2023年5月21日日曜日

谷藤海咲KissBee卒業ライブ-FINAL IMPACT!! (2023-05-15)

いや、それが本当に偶然で。たまたま通りがかったんです。昨年末、正確には12月29日(木)。28日(水)まで働いて。6連休の初日だったんですね。特に予定もなく。ドトール・コーヒー・ショップ池袋グリーン大通り店で本(ジェイムズ・C・モア『ホノルル ペストの火』)を読んで、エーラージでタンドール・セットJPY1,980を食べて。何となくサンシャインに入ってぶらぶらしていたんですよ。そうしたらね、噴水広場ってあるじゃないですか。そこから音が聞こえてきたんで、ちょっと覗いてみました。リリース・パーティのリハーサルをやっていたようで。この後の本場もよろしくお願いします、的な感じだったんです。時間を見たら12時55分で、5分後の13時に第一部が始まるようで。群衆はそこまでいなくて、二階(あそこが一階かな? ステージの一つ上の階です)の手すりからほぼ視界の妨害なしに見られる感じだったんです。まあちょうど予定もなかったし、正月休みの初日ってことで非日常感もほしかったんで、そのままとどまって観てみたんです。二階からじゃパンツが見えないじゃんって気付いて、途中からステージのある階に下りました。視界はよくなかったですが、無銭でもメンバーさんたちを近距離で見られる位置には行けました。パンツは見えませんでした。KissBeeという集団の名前もメンバーさんのこともまったく知りませんでした。でもこの度3枚目のアルバムを出すらしく。集団自体も8年前から活動しているとかで。リスペクトの念を抱きました。トークなし(簡単な自己紹介のみ)で5曲を駆け抜けるストロング・スタイルに好感を持ちました。15時半からの二部も観ることにしました。無銭ですが、開演直前に優先エリアと一般エリアの区別がなくなって、右側の4列目くらいには行けました。この規模感がいいですよね。気軽にふらっと行ける感じの。近くの青年が話しかけてくるので何か因縁をつけてくるのかと思い身構えたら、動画とか撮ります? 撮るんなら前の方に…とわざわざ譲ろうとしてきてくれて衝撃を受けました(無銭の身で恐れ多いので丁重にお断りしました)。Hello! Projectの現場でそんなことが起きたことはないので。前方左側の定められたエリアを除いて基本的に撮影禁止だったんですけど、一曲だけ誰でも動画撮影してよかったんです。右隣の紳士がちょくちょくステージを見ずに文庫本を読んでいました。そういうのも含めて楽しかったです。この中でいわゆる推しにするなら誰だろうと考えながらステージを見ていましたが、私は中山星香チャンかな、とそのときは思いました。後から氏の画像を見ると(私がかつて支持していたJuice=Juiceの)宮崎由加さんの面影を感じてイヤでした。

検索し、彼女たちがYouTuberとしても活動していることを知りました。うらきすというチャンネル。全部メンバーさんが企画、撮影、編集。27万人の登録者。ちょっと観てみたらこれがまた面白くて。物凄い勢いで過去動画を漁りました。いちど数えたんですけど2023年1月1日(水)から13日(月)だけで120本くらい観ていました。数ヶ月で過去動画をほぼ視聴し尽くしました。(ひなちょすが亡くなったのを割と早い段階で知り、しばらくショックを引きずりました。)今でも好きな動画を何度も繰り返して観ています。特に私が気に入っているのが、みさきチャンの無限寝起きドッキリ、ブス即帰宅台湾旅行(旅の節目節目で現地の人に一番ブスな人を選んでもらいそのメンバーさんが帰国させられる)、あと多数あるパンティー関係の動画。メンバーさんがスタッフさんに電話で怒られているやつも好きですね。サブ・チャンネル(うらきすのすっぴん)の緩い動画もよく部屋のBGM的に流しています。公式オンライン・ショップでDVD(『ウラビデ』)とTシャツを買いました。あと中古ですがKISSBEE JIGOKU Vol. 1と2を買いました。私がHello! Projectに感じている閉塞感をぶち破るような面白さがあって、はまってしまいました。いつだったか、今つばきファクトリーよりもKissBeeが好きですよね? とF君に聞かれ、否定できないところまで来ました。今思うとKissBeeは私の心に出来た空白を埋める存在でした。Hello! Projectへの関心低下に加え、11月の途中から2月の途中まで明治安田生命Jリーグが休みだったので。手持ち無沙汰だったんですよね。あの日のリリース・パーティ。絶妙のタイミングでした。

