2016年8月21日日曜日

Sunshine Parade (2016-08-20)

午前3時頃:またか。この時間に目が覚めた。枕元のiPhone 6sでTwitterを開くとよく話す人から@が来ていた。つい30分ほど前だ。ここでやり取りを始めると完全に覚醒して眠れなってしまうので、返事はしないでおく。ただ、どうもその人の様子が普通ではないのでTLを遡ってみた。「℃-ute解散」の文字が目に飛び込んできた。心臓がバクバクした。解散そのものはまったくの想定外ではない。むしろ最近の℃-uteからは終わりの始まりを何となく感じていた。でもこんな時間に何気なく開いたTwitterで、いきなりスポーツ新聞の画像が投下されて知らされるとは思いもよらなかった。不意打ちすぎた。記事には20日のハロコンでファンに発表すると書いてあった。

午前7時すぎ:二度目の目覚め。Twitterでは℃-ute解散の報道に気付いた人たちがどんどん増えていく。私は一度の睡眠を挟んでいるので、少し落ち着いている。今日のハロコンで発表するということは、最初の朝公演か。私が入るのは昼公演(14時45分開演)だ。発表の場に居合わせたいという気持ちが湧いてきた。HP(Hello! Project)の公式HP(Homepage)のハロコン日程を見たところ、今日は朝公演がなく、昼公演(14時45分~)と夜公演(18時半)の2回だけであることが分かった。つまり、私が観に行かせてもらう回こそが、今日の1公演目であり、℃-uteが解散を発表する公演なのだ。

午前8時すぎ:公式の発表文「℃-uteに関するお知らせ」を読む。2016年8月20日付けで、株式会社アップフロントプロモーションの代表取締役・西口猛と、℃-uteの名前で別々の文章が掲載されている。真っ先に思ったのが、会社としても℃-uteとしても、ファンにしっかりと向き合い、誠実に説明しているということだ。もちろん、この一つのページに書いてある文章ですべてのファンを納得させるのは無理だ。というか、どんな手段を使っても全員を納得させるのは無理だ。公式の発表としては必要十分な分量と内容だと私は感じた。広島「茶の環」で買った抹茶満月を少し食べて、シャワーを浴び、布団を畳み、部屋に掃除機をかけて、マイクロファイバーの雑巾でフローリングの床を拭いた。

午前11時半すぎ:電車でKダブシャインさんの『ザ ジャッジメントデイ』を聴く。「イエローモンキー→見栄も呑気→家六本木」「何もかもすべてが自動的→にうまく行ってると思い込み思考停止」「将来の給料で払わす商売→クレジットに縛られてく生涯→これって最初から決まってる勝敗」といった韻にしびれた。数年ぶりにケーダブのラップを聴いていいと思った。池袋「四季海岸」で火鍋をいただく。西武地下のTHE GARDENでコンサート前に飲む用の「マウントレーニア リッチカフェラッテ砂糖不使用」と、コンサート中に飲む用の「冴えるハーブと緑茶」を買う。

午後12時55分頃:中野サンプラザ前に着く。グッズ列の左に人の塊。いつもは入場列が出来ている場所。係員が当日券の抽選列だと言っている。当日券にこんなに人が並んでいるのは初めて見た。入場列はまだ出来ていないのかと聞くと、まだという答え。裏の本屋に入って、少し時間を潰す。列に並ぶ間と開演前に読むために山崎ナオコーラさんの『人のセックスを笑うな』432円を買う(結局、開かないまま終わった)。MC松島さんの『すごいぞテープvol.1 #春ディスコ』に収録されている『逆に大丈夫か?』を繰り返し聴く。100円をくれないあなたはケチ野郎、守銭奴、銭ゲバ、馬鹿。人類みな兄弟なのにおっぱいを揉ませてくれないあなたは差別主義者、人でなし、悪人だと罵る歌詞が大好きだ。

