広い会場だと感じた。夜公演に4人目の入場者として入ると、狭く感じた。違う会場なんじゃないかと錯覚したほどだった。

ライブハウス(和製英語)の最前でJuice=Juiceを観させてもらう幸運に恵まれたのは去年の6月、今年の4月に続いて三回目だった。一回目も二回目も思ったけど、別世界だよこれは。経験しないと分からない。10万円でも20万円でも売らない。100万円なら考える。でも100万円を積まれても即決はしない。
・高木紗友希さんの左の二の腕にある注射(やばい注射ではない)の跡が分かった。
・宮本佳林さんが上下が分かれた青い衣装で登場されたときに左肩の部分がねじれていた。最後までそのままだった。可笑しかった。
・トークのセグメント中に地面に置いてあるペット・ボトルの水を取るとき、高木さんは胸元を気にしてしっかりと押さえていた。植村さんは気にせずにかがんで、丸見えになった。こういう何気ない動作に各人の性格が出ているなと思った。あんまり押さえる必要がなさそうな人が押さえて、押さえないといけない人が何もしていないのが面白かった(何を言ってるんだよ。しかも失礼だろ)。
・アンコールではグッズの白いTシャツを各メンバー毎に違うアレンジメントを施して着用している。段原さんはパッと見、リメイクせずに着用しているように見えたが、最前から見ると、ポケットの上にずらしてもう一つポケットが縫いつけてあるのが分かった。ジュンヤ的なカスタマイズだ、と元ギャルソン・オタクの俺は思った。
・金澤朋子さんが唯一おへそを出していた。ホットパンツに、前で結んでお腹を出したTシャツ。中には黒い腹巻き的なものをお胸の周りに巻いていた。金澤さんはこの衣装で脇も出していたし、最高だった。他には宮崎さんも広めにお腹を出していた。
・Tシャツのアレンジメントがいちばん凝っていたのが高木紗友希さん。Tシャツのデコルテ部分を切ってフリルにしてあった。

最後のサツアイで段原瑠々さんが「るるは研修生として三年半くらいやってきとったんじゃけど…」とナチュラルに広島弁を交え(やらせてもらってたんじゃけど、だったかもしれない)、同僚も観客も全員が悶えた。宮本佳林さんは「もー何なの、可愛い!!」的なことを言って地団駄を踏んでいた。(段原さんと梁川さんがトークで笑いを取ったり目立ったりしたときの宮本さんの表情が見物だった。愛おしそうでありながら悔しがってもいるような。ご本人の詳しい心情までは分からないけど、刺激を受けているのは間違いなさそうだった。)前方の観客が笑うと口元に人差し指を持ってきてしーっ言わないでという感じの反応。段原さんは少し言葉に詰まって、もう一度「三年半くらいやってきとったんじゃけど…」と言い直して談話を続けた。自らの広島弁で俺らだけじゃなく仲間までもを悶絶させながらそれに気付いていなさそうな素振り。もういちどそのフレーズを畳みかける天性のあざとさ。その後、研修生のときと今日とでは気持ちがぜんぜん違う、ステージで照明を浴びて大好きな歌をダンスをやれるのが嬉しいというようなことを彼女はおっしゃった。

俺は段原瑠々さんが出演する研修生発表会を何度か観たことがある。そのときはそこまで目をひかなかった。もちろん、歌が上手で実力診断のベスト・パフォーマンス賞を穫っていたのも知っていた。でも今日こうやってJuice=Juiceのコンサートで観るまではそんなに気になる存在ではなかったんだ。今日はやけに彼女が目についた。なんで研修生発表会では気が付けなかったのか? 俺の目は節穴なのか? Juice=Juiceに加入した途端、急に段原さんがいいと言い出すのか? 自分が信用ならなくて悲しくなった。でも、こういう見方もできるんじゃないか。同じ素材でも、調理法でまったく別の料理になるし、同じ料理でも盛りつけやお皿で印象も味も変わる。それに似ている。ご本人も研修生のときとは気持ちが違うとおっしゃっていたし、観る側も違う印象を持つのは不思議ではない。

