2018年1月4日木曜日

Conti→New!/立会い出産 第二子〜一人MC BATTLEの会〜 (2017-12-10)

「今朝、買った馬券で…ハナ差って分かります? ギリギリの差で負けて。勝ってたら125万だったんですよ。それで5万負けて、起床即鬱病ですよ…」

5万円の損失からすれば500円の出費は誤差である。そう言い放ち江口沙耶さんの日替わり写真を買いにグッズ売り場に向かう彼の背中は頼もしかった。たしか前に会ったときは30何万か負けていた。そう、東京都に住むギャンブル依存症のロリコン、中島(仮名)である。このブログに何度目の登場だろうか。Hello! Project研修生は彼と観に来るのが恒例になりつつある。彼がSKE48で推している子が小学六年生であることから分かるように、ロー・ティーンは彼の専門分野である。Hello! Project研修生の主な年齢層(上は18歳前後の子たちも何人かいる)。私の場合はつばきファクトリーが目当てで来ている。ロー・ティーンには興味を持ちきれない。一方の中島はというと、15歳以下の少女たちがステージにいるときは双眼鏡を構えて食い入るように見るのに、16歳以上の研修生やつばきファクトリー・こぶしファクトリー(こぶしは今回は出演せず)が出てきた途端に双眼鏡を下ろす。興味なさげになる。景色でも眺めているかのように。

13時44分の時点で、グッズ列には誰も並んでいなかった。日替わりの売り切れは中山夏月姫さん、島倉りかさん、堀江葵月さん。私のお目当てである小野瑞歩さんのは残っていた。小野瑞歩さんと山田苺さんの日替わりを購入。たしか今日の物販は10時半からだったが、この時間で並ばずに小野さんの日替わりが買えるなら、朝から並ぶのは馬鹿馬鹿しい。この近辺だと飯を食う場所も限られるし。もう研修生発表会のグッズに朝から並ぶのはやめようかな。もし小野さんの日替わりがなくなっていたら、そのときは仕方ないということで。

新しく加入した研修生たちのお披露目があった。AbemaTVで配信されたオーディション企画のファイナリストたちのうち、研修生入りを受諾した7名である。私はAbemaTVの放送を部分的にしか観ていないのだが、画面で見た印象よりも皆さん小さくて驚いた。出頭杏奈さんは、受け答えはとても大人びていたけど、年端も行かない少女なんだな、と。後藤咲香さんが牧野真莉愛さんと新沼希空さんを掛け合わせたようなお顔に見えた。彼女たちがモーニング娘。の『ジェラシー ジェラシー』に合わせたダンスを披露した。松原ユリヤさん(9歳、小学四年生)が衝撃的だった。未だかつてHello! Projectのステージでこのクオリティのダンスが披露されたことがあったのかという…ほとんど出来ていなかった。オアシズ大久保佳代子さん似で知られる、ジャップと儒教の陰湿さを煮詰めたようなパワハラ系インストラクター、みつばちまきさんも匙を投げたのか? もちろん私は松原さんを別に批判しているわけではない。今できないのは当然なので。しかし、研修生になった時点で半分プロのような子が増えてきた中で、本当に純然たる素人が入ってきた。間違って迷い込んでしまったのではないか。胸をざわつかせるものがあった。なお、「ゆ〝り〝や〝ぁぁ」さんと連続的に絶叫する紳士が既に出現していた。

最後の挨拶で、まことさんが「先輩の見習うべきところ、見習わなくていいところ…」と思わせぶりな前置きをした上で「今日参加していない方のファクトリー」について短期間でメンバーが続けて脱退を謝罪した。頭を下げる前に脱帽までしたので観客はざわついた。「若い頃に連帯責任というものを習いまして…」と言っていたが、連帯責任を言うならまことさんは坊主にするべきだ。それが古きよき我が国の体育会系である。日本をトリモロせ。というのはもちろん冗談である。まことさんが頭を下げているときにステージに出揃っていた出演者たちは突っ立っているわけにはいかず、釣られるように頭を下げていた。

