2024年6月22日土曜日

『私のもとへ還っておいで』上映会&コンサート (2024-05-24)

チケットが全然売れていない。まだ半分くらい。ちょっと前にInstagramの配信でめいめいがこぼしていた。彼女はInstagram配信の予告をしない。アーカイヴも残さない。偶然Instagramを開いたタイミングと重ならないと視聴する機会がない。たしかこの回では引っ越すにあたりモノを減らすため紙の本をすべて処分(NPO法人か何かに送付する)してKindleに移行するという話をしていたような気がする。(この話をしていたのは違う回だったかもしれない。)チケットの売れ行き(この時点ではファンクラブ先行受付の段階だったと思う)が芳しくないのはなぜだろうか? 開演時間が金曜日の14時と18時半。9時から18時くらいの一般的な就業時間であれば、半休なり全休なりフレックス・タイムで早く上がるなり、とにかく何かをしないと片方でも観に来るのは難しい。

Hello! Projectの現場なら曜日時間帯に関係なく人が集まる。それは観に来る人たちが狂っているからだ。狂っている人(異常者)がたくさんいないと平日昼間の興業なんて成り立たない。いまのめいめいに狂ったファンはそんなにいない。狂っていないから正常な判断をする。正常な判断をする人が多いから、平日の昼間には申し込みが少ないという正常な結果になる。接触で売っているかどうか。そこが分岐点だと思う。色恋的な意味で好きにさせるとか、レスを送るとか、そういった世界。そこにめいめいは住んでいない。魂を込めた作品を作って、表現を届ける。極めて誠実で真っ当な姿勢。素晴らしい。だがその活動スタンスに引き寄せられるファンたちが平日に何らかの無理をして現場に来るかというと……。もちろん来る人もいるけど、アイドル現場のようにはいかない。まともな人が多いから来るかどうかの判断もまともになる。酔っているか、素面かの違い。もうひとつ考えられる理由として、上映会&コンサートという、いまひとつピンと来ない演目。何をやるのか。どれくらいの時間やるのか。それも多少はあったと思うが、あくまで副次的だと思う。

実際どんな感じだったかというと、観に来ていたのは70-80人。フロアに配置されたパイプ椅子。A, B, C, D, E, F, G列までテープで席番号が貼ってある。その後ろにも1列ある。当日券用か、関係者席か。1列が10席。8列全部座って80人。前後左右に空間がある、余裕のある配置。コヴィッド騒ぎの最中にあった、ひとつ飛ばしの席配置という茶番。アレを思い出した。おそらく開催する側としてはもっとチケットを売って詰めた並びにしたかったのだろう。観る側としては見やすくて助かった。めいめいが昼公演の上映会で、客席側のキャスティングの選抜メンバーみが強い、私のことをスゴく好きでいてくれるコアな人たち、的な言い方で我々に触れてくれた。めいめいのことをとても好きな人たちが集まっているのは間違いないが、ここでいう好きとは分別を伴う好きであって、所謂ガチ恋的な感情を抱いている人はほぼ皆無であろう。めいめい自身が育ててきたファン層であり、それで活動が成り立っているのは素晴らしいことである。

