2022年3月21日月曜日

PARADE (2022-03-20)

Twitterを気持ちよく利用したければ意見を書かないことだ。このサーヴィスはあまりにも多くの民衆に行き渡りすぎた。公開アカウントでtweetを投稿するのは知人や友人同士の歓談ではない。@をつけるつけないに関係なく、その辺の他人にいきなり話しかける行為に近くなっている。どの発言が誰にどう届くかは事実上、制御できない。都市や公共空間は構成員がお互いに必要以上に干渉しないから成り立っている。たとえば私は今コレをほぼ満員状態のタリーズ・コーヒーで書いているが、店員や客の中には私とさまざまな考えや価値観が相容れない人々もいるはずだ。それでもこのサテンが平和なのは、我々がお互いに無関心だからだ。もし外出する度にその辺の他人が思っていることすべてが文字で表示され目の前に飛び込んできたら我々は正気を保てないだろう。実際にそれが起きているのがTwitterだ。毎日のように新しい知らないムカつく意見や情報が無限にわいてくる。その度にカッとなる。脊髄反射的に反論する。スクショを晒す。私も身に覚えがある。狂っている。眠りは死の従兄弟(Nasさん)だが、Twitterは精神病の従兄弟である。Twitterには日頃から本を読み複数の本から共通するテーマを抽出して物事を考えられる人と、140文字を長文と認識するような認知能力の人々が同居している。ブログで数千文字を書くことの利点の一つが、そういった人々を弾けることだ。

13時10分に着いた八王子の駅前で一息ついていると、建物のLEDスクリーンから八王子スーパー強盗殺人事件に関する情報提供を呼びかけるメッセージが流れていた。私はそれを見、何気なく「八王子スーパー強盗殺人事件」とtweetした。すると間もなく知らない奴が引用RTで絡んできた。「このツイートを見て元カノを思い出して気分が悪くなった。どこにクレーム入れればいい?」的な感じだった。恐くなってスクショを撮る前にすぐブロックした。アカウントがその日中に消えていたようなので正確な引用は出来ない。ちょっとヤンキーが入った10代くらいの実写アイコン。最近わたしは安田峰俊さんの『みんなのユニバーサル文章術』を読んだ。労働のメール、Twitter、LINEにマッチング・アプリと風呂敷を広げすぎ。面白い箇所もあったが、期待はずれだった。中でも私が首を傾げたのが、未だにバズるとかフォロワーを増やすとかをTwitterで万人が目指すべきゴールであるかのように指南している点だ。たしかに有名人やインターネットを主戦場とする自営者ならそうなのかもしれない。しかし一般民衆が多数のいいね、RT、フォロワーを得たところで利益はない。そういうのを無邪気に喜ぶ時代は終わった。今のTwitterにキチガイや洒落にならない異常者がどれだけいるかをちょっと考えてみれば分かるはずだ。Twitterでは鍵をかけてフォロワーを相当に絞らないと自由はない。(ちなみに私は安田さんの本をこれ以外に4冊読んでいる。『独裁者の教養』、『和僑』、『さいはての中国』、『性と欲望の中国』。好きなライターさんだが『みんなのユニバーサル文章術』は駄作だと思う。)

今日の会場名、J:COMホールには聞き覚えがなかったが、検索してみると場所的にどうもオリンパス・ホールっぽい。2021年4月からJ:COMがネーミング・ライツがJ:COMに移っていたようだ。駅前のあの建物の、4階。コンサートの度にメンバー・カラーのジェラートを販売していたジェラート屋はもう潰れていた。日高屋で見覚えのあるおまいつ集団が入店待ちの行列を作っていた。開演が15時で、今が14時前。サテンに入るにも中途半端な時間。会場に入るとき、エスカレーターを上がってグッズ売場の手前に来たときと、2回もチケットを提示させられた。いやさっき下で見せたばっかなんだけどと文句を言いたくなったが、どうせ彼らは指示された労務を最低賃金に毛の生えた時給でこなしているだけだし、ここで言ってもしょうがないので黙って従った。売場の姉ちゃんがど新人丸出しで、隣に付き添う先輩からすべての動作と発言にダメ出しを受けていた。声が小さすぎて私は彼女の言うことをほとんど聞き取れなかった。マスクとアクリル板越しだったのを差し引いても、労働者としてやっていけるのか気がかりになる声量だった。DVDマガジン2種類を1枚ずつと、日替わりの小野さんをくださいと私が言うと、付き添いの先輩が番号でお願いしますと言ってきた。それくらい分かれやど素人が(苦笑)と思いながら、私はTの6番と言い直した。懐かしい。この感じ。その割に商品を渡してくるときの確認では日替わり写真の小野さんですねと言ってくる。その言い方で通じるのか通じないのかはっきりしろや。番号で言ってくださいとそのとき私も言えばよかった。14時過ぎにファミ・マでヤクルトのY1000を買って飲んだのだがどれだけ関係しているかは不明だが、14時半に席につくと何だかだるくなってきた。目をつむり、少し居眠り。寝起きの状態でコンサートが始まった。

