2015年10月31日土曜日

℃an't STOP! (2015-10-25)

orSlow(オアスロウ)のdenim jacketを買った。それからというもの街でdenim jacketを着ている人ばかりを目にするようになった。こんなにdenim jacketを着ている人たちが世の中にいるのか、と驚くほどに。カラーバス効果。7-8年前に読んだ『考具』というビジネス書にはそう書いてあったと記憶している。ある色(であったり車であったりブランドであったり)を意識することで、生活している中でその色(であったり車であったりブランドであったり)ばかりが目に付くようになるということだ。私は今まで街行く人々がどういうdenim jacketを身に付けているかなどほとんど気にしていなかった。自分がdenim jacketに興味を持ち、実際に手に入れ、脳内の一定割合をdenim jacketが占めている今では、すれ違う人々が着るdenim jacketの色の落ち具合や安物加減、他の服との合わせ方等々、細かいところが気になるようになったのである。

一週間前のコンサートで初めて導入した双眼鏡に関しても同じことが言える。それまでは周りの客がどれだけ双眼鏡を使っているかなど意識になかった。自分が双眼鏡を使い始めてその有効性に気付いてからは、あそこにいる人も双眼鏡を使っているな、と視界に入る双眼鏡使いをいちいち自然と把握するようになったのだ。把握しようと意識しているのではなく、嫌でも自ずと意識に入るようになった。何を認識し何を捨て去るのか、頭が勝手に選んでいるのだ。同じ一人の人間でも、そのときの知識や意識の状態によって目に入ってくる情報は変わる。ましてや百人や千人単位となると、同じ場所で同じコンサートを観ていたとしてもそれぞれの客に見える景色は異なっている訳だし、そこから何を感じ何を考えるかも人によって違うのが当然だ。自分の記事を読み返すと、誰がこういうことを言ったという記述が多いが、おそらく私は誰が何を言ったか、誰が何を考えているのかに興味があるのだろう。だからその人の考え方が伺いしれる発言は頭に残るし、記録したくなるのだろう。

先週に引き続き、℃-uteさんのコンサートを観る。川口総合文化センターリリア、メインホール。川口駅のすぐ目の前にあるので便利だ。今日は昼公演と夜公演の両方だ。

昼公演。15時開演。1F28列39番。一番後ろから2番目だが、双眼鏡のおかげで℃-uteさんがくっきりはっきり大きく見えた。

℃-uteコンサートツアー℃an't STOP!、始まりです(もしくは始まります?)と序盤にバシッと決めようとした中島が「始まりだす」と言い間違えて空気が緩む。噛みキャラかい!と自分に突っ込みを入れる中島。
岡井も噛む。「今日℃-uteみんな噛みまくっている。地元だからふわふわしているのかな?」
「気を抜いちゃダメ」と岡井を諫める萩原。
中島「℃-uteは5人中4人が埼玉出身で、愛理はお母さんが埼玉だからハーフなんです」
鈴木「(おどけて変な動きをしながら)ハーフです」

メキシコ出張の話。同部屋だったという中島と鈴木が二人で話し始めて、その間に他のメンバーは着替え。
中島「メキシコに滞在中、愛理の眠気が増していた」
鈴木「着いた日、19時半くらいに寝たもんね」
中島「寝相がやばい。ベッドの隅っこでこんな感じで(座って片脚を伸ばし片脚を折り曲げて片方の肘を折り曲げた方の膝に乗せて手で頭を支える)寝ていたり、こんな感じで膝を抱えたまま寝ていたり」
最初に着替えを済ませて話に合流した萩原。「早いね」とびっくりする中島に答える途中、間違って「ぜんぶ脱いだ」と言ってしまい会場は大いに沸き、メンバーもそれに乗って「さすがだね、私はぜんぶ脱いではいなかったわー」等といじる。萩原、隣にいた鈴木を叩く。
鈴木の寝相の悪さについては「お見せ出来るレベルではない」とニコニコ顔で太鼓判を押す矢島。
メキシコに着いたら矢島以外の全員が体調を崩していた。着いた当日みんなで夕飯を食べる予定だったが、様子を見て無理しなくていい、自由でいいよと言ってくれた。矢島のみが食べに行った。
萩原と岡井(この二人が同部屋)、部屋に入るや否やそのまま投げ捨てるようにカバンを置き、ベッドに倒れ込み、寝た。その様子を再現。

長旅で体調を崩したという彼女たちの話を聞き、私は安心した。あれだけ体力があって若さと元気の塊である℃-uteさんでも海外出張で調子が悪くなるのであれば、私が海外出張で長時間の移動に疲れて時差ボケに苦しむのは無理もないことである。私の勤める会社のあるじっちゃん部長がアメリカに2週間行ったら帰国後に体調を崩して、今日は自宅での勤務とさせてくれと言っていたことがあったのだが実際には寝ていたようだ。電話会議で声を聞く限りではあからさまに不機嫌そうで発言も支離滅裂になってボケ老人のようになっていた。海外出張は負担がかかるというのを理解した上で、自分の体力と年齢をわきまえて、しっかりと休養を取らないといけない。