ひとつの公演が二部に別れており、一部は『私のもとへ還っておいで』本編の上映会。これが70分程度。休憩を挟んでコンサートが50分程度。たっぷりと時間を取った豪華な内容だった。上映会は、ステージの横の方に座っているめいめいと一緒にみんなで映像を観ながら、めいめいの話を聞くという感じ。場面ごとにめいめいが教えてくれる裏話が面白かった。たとえばめいめい演じるショウ・パブの女が冒頭で客のことをおっさんと言うのだが、その言葉を使うことに葛藤があったという。なぜなら客席にはおっさんがたくさんいるから。でもそこでおっさんたちがたくさん笑ってくれて緊張が解けた。あと、ある場面では体感的にはもっと笑いがあったので編集で笑いを足したとか。最初の衣装は歌舞伎町にマネージャーの清水さんと二人で買いに行ったとか。劇中に女が殺害予告を受ける場面で、観に来ていた甥っ子がめいめいが本当に殺されると思って泣き出したとか。椎名林檎『本能』を入れたのはただナース服を着たかったから。ラムちゃんの曲を入れたのもあの衣装を着たかったから。最近コスプレに興味がある。綾波レイのコスプレ(本格的なやつ)をしてコミケに行ってみたい。(囲まれちゃうよ!という客席からの声。)囲まれたい。予算の制約が厳しく、マリリン・モンローのカツラもアマゾンで安いのを買ってメイクさんに加工してもらった。裏話以外にも、めいめいの創作に対する考え方を聞けたのがよかった。私が最も印象に残ったのが、『私のもとへ還っておいで』を通して伝えたいことは何ですかとインタビューで聞かれて困るという話。伝えたいことはない。一人芝居コンサートというフォーマットをどうやって成立させるかを考えて作った。(これは本当にそうだよな、と思う。映画にしても小説にしても劇にしても、すべての物語に何かしらの教訓やメッセージが秘められていると思っているタイプの人たちっているよね。あとは登場人物に共感できないからこの作品が好きじゃないとか。たとえば主人公の言動に不快感を覚えるなら、そのイヤな感覚を味わうことを含めて作品を楽しむということなのに。表現において大事なのは伝えたいことよりも表現したいこと。この二つをごっちゃにすべきではない。)

コンサートのセットリストは昼と夜で同じだった。
1.『舞台』
2.『優しい夢だけを見て』:今日来ているのはコアな人が多いからコアな曲を…。人前で歌うのは二回目、前回歌ったのは『めいめい白書』で今日と同じ会場とめいめいは言っていた(まったく記憶になかったが私はどうやらその公演を観ていたらしい)。ただ、私が知る限り名古屋のリリース・パーティでも歌っていたはず。森川さんのブログで読んだ記憶がある。なので少なくとも三回目である。事務所の社長が好きな曲とのこと。昼公演には来ていなかったが夜公演は観に来ていた様子。
3.『オシャレ』:Hello! Project時代にひなフェス2014でパシフィコ横浜でソロで歌った曲。自分で選んだ候補曲は『モーニングカレー』と『負けるなわっしょい』だったがつんくさんに却下された。当時はそれが不満でメンバーにも愚痴っていた。当時はファンからがなる歌い方が求められていたので先述の二曲なら喜んでもらえると思っていた。『オシャレ』じゃ普通じゃん!と思っていた。でも今となっては普通で等身大なのが一番可愛いと分かる。つんくさんには感謝している。
4.『夢やぶれて』:劇中に歌う候補のひとつだったが落選した曲。“I Have Nothing”の場面。
5.『無花果』:コロナの時期でリリ・イベがキャンセルになって皆さんの前で披露する機会を逸した曲。
6.“Over the Rainbow”
7.“MAY”:自分の名前がめいで、5月なので入れた。

私にとってのハイライトは『優しい夢だけを見て』と『オシャレ』の二曲だった。『オシャレ』は前半がジャジーなアレンジで、2014年の映像を改めて観てみると表現力の圧倒的成長を感じられた。来年、再来年あたりにはゼップ・ツアーをやりたいとめいめいは言っていた。このヴィジョンを示してくれたのは嬉しかった。というのが最近のめいめいは体調が万全ではない時期があったのもあり、イケイケドンドンという感じではなく、どこに向かっているのかがいまひとつ見えにくかったからだ。こうやって一年、二年先の具体的な計画を話してくれると、こっちもそれを糧にファンを続けることが出来る。ファンクラブが私に与えた席は昼公演がE列、夜公演はA列。もちろん昼のE列でも十分に楽しめたが、特に夜公演は最前でめいめいの姿を拝み、生演奏と共に彼女の歌に浸ることが出来、幸せな時間だった。