2016年1月11日月曜日

DANCING! SINGING! EXCITING! (2016-01-10)

旅行の日程を組むときのコツの一つが、いい宿を後の方に持ってくることだ。もちろん最高の宿に毎日とまれればそれに越したことはないだろうが、普通はお金を無尽蔵に使えるわけではない。その上、宿泊料の他にもお金はかかる。だから二つ以上のホテルを使う旅では、なるべく料金を抑えて泊まる日、少し奮発して贅沢を味わう日という風にメリハリを付けるのが現実的だ。そこで序盤にいい宿に泊まってしまうと、後から泊まるホテルの悪いところばかりが目についてしまう。最初に安いホテルに泊まって、後からいいホテルを使うと、値段の差はこういうところに表れるんだなと気付くことが出来るし、格上のサービスに感激することが出来る。

1月10日(日)17時半に開演した2016年の冬ハロコン“DANCING! SINGING! EXCITING!”を観に行った。本ハロコンの10公演目で、東京(中野サンプラザ)公演としては最後。私にとっては3回目で最後の参加であった。私が参加したのはまず1月4日(月)の夜公演で、1F16列。次が1月9日(土)の夜公演で、1F22列。今日は、1F4列。最初の二回はファンクラブで申し込んだが、今日のチケットは1月2日に原宿の娯楽道で買った。18,000円。金にモノを言わせて良席を手に入れた。後からいい宿に泊まった方が旅の満足度が高いという理論は、コンサートにも適用できる。つまり同じコンサートに複数回、足を運ぶ場合には、後にいい席で観た方がよい思い出になる。娯楽道で買い足すチケットを10日のにしたのはその理論を信じているからだ。

荷物検査を終えて階段を上りきると、DVD収録を行うとの但し書きが貼ってあった。今回、ファンクラブのエグゼキュティブパス2016(所謂エグゼ)というのに応募するつもりだ。そのためにはまずクレジットカードを作ってスペシャル会員というのにならないといけない。ファンクラブから郵送されてきたお知らせに申し込み時に必要と書いてあった届出印はなくした。会場内にスペシャル会員への移行を申し込める場所がある。申込用紙だけをもらって、銀行で届出印を変更してから申し込もうと思ったが、「届出印がないと出来ないんですよね?」と聞くとキャッシュカードがあれば出来るとのことだったので、その場で申し込みを済ませた。しかしこのエグゼキュティブパスというのを後から検索してみると毎年の定員が300人くらいで、2年連続で当選する人もいないらしい。今年は海外出張が多くなりそうなので、仮に当選したとしても恩恵に授かりきれないかもしれない。今回はまずスペシャル会員になるだけにしておいて、エグゼに申し込むのは次回にしようかな?

4列は、格別だった。席に着いただけで始まる前から新鮮な興奮があった。双眼鏡をカバンに入れていたが、いざ来てみるとこの距離で双眼鏡を使うのはさすがに変だという自制心が働いた。先日お話をさせていただいた“ももちの旦那さん”は中野サンプラザの0列(最前列)でも双眼鏡を使うと言っていたが私はそれが出来る境地に達していない。開演前にためしに双眼鏡越しにステージを覗いてみたが、近すぎて焦点が合わない。調整するのも面倒くさい。今日はDVD収録がある。曲に乗って声を出して棒を光らせて会場の熱を高めるのに貢献することに決めた。一つ前の記事で熱狂と双眼鏡でじっくり見ることのトレードオフについて書いた。良席だとそのトレードオフは発生しない。双眼鏡を用いなくてよいほど近いため、細部を見るのと身体を動かして声を出すのとを両立させることが出来るのである。問題なのは良席というのは滅多に当たるものではないし、非正規ルートで入手するにしてもしょっちゅう買えるような値段ではないということだ。

私の左に一つ席があって、その左が通路だった。そこは演者たちがステージを降りて真ん中の通路に降臨する際の通り道だった。モーニング娘。'16の皆さんが通ったときだったと思うがいい匂いがした。走り抜けていくので一人一人が見えるのは一瞬なのだが、いいものを見られた。

「ハロプロなう」(2016年になってなうというこの時代感覚がいいよね)という決められたお題に沿って話すセグメントの司会は、私がこれまでに観た2公演ともまことさんと飯窪さんだったが、今日はまことさんと嗣永さんだった。今日のお題は「調子に乗りすぎてやってしまった事」

船木「お友達がお泊まりに来て、お好み焼きを作った。キャベツが一つの半分で十分なところを調子に乗って一玉ぶん入れてしまって、ひっくり返すときにバラバラになってスクランブルエッグルのようになってしまった」
船木さんが「お友達がお泊まりに…」と言ったとき「おと」で頭韻を踏んできたと思ったし、その直後に「お好み焼き」と「おと、おと、おこ」という頭韻を畳みかけてくるあたりは天性のラッパー。「スクランブルエッグル」と言ったのも私は聞き逃さなかった。言い間違えだがこの言い間違え方に才能を感じる。

