2018年11月16日金曜日

浪漫活劇 るろうに剣心 (2018-10-14)

サテンの入り口に置いてあるメニューを見る目的。自分の場合は一つしかない。カフェインレス珈琲があるかどうかを確認する。それだけ。なかったら店に入らない。珈琲にこだわらなければカフェインを避けることはさほど難しくはない。次に立ちはだかるのが糖質。サテンてさ、だいたい珈琲か紅茶かココアかジュース(Juice=Juiceのグループ名発表時につんくさんが説明したように本来ジュースとは100%果汁のみを指すが、ここでいうジュースはそうじゃないのも含む)じゃないですか。そうするとね、もう私にとってはほぼゼロなんですよ、選択肢が。ビールも糖質かつグルテンだし。オール・フリー的なビールもどきは糖質ゼロでもグルテンは入っているし。店によっちゃトマト・ジュースがあるから、それを頼んでお茶を濁す(喫茶店だけに)っていう手もある。でも違うんだよね、トマト・ジュースは。何か侘しい気持ちになる。珈琲の代わりにはならないんだ。風味は多少、劣ってもカフェインレス(カフェインを90%以上削減)やディキャフ(decaf、カフェインゼロ)で珈琲を楽しみたいんだ。でもさ、ほとんどないんだよね。ハーブ・ティもノン・カフェインだけど出す店はほとんどない。7月にカフェイン制限を始めてからはサテンに入る回数が激減したよ。以前はサテンでレーコーを飲んで本を読んだりブログを書いたりするのが趣味と言っていいくらいだったのに。欧米先進国ではカフェインレス珈琲やディキャフが相当に浸透しているそうだ。我が祖国でも当たり前になってほしい。ローソンのレジで頼むやつ。アレにカフェインレスがあるのは助かってる。そういえばなっきぃ(元℃-uteの中島早貴さん)がこの間ラジオ(181110ラジオ日本『中島早貴のキュートな時間』)でさ、寝る前にカフェラテ(理由は書かないがこの言葉がなっきぃの声で再生されたのはちょっと嬉しかった)を飲むって言ってた。カフェイン摂ってもぜんぜん寝られるタイプなんでーってサラっと言ってたけど、たぶん睡眠の質に影響は出てると思うよ。自覚していないだけで。ともかく、日本ではサテンでカフェインを抑えた珈琲に出会える望みが薄い。だから期待してなかったんだけど、あったんだよ。カフェインレス珈琲。新橋駅前。新橋珈琲店。14時45分頃に店に入った。今日は開演が16時半。

実のところ、自分が三ツ沢にいないのが悔しかった。J1リーグ、ルヴァン杯の準決勝。横浜F・マリノス対鹿島アントラーズ。カシマ・スタジアムでの第一戦を2-1と制したマリノス。引き分け以上で決勝進出が決まる。満員にして力を貸してほしいとファンに訴えかけるウーゴ・ヴィエイラ選手。それに応えるマリノス・サポーターたち。選手と観客の距離が近いサッカー専用スタジアム、ニッパツ三ツ沢球技場。どんだけ熱い空間になるんだ。YouTubeのハイライト動画で分かるわけがない。その場にいたかった。身体で感じたかった。それは可能だった。新橋演舞場で上演される『浪漫活劇 るろうに剣心』、16時半の部を観る権利を放棄すれば。でもな、チケットが13,000円したんだ(送料・手数料を入れると+600円)。高いだろ? 私もこんなに高いとは思わなかった。田村芽実さんのファンクラブから先行受付の案内が来て、値段を見ずに申し込んだんだ。メールで来た振込先の案内を見て、2枚分の値段と間違えてるんじゃないかとファンクラブにメールを送りかけた。ウェブで検索したらどうやら正しい値段らしくマジかよってなった。一等席。ちゃんと値段を認識していれば申し込んでいなかったかもしれない。だって今回に関しては田村さんが演じるのは主要な役ではないから。プレイガイドの公演紹介でも出演者一覧に名前が載ってなかった。ほか、と最後に一括りされていた。ほか、じゃないんだよ、ほかじゃ。こっちはそのほかを目当てに13,600円払って、贔屓のフットボール・クラブの大事な試合をすっぽかして新橋に来てるんだよ。そっちから観ればその他大勢の一人かもしれないけど、私にとってはすべてなんだよ。チケットを売って手放すという選択肢もあったかもしれないけど、やったことがないし、気が進まなかった。それにしても申し込むのは1公演だけにしておいてよかった。田村さんが主演ならともかく、脇役の舞台にそこまでお金と時間を突っ込みたくない。

