2021年2月28日日曜日

STEP BY STEP (2021-02-20)

脱出したかった。ここから出してと心が叫んでいた。2月18日(木)の夕方だった。2月20日(土)に仙台で行われるハロ・コンのチケットをタダであげるから行かないかという申し出を某紳士からいただく。金土日の予定といえば、金曜日は一時帰休。土日も唯一の予定は日曜日の19-21時に宅配便を受け取ること。それだけを見ると行かない理由はあまりない。でも具体的に調べていけばいくほど収支が釣り合わないことに気付く。チケットは約7,000円。交通手段はいちばん安いバスで片道4,000円をちょっと切るくらい(ちなみに2月13日に起きた地震の影響で新幹線は止まりまだ復旧していない)。身体的負担を考えると夜行バスは利用したくない。公演当日の昼行バスだと少しでも渋滞で遅れたらコンサートに間に合わないかもしれない。となると前日と当日は現地に泊まる必要がある。一泊約4,000円。つまりバスと宿で約16,000円。バスは片道6.5時間。4列座席。計13時間の窮屈な思い。チケットをもらえるというだけでこれらの犠牲を払って行くかっていう話。コンサートがめちゃくちゃ魅力的だったら理解できる。でも2021年の冬ハロ・コンは私にとって可もなく不可もなし、まあまあという程度でしかない。八王子と中野で分かっている。それでも私はその紳士のお言葉に甘えさせてもらい、仙台に赴くことにした。私ともあろう理知的な紳士がなぜこの非合理的な選択を?

答えを出すには私が置かれていた労働状況を踏まえる必要がある。木曜日、私は11連勤目だった。数ヶ月前から残業と休出を禁止し、一時帰休まで連発し我々を静かに殺しにかかっていた勤め先が、今度はいくらでも残業しやがれ、祝日も土日も働け、お前らに拒否権はねえと鞭を打ってきている。数週間の期間限定。最初は平気だったが、6日目、7日目くらいから疲労の蓄積を感じてきた。柳沢敦さんのQBKと同じで急に長時間労働と11連勤が来ても適応するのは楽ではない。精神的にきつくなってきていた。金曜日は一時帰休、土日は休み。私は気分をガラッと変える何かを欲していた。仙台のコンサートに行かないかというお話は渡りに船だった。

コロナ対策と称するおままごとの一環でバス内は食事が禁止されていた。それでいて各休憩所では15-20分しか停まってくれない(しかも発車時刻の数分前には戻っておくという暗黙の了解がある)ので、夕食はいろはす500mlになった。コカ・コーラ社の自販機が発するピッという電子音で会社を思い出した。今回のお話をくださった紳士とチケットの引き渡しを兼ねて昼食をたっぷり食べていた(楊3号店で回鍋肉、麻婆豆腐、水餃子)。だから空腹で困ることはなかったけど、少しでいいから口にしておくべきだった。夕食を抜いたことでサーカディアン・リズムが崩れ、まともに眠れなくなったからだ。せめて三回あった休憩のうち一度でも10分か15分延ばしてくれればよかったのに。食事禁止の他にもずっとマスクをしておけだのブランケットの貸し出しは中止(なぜ?)だの、コロナという印籠を掲げてやりたい放題に不便を強いてくるウィラー・エクスプレスさん。その割に席は空けずギューギューに詰め込んでくる。欺瞞を感じる。『FBI心理分析官』(ロバート・K・レスラー&トム・シャットマン)を読み、Twitterを眺めていたら三半規管がおかしくなった。ちょっと酔った。移動中に次のハロ・コンの当落が出た。三公演に申し込んで二公演に当選。当落から支払い期限まで二、三日しかない。いつもに比べやたら短い。露骨にキャッシュをゲトり急いでいるアップ・フロントさん。一日単位で利息が変わるような借金をしているのかな。仙台到着してすぐに近くのファミ・マに行って支払いを済ませる。21時の少し手前だが飲食店は営業している。今日は利用しないが、ストリートに活気があるのが嬉しい。宿はいつもの駅前人工温泉とぽす仙台駅西口。

仙台駅前の珈琲館でモーニング。ホット・ドッグと炭火焼き珈琲。ホット・ドッグのパンには遅延型アレルギー検査でクロだった乳成分と卵が含まれる。ソーセージ(加工肉)は発ガン性が高いと言われている。それでおいしいならまだ頼んだ甲斐もあっただろうが、さほどおいしくなかった。高いし。748円。モーニングのホット・ドッグはビキニ・タパスのがおいしかったのだが、コロナ騒ぎになってから朝の営業をやらなくなった模様。前に来たときもやっていなかった。朝の営業をやめることがどういう理屈でコロナ対策になるのか、私には分からないが。他にはブール・アンジュというベイカリーのモーニングもよかったが、こちらはお店自体がなくなり今ではハイボール酒場になっている。昼食はまぐろ屋やまもと。三色丼の一段上等なやつ1,680円には不満が残ったが、ガリをあてに飲んだ一ノ蔵 立春朝搾り548円がとにかくおいしかった。星乃珈琲店マーブル・ロード店。カフェインレス珈琲440円。“Only Americans Burn in Hell”(Jarett Kobek)を読む。