元はファンクラブ先行で落選していた。一般発売の前にハロー!プロジェクト・オフィシャル・ショップで販売されたので、秋葉原店に買いに行った。店員が引き出しから取り出したチケットの番号が見えた瞬間、私は顔をしかめた。やっぱやめますと言いかけた。28列。後ろから3列目。最悪の席だ。娯楽道チケット館があったころはこれくらいの位置は1,500円も出せば手に入った。いっそのこと最後列がいい。後ろに誰もいないというのは、それはそれで特別だからだ。ただ、どういうわけか今日は席が悪かったわりにかなり楽しむことができた。

今日は昼公演(15時開演)で見納めである。この後、下北沢に移動してハハノシキュウさんの独演会を観に行く。Zepp Tokyoから東京テレポート駅の間に、アンオフィが出店していた。もう先週(12月2日)の研修生発表会・名古屋公演の写真が出ていた。1,000円札と小野瑞歩さんの高品質な写真8枚組を交換し、駅に向かった。これから観に行くハハノシキュウさんの独演会について中島に話す。ハハノシキュウさんが一人でMC BATTLEの大会を行うという前代未聞のチャレンジである。つまり、出場するすべてのMCの役を一人で担うのだ。試合の間のショー・ケースまで一人でやってしまうらしい。18時開場、19時開演。まあHello! Projectの公演のように前に行く必要もないんで、入るのはギリギリでもいい。

「観客がキーワードを書いた紙を箱に入れて、それをお題にしてバトルをするみたいなんだけど、いいのが思い付かなくて。何かいいのないかな?」
「ロリコン、とかいいんじゃないですか?」
「いいね。それにするわ」

先に電車を降りた中島の表情は、心なしかいつもより明るく見えた。

下北沢駅前で1,500人のフォロワーを抱える競馬クラスタのTwitterアカウントと落ち合う。下北沢lagunaの場所は彼が調べてくれていた。会場近くの居酒屋に入る。ゆっくり考えている時間がない。飲み物だけ先に決めて、食べ物は店員さんを呼んでから私の即興で注文した。得意。適量でバランスの取れた注文ができる。感覚で。俺の長年の外食キャリアが生んだバリア。もっとも8月に読んだ『ヤセたければ走るな、食べろ!』(森拓郎)の影響でたんぱく質が多めである。くじらカツ。肉豆腐(肉がベーコンだった)。焼いた鶏肉。もう一つ焼き物を頼んでいたがなかなか来ない。どうやら料理を作っているのが一人らしい。まだ仕掛かってもいないということなのでキャンセルさせてもらった。二杯ずつ飲んで、二人で5,520円。18時37分頃に店を出る。

下北沢laguna。チケットとドリンク代で3,100円。ジン・トニック。Hello! Projectの公演ではソフト・ドリンクしか出してくれない。大体いつも水を選ぶ。お酒を頼めて、得をした気分である。300円のCRATZをつまみに開演を待つ。客層が安全そうで安心する。戦極MC BATTLEのようにイレズミを入れたいかつい兄ちゃんやその辺のストリートで立ちションをかます青年はいなさそうである。入り口に座り込んでいたのも若いナオンだった。私が地面に置いたバックパックを持ち上げようとすると近くの男性が紐を踏んでいたのだが、連れのナオンが指摘して足をどかしてくれた。常識のある人たち。治安がよい。ただ、タバコの臭いがきつい。水洗いできる服を着てきてよかった。公演中にハハノシキュウさんが「ソールド(アウト)すると思ってなくて」と言ったようにチケットは完売したようだが、ほどよくゆとりがあって快適だった。売上のために人をギチギチに詰めないのは良心的だった。私は中島の助言どおり、紙に「ロリコン」と書いて箱に入れた。