Spotifyで曲も聴きました。面白い曲がいくつもあるなという印象を持ちましたが、あくまでYouTuberとして好きだという気持ちの方が強かったです。彼女たちのアイドル活動を追うために現場に足を運びたいとまでは思わなかったです。というのが彼女たちのアイドル活動はいわゆる地下とカテゴライズされるような形態に近いっぽくて、コンサート30分で特典会が60分みたいな感じのが多いんですね。Twitterの公式アカウント経由で流れてくる予定を見るかぎり対バンとリリース・パーティが主のようで。単独のコンサートというのがそう定期的にはなさそうなんです。私はコンサートが観たい。特典会なんて私の苦手分野じゃないですか。単純に勝手も分かりませんし。おまいつが多いであろう現場に飛び込んで一から作法を習得していくのが億劫。現場には行かず、うらきすチャンネルを観ていればひとまずは満足でした。ところがそうは言っていられない事態になりました。みさきチャン(谷藤海咲チャン)が退団するというのです。5月15日(月)にみさきチャン最後のコンサートが開催されるとのこと。池袋でリリース・パーティを観たときは何となくリーダーっぽくてちょっと平井美葉さんに似ているかなくらいの印象でした(実際にはあまり似ていなかったですけどね。初めて見る人を認識するときの脳による雑なカテゴライズでした。ちなみにリーダーでもありませんでした)。今はもはやただの他人とは思えません。あれだけYouTubeで寝起き姿やパンティー(モザイクあり)を見せてくれた関係です。ただの他人に何度も寝起き姿やパンティーは見せないでしょう。そんなみさきチャンのアイドルとしての最後の晴れ舞台。観に行かないわけにはいかないのです。発売開始直後にチケットを買いました。みさきチャンのインスタグラムのストーリーに、池袋のリリ・イベに通りがかって初めて知った、それからずっとYouTubeを観ていた、卒業コンサートのチケットを買ったという旨のメッセージを送ったところ、ハートをくれました。仕事はまあまあキツい時期だったのですが、午後半休を取得しました。

5月5日(金・祝)には汐留でリリース・パーティを観ました。その日は夜に六本木で上原ひろみさんの無銭現場をひやかそうと思っていました。それまでの時間が空いていて、場所的にも近かったので、2部だけ覗いてみました。声を出すならマスク着用必須という規制はまだありましたが、コヴィッド前の、あの楽しかったリリース・パーティの空気感がそこにはありました。開放的な雰囲気。みんなが思い思いに楽しんでいるあの感じ。開演前の注意事項を説明するスタッフさんが、たまに座り込んで飲酒されているお客様がいますが……と言っていて、最高じゃんと思ってしまいました。アイドルさんの現場に来て、アイドルさんを無視して飲酒。楽しいに決まっています。近くのベンチ(ステージは屋外でした)に座って本(水谷竹秀『だから、居場所が欲しかった』)を読んでいたら、KissBeeのオーディションを受けているという若くてスラッとした女の子が話しかけてきてビラを渡してくれました。その子が名乗った名前で検索してみるとTwitterのアカウントが見つかりましたが、フォロワーが9人しかいませんでした。そして大学二年生だそうです。大学二年生からアイドルを目指すなよ。カタギの職を見つけろ。と言いたいところですが、実際間近に現れて話しかけられるとオジサンはどきどきしてしまいます。

