2022年4月29日金曜日

PARADE (2022-04-23)

昨日18時から田村芽実さん主演のミュージカル『弥生、三月』をサンシャイン劇場で観た後、23時から家でACLのシドニーFCさん対横浜F・マリノスを観た。今日はミュージカルとフットボールの余韻が残った状態で鈍行で宇都宮に向かい、つばきファクトリーさんを観た。さほど楽しめなかったというのがコンサートの正直な感想だ。少なくとも今日のこの公演にはさほど心が躍らなかったし、このツアーにも飽きた。私は普段、22-23時に寝て6時頃に起きている。日付が変わっても起きていることはほぼない。昨日は午前1時頃までフットボールを観ていた。起床時間は普段とほとんど変わらなかった。そのぶん睡眠は短かった。質もおそらく低かっただろう。寝る直前まで観ていた試合はイライラが募った。特に前半は苦しい展開。何とか勝ったが。コンサートの前半はだるくて居眠りした。何度か船を漕いだ。別にいいや。まどろみながら私は思った。そこまで必死で観るほどのもんでもないだろ。前半の衣装はあんまりよくないし。休むのも大事。身体が疲れているなら睡魔に身を任せればいい。衣装を変えてからの後半はちゃんと起きていよう。睡眠といえば、最近の私はSWITCHmeというビター・オレンジ・オイルのスプレイを寝具に噴射したり、YouTubeで雨や嵐の音を流したりしている。両方とも効果を感じているが、特にYouTubeの方は何かを買う必要がないから入眠を改善したい人は試してみるといい。睡眠やストレス用に作られた8時間や10時間の雨動画(音声)がYouTubeにはたくさんある。布団の中で聞き入っているとすっと眠れる。

宇都宮駅前にタリーズもあったはずだが、栃木に来た感を味わうためにパーラー&喫茶BC(ブラジル・コーヒー)に入る。庶民的な雰囲気に油断していたがメニューを開くと一番安いホット・コーヒーがJPY700で卒倒しそうになった。タリーズの倍。栃木を舐めていた。関東の僻地にもかかわらず高いのか、関東の僻地だからこそ高くしないと(客数的に)商売が成り立たないのか。やっぱやめますと言って店を出るわけにもいかず。仕方なくJPY750のレーコーを注文。次に来る機会があればタリーズに入ろう。

F君と駅前で落ち合い、宇都宮駅前の餃天堂という餃子の店に入った。入店待ちの行列が出来ていて、入るまで1時間以上かかった。Aさん(私がみーたんと制服チェキを撮った日に会場前で挨拶だけしたことがある、小学生女アイドルを追いかけるイルな女性)、Bさん(初対面のシュッとした若者)と4人で入るつもりだったが4人の席が空かず。先にF君と私が入店。入って注文してからも待ち時間は思ったより長かった。焼き餃子と水餃子以外はライスと作り置きのつまみ数種類、あとは飲み物だけのメニュー構成だが、常に外に人が並んでいるにもかかわらずどうも全部注文を受けてから作っているらしい。飲食店の仕込み動画を観るのにはまっているF君によると、かなり大変そうな稼業なのだという。一日体験するくらいならいいですけど毎日は自分は無理ですね。そんなに儲からないだろうし。何で飲食店をやろうと思うのか、理解が難しい。そうですよねと私は頷きながら、考えた。きっと私の労働を見て同じようなことを思う人はいる。そして会社員全体に対して同じようなことを思う人もいるだろう。さて、餃子。皮がモチモチで見た目より食べ応えがある。ただ皮を食っている感じで、2-3個食べたら飽きる。ご飯が進まない。ライスは要らなかった。具材もタレも味が弱い。よだれ鶏を出せ。餃子を麻婆豆腐に浸けさせろ。まあ経験として、観光として一度入ってみる価値はあったかなという感じ。Aさんに車で会場まで送ってもらう予定だったが、後から入った彼女たちを待っていると開演(14時半)に間に合わなさそう。Aさんを襲撃し車を奪って逃走しようかとF君に持ちかけるが、実行には移さなかった。駅前からバスを利用。市役所前という停留所で降りる。私はゴミ箱から拾ってきたような2階後方席のチケットがアップフロントから送付されたが、F君は良席を貰っていた。入場後に発覚したが、彼は最前だった。やろうと思えばステージに上がってエスタシオンの二、三人は軽くなぎ倒し素手でメンバーさんを殺傷出来る紳士が最前にいる恐ろしさ。

