2017年1月29日日曜日

ニューワンマン2 (2017-01-21)

DOTAMAさんの単独コンサート『ニューワンマン2』を観に行かせてもらいました。実を言うと、この公演の存在に気が付いたのは6日前の1月15日でした。完全に見逃していました。それも無理はありません。ここ数ヶ月はハロー!プロジェクト関連のコンサートと、ブログの執筆で休日の大半は埋まっていました。それ以外のことに目を向ける余裕がなかったんです。DOTAMAさんはTwitterでフォローしているのですが、言っても私が500近くフォローしているアカウントのうちの一つなので、おそらく前々から宣伝はしていたんでしょうが、私の目には入ってきませんでした。これがハロー!プロジェクトだったら、公式アカウントだけじゃなくてフォローしている無数のファンのアカウントが24時間体制で言及しているからTwitterを開けば否が応にも気付くんですよ。DOTAMAさんに関して同じような熱量で言及するアカウントも存在はするんでしょうが、私はフォローしていないんです。DOTAMAさんは『フリースタイルダンジョン』のレギュラー出演者なのでおそらく番組でも告知はされていたんでしょうけど、私がこの番組を観るときは試合以外の箇所は早送りで飛ばすので、宣伝はまともに見ていないんです。

『フリースタイルダンジョン』で一気に知名度と人気を高めたDOTAMAさんなので、公演の6日前にチケットは手には入らないんじゃないかと思っていました。渋谷のWWWという会場だったんですけど、ネットで検索したところによると収容人数は400人くらいらしくて、まあそれくらいなら今のDOTAMAさんであればすぐに売り切れても不思議じゃないですからね。ところがイープラスのサイトを覗いたらまだ買えるっぽかったんですね。さっそく前回の『ニューワンマン』を一緒に観に行った二人に声をかけました。片方は行かない、もう片方は行けないということで、断り方に違いはありましたが、まあ二人とも来ないというのは想定済みでした。チケットは3,500円で、ここにお馴染みの何とか手数料が加算されて3,700-3,800円だった気がします。前回のチケット代は2,000円でしたが、費用と客数を考えるとDOTAMA側にほとんど利益は出なかっただろうと想像します。値上げ(?)した3,500円でも、普段の私の感覚からすると十分に安いです。ハロー!プロジェクトは通常のコンサートやミュージカルで7,000円、メンバー総出演のハロコンで9,000円くらいしますから。3,500円というのはハロー!プロジェクトでいうと研修生発表会と同じ値段です。もちろん値段だけでどっちが高いとか安いとか、単純に比較は出来ませんけどね。友人たちが不参加なので自分の分だけを買いました。前売り券は、1月18日(水)に完売したのでギリギリでした。

大久保「ナングロ」でサマエボウジ、マトン・シェクワ、生ビール、アイラアー(ネパールの透明な強いお酒。検索したところによるとアルコホールは48度らしい)をいただいてから渋谷に向かいました。18時開場、19時開演だったんですが、18時半頃に渋谷WWWに着きました。いい番号ではありませんでした(B147という番号でした。憶測ですが、先にAが200番くらいまであって、その次にBも200番まであるとか、そんな感じだと思います)し、ハロー!プロジェクトのコンサートと違って別に前方でがっつきたいわけではなかったので開場時間よりも遅れて到着しました。その時間になると誰も並んでおらず、そのままスルッと中に入れました。B-BOYっぽい兄ちゃんにチケットをもぎられて、姉ちゃんに500円を渡して受け取ったドリンク・チケットでジン・トニックを手に入れ、グッズのメガネTシャツ3,000円を買って、カバンを300円のコイン・ロッカーに預けました。フロアはけっこう埋まっていましたが、運良く段差になる前の左端という悪くない位置につくことが出来ました。(この会場は三つくらい段差があって、それぞれに一番前の人が手をかけられる手すりが付いていました)。ジン・トニックを飲んで、DJ(誰だか存じ上げません)が奏でる音楽に身体を揺らして、開演を待ちました。19時間際になると駆け込みで人が入ってきて詰めた関係で、真ん中寄りのさらに見やすい位置に移ることが出来ました。DJは開演の直前にKuma the Sureshotさんと入れ替わりました。

観客は満員で、7割方は若い女性でした。20代前半から半ばくらいの。前回の『ニューワンマン』でも女性ファンはいましたけど、今回は女性が圧倒的多数でした。『本音』という“DOTAMA BEST”に収録された新曲をパフォームするために登場した般若さんも曲の後に「ほとんど女性じゃないか」と観客を見回して感心していました。「この中の何人とやったの?」「どれとアレしたの?」と追及する般若さんに、「やった…とは? どういうことですか?」というように首を傾げてとぼけるDOTAMAさん。その度に般若さんが笑いをこらえられないのが面白かったです。私の近くにいた若い女性二人組の片方が、DOTAMAさんがジャケットを脱いで我々に背中を向けた際に「お尻!」と興奮しお友達から「黙れ」とたしなめられていましたが、ああそうか彼女たちはDOTAMAさんをそういう目でも見ているんだなと思い、何だか新鮮でした。それ以外にもDOTAMAさんを「可愛い」と言っているのが周りから何度か聞こえました。DOTAMAさんを男性として魅力的に感じている女性が多そうでした。そうは言ってもあなたの精子をくれ的なことをうちわやボードに書いてステージに向けるようなあからさまな性欲の発露はまったく見受けられませんでした。それは極端にしても、レスを要求するような人も見ませんでした。皆さんちゃんと音楽を聴いてコンサート空間を楽しまれていました。ですので少数派だった男性の私でも居心地の悪さはなかったです。DOTAMAさんはステージで女性たちに媚びを売るような言動は少しも見せていませんでした。それどころか女性が多いということへの言及すらご自身からはしていませんでした。女性ばかりじゃないかと般若さんに言われたときも「いや、いかついB-BOYもいますよ」「いかついB-BOYはいないだろ」「ひょろっとしたB-BOYも…」という会話をしていました。

普通の男だったら、これだけ多くの若い女性が自分を見に来たらもうちょっと舞い上がるでしょうね。観客の女性率に喜びを表して「女の子のみんな、調子どう?」と呼びかけて声を出させるくらいはやっても不思議じゃないんですよ。でもDOTAMAさんはそんな浮ついた素振りは微塵も見せなかった。来ていたすべての観客を、コンサートに来てくださったお客様として平等に扱っているように見えました。こんなに多くの方が来てくださるとは思いませんでしたとは言っていましたが、観客の属性については何も言っていませんでした。そういうところからしても、本当に生真面目に音楽をやっているんだなと。ステージで自分の最大限のパフォーマンスを見せて、愚直に音楽を楽しませる。このコンサートで披露された曲でもある『真面目な男』(“DIRECTORY”収録)そのものです。「真面目にやる 真面目にやる 真面目にやるからマジでリアル」という姿勢が、このコンサートからひしひしと伝わってきました。DOTAMAさんの真面目さがコンサート空間に独特の安心感をもたらしていたと思います。

あまりにトークが少なくて、時間がだいぶ前倒しになっていたようです。般若さんが出てくるのは20時15分くらいの予定だったのが実際には20時より前になったそうです。般若さんは『本音』の後に、出てくる前にスタッフから時間が巻いているからしゃべってくれと言われたとDOTAMAさんに言いました。DOTAMAさんは近くに置いてあった時計を見て、あれおかしいなという顔をしていました。ということで時間を消化するために二人でしゃべったのが、このコンサートで唯一まとまった時間のトーク・セグメントと言える箇所でした。それえ以外も含めて、コンサートを通して面白かった話をいくつか挙げておきます:
・「一緒にダンジョンやめない?」と切り出す般若さん。明確に肯定も否定もしないDOTAMAさん。月に一度は必ず誰かと罵り合いをしなければならないことの精神的負担は大きいとDOTAMAさん。
・『本音』への客演オファーを受けたときにどう思ったかというDOTAMAさんの問いに「変態が何か言ってきたな」と般若さん。「般若さんも、へん…」「俺は普通にやってるつもりなんだけどね」
・服装を「ドッタンに寄せてきた」とスラックス、タック・インしたシャツにネクタイ、ベストというスタイルの般若さん。DOTAMAさんは白スーツ。
・DOTAMAさん曰く先ほど裏でハハノシキュウさんとも話していたが、『フリースタイルダンジョン』は素人が出てきてめちゃくちゃなことを言う方が絶対に強い。同調する般若さん曰く、誰かの彼女が出てきて「お前イクときに声がでかい」と言われたらもう頭を下げて降参するしかない。
・自分を何で知ったか観客に挙手させるDOTAMAさん。バトルで知った人? ほとんどの人が挙手。音源で知った人? ごく少数が挙手。バトルで知ったけど音源もイケてると思う人? ほとんどの人が挙手。「そりゃそうだよね(自分の単独コンサートなんだから)」とDOTAMAさん。
・今日はリハーサルのため14時頃に会場入りし、入り口にあったファンからの献花に泣きそうになったDOTAMAさん。
・バトルMCの音源がイケていないという言説に異を唱えるDOTAMAさん。曰く、バトルは悪口の言い合いなのでやる方も観る方もアドレナリンが出る。罵り合う興奮と音楽的な興奮は異なる。バトルと音源が違うのは当然。一緒にするべきではない。
・DOTAMAさん曰く、伝統を守るのもいいが、新しいこと、面白いことをやるのがヒップホップ。自身がヒップホップに初めて出会ったときの衝撃が、新しさ、面白さだった。

