2015年8月14日金曜日

CHALLENGER (2015-08-09)

汗ばまない程度の陽気。夏はこれくらいが上限であって欲しい。来週の広島旅行でもこれくらいの気候であればかなり動き回れるのだが。13時過ぎにハロコン会場の中野サンプラザに着いたところ、グッズ列が思ったより短くて、会場内の階段に収まっていた。日替わりA5写真の田村さん500円と、コレクション生写真2枚1,000円を購入。生写真はこぶしファクトリー井上とJuice=Juiceの植村が当たった。どっちも「暑中お見舞い申し上げます」と書いてあったような気がする。気がするというのは一瞥してすぐに袋にしまったからだ。田村芽実の写真と交換することしか頭にない。会場近くのテントがオタク同士の交換場所になっていた。入るや否やすぐに体格のいい紳士に声をかけられた。
「何かお探しですか?」
「はい。コレクション生写真の田村さんが欲しくて、持っているのがこぶし井上とJuiceのうえむー」
井上玲音は名字で呼び捨てたのに対して植村あかりのことはうえむーと愛称で呼んだ。こぶしファクトリー単独の現場には(ミュージカル“Week End Survivor”を除けば)一度も行ったことがないし井上氏のことはおはスタに出ているらしいという程度の知識しかないのに対して、Juice=Juiceに関してはイベントや単独コンサートを何公演か観に行ったことがあるしラジオ番組“We are Juice=Juice”を毎週聴いているという差が自然と私の態度に表れているのである。
「めいめいですよね?」
「はい」
私が田村芽実のことをめいめいではなく田村さんと言ったのは彼女に対する気持ちの相当部分が敬意であって、簡単に愛称で呼ぶことがはばかられるからである。とは言ってもコンサート中にめいめいと叫ぶことにためらいはない。
その紳士が奥で商品を管理している部下のような男に確認させると、あまり芳しくない反応。どうも田村さんの写真は数が少ないらしい。
「最悪2枚1枚でもいいですか?」
「いいっすよ」
結局、私が先ほど買った2枚と、田村さんの写真1枚との交換になった。強いトレーディング・カードを手に入れた気分。

L判のコレクション生写真はビニールのスリーブと折れ曲がりを防ぐ厚紙が付いてくる。だからそのままカバンに入れても問題ない。日替わりA5写真はA4の半分という大きさにも関わらず厚紙を付けてくれない。取り扱いに失敗すればすぐに折れ曲がってしまうだろう。私の今日のカバンには入らない。A5写真を買う度に、保護する入れ物を持ってくればよかったと思うのだが、私はアイドルオタクではなくライトなファンであり写真の購入頻度が低いため、忘れてしまうのだ。田村氏の写真を入手した時点で13時半すぎだった。喫茶店に入ることも考えたが、開場が14時、開演が15時(私は3公演やるうちの真ん中の公演だけを観る)だったので本屋をぶらぶら見るだけで時間は潰れた。開演前に、近くの席にいた女性がA4サイズのプラスチックで出来た硬い入れ物に写真類を収納していた。私に必要なのはあれだ、と思った。

私の席は1F17列の中央付近だった。一つ前の16列に所謂アンオフィ(コンサート会場の近くで非公式の業者が販売している出所の謎な写真。8枚組で1,000円。公式の写真より質が高く値段も良心的)の撮影者とおぼしき不審な紳士がいた。黒いパンツに黒いSTUSSYのTシャツにTHE NORTH FACEのウエストポーチ。短髪に黒いキャップ。50歳くらいか。公演前から何か変な雰囲気を漂わせていた。明らかにコンサートそのものにもハロプロにも興味がなさそうだった。何かの布ですっぽり覆っていたけど明らかにキャメラで写真を撮っていた。別に私はアンオフィの業者を糾弾するつもりはなく、高品質な写真を良心的な価格で提供し続けて欲しいとしか願っていない。私からすると正直彼らのおかげで助かっている側だし、鑑賞の妨げになっている訳ではないので積極的に咎める理由はない。