Zepp Shinjuku。17時開場、18時開演。私の整理番号はA188。番号の許すかぎり前方に行きたいというわけでもなかったので、開場時間がちょっと過ぎたくらいの時間に適当に入れればいいや。そう思って、池袋でコーヒーを飲んで、日焼けサロンに行ってから17時12分に会場前に着きました。係員の若者に聞いたらもう開場しているので番号順には並んでいない。この列の一番後ろに続いてくれとのこと。会場にコイン・ロッカーがあるのは事前に調べていましたが、誰も預ける様子がないのでそれに倣うことにしました。少し迷いましたが、結果的には特に支障はなかったです。そこまで中は混んでいなかったので(でも預けたほうがよかったはよかったです)。JPY600のドリンク・チケットをPASMOで購入。ハイネケン。アルコールがあるのは嬉しいですね。黒いメイド衣装に身を包んだややふくよかな中年メガネ男性。ドリンク・カウンターの近くで歓談する、元KissBeeのちゆうさんに似た女性(ちゆうさんでした。ゲストで登場しました)。フロア入り口で青のペンライトを配布してくれる頭髪の少ない中年男性たち。みさきチャンのメンバー・カラーが青であることを私が知ったのは昨日でした(たしか藤井優衣チャンのtweetで)。今日はみさきチャンの卒業公演なのでペンライトは青だけを振ってくださいという貼り紙をさっき見ました。フロアに入ると前半分はギッシリ埋まっていましたが、後方にはいい感じに空間が余っていました。開演までには人が増えてきましたが、ギチギチにはならず、心地よい、ちょうどよい混み具合でした。客層は前方と後方で少し異なるように見えました。前方には茶髪で後ろを振り返って会場全体に睨みを効かせるやや強面の紳士がいたり、公演中のジャンプ行為の予行演習をする青年がいたりしました。(茶髪だと一見若そうですが、歳はまあまあ行っている方が多そうでした。)一方で、私を含む後方エリアはおとなしそうなぼっち客が多く、仲間と連れ立っている饒舌な青年もいわゆるチー牛でした。オタクの立ち位置が、テストステロンの量に応じた序列を示しているように見えました。テストステロンの多い人たちほど女(ステージ)に近い位置を得て、少ない人たちほどそれを遠巻きに眺めているのです。これは残酷な社会の縮図です。だからといって、前方にいる彼らがKissBeeの素晴らしい美女たちのおまんこにたどり着けるわけではありません。メンバーさんたちのご友人とおぼしき若者たちが差し入れを手に関係者受付から入場していましたが、そういうところを経由して紹介で交際するに違いないのです。メンバーさんのご友人たちはオタクとは纏っているヴァイブスが異なります。住む世界が異なるのです。

マスクの着用判断がこの公演から自由だと、13時43分のtweetで告示されました。これは本当に嬉しかった。私にとってはコヴィッド馬鹿騒ぎが始まって以来、その影響を受けない初めてのコンサートとなりました。公演の終盤にみさきチャンも、みんな! もうマスクしなくてもよくなったんだよ! こんな日が来るなんて……! と感極まっていました。マスクをつけなくてよくて、自由な雰囲気が漂っていて、開演前にアルコールを一杯入れて……。最高。これが、私が好きだったコンサートです。Zepp Shinjukuの空調も絶妙に快適で、開演前から楽しい気分になりました。私にとって初めて入るKissBeeのコンサートでしたが、最高の時間になるのはその時点で約束されていました。お酒をもう一杯入れたくなりましたが、我慢しました。

曲は半分くらい分かりませんでしたが、関係なく楽しめました。実を言うと、今日来るまで少し疑っていました。KissBeeは普段、リリース・パーティや対バンばかりやっている。曲をやるのはせいぜい30分くらい。フル・サイズのコンサートを魅せるだけの体力や技量はあるんだろうか、と。そういう色眼鏡で見ていました。その疑いは、完全に晴れました。色眼鏡から色がなくなり、無色透明になりました。まったく問題なく、といったら失礼なのでしょうが、当たり前のように約90分のコンサートを楽しませてくれました。たとえば現役Hello! Projectで言うところの段原瑠々さんや井上玲音さんといったクラスの特別な歌唱力を持つメンバーさんはいないようです。それでも総合的にアイドルさんのコンサートとして十分に目と耳で楽しめる水準にあると感じました。何よりメンバーさん一人一人がキラキラしています。人数が6人というのもちょうどいい。各人の個性を楽しめる。同じダンスでもそれぞれ異なる身体の使い方、表情、魅せ方。衣装(アンコールで上にTシャツを羽織っただけで一種類しかありませんでしたが)。照明効果、音響効果、映像も作り込まれていました。メンバーさんたちの話しぶりから判断するに、映像やどうやら彼女たち自身が作ったようです。この映像を作るときに昔の写真を入れるのが恥ずかしくて……と当たり前のようにさらっと言っていましたが、スゴいことです。さすがYouTuber。

