2016年10月7日金曜日

モード (2016-10-02)

夏が終わっとるんか終わってへんのかよう分からん天気が続いてますな。日付だけ見るともう秋やん。長袖の服を着たくてうずうずしている訳ですよ。せっかくの休日やしね、お洒落もしたいわけですよ。でもね、四季いうても最近は夏が実質4ヶ月はありますやん。今日も30℃まで上がるとかで、もう上はGoodwearの半袖ポケットTシャツ(米国製)一枚にしましたわ。Engineered Garmentsの薄手ジャケット(米国製)くらいならいけるかと思うてんけどな、やっぱ暑かってん。下はNeedlesのトラックパンツ(日本製)。カバンはMIL-TECのヘルメット・バッグ(たぶん中国製)。靴はPF Flyersの白スニーカー(米国製)。スニーカーが洗うたばかりやったけん、日差しを受けて眩しいくらいにピッカピカでしたわ。TWIGYさんが「毎日磨くスニーカーとスキル」言うてはりましたけど、さすがに毎日は磨きすぎですな。そもそも毎日履かへんわ。毎日履いたらな、靴が傷むねん。一日履くと靴にごっつ負荷がかかるねんで。何足かを交互に履いて、休ませなあかん。

お洒落と言えばな、今日のミュージカルはファッションが関係してる話らしいねん。詳しく見てへんねんけどな、ファッション誌とかモデルがどうのとかいう話らしくてな。タイトルも『モード』やしな。興味ない訳じゃないねんで。俺な、映画観るときもそうやねんけど、あんま事前に情報を見いひんねん。あらすじくらいは見んねんけど、あんま先入観を持たないで楽しみたいねん。まあ、単にめんどくさいちゅうのもあるな。と言っても、和田彩花さんが編集者、上國料萌衣さんがモデルの役で、このお二人が主役ということくらいはさすがに分かっとったで。

ほんまはな、今日は行く予定じゃなかってん。行く予定だったのは、来週10月8日(土)の公演やねん。ファンクラブの先行申し込みで当選してゼニも支払い済みでな。でも同じ日にJuice=Juiceのコンサートが入ってもうてな。ファンクラブの先行受付があったのはアンジュルムさんがたしか一ヶ月先やってんけどな、ダブル・ブッキングに気付いたのがJuice=Juiceさんの方に申し込んで当選した後やってん。アンジュルムさんは場所が新宿、Juice=Juiceさんが滋賀県。アンジュルムさんのミュージカルが15時開演やったから、同じ東京やったらJuice=Juiceさんのコンサートの夜公演とハシゴが出来たかもしれんな(その場合Juice=Juiceさんの昼公演は諦めることになるな)。でも東京と滋賀となると物理的に不可能や。アンジュルムさんとJuice=Juiceさんのどっちかを選ばなあかん。前にも書いてんけど、俺の職務分掌上、Juice=Juiceと℃-uteが最優先でな、アンジュルムさんよりもJuice=Juiceさんの優先度が高いねん(正直℃-uteさんの方は少し揺らぎつつあるけどな)。だからアンジュルムさんにはごめんやけど観に行かへんつもりやってん。手元に届いていたチケットは先週ある友人に贈呈した。

でもな、やっぱどうしても一回は観たくなってな。昨日、原宿の娯楽道に駆け込んでチケットを買うてん。ちゅうのもな、今回のミュージカル、おもろいに決まってんねん。観いひんかったら損する匂いがプンプンすんねん。経験から分かんねん。みすみす見逃すのはミステイクだっちゅうのがもう明白やってん。12,000円やったか13,000円やったかは忘れたけど、ちょい奮発して3列目のチケットをゲトりましたわ。定価の5割増しやけど、彼女たちが見せてくれはるもんからすると、この席でこの値段だったら十分に安いと観る前から分かってましたわ。

新宿ちゅうのは難儀な駅でな、出口を間違えたらごっつう遠回りせなあかん。一旦出口を間違えたらもう迷路やで。全労災ホール・スペースゼロは南口や。ここは前にスマイレージのミュージカル『SMILE FANTASY』を観に来させてもらった会場や。南口を出てからの道は覚えてたわ。ちょっと早めに着いて、グッズを買うた。時間的に、俺が観させてもらう15時からの回の一つ前の公演中やった。前に女の人が一人いただけで、すぐに買えた。販売する台の後ろに座っていたエスタシオンさんの係員さんたちがけだるそうで海外っぽかったわ。日替わり写真の室田瑞希さん500円と、コレクション生写真500円を3枚。室田さんは男役やねんけど、日替わり写真は男装バージョンといつもの室田さんバージョンを交互に出してるっぽくてな。今日はいつもの女の子の室田さんでな、俺的には嬉しかった。コレクション生写真は勝田里奈さん、中西香奈さん、和田彩花さんが当たった。会場の前で店を出して交換しているおっちゃんがいてんけど、俺はアンジュルムさんに明確な推しがいる訳でもないし、交換はせんかった。かぶってへんから特に交換する理由もないしな。