ハハノシキュウさんが登場し「知らざあ言って聞かせやSHOW」のフリースタイルを始めた途端、会場は楽しさで満たされた。これはやばい夜になるなと私は直感的に思った。私は普段、許可されていたとしても公演を録画・録音することにはどちらかというと否定的である。なぜなら自分の目で見て耳で聞いて身体で感じたものを大事にしたいからだ。しかし今日に関しては、これは残しておく必要があるなと思った。1回戦はiPhoneで動画に収めた。2試合目のインターネット vs.結露防止テープ以降はiPhoneのvoice memoで録音した。正確な文字起こしが出来ているのはそれが理由である。(禁止はされていなかったし、多くの人が撮影していた。かといって明示的に推奨されていたわけでもないので、私はYouTubeやTwitterに動画や音声は投稿していない。)

1回戦

8小節2本。

ゴキゲン中飛車 vs. ドブネズミ

「お前が飛車だったら俺は王将 餃子の王将よりも堂々 やってくだけだぜ分かるか」(ドブネズミ)
「Yeah 餃子の王将にドブネズミがいたらそれ衛生的に悪いと思うぜマジで」(ゴキゲン中飛車)

ドブネズミの勝利。

インターネット vs. 結露防止テープ

「その程度で最強だったら俺はインターネットつながねえ 仲間とストリートでつなぐ」「ネットラッパー よりも俺は最強だぜget the fuck out」(以上結露防止テープ)

結露防止テープの勝利。

消防署 vs. 舞妓

「119番 OK 俺の番号教えたぜ だから教えてくれLINE」(消防署)
「お前は建物 感情がない」(舞妓)

舞妓の勝利。

ここまでの三試合はすべて後攻のMCが勝っている。「後攻が強いね」と私が隣のTwitterマシーンにつぶやいたのが聞こえたのかたまたまなのか(99%後者)、ハハノシキュウさんが「後攻つええな。おかしいな。何とかダンジョンでは先攻が強かった(※ハハノシキュウさんは『フリースタイル・ダンジョン』出演時、輪入道さんとの試合で後攻を取って負けている)のに。おかしいなあ…」と愚痴る。

えびのてんぷら vs. みしまゆきお

「最後俺が切腹で死ぬことは分かってるがそれはお前に負けた後じゃねえ 勝った後に切腹してやるからよく見とけよ」(みしまゆきお)
「お前が死ななかったらもっとすげえ作品を産めたかもしれねえ だから俺はそれに対してリスペクトを送ってるぜ」(えびのてんぷら)
「お前俺の小説読んでないって言ったよな 嘘つき野郎が そういう奴が日本にはびこる だから俺は左の翼で羽ばたく」(みしまゆきお)

延長。

「感情論だけで歴史に名を残すのは絶対に無理だ ちゃんと文字に起こす必要がある お前の言葉はそこには残らない」(みしまゆきお)

「歴史とかもうどうでもいいんだよ 今この瞬間 今を残してえんだよ」「今から見せてやるぜ本当のてんぷら 俺の方がやばいってことがテンプレートじゃねえ 本当の俺のオリジナルだ分かるか」(えびのてんぷら)

えびのてんぷらが勝利。1回戦では私はこの試合が一番好き。DQN対インテリという対立構図がありつつも、会話が噛み合っている。

1回戦終了。『フリースタイルダンジョン』の裏側を開かすハハノシキュウさん。番組における自身のキャッチ・コピーが「猫背気味のダークヒーロー」だったが、ディレクターに「帝王切開の帝王」はダメかと聞いたらダメと言われた。じゃあこれはどうですか、と「計算不能の経産婦」を提案したがこれも却下された。

ショー・ケース。

2MCでやると宣言するハハノシキュウさん。箱から引いたお題は「動タワバトル」「場外馬券場にいるおじさん」。それらをMC名とし、「異色の2MC」による即興曲が始まる。