・宮崎由加さん曰く、京都FANJは楽屋が畳。みんなすぐに寝っ転がる。梁川奈々美さんが横になると畳ひとつにも満たない小ささで、可愛かった。宮崎さんの日替わり写真には「ここの楽屋だいすきなんだー」と書いてあった。
・植村あかりさん曰く、コンサートで挨拶は年齢の若い順からしていくが、今日から年下の二人が入ったことで自分は最初じゃなくなった。二人のトークがしっかりしていて、プレッシャーになっている。前のままでよかったんじゃないかと思った。(五人のままがよかったという意味に取れたので観客はエーイング)「違う違う、そういう意味じゃない! 7人の方がいいと思ってますよ」。

公演が終わったのが19時6分だった。いやあ、終わってしまった。未練はなく、切なさもなかった。ただ打ちのめされて、立ち直れなかった。俺は完全に満たされていた。そのまま意識を失って、死んでもよかった。夜公演の高速握手ははじめが段原さん、次が梁川さん、残りの順番は覚えていないが昼と同じだったような気がする。段原さんには凄く楽しかった、梁川さんにはお疲れさまでした、他の方々には最高とお伝えした。最初のお二人だけ違うのに特に意味はない。咄嗟に出てきた。宮崎さんは「イエイ!」と返してくださった。握手を抜けて現実世界に戻ったのが19時32分だった。いや、戻れていなかった。夢が終わったのにまだ夢の中にいるような、鮮烈な夢から醒めてまだ寝ぼけているような、そんな感覚が続いた。ここが京都なのか大阪なのか知らないしどうでもいい。そういう気持ちになった。夢遊病者のように国際会館駅へとフラフラ向かった。京都に向かう電車の中で右下に「整理番号-2番」と印字されたチケットをぼーっと眺めた。夢への片道切符だった。戻ってくるのに時間がかかりそうだ。そういえば、昼公演で感じていた足腰の疲れは、夜公演ではまったく感じなかった。「帰りにうどん食べてくわ」の格言を守り「笑卵」でカレーかすうどん750円を掻き込んで(21時の閉店間際、俺が最後の入店者だった)21時半頃にバス・ターミナル。無事にリボーンという最高級バスに乗り込んだ。明朝、新宿に着く。そこから会社に直行するつもりだ。明日は10時から11時、11時から12時、13時から17時、17時半から18時と会議が詰まっている。

2017年7月2日日曜日

つばきファクトリー 2ndシングル発売記念「梅雨時は リクスー脱いで ○○衣装!」トーク&握手会イベント (2017-06-29)

上司が出張で不在だったので会社を早く出るのは容易だった。イベント開始は19時。優先エリア入場券付きのCD(コンパクト・ディスク)予約販売は16時から。17時頃にエソラ池袋のHMVに着いた。私は音楽を買うときはインターネットで注文することがほとんどで、実店舗を利用することは稀である。たまに行くのが池袋のタワレコ。HMVを訪れることはまずない。前にここに来たのが2016年の1月16日(土)。Juice=Juiceが出ている無料の情報誌をもらうためだった。ちょうど何やら少女グループによる無銭現場が始まる様子だったので、どんなもんやろと興味本位で遠巻きに覗いてみた。いきなり一曲目のイントロで客の一人がファイヤーサイバー的な奇声を異常な音量で出していて、私は思いっきり声に出して笑ってしまった。続きを観る気をなくした。それで帰ったのが最後。

