2018年10月22日月曜日

つばきファクトリー 小野瑞歩バースデーイベント2018 (2018-10-01)

本当に可愛かった…。いやあもう、ホントに。可愛さが詰まっていた。これまでに自分が観させてもらってきた小野瑞歩さんの中でいちばん可愛かった。新宿ReNYには前に一回来たことがあった。迷わないだろうとタカを括ってたんだけど、見つけるのに手こずってね。新宿ってのはつくづく分かりづらい。私はこの辺には土地勘がない。池袋ならそれなりに分かるんだけど。新宿という街が好きではないし、会場にたどり着けない焦りもあって、着くまではちょっとイラついてた。だけどバースデー・イベントが終わって、小野さんのお見送りを受けて、新宿のストリートに放り出された私に要らねえ怒りはまったくなくなっていた。幸せな時間の余韻に浸りながら、口は半開きの放心状態で新宿駅の方向に歩いた。

2列目のど真ん中だったんだ。何を観るにしても後ろよりは前で、端っこよりは中央付近の方が好ましいに決まってる。基本的には。でも、他ではないこの公演でこの位置をいただけたというのは私にとって特別だった。Hello! Projectでいちばん贔屓にさせてもらっているメンバーさんが一人で歌って踊るお姿を間近で鑑賞させてもらえる機会なんてまずない。小野さんが所属する9人組のつばきファクトリーでは、丸々一曲を誰か一人がパフォームするということはほとんどない。というかグループとしての公演では過去に一度もないはず。曲の中で一人だけに与えられるラインは限られる。コンサートでは曲によってグループを分割することはあるけど、一人ってのはない。今後はあり得るかもしれないけど(例えば退団が決まったメンバーさんの最終公演とかね)、今のところはない。メンバーさんが一人で何曲も披露する時間を味わえる唯一の機会がバースデー・イベントなんだ。

私にとってはつばきファクトリーよりも小野瑞歩さんが上位にある。つばきファクトリーの中だったら小野瑞歩さんが好き、ではない。小野瑞歩さんを信仰しているから、彼女が加入したつばきファクトリーを支持するのだ。もし小野さんがいなければ、私はつばきファクトリーのことを熱心に観てはいなかっただろう。リリース・パーティに一つでも行っていた可能性は低い。ましてや盛りだくさん会に申し込むのは絶対にあり得なかった。無銭イベントや接触には手を出さないのが自分の方針だったので。同じコンパクト・ディスクを何十枚も買う奴らを馬鹿にする側だったんだからね。私は。ちょっと前まで。小野瑞歩さんを観たいという欲求の前にはすべてが崩れ去ってしまった。つばきファクトリーの現場に行くのは小野瑞歩さんを観るのが目的であって、その他すべてはおまけに過ぎない。Juice=Juiceに関しては、グループ結成当初から観させてもらっているけど、はじめは宮本佳林さんもいいし金澤朋子さんもいいし、みんないいなという感じで、誰を推しに設定するかが絞れていなかった。2014年11月16日(日)に初めて観に行ったJuice=Juiceのコンサート(新潟)で、宮崎由加さんに決めた。Juice=Juiceという箱があって、その中から選ぶという順序だった。小野さんの場合は、まず小野さんありきだった。(もちろんその前からつばきファクトリーのコンパクト・ディスクは購入し曲を聴いていた。楽曲派なので)。もちろん小野瑞歩さんにしてもHello! Projectという箱から選んでいるのに変わりはないけど、グループへの興味と個人への興味では、圧倒的に後者への比重が高い。

いつまで小野瑞歩さんがバースデー・イベントをやってくれるのか、いつまで私が足を運べるのか、そこには未来に関する一切の保証がない。先例を見るかぎり、Hello! Projectに所属できる限界は25歳と言えそうだ。全員がそこまで勤め上げるわけではない。本人の、もしくは事務所の判断による突然の早期退職という道もある。姉妹グループのこぶしファクトリーを見れば分かる。私だって、Hello! Projectの現場に来られる環境がいつまで続くかは分からない。仕事が変わるかもしれないし、失業するかもしれないし、身体を壊すかもしれない。その合計で何回になるのか分からない機会の一つで絶好の席をいただいた。魔法にかけられたような、別の世界に連れて行かれたような、何とも言えない甘美な感覚を、Hello! Projectの現場で味わうことが稀にある。今日がそんな日だった。すぐ目の前で小野瑞歩さんが笑って、歌って、踊っている。衣装がまた最高で、眼福だった。可愛いとセクシーの融合。黒のタンクトップの上に前を開けたジャケット。紫のスカートは位置が高めだったのでおへそを拝見するチャンスはなかったが、脚を多めに見せてくださった。最前ではなかったものの、私の席は小野さんと正対することが多い真ん中だったし、ステージが近くて観やすかった。イベントの間は、昼で切り上げた労働、明日以降の労働、背中のコリ、その他ありとあらゆる人生の問題が頭から消え去った。小野瑞歩さんが笑顔で歌っていて、私がそれを観ている。幸せの定義が一つ分かった。

司会はさわやか五郎さん。お約束のブーイングを浴びせる我々。この公演(18時開演の部)が始まる前の小野さんはこれまでにさわやかさんが見てきた中でいちばん緊張していた。開演前に叫んでいた。ステージに登場してすぐの自己紹介で言い淀む小野さんに、入場からやり直す? と聞いて笑いを取るさわやか五郎さん。それで緊張が少しはほぐれたのか、徐々にいつもの小野さんらしさが発揮されてきた。18歳になった瞬間は、アップル・パイを作っていた。作らなきゃいけなくて…。え、パン屋さん? みんなに配った? 配ってないです。0:00ちょうどはパイに切り込みを入れていた。つばきファクトリーのメンバーでは岸本ゆめのさんと秋山眞緒さんがお祝いの連絡をくれなかった。でも翌日グループ全員で会ったときにお菓子をくれた。18歳だから出来る仕事も増える。幅を広げていきたい。目先では年末のカウコンが楽しみ。

