2017年1月7日土曜日

Kaleidoscope (2017-01-04)

タイム・イズ・マネー、なんて言ってられるか。効率もコス・パも関係ねえ。二日つづけて同じ屈辱を味わってたまるか。コンサートは18時半からだが、12時45分からグッズ列に並んだ。今日は小野瑞歩と小片リサの日替わり写真を必ず手にする。他のグッズと違って日替わり写真は通販(e-Lineup Mall)で売ってくれない。当日に会場でしか買えない。日替わり写真が欲しければグッズ列に並ばざるを得ない。日替わり写真をはじめから諦められれば、それが一番スッキリする。通販で買えば済むからグッズ列に並ぶ必要はない(もちろん通販でも売り切れというリスクはあるが)。私もある時期まではそう割り切ることが出来ていた。そもそも一枚の写真に500円を出すのがバカバカしいし、それを買うために並ぶなんて狂っている。私は行列が嫌いだ。私はSoftbankユーザーだが、金曜の夜に吉野家の配給に群がっていたSoftbankユーザー、ミスタードーナツの配給に列を作っていたSoftbankユーザーのことは馬鹿にしていた。次はどこに列を作るんだ、奴らは。行列を見るだけならともかく、自分がその愚かさの構成要素になるというのは避けたい。そういう信念から、日替わり写真は買ってこなかった。

初めて買ったのは2014年10月のスマイレージのミュージカル“SMILE FANTASY”の田村芽実。その次に買ったのが、同年11月、Juice=Juiceの新潟公演の宮崎由加、宮本佳林、金澤朋子。一回、二回と買って、日替わり写真のよさを知ってしまった。日替わり写真は会場名と日付が書いてある。自分がその公演を観させてもらったという、これ以上のいい記念はない。前述のように本当にその場でしか手には入らないので、自分がそのときに現地に赴いたという証なんだ。特に遠征では日替わり写真が思い出になる。アルバムに収めた日替わり写真を後から見返して振り返るのはなかなか風流である。500円が高いという概念はいつの間にか脳内からきれいに消え去った。自分で並ばずに日替わり写真を入手する方法があるとすれば、知り合いで並んでいる人に代わりに買ってもらう(「代購」してもらう)か、お金を払って誰かに並んでもらうかである。私にとってはどちらも現実的ではない。並ぶしかない。行列が嫌いでも、背に腹はかえられない。会場でしか買えない時点で十分に貴重だが、昨日は買おうと思っていた小野瑞歩と小片リサの写真が早い時間に売り切れた。刷っている数が少なすぎる。つばきファクトリーはまだ十分な過去の売上実績データがないから各メンバーの需要を読み切れていないのだろう。それが翌日に解決するはずがない。だから早くから並ぶしかなかった。

12時45分の時点でグッズ列はざっと50-60人くらいだった。その左につばきファクトリーとカントリー・ガールズの握手券の列も出来ていて、そっちはざっと30-40人くらいに見えた。ちゃんと数えてはいない。グッズの販売開始時間は把握していなかったが、13時か13時半くらいからなんじゃないかと踏んでいた。Twitterで検索したところ15時半からだと知り、愕然とした。どうも今日は暦の上では普通の平日だから時間が遅いらしい。前に50人いるから、販売が始まってから私が買えるようになるまでさらに1時間はかかるだろう。ということは概算で16時半か。離脱するという手もあった。普通に考えればこんなに時間をかける価値があるのか、疑問である。冷静に考えろよ。文字が直筆風に印刷されただけの写真を何枚か買うために、何時間もコンクリートの上で待ち続けるのか? 冷静に考えた。決めた。並び続けることを。これは損得勘定の問題ではない。意志と決心の問題である。

「男の意地 常に維持 確かな視点で保つ威厳」(K DUB SHINE、『機能停止』)