「三連単 3-4-5 分かるか女房のミヨコ」「外れたバトル 外れた馬券 外れた人生だぜ」「djhondaのキャップを深くかぶるんだ」(場外馬券場にいるおじさん)

「大企業で新入社員が一人しかいなくて その一人がずっと一発芸やってる感じ」と言うハハノシキュウさんが次に引いたお題は「なぜバトルMCの音源はダサいのか」。「MC松島君ですね、これは」と察したハハノシキュウさんが「バトルMCは曲がダサい」という『B.M.K.D.(バトルMCは曲がださい)』と同じフックの即興曲を披露する。

「治は太宰 俺ならザーサイ そういう韻とか踏むからダサい」「タレント、AV女優が小説を書いてるみたいな曲」「ボズファンクラブよりお前らの方がキモいぜ

小休止(ショー・ケースと小休止で韻が踏める)。ステージからビールを注文するハハノシキュウさん。「何がいいって、歌詞を飛ばすという概念がない」。

2回戦。8小節4本だと言うハハノシキュウさん、沸く観客。

ドブネズミ vs. 結露防止テープ

「ミッキーマウスになれないネズミ そんなんじゃダメだぜディスれよちゃんと」「お前なんて俺の両面テープはがして足をくっつけて死ねボケ」(結露防止テープ)
「たしかに俺はお前につまずいた夜もあるぜ 両面テープ その上のチーズに騙されたこともあるぜ でも俺は騙されっぱなしの人生から這い上がるためにここに来てる」(ドブネズミ)

試合後、4本ではなく3本だったことに気付くハハノシキュウさん。「まあいっか」。DJと話して今後は3本にすることに決定。延長。

「結論 お前は結露して終わりだぜ」(結露防止テープ)
「俺はドブネズミ 最高のイレズミ 入れてるMC」「千鳥足 になりながらも今日は一人勝ち」(ドブネズミ)
ドブネズミの勝利。「僕の気のせいか分かんないっすけど、罵倒っぽい人が勝ち上がってる気がするんですけど」とハハノシキュウさん。

舞妓 vs. えびのてんぷら

「えびのてんぷらなんて私の店ではお通し程度の存在だぜ」「お前よりも女の身体 またはコミュニケーション それが最強のエデュケーション 説明不要 なら分からせるだけ」(舞妓)
「エビフライ 最高の男まるでドンフライ こっからどんくらい勝てるかどうか 決めるために導火線に火をつけるためにやってるんだ」(えびのてんぷら)

観客から延長を求める声。DJに相談するハハノシキュウさん。結論、延長。「八文字さんだったら渋ると思うんだけどな」「八文字さんだったらな、勝者KEN THE 390って言うと思うんだけどな」。

「たしかにお前の方がラップがうまいかもしんねえ だけど俺は上手い下手で(?)ねえ まるでセックス 上手い下手じゃねえ」(えびのてんぷら)
「お前のアンチテーゼみたいなセックス 感じねえぜ」「お前の海老に付いてる天ぷらそれ自体がまるで生じゃねえ」(舞妓)

舞妓の勝利。

ショー・ケース。「今日、罵倒にはPUNPEEさんがいるんだ。いいんですか? まだ間に合うかもしれないですよ」と言ってからお題を引くハハノシキュウさん。「4枚くらい引いていいですか?」。彼が引いたのは「イノセント・ワールド」「童顔のおじさん」(「童顔のおじさんってあれですよね、あのー、『ザ・ノンフィクション』とかに出てる、あの「働いたことないんです」みたいな。ガチでやばいタイプのやつですよね」とコメントを挟むハハノシキュウさん)「ケチャップ」「スター・ウォーズになりたい」。今度はMCが一人で、お題はMC名ではなく曲のテーマに盛り込む形。『スター・ウォーズになりたい』は曲名になった。

