2016年12月31日土曜日

つばきファクトリー メジャーデビューシングル発売記念イベント (2016-12-29)

無職に優しい池袋の三大娯楽施設:BOOKOFF、新文芸坐、サンシャインシティ噴水広場。BOOKOFFでは立ち読みし放題だ。夏休みや冬休みの漫画セクションではハナから買うつもりがないであろうガキどもが大量発生している。時間と元気を持て余した彼らを店内に閉じこめることでBOOKOFFは犯罪の防止に貢献している。私も職がなかった頃には一冊の本を丸ごと店内で読んだこともあった。もちろんそんな程度の低いことをしなくても、数百円で買える本は無数にある。新文芸坐では、1,300円で二本立ての名画を観ることが出来る。普通の映画館で普通に買ったら映画のチケットは一本で1,800円だ。その三分の一近くの値段で映画を楽しめる。しかも名画だから価値は保証されている。サンシャインシティ噴水広場では、時折ハロー!プロジェクトのリリース・イベントが開催される。観るだけなら無料なので、一円も出さずにハロプロのパフォーマンスを楽しむことが可能である。しかも近い。見える位置であれば、その辺の下手なライブハウス(和製英語)よりも満足のいく体験を得られる。さらにシングルCDを一枚買えば出演者たち全員と高速の握手が出来る。この三つの施設に共通しているのは、少ないお金で多大な時間を消費することが出来る点である。

それは無職にとっては利点であり、有職者にとっては必ずしもそうではない。お金が足りなくて時間が余っている(時間よりもお金が貴重)のが無職だとすると、彼らはいかになるべく安いお金で時間を過ごすかを考えて生活するのが合理的である。体験の価値は第一に「効能÷金額」で計られる。この式に時間を入れる必要はない。なぜなら時間は積極的に消費したいものだから。同じ効能を得るのに時間がどれだけかかったかはあまり重要ではない。一方、時間が足りなくてお金が余っている(お金よりも時間が貴重)のが有職者だとすると、彼らは短時間で効能を得るように生活するのが合理的である。体験の価値は第一に「効能÷時間」で計られる。同じ効能を得られるのであれば所要時間は短ければ短いほどよい。値段が多少安くなることよりも、欲しいものに手っ取り早くたどり着けることの方が価値がある。もちろん無職に時間が無限にあって、有職者がお金を無限に持っているわけではないのは百も承知だ。あくまで無職と有職者を理論的に対比するための大雑把なモデルである旨をご理解いただきたい。

上記モデルを前提にすると、サンシャイン噴水広場でのリリース・イベントは無職のために設計されたようなものである。有料で前方で観るためには優先エリアの入場券を得る必要がある。無料で観る場合には見やすい場所をあらかじめ確保しておく必要がある。優先エリアの入場券も、見やすい位置も、数は限られている。つまり、手に入れるためには早い時間からサンシャインシティに行かなければならない。その早い時間がいつを指すかはグループの人気によって違うようだが、いずれにしてもどれだけ自分の時間を差し出せるかが勝負の分かれ目だ。こういうリリース・イベントからは身を引いて、時間が余っている無職や実質的な無職に任せたいという気持ちがあった。自分は事前にチケットを買って指定席で観るような公演に専念したいと思っていた。実際のところ、サンシャインでのイベントは無職の頃に何度も観に来させてもらったが、職に就いてからの2年半はこういうイベントには一度も行っていなかった。サンシャイン以外でも販促イベントにはこの2年半で一度も顔を出していない。今日なぜ来たかというと、第一に会社が休みであった。第二に、つばきファクトリーが2月にデビューする前のイベントに一度は足を運びたかった。第三に、以前に何回か訪れて噴水広場にいい印象を持っていた。CDの予約販売開始が10時だった。その数分前に列に加わった。並びながら渡された予約用紙に記入する。三つのバージョンを1枚ずつ。計3枚。3,240円。優先エリアの入場券がもらえるかどうかは、会計を済ませた後にならないと分からない。運良く3回とも残っていた。整理番号が107、90、62。11時ちょい前。無料で観るという手もあった。でも優先エリアという最前線からつばきファクトリーのCD売上とイベントの盛り上げに貢献したいという気持ちが勝った。

Juice=Juiceのメジャーデビュー記念イベントのときに一度だけ握手をしたことはあったが、優先エリアに入ったことは一度もなかった。13時の回は12時40分、15時半の回は15時10分、18時の回は17時40分とそれぞれ開始の20分前に「噴水広場裏大階段」という横に広い階段に集合するようになっていた。まず50番ごとに区切って待たされ、時間が近くなってきたら1番ずつ番号を呼び出して列を作らされ、集合時間の少し前くらいから会場への誘導が始まった(つまり整理番号が若ければ集合時間に行っても遅かった)。100番より後は5番ずつの呼び出し。整理番号は各回、大体200番くらいまであったようだ。優先エリアの入場口で入場券を提示し、荷物検査を受け、FCイベントでもお馴染みのゴミ袋(AKBが握手会で刺されてからハロプロのイベントで配られるようになった。握手や見送りの際に所持物品をすべて入れて係員に渡さなければならない)を受け取る。そこから思い思いの位置を取っていくわけだが、107番の1回目は4列目の右寄り、90番の2回目は3列目の右寄り、62番の3回目も3列目の右寄りだった。1回目でたまたま取った右寄りの位置が、小野瑞歩を鑑賞するのに絶好の位置だった。メンバーが整列したときに真正面に来る。3回目は整理番号からすると2列目くらいに行けても不思議ではなかった。どうやら左側が空いていたらしいが、右寄りを確保したかったので3列目に甘んじた。

セットリスト

1.『私がオバさんになっても』
2.『17歳』
-Talk-
3.『青春まんまんなか!』(2回目は『気高く咲き誇れ!』、3回目は『独り占め』)
4.『うるわしのカメリア』
-Talk-
5.『Just Try!』

・1回目の『私がオバさんになっても』途中から小野瑞歩が涙をこらえていて、曲の最後の方には明らかに泣いていた。
・森高千里のカバー二曲で始めたのは一般消費者が通りがかる商業施設で披露するセットリストとして極めて正しかった。私は最前線にいたのでこれらの曲でどれだけ普通の人たちが足を止めたのか、まったく分からなかったが。
・「私がオバさんになったらあなたはオジさんよ」という歌詞を、「いや、既に現時点でオジさんの人が大半なのですが…」と思いながら聴いた。
・今日は『うるわしのカメリア』の衣装。制服をモチーフにしているという。
・3回目では『Just Try!』右手の親指を立てて手を挙げる動きを皆さんもやってくださいということで、みんなでやった。

高速握手会

1回目:山岸理子→谷本安美→秋山眞緒→小野瑞歩→岸本ゆめの→小片リサ→浅倉樹々→小野田紗栞→新沼希空
・山岸さん、谷本さんがYOU THE ROCKのように真っ赤な目をしたフクロウになっていた。
・小野瑞歩との初めての接触。「泣いてたね」と言うと照れ笑い。「嬉しかったの?」と聞くと「うん。嬉しかったの」。そう言いながら左手の指で私の右手の甲をめっちゃスリスリしてきた。未体験ゾーンだった。
・小野田紗栞の握力が冗談じゃないかと思うレベルで強かった。矢島舞美の握手より強かった。思わず「つよっ!」と口に出た。
・新沼希空が握っていない左手でロックしてきた。
・思ったほど高速ではなかった。
・最後の3人くらいがなまらループしているのをみんなで見物していた。まだ券があるのかよという感じで、見ていて面白かった。最後まで残った人は10数枚、CDを買っているはず。