エスタシオンの青年から吉報が舞い込んだ。販売開始を14時45分に前倒すというのだ。結局、15時24分に小片リサ、小野瑞歩、浅倉樹々、宮本佳林の日替わり写真を手にすることに成功した。このハロコンでは毎回ちがう人の写真を買おうという発想が浮かび、昨日買った宮崎由加は買わなかった。小片リサも小野瑞歩も既に残り枚数が少なそうな雰囲気だった。二人とも私が注文をした場所にはもう在庫がなくて、奥から取り寄せていた。しかも私の前の紳士が2万数千円分も多種多様なグッズを買っていてなかなか終わらず、その間に他の窓口がどんどん進んでいった。私の番が来る直前に横山玲奈は売り切れていた。それが売り切れ第一号。肝を冷やしたが、無事に昨日の雪辱を果たすことに成功し、安堵と達成感でいっぱいになった。

中野ブロードウェーのCafe Miyamaで写真をアルバムに収め、ブログを書いて、17時すぎにPIZZERIA BAR NAPOLIに入った。泰陽飯店は休みだった。カンパリビア。カプリチョーザにアンチョビ。カンパリビア。1,350円。ほどよくアルコールが回った。いい気分で中野サンプラザに向かった。17時47分。開場は時間通りに行われていれば17時半から。まだ入場を待つ人々の塊があった。100人くらいいたかな。人が少なくなるのを待ってから、入った。今日は4列。実質7列目か8列目くらい。今回のハロコンでいただいた良席3枚の、2枚目だ。ピンクの宮崎Tシャツを、GoodwearのポケットTシャツ(MADE IN USA)の上からかぶった。昨日に続いて小野(瑞)を着る勇気はない。昨日、Juice=Juiceが数メートル先に襲来した際の重圧=重圧と再び向き合いたくない。私は今、宮崎由加に精神的に胸ぐらをつかまれている状態だ。ビンタを受ける寸前だ。彼女のTシャツを着る以外の選択肢はなかった。小野瑞歩さんに対しても昨日は貴女のTシャツを着たから今日は宮崎さんの番なんだという申し分が立つ。2015年の夏から着ているピンクのTシャツは、まだ3回しか着ていないエメラルド・グリーンのTシャツよりもしっくりきた。

ハロー!プロジェクトの新リーダー、和田彩花からの挨拶。「最初にリーダー就任の話を聞いたときは驚き、断ろうと思っていた。私はあまり考えずにモノを言ってしまうことがあるので、そんな人がリーダーになってはいけないと思って…。でもせっかくお話をいただいたので頑張ろうと思い、受諾した」的な話。断ろうと思ったというくだりでは観客からえ?という声が。私もBOY-KENとは同意見で、意外だった。和田の普段の言動から、もっと鼻息荒く二つ返事で受け入れた、というかむしろ虎視眈々と狙っていたのではないかくらいに思っていた。昨日と同じように、シャッフル・ユニットで各自がコーディネートした衣装が見所という説明。

衣装を自分たちで選んだという事実を踏まえると、お腹を出しているメンバーは高く評価できる。自分の意思でお腹を出す。理解(わか)っている。岸本ゆめの、浅倉樹々。覚えているのはその二人だけど、他にいたかな?

1月1日は二人で遊んだ、という田口夏実と小川麗奈。「田口が埼玉、小川が栃木に住んでいるので、東京で会うとなると小川が新幹線を使わないといけなくなる。それはかわいそうなので、埼玉と栃木の間の場所にした。お揃いの指輪を買ったら、ファンの人が(インターネットで)ティファニーだと騒いだ。ティファニーではない。ワンコインだ。小川は指輪を次の日くらいにはなくした。家か電車でなくしたのだろう」的な話をする田口。

アルコールによる高揚もまだ残っていて、開演前からいい気分だった。ただ、不安もあった。昨日からこの冬ハロコンを観させてもらって、特に“Kaleidoscope”公演にはまだそれほど良い印象を持てていなかったからだ。どういうわけか、同じコンサートでも今日は感じ方が違う。ガラッと印象が変わった。楽しい。熱くなる。何でこんなに違うんだ。理由が考えられるとすると:
・初演のときに比べて演者たちのパフォーマンスがこなれてきている
・2回目の客も一定数はいるので空間の一体感が増している
・左右にいた観客がガンガン動いて声を出すタイプで、その熱が私に伝染した
・私の心身の状態がおそらく昨日よりも良好である
・私が開演前にアルコールでドーピングをした
といったあたりだろうか。