午後1時15分頃:中野サンプラザ前に戻ると既に入場列が出来ていた。近くにいた女性たちが「女性アイドルのコンサートに行くのを(話の雰囲気からして会社の人から?)気持ち悪いと言われた。女が安室奈美恵のコンサートに行ってもいいし、男がミスチルのコンサートに行ってもいい。それと同じだから気持ち悪がられる筋合いはない」ということを言っていて、正論だと思った。

午後1時50分頃:会場内のグッズ列。早めに入場列に並んで中のグッズ列に並ぶといういつもの作戦が成功。思惑通り。日替わりの宮崎由加さん、宮本佳林さん、岡井千聖さん、中島早貴さん、牧野真莉愛さんを購入。なっきぃのは本当はここにいたかったであろう友人の分だ。1998年のサッカーW杯日本代表を落選したときの三浦知良さんのように、彼女の魂はここに置いてあるのだ。すぐに席には着かず、階段近くのベンチへ。日替わり写真をアルバムに収納するのと、席の交換を打診してくる奴らを避けるためだ。今日もとんでもない良席だ。1列(実質4列目)の中央寄り通路席。この夏ハロコンの中でもとりわけ大事な意味を持つ公演をこんな場所で観させてもらえるのは本当にありがたい。

午後2時40分:席に座った私の横に来て「すみません、小関舞のオタクなんですけど…」と話しかけてくる小僧が続きを言うのを「すみません。ごめんなさい」と遮った。「ダメですか?」「はい。ごめんなさい」。2時半頃(開演15分前)まで席に着かなかったにも関わらず、虫が沸いてきた。席の交換交渉は近くで行われているのは何度か見たことはあるが、実際に自分が持ちかけられた(持ちかけてくる前に断ったが)のは初めてだ。

午後2時45分:開演。一曲目がハロー!プロジェクト全員による『Good bye 夏男』(松浦亜弥)。曲が始まった割にはステイジに演者が出てこない。周りの観客が後ろをチラチラ見てそわそわしている。どうやら通路から現れるようだ。2016年の夏ハロコンを観させてもらうのはこれで3回目だが、今までの2回はともにRainbow Carnivalだった。Sunshine Paradeに入るのは初めてだからどうなるのかが分かっていない。私の横の通路にも誰かが通るのだろうか? とよく分からないまま後ろを見るといきなり野生の宮崎由加さんが現れてこちらに接近してきた。頃合いを見計らってゆかにゃと呼びかけて手を振ったら一瞬こちらを見て手を振ってくださった。私の前を通過するのに要した時間は一秒ないくらいだったと思うんだけど、その一瞬にやられた。麦わら帽子が似合いすぎていたし、帽子から出ている前髪、目、表情、いくら宮崎さんとはいえ、可愛いにも程がある。加減というものを知らないのか、この方は? 時が止まり、我に返ったときには植村あかりさんが前を通り過ぎていた。そのときになって初めて、宮崎由加さんが後ろに他のJuice=Juiceメンバーを引き連れていたことに気が付いた。宮崎さんと植村さんの間の記憶がまったくないのだが、その間に宮本さん、金澤さん、高木さん(順番不明)もいたはずだ。さっきの野郎に耳を貸さなくてよかったと、心から思った。宮崎由加ファンの特等席じゃねえか。何が小関舞のオタクなんですけど、だよ。ただ良席に潜り込みたかっただけだろ。せめて万札を10枚くらいちらつかせながら寄って来いよ。

8月6日と7日のハロコンでは、宮崎さんが本調子ではなさそうな印象を私は受けていた。今日の宮崎由加さんは絶好調に見えた。完全復活どころか、今までに目撃してきた宮崎さんの中で一番かわいかった。『Dream Road~心が踊り出してる~』は静かな曲調と内省的な歌詞に合わせるようにメンバーの皆さんは真顔なのだが、最後のフックにさしかかるときに宮崎さんはスイッチを一気に切り替えて笑顔になっていた。一辺倒な表情の豊かさではなく、曲による、また曲の展開による表情の使い分けが見事だった。歌、ダンス等、メンバーによって得意とする表現の分野があるが、宮崎さんの場合は表情を中心に見るのが正しいのだと思う。『KEEP ON 上昇志向!!』のintroでトラックの中に「カモーンナッ!」的なフェイクが入っているのだが、それに合わせて口を動かしていた。