セットリストは前回の『ニューワンマン』公演に似ている部分もありましたし、更新されている部分もありました。似ていた部分としては、前半はメドレー的な形式が多かった。『音楽ワルキューレ』から『音楽ワルキューレ2』につなげる流れは『ニューワンマン』でもあったと記憶しています。前回も思ったのですが『音楽ワルキューレ』はフルで聴かせてもらいたかったですね…。盟友ハハノシキュウさんとは、名盤『13月』から『2012年にクリスマスが終わる』を歌いました。大好きなハハノシキュウさんの出演は嬉しかったですが、前回のコンサートで楽しくて仕方がなかった二人のフリースタイルでの掛け合いも見たかったです。余った時間をトークで潰すくらいなら(そのトークも面白かったですが)もうちょっとハハノシキュウさんとの絡みを見せてほしかったです。更新されていた部分としては、まずCMソング・メドレー。DOTAMAさんが2016年にテレビ・コマーシャルでこなした数多くのラップが連続的に披露されました。他には、前回の公演ではまだ存在しなかった新曲ですね。Kuma the Sureshotさんとの“DIRECTORY”からは4曲ほど歌っていましたし、“DOTAMA BEST”の新曲は三つともセットリストに入っていました。『ニューワンマン』と『ニューワンマン2』の間のDOTAMAさんの音楽家としての積み重ねが、そのままセットリストに表れていると感じました。単にテレビに出ているだけではなく、着実に曲を作って発表している。その活動が可能にしたセットリストでした。DOTAMAさんがバトルの人気者で満足するのではなく、アーティストとしての本筋を見失っていないというのが伝わってきました。夏には東名阪ツアーが決定したそうです。

セットリストに入れてくれて私がいちばん嬉しかったのは『通勤ソングに栄光を』です。DOTAMAさんの曲で一番好きです。DOTAMAさんはコンサートでこの曲について元サラリーマンという自身の来歴に触れつつ、サラリーマンはイヤな仕事に向かうために通勤中に好きな音楽を聴いて気持ちを盛り上げている。そんな歌になればいいなと思って作ったと言っていました。私自身について言えば、無職だった頃に求職のためスーツを着て企業に向かう電車の中でこの曲を聴いて、涙が出そうになったことがあります。それくらい、私にとっては沁みる曲です。他に印象的だったのは『じいさんばあさんのうた』。おじいさん、おばあさんになった気持ちで聴いてほしいというDOTAMAさんの要請で我々はみんなして腰をくの字にしてゆっくりと手を左右に振りました。なかなかシュールで、楽しかったです。

今日のステージ・パフォーマンスを観させてもらって、DOTAMAさんの音楽家としての強度を頼もしく思いました。バトルで強いけど音源がサッパリという人は、現に存在すると私は思います。『B.M.K.D.(バトルMCは曲がださい)』は残念ながら一般論としては真実です。そういうラッパーは、音楽家としての活動の量と質がバトルMCとしての活動の量と質に負けているんだと思います。『ニューワンマン2』でのDOTAMAさんの発言とパフォーマンスに触れさせてもらって思いましたが、彼はバトルと楽曲を別物とはっきり切り離しているからこそ、バトルMCである前にラッパーであり、ラッパーである前に音楽家であるというのを忘れずに精進(精進とは彼がよく使う言葉です)しているんだと思いました。バトルのイベントでR-指定さんが持ち歌を披露するのを観たことがあるんですが、一曲だけでめっちゃ息が切れて苦しそうだったんですよね。バトルで8小節を2-3本やるのと、1曲を丸ごと歌うのとでは要する肺活量がまったく違うでしょうし、出ずっぱりの単独コンサートとなるとなおさらです。DOTAMAさんがバトルでR-指定さんに負け続けたとしても、それはバトルMCという階層の話であって、ラッパー、音楽家という階層での評価とは直接の関係がありません。DOTAMAさんには「君は確かにMCバトルの申し子 でもミュージシャンとしてはトーシロー」とR-指定さんに中指を立て続けてほしいです。

2017年1月13日金曜日

Kaleidoscope (2017-01-08)

1.大久保

これがリアルなやり方なんだと言わんばかりに葉っぱのお皿に乗ったネパール料理を手でかき混ぜて食っていたら、ネパール人の団体がスプーンを使っていて困惑した。「ナングロ」でサマエボウジを食うのはこれで4回目だが、4回ともネパール人の客が手で食うのを見ていない。みんなしてスプーンを使ってやがる。何がリアルで何がフェイクなのか? 自信が揺らぐ。私がリアルで彼らがフェイクなのか? 彼らがリアルで私がフェイクなのか? ネパール料理の作法については彼らがネパール人という時点で圧倒的に有利なのである。手で食べるなんて行儀の悪い食べ方だと仮に向こうがあざ笑ってきたら、こっちは反論のしようがない。私は日本のネパール料理店には何度も行ったことがあるが、ネパールに足を踏み入れたことは一度もない。2010年にインドのデリーで現地民の家にお邪魔してカレーをご馳走になったことがあるが、そのときにインド人が手で食べるのを見た。2008年か2009年に南インドに行ったときにもインド人が葉っぱの皿で提供されるターリーを手で食うのを見た。だからこういうターリー的なフォーマットの料理を手で混ぜて食べるという風習があるのは知っている。ネパール料理店で目の前のネパール人がスプーンで食べていると少し不安になる。それでも自分がリアルだと信じたやり方を貫くのがヒップホップだ。後に入ってきた女性二人組が私の隣に座った。初来店のようだった。サマエボウジを手づかみで口に運ぶ私を凝視はしていなかった彼女たちだが、視界に入って気になっていたのだろう。「混ぜて食べてください」と店員に言われ、運ばれた料理を前に一瞬、固まっていた。「スプーンを使えばいいですよ」という店員の言葉に、ほっとしたような笑いをこぼした。なぜ私がターリー的な料理を手で食べるのがリアルだと信じているかというと、その方がより多くの感覚を用いてその食べ物と向き合えるからだ。もちろん実際に手で直に触れて口に運べる料理は限られている。でも想像してみてほしい。ハンバーガー、サンドウィッチ、ピッツァをナイフとフォークで食べるのを。何かが違わないか? 手に触れる感覚がないと何か味気ないと思わないか? そういうことなんだよ。寿司だって手で食べるのは普通だよね。

2.中野

Kaleidoscope公演の冒頭ではスクリーンに「謹賀新年」の四文字が映し出される。「あれは私が書いたんですよ、知らない人もいると思うので言っておきたい」。序盤にまこととトークを繰り広げるために室田瑞希と一緒にステージに姿を現した竹内朱莉が胸を張った。「知らなかった」というまことは、「見直した」という元の評価があまり高くなさそうなほめ方をした。会場に鳴り響く拍手に合わせて、私も形式的に手を叩いた。まず、謹賀新年的なフレーズ全般をあまりよく思っていない。そして竹内朱莉にそこまで興味がない。ハロコンの客席には贔屓のメンバーやグループ以外の出番では席に座って携帯をいじり出す人も一部にはいる。さすがに私はそんなことはしない。ハロプロのすべての楽曲を聴くし、どのグループにも気になるメンバーはいる。とはいっても、全員と全グループに同じだけの愛情を注いでいるわけではない。序列はある。竹内朱莉よりと室田瑞希であれば、明らかに後者に興味がある。

室田瑞希は露出の多い私服を着ることで有名である(別に私の彼女への興味はそれが理由ではない)。アンジュルムの同僚が言い出したのが始まりだと記憶しているが、今では誰もが知るところとなり、彼女は半ば変態的な扱いを受けている。竹内と室田が出てきたのはいくつかのシャッフル・ユニットがパフォーマンスを披露した後だった。竹内と室田はまだだった。このブログにも書いているようにKaleidoscope公演ではシャッフル・ユニットの衣装を各メンバーが自ら選んで買っている。室田は後のセグメントで披露する自分の衣装に関するエピソードを話した。衣装でジャケットを着ているという室田。「ジャケットの中は普通に服を着てるんですけど」と言って観客の心を一本釣りした。自分の個性と何が求められているかをよく分かった発言である。それでいて、あざとすぎない。「着てなかったらダメでしょ」という竹内の突っ込み。そのときに起きた観客からのフーという歓声は、竹内の上手なお習字への儀礼的な拍手と違い、情熱的であった。室田曰く中に着るはずだった服は海外の業者に注文したが、今(1月8日)でもまだ届いていない。日本の業者にお急ぎ便で頼んだら翌日に届いた。ジャケットは本革で重く、腕が上げづらく、踊りにくいという話であった。黒いTシャツ的な衣服であったが、お腹のあたりは生地があったりなかったりしておへそが見えていた。さすがの選択である。その上に着ていたのは青いライダース・ジャケットだった。(ところで二つ前の記事で岸本ゆめのと浅倉樹々がお腹を出していたと書いたが、他に少なくとも室田瑞希、竹内朱莉、小関舞がお腹を出していた。おへそまで出していたのは岸本、竹内、室田の三人だけだったような気がする。)