「働いたら負け 俺の心は常にイノセント だから働けっていうみんなの言葉も絶対俺は気のせいと 思ってるぜ まるで先生の言葉を聞かない生徒 みたいに廊下に立ってる これがアンセム」「真のニート 夜中に腹が減ったらケチャップを吸ってんだぜ」「働いたら負けかもしんねえ ハロー・ワークにハローと言えねえ」「お父さんは来年定年退職 年金払ってねえ 職務経験は英検3級」

即興曲の出来に「生まれて初めて自信というものを手に入れたかもしれない」と満足げなハハノシキュウさん。『フリースタイル・ダンジョン』に出てTwitterのフォロワーが1,000人くらい増えた。誰にフォローされたのかを見ていると一人だけ青いチェックの入った人がいた。WHITE JAMのSHIROSEさんだった。「だけどあの人2万人フォローしてるから別にそんな…クラスの男子みんなに告って、当たれ!当たれ!みたいな女の子みたいな…そんな子に告られたみたいな…ってのは嘘です。忘れてください」

予定よりも早く進んでいるというハハノシキュウさん。「その分、物販で神対応しますんで。ぱるるみたいに」とジョークを飛ばすと、「ぱるる塩だよ」と前方のナオンが突っ込む。「ケチャップ対応しようと思うんで」とハハノシキュウさん。

次のショー・ケースのお題を引く。「ポケットのりんご」「言語を話せるようになって一週間が経過したツキノワグマ 5歳」「ロリコン」「キリコ」。そう、「ロリコン」は私が投函したお題である。読まれると観客から笑いが起きた。「ロリコンかあ…」「でも今ロリコン結構、あれなんですよね、危ないんですよね」と、『るろうに検心』の作者が逮捕された件に触れるハハノシキュウさん。「キリコ」で無反応の観客に驚くハハノシキュウさん、「伝説のラッパー」「すっげえ平たく言うとDOTAMAより危ない人」と注釈を加える。

「俺は5歳に恋をしてしまった 5歳の女の子に恋をしてしまった まだ5歳だけど俺はちゃんと性の対象」「4歳の終わりかけ 誕生日を一週間前に控えた朝 5歳の君は急にしゃべり出した そんな君はツキノワグマ 君の可愛さに 僕は胸を打ち抜かれ その先ポケットの中のりんごを君に差し出して アプローチすることになる そしてお互いのラブ・ストーリー」「俺がロリコン それは分かってる 熊だろうとしても それでもいい 相手が熊で5歳だとしても ちゃんと毛も生えてるし 最高のツキノワグマさ」「警察の目を盗むんだ 職務質問なんてされてたまるか 俺はそうやって君の姿をiPhoneで撮った それを保存して持ち歩いてる それ犯罪だって友達が言ってた 5歳の熊の映像を見ながら飯を食ってる 犯罪かな YouTubeにアップしてもいいかな 俺のチャンネルは増えるのかな」「だけど君は病気になってしまった もう助からないって先生が言ってた 余命は二ヶ月 しかも毎日 薬では抑えきれない激痛に耐えながら毎日を生きてる これ以上生かすのはかわいそうですって先生が言ったんだ だけど僕は生きててほしいから何とかしてくださいとお願いをしたんだ だけどツキノワグマは薬の痛みに耐えきれず そして息を引き取りそうになるがそれでももがくんだ それでも生きるんだ それでも毎日もがくんだ そしてがんばってがんばって そして僕と話をしようとそれを繰り返そうとしてるんだ そんなとき僕の前にキリコっていう名前の先生がやってきて 生かすのは人間のエゴだ 殺してやるのが優しさだって言ったんだ ドクター・キリコ 安楽死の達人 優しく 優しく ツキノワグマを殺してくれる そして安らかに眠ってくれる そして君は今まで僕の見たことがないような 安らかな眠った顔で最後にこう言ったんだ I love you」