事前に募集していた、お悩み相談。9月28日(金)という直前になって告知し、なおかつ自分で用紙をダウンロードして印刷してこいという謎の要求をしてきたアップフロント。何だコレは。事務所のプリンターが壊れたのか? 投稿したいのもやまやまだったけど私は用紙を印刷し損ねたので、他の人たちに委ねることにした。
・電車で席を譲れないのですが、どうしたらいいでしょう? はじめから座らなければ譲らなくていい。座っている前提で答えてというさわやか五郎さんの要求を受けて、ニコーっと相手に笑いかけると答える小野さん。どうしましたかと言われたら、あなたに席を譲りたくてと返す。
・読書の秋ですが、何を読めばいいでしょうか? 『アップ・トゥ・ボーイ』のグラビアにつばきファクトリー全員が出るので見てください。秋の日差しが降り注ぐ公園でベンチに座って見るといいんだね的なことを言うさわやか五郎さん。それは変な人ですよ…。変な人は電車でニコーってする人だよ。
・会社を早退してここに来たけど会社からの電話が鳴りやまない。出た方がいいのでしょうか? 今夜だけ浮かれちゃいましょう。明日が大変かもしれないけど、と微笑む小野さん。
・小野瑞歩さんのセクシー・ポーズを見ないと治らない病気にかかったという相談に、片方の肩を前に出してちょっと屈んだようなセクシー・ポーズ(?)を見せる小野さん。治りましたか? と投稿者に問いかけるさわやか五郎さん。治っていないという答えを半ば誘導する流れだったが、治ったと応える投稿者。治ったんかい、と突っ込むさわやか五郎さん。軽傷だったようで。
・最近、小野さんが怒ったことは、寝ているのにお姉さんが部屋に入ってきて電気をつけてメイクを始めたこと。消してと言ったら、今は消せないとメイクを続けるお姉さん。消して、と低めの声で口調を強くして静かに怒った。静かに怒るタイプ? ワーッてなったりはしない? なると思いますが、そうなったときのことは覚えていないです。
・全員のお悩みには答えられなかったので、皆さんを癒すためということで、去年のバースデー・イベントでも披露したフルート演奏。あれから練習したの? 去年のバースデー・イベントから触ってません。失敗してふき出すも、3回目くらいで成功。

勝ち抜いた三人がサイン入りポラをもらえるジャンケン。私は最初チョキで勝ち、次にグーで負けた。テンポをずらしてこちらの調子を狂わせてくる小野さんのマリーシア。四回戦くらいで三人まで絞られた。随分と早く決着がついたなと思ったけど、計算してみたら妥当だった。来場者は約二百人くらいだったはずなので、200を3で割り続けていくと4回目で2.5くらいになる。

サングラスをかけ変装し、サイトウキララとかかいうキャラクター(何だったんだアレは)に扮したモーニング娘。佐藤優樹さんが動画で登場。瞬時に佐藤さんであることに気付き悲鳴を上げる小野さん。アップフロント社内とおぼしき場所での撮影。AとBの会議室がある。それぞれにプレゼントが用意してあるのでどちらかを選んでほしいというサイトウさん。実際に会場に用意してあるので、小野さんが自分で選んだ方をもらえるという運び。動画の後に、片方しかもらえないと説明するさわやか五郎さん。エーイングする私たち。皆さんがエーと言っているので…とAを選ぶ小野さん。サイトウキララさんのオススメはBだそうです、というさわやか五郎さんの一言で慌ててBに訂正する。ステージに運ばれてきたBのプレゼントは、10月6日に出版される佐藤優樹さんの写真集だった。その場で夢中になってパラパラと(たぶん後ろのページから)めくる小野さん。表紙にサインがあるのは客席からも分かったが、どうやら本の中にもサインを見つけたらしく、大喜び。二冊予約しました、サイン入りも予約しました。当たるといいなと思って…。好きすぎる人か、と突っ込むさわやか五郎さん。動画の中で佐藤さんは小野さんのいいところについて、喜んだときのテンション・マックス、あと(どの箇所か)忘れたけど歌も好きだよ、と言った。

1.『純情cm(センチメートル)
2.『愛して愛してあと一分』(モーニング娘。)
『愛して愛してあと一分』は佐藤優樹さんに(8月18日にハロコンで会ったときに)私だったらこの曲が合ってると思うよと歌うことを勧められた。
3.『銀色のテレパシー』(Juice=Juice)
4.『ボーイフレンド』(藤本美貴)
9月29日(18歳になった当日)にはハロプロ・オールスターズのイベントで兵庫にいた。ファンの方が駆け付けてくれた。サプライズで『初めてのハッピーバースディ!』が流れて、みんなで誕生日をお祝いしてくれた。たくさんの応援してくれる人に支えられて生きていることを実感した。いつも元気をもらってばかり。返せるようにしたい。
5.『My Days for You』(真野恵里菜)
6.『心の叫びを歌にしてみた』(℃-ute)