一つのグループに他のグループからダメ出しをするセグメントは、標的がカントリー・ガールズだった。私が入らせてもらった3回のKaleidoscopeでは今日の回が抜群に面白かった。
・アンジュルム勝田里奈「アンジュルムにはほめ上手がいない。だから(ほめ上手で知られる)梁川奈々美ちゃんに私をほめてほしい」。「ハードル高いね」と嗣永。「勝田さんのいいところは、お洒落なところとかスタイルがいいところと皆さんは思いがちだが、本当のよさは省エネなところ。二酸化炭素の排出量が少ない。環境によい。アンジュルムの中で一人だけパフォーマンスにダイナミックさが欠けてしまったとしても環境のために省エネを貫く勝田さん」と梁川。モーニング娘。石田亜佑美のこともほめるという流れに。「石田さんの本当にいいところは倹約家なところ。スーパーに入り浸り、値引きのシールが貼られるのを、野生の獣のように待ち続ける。1円でも安くなるまで私はここを動かないという忍耐力、我慢強さ。他には後輩と出かけたときに後輩の財布は後輩の財布、自分の財布は自分の財布というけじめ」。爆笑をかっさらう。
・つばきファクトリー小片リサ「嗣永さんは自分のことをももちと言うがたまに私になっている。統一してほしい」。嗣永桃子「ガチなやつだ…」。小片「はい。直してください」(にっこりと微笑む)。ここで山木梨沙が割り込む。「そんなことはない。ももちだと可愛くて、私だと知的な感じが…」と嗣永をおだて始める。モーニング娘。飯窪春菜が「いつもカントリー・ガールズのこの感じは何なんですか。嗣永塾と言いますか…みんな本心では思っていない」とぶっ込む。すると即座に森戸知沙希が泣き真似を始める。「そんな風に思ってたんですか…ひどーい…飯窪さんのことは信じてたのに…」。
・梁川の見事すぎる一連の「ほめ芸」と森戸の小芝居で会場はめちゃくちゃに盛り上がる。私も笑いすぎて、この辺からは細かい内容があやふやだ。ディスの内容は忘れたがJuice=Juice高木紗友希が船木結に三つの単語を言って、船木が可愛く言う。そのうちの一つが2017年だった気がする。船木が極端なぶりっ子というか何というか、とにかく振り切ったキャラクターを演じていた。何を言うにしても「○○でちゅ」的な。
・誰のどういうディスだったかは忘れたが、山木梨沙がセクシーさを見せる。最後は他メンバーも加勢し、全員であえぎ声を連発して、もうめちゃくちゃになる。
・最後は全員で「以上、カントリー・ガールズでしたー」と締める。芸人集団のようだ。

後に加賀楓と横山玲奈がまことと話すセグメント。まことに先ほどのカントリー・ガールズのセクシーぶりはどうだったかと聞かれ「見ていて、疲れたなあ…って思いました」と返す加賀。「言うねえ、率直に…」とまこと。まことが加賀と横山にモーニング娘。に入ったきっかけと憧れの先輩を聞いた。加賀は“One・Two・Three”ではまっていろいろ観るようになって、11期オーディションを受けた。憧れは鞘師里保。横山玲奈はテレビ番組のドッキリ企画を観たのがきっかけ。寝起きなのにちゃんとパフォーマンスをこなすモーニング娘。を観て自分もああなりたいなと(「寝起きで踊りたいわけじゃないですよ」と補足)思った。憧れは小田さくらと広瀬彩海。

最後の挨拶のまこと。「入った頃には生まれたてのひよこのようだったかなとも。今ではまぶたにキラキラメイクをするようになった。目が行く」

3.大山

「根本的に見方が違うんですかね」―コンサートを観て何を覚えているか、何を覚えていないかについてある人と話した。私のブログを読んでくれている彼は、よくあれだけコンサート中のトークの内容を覚えていられますねと感心していた。彼が言うには普通に考えれば会話というのはストーリーがあるから記憶に残りやすいはずなのに、後になるとそこまで明確に覚えていないらしい。私は細かい言葉遣いまでは無理にしても、大体の流れや概要は比較的、苦労せずに思い出すことが出来る。反面、以前から自分でも気になっていることがある。セットリストを覚えられないのである。トークの内容は後からでも思い出せるが、どの曲をどういう順番でやったかはその場で書き留めでもしないかぎり再現できない。
「それこそ最初の曲と最後の曲とか(しか思い出せない)?」
「そうそう。5曲で3回まわしのイベントとかだったらさすがに覚えられるけど、普通の20曲くらいあるコンサートは無理」
おそらく私のような人間とセットリストを後から淀みなく書き出せる人間とではコンサートの見方が違うのだろうという話になった。その通りなのだろうが、それでは私がまるで音楽は二の次でトークを目当てにコンサート会場に足を運んでいるようである。そんなつもりはない。音楽はしっかり聴いている。にも関わらず発言内容が自ずと頭に残るのに対しセットリストはあえて「思い出そうと」しなければ記憶から引っ張り出せない上に記憶の質が低い。なぜだろうか? はっきりした答えはまだ分からないが、たぶん私の音楽との付き合い方が関係している。私にとって音楽は個々の曲というよりはアルバムである。気に入った曲はこのアルバムの何曲目という認識の仕方をしている。シングルでもなければ題名が分かっていないのが普通だ。私が長年に渡って愛用するiPod shuffleは曲の名前が見えないのでなおさらその傾向が強くなったのかもしれない。つまり、そもそも一つ一つの曲の名前をしっかり覚えて認識する習慣がないのである。

よく覚えていないのはセットリストだけではない。たとえば小野瑞歩はシャッフル・ユニットで『バラライカ』に参加していた。下はピンクのスカート、上は黒いベロアっぽい光沢のある半袖、黒いヒールの靴を履いた彼女の笑顔とコサック風のダンスを、今(1月13日)でも脳内で再生することが出来る。『バラライカ』で小野瑞歩の他に誰がステージにいたのかが記憶にない。何人いたかも分からない。なぜなら小野瑞歩がシャッフル・ユニットで出演しているとき、私は彼女のことだけを見ていたからである。『ギャグ100回分愛してください』は嗣永桃子と、各グループから一人ずつを選抜して披露された。この冬でハロコンからいなくなる(6月に芸能界を引退する)嗣永の餞別企画のようなものだったのでさすがに彼女がいたのは覚えている。残りのメンバーについては宮本佳林以外が簡単には思い出せない。宮本佳林ばかりを見ていたからである。岸本ゆめのがいたような気はする。あ、そうだ譜久村聖もいたか。こうやって後から思い出すという程度だ。万事がこうなのである。つまり私は観させてもらったコンサートのステージで起きていることの全体を俯瞰的に見られているわけではない。見方が偏っているのである。それでいい。むしろそうあるべきだと思っている。なぜなら私は自分が観たいからコンサートを観に行っている。誰かに頼まれているわけではない。書きたいからブログを書いている。誰かに読んでほしいからではない。誰かが知りたいことを調べに行っているわけではない。客観的な報告書を作る必要はない。私はこのブログを可能なかぎり主観的に書きたい。事実をねじ曲げるのとは意味が異なる。ひたすら自分の視点から書きたいのである。

2017年1月9日月曜日

Crystal Clear (2017-01-07)

グッズ列に何時間も並ぶ奴ら、アホでしょ。コンサートが2時間なのに、たかだかグッズを買うためにそれ以上の時間を費して列に並ぶなんて、本当まあようやるわ。大体グッズなんてぼったくりもいいところだからね。日替わり写真というA5サイズ(A4の半分)の写真は、メンバーの写真と手書き風に印刷された文字が刷られているだけで500円もする。もっとひどいのはコレクション生写真だよ。どれが出てくるかも分からないLサイズの写真が1枚で500円って何だよ。開けるまで中身が分からないから、何枚か買ったらダブることもあるんだよ。民間じゃあり得ないよ。私なんてね、6枚買って3枚がかぶったこともあるんだ。りこりこ(山岸理子)の写真がね。りこりこもそのときばかりはりこりこりこになってたよ。ニコニコは出来なかったよ。山岸さんの顔って何度か見ていると癖になってくるよね。それはともかく、このコレクション生写真というのがけっこう売り切れるんだ。喜んで買い続ける奴ら、事務所に飼い慣らされすぎでしょ。目を覚ませって。