田口「私はJuice=Juiceの高木さんが好きだが、普段はあまり話すことが出来ない。ハロコンのときくらいしか会うことが出来ないので調子に乗ってたくさんしゃべっていたらタメ語になってしまった。高木さんは先輩なのに」
高木はマイクを持ったが話は振られず、何かを言うタイミングを逃した。
嗣永「田口は私にもタメ語を使ってきたことがある。急いで走っているときに肩がぶつかって『あ、ごめん』って言ってきた。レコード大賞の最優秀新人賞を取ると人って変わるんだなあって。おめでとうございますー」
手で顔を隠す田口。

まこと「舞ちゃんに聞きたい。今日は会場に64本の飲み物があったんですが、一つだけ茶色かった。あれは何?」
萩原「お茶です。舞、水を飲めないんです」
まこと「それはアレルギー? それとも嫌いなの?」
萩原「嫌いなんです」
嗣永が皮肉たっぷりに「あー℃-uteさんクラスになるとねえ(そういうわがままが通る)」と煽る。手を振って否定する℃-uteメンバーたち。

生田、何かを言って滑る。生田と似た空気を持っているという流れで話を振られた中西、「今までの人生で発した言葉が一度も受けたことがない」

まことが不意打ちでつばきファクトリー浅倉を指名する。すっかり油断していたでしょとまことに言い当てられて困る浅倉。何か話はあるかと聞かれて「ないですよ」と言って笑いを誘う。「芸能界、こういう急なパス来るよ」と嗣永。
考えた挙げ句、家でダンスの練習をしていたら愛犬のチャーリーを二回ふみつけてしまったというepisodeを披露し、会場は笑いに包まれる。「こういう話を聞きたかった」とまこと。

森戸「山木梨沙ちゃんが蛙を好きなんですけどリアルな蛙の靴下を履いていて、でもその日は片方だけ間違えて普通の靴下を履いていて、片方だけ蛙だったんです」
会場の反応が今一つのなか、話している最中から笑いをこらえきれない森戸。コメントを求められた梁川が「森戸さんのほんわかした感じが出ていて、滑るとか滑らないとかを超越した可愛さがありました」と先輩を立てる。
「このグループは後輩の方がちゃんとしゃべれるんです」と嗣永がきれいに落としたが、岡井が横槍を入れる。「桃ちゃんが仕込んだんでしょ? 正直に言いなさい」マイクを梁川に渡さず手で×を作る森戸。
「お手本として桃ちゃんが面白い話をしてよ。ハロプロのバラエティ担当として」と言う岡井を「最悪だな…」と睨みながら悪態をつく嗣永。
「新しいワンピースを着て街を歩いていたらみんなが私のことを見るから可愛いからだと思っていたらタグを付けていたままだった」という話を披露し、当然ながら会場はシーンとする。カントリー・ガールズ6人だけが大げさに笑い転げる。「お腹が痛い!」と言った後に「面白さの質が違う!」と稲場。この連携の取れた小芝居、嗣永桃子が率いるグループだけある。

嗣永桃子が回しているだけあって抜群に面白かったがDVD化される回でJuice=Juiceの出番がなかったのは残念だ。

昨日の公演を欠席した金澤朋子は冒頭には出場していたが、途中からいなくなった。笑顔がなかったのでおそらくきついのだろうと思ったが、いたのは最初の方だけだった。

℃-uteが履いているヒールの高さが他のグループと違う。℃-uteのヒールの高さはえげつない。これだけ前で見ると、そういうところが分かる。

スワヒリ語でクマモトは女性器を意味すると以前にTwitterで知った(厳密には「熱い女性器」らしい)。ハロプロに新加入したメンバーたちが自己紹介をするセグメントで、熊本(スワヒリ語のクマモトとは無関係)から来た上國料萌衣が出身地の方言で話した。「今はダンスも歌も出来なくて周りに迷惑をかけているがこれから頑張って追いつく」的なことを言った後に「みんな好きばい」と締めくくって喝采を浴びた。

最後の方で宮崎由加さんが宮崎と大きく印字されたピンクのTシャツを着ている私に気付いてくれてこちらを一瞬みてニコッと笑ってくれた、ような気がした。ような気がしたら、それはもう事実なのである。アイドルとはそういうものなのである。つまり宮崎由加さんが一番なのである。

天国で毎日、良席でハロコンを観られて、死んだらその天国に行けるのであれば、不安なく死ねる。むしろ死にたい。そう思いながら私は帰途についた。