つばきファクトリー加入当初のイベントではもうすぐ16歳になると自己紹介をしていたのに、もう18歳になりました。ハロプロ研修生になったのが中三で、今は高三だとしみじみ振り返り、歳とったなって…と小野さんは苦笑いをしていた。客席に腰掛ける人たちの年齢層が私よりも一回りは高いのが当たり前だから麻痺してしまうが、普通に考えて私がここにいるのはおかしい。親戚でもない美少女の18回目のお誕生日を祝うイベントに、倍の年齢の私が足を運んでいる。真っ当な人生を送っていれば自分に子供がいる頃だ。それは私を育ててくれた両親がずっと望んでいたことだし、自分も何となくそうなるものだと思っていた。でもそうはならなかった。長年の友人たちは子供が出来てから面白いくらいに疎遠になった。私の交友関係はTwitter経由で出会う本物たちにシフトしつつある。楽しいのは間違いない。だが、過去の自分から見たら、こうなりたくはないという未来の一つだろう。どうだったらよかったんだろうか? 例えば同じクラスの高校生として小野瑞歩さんと出会えていたら幸せだったのだろうか? 仮にそういう人生だったとして、苦い思いしか出来なかったことは目に見えている。クラス(学級)が同じでもクラス(階級)が違いすぎるからだ。私では、彼女とはまともに話すことも出来なかっただろう。今の私は、コンサートやイベントで彼女を観させてもらえる。イヤフォンからいつでもおしゃべりや歌声を聴かせてもらえる。年に数回、ちょっとだけお話が出来る。それらを通じて生きるための活力をいただける。それは、時空が歪み私が小野さんと同級生になった世界よりも幸せなのかもしれない。ファンはアイドルさんと握手会で対等な人間同士であるかのように接するが、本来は手を握ることも馴れ馴れしく話すことも許されるような階級ではない。それを忘れてはいけない。田村芽実さんに関しても似たことを前に書いたけど、演者とファンという関係と距離だからこそ好きで居続けられることもある。今日のセットリストは一年くらい前から考えていて、来年のセットリストも今日が終わったら考え始めるという小野さん。来年は何を歌ってくれるのだろう。そんなことよりも、今日ステージで彼女が飛び跳ねたときに二度くらい、ほんの一瞬だけ見えたスカートの中が私は気になる。

2018年10月15日月曜日

MC松島のワンマンライブ (2018-09-29)

何も書き残していないんでね、フリースタイルで、トップ・オブ・ザ・ヘッドで、ちゃちゃっと書きたいと思うんですけれども。行ってきたわけですよMC松島さんのワンマン。ワンマンというのは完全な和製英語なんでね、言葉にこだわる私としては使う奴に残飯食わせつつワンパン入れたい気分ですけど。いやワンマン(one man)という言葉はありますけど、一人の男という意味ですからね。ワンマンライブなんて一人の男、生身くらいの意味になるでしょう。前も書いた記憶がありますけどね。私がMC松島さんを知ったのはMCバトルがきっかけでした。ネタ仕込んでめかしこむっていうのはMCバトルではダサいとされるわけです。もちろんネタっぽく聞こえなければいいわけですが、価値観としては根強いわけじゃないですか。即興性の美学っていうか。ご本人はフリースタイルは別に得意じゃないと前におっしゃってましたけど、MC松島さんの現場を思い付くままに綴るっていうのは、何か合ってると思ったんですね。ヒップホップな気がするし、ジャズな気がする。というのは建前で、実のところは、手抜きです。どういう文にしようかなっていう構想から始めたくねえなって。面倒くさい。気が進まない。書かなきゃいけない現場が溜まっているし、時間が余っているわけでもないのでこの記事にそこまで構っている暇がない。MC松島さんだって、歌詞書くのはマジでめんどくさい 誰かに頼めるなら頼みたいって歌ってはりましたね。Major Cleanup 2015の“Jump Man”。Major Cleanupの三部作は、いいですよ。無料で落とせるんで、是非お勧めしたい。(と思っていたんですがもうアップローダーからファイルがなくなっているようです。)MC松島さんというのは好みが分かれるラッパーさんです。私が思うに彼はヒップホップとは何ぞやという一般(?)通念にとらわれずにやっている部分があって。ヒップホップであろうという以前に、面白い音楽、面白いラップを作ろうというのが第一にある人なんですね。それはKRSワンだとか2パックだとかの思想を守り続けるのがヒップホップだという向きからすると、けしからんわけですよ。Twitterでは某重鎮から目を付けられてね、お前はヒップホップを名乗るな的なことを言われて。MC松島さんは初めはヘラヘラしてましたけど、最近では明確に対立姿勢を打ち出しています。

実をいうと私もね、考えとしては重鎮さん側だったんです。数年前までは。彼は私にとって青春時代のヒーローでした。彼は私の人生に最も影響を与えた人物の一人です。自分を肯定すること、自分を強く持つこと、他人に簡単に左右されないリアルとフェイクの判断基準を持つこと、そういった信念を私に植え付けてくれたのが彼の音楽でした。彼の音楽に、彼の考え方に、私は救われてきた。すべてのアルバムをどれだけ聴き込んだことか。私のような人間が、リスナーにもプレイヤーにもたくさんいるはずです。それに比べたらMC松島さんが音楽の歴史や私という個人に与えてきた影響はまだちっぽけなものです。ただ、実績を抜きにしてね、今日時点でどっちがワクワクすることをやっているか、どっちが格好いいかというと、MC松島さんだと私は思うんですね。私がMC松島さんのファンになるというのはあり得なかったです。ごく最近までは。何があったんでしょうね。思い当たるのが、2013年5月に転職に失敗し、無職になったことです。それまでは自分を鼓舞してくれていたヒップホップがしっくり来なくなって、聴けなくなったんです。しばらくの間、ほとんどジャズだけを毎日聴き続けました。それまでは何かしらのヒップホップを毎日一時間は聴いていたはずなのに、受け付けなくなってしまいました。私にとってヒップホップは、失業生活の孤独や悲しみ、漠然とした不安に寄り添ってくれる音楽ではありませんでした。ジャズは私の苦しみを分かってくれました。ともあれ、しばらくヒップホップから離れていたんです。バトルにはまったのを契機に再び聴くようになるのですが、以前と比べてラップ音楽をフラットな目で見られるようになりました。ヒップホップであるかどうかよりもよい音楽かどうかを重視するようになりました。出来の悪いヒップホップよりも出来のよい他ジャンルの音楽に価値があると思うようになりました。