今日の私たち可愛くない? と開演前にみーたんがメンバーさんに問いかけ、集団内で同調の輪が広がったらしい。普段そんなことは言わないし、顔なんて変わるものではないのに、なぜか今日はそう感じた。栃木に来てくださった皆さん(栃木の皆さんとは言わないのがおそらく地元民はごく少数であろうという現実をよく分かっている)はいつもより可愛い私たちを観られてラッキーですよ的なことを彼女は言っていた。みーたんをはじめ多くのメンバーさんからは髪型を日毎に七変化させて目で楽しませようという努力がよく伝わってくる。みーたんはおでこを出して、左と右の後方をそれぞれ団子っぽく結んであった。登壇する彼女を観る度、今日はこういう感じなんだという新鮮さがある。谷本安美さんは今日は髪にリボンをつけておらず下ろしていた。浅倉樹々さんもシンプルに下ろしていて毛量が多い感じでよかった。

さおりは今日あることをはじめて試みたらしい。何か分かった人? と客席に聞くが、拍手の小ささに苦笑するさおり。答えはウインクをたくさんしたこと。分かった人? 8人くらい……。悔しがるさおり。さおりは例の一件があってからしっかりと支持者が減少し、こういうときでもしっかりと反応が薄いのがいい。

新沼希空さんが恒例のあいうえおきそらん(あいうえお作文)を会場の地名で披露。お題が「とちぎ」なのにとで栃木を使うという大技を見せる。

今日のつばきファクトリーさんは、私に残っていた田村芽実さんたちのミュージカルの余韻をかき消すことは出来なかった。田村さんがファンクラブ会員向けの音声配信で、演歌を歌ってほしいというファンの声に対し、歌ってみたいが演歌は特殊。歌には各ジャンル毎の技能がある。歌が歌えればあらゆるジャンルが歌えるわけではないと言っていた。それはその通りで、ミュージカルとアイドルさんのコンサートも異なる。少人数でそこまで動かずにじっくり歌う昨日の『弥生、三月』と、激しく踊って動きながら多人数で細切れに歌う今日のコンサートを単純に比較することは出来ない。ただそれを踏まえた上でも、歌の表現力には大きな差があると感じた。

帰りも鈍行。昼の炭水化物偏重の薄味な食事による欲求不満を解消すべく、家の最寄り駅前にある焼き鳥日高。ホッピー(黒)、山芋スライス、白菜キムチ、スタミナ焼き、いわしフライ、フライドポテト。JPY1,450。こういうのでいいんだよ。

弥生、三月-君を愛した30年- (2022-04-22)

木、金、土、日の四日間しかない東京公演。土曜は宇都宮、日曜は座間につばきファクトリーさんを観に行く。移動時間的に無理なハシゴ。となると木、金のどちらかに行くしかない。気安く休みを取れない労働の状況だが、どちらかというと金曜の方が調整はしやすい。ということで申し込んだ今日の夜公演。ファンクラブ先行申し込み段階では視野にあった午後休。業務的に難しくなった。何とか逃げるように退勤したのが16時。池袋着が17時14分。開演が18時。駅からサンシャイン劇場への道中でケバブ・ラップ(チキン)をゲトる。歩きながら食う。前よりおいしくなっている気がする。サンシャインの成城石井でジン・トニックとグルテン・フリーのマフィンを購入。劇場に上がるエスカレーターの手前にあるバス乗り場の待合い空間で胃に入れる。劇場内でファンクラブの特典写真を受け取る。小便器に陰茎から尿を放つ。入念に絞り出したつもりが陰茎を服に仕舞い込んでからじわっと第二波が来て焦る。泌尿器まわりの加齢。私もボッさんのように夜中に何度も尿意で目が覚めるようになるのだろうか(参照:THA BLUE HERBさんのアルバム“THA BLUE HERB”)。席に着いたのが17時51分。席の間隔はなし。左右が若い女。左は十代に見える。5列22番。右ブロックの4列目。通路席の一つ右。いつも良席をくださる田村芽実オフィシャルファンクラブさん。ありがとうございます。