マリノス対アントラーズは、マリノスが2点を先取し決勝進出確定かと思いきや2-2まで追い付かれた。もう1点取られれば敗退していたが、何とかそのまま試合を終えてくれた。これで決勝進出が決まった。ホッとした。安らかな気持ちでミュージカルの開演を迎えることが出来た。めでたしめでたし。『るろうに剣心』が元は漫画であることくらいは知っていたが、まともに読んだことも興味を持ったこともなかった。どういう話なのかもいっさい知らなかった。田村芽実さんを観られるという以外に、事前に楽しみだったことはほとんどなかった。強いて言えば、新橋演舞場という会場。Google検索で画像や座席表を見るかぎりふだん私がHello! Projectのコンサートやイヴェントで行く会場とは毛色が違う。構造が独特そう。実際どんな雰囲気の会場なんだろうというのは興味があった。ファンクラブから受け取ったチケットには1階13列と印字してあった。13,000円の一等席で13列かよ、という不満があった。一等席の区画は20列まであるようだった。普段の感覚で言うと13列ってのは特別よくはない位置(悪くもないけど)。でも実際に座ってみると思っていたよりも数段、いい席だった。何といっても花道。私がいた席の左に、席を一つ挟んで、横に三席分くらいの幅の通路があって。通路というよりはステージの一部。演者さんが花道を走り抜けると、その風を感じた。私は2013年の春に池袋で℃-ute主演の舞台『さくらの花束』を観た。なっきぃ主演の部を最前で観させてもうたことがあったんだけど、なっきぃが走ったときに風を感じて、自分となっきぃが同じ世界に生きているという実感を得て、感動したんだ。そのときの感覚を思い出した。花道は劇を通してふんだんに使用されたので、とても迫力があった。なるほどコレは一等席、その中でもいい席だった。田村芽実さんも一、二度通られたけど、後ろから前に移動されていたので、私は彼女の背中を見る形になって、間近では正面からお顔を拝見することは出来なかった。

物語が進んでいっても田村芽実さんはなかなか登場なさらなかった。もしかしたら既に出て来た中にいるんじゃないかと不安になった。というのが、皆さんメイクアップが強めで、衣装もキメキメで。元が漫画で、キャラクターに寄せないといけないからね。あんまり素の人間っぽさを残しすぎるとよくないんだろう。田村さんがステージに出てこられても13列からじゃ、一瞬じゃ自信を持って判別できなかった。確信に数秒を要した。彼女が担当したのは、出演者の欄に名前が省略されるのもまあ理解できる、なかなか出てこなくても仕方のない、そういう役だった。赤べこという牛鍋屋さんの看板娘が二人いて、その片方。看板娘が一人でもまあ成り立つっちゃ成り立つ。物語の進行に影響はない。トヨタ生産方式のコンサルタントだったらココ一人減らせるねって言うだろう。もちろん、減らすべきではない。そういう役もいなければ劇から遊びが減るからだ。でも私としては田村さんに遊びの部分ではなく物語の展開に欠かせないピースを担ってほしかった。私は歯がゆかった。彼女であれば、もっと出番の多い主要な役でも十分に務まったはず。上白石萌歌さんという上國料萌衣さんのような名前のレディーがヒロイン役だった。この役を演じる田村さんを想像せざるを得なかった。もちろん上白石さんの演技も歌も十分に魅力的だった。ヒロインに相応しかった。そこに対して何の文句もない。でもやっぱりね。田村芽実さんの能力と才能を信じて疑わない者の一人としては、この役が田村さんであれば…彼女であればどういう演技を歌を魅せてくれたのだろう…という思いを捨てることは出来なかった。

ステージにしても大道具にしても演出にしても何にしても、時間やお金を惜しまずに作り込んだのが伝わってきた。殺陣で主人公が刀を振って、木が切り落とされてドサッと落ちる場面。クルクルとステージが回って場面が変わる演出。一番のハイライトはパーティが行われる洋館。圧巻。豪華。うわあって、思わず口が開いてしまうほどだった。多くのプロフェッショナルが裏で関わっているんだろうな、と思う。当たり前のことだが演者さんも全員が全員、ちゃんと演じて歌えるプロしかいなかった。原作を何も知らない私でも楽しめる演劇、エンターテインメントだった。13,000円という値段も納得できた。

途中で35分の休憩があった。その間、8-9割の人は外(施設内)に出ていた。混んでいるだろうし、膀胱もおとなしいので私は席で待った。少し伸びをした。フットボールの5レーン理論でいうところの一番左と一番右のレーンの席が特殊な席っぽくて、テーブルが付いていた。そこの席の皆さんは休憩中にお弁当を召し上がっていた。さっき弁当売場をちらっと覗いたけど、どれも糖質まみれだった。アレを休憩時間中に食べたら血糖値が急上昇し、下げるためにインスリンが多量に分泌され、反動で一時的に低血糖になって、休憩明けに眠くなってしまうのではないか。皆さんちゃんとスッキリした頭で最後まで観劇できたのだろうか。

カーテン・コールで演者さんたちが順番に出てきて我々が拍手を送る場面で、田村芽実さんは開いた両手を頭の上に乗せてうさぎを表したようなポーズでニコッとされていた。こんなことをしていたのは彼女だけで、一人だけアイドルっぽさを出している彼女を見て私の頬が緩んだ。

池袋の中華料理店、新天地。ココはちょっとした穴場かもしれん。混んでいないし、味も良い。ランチは平日しかやっていないのが残念だが、オススメ。先日食べた魚と豆腐のスープはとてもおいしかった。麻婆豆腐は悪くないけどそこまででもなかった。グラス入りの赤ワインと、ネギ・チャーシューと、唐辛子と鶏肉の揚げ物。こんなに丁寧に作られたネギ・チャーシューにはなかなか出会えない。近くにいた青年たちがブランド名を色々と挙げて服の話をしていた。よし、今からジーンズ・メイトに行こう。彼らは力強くその結論に達し、店を出た。