2021年10月2日土曜日

つばきファクトリー 小野瑞歩バースデーイベント2021 (2021-09-29)

――ご家族の来日が決まり、奥さんや生まれたばかりの娘さんとも会えることになりました。一方、他のクラブには家族と一緒にいられないことに耐えられず、退団してしまう選手もいます。レオ選手はなぜ我慢して戦い続けられたのでしょうか?

 家族と一緒にいられなかったことで、正直つらい時期もありましたね。でも、またJリーグに戻ってきて、J1でプレーするのが僕の夢でした。以前の自分と今の自分がまったく違うことをJリーグのファンに見せたかったんです。そして、生まれてきた娘の未来のためにも僕は辛抱強くならなければならない、と自分を奮い立たせて、つらい時期を我慢しました。

――奥さんと娘さんはもう日本に到着しましたか?

 今はもう来日していて、隔離中です。あと1週間ちょっとで会うことができます。

――待ち遠しいですね。

 そうですね。早く会いたいです! もうつらい時期は過ぎ去りました。家族が日本に来られただけで、本当にありがたいなと思います。
筋骨隆々のフットボーラーでさえ、愛する妻や子供と数ヶ月会えないだけで精神の安定を保つのが難しくなる。運動が鬱の治療に効果的だと医者やトレーナーは言う。それなら運動を職業とする人々の精神的な不調はどう説明するのか? 彼らはもっと運動をすれば鬱や不安に苛まれなくなっていたのか? レオ・セアラさんの筋肉を見てみろよ。知らない人は検索してみてほしい。Jリーガーの中でも際だつ体躯。ストレスをレオ・セアラさんのように乗り越えられず日本でのプレイ継続を断念した選手もいる。筋トレさえすれば精神の問題と無縁でいられるなんていう無邪気なものではないことが分かる。ドイツ代表にまで上り詰めたゴール・キーパーのロベルト・エンケさんは2度の鬱に苛まれ、32歳で電車に飛び込み自ら命を絶った(著:ロナルド・レング、訳:木村浩嗣『うつ病とサッカー』)。サンフレッチェ広島さんで活躍した森崎兄弟も鬱に苦しんでいた(森崎和幸、森崎浩司、『うつ白 そんな自分も好きになる』)。

家族に会えない環境での生活に耐えられないフットボーラーの話を読むと、私の頭にはこういった疑問が頭によぎる:会えない以前に、そもそも愛するパートナーや子供がいない我々の立場はどうなる? 彼らが耐えられないその状況に、我々は常に置かれているのだが? ただ慣れているだけで、我々は慢性的に精神を病んでいるのではないだろうか? 少なくとも私には当てはまっているように思える。心の溝を、趣味を加速させることで誤魔化している。好きなアイドルさん、フットボール・クラブ、音楽家といった人々の活動への没入が、いつしか自分の人生から目を背ける手段になっている。同じコンサートに何回も入る。ほぼすべてのホーム試合を現地に観に行く。より多くの、より強い刺激と癒しを求め続ける。たとえば食事にしたって、妻子がいたならたまに家族でバーミヤンにでも行けば満足出来るのだろう。中国語の飛び交う池袋チャイナ・タウンの店に通って変に舌を肥えさせる必要などない。いつまで持ち堪えられるのか、分からなくなってきた。いつ死んでもおかしくない段階に、私の人生は入りつつある。