題名もあやふやなまま劇場まで来た私だが、入り口のポスターと開演前にステージに投影されている文字で『弥生、三月』だと把握した。劇が始まってから田村芽実さんの役名が弥生であることを知った。『弥生、三月』で弥生役ということはめっちゃ主役じゃん。気分が高揚。登場人物が4人しかおらず、内容的にも小難しいところはなかったので、物語は追いやすかった。同じ登場人物の30年間を田村さんが何かで言っているのを覚えていた。物語がカヴァーする期間はもっと長かった。私の記憶が正しければ、1986年3月から始まり、1988年3月、1991年3月、1996年3月、2011年3月と場面が切り替わっていき、最後は2021年3月。だから35年間だね。田村さん演じる弥生が高校生のところから話が始まる。親友のサクラがサッカー部の太郎に好意を寄せている。その恋を応援する弥生。エイズ持ちのサクラは卒業式を迎える前に亡くなる。一旦はサッカーを辞めた太郎だが、サクラとの約束を果たすため大学に進学せずJリーガーを目指す。夢はW杯で得点王。だが一向に受からない入団テスト。26歳から31歳の間のどこかでようやく入れた下位カテゴリーのクラブも怪我で契約解除。副題の『君を愛した30年』は、弥生が親の借金のカタで結婚させられそうになって太郎に救い出される1991年(21歳)から、二人が東京の書店で再会する2021年(51歳)までを指しているようだ。

Jリーグの発足、大震災といった現実の出来事に影響を受ける登場人物たち。仙台(最後の方は東京)という実際の土地。しかし、架空の世界ではなく我々が生きるこの現実世界を舞台としている割に登場人物たちの生活の描き方はちょっと詰めが甘いと感じた。たとえば2021年3月の大震災から連絡が取れなくなった弥生を、太郎が10年がかりで探し出すのだが、その間は少年サッカーのコーチをパート・タイムでやって食っていたのだという。無理がある。たしか『フットボール批評』で読んだ話だが、少年クラブのコーチになりがたる元選手は非常に多く、供給過多。なおかつ採用されても給料が出るとは限らず、出たとしても多くはお駄賃程度。十分な生活費が稼げる職業ではない。それで10年間、太郎はどうやって生きてきたのか? Jリーガー志望の無職時代に太郎は結婚して子供まで作っている。どうやって妻子を養っていたのか?(私の記憶にないだけで妻の収入でやりくり出来ていたという説明があったのかもしれないが。)離婚して(たしかそうだったと思う。もし記憶違いだったらごめん)昼から家でビールを飲んでいた太郎は、どうやって家賃やビール代を払っていたのか?

弥生、サクラ、太郎という三人の人間関係に彼女たち(サクラは亡くなったが)は一生縛られている。51歳になっても。弥生も太郎も、あまりに過去にとらわれすぎている。高校時代から好きな女と41歳で連絡が取れなくなり、お互い51歳になるまで10年間探し続ける太郎。病的なストーカー。異常者。恐ろしい。この物語における社会には他に人間がいないのだろうか? 無垢すぎる。この異常な過去への執着は、何がそうさせたのだろうか? それを正当化する説明が必要ではないだろうか?

出演者同士でサッカー・ボールをパスし合う場面が何度か出てくるのだが、太郎を含め全員がすべてのパスを徹底して足裏で止めていた。これはサッカーにおける通常のトラップの仕方ではない。たしかにフットサルではあえて足裏で止めることがある。サッカーと比べ空間が狭いから足裏でボールを止めてそのままつま先でシュートを打つようなプレイが有効だからだ。しかし舞台上で行われていたあの一連のパスとトラップから、遊びでもボールを蹴ったことがない人のぎこちなさを私は嗅ぎ取った。たしかにサッカー未経験(おそらく)の役者さんたちが短期間の稽古で川崎フロンターレさんの選手たちのような止める・蹴るの技術を身に付けるのは無理だ。ただ、私の中では太郎がサッカーをやっているとかJリーガーだとかの設定の現実味が薄れてしまった。もちろん太郎役の林翔太さんにケチをつけるつもりは毛頭ない。くだらないことにイチャモンをつけるなとあなたは思うかも知れない。でも考えてみてほしいんだが、たとえば登場人物が料理人の設定でフライパンの持ち方がおかしいとか鍋を振れないとかが劇中に露呈すれば観ている人はおいおいホンマに料理人なんかい(笑)ってなると思う。料理人やサッカー選手のところを自分が好きだったり詳しかったりする何かに入れ替えて考えてみてほしい。