2回目:小野瑞歩→山岸理子→小野田紗栞→浅倉樹々→谷本安美→新沼希空→秋山眞緒→小片リサ→岸本ゆめの
・列に並んでいるときに、25日のイベントで顔見知りになった紳士と遭遇。「宮崎なんて捨ててこっちに来い」という温かいお言葉をいただいた。彼は朝6時から並んでいたらしい。
・小野瑞歩。「足痛くない?」「はい」「怪我しなかった?」「大丈夫です。ありがとう」という感じ(参照:下の「トーク内容、その他」の「2回目」)。
・2回目でも小野田紗栞の握力は衝撃が抜けない。「めっちゃつよっ!」。小野田は笑っていた。
・小野瑞歩とだけは会話をするようにして他は流したのだが、意外と一言の往復が出来る時間はあった。自分から流れすぎた。

3回目:新沼希空→秋山眞緒→小野瑞歩→岸本ゆめの→浅倉樹々→谷本安美→小片リサ→山岸理子→小野田紗栞
・どうやら私が風邪のひきはじめらしく目の奥、腰、背中に痛みがあって、ちょっとしんどくなっていた。全員を「お疲れさまでした」で通すのが精一杯だった。
・小野瑞歩に「お疲れさまでした」と言うと「ありがとう。3回とも!」と左手の指で数字を表しながら返してくれた。
・握手会で、基本みんな向こうから視線を外さない。プロ。

ソロ・パートにおけるコール

小野瑞歩:みずほ
山岸理子:りこちゃん
小野田紗栞:さおり(?)
浅倉樹々:ききちゃん
谷本安美:あんみ
新沼希空:きそら
秋山眞緒:まおちゃん(?)
小片リサ:おがた
岸本ゆめの:ゆめの

あんみー!が面白い。二文字の名前だと○○ちゃんになるのが通例だが彼女だけ違う。
※(?)を記入したメンバーについてはこのイベント中にコールを入れるソロ・パートが発生したかの記憶が定かではない。

トーク内容、その他

1回目
・ACミランのユニフォームの上にグレーのジャージ、茶髪というイキッた大学生のような出で立ちの、ちょっと岩田光央っぽい紳士による前説。「メンバーはサンシャインでのイベントを一つの目標にやってきた」と我々を盛り立てる。アップフロントの人のようだ。マネージャー?
・サンシャイン噴水広場はメンバーが前から立ってみたかった場所。3回のイベントで各メンバーがやってみたいことをやろう。1回目は新沼が「走ってみたい」ということで右から左まで走る。小野田が宣誓をしてみたいということで「どんなことも乗り越えて色んな人を笑顔にすることを誓います」的なことを言う。めっちゃ覚悟がないと言えないよね、これって。
・2017年は「先輩たちを追い越して行きたい」と山岸理子。
・握手会後の挨拶で「こんなに多くの人が来てくれるとは思わなかった」と山岸理子。
・13時に開始。本編は約30分(これは3回とも共通)。握手会、その後の挨拶が終わったのが14時28分。

2回目
・マネージャーらしき紳士が1回目に盛り上がってくれてありがとうございます、と我々を褒める。そのおかげでメンバーの目に光るものがあった、と。
・小野瑞歩がやってみたいことはウェーブ。「全員参加で」と上の方から観ている人たちに呼びかけてからウェーブを始めようとするが、初っぱなで派手に転んでしまう。騒然とした。笑っているがなかなか起き上がらないので、痛いのを我慢しているのではないかと気が気ではなかった。私と同様、前にいた小野瑞歩ファンも言葉を失っていた。どうやら大丈夫だったらしい。転んだときに靴の片方が脱げて、誰かに直してもらっていた。谷本安美がお腹を抱えんばかりに大笑いしていた。その後のパフォーマンスは普通に参加していた。
・小片リサがやってみたいことはターン。何回か連続で軽やかなターンを見せて得意げな表情。
・浅倉樹々がやってみたいことは観客も一緒になっての円陣。9人で各々の名前を言って、メンバーの誰かが「キャメリアー」と言ってから会場の全体で「ファイッ!」。ウェーブといい、事故りそうなことをやってくるなとヒヤヒヤした。でも思い切りがあっていい。
・岸本ゆめの曰く、サンシャイン噴水広場は先輩たちが立っているのを映像でしか観たことがなかった。実際にステージに立って見る景色はぜんぜん違う。小片リサは何回か観客として観に来たことがある。
・15時半に開始。すべて終わったのが16時51分。

3回目
・年末のこの時期に噴水広場を貸していただいてありがとうございます、とサンシャイン側への感謝を述べるACミラン。人気のある会場で、なかなか押さえるのは難しいのだという。我々の喝采。この紳士がいい味を出している。この3回のイベントで我々との信頼関係を築いている。
・ミランさんは今日のイベントの感想をメンバーのブログに書いてくれと我々に3回とも言っていた。1回目だったかな?SNSに感想を書いてくれとも言っていた。近くの人が「(SNSまで検索して)見てるのかよ」と笑っていた。
・岸本ゆめのがやってみたいのは縄跳び。1回目では縄跳びがないということで却下になっていた。小片リサが紫の縄跳びを差し出す。靴を脱ぐ岸本ゆめの。二重跳びを5-6回?やってのける。本人の新記録らしい。
・山岸理子のやってみたいことはステージの中心で愛を叫ぶこと。「みんな大好きだ!」。マイクを使わずに地声でやる、というような振りをしながら思いっきりマイクに乗せたのでメンバーから突っ込みが入る。谷本安美も「なまら大好き!」と叫ぶ。
・小片リサの後ろ姿の美しさ。こちらに背中を向けたダンスではつい目が行く。姿勢がいいんだろうね。
・2017年はつばきファクトリーが主役になる年にしたい、と山岸理子。
・最後の挨拶で、岸本ゆめのが号泣。つばきファクトリーのおかげで楽しい一年になったとファンの皆さんは言ってくださるが、こちらこそありがとうございます、皆さんがいなければここに立てない、と。
・「ハロプロを好きになるきっかけがサンシャインのスマイレージさんのコンサート…ミニライブだったので、このステージに立てて嬉しい」と小野瑞歩。
・18時に開始。すべて終わったのが19時33分。

2016年12月30日金曜日

キャメリア ファイッ! Vol. 4 (2016-12-25)

「よく来られるんですか?」
「つばきの単独は初めてなんですよ」
「え? そうなんですか? (私のTシャツを見て)初めての割に準備いいじゃないですか」
「いえいえ…」
「メインはどこなんですか?」
「Juice=Juiceです」
「ジュースですか! でもジュースに(小野瑞歩に似た系統のメンバーが)誰かいたかな? (推しは)誰ですか?」
「宮崎さんとか…」
「また、あざといのが好きですねえ!」

TFT HALL 300。3回公演のうち2回目(開演15時45分)だけを申し込んだ。まさかの1列目。開演してまずステージから登場したつばきファクトリーは、ほどなくして歌いながらステージを降り、客席の合間を練り歩いた。私の真正面にあった階段から小野瑞歩が降りてきた。「小野(瑞)」と印字された私のTシャツに気付き彼女はパッと顔が明るくなった。このイベント中に私のすぐ目の前(手を伸ばせば触れる距離)を彼女は4-5回、通ったのだが、その度に私に手を振ってくれて目線と笑顔をいただいた。終演直後、「レスもらい過ぎですやん!」と隣の紳士から言われた。「いやいや…」と私はニヤニヤしながら濁したが、それでもなお「レスもらい過ぎですやん!」とかぶせてきた。これまでの人生で観させてもらってきたあらゆるコンサートやイベントで、ここまで直接的に、出演者が自分一人に向かって目を合わせたり微笑みかけたり手を振ったりしてくれたことはなかった。元々そういうのを目当てに現場に来ている訳でもなかった。「○○にお集まりの皆さん」の一人としてしか、現場に臨んだことがなかった。それが私の知る、演者と観客の関係であった。しかし小野瑞歩は、会場で自分のファンを探し出して、そこに対して個人単位でアプローチをかけているように見えた。トークのセクションで他のメンバーがしゃべっている間に小野瑞歩がこちらをちらちら見る目線からは、会場にいる自分のファンを把握し、覚えようとしているような印象を受けた。これは駆け出しのグループだからこそ出来るやり方だと思う。会場の規模と現場に来るファンの数がまだ、個人レベルで認識して餌(レス)を与えるのが可能な範囲に収まっているのだ。会場が大きくなっていけばもっとざっくりした単位でファンを認識せざるを得ない。とにかくエメラルドグリーン色(業者に発注したときに指定した色はミント)の「小野(瑞)」Tシャツが、ゴキブリホイホイのように小野瑞歩の反応を引き寄せていた。ゴキブリは私の方だけどな。