ハイライトは『だからなんなんだ!』の初披露。それに尽きる。これだけでも今日ここに来た意味があった。前の曲が終わり左右に捌けていくメンバーさんたち。よく見ると真ん中に一人残っている。小野田紗栞さんだ。彼女が仏頂面でクネクネ動き出したときの、ヘッズのどよめき、笑い。曲中、みんな座って黙っていても充満しているのが分かる高揚感。小野田紗栞さんのヘンテコ・ダンスを最大限に生かした振り付け。全員、無表情のメンバーさん。やばすぎ。独特の空気。つばきファクトリーさんの歴史でも特別な瞬間の一つと言っていいのではないだろうか? 『だからなんなんだ!』ほどにつばきファクトリーさんのヘッズが生での披露を待ち望んだ曲は他にないだろう。去年5月にアルバムがドロップされてから散々じらされてきた。会場に足を運んだ全員が、今日はやってくれるんじゃないかという仄かな期待を抱いていたに違いない。終演後に喫煙所で会った吉田さんに楽しかったですかと聞かれた。感想を述べる前の私とF君の表情を見、めっちゃいい笑顔じゃないですか! と吉田さんは言っていた。『だからなんなんだ!』を観た後ではそうなってしまう。

衣装は二つ。二つ目の赤を基調とした衣装がきらびやかでステージに映えていた。着替えの時間にスクリーンに映像が流れたのは戦前のコンサートの片鱗を感じさせたが、それ以外の質素さはコヴィッドになってからの流れを継承していた。ほぼ剥き出しのようなステージだと、衣装が分かりやすくゴージャスじゃないと視覚的に物足りない。その点で、二つ目の衣装はスゴくよかった。一つ目の衣装は派手なわけでも露出度が高いわけでもなく何だか中途半端で、早い段階で見飽きてしまった。衣装自体は決して悪くはなかったのだろうが、ステージ全体の中で見栄えがしなかった。皆さん右だけ肩がついているデザインだったのだが、どうせなら両肩、両二の腕、両ワキをバンバン見せてほしかった。
  • 豫風瑠乃さんが楽しそうで、お父さんとしては何よりだった。動きにも人一倍キレがあった。
  • 歌やダンスは別として、新沼希空さんの容姿がとてもチューン・アップされていた。
  • たしか『ガラクタDIAMOND』で本来のダンスではなく数名のメンバーさんが座る形を取っていたのだが、八木栞さんが座った状態で小さな短パンからふとももを全部見せてくれた。その後に秋山眞緒さんも座って脚を組みふとももを丸出しにしてくれた。
  • 新沼希空さんが最後のコメントで、12人もいるから他の子に負けないように頑張りたい。目立つために頭に大きなリボンをつけてるんです、と言っていたが、そのとき隣にいた谷本安美さんの赤い大きなリボンの方が目立っていた。谷本さんは1着目の衣装のときも大きな白いリボンをつけていて、それがとても可愛く、似合っていた。
  • 小野瑞歩さんが2着目の衣装でキックするとき何度もアン・スコを見せてくださった。2階のクソ席からたかだか6倍の双眼鏡を使って得る景色には限界があったが、私は集中してその一瞬を捕らえた。
  • 小野さんは何かの曲でメンバーさんがV字のフォーメイションをとるとき、一番真ん中の前にいた。12人いる中で真ん中にみずほちゃんがいるのは何だか壮観だった。
  • 公演後にドロップされたブログで小野田紗栞さんが「初日にしては、とても良かったと思っています!」と書いたが、これは今シーズンの明治安田生命J1リーグ第1節、セレッソ大阪さん戦後の仲川輝人さんの「開幕戦のわりには内容が良かったです」というコメントと酷似している。

公演後にF君とメシを食うことになり、八王子 四川料理で検索して出てきた店に入った。なかなかよかった。駅のすぐ近く。