話が前後するが、『Good bye 夏男』の後に℃-uteからの解散報告があった。℃-uteから発表がありますとまことに差し向けられて一列に並ぶ5人の目が、涙で満たされていくのが分かった。まず矢島舞美さんがグループを代表して来年の6月に埼玉スーパーアリーナ(たまアリと略している記事をネットで見たんだが、その略し方はちょっと卑猥じゃないか?)でコンサートを行うことが決まった旨、そのコンサートを最後に℃-uteは解散する旨を発表した。みんなでよく考え、話し合った上で決めたことだ、というようなことを付け加えていた。それから残りの4人が、涙で声を詰まらせながら一言ずつコメントを発した。他のハロプロメンバーたちが神妙な面持の中、嗣永桃子さんは、℃-uteを元気づけるかのように温かい笑顔で見守っていた。私はメンバー一人一人が言ったことは細かく覚えていない(というよりあまり頭に入ってこなかった)が、至近距離から℃-uteの表情、目に浮かべた涙を見て、これは本当なんだな、もう決まったんだなと、事実を受け入れた。会場全体がしんみりと神妙な心情で受け入れている印象だった。少なくとも、断末魔の叫びや悲鳴は聞こえてこなかった。先にネットで広まってみんな既に知っていたというのが大きかったと思う。

そこからステイジから人が捌けて各グループの紹介映像に移った。さすがにあの発表の後すぐに切り替えることは出来なかったが、実のところ私はそこまで悲しい気持ちにはならなかった。第一に、既に朝の3時に一旦ショックを受けてそこから一寝入りしていた。ここに来るまでの間に、自分の中である程度は消化が出来ていた。第二に、冒頭に宮崎由加さんがすぐ目の前をお通りになった上にいわゆるレス(反応)をくださったことで、脳内がやばい物質でいっぱいになってしまった。第三に、℃-uteを含むハロプロメンバー全員が目の前で繰り広げる大迫力の『Good bye 夏男』に圧倒され、ポジティブな気持ちが心の大部分を占めていた。

研修生を除けばハロプロのメンバーは一通り広く浅く知っているはずなのに一人見慣れないメンバーがいて、誰だこれは?と思ったら相川茉穂さんだった。前髪パッツンの髪型に変えていた。そういえばTwitterで誰かが相川さんが前髪パッツンにしたと書いていた。一気に化けて大人っぽくなっていて、びっくりした。以前いわゆるアイドルとおぼしき方々が「オタクはパッツンが好きらしい」と言っていたのを盗み聞きしたのを思い出した。私はオタクではないのだが、相川さんのパッツンには目を奪われた。

トーク・セグメントは「家でゆっくりしていたら宅配便が来た。どんな人だったか」的なお題に、中島早貴さん、植村あかりさん、嗣永桃子さんの三人が前に出て来て答えた。これが何を意味するかをスクリーンに映すのでメンバーの皆さんは目をつむってくださいとまことさんが言うと、宮崎さんはただ目をつむるだけではなく両手で目を覆い被せて、さらに下を向いていた。もういいですよとまことさんが言うと、2秒くらい時間を置いてから元の体勢に戻ったのだが、そのときに驚いたような表情を見せていた。中島さんは「年齢は行っているんだけど、会社の中では新人のおじさん。うまく仕事の段取りが出来なくてあたふたしている。DVDのことをデーブイデーと言う」的な答え。植村さんは「しゃべらなかったらいい人なんだけど、しゃべったらチャラい」的な答え。三人目の嗣永桃子がしゃべり出す前に我々から「おー?!」という期待の声が挙がり、嗣永さんは「おーはやめて」と我々をいなしていた。「これといって特徴もない、可もなく不可もない、凡人」的な回答。それぞれの回答が自分の第一印象を示すというのを知った上で聞くと聞くと三人とも内容がドンピシャだったので、客席から何度も大きな笑いが起きた。その度に中島さん・植村さん・嗣永さんは戸惑っていた。追加で当てられた工藤遥さんは「ヤンキーぽい感じ」(この回答のときの盛り上がりと「え?」という工藤さんの顔も見物だった)、宮本佳林さんは「帽子をかぶって顔を隠している。詐欺師」と答えた。種明かしをされた上で回答の内容がぴったりだとまことさんに言われた植村さんは、えー?そうですか??と微笑みながら困惑し「このコーナーをやる度に(自分の)印象が悪くなる」と愚痴った。「そうだよね」と同調する嗣永さん。このときの植村さんの反応は私にとって少し意外で、どちらかというとこういう場面ではキレて「おい、どういうことだよ」と客席に毒づく印象を持っていた。Juice=Juiceの単独現場ではないからおとなしくしているのか、それとも大人になってきたのか。