周囲を見ていると、観客がそれぞれの専門分野を持っているのが面白い。たとえば広瀬彩海のTシャツを着ている人は当然ながら広瀬のパートに強く反応するし、こぶしファクトリーの曲でのコールにためらいがない。こぶしファクトリーの曲では周りをリードするくらいの動きを見せる。一方で、他のグループでは動きが小さくなるし、メンバーの名前を呼ぶ箇所もこのタイミングでいいのかな? この呼び方でいいのかな? という迷いがある。これは当然だ。たとえばつばきファクトリーの谷本安美へのコールが「あんみー!」であることなんて実際につばきの現場に足を運ばないと分からないし、実際に何度かやってみないと確信を持って声は出せない。私の専門分野がJuice=Juiceであるのは明白だった。彼女たちがステージに現れて曲が始まった瞬間からどうすればいいかが分かっている。短時間で曲が入れ替わるメドレーでも抜かりはない。『Goal〜明日はあっちだよ〜』、“CHOICE & CHANCE”、『ロマンスの途中』、『選ばれし私達』、『カラダだけが大人になったんじゃない』。宮本佳林がアイドル・サイボーグなら、中野サンプラザにいる我々はオタク・サイボーグなのである。

一つのグループを真ん中に立たせて他のグループがディスるセグメントでは、標的がJuice=Juiceだった。高木紗友希と金澤朋子は着替えのため途中から合流。
・こぶしファクトリー田口夏実「Juice=Juiceはメンバー同士の仲がよくてハロコンのときにいつも円になって固まっている。入りづらい。話しかけづらいから円になるのはやめた方がいいのでは」。心外だというような反応を見せる宮崎由加は、入りづらいと言っているがいちばん入ってくるのは田口だと指摘する。どう思うかとまことから振られたつばきファクトリー谷本安美は「そうですね、いつも仲良さそうにしゃべっていて…」と言ってから「しゃべってらっしゃって」と言い直して(ここでJuice=Juice含む会場全員が笑う)から、割り込んでいいのか迷う的なことを言う。誰が言ったか明確に覚えていないが、Juice=Juiceには隙がない、ということでまとめられた。田口以外にはモーニング娘。の生田衣梨奈がよくJuice=Juiceに話しかけるという話になるが、そこで高木が、生田に話しかけられても金澤は気付かない振りをしていると暴露。「どう反応したらいいのか分からなくて…」と慌てる金澤。彼女は内弁慶でJuice=Juice内では弾けているがグループの外との交流は得意ではないというような話になった。
・モーニング娘。石田亜佑美「宮本佳林はいつでもカメラに映るときに顔を決めている。ウインク失敗すればいいのに、と思いながら見ている」。おいおい何ちゅうこと言うねんという周りの反応に「いや、その方が失敗して可愛いなってなる」。ショックを受けた表情の宮本が会場のスクリーンに大写しになると、ほらこういうときも決め顔なんだと指摘する石田。すると今度は衣装をめくって顔の下半分を隠して目だけを出し、恥ずかしがる素振りを見せる宮本。「いや、狙っている。衣装で隠さないよ普通」と石田に加勢する嗣永桃子。「変顔も出来るもん」と言って普通にぶりっ子的な可愛い表情をする宮本(顔を斜めにしてちょっと頬を膨らませる)。「は? それが変顔?」と唖然とする石田の隣にいた飯窪春菜がガチの変顔を見せる。これが変顔だと胸を張る石田と飯窪。
・つばきファクトリー小野瑞歩「Juice=Juiceさんは歌もダンスも凄くて完璧なアイドルだと思うんですけど、あえていつもと違うことをしてみてもいいのでは」。まこと「殻を破るということね。全員でモノマネとか」。ここでモノマネ講師のアンジュルム室田瑞希が出てくる。ステージの真ん中に出てくる時点で変な動きをしているがまだモノマネは始まっていなかった。「あ、それは(モノマネではなく)登場の動き?」というまことに当然のように「はい」と返す室田に会場は爆笑。室田が見本として披露したモノマネは「ワンレン・ボディコン・館ひろし」。平野ノラという芸人のネタらしい。一人ずつでやってもらいましょう、とまこと。全員でやらせてくださいと駄々をこねるJuice=Juice。嗣永が「全員でやればいいんじゃないですか。Juice=Juiceがかわいそうだから」と助け船を出す。全員でやるも会場の反応が微妙なことを感じ取って苦笑するJuice=Juice。どこがダメだったかというまことの問いに「身体の反りと最後の顔(が出来ていない)」と室田。「最も出来ていなかった人に一人でやってもらいましょう。誰が一番ダメだった?」というまことに「やっぱり金澤さんですね」と室田が答え、金澤がうそでしょーと嫌がる。一緒にやってと金澤が懇願し、室田は即座に受諾。二人で「ワンレン・ボディコン・館ひろし」をやる。
・昨日もそうだったがこのセグメントで小野瑞歩はよくスクリーンを見ている。他のつばきメンバーは前を見ている。