1月4日は15時半からだったけど、今日は11時からグッズを売っていたらしい。私が入らせてもらうコンサートは18時半から。アホくさいから数枚の写真を購入するために何時間も前から現地に行くなんてことはしなかった。時間を有効活用しないとね。こんな冬に外で何時間も立ち続けるよりはマッサージでも受けておこうと思って、タイ古式マッサージを受けてから中野に向かった。グッズ売場には拍子抜けするほどに人が少なかった。売場に数人の客がいるだけで、列と言えるほどのものはなかった。もちろん、予想していたように日替わりの小片リサ、小野瑞歩は売り切れだったけど、想定内だった。宮崎由加、金澤朋子、牧野真莉愛を買った。このハロコンでは毎回ちがうメンバーの日替わり写真を買うというコンセプトで行こうと思っていた。にも関わらず3日に買った宮崎さんの写真を買ったのは、モーニング娘。石田亜佑美への誕生日お祝いメッセージが書かれているというのをTwitterで知ってね。レア(金澤朋子の口癖)だなと思って。買わざるを得なかった。そう、それで知ったんだけど今日で石田さんが20歳になったらしい。牧野さんの写真にも石田さんへのお祝いが書いてあった。金澤さんのには書いていなかった。

15時47分の時点で売り切れていた日替わり写真は:
・モーニング娘。:石田、加賀、横山
・カントリー・ガールズ:嗣永、梁川
・つばきファクトリー:小片、谷本、小野
・アンジュルム、Juice=Juice、こぶしファクトリー:売り切れなし
だった。売り切れの表示がされていたのが上記のメンバーだが、実際には他にも売り切れていた可能性はある。加賀楓、横山玲奈、小片リサ、小野瑞歩の売り切れはいつものこと。石田亜佑美は今日が誕生日だから。梁川奈々美は何でかなと思ったら昨日(1月6日)が誕生日だったらしい。嗣永桃子はこの2017年の冬ハロコンが最後の出演だから記念に欲しがる人が多いんだろうね。谷本安美の売り切れはこれだという明確な理由が思い当たらないけど、小片さんと小野さん同様、見込んでいたよりも人気があったということかな。

「大体 毎回 いつも同じメンバーと再会」(RIZE, “WHY I'M ME”)

いつでも最前にいるような輩、あれはどういうカラクリなんだ。毎回たまたま最前だけが当選するなんてあり得ないから、お金を使って何らかのルートでチケットを手に入れているのか? 髪を変な色に染めているからまともな職業には就いていなさそうだし、歳も20代前半くらいに見えるから大した給料はもらっていなさそうだ。どこから金を捻出しているんだ。残る可能性としては、イリーガルなビジネスだ。

「外人ぶってるわけじゃないけど 外人と取引してんだよ 分かるだろ インターナショナル・ハスラー 俺の世界は広い しかも高い リスクは怖くない なぜならビビってたら高くは飛べない」 (A-THUG, “Love Life [Remix]”)

「あのー、すみません。近くに友達がいまして、友達と近くで見たくてですね、もしよかったらなんですが…席を替わっていただけないですかね?」
明日やろうはバカやろう』。席替えようはクソ野郎。ゲス野郎。カス野郎。すぐ退場して家に帰ろう。私の近くにいた紳士は二人組のならず者から席の交換を打診され、「同じ列ならいいですよ」と受け入れていた。「いい人でよかった」とならず者の片方が言っていた。何がいい人でよかっただ。バカ。呆れた。盗人猛々しい。むすっとしていたら私にも来た。
「すみません、連番ですか?(隣の人は知り合いですかという意味)」
「いや」
「あのー、友達がですね…」
「ごめんなさい」
「ダメですか?」
「はい」
「そうですか、すみません」
口調が丁重でも騙されない。まず前提として、席の交換は禁止されている。チケットに書いてある自分の席でご覧くださいという注意事項が開演前に流れる。一時期、断れなさそうな人を狙って席の交換を持ちかけて良席に移る輩が多発して問題になった。それを受けてその注意事項が追加されたはずだ。

とは言っても、ルールがすべてではない。ルールというのはあくまで何かを円滑に進めるための手段であって、目的ではない。ルールに例外はあってもいい。私はあらゆる席の交換を例外なく否定するわけではない。たとえばABCと並んでいる座席のAとCが知人同士で、AかCと替わってくれないかBに打診するのはまだ理解が出来る。でも連中は要求がそういうレベルを超えている。私が見てきたかぎりトモダチ作戦(Operation Tomodachi)を使う奴らが移りたがる席というのはいつも今よりも前の列、真ん中寄りの席だ。今は前にいるけど友達と隣になりたいから後ろに移りたいとか、今は真ん中にいるけど端に移りたいという奴らを、一度も見たことがない。他人の良心を逆手に取って、それらしい理由を付けて良席に行きたがるファック・ボーイども。仮に友達の近くに行きたいという言い分が本当だったとする。赤の他人が、あんたがお友達の近くでコンサートを見られるかを気にすると思うのか? 少なくとも私は気にしない。君がトモダチの隣に座れなくても、トモダチが死のうとも私には関係のないことだ。前も書いたけどこれはピクニックじゃねえんだよ。馴れ合うな。

「たとえばここが電車の優先席で目の前に老人がいようと僕はこの席を譲る気はまったくねえぞてめえにはよ」(戦極MC BATTLE第13章 KEN THE 390 vs ハハノシキュウ

会場に入ると、モーニング娘。佐藤優樹が「急性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニアによる療養の為」、アンジュルム相川茉穂が「体調不良のため」欠場するという張り紙があった(前からあった)。開演すると、その二人だけではなく新沼希空も欠場することがまことの口から知らされた。アンジュルムの曲で室田瑞希が誰かと向き合うような振りのとき対面に誰もいなくて不自然だったが、そうかここに相川がいるはずだったのかと合点した。佐藤優樹はステージ・パフォーマンスをしばらくお休みすることが1月6日に発表された。アップフロントプロモーションの代表取締役・西口猛の名前で「休みの期間はひとまず2月下旬としておりますが、1月いっぱいは筋力トレーニングを集中して行い、症状の経過をみながら医師の診断をあおぎ、2月中旬から3月からどう活動していくのかの判断をしたいと考えています」という説明。佐藤本人は「春ツアーは出れるようにがんばりますのでまーちゃんが戻ってくるまで待っていてください!」としている。小野瑞歩は憧れの先輩として佐藤の名前を挙げている。彼女への精神的影響が少し気がかりである。小野瑞歩のためにも無事に復帰してほしい。

宮崎由加がいちばん美しかった。今日の感想を一つだけ言うならばそれに尽きる。今日の彼女の表情は七変化というよりは満足げ。自信と喜びに満ちていた。この冬ハロコンが始まる前、私は小野(瑞)のTシャツを着続けることもやぶさかではなかった。私が今日、選んだのはピンクの宮崎Tシャツである。今日の席はステージに近い。Juice=Juiceが、宮崎由加が、数メートル先まで来る席で小野(瑞)Tシャツを着るのは想像以上の罪悪感を伴う行為であるのを1月3日に痛感した。具体的に何かを言われたりされたりしていないにも関わらず、面と向かって詰問され罵倒されるのと同様の精神的なダメージを受けた。宮崎由加に精神的に屈服させられた。彼女はSM調教師由加といっても言い過ぎではない。

℃-uteがハロコンにいない今、Juice=Juiceからはハロー!プロジェクトを引っ張る集団としての自負が感じられた。伊達に踏んでいない場数。凄みがあった。それに対して、つばきファクトリーはまだJuice=Juiceのような圧が出せていない。サンシャイン噴水広場やTFT HALL 300ではまったく感じなかったが、中野サンプラザになるとまだ存在感が箱に追いついていない。そして、ハロプロ全体のコンサートだと他のグループに押されて、埋もれてしまう。まだまだ脇役。これから伸びていくのが楽しみだ。秋山眞緒の腹筋が凄い。

Juice=Juice『Goal〜明日はあっちだよ〜』からのモーニング娘。『そうじゃない』の流れが最高。まず宮崎由加がいて、宮本佳林がいて、金澤朋子がいて、高木紗友希がいて、ついでに植村あかりもいるというだけで最高なのに、彼女たちが捌けるや否や牧野真莉愛が出てきて彼女のセンター曲が始まるという怒濤の波状攻撃。見ず知らずの他人から良席を奪おうとする輩、「Exit〜出口はあっちだよ〜」。お前らのやっていることは「そうじゃない」。

2017年1月7日土曜日

Kaleidoscope (2017-01-04)