『駆け出せBravery!!』、『どっきんふわっふー』、“Just Sing!”あたりが私は最も高揚しました。『どっきんふわっふー』はメンバーさんたちがフックでグルグル円形に移動していくダンスが観ていて楽しい。“Just Sing!”は汐留で初めて聴いたと思うのですが、いつだって忘れないよ(ないよー!)、変わらないものがあるよ(あるよー!)という括弧内のオタクによるコールが面白い。コールはHello! Projectと作法がまた違って、慣れるのに少し時間はかかりそうです。地下でよくある例のジャージャー、ファイバー、サイバー的なやつも要所で入ってきます。私はアレをずっと生理的に嫌ってきましたが、コンサート中にそれが起きても案外、イヤではなかったというか、むしろ盛り上がりの一部として楽しむことが出来ました。というのが、アレって別にみんながやっているわけではないんですね。本当の地下アイドルで客が10人しかいなくて全員がやっていたらマジでキモくて近寄りたくないかもしれませんが、こうやって何百人もいる中でそれをやる人もいれば、やらない人もいる。全員が同じコールを一斉に入れなきゃいけないという雰囲気が案外なくて、それぞれが自由に楽しんでいる感じがしました。それが私にとっては心地がよかったです。初心者でも疎外感がなかったです。そういえば驚いたのが、最後のアンコール(みさきチャンコール)が自然発生せず、おまいつの重鎮みたいな人が会場全体に呼びかけて音頭を取る形で始まったことです。それまではみんな黙っていました。予定調和的なアンコールとはいえ、普通だったらそのままコンサートが終わりかねないくらいの間がありました。別にそれが悪いと言っているわけではなく、そういう文化なんだなと。

今日は開演前、終演後、そして深夜(!)と三部に渡る特典会が開催されていたらしいです。どんだけ特典会をやるねんという感じですが、私としてはフル・サイズのコンサートを楽しみ、みさきチャンのKissBeeとしての最後の勇姿を目に焼き付けられたので満足しました。みさきチャンも、伝えたいことはコンサートにすべて込めた的なことを言っていました。今後も単独コンサートがあったら必ず足を運びたいです。リリース・パーティも都合がつけば無銭でひやかしに行きたいです。特典会への参加はまだ私にはちょっとハードルが高いです。でも今日のコンサートを観て藤井優衣チャンがちょっと気になってしまいました。(彼女はうらきすにはそこまで登場しないんですよね。)いつか一回くらい、優衣チャンと写真でも撮ってみたいかもしれません。そういえば5月18日(木)に発表されたのですが、6月9日(金)から10日(土)にかけて24時間ライブ(何だそれ?)、10月には単独コンサートをやるそうです。誰か一緒に行きませんか?

2023年5月4日木曜日

未完成のエピローグ/つぼみたちのエピローグ (2023-04-27)

実際にその場に行くまでどういうものなのかよく分からなかった。コンサートやミュージカルなら想像がつくが、インスタレーションがどうのと言われても、どういう場所で何が行われ、観客として自分は何を観に行くのか、頭に絵として浮かんでこない。そういう紳士淑女たちのためにインスタグラムの配信でめいめいが説明していた。それを聞き概念的には理解出来たが、具体的には腑に落ちない。たとえばフットボールを一度も観たことのない人が、11人対11人でボールを蹴って相手のゴールに入れたら1点で、90分の試合で点数の多いチームが勝ちで……と説明を受けているようなもの。私に芸術方面の素養がないからポカンとせざるを得ない。理解するために参照出来る類似の経験がない。配信でめいめいは、土日は埋まっているけど平日の申し込みが少ないから平日も申し込んでほしいと我々に強い圧をかけてきた。開催期間は4月26日(水)〜4月30日(日)。私は元々4月30日(日)だけ申し込んでいた。4月29日(土)はフットボールを観に行くから無理。平日に行く場合は午後休を取らないといけない。まあ日曜だけ入れて、外れたらまあ仕方ないやと思っていた。だがめいめいの熱意に押され、特に申し込みが少ないという4月27日(木)の回を追加した。結果、4月30日(日)は外れ、4月27日(木)だけが当選した。土日なのはもちろんのこと4月30日(日)はミニ・コンサートがついていたので申し込みが集中したのは想像に難くない。(金曜日にトーク・ショウ、土曜と日曜にミニ・コンサートが付加されていた。)

最初にチケットのFC先行に申し込む間際まで、そもそも彼女が出演する公演的な何かがあるということも分かっていなかった。ご友人であられるという芸術家の有村佳奈さんによる作品の展示があって、来場者は会場内で花を買って過去にめいめいが演じてきた役に手向ける。その展示にはチケットがなくても誰でも入場出来て、それとは別にめいめいによる朗読劇がある。作品の展示とインスタレーションが『未完成のエピローグ』で、朗読劇の題名が『つぼみたちのエピローグ』。インスタレーションってさも分かった風に書いたけどこれを書いている今でも私はちゃんとは理解していない。とりあえず今回でいうところのインスタレーションとは、来場した我々が花を手向けていくことによって時間と日を追うごとに豪勢になっていく会場のその一角のことだった。