小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。小野瑞歩。

おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。おのみずほ。

オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。オノ・ミズホ。

私は至って正気だ。ただ小野瑞歩を眺めたかっただけだ。おのみずほを眺めたかっただけだ。オノ・ミズホを眺めたかっただけだ。これらの文字列をあてにウヰスキーを舐めたい。

事前にファンから募集した質問やリクエストに応えるセグメント。

・クリスマスの悲しい思い出
秋山眞緒:朝、起きてもクリスマスツリーの下にプレゼントがなかった。ツリーの枝に挟まっていた。最初はプレゼントがないと思って悲しかったけど、あることが分かって嬉しかった。
新沼希空:家から歩いてクリスマスケーキを買いに行った。歩いて帰る途中でケーキを落とした。潰れたケーキを家で食べた。

・意外だったクリスマス・プレゼント
新沼希空:お金。起きてもプレゼントがない。床に封筒があって、お金が入っていた。ママが「サンタさんからだよ」と言っていた。

・ハロステ!のアイキャッチ「すごーく幸せ」をやってほしい
浅倉樹々が何かの小芝居を入れてから台詞を言うが、メンバーと観客の反応が微妙。浅倉が小芝居について、子供の家に来てプレゼントを置いてから、子供が喜ぶのを想像してから言ったという設定だったことを説明する。そういうことだったのか、とみんなの疑問が氷解。他人の幸せを願うのは素敵だというようなことを言って小野瑞歩は拍手していた。「将来はあげる側に回ると思うから」と言ってから口を押さえる浅倉。「あげる側なんてないから」と司会のニレンジャー川田。このイベントを通して、サンタ・クロースを信じている秋山眞緒に他メンバーたちがうっかり正体をばらしてしまって秋山が怒ったような反応を取るという流れが何度か繰り返され、面白かった。

・無人島に連れて行きたいメンバーは?
岸本ゆめのが一番人気。4票くらい? 笑かしてくれそう的な理由。

モノマネをして制限時間内に所定の正解を出したらご褒美に楽屋にクリスマス・ケーキを届けるという企画。
・秋山が「ビートたけし」をうまく出来ず大幅に時間を食う。パスを使おうというメンバーの提案に「パスはダメだよ」と冷徹な小片リサ。結局はパス。
・小野瑞歩は「プロレスラー」をやって、ハグやキックの動き。たしか秋山が正解。
・「山岸理子」をうまく表現できず心底くやしそうな谷本安美。「山岸理子」というお題はその後も2回くらい出てきた。
・時間内にノルマの正答数を達成できず。パスを1回しか使っていないから使っていない2回を正解数に加算しろとごねるつばきファクトリー。それが拒絶されるとじゃあ今から2回分やらせてくれと小野が始めようとするが、既に次のお題が見えているので「もう答えが見えている」とニレンジャー川田が断る。観客とつばきファクトリーが一緒になってエーイングをするも「大人は厳しいんだよ」と突っぱねるニレンジャー川田。「大人、イヤだ」「大人になんてなりたくない」とすねるつばきファクトリー。

前回のキャメリアファイッ!からの宿題だというハンドベルの実演。
・1回目、途中で支離滅裂な演奏になりメンバーの判断で打ち切り。何人かがベルを押いて、指揮者がオーケストラを止めるときのような手振り。今のは練習ですよね的なニレンジャー川田のコメントに「何もなかった」と1回目の演奏の存在を抹消する小片リサ。2回目も微妙な出来。手で懸命にリズムを取る谷本安美。泣きの3回目。「これが最後」と川田に言われ、成功させようとなりふり構わずハミングをしながら演奏を合わせるつばきファクトリー。「子犬のような声が聞こえましたが…」という川田。「BGMです」と小片。演奏後のメンバーたちの表情からも明らかに完璧な出来とは言いがたかったが、最後にみんなで一斉にベルを鳴らしたのが揃ったので終わりよければすべてよしだと、強引に成功したことにする小片リサ。

その他
・サンタの衣装を着るのは今日のイベントが初めてだと言ってはしゃぐ小野瑞歩。
・衣装の帽子の先端が髪に引っかかり、直す小野瑞歩。
・モフモフしたレッグウォーマーがずれるのをしきりに気にして直す岸本ゆめの。

「クリスマスって大事な人と過ごす日だと思うんですけど、そんな日に皆さんと過ごすことが出来て、とっても嬉しいです!」と最後に小野瑞歩。

2016年12月28日水曜日

EXCITING!/メリクリ x Juice x Box II (2016-12-18)

横浜Fマリノスに所属するJリーグ屈指のドリブラー、齋藤学。サッカー・ダイジェスト誌に好調の要因を聞かれて挙げたのが腸内フローラ。記事には腸内フローラが何なのかについて一切の解説がない。あるのは「(腸内フローラが何なのかは)ちょっと難しいから説明しづらい」という齋藤のコメントと「“絶好腸”のドリブラーに注目したい」という記者による締めのフレーズである。記者はたぶん調べていないし、知る気もない。サッカーの媒体なんてその程度だ。結果として私の頭には腸内フローラという言葉だけが残った。言葉そのものには見覚えがあった。齋藤学が言及したことで、ちゃんと知りたいと思うようになった。根が知識欲旺盛に出来ているので光岡知足の『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』という本を買った。風呂場で読んだ。腸内環境に関する本は以前にも読んだことがあったので、そこまで新しい知識を得ることは出来なかった。新しく知ったことの一つとして、サイリウムという食物繊維のサプリメントが有効であるということ。この本を読むまでサイリウムといえばペンライトしか私は知らなかった。調べてみると、ペンライトのサイリウムは“Cyalume”という会社名、食物繊維のサイリウムは“psyllium”という植物名であり、まったく別の単語だった。

サイリウムのタブレットは数日前に注文した。光るサイリウムは持たずに家を出た。というか、忘れた。けど、わざわざ取りに帰るほどのものではない。最低限チケットと双眼鏡と耳栓があればいい。町内フラフラ。池袋で昼飯を食った。朝に目が覚めた時点から調子がいまいちだった。「美そ乃」で特選ハラミ・サガリランチと生ビール(プレミアム・モルツ)をいただいて店を出た頃にはだいぶ回復していた。よかった。今日はちゃんと体調を整えないと乗り切れないのが分かっていた。現場が三つもある。14時半と17時半からZepp Tokyoで「Hello! Project 研修生発表会 2016 12月 〜EXCITING!〜」。19時半からTFT HALL 1000で「Juice=Juice FCイベント2016 〜メリクリ x Juice x Box II〜」。年の瀬だけあって多忙なのである。こんな風に現場を回すって、初めての経験だけれど、事情がある。この日は研修生発表会だけのつもりだったが、後になってJuice=Juiceの日程が出た。不可抗力。研修生の二回目が終わってからJuice=Juiceの開演に間に合うのか確証が持てなかったが、たぶん大丈夫だろうと踏んで申し込んだ。KFCで買ったアイスコーヒーを飲みながら、電車で青海駅へ。降りて2-3分あるいたところにZepp Tokyo。