つい批判で雄弁になってしまった。だが強調しておきたい。物語を無視すれば、ミュージカルとしてとても満足が出来た。ピアノが生演奏で。田村芽実さんの魂がこもった歌と演技をたっぷりと堪能できて幸せだった。他の演者さんたちもしっかりと歌がうまく、ユニゾンも各人の魅力が掛け合わさって見事だった。私の耳が喜んでいた。労働で荒んだ心身が癒された。だから、歌のショウとして素晴らしかった。弥生の親友サクラを演じた岡田奈々さんという方を私は存じ上げなかったが、宮本佳林さんと川村文乃さんを足して二で割ったような雰囲気。見た目だけじゃなく歌声や息の抜き方(?)が宮本さんを感じさせた。元AKBということで正直、私は若干舐めていたが(物理的に舐めていたわけではない。舐めたいが)べっぴんさんなだけでなく歌も魅力的だった。終演後、私の前にいたヒョロガリの紳士がNO OKADANANA NO LIFEという文字に加え岡田氏のInstagramアカウントのQRコードを印刷した赤いTシャツをお召しになっていた。岡田さんの支持者とおぼしき肥満もしくは頭髪の薄い中年男性が4-5人で群れていた。全体としては客の男女比は半々くらい、もしくは女性が少し多いくらいだったと思う。

41歳の弥生と太郎との不倫ワン・ナイト・ラヴの場面があるのだが、駅弁、正常位、騎乗位、対面座位と次々に体位を変えていく弥生を観ていると、それどこで覚えてきたんだよ芽実……と私は父親の心境にならざるを得なかった。

2022年4月17日日曜日

PARADE (2022-04-09)

日課のトレーニングを朝7時前に完了。いつもは夜にやっているんだけど、今日は家に帰らないので。エアロ・フィットはともかくコア・スクイーズ(デカいクッション)を持ち運ぶのは難しい。実際は一日やらないくらいで日々の継続が台無しにはならない。でも今日はやらなくていいでしょという内なる声は黙らせないといけない。その甘えは容易く二日、三日、一週間のサボりに繋がっていく。そういうもの。顔を洗うように、歯を磨くように、毎日やるのを当たり前にしないといけない。

二つ早い電車に乗ったが成城石井でチョコ(大麻のことではない)味のベーグル、タリーズでレーコーを買っていたら新幹線の発車時刻が数分後に迫っていた。ご存じのようにコヴィッド・ヴァイラスは飲食物を忌避するため、我々は電車でもスタジアムでも飲み食いしている最中にマスクを着ける必要がない。私は一時間くらいかけてゆっくりレーコーを飲み、ベーグルを食った。そのため降りるまでほとんどマスクをしなくて済んだ。最近思う。そもそもノー・マスクという言い方をしている時点で相手の術中にはまっている。マスクをしているのが正常で当たり前、しないのが異常でどうかしているという前提を受け入れているからだ。おかしいのは何も考えずにいつでもどこでもマスクをしている君たちだ。多数派であるかどうかと正しいかどうかは区別しなくてはいけない。

世の中でコヴィッド対策という名目で奨励されるアレコレの馬鹿馬鹿しさ。手を30秒洗えと書いてある公衆便所。これからハンバーガーを作るマクドの店員でもないのに本当に毎回30秒手を洗う人は精神を病んでいるだろう。さすがに異臭を放つイチモツを触った後に洗面台を素通りする老紳士を見ると私も引く。ただ、そもそも人間は菌の塊みたいなもんなのであって、さまざまな菌と共生して成り立っている。私も腸に関する本を読むまでは菌=悪、除菌や殺菌はすればするほどいいと思っていた。(興味があれば、たとえば『腸科学』あたりを読んでみるといい。)しかしそれではアンパンチでバイキンマンを退治して問題が解決する『アンパンマン』で世界の認識が止まっている。
ヒトはまさに細菌との共同体です。
てゆーか、腸内細菌の数は百兆個、ヒトの細胞の数は六十兆個ですから、この共同体では、むしろヒトの方がマイノリティなのです。
「細菌目線」で我々を見れば、我々は「ヒトの肉で出来た服を着ている細菌の集団」に見えるのかもしれません。
(茨木保、『まんが 人体の不思議』)