ランドマーク・ホールの10列(1回目も2回目も同じ列だった)から双眼鏡を使いながらおのみずchanを粘着質に追いかけていると、死にたいという考えが少しだけ私の頭に浮かんできた。正確には、毎日こうやって好きなものを観てヘラヘラして過ごしたい、もしくは死にたい。サブ・カルチャーの世界の人は四十で鬱になると誰かが言っているのを聞いたことがある。ナインティナインの岡村隆史さんが体調を崩した(鬱病と言われている)のも四十歳の頃。独身だった。人生の軸を家族に移さず他の何かで幸せを得ていたつもりだったのが誤魔化しが効かなくなってくる、節目の年齢なのかもしれない。もちろんすべての人間をひとまとめにして語ることは出来ない。Hello! Projectの現場には真っ当な人生のレールに乗り損ねた、行き遅れの成れの果てのような50代、60代男性がたくさんいる。彼らは彼らで幸せそうである。もちろん、何歳だからこうなっていなくてはいけないという考え方が間違っているのはTodd Roseさんが“The End of Average”(邦訳:『平均思考は捨てなさい』)で論じた通りだ。しかし一方で、そういった規範が現に社会に存在し、同調圧力がある以上、我々がそれに大きな影響を受けるのは避けられない。

気圧のせいなのかもしれない。先週、先々週と私は調子がよかった。二週間連続で調子がよいと思えたのはここ4ヶ月で初めてだった。今週は気分が落ち込みがちだった。これを書いているのは10月2日(土)なのだが、特に昨日は本当にきつかった。頭痛が酷かった。メンタル・クリニックで先生にそう伝えると、今週は気圧の変化が激しく、そのせいで調子の悪い人が多かった。昨日は台風が凄かったから(不調も不思議ではない)と言っていた。1回目が16時45分開演、2回目が18時50分開演。午後休を取って横浜に向かった。よく分からなかったのが、労働から解放され好きなことをやっているはずの午後の方が胸が苦しく頭が重かったことだ。

今日は平日ですよね? 火曜日? 今5時くらいですよね。違ったかな? 皆さん絶対、仕事をしてるでしょうに……。(笑いが起きる)何で笑うんですか?(これはきっと、まともに働いていない奴も一定数はいるだろうという暗黙の了解があるからだ。何らかの恵まれた境遇にいて働かなくても食っていけている。そうじゃないと説明がつかない人々がHello! Projectの現場にはいる。)私のためにきっと半休を取ったり、休んだり、他の手段を使ったりしてくださっている。それは普通のことではない。と、みずほchanは1回目の公演で噛みしめるように感謝を表していた。2回目でも、皆さん、仕事は終わらせてきたんですか? と我々に問いかけていた。本当に優しくていい子に育っているなと思う一方、企業勤めの彼氏がいるのではないかと勘ぐってしまう。Hello! Projectメンバーさんの殆どが異性交遊を文春にスッパ抜かれないのは取材費用に見合うニューズ価値がないだけで、普通に考えて多くのメンバーさんに彼氏はいる。つばきファクトリーさんの全員が我々に優しいのは、全員に彼氏がいて心に余裕があるからだ(※ここでいう全員に新メンバーさんは含めていない)。

アイドルとファンの関係は金銭を介さないと成り立たない。金の切れ目が縁の切れ目。これは産業、事業、商売。「需要 供給 満たす欲求」(漢、『需要と供給 feat. YOUTH』)。アイドルという存在は虚構、幻想。アイドルさんに(少なくとも第一線からの)事実上の定年があるのは労働条件の問題ではない。少女性に期限があるからだ。いま好きな子が活動から足を洗ったら、我々は何事もなかったかのように次の若い子に鞍替えする。(最近思う。若さの切り売りであり、歳をとって続けるのが厳しいという点で、アイドルと不良系のラッパーは似ている。)

アイドル産業とは愛の共産主義である。アイドルさんの愛はみんなで分かち合うものであって、私有してはいけない。その原則に反するから、彼氏の存在を公にすることはアイドル生命の終わりを意味する。労働環境とか人権の話ではない。疑似恋愛を商売にするのはいかがなものか的なことを訳知り顔で論評する奴らは、愛の資本主義で戦えない人たちへの救済策を提示してみろ。自分を磨いて婚活をしろなんてのは答えにならない。それこそが資本主義の論理だからだ。資本主義が必然的に生み出す敗者をどうやって救うのか。それが問題だ。仮にアイドル産業を規制したとして、他の産業が形や名前を変えてアイドル産業化するだけだ。私がこのブログで何度も書いてきたように愛とセックスへの『闘争領域の拡大』(ミシェル・ウエルベックさん)への日本からの回答がアイドル産業なんだ。