重鎮さんは歴史を学ぶことの大切さを訴えます。それは正論です。たしかに歴史を知ること、ルーツを知ること、クラシックをディグることは重要だし、何より面白い。私もB-BOYを自認するようなその辺の兄ちゃんよりもさまざまなアルバムを聴いてきた自信があります。好きなアーティストの客演等から芋づる式に山ほどの素晴らしい作品に出会いました。ヒップホップを聴いていなければマルコムXの自伝やアメリカの奴隷制度に関する本を読むことはなかっただろうし、ジャズをしっかり聴くこともなかったかもしれない。でも、伝統を守ることがヒップホップにおいていちばん大切であるかのような言説は腑に落ちないんです。映画『アート・オブ・ラップ』の原題に“Something From Nothing”(無から有を作る)という文言があったように、オリジネーターたちにとってはゼロから作るものだったわけです。過去の偉人たちが積み上げてきたものを守るという保守的なものではなかったはずです。無から有を作る音楽であり文化だったからこそ、クリエイティブで新しい表現が生まれたはずです。また、ヒップホップを通してアメリカの人種差別を知るというのにも限界があります。ラップを聴くよりも学者や専門家が書いた本を読んだ方が網羅的で正確な知識を手に入れることが出来ますから。

いかに伝統に立脚しているかよりも、歌詞や音の面白さ、新しさ、自由さ、楽しさを重視するようになった私は、MC松島さんの虜になりました。ヒップホップやラップ音楽に対してそういうスタンスを取るようになった時点で、私もヒップホップではなくなったのかもしれません。そうだったら、仕方ないです。MC松島さんの最近の作品でいうと“BIRTH OF THE HANAMOGERAP”には衝撃を受けました。問題作です。全編を通して日本語でも英語でもない謎のデタラメ言語でラップをし続けるという試みをしていて、単語レベルでさえ内容がまったく分からないという類を見ない作品です。パブリック・エネミーをいくら聴いてもこれを作ろうという発想は生まれないでしょう。“BIRTH OF THE HANAMOGERAP”のような新しい表現を次々に生み出すMC松島さんのようなアーティストこそが、ヒップホップなのかラップ音楽なのか知りませんが、音楽を発展させるのです。伝統の踏襲を最優先事項としたらその音楽ジャンルは終わります。MC松島さんのような人がいなければヒップホップは1,000円の廉価版で名盤が定期的にリイシューされるだけのジャンルになります。
この前のライブはどうだったって聞かれて何人くらい動員したとかって答えるようじゃ それはイベントかコンサートですね 俺たちがやるのはパーティだ まず楽しかったって答えなきゃ(MC松島、『素人主義』)
今日はMC松島さんにとって初めてのソロ・コンサート、もとい、パーティでした。同じ日に同じ下北沢でハハノシキュウさんのパーティもありました。少し迷いましたが、ハハノシキュウさんは今回を逃してもまた近いうちにお目にかかる機会がありそうだったのに対して、MC松島さんは次がいつになるのか分かりませんでした。普段は北海道にお住まいな上に、定期的にソロ公演をやるということをされていないので。なので、MC松島さんの公演を選びました。友人二人と一緒に観るつもりだったのですが、一人がSKE48の森平莉子さんという方の最終出勤を見届けたいということでキャンセルしたので、二人で観ました。私は14時から三ツ沢で横浜F・マリノス対ベガルタ仙台の試合を観ていました。シーズン開幕前には優勝を狙うと鼻息が荒かった新監督のポステコグルーさんでしたが、気付けば一部リーグの残留争いに巻き込まれています。マリノスはこの試合に負けると降格が大きく近づく、まったく気の抜けない試合でした。是非とも勝たねばなりませんでした(私はマリノスのファンです)。結果は5-2でマリノスが勝ちました。どれもこれも印象的なゴールばかりでした。特に仲川輝人選手の自陣から一人でドリブル突破してGKとの一対一を仕留めたスーパーゴール。あんなのは滅多に観られません。現地で目撃できたのは幸せでした。サッカーは結果がすべてのシビアな世界で、ましてやJ1残留がかかっている状況では否が応にも緊張感がありました。しかも雨が降っていまして。会場のニッパツ三ツ沢球技場は屋根がないので、合羽(スタジアムで購入)を羽織っての観戦でした。試合そのものの緊張と劣悪な鑑賞環境が相まって、普通よりも消耗しました。しかも今期のマリノスはハイ・プレス、ハイ・ライン、ハイ・リスク、ハイ・リターンでハチャメチャなフットボールなので、ハラハラドキドキしっぱなしで。気を休める暇がない。試合が終わるとドッと疲れました。