グッズ売場は窓口が多くて進みが早いというツイートを見ていたので安心していたが、実際に並んでみるとほとんど進まなかった。たぶん販売員を減らしている。数時間前に正しかったことが今でも正しいとは限らない。状況は刻々と変化する。ストリートの現実はストリートに行かないと分からない。エスタシオンに雇われたお兄ちゃんが、いま並んでいるヘッズは開場時間(13時半)までに買えなかったら開場後に中のグッズ列の一番前に案内する的なことを言っていた。ということはここに並んでいるのが正解だなと思って本を読んだ。大塚ひかりの『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』を読み終えてPeter Kolchinの“American Slavery”に移った。ところが開場してからの半端な時間になって同じお兄ちゃんが、中でも売ってるからこの列を離れて中に入れ的なことを言い出しやがった。どういうこっちゃねん。私の聞き間違いだったのか? 釈然としないが、販売員が二人しかいなくて、このまま残っても時間がかかりそうだったので、列を抜けて会場内へ。中もけっこう並んでいて、開演までに買えるのか、欲しい商品が売りきれないかという二重の意味でヒヤヒヤしたが、どっちも大丈夫だった。日替わりの小野瑞歩と小片リサ。小野瑞歩の2L写真。

500円で買わされたドリンクチケットを交換する際に「お水ください」と言って、気が付いた。お水ください…お水…おみず…小野瑞歩。お水を買うことが小野瑞歩を推す行為のように思えて可笑しくなった(おみずという愛称については『つばきファクトリーDVD MAGAZINE VOL.2』参照)。ところで以前、ライブハウス(和製英語)で強制的に500円のドリンクチケットを買わされることに文句を言っている奴らについて「ライブハウスは法律上、飲食店として営業しているんだから飲食代を取らないといけないんだよ。文句あんなら利用するなよ」とか何か毒々しく得意げに書いている奴をTwitterで見たことがあるんだけど、お金を取るのが仕方ないという話と、500mlの水やお茶に500円が高いというのは別問題ですよね。大半の人は後者の不満を持っているのではないかな? そこを分けて論じないと、ドリンクチケットが1万円でも文句が言えないことになるよ。それはともかく、おみずを片手に内心ニヤニヤしながら席へ向かった。13列。チケットを受け取ったときには番号を見てあんまりよくない席だなと思っていたが、思ったよりも前方だったし、通路席だった。意外といい場所。

近くの紳士の体臭がきつく、さすが「本場」は違うな…などと思っているうちに開演。すぐ近くに新沼希空が現れた。もう本当に手を伸ばせば触れる距離。間に誰もいない。事前情報を仕入れずに臨んだので降臨があるとは知らず、純粋に驚いた。通常、通路席の利点とは、隣に人がいないから多少横にはみ出しても問題ないのと、他の席に比べて視界が多少よいことである。今日に関しては出演者たちの降臨があった上に、通り過ぎるだけではなくしばらくとどまって歌って踊ってくれたので、通常とは比べられないほどに通路席に価値があった。最初の曲だけではあったものの、ここから見える光景はまさしくEXCITINGだった。前方に目をやると小野田紗栞がいた。この並びにつばきファクトリーが固まっているのか? だとすると数学的に考えて、近くに小野瑞歩さんがいる可能性がある。せっかく目の前で踊ってくれている新沼さんにはごめんやけど後ろに身体を向けると、いた、いた、いた。こっちには後ろ姿しか見せていなかったけど、分かった。彼女はステージに向かうためにこちらに身体を向けた際に、明らかに気が付いていた。13列の通路席に「小野(瑞)」と印字されたエメラルドグリーンぽい色のTシャツを着た紳士がいることを。彼女が目の前を通り過ぎた際に、みずほ!と名前を呼んで手を振ると、彼女はしっかりとあの笑顔で私の目を見て、両手を振り返してくれた。それはF-ZEROの回復ゾーンではなく、はっきりと私だけに向けられた視線と笑みと手の振りであった。世界三大オノ。オノ・シンジ。オノ・ヨーコ。オノ・ミズホ。

トークにおけるまことのおじいちゃん感が公演の絶妙なスパイスとなっていた。微妙に噛み合わない、若い(幼いといっても過言ではないメンバーもいる)ハロプロ研修生たちとの会話。滑らかに意志疎通をしきれていない感じが独特の間を生み出して、客席から笑いを引き出していた。橋迫鈴(はしさこ・りん)という若干11歳(!)の見るからに小さな研修生に対して、とぼけた口ぶりで体重が何キロなのかと聞くまこと。何だこのジジイと言わんばかりの表情で無視する橋迫。ジジイの鈍感さと老獪さでいっさい動じないまこと。橋迫いわく、身長が132.9cmから133.9cmに伸びたが体重は変わっていない。ということは痩せたということ? ちゃんと食べてね。冬だし。とまこと。橋迫さんは傷メイクをするのが好き。100円ショップで血糊を買う。腕にやる。顔は取れにくいのでやらない。孫くらいの話を聞くジジイという構図が明確になっていた。何でそれが面白さにつながるかというと、客も世代的にまこと寄りの人々が多いからだと思う。そこまで行かなくとも、ハロプロ研修生たちと世代が大きく違うのは間違いない。まことは観客が彼女たちの言葉を消化する媒介になってくれているのだ。ハロコンのときとは比較にならないほどにまことが生き生きとしていた。ハロプロ研修生発表会の司会が彼ほど似合う人は他にいない。氏の天職である。終盤にはモーニング娘。入りが決まった加賀楓に向けて「加賀ちゃんは永遠の研修生だと思っていた」という名言を放った。

つばきファクトリーから3名が登場しまこととトークを繰り広げる時間があった。小野瑞歩が「先日、初めてのMV撮影に参加した。屋外だった。雨が降っていてメンバー一同で心配していたが、撮影を始める頃にはやんだ。つばきファクトリーは晴れ女が多いグループ」的なことを言った。あとは小片リサ、もう一人は忘れた。その忘れた一人が「リップシーンで…」と言い出したのを遮って「リップシーンというのは、歌っている顔だけを撮ることなんですけど…」のような注釈を挟んでいた。出来る子。しっかり者。

会場から出たのが15時52分だった。ということは80分強。次が17時半から。19時半からのJuice=Juiceのイベントには間に合いそうだ。しかし、TFT HALL 1000という会場には行ったことがない。夜公演までの時間を利用して、Zepp TokyoからTFT HALL 1000まで歩いてみた。時間を計ったら13分くらいだった。途中に引っかかると長い信号待ちがある。でも長めに見たとしても15分くらいだ。間に合うという手応えを得た。ガラス越しに建物の中を見ると、サンタの仮装をしたファンがちらほらといた。心と時間とお金に余裕のある人たちだ。ついでにグッズを買おうとしたが、列の長さと販売員の数を見て、諦めた。場外と場内で二つずつしか窓口がなかった。

Zepp Tokyoは空調と換気がよく、昼公演で付近にいた紳士の異臭も序盤だけで済んだ。夜公演の席(19列の左の方)は空調がもろに当たる場所で、半袖では肌寒かった。夜公演の方が客が盛り上がっていたけど、私は昼公演の方がはるかに楽しかった。昼の方がステージがよく見えたし、すぐ側で何人もの出演者たちの歌と踊りを鑑賞できたし、オノ・ミズホから濃厚なレスをちょうだいするという幸運すぎる出来事があったからだ。