一年と五ヶ月ぶりに私がHMVエソラ池袋に戻ってきたのは、つばきファクトリーのトーク・ショウを観覧するためである。エスカレーターを3階まで上がって入店するとすぐ左に会場があった。といってもステージと言えるような何かがあるわけではなく、段差もないただの空間。これは見づらそうだ。エスタシオンの青年たちが輪になってエム・ティー・ジー(MTG)つまりミーティングをしていた。イベント参加希望者はレジに行ってくれという貼り紙があったので従った。専用のレジがあった。その前に例の予約用紙に記入させられる。池袋は毎週末来る場所なので店頭で受け取る。配送料の600円を払わないで済む。通常盤Cを一枚だけ購入。1,080円。私がつばきファクトリーの2nd singleを予約するのはたしかこれで21枚目です。優先エリア入場券の整理番号は200番くらい。絶対に200人は入らない広さだったので明らかに悪い番号だった。店を出ようと歩き始めると、「すみません、何番くらいですか?」と茶髪の青年が声をかけてきた。私がしょっぱい整理番号の券を見せると「ボク二桁台があるんですけど、交換しませんか?」と79番の入場券を見せてきた。正直、少し戸惑った。何か見返りを求めてくるのではないかと警戒した。そんなことはなく純粋なご厚意だった。ありがたく交換させてもらった。何という親切な青年だ。17時10分で、集合時間の18時40分まで1時間半ある。知音食堂でそら豆の炒め物、豚肉と漬け物の炒め物(からい)を食ってアサヒ・スーパー・ドライ(瓶)を飲んだ。換気扇がぶっ壊れているのかやたらと煙かった。

前説のお兄さんが今日はACミランのユニフォームを着ていた。このユニフォームを着用した彼を見るのは私にとっては2016年12月29日の池袋サンシャイン以来だ。いや、注目すべきは彼の衣装ではない。今日の催しは「『梅雨時は リクスー脱いで○○衣装!』トーク&握手会イベント」。何かそういう(どういう?)お店の企画のような、どれだけオジサンを釣りにかかるんだという題名なんだが、出演メンバーたちがなりたかった職業の衣装をまとって登壇するという趣旨なのである。出演者は小片リサさん、谷本安美さん、小野瑞歩さん。小野さんが登場されるし、池袋は行きやすい場所だし、この日は仕事の融通が利きやすかった。自分にとってトークだけのイベントの優先度は低い、というか観覧するのは初めてかもしれない。定刻の18時40分に番号の呼び出しが始まった。79番は真ん中くらいだった。番号は250番くらいまで呼び出されていた。元の番号だったらもういちばん後ろで優先券の意味がほとんどない位置だっただろう。交換を申し出てくれたイケメンに感謝。隣の紳士が開演前に流れる音楽に合わせて身体を揺らしながら鼻歌を口ずさんでいたのだが、歌唱だけでなくトラックに合わせてベースのような感じで常に音を出し続けていた。前説のお兄さんがひとしきり注意事項を我々に伝えてからメンバーの登場を促す際、小片さん、谷本さん、小野さん、とさん付けで呼んでいた。この紳士はメンバーに言及する際にいつも愛称やちゃん付けではなく名字+さんなのが好感が持てる。

メンバー登壇。小片リサさん、谷本安美さん、小野瑞歩さんの順番で右から現れた。私からは肩くらいまでしか見えなかった。ここは本当に好ましくない会場だ。まともに彼女たちの全身を目に焼き付ける幸運に恵まれたのは前の2-3列までであろう。人がまばらだったらマシになるんだろうが、満員状態だった。優先エリアの入場券は開演前に売り切れていた。

一人ずつ、衣装の説明をしていく。
・最初の小片さんは青いサッカー日本代表ユニフォーム。球技が苦手だからご自身はサッカー選手にはなれないけど、サポーターになりたいという意味を込めて選んだという。「サポーターって職業じゃないよね」と小野さん。
・二人目の谷本さんはグレーのキャビン・アテンダント制服。北海道に住んでいるので飛行機にはよく乗る。キャビン・アテンダントさんはいつも優しい。毛布いりますか?と話しかけてくれるし、荷物を上げてくれる。自分はキャビン・アテンダントにはなれないと思う。「無理だね」と小野さん。「キャビン・アテンダントになるには身長制限があるらしいよ」と小片さん。えーそうなの、じゃ私の身長では無理かなという谷本さんに「無理だね」とダメを押す小野さん。このイベントを通して、谷本さんと小野さんの仲の良さが感じ取れる。それも加味しての人選なのだろう。
・小野さんは、看護師。子供の頃、ドラマ『ナースのお仕事』が好きで(登場人物の)朝倉になりたかった。髪型も朝倉を真似した。ここで谷本さんが、小野さんが朝倉の画像を検索してこうやったら近くなるかなと試行錯誤しながら髪型を作っていたというエピソードを挟む。