白熱した試合の余韻が抜けないまま下北沢THREEに入りました。MC松島さんのパーティが始まると、あまりに緩くて呆気に取られてしまいました。サッカーではスキを見せるとすぐに相手にボールを奪われて失点しかねません。身体を鍛えた青年たちがバチバチとぶつかり合い、ときには興奮し言い合いをしています。観ているこちらも感情移入していますから、ゴールが決まると涙が出ることもあります。それに引き換え、ステージに出てきたMC松島さんは飄々としていて、音楽では盛り上がりすぎて人が死ぬこともある、それはよくないから盛り上がりすぎないでくれ、俺も強要するつもりもないというようなことを冒頭におっしゃっていました。何だそれはっていう感じですが、そういう言葉の一つ一つがMC松島さんらしくて、自分を大きく見せようとか、何かを演じようというような意思がまったく感じられませんでした。正直言うと序盤は物足りなさを感じました。観ている方も様子を窺っている感じで、ほとんど盛り上がりませんでしたし。やっぱりこういう一人舞台は経験されていないわけだし、まだ力量が不足しているのではないかと思ってしまいました。ところが時間がたつにつれ、徐々にMC松島さんの世界に引き込まれていきました。驚いたのが、わずか30分程度で10分休憩に入ったことです。戻ってきたMC松島さんによるとこれは昔の長時間映画のインターミッションやジョン・ケージの『4分33秒』の手法を踏襲しているからやばいとのことでした。しかも10分休憩はもう一度あって。もう我々はMC松島さんの掌で踊らされている感じがしました。彼がトークで私たちに訴えかけたことが、お金を使えということでした。今日の物販でもいいし、終わってからどこかで使ってもいい。今ZOZOTOWNで買い物をしてもいい。飲み物もドリンク・チケットの一杯だけじゃなくてもう一杯飲め。彼の言葉に乗せられて、二度目の休憩で私はラムをロックで頼みました。最初の休憩のときは何でこのタイミングで休憩なんだという疑問の方が強かったですが、二回目は楽しくなっていました。むしろ休憩の方がいいんじゃないかっていうくらい。Twitterを眺めながらお酒を飲んでまったりするのが楽しかったです。セットリスト的は“hospes”収録曲が多かったですね。あとは『B.M.K.D.(バトルMCは曲がダサい)』とか。オリジナル曲以外にはキングギドラの『フリースタイル・ダンジョン』をカヴァーされていたのですが、ずっとスマートフォンでリリックを見ていました。会場で先行販売されていた“hospes 2”(“hospes”のリミックス盤)を買って、MC松島さんと2ショットを撮っていただきました。ハハノシキュウさんの公演に行けなかった分、私は8x8=49と印字されたTシャツを着ていました。

21時前には終わったので、終演後に夕食を食べる時間がありました。これはありがたかったです。連れと近くのKebab Chefに入って、認知症、癲癇、頭痛、うつ病、統合失調症、ADHD、性欲減退を引き起こすことが判明している(参照:デイビッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ、『「いつものパン」があなたを殺す』)パンを含む料理に舌鼓を打ちました。連れはラク(透明でアルコホール度数の高いお酒です)に初めて挑戦し、気に入っていました。23時半からアフター・パーティが開催されていたようですが、行きませんでした。こっちはジジイだし、その時間には寝ていたいんですよね。

2018年10月8日月曜日

微熱 (2018-09-23)

LIVE ROXY SHIZUOKA。忘れちゃいけねえ。あんたも覚えとけ。どんだけイカしたライブハウス(和製英語)なんだろうと、入る前に期待していたよ私は。だってさ、出来たばっかなんだよ。2018年4月28日から営業を始めたらしくて。新しいというだけで期待が高まる。わざわざ2018年にクソ会場を作らないでしょ。普通に考えて。世の中に数多と存在するライブハウス(和製英語)に関する情報は、インターネットで検索すれば誰でもある程度は手に入れることが出来る。設立や企画に関わる人間であれば、世の中にどういうライブハウス(和製英語)があって、どの会場が評判いいのか悪いのか、それがなぜなのか、よく調べているはず。その上で勝算があるからLIVE ROXY SHIZUOKAを作ったはず(前からあった場所を居抜きで引き継いでいるのかもしれないけど)。魅力的な会場じゃないと継続的に多くのミュージシャンを呼べないだろうし、そうなると運営が立ち行かなくなって、関係者の食い扶持もなくなるわけでしょ。私が今日の公演に申し込んだ理由は、一つは静岡が日帰りで行ける土地であること(けっきょく泊まったが)、また久松でマグロを食いたかったこと、そして、LIVE ROXY SHIZUOKAへの期待。当然、小野瑞歩さんそしてつばきファクトリーを観たいという前提がまずあっての話。

笑っちゃうよね。アレは。整理番号はたぶん500番まで出ていて、私は460番だった。視界は悪くなるだろうという予想はついたっていうかそれは確定的だった。私が入るのは夜公演だけだったんだけど、昼公演を前の方で観ていたダチによると、小野瑞歩さんと谷本安美さんの肩、山岸理子さんの胸の張り、秋山眞緒さんの脚、それらが見所だということで。460番じゃそれらを堪能するのは絶望的だった。彼は夜公演でも私よりもいい番号を持っていたんだけど(エグゼ様なので)、前方の景色は昼に楽しんだからと言って夜は私の番号まで待って一緒に入ってくれた。入った時点でフロアがほぼ埋まっているのは想定内だったが、想像を超える光景がそこにはあった。ステージと我々の間に立ちはだかっているのは人だけではなかった。中に便所でも作れそうなほどにぶっとい柱が二本。入ってすぐのところの上にモニターがあって、そっちで観た方がええんちゃうかって思えた。Yokohama Bay Hallにも柱があるけど、あそこは横に広いから、避けようがあるんだよね。それに段差がいくつかあるから、総合的には観やすいんだ。一方、LIVE ROXY SHIZUOKAと来たら横に狭いから逃げ場がなくて。若い番号を割り当てられない限り、柱に妨害されない位置を取るのは構造的に無理だ。会場がクソなのは議論の余地がないけど、こんなにたくさんの人を入れるのは想定していないんじゃないかな? 500番までチケットを売り出すアップフロントにも責任がある。売るにしても6,000円くらいで売っちゃいけないよ。1,500円とかなら理解できる。