とはいえ、℃-uteとボケ老人を一緒くたにするのは無理がある。萩原と岡井がベッドに倒れ込んだのは19時頃だったが、24時くらいに起きてそこから活動が始まったらしい。
萩原「なっきぃに電話をかけてエクステを取ってもらった」
中島「そう!(迷惑そうに)夜中に何させんだよって」
萩原「ノリノリだったじゃん」
中島「すみません話を盛りました」
同時にバタンキューした岡井と萩原だったが、起きたタイミングも同じだったらしい。
岡井「起きて横を見ると舞ちゃんがこっちを見て目を合わせてニヤッと笑ってきた」
なお、コンサートでは矢島以外の体調が回復し、矢島の体調が思わしくなかったとのことだ。
言及がなかったが矢島は一人部屋?

『Danceでバコーン!』のintroで中島が「みんなー、ダンスで、バ…?」とアドリブの煽りを挟んで、ファンが咄嗟に「コーン!」と返せるか試して楽しんでいた。

アンコール明け。

中島「渋谷の街をうろちょろしても誰にも気付かれないのに、こうやってステージに立つと私を応援してくれる人がいるのは不思議。普通の女の子だと思うけど、応援してくれる人がいるのであれば頑張っていきたい」

岡井「(本来のメンバーカラーとは違う色の衣装を全員が着る場面で、自身がピンクを着ていることについて)ピンク似合わないねって色んな人に言われている。誰とは言いませんが愛理のファンが私を見て『あ、ちげ、ちげえ』ってすぐに愛理の方を向き直していた。一瞬くらい見てくれてもいいじゃん! このツアーで愛理のファンを一人は私のファンにしたいな、と思います(笑う鈴木)」

矢島「普段は働いていたり学校に行っていたりすると思うんですけど、私たちのために働いてくれてるんだな、と思うと…」とまで言って、あれ何か私おかしなことを言っているなという感じで苦笑する。何を言っているんだという感じで他メンバーが突っ込みを入れる。「そういうこと言っちゃダメだよ」と矢島を注意する萩原。客席もざわつき始めるが数秒後には「そうだよ、℃-uteのために働いているんだ!」という空気に変わり歓声が上がる。

どうやらこの昼公演に萩原の親が来ているらしい。「親が来ると緊張する」と言い、なっきぃはどう?と中島に振る。最初は緊張するが途中から気にならなくなるというようなことを中島は言っていた(たしか)。

鈴木「目を合わせようとすると目を逸らしてくるファンの方がいる。油断させておいてから不意に見ると、また目を逸らして見ていないふりをしてくる。くそー!と思う。出来るだけ多くの方と目を合わせるようにしたい」

先週の座間公演では矢島さんと萩原さんのおへそしか見えなかったが、注意して観察したところ今日は鈴木さんと中島さんのおへそも途中から辛うじて姿を現すときがあった。

このツアーは初めから最後まで立ちっぱなし。以前のツアーだとゆっくりした曲や喋りのセグメントではここは皆さんも座ってくださいと℃-uteさんが促してくることもあった。今回はそれがない。じっくり聴くのではなくガンガン乗っていく曲ばかりだ。悪く言えば一本調子。ずっと80点くらいの盛り上がりで、100点にはならない。昼公演の帰りに4人組くらいの若いナオン集団の一人が「可愛い曲があって盛り上がる曲があるから盛り上がるのであって、盛り上がる曲だけを集めるのは何か違う」という説を展開していて、「分かる」と内心うなづいた。このセットリストには勢いはあるけどメリハリ、落差、緩急が不足している。盛り上がる曲が最高潮に盛り上がるにはそこまでの流れが必要なんだ。座間公演のときから何となくそう思っていたがたまたま聞こえてきた(これもカラーバス効果?)ナオンの発言で強化された。

夜公演。18時半開演。1F17列37番。昼よりはだいぶマシな席だった。双眼鏡に映る℃-uteさんは昼公演のときよりも大きかった。とは言ってもずっと双眼鏡で観察を続けるという無粋なことはしない。ちゃんと声を出して身体を動かした。右の紳士(岡井オタ)がガンガン声を出す人だったのでそれに釣られて私も力が入った。身体が熱くなった。

夜公演の前に萩原が残る4人の顔にラメを付けてくれたからみんなキラキラだという。
岡井「きょう花粉症きつくないですか?」
微妙な反応の会場に「あれ? 何か平気そう」と矢島。
これが萩原にとっての10代最後のツアー。
岡井「10代と20代ではだいぶ気持ちも違うと思う」
「早くこっちへおいで」と手招きする鈴木、岡井、中島。萩原を挟んで逆側にいたので少し遅れて入って「こっちへおいで」をやる矢島に、舞美ちゃんは20代になってからだいぶ経つというようなことを言って中島に遮られていた(ような気がした)。