我々がアイドルに会いに(観に)行くのをやめられないのは、金銭を介さないと得られない関係とはいえ、そこにはたしかに愛があるからだ。少なくとも、この日のランドマーク・ホールには紛れもなく、それがあった。私が普段の人生では感じる機会が殆どない、それが存在した。小野瑞歩chanの21歳のお誕生日を祝うため、9月29日(水)、それぞれの異なる事情を抱えながらも横浜に集結した我々の愛。おみずchanがステージから我々に恵んでくださる愛。お金を払っている消費者と、職務を遂行している労働者というだけの関係ではない。もちろんファンクラブの年会費を払い、チケット代を払っていなければ我々は席を与えてもらえなかった。でも、それだけじゃないんだよな。
愛……。愛というのは、<滅多にない>ものですよ。知らなかったんですか? だれもそう教えてくれなかった?
(ミシェル・ウエルベック、『地図と領土』)
15歳の頃から観ていた小野瑞歩さんが21歳のお誕生日に『私がオバさんになっても』を歌う場に居合わせたのは私にとって感慨深く、時間の流れを感じた。この曲は二十歳を超えてベテランになってきたメンバーさんがソロ・イベントで歌うと鳴りが違う。私より若い子がたくさん入ってきたけど、これからも私のことを応援してくれる? とファンに聞いているような、そういう含みがある(と私は勝手に思っている)。

鈴木啓太がいないのは本当によかった。イベントの思い出がみずほchanだけになるから。みずほchanはグダグダになってしまったと一人でのイベント進行に反省しきりだったけど、私はとにかくみずほchanを視覚的、聴覚的に舐め回したいのであって、共演者気取りの二流三流司会者はその妨げでしかない。たとえグダグダであったとしても彼女の緊張している姿が愛しい。去年も書いたが鈴木啓太がやっているのはメンバーさんとの個別お話し会。メンバーさんの魅力を引き出す脇役に徹することが出来ていない。ただメンバーさんとの交流を楽しんでいる強いファン。そんなのを見せられるために私は労働を調整し平日の横浜に足を運んでいるわけではない。上々軍団さんはそろそろ潮時。彼らはファンクラブの仕事やエスタシオン的なことをやっていればいいんじゃないか。ともかく鈴木啓太がいなかったおかげもあって、私はみずほchanのことを新たに好きになり直した。

1回目
・まだお祝いのメッセージをくれていないつばきファクトリーのメンバーもいる。誰かは言わない。新メンバーからは昨日プレゼントを貰った。まだ八木栞chanにお誕生日のプレゼントをあげていないのに。
・20歳だと大人になりたてという感じがしますけど、21歳だと完全に大人じゃないですか。“完全に大人”の皆さんからしたらまだ子供かもしれないけど……。
・ビデオ・メッセージは佐藤優樹さんから。スケスケのエッチ衣装。
・おみずの前向きアドバイスというお悩み相談セグメント:一枚目だったかな、全部の漢字にふりがなが振ってあったらしく、私はそこまで馬鹿じゃないですよとやや不服そうだった。
・(最近、BEYOOOOONDS小林萌花ちゃんに似た一般女性に振られました。もう二度と一般女性を好きにならず、アイドルに専念するにはどうしたらいいですか?)(ヘッズ、笑う)何で笑うんですか?
・(たしか猫がなつきません的な悩み)自分も猫になってみればいいんじゃないですか? 自分と同じだとなつくと思うので。ニャーって……そんな冷たい目で見ないでくださいよ~。
・『私がオバさんになっても』の途中でちょっと泣きそうな顔になって歌に詰まりそうになっていた。客席に佐藤優樹さんでもいたのかと思ったら単純に歌詞を忘れただけのようだった。
・後輩が出来て教えることも増えたが、私はまだ人に教えられるような人間ではない。応援されるに相応しい人になりたい。