つばきファクトリーとまことが話すセグメントでは山岸理子、小野田紗栞、浅倉樹々が登場した。初めてのリリース・イベントの話。
・山岸曰く、踊っているときに髪飾りが取れたので脇に投げた。後で見たら壊れていた。小野田と浅倉を連れて、イベント会場のショッピング・モールに代わりの髪飾りを探しに行った。似たのを見つけて、買った。1,000円未満。自腹ではなく「大人のお金」(山岸)。「(髪飾りを途中で変えたことに)気付いた人いますか?」と客席に投げかけるも、挙手ゼロ。
・小野田曰く、初めてのリリース・イベントだったので緊張して何も覚えていない。え?と驚く山岸、浅倉。「イルミネーションを見たじゃん」「イルミネーションを見ながら踊ったじゃん」と浅倉が思い出させようとするが「それも覚えていない…」ということで、小野田からはエピソードなし。
・浅倉曰く、リリース・イベントのときは一日メンバーと共に過ごした。ご飯も一緒に食べた。中華料理の出前を頼んだ。チャーハンとか、麻婆ナスとか、色々あった(まこととのやり取りで麻婆ナスが言い間違いで、麻婆豆腐であったことが判明)。浅倉は麻婆豆腐を選んだ。食事中にメンバーが「ご飯はどうしたの?」と聞いてきた。他のメンバーはおかず以外にご飯を一つずつ食べていた。自分のご飯はなかった。あれ?と思ったら、まおぴん(秋山眞緒)が天津飯をおかずにご飯を食べていた。それで浅倉の分のご飯がなくなっていたことが分かった。発覚した時点で秋山はそのご飯をほとんど食べていた、と小野田。

加賀楓と清野桃々姫がまこととトークを繰り広げた。
・加賀楓はモーニング娘。入りを言われたときは頭が真っ白で、どう返事したかも覚えていない。
・清野桃々姫の最近の悩みは、思ったことを無意識に口にしてしまうこと。先日も学校でふと石って食べたらおいしいのかな?と思っていたら、隣にいたクラスメイトが驚いて「何言ってんの?」と言ってきた。何のことかと聞き返したら「今『石って食べたらおいしいのかな?』って言ったでしょ」。清野はその言葉を発した自覚がなかった。

つばきファクトリーとこぶしファクトリー以外の純粋な研修生で、この子を今デビューさせないでどうする!とテーブルに拳を打ち付けたくなる存在はいなかった。現時点でめぼしい研修生は一通りグループに加入済み・加入が決定済みという印象を受けた。私が前に研修生のコンサートを観に来させてもらったのは2年前だった。そのときはまだこぶしファクトリーが出来ていなくて、浜浦彩乃や小川麗奈の処遇をどうするんだ、まさかこのまま飼い殺しにはしないだろうな…という落ち着かなさがあった。個人的には『ネガポジポジ』に出演していた研修生たちには自然と目が行った。高瀬くるみ、前田こころ、清野桃々姫といった面々にはいずれどこかのグループに入ってほしいと思った。私は昨日(12月17日)『ドント・ブリーズ (Don't Breathe)』という映画を観た。3人組の強盗が盲目の老人が住む屋敷に忍び込む。ところがその老人、実は目が見えないかわりに超人的な聴覚を頼りに侵入者をしとめる殺人者だった。強盗たちが必死にその老人から逃げまどう。というイカした映画である。おすすめ。私は3人の強盗のうち一人について、お前は生き残ってくれ、と映画館の座席から祈っていた。私が『ネガポジポジ』組の何人かに覚えた感情もそれに近かったかもしれない。

18時56分に外に出た。私と同じように徒歩でTFT HALL 1000に向かう人の群れが出来ていた。歩いていると後ろから誰々はよく動けていた、どこかの小野瑞歩と違って…なぞという声が聞こえてきて、胸がチクっとした。小野瑞歩をディスられて穏やかでいることは出来なかった。少し間を置いて振り返ると、頭が小さくバーコード・ヘアーのチンパンジーのようなジジイと白髪ダウン・ジャケット歩きたばこジジイの二人組だった。小野瑞歩への悪口の出所はおそらくチンパンジーの方だった。顔は覚えた。動けていないって、あんたの人生こそ真っ当な方向に動かないまま取り返しがつかなくなっているじゃないか…でももし公演中に小野瑞歩が目の前に来たら顔をほころばせて手でも振るんだろ? オタクってのはそういうもんだ。私もそんなもんだ。だから許す。私は最近、過去に小野瑞歩が更新してきたハロプロ研修生日記をぜんぶ読んだ。彼女がレッスンや公演毎に自分の課題を冷静に把握し、ことごとく乗り越えてきたのがよく伝わってきた。チンパンジーの批判がどれだけ的を射ているかは知らない。間違いないのは小野瑞歩が自身のスキルを向上させ続けヘイターどもを黙らすことだ。小野瑞歩のヘイターはユニクロのヒートテックしか冬の防寒肌着を知らずに死ぬまで過ごせ。私はTHE NORTH FACEのNU65135やNU65136を愛用しているし、場合によってはそのうちARC'TERYXのPhaseに手を出すことも厭わない。

19時11分にTFT HALL 1000に入った。グッズにはほとんど列が出来ていなかったがそれもそのはずで、ほとんどすべての商品が売り切れていた。私の席は26列目。いちばん後ろで30列だった。後方から全体を見渡すと、かなり劣悪な会場だというのが分かった。これは、ステージ・パフォーマンスを鑑賞する場所ではない。立食パーティをやる場所だ。リッツ・パーティをやる場所だ。巨大な披露宴をやる場所だ。ステージには段差があるけど、それ以外は完全に平らだ。この会場では多くは期待できない。キリン・カップで来日したサッカーの海外代表チームくらいのモチベーションで開演を待った。始まるともっときつくなった。距離の遠さにトドメを刺すように音が遠い。スピーカーがステージの上にしかない。おそらく会場自体にはスピーカーが備え付けられておらず、イベントの主催側がすべて持ち込んで設置する形式なのだろう。ただでさえメイン・ステージが自分の席から離れているのに、音の遠さが心理的な遠さも付加した。ショッピング・モールでのイベントを遠巻きに見物しているような感覚だった。Zepp Tokyoとの落差が明白だった。

この会場の構造的な見づらさを緩和するための裏方の工夫は感じた。後方にサブ・ステージが設けられて、何度かメンバーが来たからだ。サブ・ステージに置いてある紙を拾い上げて、そこに書いてある台詞を叫ぶという企画があった。そこで高木紗友希が下の紙を取る際にこちらに背中を向けて前屈みになった。こっち側にいた観客は一人残らず、ワンピース的な服(茶色のモコモコしたフリース素材のサンタ衣装)から覗くふとももとその上に注視していた。彼女が下に履いていたのは同素材の短パンに過ぎないのだが、それを分かった上でも視線をやらざるを得ないのが人間の本能である。スカート的な履き物の下にある何かがチラリと見える瞬間。流れ星の儚さと通ずるものがある。もののあはれである。

人間は五感のうちどれかを塞ぐと他の感覚が強くなる、と何かで読んだことがある。たとえば飲食店が照明を薄暗くするのは料理の味や匂いを際だたせるためだ。これは映画『ドント・ブリーズ』に込められたテーマの一つでもある。美容室で読んだ雑誌のインタビューで監督がそんなことを言っていた。目を開けていてもどうせJuice=Juiceは大して見えないので、歌のセグメントの大半は目をつむって聴いた。視覚を遮ることで音に集中するようにした。まあ、実際のところは半ばふてくされた鑑賞態度だった。フックで“All I Want For Christmas is You”と歌っている英語詞の曲にはグッと来た。そこで私のふてくされは解消した。各メンバーの特長を存分に生かした歌唱とバッチリはまったユニゾンに思わず引き込まれた。後で調べたらマライア・キャリーのまさに“All I Want For Christmas is You”という曲だったらしい。この曲を聴いてJuice=Juiceのグループとしての歌唱表現力に舌を巻いた。KICK THE CAN CREWが「キャラ立ち3本マイク+キャラ立ちDJ」(“3MC'S + 1DJ”)ならJuice=Juiceはキャラ立ち5本マイクだ。単にみんな上手いとかそういう問題じゃなくてね。それぞれの個性が絶妙に合わさっているんだ。