係員の誘導で人の隙間を塗って右寄りのほぼ最後方についたけど、ステージの右半分はほとんど見えなくて。例えば挨拶のときにつばきファクトリーの9人が横に並んだら、左の5人くらいしか見えなかった。私にとって右半分が見えなくなるということは、単に半分の視界を失うという以上のことを意味する。ご存じのようにみずちゃんが頻出するのがそっち側なので、ほぼ何も見えないに等しかった。かといって避難できる場所もない。もう今日はこういう日なんだと割り切るしかなかった。経験上、こういう突き抜けて劣悪な現場は後々いい思い出になるので、そうなるときを待ち望むしかない。私だけではなかった。開演前から私の周辺には呆れと諦めが蔓延していた。口々に何だよコレは…見えねえ…的に愚痴っていた。でも殺気立っている感じはなくて、穏やかだった。誰かが出し抜けできないのもみんな分かっていたので、一種の連帯感さえ生まれた。柱だけじゃなくて私たちの付近ではカーテンがかかっていた。せめてカーテンを取るとかさ…と私が隣のダチに愚痴ると、近くの紳士たちが観づらいですよね、コレ取れるんじゃないのと反応してくれて、一人がカーテンをちょっと後ろにずらしてくれた。それに乗っかって私が一番後ろまで動かした。それでだいぶマシになった(と言っても知れてるけど)。施設側であらかじめ外しとけや馬鹿どもが。

ひどすぎて却って楽しくなって笑い崩れるほどの鑑賞環境。さっき酒(フォーナイン)を少し入れてよかった。良番をもらわなければ、酒がなければやっていられない会場。それがLIVE ROXY SHIZUOKA。Fuckin' shit。辛うじて観客の頭と頭の隙間から見え隠れするメンバーさんたちのご尊顔(ただしステージの左~中央に限る)。それを断続的に最前中央からジャンプで遮るおまいつ(静岡が地元の小野田紗栞さんを支持していること知られる)のモウホーク頭。地獄のような光景。始まってから何曲かで、この難局から脱するために私の後ろにいた何人かが別の場所に移った。そこで私の左後ろが少し空いたので、そこにずれてみた。すると初めよりも見える領域が増えた。つばきファクトリー全員が横一列に並んだら左から7-8人は見えるようになった。右のお立ち台にメンバーさんが来たら見えるようになった。最初はそこがまったく見えなかったので、コレは大きい。みずちゃんが少しは見えるようになり、QOLが向上した。全身は見えないけど、可愛い髪型と楽しげな笑顔を確認できて、思わずこぼれる笑み。在来線を使って家から約4時間かけて静岡に来てよかったと思えた。今日のみずちゃんはいつもに比べても特別にハイになっている感じがした。コンサート中に彼女は、これまでも楽しかったですけど、今日は特に楽しくって、何でか分からないんですけど。でも自分が楽しむだけじゃなくて、皆さんにも楽しんでもらえるようにしないといけない。それが出来るようにしていきたい。という旨のことを言っていた。終演後の全員握手でも、列に並んでいる時点でいぇーーーーーー!!!!!っていう大きな声が聞こえてきて。誰かと思ったらみずちゃんだった。髪型が可愛かったですと私は伝えるつもりだったけど、対面するとすぐにいぇーーーーーー!!!!!(左手を上げながら)からのありがとうございますで、こちらから言葉を差し挟む余地はなかった。これまで何度も握手させてもらってきてここまで弾けている彼女を見たことがなかった。約500人の観客全員にやっていたのかな? とても印象的だった。他のメンバーさんも全員みんなしっかり目を合わせて向き合ってくださった。プロフェッショナル。リスペクト。

コンサート中に秋山眞緒さんはこの会場の見えづらさに言及していた。柱があって見えづらい人もいると思いますが…のような感じで、私たちを気遣っていた。心の優しい子なんだなと思った。言い方によっては会場側へのディスになるから、口に出すのは勇気の要ることだと思う。LIVE ROXY SHIZUOKAは、これまで私が訪れてきた中で最悪のライブハウス(和製英語)だ。私の中での三大shit venueは、ここ以外だと周南チキータ西川口Hearts

とにかくLIVE ROXY SHIZUOKAはクソ。何度でも言う。ただ、それでもコンサートは楽しかった。この鑑賞環境においても楽しませてくれるほどなのだから、おそらく素晴らしいコンサートだったんだろう。衣装、歌唱、ダンス、セットリスト、演出(といってもライブハウスではほとんどないが)等々の構成要素のうち、私が満足に認識できたのは歌唱とセットリストだけだ。コンサートの全容については判断がしづらい。想像が入らざるを得ない。それでも怒りとか悲しみとか無念さよりも楽しい気持ちが上回った。あんまり見えなくてもつばきファクトリーの麗しさ、可愛さ、カヴァーも含めた楽曲の楽しさ(職安のような芸名の紳士によるものを除く)はよく分かった。何より小野瑞歩さんがあれだけ楽しそうだったのだから、最高のコンサートだったに決まっている。