タイム・イズ・マネー、なんて言ってられるか。効率もコス・パも関係ねえ。二日つづけて同じ屈辱を味わってたまるか。コンサートは18時半からだが、12時45分からグッズ列に並んだ。今日は小野瑞歩と小片リサの日替わり写真を必ず手にする。他のグッズと違って日替わり写真は通販(e-Lineup Mall)で売ってくれない。当日に会場でしか買えない。日替わり写真が欲しければグッズ列に並ばざるを得ない。日替わり写真をはじめから諦められれば、それが一番スッキリする。通販で買えば済むからグッズ列に並ぶ必要はない(もちろん通販でも売り切れというリスクはあるが)。私もある時期まではそう割り切ることが出来ていた。そもそも一枚の写真に500円を出すのがバカバカしいし、それを買うために並ぶなんて狂っている。私は行列が嫌いだ。私はSoftbankユーザーだが、金曜の夜に吉野家の配給に群がっていたSoftbankユーザー、ミスタードーナツの配給に列を作っていたSoftbankユーザーのことは馬鹿にしていた。次はどこに列を作るんだ、奴らは。行列を見るだけならともかく、自分がその愚かさの構成要素になるというのは避けたい。そういう信念から、日替わり写真は買ってこなかった。

初めて買ったのは2014年10月のスマイレージのミュージカル“SMILE FANTASY”の田村芽実。その次に買ったのが、同年11月、Juice=Juiceの新潟公演の宮崎由加、宮本佳林、金澤朋子。一回、二回と買って、日替わり写真のよさを知ってしまった。日替わり写真は会場名と日付が書いてある。自分がその公演を観させてもらったという、これ以上のいい記念はない。前述のように本当にその場でしか手には入らないので、自分がそのときに現地に赴いたという証なんだ。特に遠征では日替わり写真が思い出になる。アルバムに収めた日替わり写真を後から見返して振り返るのはなかなか風流である。500円が高いという概念はいつの間にか脳内からきれいに消え去った。自分で並ばずに日替わり写真を入手する方法があるとすれば、知り合いで並んでいる人に代わりに買ってもらう(「代購」してもらう)か、お金を払って誰かに並んでもらうかである。私にとってはどちらも現実的ではない。並ぶしかない。行列が嫌いでも、背に腹はかえられない。会場でしか買えない時点で十分に貴重だが、昨日は買おうと思っていた小野瑞歩と小片リサの写真が早い時間に売り切れた。刷っている数が少なすぎる。つばきファクトリーはまだ十分な過去の売上実績データがないから各メンバーの需要を読み切れていないのだろう。それが翌日に解決するはずがない。だから早くから並ぶしかなかった。

12時45分の時点でグッズ列はざっと50-60人くらいだった。その左につばきファクトリーとカントリー・ガールズの握手券の列も出来ていて、そっちはざっと30-40人くらいに見えた。ちゃんと数えてはいない。グッズの販売開始時間は把握していなかったが、13時か13時半くらいからなんじゃないかと踏んでいた。Twitterで検索したところ15時半からだと知り、愕然とした。どうも今日は暦の上では普通の平日だから時間が遅いらしい。前に50人いるから、販売が始まってから私が買えるようになるまでさらに1時間はかかるだろう。ということは概算で16時半か。離脱するという手もあった。普通に考えればこんなに時間をかける価値があるのか、疑問である。冷静に考えろよ。文字が直筆風に印刷されただけの写真を何枚か買うために、何時間もコンクリートの上で待ち続けるのか? 冷静に考えた。決めた。並び続けることを。これは損得勘定の問題ではない。意志と決心の問題である。

「男の意地 常に維持 確かな視点で保つ威厳」(K DUB SHINE、『機能停止』)

エスタシオンの青年から吉報が舞い込んだ。販売開始を14時45分に前倒すというのだ。結局、15時24分に小片リサ、小野瑞歩、浅倉樹々、宮本佳林の日替わり写真を手にすることに成功した。このハロコンでは毎回ちがう人の写真を買おうという発想が浮かび、昨日買った宮崎由加は買わなかった。小片リサも小野瑞歩も既に残り枚数が少なそうな雰囲気だった。二人とも私が注文をした場所にはもう在庫がなくて、奥から取り寄せていた。しかも私の前の紳士が2万数千円分も多種多様なグッズを買っていてなかなか終わらず、その間に他の窓口がどんどん進んでいった。私の番が来る直前に横山玲奈は売り切れていた。それが売り切れ第一号。肝を冷やしたが、無事に昨日の雪辱を果たすことに成功し、安堵と達成感でいっぱいになった。

中野ブロードウェーのCafe Miyamaで写真をアルバムに収め、ブログを書いて、17時すぎにPIZZERIA BAR NAPOLIに入った。泰陽飯店は休みだった。カンパリビア。カプリチョーザにアンチョビ。カンパリビア。1,350円。ほどよくアルコールが回った。いい気分で中野サンプラザに向かった。17時47分。開場は時間通りに行われていれば17時半から。まだ入場を待つ人々の塊があった。100人くらいいたかな。人が少なくなるのを待ってから、入った。今日は4列。実質7列目か8列目くらい。今回のハロコンでいただいた良席3枚の、2枚目だ。ピンクの宮崎Tシャツを、GoodwearのポケットTシャツ(MADE IN USA)の上からかぶった。昨日に続いて小野(瑞)を着る勇気はない。昨日、Juice=Juiceが数メートル先に襲来した際の重圧=重圧と再び向き合いたくない。私は今、宮崎由加に精神的に胸ぐらをつかまれている状態だ。ビンタを受ける寸前だ。彼女のTシャツを着る以外の選択肢はなかった。小野瑞歩さんに対しても昨日は貴女のTシャツを着たから今日は宮崎さんの番なんだという申し分が立つ。2015年の夏から着ているピンクのTシャツは、まだ3回しか着ていないエメラルド・グリーンのTシャツよりもしっくりきた。

ハロー!プロジェクトの新リーダー、和田彩花からの挨拶。「最初にリーダー就任の話を聞いたときは驚き、断ろうと思っていた。私はあまり考えずにモノを言ってしまうことがあるので、そんな人がリーダーになってはいけないと思って…。でもせっかくお話をいただいたので頑張ろうと思い、受諾した」的な話。断ろうと思ったというくだりでは観客からえ?という声が。私もBOY-KENとは同意見で、意外だった。和田の普段の言動から、もっと鼻息荒く二つ返事で受け入れた、というかむしろ虎視眈々と狙っていたのではないかくらいに思っていた。昨日と同じように、シャッフル・ユニットで各自がコーディネートした衣装が見所という説明。

衣装を自分たちで選んだという事実を踏まえると、お腹を出しているメンバーは高く評価できる。自分の意思でお腹を出す。理解(わか)っている。岸本ゆめの、浅倉樹々。覚えているのはその二人だけど、他にいたかな?

1月1日は二人で遊んだ、という田口夏実と小川麗奈。「田口が埼玉、小川が栃木に住んでいるので、東京で会うとなると小川が新幹線を使わないといけなくなる。それはかわいそうなので、埼玉と栃木の間の場所にした。お揃いの指輪を買ったら、ファンの人が(インターネットで)ティファニーだと騒いだ。ティファニーではない。ワンコインだ。小川は指輪を次の日くらいにはなくした。家か電車でなくしたのだろう」的な話をする田口。

アルコールによる高揚もまだ残っていて、開演前からいい気分だった。ただ、不安もあった。昨日からこの冬ハロコンを観させてもらって、特に“Kaleidoscope”公演にはまだそれほど良い印象を持てていなかったからだ。どういうわけか、同じコンサートでも今日は感じ方が違う。ガラッと印象が変わった。楽しい。熱くなる。何でこんなに違うんだ。理由が考えられるとすると:
・初演のときに比べて演者たちのパフォーマンスがこなれてきている
・2回目の客も一定数はいるので空間の一体感が増している
・左右にいた観客がガンガン動いて声を出すタイプで、その熱が私に伝染した
・私の心身の状態がおそらく昨日よりも良好である
・私が開演前にアルコールでドーピングをした
といったあたりだろうか。

周囲を見ていると、観客がそれぞれの専門分野を持っているのが面白い。たとえば広瀬彩海のTシャツを着ている人は当然ながら広瀬のパートに強く反応するし、こぶしファクトリーの曲でのコールにためらいがない。こぶしファクトリーの曲では周りをリードするくらいの動きを見せる。一方で、他のグループでは動きが小さくなるし、メンバーの名前を呼ぶ箇所もこのタイミングでいいのかな? この呼び方でいいのかな? という迷いがある。これは当然だ。たとえばつばきファクトリーの谷本安美へのコールが「あんみー!」であることなんて実際につばきの現場に足を運ばないと分からないし、実際に何度かやってみないと確信を持って声は出せない。私の専門分野がJuice=Juiceであるのは明白だった。彼女たちがステージに現れて曲が始まった瞬間からどうすればいいかが分かっている。短時間で曲が入れ替わるメドレーでも抜かりはない。『Goal〜明日はあっちだよ〜』、“CHOICE & CHANCE”、『ロマンスの途中』、『選ばれし私達』、『カラダだけが大人になったんじゃない』。宮本佳林がアイドル・サイボーグなら、中野サンプラザにいる我々はオタク・サイボーグなのである。