2回目
・(客席を見て)見るかぎり……。(ヘッズ:笑う)見るかぎり、21歳より上の人が多そうじゃないですか。21歳になったときってどうでしたか?
・普段のバースデー・イベントの企画は上々軍団が考えている的なことを言っていた。
・おみずの前向きアドバイスのセグメントで読まれた投稿の半分くらいがなぜかお悩みではなく質問だった。事前に裏方がチェックしていないのかな?
・(最近、一推し以外の子に目が行ってしまいます)いいんじゃないですか?(ヘッズ:笑)たくさんの人を見るのはいいと思う。この方も私が一推しじゃないかもしれないし。でも一推しの方のアレがアレしたらアレですけど……。いちばん好きな方のことは傷つけちゃダメだと思います。
・(名前が鈴木啓太なので上々軍団の鈴木啓太さんが滑ると自分も滑ったみたいで恥ずかしい)鈴木啓太さんが滑ることなんてあるんですか?(うなずくヘッズ)うんって、酷い! 鈴木啓太さんは色んなハロプロ・メンバーと写真を撮ったりイベントの司会をしている人ですよ。鈴木啓太さんが私とツー・ショットを撮っていたら、それを私とあなたのツー・ショットと思えばいいじゃないですか。
・(瑞歩ちゃんにとっての癒しは何ですか?)新メンバー。(豫風)瑠乃chanなんて楽屋で夏休みの宿題やってるんですよ! 私なんてもう何年前なんだろうって……。パフォーマンスは凄いけど普段は中学生らしさがある。
・瑠乃chanなんて何歳差? 6歳? 中二と21歳って何歳差? 7歳? 7歳も離れた子が入ってくるなんて!
・ミニ・コンサート中のたしか最初のブレイクで「ライブ、MC、楽しい」、とナチュラルに韻を踏んでいた。
・実は『愛・愛・傘』は研修生の頃に歌っていた。その頃からすると一人で続けて三曲も歌うなんて考えられなかった。
・1回目はとにかく緊張していて、それはそれで楽しかったんですけど、2回目は楽しんでいる自分を感じながら出来た。
・本当は客席側に降りて借り物競走とかやりたかった。前にやったことがある。でも今は出来ないので前向きアドバイスのコーナーにした。
・(バースデー・イベントが5回目なことについて)3から4よりも、4から5になる方が数字が大きくなったって感じがしませんか? ……しないか。19歳から20歳になるよりも20歳から21歳になる方が大人な感じがするんです、私は。それと同じように5回というのは大きい。5回もやってればそりゃ後輩も出来るなって思います。
・バースデー・イベントで歌いたい曲リストをいつも作っている。今回は、この衣装に合う曲は何かなと考えて今年はカッコいい感じの曲は封印した。来年は22歳になるので大人っぽい曲をたくさん歌いたい……今から来年の宣伝? 出来るかどうかは分からないですけど、楽しみにしていてください。

セットリスト
片思い』(Miwa)※
『夜風のMessage』(℃-ute)

『ダレニモイワナイデ』(真野恵里菜)
『愛・愛・傘』(Juice=Juice)
One Summer Night~真夏の決心~』(カントリー・ガールズ)

『私がオバさんになっても』(森高千里)
『明日の私は今日より綺麗』(こぶしファクトリー)
※2回目は1曲目が『I LOVE YOU』(尾崎豊)

最後に。しばらく私がブログを更新していなかったのは、現場がなかったからではない。精神の調子を崩し、抑鬱症状がきつく、毎日をやり過ごすだけで精一杯だったからだ。このブログを2015年に始めてから一番きつかった。治療の甲斐あって徐々に調子が上向いてきた。書けていなかったいくつかの現場の記事も、これから書いていく。