終演後、清水の久松で20時20分から21時50分まで(22時閉店)ダチと飲んで、東静岡駅前の物音ひとつしないストリートで1時15分まで歓談した。彼は水着姿のHello! Projectメンバーさんが掲載されたエッチ本(ヤングマガジン)を舐めるように凝視しながらフォーナインを飲み、私は水を飲んだ。その後、ダチはインターネット・カフェ、私は時之栖SPA&HOTEL天神の湯に向かった。お風呂が7種類もあった。チェックインした時間にはお風呂が閉まっていたが、翌朝、堪能した。天然温泉付きのカプセルに外れなし(サンプル数:3)。


併せて読みたい:つばきファクトリー ライブツアー 2018秋 -微熱- LIVE ROXY SHIZUOKA

2018年10月5日金曜日

もみじ (2018-09-17)

最近のHello! Project研修生発表会は、厳密には研修生発表会ではなかった。デビュー済みのこぶしファクトリーやつばきファクトリーも出演していたからだ。私が最後に研修生のみ(+司会)の研修生発表会を観たのは2014年の12月だった。あの頃は生タマゴShow!という名前が付けられていた。後にこぶしファクトリーを構成する人員や、室田瑞希さん、船木結さん、羽賀朱音さんといった面々が研修生として出演していた。室田さんはアンジュルム、船木さんはカントリー・ガールズ、羽賀さんはモーニング娘。にそれぞれ加入し、同時に研修生としての活動からは足を洗った。2015年1月、研修生の中から新グループの結成が発表された。同年2月に集団名がこぶしファクトリーとなることが通知され、9月2日にはメジャー一枚目となるシングル『ドスコイ!ケンキョにダイタンラーメン大好き小泉さんの唄念には念(念入りVer.)』がドロップされた。ところがアップフロントは彼女らを2017年9月まで研修生発表会に起用し続けた。デビューから二年。モーニング娘。に選ばれた研修生が、モーニング娘。でありながら研修生発表会に何度も出続けるのはあり得ない。モーニング娘。になった時点で研修生ではなくなったのは明白だ。モーニング娘。の一員として活動していたら日程の関係で研修生発表会への参加は物理的に不可能だろう。一方、研修生から新たに立ち上げられた集団がどの時点で研修生ではなくなるのか、それは曖昧だ。名実ともに研修生という括りから外れるには、その集団としての活動が伴わないといけない。これはたとえば無職が書類上、株式会社を立ち上げただけで職を得たと言えるのかという問いに似ている。

二年間は長すぎた。普通に考えて、メジャー・レーベルでシングルを切った時点で研修生からは明確に切り離さないといけない。それが出来なかったのはアップフロントの責任だ。2018年9月現在メジャー・デビューから三年が経つこぶしファクトリーにはHello! Project全体のコンサートを除いて研修生発表会を上回る舞台はほとんど用意されてこなかった。研修生は四半期に一度、東名阪のZeppで発表会がある。一方のこぶしファクトリーは地方都市の小箱を中心とした巡業を続けている。かつてのJuice=Juiceとは違い、その先に日本武道館があるかもしれないというヴィジョンはまったくない。つばきファクトリーと合同で中野サンプラザとNHK大阪ホールでのコンサートを開催したのは一筋の光と言えるが、それも2018年5月まで待たなければならなかった。メンバーの相次ぐ脱退によって集団の発展にブレーキがかかったという見方もできる。しかし藤井梨央さん、小川麗奈さん、田口夏実さんが去った時期(2017年7月〜12月)を考えると、因果はむしろ逆だ。つまりメジャー・デビューしたにも関わらず一向に拡大しない活動規模が内部統制の乱れを招いたのだ。これは仮説だ。検証していないし検証のしようもないから、仮説というよりは戯れ言に過ぎない。しかし、研修生から昇格してもモーニング娘。かJuice=Juiceかアンジュルムに入らない限りは研修生よりむしろステージは小さくなり仕事内容は泥臭くなる(接触漬けになる)のがチグハグなのは議論の余地がない。地方都市のライブハウス(和製英語)巡業を今年から始めたつばきファクトリーにも言えることだ。

そのつばきファクトリーもようやく今回から研修生発表会に出なくなった。彼女たちのメジャー・デビューは2017年2月だったから、こぶしファクトリーに比べるとのりしろ期間は短かった。私はこれを歓迎する。そうじゃないと彼女たちが研修生から昇格した意味がないからだ。問題は研修生に与えられている以上の舞台をアップフロントがつばきファクトリーに用意できるかどうか。こぶしファクトリーを見る限り悲観的にならざるを得ない。しかしそうしてもらわないと辻褄が合わない。各グループ年二回の東名阪ホール(和製英語)ツアーくらい当たり前にやってくれ。最近のHello! Project各グループのコンサートはライブハウス(和製英語)か日本武道館と両極端になりがちだが、その中間を厚くしてほしいんだ。

ライムスター宇多丸さんが司会を務めるTBSラジオの『アフター6ジャンクション』に出演した上野まり子さん(ハロプロ研修生の歌唱指導を担当)が、特に名古屋と大阪はチケットが余っているので皆さん来てくださいという旨のことを言っていた。従来よりも売れ行きが少ないのか、いつも名古屋と大阪はそんなものなのかは分からない。もし前者だとすると、私には思い当たる理由が二つある。一つはつばきファクトリーの不出場、もう一つは転売集団の元締めと(2ちゃんねるで)される某有名最前おまいつが一線を退いたことでチケットの買い占めが減った可能性である。