まこと、横山玲奈、加賀楓。
・衣装はネットで買ったという横山玲奈。「ネット率高いな」とまこと。加賀はネットで買ったのもあるし、店に出向いて買ったのもある。
・サックスを吹けるという横山。加賀も何かの楽器が出来る。ハロプロで楽器の出来るメンバーを集めて「指揮者をやりたい」という横山。「そこはサックスをやらなきゃ! 指揮者は他にも出来る人がいる」と突っ込む加賀に「違うんだよ」とタメ語で反抗し、客席はどよめいた。

牧野真莉愛は、この一人を目当てにお金を出して会場に足を運ぶ価値がある、そういう存在であると思った。スキルとは別の次元で、華がある。明らかに人並みはずれた存在。
「小手先じゃないところが素敵なんだよラッパーってのはな 練習してスキル付けてフローライムなんちゃらかんちゃら並べたところでそれは生まれてから付けるものだろ? 俺は生まれたときからそれがあるんだよ」
「お前は本当 スキルがあるだけ技術付けてるだけ 俺は生まれつきこうだっつってんだろ さっきからバトルMCちゃん」
上記はUMB2014のMC松島vs.ふぁんくでMC松島がふぁんくに投げたディスである。このMC松島が言わんとしている「小手先」のスキルではない「生まれつき」の魅力というのが、まさに牧野真莉愛を他のハロプロのメンバーと区別する最大の要素である。他のメンバーに華がないと言っているわけではない。歌やダンスの上手さだと牧野真莉愛はハロプロ内で決して上位とは言えないだろう。でもそういう小手先の技術(それはそれでもちろんハロプロの根幹を為す重要な要素だが)ではない部分に、牧野真莉愛らしさがある。他のメンバーがいくら禁欲的に練習を重ねても「まりあんLOVEりんです」「ごめんちゃいまりあ」にはなれないのである。そういう独自の世界、領域を彼女は築いている。

最後の曲(『友よ』)の前の締めの挨拶で、まことがいいことを言っていた。曰く、ハロプロとは樹木である。樹木が育つには恵みの雨、太陽の光、大地が必要である。皆さんがハロプロにとっての恵みの雨であり、太陽の光であり、大地である。いつものぼくとつな調子でそう語ってからこれからもハロー!プロジェクトの応援を宜しくお願いしますと頭を下げるまことに、客席からは温かい拍手が降り注いだ。この国に、この時代にどんな問題と不安があろうとも、ハロプロの現場空間においては日本は最高の国家で、今は最高の時代だ。めっちゃくちゃ楽しかった。