実のところ、目の前の席でSTUSSYが撮影しているのに途中まで気付かないほど私の意識はステージに釘付けになっていた。眼が二つだけでは追いきれない情報量の多さがハロコンの魅力だ。ステージ中央で曲を披露するユニットがいれば、横のひな檀で思い思いのやり方で曲に乗ったり隣の子とふざけ合ったりじゃれ合ったりする子たちがいる。カントリーガールズの『わかっているのにごめんね』の最初と最後の台詞部分を真似し合う岡井千聖と鈴木愛理。岡井が「若いっていいわねえ」のくだりを前にいた研修生の子に向かって言っていた。一部の曲ではメンバーが通路に現れることもある。いくらでもある見所の中から、その場その場で自分なりに焦点を絞ってじっくりと観察する。飽きない。

ハロプロ研修生の中に加賀楓と一岡伶奈を見つけたときの「君たちはまだここにいたんですね」感。他の研修生たちが続々とデビューする中、取り残されてしまった感。これから加賀さんと一岡さんがデビュー出来る可能性はおそらく低いだろう。どうするのか。そんなことを考えると研修生たちの歌唱や踊りに身が入らなかった。研修生はこぶしファクトリーとつばきファクトリーが抜けたことでだいぶ小粒になった。他のユニットとはだいぶ差がある。こぶしの面々がまだいた頃はオールスターという感じで凄かった。

こぶしファクトリーの『ラーメン大好き小泉さんの唄』が事前に“The Girls Live”で観ていた通りに癖になる面白い曲で、楽しかった。「麺上げて! 湯を切って! ラーメン大好き小泉さん!」とこぶしたちが唄って観客が同じ言葉を繰り返すというのが2回続けてあるのだが、2回目は1回目に比べて歌唱のリズムをずらしてあって、いきなりやるには少し難しい。2回目に私たち観客はどっちのリズムで返すのか。おそらく歌唱と同じリズムで返すのが正解なんだろうが、みんなが付いてこられるリズムではない。

今日確信したのは、今ハロプロのユニットで一番旬なのはJuice=Juiceであるということだ。アイドル集団は、ただ新鮮なだけでは表現に深みが出ないし、熟練しているだけでは面白味がない。その両方をどれだけ兼ね備えているかが大事だ。今のJuice=Juiceは、新鮮さと円熟味を掛け合わせたときに現在のハロプロで最も点数が高い集団だ(実際に点数を出して計算した訳ではない)。びっくりするくらい華があった。思わず乗せられてしまう宮本佳林の力強く迷いのない煽り。可愛すぎる宮崎由加。自信と喜びに満ちたパフォーマンス。デビューしたばかりで新鮮なのはこぶしファクトリー、カントリーガールズ、つばきファクトリー。一方で圧倒的な熟練を誇るのが℃-ute。℃-uteは、今日に限っては何だかつまらなかった。

途中のトーク。金澤と和田。二人とも耳フェチ。金澤は薄くて女性らしい耳、和田は福耳が好み。それぞれ画像をスクリーンに写して解説。
金澤:ハロプロで一番理想に近い耳を持っているのが宮本佳林。自分にあの耳が欲しい。
和田:理想の耳を持つのは仏像。前のめりになって仏像の耳の特徴や魅力を語り始めるが「仏像の話はまた後で・・・」とまことに遮られ終了。

最後に、個人に着目すると、今節最大の発見は、稲場愛香である。引き付けられた。仕草、表情、声。何と言っても、踊り。ハロプロダンス部ではバッキバキの動きで振り付けにも分かりやすい派手さがあったが、『ためらいサマータイム』のゆっくりしたテンポの控えめな振り付けでもこんなに存在感を示せるのか!と驚いた。とにかく目を離せなかった。来週、広島でカントリーガールズのコンサートを観るが、まなかん推しで行くことに決めた。