 

先月の地震によるダメージからまだ完全に復旧していない新幹線。直行出来ない仙台。福島駅から10時8分の臨時快速。ちょうど座席が埋まるくらいの乗客数だった。誰かと隣り合わせになるよりは空いている場所で立っていた方がいいと思いドア付近でチルしていたら10時4分くらいに大量のオジサンとオバサンがドカドカ乗り込んで来、周囲の乗車率が150%になった。
上がっていく一方の不快指数 だからきたねえ言葉使いディス(ラッパ我リヤ、『大東京 feat. K DUB SHINE』)
左にオバサン、右にオジサン。恋人気分の距離感。足下にはオバサンのスーツ・ケース。オバサンが身体の向きを調整し、私と対面するような状態になるというプレイを仕掛けてきた。70分コースを耐え、11時18分くらいに仙台駅。今日は14時半開演。その前に昼食。あの店で水煮肉片を食おう。F君とご一緒したかったが彼は13時くらいに仙台空港に着くようなので(仙台に空港があると私は知らなかった)、時間的に無理そうだ。途中で目に飛び込んできたマリンブルーグループ ソープランド千姫という文字を見、福田真琳さんを思い出す。成龍萬寿山。水煮肉片。ライス。瓶ビール(サッポロ)。私は複数の四川料理店で水煮肉片を食べたことがあるが、それと比べるとマイルドな味。麻辣というよりはとにかくニンニクが強い。たっぷりのキャベツとニンニク。家系ラーメン的な。これはこれでおいしい。私はゴリゴリの四川料理店が出す水煮肉片の方が好み。

起きてから頭が痛い。10時過ぎにバファリンを飲んだがさほど効いていない。ベローチェ。Chuck Palahniukさんの“Survivor”を読む。この著者の“Invisible Monsters”を前に読んだことがあるが、読んだと言っていいのか微妙なくらい内容が理解できなかった。文の順番をめちゃくちゃにシャッフルしてあるので、話を追うのが難しい。“Survivor”は289ページから始まって読み進めるごとにページ数が減っていく。こういう実験的なことを好む作家さんのようだ。

婦人服っぽいフレアの効いたピチピチのジーンズを履いた50代くらいのオジサンが、信号が点滅する横断歩道を女走りで渡った。彼の目的地もおそらく私と同じ。仙台サンプラザ。14時10分くらいに会場に入る。私の席は2階の右側。一般的な2階席の悲壮感はなく、十分に近い。どの席でも決して悪くはない、みんなが幸せになれる会場。「皆さん、ハロー!プロジェクトの、オフィシャル・ファンクラブはご存じですか?」と河西結心さんが問いかける、例のファンクラブ宣伝映像。意図を掴みかねる。ファンクラブを知らないでここにたどり着く人がいたとしたら奇跡に近いのではないか?

座って黙って観なければならないコヴィッド騒ぎの制限下においては、割り切って常に双眼鏡を構えるのが私の答えだ。座間のときよりも近かった分、臨場感のある絵を得られた。遠征の荷物を最小限にしたいのと、双眼鏡との両立が難しいのとで、ペンライトは持参しなかった。でもやっぱり次以降は持って行った方がいいかも。最後のコメントで瑞歩さんが、私が歌う前にエメラルド・グリーンのペンライトをグルグル回してくれる人がいて、私を応援する気持ちが伝わってきて嬉しかった的なことを言っていたからだ。公演後にF君にも言われた。僕はこうやってます、と双眼鏡とペンライトを同時に持つやり方を吉田さんが身振りで示した。何かこう、首輪のように手で持たなくても光らせられる何かがあればいいんだけどね。

