2022年12月29日木曜日

M-line Special 2022 ~My Wish~ (2022-12-24)

午前中にトレーニングで背中を傷め、それで一日が実質的にほぼ終了した。トレーナーの青年曰く、おそらく菱形筋が肉離れの手前のようになっている。ぎっくり腰の背中版みたいな。同じ姿勢でずっと居続けないように気を付けて安静にしていれば数日で治るだろうとのことだった。幸いにも夜にはだいぶ軽減し、翌日の午後には治っていた。ただこの一日の大部分は痛みを引きずる結果となった。私は背中が弱点で、自分でも情けなくなるくらいあっけなく傷めてしまうことがある。

都立大学前駅から会場(めぐろパーシモン・ホール)までの間に、50代と60代くらいの紳士たちが道ばたと交差点の信号前でコンビニの揚げ物をムシャムシャ食って、普通ではない雰囲気を発していた。確証はないが、おそらくこれから同じ会場に向かう同志だろう。オタクはこうでなくっちゃ。

アップフロントが私に与えた席は、1Fの左上にせり出している小さなエリア。こういう席に座るのはたぶん初めて。見やすそうだなと思っていたが、実際に体験してみると手すりで視界が妨げられ、決して見やすくはなかった。

ゲスト出演したinbのヴァイブスが物凄かった。ショッキング・ピンクの衣装で氏がステイジに現れた途端、なんらかの魔術をかけられたように会場全体の雰囲気が変わった。昔モーニング娘。の生田衣梨奈さんがちちんぷいぷい魔法にかかれ!とかいう特に工夫もない決まり文句を、私を好きになる魔法とか言って芸人とかにやっていたけど、そういうまやかしじゃなく、本当に好きになってしまう魔法を使えそうな女、inb。性ホルモンの塊。超高級慰安婦。ずば抜けた繁殖能力の高さ。彼女と並ぶと他の出演者(小片リサさん、宮本佳林さん、小関舞さん、佐藤優樹さん)が全員、処女に思えた。というか、処女であることが確定した。inb曰くステイジに立つのが半年ぶりなのだという。おそらく現在の労働強度はそこまで高くないのだろう、十分な休養、強すぎないストレス、充実したエッチ生活を物語る余裕が身体から溢れていた。彼女の歌は私の心にいっさい響かないが、inbの場合は歌手としてどうこうではなく、ある種の特殊能力を持つ特異な存在である。今日のチケットに価値を見出すとすれば半年ぶりにステイジに立つinbを観るという稀少な機会を得られたこと。それ以外の点で私にとってはあまり価値がなかった。

前にランドマーク・ホールで観たコンサートはだいぶ楽しめた記憶があるのだが、今日はあまり楽しめなかった。没入感は皆無。なんでだろうな。12月3日(土)のミュージカル・コンサート、12月18日(日)の田村芽実さんソロ・ミュージカル・コンサートと、直近で本物の歌を聴きすぎたのかもしれない。今日の出演者さんたちの歌唱力は、退団者含むHello! Projectという枠の中では上澄みに属する。それでも上述のミュージカル・コンサートで聴いた歌が頭に残っている状態で聴くと、同じ歌という表現をしている感じがしなかった。もちろん表現としてのジャンルが違う。百も承知。でもそれだけでは言い逃れできない何かがある。ひとつ言えるのは、ミュージカルのプロたちによるコンサートなどとは違って、あんたらはマスクを着けて黙って座ってお行儀よく聴いていなさいというスタンスを観客に強いて成り立つクオリティではないということだ。元からそういう土俵で勝負していなかったはずだ。結局のところ、今でもHello! Projectのコンサートはあの悪夢のザ・バラッドの延長線上にある。私にとって、決して楽ではない労働で手に入れた賃金から安くない金額を払い、休日の(ときには平日の)貴重な自由時間を費やして得る体験として、見合わなくなってきている。もちろん現状のコンサートでも感動を得ている人々がいるのを私は知っている。だから、私のために元のようなコンサート体験に早く戻してくれと言うつもりはない。感染拡大防止ガイドライン(笑)的なやつは別にアップフロントが独自に作っているわけではない。勝手に破ることも出来ないだろう。早期に緩和するように働きかける政治力もアップフロントにはないだろう。この感じがだらだらとまだ何年も続いていくのだろう。この感じで十分に満足する人たちがいて商売として成り立っていくのなら続けていけばいいと思う。

よくも悪くも人間は色んなことに慣れていく。この状況に慣れきってもはや不満にも思っていない人が多数だと思うけど、私たちは相当バカにされている。「私たち」には客だけじゃなくてエンタメ界にかかわる人たち全般が含まれる。バカにされているし、実際バカ。政治力も足りないからいつまでもこんなことが続くんだ。今日も開演前の不快なアナウンスメントを聞きながら思ったけど、あいつらはコヴィッドの感染拡大を防止したくて色んな不便(とさえ感じなくなっている人が多いだろうが)を私たちにかけているんじゃなくて、「コヴィッド感染拡大防止のための業界ガイドラインに従っている私たち主催者」というアリバイのためにやっているんだよね。もうみんな忘れているかもしれないけど、コヴィッド感染拡大防止というお題目って医療体制を整えるまでの時間稼ぎのために一時的にみんなで我慢をしましょうという話だった。いつのまにかこの風邪にかかること自体が罪という話にすり替わった。もう3年経つのにいつまでも逼迫、逼迫とか言っている。バカの一つ覚えのようにマスクを着けろ。注射を打て。検査を受けろ。それで世界最多のコヴィッド大国。じゃあどうする? もっとマスクを着けろ。もっともっと注射を打て。旅行をするな。旅行をしろ。それでもすべてを簡単に忘れ雰囲気で判断し何でも従い続ける奴らは死ぬまでカモられ続け、なめられ続けることになる。この間も私から1メートルから1.5メートルの距離で芽実が熱唱したり喋ったりしていた。もちろんマスクなしで。観ている私たちはマスク着用必須。つばきファクトリーのrelease partyでは75%という収容制限を守るために座席は前半分の列が100%収容、後ろ半分の列が50%収容。意味なんかあるわけがない。ルールはルールとか言っていつまでもこんなことを正当化する人のことを私は心から軽蔑する。『ハマータウンの野郎ども』で「野郎ども(lads)」が蔑む対象であるところの「耳穴っ子(ear'oles)」が多すぎる。ただ労働社会や社会の多数派に順応して立ち回っているだけの奴ら。悲しいことに、私たちは反抗の仕方を知らなさすぎる。