・『就活センセーション』のフル音源が初披露された。スピーカーから流れる曲をみんなで黙って聴いていたのだが、その間メンバーたちがリズムを取ったり、何やら言葉を掛け合ったり、じゃれ合ったり、大げさに歌う真似をしておどけたりするのを見るのがとても楽しかった。ひな壇があった頃のハロコンのような。
・2nd singleのポスターが「ほぼほぼ」(谷本さん)出来上がったということで、A4?の紙に印刷された案が披露された。いわゆるリクルート・スーツを着用したつばきファクトリーが、駅のプラットフォームで一列に並んでいる。通勤中という設定なのかなという小野さんに、通勤だったらもう就職してるよと指摘する谷本さん。

『就活センセーション』にちなんで、就活ではプレゼンが大切だということで、三人それぞれが何かについてプレゼンを行った。
・小片さんは、サッカー。彼女がサッカーのよさを野球と対比しながら語る形式を採用したので、野球ファンの谷本さんとの対立構図が出来上がる。小片さん曰く、サッカーは選手が爽やか。半袖、短パン。それに対して野球選手は長袖で暑そう。(これに関しては「それはある」と谷本さんは認めていた。)野球は打ってから走らないといけない。「サッカーだって蹴ってから走らないといけないじゃん!」と谷本さん。小片さんによると野球は走る方向が決まっているがサッカーは自由であるとのこと。
・谷本さんはそれに対抗して野球について語る(即興でテーマを変えたっぽい)。野球はルールの制約がある中でのプレーが醍醐味だという。サッカーも一緒だよと突っ込みを入れる小片さん。さっき自由だとか言っていたじゃないかと抗議する谷本さん。二人による丁々発止のやり取りに何度も笑いが起きた。今日は谷本さんが凄く上機嫌で、愛嬌に溢れていて、微笑ましかった。
・サッカー、野球と来たから最後の小野さんもスポーツ関係のことを話せという流れになる。少し考えてから「分かんないよー!」と大きな声を出して困る小野さん。自分が最初に話そうと思っていたことをプレゼンすればいいよと助け舟を出す小片さん。谷本さんが「ネギ?」と聞く。それは言わないでという感じの反応の小野さん、谷本さんに「キライ」と怒る。けっきょく小野さんが選んだテーマは、湿布。温湿布はどんなときに使うか分かる?といきなり他の二人に問いかける。「質問? プレゼンするんじゃないの?」と戸惑う小片さん。冷湿布は炎症が起きたときにいいんだという小野さんに、「温湿布の話をしてたんじゃないの?」と即座に突っ込みを入れる小片さん。小野さん曰く、肩こりや腰の痛みには温湿布がいいのだという。ただ、さっき調べたからよく分からないとのこと。

・トーク・ショウの時間は30分。もう終わり?時間が過ぎるのが早かったと驚く三人。小野さん曰く「体感1分」。「それはない」と冷静に否定する小片さん。トークだけのイベントは谷本さんと小野さんは初めてだった。谷本さんは、小片さんがしっかりしているから任せてあとの二人は自由にやればよいと思っていた的なことを言っていて、小片さんもまんざらではなさそうだった。

・トーク・ショウが終わってから、CD(コンパクト・ディスク)予約用紙の落とし物があった旨を前説のお兄さんが通知した。予約者の名前は「女性のノムラ様と男性のマキノ様」。二人とも本名ではないに私は一万円を賭けたい。

・高速握手。小片さんに「好きなサッカー選手は?」と伺ったら「柴崎選手」とのご回答。谷本さんに「凄い面白かった」とお伝えしたら「本当? ありがとう」。小野さん、私を見てあ!(おまえ来たのか!)という反応を見せてくださる。「ネギの話、聞きたかった」と申し上げたら笑ってくださった。
・19時45分頃に私は握手列を抜けた。握手がぜんぶ終わったらメンバーの皆さんからサツアイがあるだろうからそれを見届けたい気持ちはあったが、私は21時から電話会議があるので帰途についた。