14時半開場やってんけど、ロビーにはもっと前から入らせてくれはった。チケットを見せるだけで、コンサートと違って荷物検査がなかったのがちょっと新鮮やった。中には椅子が用意されとってな、座って待ってはる人もたくさんおったわ。係員の皆さんの感じがよくて、快適な待ち時間やったわ。14時26分になったら客席に入ってええという案内が出されて、扉が開放された。入って中を見渡した途端、ニヤケそうになってもうたわ。もう照明といい客席の配置といい中央に設けられた花道といい、素晴らしいミュージカルが繰り広げられる予感しかないねん。雰囲気が抜群なんよ。DOTAMAさんが晋平太さんとの試合で言うてはった「上がらずにはおられへんやろ!」というのはまさしくこれのことですわ。何か挙動不審で目に付くおっちゃんがおるな思うてたら右隣に来はった。左隣にはでかいカバンを持ったふくよかなおっちゃんが来はった。濃いメンツに囲まれてちょっと不安になってんけどお二人ともおとなしく観てはったし何の問題もなかったわ。

このミュージカルを観させてもうて思ったのがな、労働がキラキラしてんねん。これには正直、びっくりしたわ。『モード』の世界では会社で働くっちゅうこと、仕事に心身を捧げることが忌避すべきことではなく、祝福すべきことなんや。社会でいっちょまえの人間として認められるため、夢を叶えるため、自分らしく生きるためには働くことが不可欠どころかほぼイコールなんや。男性が独占してるその労働を通した自己実現という特権を、女性が自らの手でつかみ取ろうとする姿が描かれてんねん。労働が男性の特権というのは女性の被害妄想ではなく、男性もそう思ってるらしいねん。例えばな、和田さんが勤める雑誌の副編集長(ヒルタ街さんという女性による男役)がしょっちゅう和田さんに女だからということで嫌がらせをすんねんけど、「女のくせに男の仕事を取りやがって」みたいなことを言うねん。自分のことでごめんやけど、俺にとって労働は必要悪で、精神安定剤。服用しすぎると危険や。なくて済むならそれに越したことはないと思ってんねん。『モード』の世界は1970年代の設定らしいねんけど、もしかしてこの時代ってまだ労働にこんな無邪気な希望を持てた時代だったんやろか? 時代考証の精度は分からへんけど、おそらくある程度の現実性はある労働観なんやろうな。2016年現在の女性たちの一般的な感覚からすると、どうなんやろな。

劇で描かれるモデルという仕事が、アイドルと重なる部分があると思った。和田さん(の役)はファッションを女が自立するための武器と捉えてるねん。その象徴がモデルやねん。一方で、副編集長はモデルなんてのは男に媚びた可愛い服装やエロい服装でニコニコしていればええ的なスタンスやねん。上國料さんの許嫁の室田さんも、モデルという仕事には簡単な仕事だのジロジロ見られるだけだの、ちょっと偏見を持ってはるねん。そういう周囲の視線があるから、上國料さんは初めは女中の相川茉穂さんを除いて秘密で活動をするねん。世の中には色んな「アイドル」のあり方があるやんか。そんな中で、和田さんが推進するファッションやモデルのあり方が、そのままアンジュルムやハロプロが目指すところなんじゃないかって、自分の中で重ねて見てたんや。いや、それは別に劇の中で明示されている訳じゃなく、俺が俺の中で勝手に重ねてるだけやねんで。重ねざるを得なかった最大の理由は、和田さんがめっちゃ役にはまってるからやねん。和田さんの役は、格好良くて、強くて、美しくて、ビジョンがあって、リーダーシップがあって、厳しいけど優しい、本当に惚れ惚れする女性なんやけど、和田さんが完璧に熱演してはるんや。それが出来るのは、和田さん自身の中身が、役が求める人間性に付いてきてるからやと思う。昔は宇宙と交信できるとか言うてはる不思議ちゃんの印象が強かったのに、今ではこんなに凛とした芯のある女性に成長したんだと思うと、感慨深い。和田さんに限らず、各メンバーさんの個性を生かした絶妙の配役やった。

真面目なテーマやけど、笑いどころがたくさんあって、純粋にコメディとして肩の力を抜いて楽しめた。悪役もいるし、上國料さんがイヤなことを言われて泣いたりもすんねんけど、そういう場面もミュージカル全体の中ではあくまで楽しさを引き立てるスパイスとして機能してんねん。ハッピーな話や。観客も真摯に楽しもうとしていて、凄くええバイブスやった。カーテンコールでは笠原桃奈さんが挨拶をしはったんやけど、「モデルの歩き方が苦手でレッスンではうまく出来なかったが、今日は皆さんの温かい視線の中でうまく出来たと思う」的なことをおっしゃっていて(勝田さんが「真面目…」と笑っていた)、観客のバイブスが伝わっているんやなと思うた。

とてつもなくファンタスティックやった。ちょっとやそっとの引き込まれ方ではなくて、観ていくうちに自分の心身が作品の世界と一体化して、雑念が消え去り、疲れや体調不良が癒え、ステージで起きていることだけに集中できた2時間やった。極上のミュージカルやった。ほんまに。会場を出た直後の高揚感では、2016年に観させてもろた現場で一番なんちゃうかと思ったくらいやわ。最高の現場はたくさんあったから一番とは断言できひんけど、3本の指には入るんちゃうやろか。それくらいに最高やったわ。主役の和田さんと上國料さんがめっさ印象的やったから帰りに日替わりを買い足そうとしてんけど、上國料さんのだけ売り切れてた。みんな同じこと考えてはったんやろうな。ところでこの記事の口調やけど、何弁なのかよう分からんわ。何でこんなん書いてもうたんや。