2015年2月8日日曜日

萩原舞バースデーイベント2015(2015-02-08)

今まで引っ越しの手続きで連帯保証人になってもらうために父親の生年月日を記入する必要が何度かあったが、その度に私は本人に確認してきた。自分の誕生日はさすがに覚えている。母親と弟が何月何日に生まれたかも分かる。だが父親となると怪しい。二つ候補日が浮かんでくるが、どちらかなのか断言できない。両親が何年に生まれたかはあやふやだ。弟の生年月日は間違えることなく言えるが、それは彼の生年月日が松浦亜弥とまったく同一であるという特殊事情によるのである。仲のいい友達についても、大体何月くらいだったかという認識があるかないかという程度。Facebookから何々さんがもうすぐで誕生日ですというメールが来ても、基本は無視する。父親にというよりは誕生日に関心が低いのである。

そんな私が「写真集買ったよ」「ありがと!(左手を敬礼っぽくおでこにかざしながら語尾を上げたイントネイションで)」という一言の会話しか今まで交わしたことのない(そして今後もほとんど意志疎通を取ることはないであろう)℃-ute萩原舞の誕生日を祝う催しに参加するのは倒錯している。もっと先にやるべきことがある。つまり、祝うのであればもっと身近な人の誕生日を祝って現実の人間関係を深めていくべきなのである。こうやって書いてから思い出したが「武道館行きます」「ありがとう」という会話もしたことがあった。こうやって付け加えるのではなく前の文を書き直せばいいのだが、あえてこうやって書くことで文章のフリースタイル感を大切にしたいのである。話を戻すと友人や家族の誕生日も満足に祝えない私が現実的接点ほぼゼロの芸能人の誕生日イベントに参加するのはおかしい。

萩原舞に関しても特段、誕生日を祝いたいという強い気持ちを持っている訳ではない。℃-uteメンバーの誕生日は友人の誕生日と同じくらいにしか記憶しておらず、そういえば℃-uteは2月に誕生日のメンバーが多かったなというくらいだ。推している・推していないの問題ではなく、誕生日を記念したイベントかどうかという問題設定がそれほど重要ではないのだ。もし萩原さんの19回目の誕生日を祝いたいという強い気持ちを持って応募し落選した人がいたのであれば申し訳ない。何となく楽しそうだから行ってみたかった。行ってみたいから申し込んだ。当選したから参加する。それだけなのである。

15時半の開演。コレクション生写真を2枚買ってから、15時前に会場入り。12列目の中央やや左寄りという、よくも悪くもない席であった。山野ホールはあまり見やすい会場ではない。体育館のような場所にパイプ椅子を敷き詰めてある。後ろの方にならないと段差がない。中途半端に真ん中くらいの席に座るくらいだったら、傾斜が付いている後方がステージが見やすくて却って好ましい。12列というのはまさにその中途半端に真ん中くらいの席であった。

藤本美貴の名曲『ブギートレイン'03』を歌いながら萩原舞がステージに登場する演出だったのだが、歌い出しのタイミングを逸した上に声も若干裏返っており、いきなり心配させる立ち上がりだった。後のMCで、会場が暗転して音楽が流れるのが思ったより早くて焦ったというようなことを彼女は言っていた。緊張すると連呼していた。一人でしゃべるのに慣れておらず、頭が真っ白だとも言っていた。もちろんそういう緩さも含めてファンクラブイベントは面白いし、緊張しながらも一生懸命やり遂げようとする彼女の姿が可愛かったのは言うまでもない。ただ、今日に関して言えばイベントを企画した人々が萩原舞本人に進行を丸投げしすぎたと思う。

アップフロントのお抱え芸人である上々軍団の片方もしくは℃-uteの誰かが相方としていた方がよかった。なぜなら萩原舞は単独で持ち味を発揮するというよりは何人かの中で活きるタイプだからだ。パスを出せる人が必要だった。昔のマリノスで言うならばサリナスがシュートを打てるようにお膳立てするバルディビエソが必要だった。もちろん彼女一人の誕生日イベントなのだから一人の時間帯はあった方がいい。しかし彼女がもっと自由に振る舞えるように誰かが進行をするべきであった。本人が不慣れで苦手な中、一人しゃべりでの進行をあれだけ投げてしまうのはリスクが高すぎる。なぜなら一人で十分に回せないとなると、間が生まれ、ステージと客席との会話が生まれるのである。客席からステージに向かって大声で会話をしようと思いそれを実行するような奴は基本的にキチガイである。キチガイは言い過ぎた。ごめんなさい。ただ、単なる客の一人である彼らが常にイベント成功の助けになる保証などないのである。アイドルと客席でアドリブの会話を繰り広げる流れはなるべく避けるべきなのである。とは言え萩原舞による野次さばきというかステージに話しかけるオタクの扱い方は絶妙であった。流すところは流し、反応するところは反応する。さすがだった。

ネットで心ない中傷を書き記していたオタクどもに対する光井愛佳からのアンサーソングかどうかは定かではないがそう想像すると非常にはまる『私の魅力に気付かない鈍感な人』の萩原によるカバーが、コンサートの部分では一番盛り上がったと感じた。グループが違う(モーニング娘。)し時期も少し前(2009年)のこの曲に萩原舞のオタクたちが乗っているのが少し不思議だった。そう言えば萩原舞は光井愛佳とは仲良しなんだったなと思い出した(だからみんなこの曲を知っているという訳ではないだろうが)。萩原がMCで話した光井とのエピソード。昨日、光井とメールをしていて日付が変わっても祝福のメッセージが来なかった。時差もあるしなと思っていたが、その後にメールのやり取りをしていても祝福がないので本当に忘れたのかと思って「私今日誕生日なんだ」と送ったら「知ってるわ」と返事をしてきたと。その後、あえて2時7分におめでとうのメールをよこしてきたらしい。萩原舞の誕生日は2月7日である。

MC(開演前に客が書いた質問をいくつか選び○か×かで答えるコーナー)で面白かった話をいくつか。1)今回のグッズの一つであったMAIライトは完売したが「トラブルがあって」予定より少ない数しか販売できなかった。そのトラブルというのが、会場への輸送中に商品が水に落ちたこと。2)夜の部が矢島・中島と三人でのイベントなので、矢島と中島は会場にいる。リーダー(矢島)は本番前に頑張ってねと言ってくれたがなっきぃ(中島)はそういうことを言わずにさっさと観覧席に行ってしまった。3)アイドルは自分の天職だとは思わない。アイドルをやっている子は周りのアイドルのことが好きで推しがどうのとか言っているが私(舞)はそういうのがない。

お見送り会では例のごとく事前に所持品をゴミ袋に詰めさせられたのだが、萩原舞を通過する前にスタッフに袋を預けるのではなく各自が自分で手に持つ流れだったので、果たしてゴミ袋の意味があったのか疑問である。お誕生日おめでとうと私は言った。萩原舞はありがとうと言った、と思う。一瞬だったので確信が持てない。彼女の前をめまぐるしく色んな人が通り過ぎていって、会話をする以前に一人一人をきちんと認識する暇すらなさそうだった。見るからに忙しそうだった。これで萩原舞と私の会話は三つ目になった。いつもはもらった袋は家でゴミ袋として再利用するのだが、カバンや上着を入れる際に袋が破れたので会場で捨てた。