一つのグループを真ん中に立たせて他のグループがディスるセグメントでは、標的がJuice=Juiceだった。高木紗友希と金澤朋子は着替えのため途中から合流。
・こぶしファクトリー田口夏実「Juice=Juiceはメンバー同士の仲がよくてハロコンのときにいつも円になって固まっている。入りづらい。話しかけづらいから円になるのはやめた方がいいのでは」。心外だというような反応を見せる宮崎由加は、入りづらいと言っているがいちばん入ってくるのは田口だと指摘する。どう思うかとまことから振られたつばきファクトリー谷本安美は「そうですね、いつも仲良さそうにしゃべっていて…」と言ってから「しゃべってらっしゃって」と言い直して(ここでJuice=Juice含む会場全員が笑う)から、割り込んでいいのか迷う的なことを言う。誰が言ったか明確に覚えていないが、Juice=Juiceには隙がない、ということでまとめられた。田口以外にはモーニング娘。の生田衣梨奈がよくJuice=Juiceに話しかけるという話になるが、そこで高木が、生田に話しかけられても金澤は気付かない振りをしていると暴露。「どう反応したらいいのか分からなくて…」と慌てる金澤。彼女は内弁慶でJuice=Juice内では弾けているがグループの外との交流は得意ではないというような話になった。
・モーニング娘。石田亜佑美「宮本佳林はいつでもカメラに映るときに顔を決めている。ウインク失敗すればいいのに、と思いながら見ている」。おいおい何ちゅうこと言うねんという周りの反応に「いや、その方が失敗して可愛いなってなる」。ショックを受けた表情の宮本が会場のスクリーンに大写しになると、ほらこういうときも決め顔なんだと指摘する石田。すると今度は衣装をめくって顔の下半分を隠して目だけを出し、恥ずかしがる素振りを見せる宮本。「いや、狙っている。衣装で隠さないよ普通」と石田に加勢する嗣永桃子。「変顔も出来るもん」と言って普通にぶりっ子的な可愛い表情をする宮本(顔を斜めにしてちょっと頬を膨らませる)。「は? それが変顔?」と唖然とする石田の隣にいた飯窪春菜がガチの変顔を見せる。これが変顔だと胸を張る石田と飯窪。
・つばきファクトリー小野瑞歩「Juice=Juiceさんは歌もダンスも凄くて完璧なアイドルだと思うんですけど、あえていつもと違うことをしてみてもいいのでは」。まこと「殻を破るということね。全員でモノマネとか」。ここでモノマネ講師のアンジュルム室田瑞希が出てくる。ステージの真ん中に出てくる時点で変な動きをしているがまだモノマネは始まっていなかった。「あ、それは(モノマネではなく)登場の動き?」というまことに当然のように「はい」と返す室田に会場は爆笑。室田が見本として披露したモノマネは「ワンレン・ボディコン・館ひろし」。平野ノラという芸人のネタらしい。一人ずつでやってもらいましょう、とまこと。全員でやらせてくださいと駄々をこねるJuice=Juice。嗣永が「全員でやればいいんじゃないですか。Juice=Juiceがかわいそうだから」と助け船を出す。全員でやるも会場の反応が微妙なことを感じ取って苦笑するJuice=Juice。どこがダメだったかというまことの問いに「身体の反りと最後の顔(が出来ていない)」と室田。「最も出来ていなかった人に一人でやってもらいましょう。誰が一番ダメだった?」というまことに「やっぱり金澤さんですね」と室田が答え、金澤がうそでしょーと嫌がる。一緒にやってと金澤が懇願し、室田は即座に受諾。二人で「ワンレン・ボディコン・館ひろし」をやる。
・昨日もそうだったがこのセグメントで小野瑞歩はよくスクリーンを見ている。他のつばきメンバーは前を見ている。

まこと、横山玲奈、加賀楓。
・衣装はネットで買ったという横山玲奈。「ネット率高いな」とまこと。加賀はネットで買ったのもあるし、店に出向いて買ったのもある。
・サックスを吹けるという横山。加賀も何かの楽器が出来る。ハロプロで楽器の出来るメンバーを集めて「指揮者をやりたい」という横山。「そこはサックスをやらなきゃ! 指揮者は他にも出来る人がいる」と突っ込む加賀に「違うんだよ」とタメ語で反抗し、客席はどよめいた。

牧野真莉愛は、この一人を目当てにお金を出して会場に足を運ぶ価値がある、そういう存在であると思った。スキルとは別の次元で、華がある。明らかに人並みはずれた存在。
「小手先じゃないところが素敵なんだよラッパーってのはな 練習してスキル付けてフローライムなんちゃらかんちゃら並べたところでそれは生まれてから付けるものだろ? 俺は生まれたときからそれがあるんだよ」
「お前は本当 スキルがあるだけ技術付けてるだけ 俺は生まれつきこうだっつってんだろ さっきからバトルMCちゃん」
上記はUMB2014のMC松島vs.ふぁんくでMC松島がふぁんくに投げたディスである。このMC松島が言わんとしている「小手先」のスキルではない「生まれつき」の魅力というのが、まさに牧野真莉愛を他のハロプロのメンバーと区別する最大の要素である。他のメンバーに華がないと言っているわけではない。歌やダンスの上手さだと牧野真莉愛はハロプロ内で決して上位とは言えないだろう。でもそういう小手先の技術(それはそれでもちろんハロプロの根幹を為す重要な要素だが)ではない部分に、牧野真莉愛らしさがある。他のメンバーがいくら禁欲的に練習を重ねても「まりあんLOVEりんです」「ごめんちゃいまりあ」にはなれないのである。そういう独自の世界、領域を彼女は築いている。

最後の曲(『友よ』)の前の締めの挨拶で、まことがいいことを言っていた。曰く、ハロプロとは樹木である。樹木が育つには恵みの雨、太陽の光、大地が必要である。皆さんがハロプロにとっての恵みの雨であり、太陽の光であり、大地である。いつものぼくとつな調子でそう語ってからこれからもハロー!プロジェクトの応援を宜しくお願いしますと頭を下げるまことに、客席からは温かい拍手が降り注いだ。この国に、この時代にどんな問題と不安があろうとも、ハロプロの現場空間においては日本は最高の国家で、今は最高の時代だ。めっちゃくちゃ楽しかった。

2017年1月5日木曜日

Kaleidoscope/Crystal Clear (2017-01-03)

昨日ストリートできしめんの看板を見て頭に浮かんだのが、明日になればきしもん(岸本ゆめの)を見られるということである。歌って踊るきしもんを目にするのは、私にとっては正月の終わりを意味する。正月は早く終えたい。会社に行くのを待ちわびているわけじゃない。休みは大好きだ。『上手く言えないが、正月という時期はあまり好きではない。Fuck初詣。Fuck家族の集まり。Fuckお節料理。Fuckテレビ番組の正月特番。Fuckこの時期だけに流れる三味線だか琴。Fuck年賀状。よく分からないけどイヤな気持ちになる。早く抜け出したくてしょうがない。ネガティヴな感情を鎮めるため、1月1日も2日もジムで汗を流した。待ちに待った1月3日。ハロコンで私の正月を終わらせる。正月を殺すための儀式、それが私にとってのハロコンである。

2017年の冬ハロコンは1月2日(月)から始まっている。私が観させてもらうのは以下の公演である:

1月3日(火)14時45分開演 “Kaleidoscope”
1月3日(火)18時30分開演 “Crystal Clear”
1月4日(水)18時30分開演 “Kaleidoscope”
1月7日(土)18時30分開演 “Crystal Clear”
1月8日(日)14時45分開演 “Kaleidoscope”

“Crystal Clear”と“Kaleidoscope”という二種類の演目がある。こうやって二通りやるようになったのはたしか2012年冬の『ロックちゃん』と『ファンキーちゃん』からである。二通りの片方は既存ユニット、もう片方はシャッフル・ユニットを中心とした公演なのが最近の定番である。2013年夏の『ソレゾーレ!』(既存ユニットそれぞれ)と『マゼコーゼ!』(既存ユニットの垣根を越えた混ぜこぜ)という題名が分かりやすい。今回の場合は“Crystal Clear”が『ソレゾーレ!』、“Kaleidoscope”が『マゼコーゼ!』にあたる。