仙台サンプラザ・ホール。15時半開演。1階の左寄り。いちばん後ろの列。とは言っても中野サンプラザでいうと1階の真ん中を横切る通路くらいの距離だと思う。たぶん。まあまあ近いだろうというのがあったし、荷物を少なくしたかったし、一公演だけだしと思って、双眼鏡を持参しなかった。失敗だった。肉眼(+眼鏡)だけでは物足りなかった。それまでは黒(一部のTwitter投稿者からは喪服と揶揄されていた)だったつばきファクトリーさんの衣装がパステル色の春めいた感じに変更されていた。小野瑞歩さんは肌の露出は少ないんだけどよく見るとぴったり張り付く薄手の生地から臀部の形状を幾度も見せてくださっていた。中にお召しになっている短パンか何かの線も見せてくださっていた。前に屈むときとか、しゃがむときとか、くるっと回るときとか。双眼鏡を持たなかったのは本当に不覚。油断していた。小野さんのサービス精神に応えられなかった自分が悔しい。しかも連日の労働で視力が落ちているような気がする。もどかしい。

あの悪夢のザ・バラッドほどではないにせよ、平時のハロ・コンに比べ参加メンバーさんが少ないから、一人一人の声や歌が目立つ。ユニゾンでごまかせない。谷本安美さんの声の出し方が一つしかない。よく言えばささやくような、悪く言えばお腹から声が出ていないような。歌唱トレイニングを本当に受けているのだろうかと疑問に思う程である。もちろんアイドルさんの歌を巧拙のみで語るのは愚の骨頂。危うさ、未熟さも特徴、味として楽しんでこそ。ではあるが、それは他の様々な要素(演出、ダンス、衣装、楽しい曲、等々)があって初めて成り立つのであって、ザ・バラッドのように延々歌一本で届けられると厳しい。

トークお題:人生でいちばん長く続けていること(このお題を聞いて、自分の場合はTwitterかな、と私は思った)

  • 野中美希さん:英語。ドラマを観ていても知らない言葉がたくさん出てくる。
  • 牧野真莉愛さん:北海道日本ハムファイターズの応援。4歳のときに新庄(彼女は新庄氏を呼び捨てにする)に手紙を出してから。最初は新庄個人、そのうちチームを応援するようになった。
  • 山岸理子さん:お風呂に入ってからの足のマッサージ。乗り物に乗るとむくむ感じがする。マッサージをすると違う。やりすぎてアザになることもある。(私は足をほぐすと手が疲れて無限ループになる、と石田亜佑美さん。)
  • 秋山眞緒さん:ダンス。4歳の時からやっているが、一度も飽きたことがない。先生に怒られることもあるけど一度もやめたいと思ったことがない。

トークお題:大事にしている言葉(進行役が佐藤優樹さんで、何度かごちゃっとなった。最初の回答者は生田衣梨奈さんだった)

  • 加賀楓さん:無。難しい。無と考えた時点で無ではなくなる。
  • 新沼希空さん:大丈夫。他の人に言われると安心するし、自分が他の人に言うときも使える言葉。
  • 小野田紗栞さん:キャメリア ファイッ!(何だかよく分からないけど流石だなと。精神的な強さを感じた)

泡沫サタデーナイト』の例の箇所は地元ご出身の石田亜佑美さんがご担当。仙台の奇跡が帰ってきました!(お帰り!)仙台育ちのダンス・マシーンと呼ばれて早9年、今日も私はここで…踊りたい! 的な感じだった。

最後の挨拶文を佐藤優樹さんがご担当されたのだが、文面を手に書いたらしく、顔に近づけた右手の甲をずっと凝視しながら言うものだからヘッズからクスクスと笑いが起きた。書き間違えたのか、2021年というところを201年と読み、201年??とご自身で驚いていた。

コンサートを観ると心身の疲労がポンと飛び、労働に削らた活力を取り戻した、やっぱりHello! Projectは最高だ、といった展開になれば物語としては収まりがよいが(事実そういうことは過去に何度もあった)、残念ながらそうはならなかった。いまいち楽しみきれなかった。STEP BY STEP公演、5回目にして初めての1階席だったが、2階から観た八王子と中野の公演に比べて特段たのしくもなかった。理由はよくわからない。おそらく自分の中にストレスが残りすぎていたのだと思う。じゃあ仙台に来たのは失敗だったか、お金と時間の無駄だったかというと、そういうわけでもない。いずれにしてもチケットをくださった紳士には感謝している。

夕食。福光に行ったが、閉まっていた。定休日でもないし、ホームページにも店頭にも休業中とは書いていない。大丈夫なのか。しっかりしてくれ。困ったときのいろは横丁。串焼楽酒MOJA一番町店。前に仕事で外国からの出張者を数名連れてきたことがある。ホッピー黒、チャンジャ、山芋短冊揚げ、つくね、せせり、正肉、ハツ、肉豆腐、焼おにぎり。大体3,000円。安くておいしい。ココはおすすめ。宿に戻る前に散歩でもしようかと思ったが、雨が降っているので断念。とぽすで露天風呂を満喫。耳栓をして寝る。明日のバスは8時45分発。