木場のEARTH+GALLERY。行くのは初めて。木場という駅で降りるのも初めて。新木場かと思ったら違った。横浜と新横浜よりも離れている。午後休を取得し、可食部の少ない麻辣味の魚を太陽城で食べ、会場にたどり着いたのが14時半頃。『未完成のエピローグ』は完全な自主企画で有村さんと半分ずつ自腹で出し合って作り上げたとめいめいは件の配信で言っていたが、まさに手作り感のある作品展示会だった。私が最初に入った会社で写真を撮るのが趣味だった同期のカンちゃんが開いた個展を見に行ったことがある(おそらく2005年か2006年)。それを思い出した。めいめいママがスタッフの一人として働いている。入り口近くのハンガー・ラックにグッズのTシャツがかけてある。めいめいが実際に撮影で着用したTシャツは1枚だけ残っている。ピンクの、おそらくサイズS。私がすこしウロウロしていると女性支持者がそれを手にし、購入していた。グッズのTシャツは値付けがJPY4,000(純粋なホワイトTシャツ)、JPY4,500(君だけのカラーTシャツ)、JPY5,000(幻の推しカラーTシャツ)の三種類。めいめいが着用していたのはJPY4,000かJPY4,500のTシャツだったはずだが、ブルセラ的な付加価値なのかJPY6,000で販売されていた。初日ですぐ売り切れるだろうと諦めていた幻の推しカラーTシャツがまだ2枚残っていた。サイズMとXXL。私がMを購入した。君だけのカラーTシャツのサイズL、ピンクと迷った。幻の推しカラーTシャツは9枚しか販売されていない。Tシャツは全部合わせて50枚だけで、たぶんすべてが一点モノ(デザインがそれぞれ違う)。購入は一人一枚まで。これは熱い。久し振りにグッズでこんなにそわそわ、ワクワクした。Tシャツのほかに、4曲入ってJPY2,500もするコンパクト・ディスクと、アート・ブック(これもJPY2,500)を買い、紙袋JPY30もつけてもらったらJPY10,030になった。アート・ブックは先着30冊のみサインが入っているとのことで、サイン付きに間に合った。グッズを確保してからゆっくりと場内を見るが、そうグルグルと回るような広さがあるわけではないので5分、10分もすると手持ち無沙汰になる。インスタレーション内に書いてあるめいめいが演じてきた役名を眺めていると、テオの名前が目に留まった。“Equal”のテオとニコラ。JPY400とJPY500の花を買い、この二人に想いを馳せて花を手向けた。私がいる間はその場にめいめいは現れず(高頻度で在廊していたらしい)。ホッとした。慣れないことをやって下手に接触を試みると事故るだろうし、かといってすぐ近くにいるのに接触しないのもそれはそれで後悔しそうである。どう転んでも失敗にしかならない。私はステージ上のめいめいを近くで観られれば、それでいい。それが幸せ。めいめいはファンクラブ会員向けの配信をやる度にランダムで会員にLINEで電話をかけるのだが、アレは私にとってはロシアン・ルーレットのようなもの。当たらないでくれと祈っている。かかってきたとして、どう話したらいいのか分からない。

木場駅付近は何もなさそうなので、一旦、日本橋へ。文房具屋、書店、サテンが一体になったビルヂングを発見。地下でお洒落な付箋を購入。上の階にあるサテン。コーヒー・フロートJPY800。ソフト・クリームが多すぎるしミルキーすぎる。ヴェローチェのフェイクなソフト・クリームが乗ったコーヒー・フロートJPY390。私はあれのほうが好きだ。今日はめいめいへのプレゼントを持ってきた。演者さんに何かを差し入れるという行為は私にとって初めてである。赤松利市さんの『ボダ子』と、庭いじりなどに使える手袋(50枚入)。東急ハンズで買ったプレゼントを入れるための小さな袋と、小さなメッセージ・カード。手書きする機会が少なすぎてすぐに手が疲れ、字が乱れた。さっき買った付箋に田村芽実さんへと書いて、袋に貼る。