受け取った5枚のチケットのうち3枚はとんでもなく前方の席だった。いくら普段からアップフロントに愛されている私とはいえ、こんなに凄い席ばかりをいただくのは初めてだった。ありがたい。嬉しいのだが、今回に関してはそれだけでは済まされない。いわゆる小野瑞歩問題である。つい数ヶ月前までは宮崎由加が問答無用で私の一推しであった。したがってハロー!プロジェクト全体のコンサートでは宮崎と黒で印字されたピンクのTシャツを着ていけばよかった。2016年8月につばきファクトリーに加入した、杏仁豆腐を好む少女が私の中で急浮上し宮崎由加と並ぶ存在になってきたせいで、ハロコンでどちらのTシャツを着ていけばいいのかという悩みが生まれたのである。もし小野(瑞)Tシャツを着ていった場合、宮崎由加には若手に寝返ったというメッセージを送ることになる。もし宮崎Tシャツを着ていった場合、小野瑞歩には一推しはあなたではないというメッセージを送ることになる。たしかに心配のしすぎかもしれない。私はJuice=Juiceの個別握手会には一度も行っていない(Juice=Juiceに限らず接触だけのイベントには一度も行っていない)。Juice=Juiceのコンサートを観させてもらった回数も限られている。したがって、宮崎由加が私ごときを一人のファンとして認識している可能性は低い。しかし、数日の間に3回もステージに近い席でコンサートを鑑賞すれば、上記のメッセージが彼女たちに伝わってしまうリスクはあるのである。ハロプロのメンバーが、自分のファンだと思っていた人がハロコンで別の子のTシャツを着ていたというのをネタにするのを何度も聞いたことがある。上記の懸念はあながち誇大妄想とも言い切れないのである。

「着替えますか」―「ハロコンでどっちのTシャツを着るか迷うんですよね」とつばきファクトリーの現場で顔見知りになった紳士に相談した際にいただいた助言である。それも考えた。しかし、コンサート中に何度もTシャツを着替えると鑑賞に支障をきたしそうである。その上、目立つ。仮にそんな人が近くにいたら私だったらTwitterやブログに書く。それはイヤなので、却下。他にはニュートラルなTシャツを着るという案もあった。それこそ無地の、誰のメンバーカラーでもないような。でもそれはつまらない。葛藤の末、私はカバンに一枚のTシャツを入れた。業者への発注で指定した色はミント、印字された人物の特技はフルート。宮崎由加の目にはピンクの宮崎Tシャツに見えて小野瑞歩の目にはエメラルド・グリーンの小野(瑞)Tシャツに見える、そんなTシャツが欲しい。それが叶わない以上、どちらかを選ぶしかなかった。「リスクないところに利益なし 理屈並べてる暇もなし」(漢、『一所懸命』)。

「初めてやったの10代で葉っぱ はまりすぎたらバカになった バカになったらラッパーになった ラップやったらブッダに化けた」(BES,“Pyrex feat. NIPPS”

Twitterのダチが薦めていた“BES ILL LOUNGE Part. 2/MIX BY DJ GEORGE”というMIX CDを聴きながら中野へ向かった。BESというラッパーのことは知らなかったが、逮捕歴があるらしい。このMIXに収録されている曲でも獄中のことや麻薬のことを歌っている(上に引用した歌詞は客演したNIPPSによるものである)。奇しくも私は、見つかれば塀の中にぶち込まれても不思議ではない行為に手を染めようとしていた。ハロコンで着用するTシャツの色と名前を変える。いくら本人にそのつもりがなくても、外から見れば「推し変」(推しているメンバーを変えること)に他ならない。

14時45分開演 “Kaleidoscope”

開場の13時45分に向け、13時すこし前に中野サンプラザ前に着いた。早めに入場列に並んで、中でグッズを買うつもりだった。ところが今日はいつもと違った。グッズ列の最後尾にいたエスタシオンの青年に入場列はどこかと聞いたところ、
・グッズ列が入場列を兼ねている
・途中からグッズ列と入場列に分離すると聞いているが、いつからかは分からない
・早く入場したいのであれば、このグッズ列に並ぶのが早いと思う
とのことだった。つまり、グッズ列ではなく入場列に並んで中でグッズを買うといういつもの作戦を取ることが出来なくなっているのだ。そういえば研修生発表会のときに同じようなことをエスタシオンの青年が言っていた。あのときは結局エスタシオン側の言った通りにならなかった。今日の中野でもいつもの習慣で来場者たちが自主的に入場列らしきものを作っていたが、「これは入場列ではありません。グッズ列から先に入場列を作ります」とエスタシオンのリーダー格の青年に言われて解散させられていた。2人くらいは日本語の意味が理解できなかったのか、なお同じ場所に立ち続けた。結局、今回はちゃんとエスタシオンが宣言した方法を貫いた。グッズ列でチケットを持っている人に手を挙げさせて、別の列を作らせていた。やたら難しいやり方だと感じたが、何かを改善したくて実験しているのだろう。でも問題は列の作り方ではなくて、買うときに時間がかかりすぎることだと思うんだけどね。事前にネットで注文と決済をして、予約番号で受け取るとかに出来ないのかね。

場内の最終調整という、遅延するときのいつもの理由。チケットのもぎりが始まったのは15分遅れの14時ちょうど。チケットをもぎられる前の階段で、日替わり写真の小野瑞歩と小片リサが売り切れているのを知り、キレそうになった。他に売り切れていたのはモーニング娘。の新加入組、それ以外には一人か二人いたくらいである。Juice=Juiceは誰も売り切れていなかった。ということはそもそもの仕入れ数が少ないのだろう。小片リサの売り切れはまだ我慢できるとして、小野瑞歩までを切らすとは。まだ今日の1公演目すら始まってないぞ。なめやがって。しかもつばきファクトリーで売り切れているのはよりによってその二人だけである。その二人のが欲しかった。直筆でもないのにこんなに稀少にするなよ。頭が熱くなり、うっすらと痛みが走った。2017年で今のところ最大の怒りを覚えた。日替わりはいつもの宮崎由加と、あとは小野田紗栞を買ってみた。2016年最後の握手が小野田紗栞とだった。あの強すぎる握力が印象に残っている。普段からやる気満々の彼女だからさぞかし気合いのみなぎった書き込みをしているのだろうと思ったが、意外と普通でちょっと可笑しかった。これから彼女の日替わり写真の書き込みがどう進化していくのか楽しみ。コレクション生写真は奮発して8枚も買ったが、当たったメンバーは私が2016年12月22日に行ったハロプロソートで32位、圏外(36位以下)、31位、33位、14位、35位、圏外(36位以下)2枚かぶりという散々な結果であった。14位は船木結。それ以外の名前は伏せる。Juice=Juiceとつばきファクトリーは一枚も当たらなかった。

コンサートはダンス部のパフォーマンスから始まった。緩めの白いスウェットシャツに、黒タイツに黒ハーフパンツという衣装で統一。音楽もダンスも演出も冷たくて格好いい感じにまとめられていて、こちらがワーワー合いの手を入れる余地はなかった。“Kaleidoscope”はこれが初演で何が起きるのか誰も把握していなかったので、なおさら静かに見守る感じになった。公演を重ねていくとこの冒頭のセグメントにおける客席の雰囲気は少し変わっていくかもしれない。カジュアルで緩い格好が本当によく似合う船木結に目が行った。

新しくハロー!プロジェクトのリーダーに就任した和田彩花から観客に向けて簡単な挨拶があった。彼女は本コンサートの見所として、シャッフル・セグメントにおける衣装を挙げた。すべて本人たちが自分でコーディネートしたのだという。コンサート終盤のまことによる説明によれば、それが“Kaleidoscope”という公演名の理由である。各メンバーの個性豊かな衣装が目まぐるしく入れ替わっていくのが万華鏡(kaleidoscope)のようであり、それがハロプロの醍醐味であるというようなことを彼は言っていた。中西香菜と佐々木莉佳子が出てきて話すセグメントで、中西が衣装に関するこぼれ話を披露した。衣装が一緒じゃ意味がないとか何とか、わざとらしい口調で嬉しそうに駄洒落を言う中西。黄色か青にしてくれと指定されて、自分で探したという。しかし季節柄それらの色の服はなかなか見つからなかった。アマゾンで「黄色いトップス」で検索して、在庫が残り一点の商品を買った。それが今着ている服だという。小野瑞歩は黒くて普通の厚みとシースルーが二重になったスカート。上は黒の半袖。

シャッフルの一曲目は井上玲音、宮本佳林、岸本ゆめのによる『チョコレート魂』(松浦亜弥)だった。井上玲音が最初に出てきたときには宮崎由加と見間違えた。それくらい近い雰囲気をまとっていた。曲は半分にぶつ切れされていて、え、もう終わり?という呆気なさがあった。『チョコレート魂』はじっくりと聴かせる曲だけに、こうやって短いバージョンで披露されると物足りなかった。一瞬で会場が盛り上がるタイプの曲なら短くてもまだ様になるかもしれないが、こういうしっとりした曲は完全版で聴きたい。今日の印象ではシャッフルのセグメントは全体的にピンと来なかった。知らない曲がいくつもあって、しかも時間が短いので曲の世界に私が入る前に次に移ってしまう。