つばきファクトリーは今日、新潟のライブハウス(和製英語)でコンサート。もちろん私はそっちに行きたいのもやまやまだったが、新潟にそこまで魅力を感じなかったのと(前にリリース・パーティで行ったが高い交通費を払ってまで再訪したい場所ではなかった)、経済的、健康的な理由で遠征をしばらく自粛することにしていたのだ。もっとも、仮につばきファクトリーの新潟公演に申し込んでいても外れていた可能性が高い。今の彼女たちは本当にチケットが取りづらい。でもたぶん新潟に集結していたんだろう、今日はつばきファクトリーのおまいつたちをZepp Tokyoでは見なかった。私は今回のつばきファクトリーのツアーに関しては静岡の昼夜、横浜の昼、群馬の昼夜を申し込んで静岡の夜だけが当選した。涼しい時期に彼女たちを観に、広島か博多に行きたい。Juice=Juiceでもいい。もう遠征に不安がない体調になってきている。7月からの食事制限が効果を表している。

コンサートが久しぶりすぎて(8月25日以来)、双眼鏡を忘れた。日替わり写真のアルバムも忘れた。14時過ぎに会場着。駅から会場までがやたらと混んでいた。何かのイベントがあるらしく、その辺の芝生で飲酒、セックス、殴り合いを始めそうな露出度の高い男女の若者が大勢いた。

14時すぎに現地に着いたがまだ外でグッズを売っている。並ばずに島倉りかさんの日替わり写真を購入。最後の一枚だった模様。席に着く。14時23分、開演前の握手を終えた新グループのメンバーさんたちが左の通路を抜けていった。つばきファクトリーとは違ってこっちを向いたり手を振ったりはしていなかった。今日は30列中の13列、真ん中のブロック。ちょうど中央くらいの、平凡な席だったので期待はしていなかった。実際に座ってみると思ったより近く、視界を大きく遮るジャンパーや大男もいなかった。双眼鏡なしでも意外と不自由はしなかった。とはいえ、平らなフロアなので、前方の観客によって視界はある程度、制限された。頭と頭の隙間を塗ってステージ上の演者さんを観る感じだった。運良くステージの真ん中付近はほぼずっと見えていた。為永幸音さんがその位置に来ることが多く、目に留まった。この人だけをずっと追いかけたいという人が今日はステージにいなかったし、為永さんはマイメンの崇拝対象だし、何よりお腹を誰よりも見せてくださっていたから。せっかくおへそを出してくださっているのに凝視しないのは失礼だし。

小野瑞歩さんがいなかったのと、双眼鏡を忘れたことで、余計なことを気にせずに純粋にコンサートを楽しむことが出来た。特定の人ばかりを観なかったこと、視界を拡大・限定する道具を持ち合わせなかったことで、集合体としてのハロプロ研修生のステージ・パフォーマンスを身体で感じることが出来た。いつも以上に、元気な若者たちの溌剌とした表現がまぶしかった。まことさんも終盤に、人生がうまくいくとは限らないけど、うまくいかないときに研修生のキラキラと輝く姿を観ると癒されるという旨のことを言っていた。

非の打ち所のない、最高に楽しいコンサートだった。セットリストが素晴らしかった。これ以上は望めないほど。まさにBest of Hello! Project MIXという感じ。Hello! Projectコンサートだと各集団の最新曲をやるとか、選曲する上での縛りが結構あると思うんだけど、それに比べて研修生発表会は自由だ。SHOCK-EYEさんの曲を聴かされる心配もない。『都会っ子純情』(℃-ute)、『Danceでバコーン!』(℃-ute)、『エイティーン・エモーション』(スマイレージ)、『初めてを経験中』(Juice=Juice)、そして最も意表を突かれたのが『すき焼き』(モーニング娘。)。そこでそう来るかっていう。たまらなかった。春の公開実力診断テストで『春恋歌』(つばきファクトリー)を選んだ理由を簡単だからと言ってのけた松原ユリアさんが今日、同曲をパフォームする中にいたのは趣があった。『Danceでバコーン!』は℃-uteのコンサートでは終盤やアンコール開け一曲目の定番で、絶対にヘッズがぶち上がること間違いなしのチューンだった。最近は聴く機会がめっきり減っていた。あの頃を思い出して、とても楽しい気持ちになった。通路へのいわゆる降臨は短時間でめくるめくメンバーさんが入れ替わっていく形式だった。次に誰が来るんだというワクワクがあった。私の近くには江口沙耶さん、清野桃々姫さん、小野琴己さん、松永里愛さん(いや、窪田七海さんだったか?)がお越しになった。『Danceでバコーン!』の心が随分と軽くなる…のくだりのムーヴでしなる小野琴己さんの背中。

クイズ形式のトーク・セグメントでは島倉りかさんと土居麗奈さんが話を披露した。島倉さん曰く、一岡伶奈さんと電車で移動中、一岡さんがプラットフォームの柱と壁の間に挟まった。バックパックが抜けなくなった。近道のつもりで通ろうとしたが、それが原因で乗り遅れた。周囲の人が冷たい目で見てきたので、私(島倉さん)も他人の振りをした。土居さん曰く、お店でタピオカ・ドリンクを頼んだがタピオカが一粒も入っていなかった。飲んでいる最中はおしゃべりに夢中だったが、飲み終えてから気が付いた。悔しくて後でもう一杯買って飲んだらお腹が痛くなった。そのセグメントとは別に、まことさんから新グループを結成してから印象に残ったことを聞かれた島倉さんは、握手会で地域(地方)の人たちと直接お話が出来たのが嬉しかったとにこやかに語った。受かる面接の受け答えのようですね、と一緒に観たギャンブル依存症の中島は後で私に言った。彼に島倉さんのような前向きな発言が出来れば、数え切れないほどの採用面接で落とされずに済んだであろう。