開演は18時。30分前に開場と振り込み確認メールに書いてあった。入場が落ち着くのを待って、17時40分頃にEARTH+GALLERYに入る。受付にFCスタッフのSさん。名前を言うとSさんが手元の名簿にチェックを入れてチケットを渡してくれる流れ。この場で席が初めて分かる。田村さんにプレゼントをあげたいんですけど。と私が言うと、あ、ありがとうございます! お預かりします! と感じよく対応してくれた。エスタシオンが雇った無敵の人予備軍のような青年や中年たちに家畜のように扱われるHello! Projectの公演と異なり、めいめいの現場ではFC担当のSさんとマネージャーのSさんをはじめとする裏方さんがちゃんと人として扱って案内してくれる。席を確認するために手元のチケットを見る。整理番号:3。え、3! 壁の座席表を見ると最前中央だった。正確には各列が左右に三人ずつだから3番と4番が最前中央。サイズの合ったTシャツを購入出来、プレゼントを預かってもらえ、既にだいぶ満足していたので、席については期待していなかった。望外の喜びだった。

素晴らしい席をいただいておいてこう言うのもなんだが、正直なところ、ずっと座って朗読劇を鑑賞する環境としてはあまりよくなかった。ちゃんとした椅子じゃなくて、何ていうの、スツール? 小さくて本当にクッション・ゼロで背もたれもなくて。開演前から既にケツが痛くなり始めた。こんなに短時間でケツに来る公演はちょっと記憶にない。なんであんなに痛くなったんだろう。私は近所の銭湯を週に4-5回利用しているのだが、後日そこで考えた。ぬるい湯(といっても40度以上ある)の横にベンチがある。そこに全裸で座るとすぐにケツが痛くなる。ただ、座り方を深くして、ふとももの裏で座るようにしてみると痛さは和らぐことに気付いた。私はこう見えて他人に気を遣う部分がちょっとあって。公演を観るときは後ろの人の視界を塞がないように、あんまり姿勢をよくしないように気を付けている。めいめいの客層は女性が多いから、最前の私が邪魔になるのが気になった。身を屈めようとすることでももの裏ではなく直にケツが当たる座り方になったのだと思う。

終始ケツの崩壊と向き合っていたのと、めいめいが本当に1.5メートルくらいの圧倒的近距離にずっといたのとで、あんまり話の内容が頭に入って来なかった。生身のめいめいの迫力。単に美形というだけじゃない独特のヴァイブス。うわ、あのめいめいがすぐそこにいる。すげーってなって。全身全霊で集中しているつもりなんだけど、同時に半分ボーッとなって、夢を見ているような感じだった。あんな目の前にめいめいがいて、冷静に話の内容を追っている場合じゃないって今でも思う。めいめいが動いたときに服の布がこすれる音。めいめいが喉を潤そうと水筒に右手を伸ばすときの所作。お口を開けたら自ずと見えるめいめいの歯並び、口の中。朗読中のひとつひとつの声、表情。理屈じゃなくて、最前にいるということ。この距離でめいめいと同じ空間にいるということ。体験しないと分からない感覚。これを味わえたことが何よりも大切なことだった。なんかよく分からないけど、今この時間、これは私が生きている目的だよなって思えた。もちろん物語がまったく分からなかったわけではない。9歳から17歳だったかな? の少女だけが入れる秘密の花園という外部から遮断された世界。小さな少女と大きな少女がいて、後者が前者のお世話をする。大きな少女はいずれ外の世界へと羽ばたいていく。そこに別れがある。一度出ると戻ってくることは出来ない。出て行った少女たちのことは話さない。めいめいがずっと前から表現のテーマに掲げている少女。アイドルの世界の暗喩でもあるように私は感じた。

ケツの崩壊がなければ、もっと物語に入り込んで内容も理解できただろう。ただ、それを差し引いても私は朗読劇を鑑賞するのに不向きな人間なんだろうなと思った。めいめいの手元にあった台本を自分で読ませてもらった方が何倍も理解できたと思う。前にたしかピーター・ドラッカーさんだったかな?の本を読んでいたときに、人には物事を聞いて理解するタイプと読んで理解するタイプがいると書いてあったんだけど、私は明らかに昔から、読んで理解する人なんだよね。たとえば町内放送が流れてきてもなげえよそれ一つのtweetにしたら数秒で伝わるだろと思うし、啓蒙系のYouTube動画を再生しても、ダラダラと話が長いな、あらかじめ要点を後ろに箇条書きにしてから話してくれと思ってしまう。今回のように一人の演者さんがじっくりと物語を読み上げるという静的な(性的なではなく)形式は、私との相性があまりよくないのかもしれない。