モーニング娘。に新加入の加賀楓と横山玲奈がまことと話すセグメント。研修生をずっと続けてモーニング娘。に抜擢された加賀に「シンデレラみたいだね」というまこと。意味を理解できない加賀。「色んな人に意地悪をされて…」というまことの説明を「意地悪はされてません!」と笑い飛ばす加賀。二人を対比する形でまことが質問をしていく。研修期間は? 横山が「約3ヶ月」、加賀が「4年」。参加した研修生コンサートの数は? 横山が「2回」。加賀が少し考えて「発表会が年に4回あって、実力診断が年に1度あるので…21回くらい?(この21という数字は記憶違いかもしれない)」。娘。入りが決まったときの祝福メールの数は? 横山「武道館の日(発表があった日)、100通以上のおめでとうメールをもらった」。加賀は「17通。半分は○○(ハロプロ?)の公式アカウント」。娘。と言えば『愛の種』を披露していた。モーニング娘。の一番はじめの曲だ。イントロで観客がどよめいた。

こぶしファクトリーを中央に立たせて他のグループからダメ出しをするセグメントがあった。10分で終わらせましょう、と時間を気にするまこと。“Kaleidoscope”の公演毎にディスられるグループを変えるようだ。
・カントリー・ガールズの嗣永桃子が先陣を切る。曰く、こぶしファクトリーは曲調も男性的なものが多く、女性らしさ・セクシーさがまったくない。うちのメンバーがレクチャーする。山木梨沙と小関舞が立ち上がる。対面し、山木が小関の太ももを持ち上げる。小関、のけぞる。その後、思い思いのセクシーな動きを見せる二人。終始、恍惚とした表情を崩さない山木と小関。次にセクシーではない言葉をセクシーに言えるという嗣永の触れ込みで「謹賀新年」をセクシーに言う(山木が「謹賀」、小関が「新年」だったかな)。思い切りあえぐような声の出し方をやり切っていて、会場が笑いに包まれる。広瀬彩海と藤井梨央が「謹賀新年」をやらされる。
・モーニング娘。の牧野真莉愛が手を挙げ、「こぶしファクトリーには可愛さが足りない」と無邪気な笑顔で言い放つ。完璧な可愛さを備えた牧野がこれを言うのは公開処刑的な残酷さがあった。客席からはどよめきに近い反応が起きる。しかしまことから牧野の順番は後だと制され「ごめんちゃいまりあ」。
・「田口夏実に言いたいことがある(ここで『呼び捨てですか』と田口)、仕事を真面目にやれ」と高木紗友希。田口は仕事の途中で飽きてしまうのだという高木の告発に「それは仕方ない。人間だもの」と相田みつを引用した切り替えしで会場を沸かせる田口。この話の流れから藤井が「うちのメンバーはリーダー(広瀬)の話を聞いていない。そこを直せばもっとよくなるのでは」と言う。「あなたがいちばん聞いていないから」という広瀬の指摘に驚く藤井。会場のスクリーンに自身の顔が大写しになったときにやめてくれと嫌がる田口。「毛穴が映る。気になるお年頃だから」。
・アンジュルムの勝田里奈いわく「小川麗奈の笑い方が変。それをもっと出していけばいいのでは」ということで笑わせる役で室田瑞希が前に出てくる。PPAPを披露するが序盤で小川が笑う。何度かやり直してもオチに辿り着かない。「ここからが面白いんだからまだ笑わないで」と和田彩花。最後は小川が室田の頭を手ではたいて強制終了。
・最後に牧野。こぶしファクトリーは可愛さが足りないから「まりあんLOVEりんです」をやってほしいという注文。各メンバーが自分の名前(愛称)を使って「○○LOVEりんです」をやる。

2列目(0列が2列ぶんあるので実質4列目)のまんなか付近という素晴らしい位置だった。こんなときに限ってJuice=Juiceご一行がステージの一番前まで来て、客席のすぐ近くでパフォームする場面が何回も訪れた。このときの気まずさといったら、なかった。Juice=Juiceご一行、特に宮崎由加さんが近づく度に、とてつもない殺気を感じた。出来る限り私の方に視線は向けて見てほしくなかった。Tシャツの文字は腕で隠した。繰り返すが、私はJuice=Juiceや宮崎由加さんから個人的に認識されているとは思っていない。言うまでもなく、ステージから個人的に糾弾されたわけではない。それでも宮崎由加さんが間近に来たときの重圧が凄まじかった。私が勝手に感じているだけなのだが。これからもハロコンで小野(瑞)のTシャツを着続けるのは、自分が耐えられない気がした。

すべてのグループの中でJuice=Juiceが一番すばらしかった。彼女たちのステージでの立ち振る舞いには、観客を自ずと引き込む力があった。次に彼女たちの単独公演を観させてもらうのは4月1日。福岡まで行く。楽しみ。2月の新宿は外れた。さいきん気が付いたのだが、成熟したグループを一つ、発展途中のグループを一つ見るのが自分にとって最適なバランスのようだ。2017年はJuice=Juiceとつばきファクトリーを中心に見ていくことになる。以前はそれが℃-uteとJuice=Juiceだった。

公演中、喉が渇きすぎた。コンサートを存分に楽しむのに支障をきたすほどだった。それも原因の一つかもしれないが、何かいまひとつ楽しめなかった。私の体調のせいだったのか、暖房のせいだったのかは分からない。前の紳士のPEPSIをパクりたかった。会場を出るとすぐに自販機で黄色いアクエリアスを買って飲み干した。

「コレ生の宮崎由加か、小野瑞歩が欲しいんですけど。で、持ってるのはこれ。どれでも出せます」
会場前のドラッグ・ディーラーに声をかけた。宮崎由加はまだ手元にないが、小野瑞歩はあるというディーラーは、私が差し出した写真をひとしきりじっくり見て悩んでから「ハルナで」と、無くなっても痛くもかゆくもない尾形春水の写真を指定してきた。こころよく受け入れ、小野瑞歩のコレクション生写真を手に入れた。

泰陽飯店。黒ホッピー。枝豆。牛肉と玉ねぎの炒め物。

18時30分開演 “Crystal Clear”

開演前にずっと独り言をスピットしているヤバめな紳士が近くにいた。29列目。中野サンプラザの1階は、いちばん後ろが32列だ。さっきまでの“Kaleidoscope”と比べてだいぶ気が楽だった。至近距離で宮崎由加の視界に入る心配がない。気を張る必要がない。双眼鏡を使ってまったり観させてもらった。後方の席をありがたく思ったのは初めてかもしれない。

トークはほとんどなし。ダンス部のような変わり種のパフォーマンスもなく、みっちり2時間、歌と踊りを届けるハーコーなコンサート。“Kaleidoscope”とははっきりと構成を区別している。

横山玲奈は、数年前の牧野真莉愛に雰囲気が近いような気がした。ずっと笑顔で愛らしい感じ。天性のアイドル・ヴァイブス。牧野真莉愛と言えば、彼女が初めてセンターを務めた曲『そうじゃない』がクセになる。最近のモーニング娘。の曲の中では飛び抜けて好きだ。

一番

牧野「そうじゃない」
我々「オイ!」
牧野「そうじゃない」
我々「オイ!」
牧野「真面目なんかじゃないよ」
我々「まりあー!」

二番

牧野「そうじゃない」
我々「オイ!」
牧野「そうじゃない」
我々「オイ!」
牧野「ふざけてなんかないよ」
我々「まりあー!」

このオイ!→オイ!→まりあー!の三段階コールが気持ちいい。

後方だったので基本的には双眼鏡でじっくりと静観するスタンスを取ったが、『ギャグ100回分愛してください』の宮本佳林にはにやけざるを得なかった。この曲は嗣永桃子と各グループから一人ずつという構成で披露されたのだが、宮本の表現力がずば抜けていた。彼女のパートは、歌でもあり、台詞のようでもあり、普通に話しているようでもあるように聞こえた。与えられた曲を歌っているのではなく、曲を通して宮本佳林を表現していた。それだけ曲の世界を自身の中に取り込んで、演じきっているということだと思う。

つばきファクトリーの“Just Try!”の、頭を下ろして髪を振り乱すダンスが最高。何度でも観ていたい。メンバーがみんな下を向いて誰か分からない状態で、この子のダンスに凄く惹かれるなと思った人が頭を上げたら浅倉樹々だった。

最後の曲『みかん』が始まると会場の雰囲気が一気に華やいだ。この曲はいつも、やたらとコンサートで盛り上がる。この曲は2007年に発売された。ハロコンに来る層は、旧来のモーニング娘。ファンが多いのだろうか?

今日の感触としては、“Crystal Clear”の方がいいコンサートだと感じた。ただ、2公演とも、自分は十分に没入が出来たとは言いがたい。どこか煮え切らなかった。調子が悪いという自覚はなかったが、自分の気力と身体の状態が、ハロコンの圧倒的な情報量と熱量に負けていたようだ。正月を完全に殺すことが出来なかった。