コヴィッド騒ぎになってからHello! Projectのコンサートは音量は抑えめになっていたが、今日はちょっと予想外に音が大きかった。ポケットに入れていた耳栓(Loop Quiet)を途中からつけた。コンサートではなく移動中に使うつもりだった。27db低減。ちょっと感激するくらい音がマイルドになった。だけどその分、会場の盛り上がりや一体感が感じられなかった。耳が守られている安心感はあったものの、ちょっと音を弾きすぎ。たとえば『だからなんなんだ!』の冒頭で小野田紗栞さんが一人でしばらくクネクネしていたときに会場がざわついたのかどうかが分からなかった。(最後に小野田さんが語ったところによると、客席でこのクネクネをコピーしている人がたくさんいたらしい。そのとき左右に捌けてステージにいなかった他のメンバーさんたちは、そうなの? と口々に驚いていた。私がその景色を独占していたんです的なことを言う小野田さんは満足げだった。)次はコンサート用のTHUNDERPLUGS(18db低減)を持って行くことにする。

谷本安美さんが醸し出すゼロイチ・ファミリア感。メンバーさんがそれぞれの可愛さを持つ中でも異質な存在。つばきファクトリーさんにいてくれてありがたい。口紅が真っ赤で、セックスを感じさせた。新沼希空さんをコンサートで観る度に歌が弱いなと思うが、谷本さんの場合は見た目があまりに可愛すぎてそもそも歌が頭に入ってこない。気にならない。今日の私は瑞歩さんの次に谷本さんを長く見た。

岸本ゆめのさん:この会場は皆さん(観客)全員が1メートル以内にいる感覚。私のことを見ている人のことも見ているし、私のことを見ていない人のことも見ている。今日は5周くらい出来た(視線を送った)。私のことを見ている人は5回くらい目が合ったし、私のことを見ていない人は私から一方的に5回見られている。

コンサート開演直後、いい感じのインストに合わせて二人ずつポーズを決めて登壇し全員が出揃ったつばきファクトリーさんを見、今さらだが人数、多! と思った。

仙台は私が好きな石田亜佑美さんが生まれた土地で、そんな場所でコンサートが出来ることが嬉しい、的なことを新沼希空さんが言うのを聞いているときの八木栞さんの表情が大袈裟すぎて、顔芸の域に達していて可笑しかった。

みなさんこんばんワラビー♪(こんにちだったか?)と福田真琳さんが言うと、殺すぞという言葉が私の頭にわいてきた。反射的に。

公演後、F君、吉田さん、D君、私の4人で仙台サンプラザの裏で歓談した。モーニング娘。さんがインスタで生配信を始めた。たぶん仙台サンプラザの中の、すぐその辺でやっている。場所を特定できるかもしれない。乱入してください、全裸で、とD君にお願いしたら彼は首を横に振った。小田さくらさんが棒状のブツ(笹かま)を召し上がっているので、「歯立てないで」とコメントするようD君にお願いしたが、やってくれなかった。腹が減ったというD君がその場を離れ近くのファミマに行った。D君不在時に昔でいうボディコンのようなピチピチの服を着た女がケツを振りながら近くを通り過ぎた。D君の好きなやつじゃないですか、なぞと口々にD君の名前を隠れ蓑にして三人でジロジロ見まくった。それを後から戻ってきたD君(随分遅いなと思ったら買ったものをファミマの前で全部食ってから来たらしい)に伝えると、一番いいやつじゃないですか! と悔しがっていた。

「かなともがな〜。辞めるときに、ケツを残してほしかった」
「ケツを残すってどういうことですか?」
「ケツの文化を……」

件のボディコン女はモーニング娘。の観客だった。終演後、彼女の後ろにぴったり張り付いて会場から出てくるD君が目撃された。
「どうやって見つけたんですか?」
「いや何となく。いいケツしてんな〜って。さっき言ってたのってこの人のことかなと思って」

つばきファクトリーさんの後に行われたモーニング娘。さんのコンサート終演後(私はホテルショコラ エスパル仙台店でアメリカーノを飲んでいた)、石田亜佑美さんを支持する二十歳の若者と合流し、5人で焼き肉レストランひがしやまに入った。割り箸の袋にアプリ会員は誕生月に10%OFFになる旨が書いてあったので、今月誕生日の人っています? と私が何気なく聞いてみたら、D君が名乗りを上げた。今月どころか今日が誕生日らしい。その瞬間からD君のバースデー・イベントが開演したが、もちろん我々が気を遣っておごるようなことはせず、むしろD君がやや多めに出してくれた。