昔のハロプロの楽曲を掘り起こしてパフォームするセグメントでは、2001年の2曲が選ばれた。井上玲音さん・佐々木莉佳子さんによる『トロピカ~ル恋して~る』(松浦亜弥)と、牧野真莉愛さん・和田桜子さんによる『悔し涙ぽろり』(中沢裕子)。『悔し涙ぽろり』で牧野さんを見ていたらどうも途中から本当に涙を浮かべているようだった。牧野さんはコンサートの始めから最後までキラキラに輝いていて、本当にリアルで完璧なアイドルだなと改めて思った。

こぶしファクトリーの浜浦彩之さんの顔が小さくて脚が長い。一般の水準に比べたら顔も小さく脚も長いであろう他のメンバーと比べてもちょっと浮いている。脚が頭ひとつぶん短くなってもまったく違和感がなさそう。

司会のまことさんと、つばきファクトリーに加入が決まった3人、アンジュルムに入った笠原桃奈さん、こぶしファクトリーの広瀬彩海さんが話すセグメント。つばきファクトリーへの加入が決まった小野瑞歩さんの趣味はウォーキング。知らない道を歩くのが好き。川のあるところが好き。川が分岐していて、見渡せるのがいい。小野さんはほのぼのとしていて、優しそうな雰囲気。なお、私は8月6日の公演におけるまことさんの司会をひどいとディスったが、今日のまことさんはだいぶよかった。

私の見るかぎりTwitterではRainbow Carnivalの方がSunshine Paradeよりも評判がよさそうだが、私はSunshine Paradeの方がずっと好きだ。セットリストや構成が、比較にならないくらい好きだ。完璧なコンサートだった。既存グループが他のグループの曲をカバーするセグメントがたまらない。Rainbow Carnivalのぶつ切れメドレーより100倍いい。Juice=Juiceの『臥薪嘗胆』はハツラツ感と活力に溢れていた。最後の曲がハロプロ総出演の『泡沫サタデーナイト』だというのが極めつけだった。モーニング娘。単体よりも楽しさが数倍。Rainbow Carnivalのワックなサンバ曲とは比較にならない。今日はDJ役を石田亜佑美が担当した。煽りの台詞が途中から何を言っているのか分からなかった。音源だったらいいのかもしれないが、コンサート会場で言うには台詞が長すぎる。

泡沫サタデーナイト』前の最後の挨拶でまことさんは、「今日は℃-uteから動揺する発表があった。Berryz工房活動休止のときにも言ったと思うが、ハロプロはこうやって月のように満ち欠けを繰り返して輝きを放つ大きな存在だ」というようなことを言っていた。

午後4時58分:退場。特別な意味を持つ公演だったが、私にとっては楽しかった、最高のコンサートだったという気持ちが他のすべての気持ちを上回った。いつものPIZZERIA BAR NAPOLI。ハッピーアワー。カンパリビア。カプリチョーザ。池袋のストリートでスイカと桃を買って、帰宅。