岡井と萩原の二人が、仕事で集合場所を間違えたときのことを喋った。
岡井「集合場所が多摩川駅だと思って、駅に着いた。『(待ち合わせ場所の)東口がない。出口は一つだけ』とマネージャーにLINEで連絡したところ『そんなはずはないんだけどな…』という返事が来てからしばらくして『あ、もしかして岡井、多摩川にいる?』と聞いてきた。はい。多摩川ですと答えたら、集合場所は京王多摩川駅という、多摩川駅とはまったく別の駅であることを知らされた。私と同じ間違いをしている子はいないかな…と考えたところ、こんな間違いをするとしたら私以外では舞ちゃんくらいしかいないと思って、『舞ちゃん今どこ?』と連絡したら『あと一駅で多摩川』と返事が来たので『じゃあ一緒に京王多摩川に行こうね』と送ったら『え、どういうこと?』と舞ちゃんから電話がかかってきた」
萩原「多摩川から京王多摩川が遠くて、45分くらいかかった」
岡井「なっきぃ、よく行けたね?」
中島「私、バカから脱したから」
岡井「5×6=?」
中島「36。(客が笑っているのを見て)あ、いや、5の段だから5か0なんだよね。1の位が。だから…」
鈴木「7×7=?」(Twitterを見ていると7x4=?に聞こえた人もいるようだ)
中島「42」
矢島「じゃあ6÷2=?」
中島、答えられない。(Twitterを見ていると問いが6÷3=?で答えが3だったという情報もあった。そっちが正しいのかもしれない。)
鈴木「なっきぃは九九の問題に36と42しか答えない」
中島「でも世の中には電卓というものがあるからね」

九九の文化がないアメリカでは数学者でも九九が出来ないことがあると何かで読んだ記憶があるので、なっきぃの言うこともあながち的外れではないかもしれない。

『Danceでバコーン!』の前奏で中島が我々に与えてきたチャレンジは、「チーム℃-uteのみんなー、はーじける?」と言って「ぞい!」と言わせるという、即座に対応するには難易度の高い振りであった。

アンコール明け。

岡井「今日、家を出る前にパパが『千聖、今日のライブに来てくれる人に感謝しろよ』と言ってきた。『感謝してるよ。何で?』と聞いたら『今日は菊花賞なんだよ。菊花賞に人が集まる中で℃-uteのコンサートを選んでくれる人には感謝しないといけない』とのことだった」
菊花賞の単語に大いに沸く会場、ポカンとする岡井以外の℃-uteメンバーズ。誰かが教えて「あ、競馬!」と理解していたが「伝わりづらいよ」と萩原が岡井に文句。「(客席を指し示し)伝わってるじゃん。(菊花賞を)知らない方がやばいよ。うちらより全然CM多いよ」と岡井。納得しきっていない表情の萩原。

ダンバコ(『Danceでバコーン!』)で自らが振った「はじけるー?」からの「ぞい!」が返ってくる率の高さに中島が感心していたが、曲が始まった時点から我々はオイ!オイ!と声を出していたので、中島が「ぞい!」だと思ったうちの一定の割合は実はオイ!なんじゃないだろうか?

萩原が、「○○のファンの人ー?」と一通り自分以外のメンバーのファンに声を出させて、最後に「舞のファンの人ー?」と聞いて客席全体が黄色い棒を光らせて大歓声を上げて沸き上がるという、たまにやってめちゃくちゃ盛り上がるやつをやって、案の定めちゃくちゃ盛り上がった。前の列にいた男性二人組はこの一連のお約束を知らなかったらしく何これ面白いという感じで笑っていた。
萩原「名古屋公演に来る人、どれくらいいますか?」ちらほらと手が挙がる。こんなにいるのかと私は驚いたのだが、℃-uteさんはむしろ少なさに驚いていた。
「名古屋に観に来てくれるのって、いま手を挙げてくれた人たちだけじゃないよね? もしそうだとするとこれから言うことがスゴく言いづらいんだけど…」と前置いてから「次の名古屋のライブはハロウィンなので、私たちも少し仮装するから、皆さんもやってください」と客席に呼びかける萩原。一部でエーイングがあったようで他のメンバーがそれに触れると「えーって言った人はやらなくていい! 嫌ならやらなくていいんだから! …嘘です、お願い、やって! ここにいる人で名古屋に来る人は少ないけど、今はインターネットがあって、色んなことを広められるじゃないですか。無駄なことも広めるじゃん? だからこのお願いを広めてください」

昼公演後には今回のセットリストにやや否定的な評価を下していたが、夜公演の途中からちょっと考えが変わってきた。たしかに現時点では一本調子さが目立つが、℃-uteさんと客の双方が適応と改善を重ねて行けば、11月21日のパシフィコ横浜や、千秋楽(11月28日)の中野サンプラザでは今日よりも素晴らしいコンサートになっている可能性が十分にあるのではないかと思えてきた。たぶん昼公演後に苦言を呈していたナオンも千秋楽に近い公演に入り直すことが出来れば、そのときにはまた違った感想を抱くと思う。℃-uteさんたちはそれくらいの変貌は見せてくれる。まだツアーの序盤に過ぎないのだ。