2021年4月15日木曜日

花鳥風月 (2021-04-10)

新八柱駅から徒歩15分またはバスと公式サイトに書いてあったが、服装や雰囲気で分かるいかにも同志という感じのキモい人々が向かう方向から森のホール21の場所は自ずと明らかだった。何かがおかしい。偏った靴の擦り減り方。ずんぐりむっくりの緩くたるんだ身体。運動不足と不摂生が何十年も蓄積したからだ。中高生くらいで止まったファッション。安くて薄汚れた年齢不相応なカジュアル服。よく言えばモノを大事にしているのかもしれない。だが一定年齢を超えてガタが来ているものを外で身に付けるのは美徳と言えるのか疑わしい。かくいう私も背負っているバックパック(フリークス・ストア別注のグレゴリー・デイパック)の、前でカチッて止める部分のプラスティックが破損しているという負い目がある。ワンガリ・マータイさんも唱和したMOTTAINAIの精神で使用を続けているが、この発想は穴の開いた臭そうなカバンで現場に登場する彼らと陸続きである。気を付けないと。後継のバックパックはゲトるつもりだが、すぐに見つかるものではない。カバンは難しい。

前日にググって新八柱駅の周辺環境には期待出来なさそうと判断していた。駅の画像を見ただけで何となく分かる。何せ、千葉だし。だから昼は現地で食わず、家の最寄り駅前でシースー(15貫の盛り合わせJPY1,500)を喰らった。14時開場、15時開演。1時間ちょっと余る。駅直結のプロント。レーコー。カル・ニューポートさんの『デジタル・ミニマリスト』を読む。5lackさんの“Title”を聴く。

14時半くらいに着席。二階席ではあるが最前なのでSTEP BY STEP公演の干され席とは気分が違う。小野(瑞)Tシャツを装備する。客席を間引くというどこまで効果があるのかが不明な施策が続いているため前方の席は来づらい。関東の会場ではファンクラブ先行でもチケットの確保がままならない。チケット転売サイトでは平凡な席が高額で売り出されている。一方、地方の公演では一階席も埋まりきらないと聞く。しかし今の私には完全な形ではないハロ・コンのためにわざわざ交通費や宿泊費を割いて地方を訪れるほどの熱意と経済的な余裕がない(まあ5月に仙台には行くんだけど)。つばきファクトリーさんの単独コンサートなら申し込むけど。(そう言えば中止になったつばきファクトリーさんとBEYOOOOONDSさんの中野サンプラザ公演を棚上げして先に研修生でコンサートをやるというアップフロントさんの決断に私は怒りを覚える。研修生の位置づけが揺らぐし、デビューを目指す意味がなくなるのでは? 今ってデビュー組と違って地上波で冠番組もあるし、下手にデビューするより研修生でいた方がよくないですか?)

終わらないコロナ・バカ騒ぎ。「歴史上の戦争や革命の動乱というものは、だいたい3年半から4年続く」と副島隆彦さんが『裏切られたトランプ革命』で書いていた。このコロナ戦争もずるずるとそれくらい続くのかもしれない。たかだかコロナ ガタガタぬかすな。日本ではそう一蹴して差し支えない、世に五万とある病気の一つであることが分かっている。私にとってはコロナで健康を害するよりも家の近くで車にひかれる方が可能性が高く、怖い。この期に及んでそれも分からない大衆が大多数を占めるのだとすると、もうこの国はコロナ以外のすべてを犠牲にして沈んでいくしかない。小池百合子をはじめとする(民衆の知能に見合った)バカな知事たち、腹黒医師会会長、煽るのが商売のメディア、恐怖を煽って小遣いと信者を獲得する専門家たちと心中するしかない。

小野瑞歩さんがステイジで躍動するお姿は、今でも私を笑顔にする。去年からそうなりつつあるが今の私にはHello! Projectよりも明治安田生命J1リーグの方が断然楽しい。2021シーズンも今のところ横浜F・マリノスの全ホーム・ゲームをスタジアムで観ている。Hello! Projectへの依存度がだいぶ落ちている。それでもウレタン・マスク(PITTA)の中で表情が緩んでいくので、私はまだHello! Projectのことが、みーたんのことが好きなんだなと思った。今日のおみずちゃんは終盤の曲で何かを床に落とし、曲中に拾っていた。どうやら右の耳飾りだったようで、最後に全員が並んでコメントを言っているときに付けようとしていたが手こずっていた。あ、そうそう、おみずちゃんと言えば『今夜だけ浮かれたかった』の見せ場「どうしたら輝けるの~?」を久し振りに聴くことが出来たのは嬉しかったな。

悪夢の『ザ・バラッド』、多少はマシになった冬の“STEP BY STEP”と来て、『花鳥風月』はさらに辛気臭さが抜けていた。平時に比べるとショボいがステージには段が設けられている。衣装はきらびやかで、しかも途中で替えている。メンバーさん同士が近距離で密集している。しっかりダンスも見せてくれる。一定以上の強度で運動をすると得られる爽快感をメンバーさんの表情から読みとることが出来たのが先述の二ツアーとの大きな違い。私は家を出る前に某所にイリーガル・アップロードされたひなフェスの動画を途中まで(5本中3本まで)観ていたのだが、そこで見覚えのある衣装が今日のコンサートで採用されていた。(詳述はしないがひなフェスでは川村かわむーさんの衣装が秀逸だった。『花鳥風月』でも着用しているそうだ。それ目当てで彼女の出る回を観に行ってみたいくらいである。)布面積の少ない衣装を纏った何十人もの美女が一斉に歌って踊る。いわゆる同時多発エロ。泣く泣く観る場所を絞る贅沢さ。それこそが本来のハロ・コンの醍醐味だが、その要素を久し振りに感じることが出来た。もっとも本ツアーでもメンバーさんは全員集合しておらず、花、鳥、風、月という四つのティームに分かれている