会場のファンから指定された条件に当てはまる人を4人あつめてきて、一番はやい人が勝ちというゲームがあったのだが、そこで宮崎由加に与えられたのが「10代の人」であった。「えー! それだけ簡単」と金澤が騒いだ(そのときは金澤に「携帯カバーに鏡を付けている女性」、宮本に「射手座の人」という条件が与えられた。高木と植村はその前に二人で対決した)。「そう? 10代じゃない人なら簡単に分かるけど…」という司会の鈴木啓太が正しかった。宮崎は10代の観客を一人しか見つけられなかった。そもそもこの会場に10代の人が4人いるのか?という宮崎の問いから鈴木が10代の人に挙手させる。すると会場の右半分で一人、左半分で3-4人。800人くらいの観客で、10代が4-5人。「ちょうど20歳の人が多いんだね、きっと。私も20歳超えてるし」と宮崎。

衝撃だったのが、26列から双眼鏡を使わなくてもトーク中に宮崎由加の表情が変わるのが分かったことである。私は以前から彼女に絵文字スロットマシーンという二つ名を付けているのだが、そのスロットマシーンでよく出てくる表情に、口を丸くして目を見開くというのがある。驚きと喜びを掛け合わせたような表情である。普通の顔からその顔になるのが、26列目から鮮明に判別できた。

武道館での公演という大きな夢を最高の形で達成したJuice=Juiceの、その後のビジョンを私は気にしていた。彼女たちのSTORYは、本当に続いていくのか? どうやって続いていくのか? 本日のイベントで確認できたのは、FCイベントをたくさんやっていくというのが当面のビジョンであるということだ。MISSION 220における禁欲的で過酷なライブハウス(和製英語)周りに比べてまったりしていて緩いFCイベントに、メンバーたちは新鮮な喜びを感じでいるように見えた。宮崎由加は「1回目、2回目と終わる度にメンバー同士で楽しいねって言っていた。毎日ファンクラブイベントだけをやり続けたいくらい」的なことを言っていた。バスツアーをやりたいねとも言っていた。こういう場で言うということは水面下では決まっているのかな?

Juice=Juiceのイベントを観させてもらいながら、田村芽実のブログ記事(「後悔のない人生。田村芽実ですっ。」2014年12月18日)が何度も頭にちらついた。
ファンの皆さんも、人間人生1度。ヲタ人生1度。

私推しの方が、3期いいなーとか思っていたら、3期を応援して下さい(^ ^)

ヲタ人生は1度きりだし、ライブやイベントは第一、ファンの皆さんに一番楽しんで頂きたいので、1番応援して楽しい子を思いっきり応援してくださいな(ノ▽〃)
来年は初めてFCのエグゼ(詳述は省く)に申し込むつもりなのだが、応募する際に第一から第三までメンバーの希望を出すのだ。第一希望を宮崎由加にするのか、小野瑞歩にするのか。これが非常に悩ましい。私が2016年1月4日のハロコンで小野瑞歩を「発見」していなければ…小野瑞歩がつばきファクトリーに加入していなければ…『ネガポジポジ』を何かの事情で観られていなければ(もしくは小野瑞歩が出演していなければ)…℃-uteがこの先もバリバリ続けていく未来が見えていれば…第一希望は宮崎由加の他に選択肢がなかった。歴史にifはないというが、いくつものifを頭に浮かべざるを得ない。まさか小野瑞歩がここまで急浮上するとはつい最近まで私も想定していなかった。小野瑞歩、恐るべしである。

2016年12月4日日曜日

宮本佳林バースデーイベント2016 (2016-12-01)

フェイクな奴らはお誕生日おめでとうございますとTwitterに書き込み、リアルな奴らはバースデーイベントに行く。いや、そんなことはない。たまたま私が幸運にも東京近郊に住んでいる上に仕事を早く上がりやすい環境にいるだけだ。遠くに住んでいる奴ら。まともに休みが取れない奴ら。お金がない奴ら。何かの事情でファンクラブに入れない奴ら。バスじゃもろ最後部な奴ら。その他にも色んな事情があるだろう。今日、山野ホールで宮本佳林の18歳を祝うことが出来た奴らは運が良いだけだ。来なかったからフェイクということはない。ただ文章のつかみとして思い付いたから書きたかっただけだ。開催されたのは17時15分からと19時45分からの二回。両方に申し込み、当選したのは17時15分の回だった。平日のバースデーイベントに申し込んだ結果は大体こうなる。東京で働いていれば、残業をしなければ19時45分には間に合う。17時15分からとなると定時まで会社にいたら間に合わない。普段ハロプロのファン層は職業不詳の人が多い印象だが、早い時間の回が当たって遅い時の回が外れる度に、ちょっと安心する。みんな働いているんだなと。私に関して言えば、今日は午後半休を取得した。健康診断があった。去年から体重が2.1キロ増えていた。まったく自覚がなかった。タニタの体組成計が正しければその内訳は脂肪が1.7キロ、筋肉が400グラム。ここで筋肉を0.4キロと書かずに400グラムと書いた乙女心を理解してほしい。リポビタンDに配合されているタウリンが1,000ミリグラムなのと同じだ。つまり、大正製薬は乙女なのである。「俺、去年から脂肪が1.7キロ増えたぞ」と近くの若手に言ったら「俺はそれどころじゃないっすよ…」と嘆いていた。すると近くにいた上司が「俺なんか…」とかぶせてきて、傷の舐め合いが始まった。昼になって会社を出ようとすると別の同僚から呼び止められ、結婚しますという報告を受けた。そうなんだ、おめでとうございますと言って、宮本佳林の18歳の誕生日を祝うために代々木に向かった。

電車の中で、今日はA5写真2枚セット1,000円だけを買おうと決めていた。コンサートでいう日替わりにあたる写真だ。会場に掲示してあった商品の見本を見たところ、A5の方には「2016.12.1(木)山野ホール 宮本佳林」と書いてあって、2Lの方には「Juice=Juice 宮本佳林 バースデーイベント2016」と書いてあった。2Lには会場と日付が書いていないし、A5にはイベント名が書いていない。両方を買わないと今日の開催情報が揃わない。そういう作戦で来たか。その手には乗らないぞ、と見せかけてA5だけでなく2L生写真4枚セット1,000円も買った。他にはL判生写真4枚セット600円、A4サイズ生写真1,500円、マイクロファイバータオル3,700円、バースデーDVD 2016 3,000円、バースデー記念セット(全部入り+おまけL判写真1枚)9,300円があったが、私はライト層なので手を出さなかった。16時45分頃に階段を降りて当選メールと会員証と免許証を見せて緩い荷物検査を受けた。今日はファンがステージ上で宮本さんと踊る企画がある。何人かが応募用紙に記入していた。当然、私は素通りした。今日の席は、13列の15番。縦にも横にもちょうど会場の真ん中ら辺だった。おそらく松田聖子とおぼしき音楽が流れていた。カバンから週刊文春を取り出し、横田増生によるユニクロ潜入記を読んだ。開演の直前までエマニュエル・トッドの『問題は英国ではない、EUなのだ:21世紀の新・国家論』を読んだ。

宮本佳林が姿を現す前に声だけでイベントを楽しむための三つの約束を読み上げた。最初に「本日は、Juice=Juice…」と言おうとしたところで噛んで、ティヒ的な笑いをこぼし、18歳のはじめから噛んじゃったーと、言って、それで会場は和んだ。正式な注意事項のアナウンスメントはその前にあった。三つの約束というのはガチで事務的な注意というよりは、宮本佳林に夢中になること、とかそういう感じだった。他の二つはちゃんと覚えていない。登場はステージからではなく、後方の通路からだった。後で登場したさわやか五郎がそのときのことを振り返って「モニターで見ていたけど(観客が)みんなニコニコしていた。みんな口角が上がってた」と言っていたが、私を含めて実際その通りだったんだろう。18歳になって嬉しいのは夜9時以降も働けることだという宮本さん。事務所に馬車馬のように働かされるよというさわやか五郎に「それを望んでるよ、佳林は」と涼しい顔。竹内朱莉からの動画メッセージ。「私のバースデーイベントに3回も連続で出てくれてありがとう。次は20歳なのでそのときは司会の横のアシスタントとして出てほしい。私のバースデーイベントのレギュラーを認定する」的な内容だった。画面には初め竹内だけが映っていたが、最後の方になって向かって左に笠原桃奈、右に上國料萌衣が座っていたことが分かって、映像の締めの挨拶は全員がやっていた。