「構想中ですけど、できればバンドでやりたい」と次の独演会について話すハハノシキュウさん。

決勝戦。8小節、4本ずつ。

ドブネズミ vs. 舞妓

「お前はたしかに水商売 やってるかもしれないが 俺は泥水をすすってここまで生きてきてんだぜ」(ドブネズミ)
「お客に言われた言葉とか全部おぼえてるぜ罵詈雑言 私は持ってるマイコーフォン 人生は続くlife goes on」(舞妓)
「口だけで男に勝てんのはピンサロだけだ これが俺の進化論だ 分かってねえ お前は口すらも使えねえ ただお酒飲ましてるだけの奴 身体張ってる他の奴らに謝れよボケ お前はなれない上原亜衣 絶対にお前は詰めが甘い」(ドブネズミ)

観客の声を聞いて「舞妓じゃないすか?」とDJさんに確認するハハノシキュウさん。会場の空気を読んでか延長にするDJさん。

「お前はここで超ダセえ お前のGrateful Daysも今日まで(※トラックが『公開処刑』だった)」(舞妓)
「お前分かってねえな 俺はGrateful Daysなんか最初から歩んでねえんだよ 生まれたときから今日までが全然グレイトじゃねえ そういう底辺 から上がってくてっぺん」(ドブネズミ)
「ブルーハーツ聴いてるんなら人に優しくしろ」「リンダじゃねえ往復のビンタ食らわす」「その目分かる 私のこと好きだろお前 本当にタイプの女にブスっていうタイプの男だろお前」(舞妓)

優勝、舞妓。「まったく予想外でしたね」と息を切らしながら言うハハノシキュウさん。ここで発表。この一人MC BATTLEで優勝した舞妓 a.k.a. ハハノシキュウ、戦極MC BATTLE第17章に出場が決定。MC正社員さんから「これで優勝した人、17章出ていい」というメールが来たそうだ。同大会の会場について「チケット取れなくて、いちばん後ろの扉のところでエビ中を見てたあのZepp Tokyoですよ」と感慨深そうなハハノシキュウさん。最後に舞妓のショー・ケース。そして最後に一人オープン・マイク。ここまでやりきる狂気。

物販。ぬいぐるみを一つ取って、ハハノシキュウさんに2,000円を渡した。手のひらに乗るくらいのぬいぐるみに2,000円はポンと出せる金額ではないが、とてつもないショーを見せてくれたことへのチップのような感覚で払った。「超楽しかったです」と言うと、ありがとうございます的なことを彼は返してくれた。購入を先に済ませていたTwitter依存症に頼んで私のiPhoneで写真を撮ってもらった。Hello! Projectもチェキじゃなくてさ、自分のスマートフォンで撮らせてほしい。スターダストではそれがスタンダードらしい。去り際に「CDはぜんぶ買ってます」と言うと「めっちゃ嬉しいです」とニコニコしていたハハノシキュウさん。めっちゃ感じのいい人じゃん。

一人MC BATTLEというアイデアを考えるのは誰でも出来ると思う。でも実際に客を集めてお金を取る一つのショーとして行うのは普通に考えて無理だ。だって、意味が分からないでしょ。開演の直前に観客が書いた言葉からMCのキャラを設定する。勝ち負けは私たちの判定で決める。事前に歌詞が書けないし、筋書きも用意できない。相手の言ったことの揚げ足を取るにしても、その相手も自分なのだから常に頭を回転させていないといけない。あと単純に、相手の番のときに休めないので息継ぎをする暇がない。素人考えだと頭が真っ白になりそうなものだ。難しすぎる。失敗するリスクが高すぎる。その普通に考えて意味が分からないことを成立させてしまう。こういうのがあったら面白いなという妄想を形にしてしまう。クリエイティヴとはこういうことでしょう。

Hello! Project研修生さんもつばきファクトリーさんもハハノシキュウさんも素晴らしかった。同じ日にこんなショーをふらっとハシゴできるのは、東京近郊に住む利点。意味。都会の野蛮人(アーバリアン)の特権。今年で最高の日だったんじゃないかと思えた。そう思える日が年に何回も訪れるから、この趣味はやめられないのである。