小野さんが属する花ティームはなかなかイルな面子が揃っている。中でも私の目を引いたのは工藤由愛さん。文句なしに本日の最優秀選手。出発前に観ていたひなフェスの違法動画でも同期の松永成立さんもとい松永里愛さんと共にJuice=Juiceさんの新たな星となっていた。幼さが抜けてきて、でもまだ大人にはなっていない。田村芽実さんもご自身の表現テーマとしてよく言及する、少女という儚い存在。工藤さんは身体が物凄く細く、でも不健康さはない。非現実的なバランスを実現している。立ち振る舞いに内面の純粋さが滲み出ている。これから2-3年がアイドルとして最もキラキラするゴールデン・エイジ。アイドルという名称に相応しい人間離れした存在。この産業のプレイヤーにはどうしても旬の年齢というのはある。(その意味では今日の出演者だと為永幸音さんも非常にいい時期。コンディションも整っていた。)若さの消費と言えるが、あらゆる労働が若さを含めた人間性の消費であることを忘れてはいけない。年齢による選別や差別はフットボールの世界でも残酷なほどにある。アスリートとは程遠い事務職の会社員にさえ、年齢の壁は厳然として存在する。

蛇足:語弊があるかもしれないが今のJuice=Juiceさんは少し人数が多すぎるんじゃないかと思う。別の言い方をすると、多人数を前提とした歌割の細かさが、一人一人の表現力の高さと合っていない。たしかに7人(高木紗友希さんの退団前は8人)という数字だけを見ると他のグループに比べて多くはない。むしろHello! Projectの集団では最少だ。しかし“DOWN TOWN”における山手線ゲームのような歌割では彼女たちの能力を活用しきれていない。歌割を細かく区切るのはメンバーさんの歌の下手さを誤魔化すための手法であって、Juice=Juiceさんでやるのは惜しい。一人一人のスキルを立たせるなら℃-uteさんの最終形態やJuice=Juiceさんが元々そうだったように(なお大塚愛菜さんはいなかったものとする)5人こそがマジック・ナンバーではないだろうか。せめてメンバーさん一人ずつのソロ歌唱ヴァージョンをB面で入れるというやり方が出来なかったのだろうかと“DOWN TOWN”を聴いて私は思った(昔℃-uteさんがそれをやっていた。なおJuice=Juiceさんの最新シングルでは『がんばれないよ』に限って初回生産限定盤SP1という盤のみで各人のソロ版が収録されている)。

トークのセグメントでは北川莉央さんが、会場から10分ほどのところにあるというお店のカレー・パンとデニッシュをレコメンドしていた(聞き手:井上玲音さん)。サクサクを超えてサクサクサク。甘すぎずからすぎない絶妙な味加減。なぞと絶賛していた(井上さんはそれは食べておらずブリオッシュを食べたとたしか言っていた)。このハロ・コンでもトークにローカルネタを盛り込む決まりになっているようだが、千葉では限界があるだろう。北川さんが何とか捻り出した話題がスタッフさんが買ってきてくれたカレー・パンだというのも頷ける。北川さんと言えば私は双眼鏡を使っていない状態で、2、3回、彼女を小野瑞歩さんと見間違えた。何だろう、これまでそう思ったことはなかったんだけど、何か似ていた。

横山玲奈さんは最近の映像で髪の先端付近を金っぽくしている印象があったが、今日は黒髪だった。ちょっとむっちりしていた。肉感的なふともも。『こんなハズジャナカッター!』(完全にBEYOOOOONDSさん用に当て書きされた曲を今日のチームでやるのはちょっと変だった)で小林萌花さんが「うろたえるな玲奈」と言っている(通常は「うろたえるな汐里」)のはシャッフルされた集団ならではのスペシャル感があってよかった。

臥薪嘗胆』の歌い出しを担当した島倉りかさんが派手に歌詞を飛ばしていた。さすがの彼女もしばらくは顔がひきつっていたように見えた。

一岡伶奈さんががしゃがんでいるとき、短パンの奥にある左側のお尻を見せてくれた。立っている状態でいわゆる尻たぶと呼ばれる部分。ひなフェスの映像でも普通に立っているだけでちょっとお尻がはみ出るくらいのキワキワだった。ひなフェスは全体的にメンバーさんがよくお尻を見せてくださっている。ステイジが高いのと、ステイジを取り囲むように客席があるので後ろから映されることも多いのが理由である。

『ザ・バラッド』よりも“STEP BY STEP”が楽しかったし、STEP BY STEPよりも『花鳥風月』は楽しい。でも、このためにバンバン遠征するか、お金をつぎ込むかっていうと、私にとってはそこまでではない。公演時間も85分くらいとちょっと短い。よくなっては来ているけど、まだそこそこという感じ。フットボールのような、感情を入れ込んで夢中になる感じではない。私は横浜F・マリノスの試合を一つ観るとグッタリと疲れるが、今のハロ・コンにはそこまでの強度と密度はない。それでも楽しくはあるので、もう一度、仙台で観るのが楽しみだ。帰りは西川口に寄って、麻辣香鍋とコロナ・ビール。俺コロナ。