宮本さんはイベントの序盤に、昨日の仕事で足を怪我したため、激しく踊ることが出来ないと明かした。そのため、ファンとステージ上で踊る企画では代役として高木紗友希が踊ることになった。左からケーキを乗せた台車を運びながら出てきた彼女の出演は、予告されていなかった。昨晩スタッフから宮本の代わりに踊ってくれないかと言われた彼女は「佳林が好きな人たちの前で私が踊っていいのか」と最後まで迷ったという。今日も来るかどうかで悩んでいたという。宮本さんはどういう怪我なのかには触れていなかったが、高木さんが代役で踊った後に「途中で何度かグキッてなった」と言って「二人して右足をくじかないように」とさわやか五郎が言っていたので、どうやら右足の捻挫っぽい。そういうわけで、今日の宮本さんの踊りはいつもに比べて動きが押さえ気味だった。ただ、普段の彼女を見ていなければ怪我をしているとは気が付かなかったかもしれない。高木さんとファン10人が『ここにいるぜぇ!』(モーニング娘。)を踊るのを、宮本さんは客席の18列15番あたり(通路を挟んで段差が始まるブロックの一番前)で審査員として見守っていた。高木が真ん中、左右に5人ずつのファンというフォーメーションだった。左右のトーシロー軍団との対比が、高木さんのダンスのキレ、動きの大きさ、オートマティズムを際だたせていた。さすがにモノが違いすぎた。審査員の宮本氏は、左の5人をほめる一方、右の5人に辛辣な批評を行い私たちの笑いを取っていた。MVPを一人選んでプレゼントをあげるということだったが、最優秀賞はまさかの「紗友希」とのことで、高木紗友希に向けてサインを書き始めた。客席からはブーイングに近い反応が出た。高木さんは困惑して「あなたは私にサインなんていつでも書けるでしょ。ファンの人にあげなさい」と親が子供に教え諭すような口調で宮本さんに言った。すると宮本さんは「最優秀は紗友希だけどね」と前置きして、ファンの中で一番よかったのは○○さんだということで「紗友希へ」と書いたサインを左側にいた女性の一人にあげた。

踊りの企画で、研修生Tシャツを着た宮本佳林と高木紗友希を見られたのがこのイベントのハイライトだった。それだけでこのイベントを観に来た価値があった。しかも、このために作り直したのではなく、ハロプロ研修生だった当時に実際に着ていたモノホンだからなおさら稀少であった。当時のサイズだから、「(Tシャツが)ちっちゃくなった」と宮本さんは笑っていたがピチピチにはならず、着られていた。このTシャツを物入れから引っ張り出すために、誕生日にも関わらず部屋がTシャツで散乱したそうである。

わずか1時間のイベントなのでフル・コーラスではなかったが、宮本佳林さんは10曲も歌ってくれた。

『シューティングスター』(スマイレージ)
『自転車チリリン』(スマイレージ)
『夕暮れ 恋の時間』(スマイレージ)
『制服』(松田聖子)
『学級委員長』(スマイレージ)
『大人の事情』(NEXT YOU)
冷たい風と片思い』(モーニング娘。)
わがまま気のまま愛のジョーク』(モーニング娘。)
『涙ッチ』(モーニング娘。)

「そんなつもりはなかったんですけど、全部つんくさんの曲になりました。やっぱつんくさんの曲っていいなって思いました」と宮本さんが振り返ったように、突如として差し込まれた松田聖子を除けば、すべてがつんくの曲だった。

宮本さんが捌けてからも三つの約束があった。家に帰るまでがバースデーイベントだとか、今後も宮本佳林に夢中でいること、とかそんな感じだった。最後のお見送りでは「おめでとう」と言ったら、目を合わせて「ありがとう」と言ってくださった。本当に一瞬しかなくて、辛うじてこのやり取りが出来るくらいだった。宮本佳林さんの誕生日の当日に、面と向かっておめでとう、ありがとうというやり取りが出来たことに心が満たされた。

最近、大久保駅の近くに気になる店が出来たので、夕食はそこで摂ることにした。駅から徒歩1分と書いてあるのに明らかに5分くらいかかった。店の入り口が隣の店とほぼ同じ場所にあって、違う方に間違えて入ってしまった。謝って、正しい入り口に入り直そうとすると「並んでますよ」と欲情したカバが睨んで威嚇してきた。カバ一頭と人間が一人、店の外で並んでいたようだ。私は頷いて、その場を去った。店を間違えたのが恥ずかしくてその場を離れたかったし、メシを食うために並ぶのは好きではないし、何よりもそのカバと、さっきまで双眼鏡で舐め回すように見ていた宮本佳林さんとの落差が激しすぎて耐えられなかった。脂肪だらけの身体。メシのことばかり考えて50年以上(推定)も無駄に生きてきた俗物としての年輪が刻まれた面構え。歩きながらも頭にそいつの余韻が残り、吐き気を催す何歩か手前までいった。これが私が生きなくてはならない現実なのか。今日は自分が2.1キロ太ったことを知り、同僚から結婚の報告を受け、ティーンエイジャーの誕生日を祝い、よく知らない町で恥をかき、得体の知れない脂肪の塊にガンを付けられた。色んなことが起きすぎた。しかも大久保という町は何かガラが悪くて落ち着かない。もうイヤだ。帰りたい。でもまだ帰らない。適当に歩いて「ネパール居酒屋ナングロ」に入った。おすすめと書かれていたサマエボウジという謎の料理1,200円とネパールアイス(ビール)550円を頼んだ。周りに野菜と肉が配置してあるターリー的なフォーマットには馴染みがあったが、真ん中に敷き詰めてある物体の得体が知れなかった。パラパラのフレーク状になった米だった。こんなの初めて見た。初めて食った。私はリアルなのでスプーンは使わず手で混ぜて口に運んだ。何だこれ。なまらうめえ。うますぎる。久しぶりに食に関して衝撃を受けた。この店にはこれからも来なくてはならない。最初に目を付けていた店に入れなくてよかった。どうせ大した店じゃねえし、あそこに行ったらカバになる。

2016年12月2日金曜日

℃OMPASS (2016-11-23)

ちょっとげんなりするくらいに現場が立て続いていた。11月に入ってから3日に『ネガポジポジ』、6日にも『ネガポジポジ』、7日にJuice=Juice武道館、12日にもまた『ネガポジポジ』2公演、16日に上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト。そして今回は23日、℃-uteのパシフィコ横浜公演である。7日の武道館がとにかく特別だった。優に一週間は明確な余韻が残っていた。あのコンサートの感触が、洗っても洗っても頭と身体から取れなかった。(私が頭を洗うシャンプーはNature's Gate、身体を洗う石鹸はIVORYである。)ふと気を抜くと、脳内で再生される、幸せな時間。その心地よい感覚にしばらくは浸っていたいという気持ちがあった。それを引きずっていたから、正直なところ12日の『ネガポジポジ』は完璧な集中で臨めたとは言いがたい。11月13日にブログを更新したことで、自分の中での11月7日は一旦、終わった。ポメラを閉じ、喫茶店を出ると、数時間は放心状態が続いた。その三日後の16日に、上原ひろみトリオのコンサートが控えていた。早く退勤して六本木に向かった。すべて自分で決めたことだし、好きでやっているし、これはライフワークなのだが、現場の過密ぶりに呆れていた。でも実際にコンサートが始まるとそんな気持ちはまったくなくなって、夢中で上原ひろみちゃんさんの妙技とチャームを堪能した。

パシフィコ横浜に来るのは私にとって6回目だった。はじめは2013年6月29日、℃-ute『トレジャーボックス』ツアー。二回目は同年11月4日、℃-ute『Queen of J-POP〜たどり着いた女戦士〜』ツアー。三回目は同年11月24日、モーニング娘。『CHANCE』ツアー。四回目は2014年6月29日、℃-ute『℃-uteの本音』ツアー。五回目は2015年11月21日、℃-ute『℃an't STOP!』ツアー。パシフィコ横浜のコンサートは、ちょっと特別だ。中野サンプラザが約2,000人、日本武道館が約10,000人を収容するのに対して、この会場の収容人数は約5,000人である。日本武道館ほど大きくはないけど、中野サンプラザの倍以上に人が入る。普段よりも大きなコンサートをやっているという高揚感が、演者にも観客にも出やすい気がする。実際、思い返すと過去5回のうち4回はコンサートに心が完全に満たされたし素晴らしい思い出だ。残りの1回は主に開演直前にiPhoneをなくしたという完全に個人的な事情によるものだ。あとは席が悪すぎたというのもある。今回はiPhoneをなくさなかったし、席も悪くなかった。むしろこれまでの6回で一番よかったかもしれない。1階の23列。実際に席に着いてみると、数字以上に近かった。近くの紳士はこんなにいい席が来たのは久しぶりだと仲間に言っていた。私は、これから℃-uteのコンサートが始まるという状況を前にして、ワクワクしているような、していないような、変な気持ちだった。随分と久しぶりに来たような落ち着かなさがあった。久しぶりというほどでもない。9月にも、6月にも、5月にも、4月にも℃-uteのコンサートを観させてもらっているし、それに加えて℃-uteの姿は8月のハロコンでも見ている。パシフィコ横浜も過去に何度も来ている。でも、何かの間違いで来てしまったような、しっくり来ない感じが拭えなかった。それはコンサートが終わるまで、ずっとだった。

客席にはJuice=Juiceの現場にはほとんどいない20代前半くらいの男女がたくさんいた。列によっては半分くらいが女性というのもざらだった。以前(2016年5月4日)、Juice=Juiceでコンサート中に観客を二つに分けて声を出させるくだりがあって、宮崎由加さんが30歳以下と30歳以上で分けたところ30歳以上の声が圧倒的に大きかった。そのときのJuice=Juiceの観客は40歳くらいが中央値っぽかったのだが、下手すると今日の℃-uteを観に来た観客は10歳くらい若かったかもしれない。以前の℃-uteのコンサートに比べても、客層がだいぶ変わっている印象を受けた。ここ数ヶ月で、現場に若いファンが急増しているのかもしれない。私が今までに観させてもらってきた℃-ute現場に比べて、普通の人たちが観に来ていたんだろうね。ちょっとノリが違う。長年「エル・オー・ブイ・イー・ラブリー千聖!」のようなかけ声を叫び続けてきた人たちじゃないわけですよ。℃-uteのコンサートはここでこう声を出すというオートマティズムが出来上がっていない人たちが多かった。だからそういう意味では会場の一体感が薄かった。それが悪いと言っているんじゃない。そういう人たちがたくさんいたのは℃-uteが新しいファンをそれだけ獲得して会場まで足を運ばせた証拠だ。喜ばしい。これは凄いことだよ。11月7日に武道館に集まったJuice=Juiceファンのような人々が訓練されすぎで、異常なのである。ただ、アンコールのときにはもっと声を出して欲しかった。椅子に座ってずっと隣の同行者と談笑するのはダメでしょう。声を出すのが恥ずかしければせめて掛け声に合わせてサイリウムでも振りなさいよ。参加者としての意識が足りない。アンコールからのメンバー再登場は実質上コンサートに組み込まれたお決まりですが、あくまで私たちの声で登場させるんだからね。みんなが出さなかったらそこでコンサートは終わるんだよ。

客層が変わったから楽しめなかったということでは、ない。それよりもはるかに重要なこととして、私の中における℃-uteの地位が大きく揺らいでいるんだというのが明確に分かった。それはもうはっきりしすぎていて、自分で愕然とした。前回のツアー『℃ONCERTO』には7回も入った。そのときにはまだ自分の中で℃-uteとJuice=Juiceが(後者がリードしつつあったとはいえ)ある程度は拮抗していた。今日、℃-uteのコンサートを観させてもらって、差が埋めがたいほどにJuice=Juiceが好きなのだという確信に至った。℃-uteが二位なのかどうかも分からなくなった。5月のゴールデンウィークに、℃-uteのコンサートの2日後にJuice=Juiceのコンサートを観させてもらう機会があった。そのときには℃-uteに比べてJuice=Juiceの未熟さが目に付いた。やっぱり℃-uteの方が色んな面でまだまだ上だな、と思った。今日は異なる感想を抱いた。今の℃-uteよりも、今のJuice=Juiceの方が歌がいいと、はっきり思った。実際のところ歌唱の技術は℃-uteの方がおそらく上なんだろうと思う。でも、歌をどうしても届けたいという思いと、歌えること・コンサートが出来ることの喜びがどれだけマイクに乗っているかという点では、Juice=Juiceが℃-uteを大きく突き放していると感じた。11月23日の℃-uteからはそれを強くは感じなかった。かつて私を高揚させてきた曲たちが次々に流れてきても、前のように熱くなることは出来なかった。どこか醒めた目で見てしまった。

よかった点として、
1.5人の容姿・体型の仕上がりが相変わらず完璧だった。その点においては今の℃-uteに穴はない。誰がどう見ても全員、美しい。
2.メンバーたちがパーテーション越しに着替える演出が面白かった。
3.テレビ出演で鍛えられた岡井千聖が牽引するトーク。ハロプロや℃-uteをよく知らない人が聞いても笑えると思う。
・ベッドで飼い犬が用を足した話を披露する岡井千聖。「舞の犬も3匹中2匹は出来ない。犬にも性格がある。ちゃんとトイレが出来ない性格なんだよ」という萩原舞。「ブログのコメントには私の育て方が悪い、言うことを聞かないときに一緒に寝るのがよくないと書いてきた人がいた。じゃあベッドの下でずっと犬がキャンキャン泣き続けたらどうするんですか?」と怒る岡井に「なんでコメントと対決するの?」と笑う萩原。「コメントに言い返したい。じゃあさ…とか。コールアンドレスポンスがしたい。いいねだけ押す人は論外」と岡井。観客は爆笑。「(自分がファンの立場だとして)舞だったらブログにコメントはしない」
・岡井のさまざまなログイン情報を中島早貴が代わりに覚えている。一度、自分で持っていたら使っちゃうから銀行のカードを預かってくれないかと岡井が打診したら、それはさすがに…と中島が断った

『℃OMPASS』(コンパス)というツアー名で何を表したいのかがよく分からなかった。いや、もちろん彼女たちがこの先どこに進んでいくかの道しるべ的な意味合いなのは分かるんだけど、℃-ute解散後に各メンバーが何をするのかって相変わらずふわっとしているからね。終演後に「自分のコンパスは必ず見つかるさ!」という岡井千聖のメッセージがステージに映し出されたのだが、自分に言い聞かせているのかな、自身が持つ不安の裏返しなのかなというひねくれたことを言いたくなる。今後どうしたいのかがよく見えてこない(けど解散という事実と時期だけは決まっている)彼女たちが私たちに向かってそういうことを言っても、あまり説得力がない。もっと言うと、2013年の9月9日と10日に日本武道館での公演を達成してからの彼女たちに最も欠けていたのがコンパス(方向性、指針)だったのではないか。今日のセットリストは寄せ集め感、これまでの活動のダイジェスト感が強かった。そう、解散を発表してからの℃-uteはダイジェスト感、総括感が強すぎて、今の℃-uteにしか出来ない新しいことをやるというチャレンジが弱くなっている。よく言えば完成されたグループ。悪く言えば