2018年11月21日水曜日

TRIANGROOOVE (2018-10-29)

火曜日は起きた時点で喉に違和感。水曜日は喉の痛みで睡眠が妨げられる。銀翹散(ぎんぎょうさん)。木曜日は喉が治ってきた代わりに止まらない鼻水。葛根湯。金曜日はマシになってきたが風邪気味に変わりはなかった。小青竜湯(しょうせいりゅうとう)。土曜日はマリノスの勝利を100%信じてルヴァン杯決勝を現地で観るも無残な完敗。観戦後に駅のプラットフォームで立ちくらみ。日曜日は優勝を逃したショックを引きずる。外出するもしんどく家で15時から19時まで寝る。月曜日はおとといの試合前にヤマザキビスケットから配布された小麦粉の塊を職場に配布し、15時で退勤。向かったのは日本武道館。その前に新大久保。ソルマリ。スパイシー・チキン、スクティ、ラクシ。電車。稲場愛香さんと同郷のTHA BLUE HERBの“THA GREAT ADVENTURE”を聞いて気持ちを高める。九段下。やばい臭いを発しながら私と同じ方向に歩く白髪の紳士。18時ちょうど、入場の列に加わる。18時10分、席に着く。2階の南西スタンド、R列。Juice=Juiceにとって三回目の武道館。そのすべてに居合わせている私。一回目、二回目ともにアリーナの席をもらっていた。悲しい。最前線にいたかった。J=J Dayに続いて引きが悪い。

会場の規模によって客層は少し変わる。武道館ともなると普段の会場には来ない人たちがたくさん来る。そういう人はアリーナよりも2階に多い。データはないが、体感として。会場が広くなればなるほど、というよりは普段の規模との隔たりが大きければ大きいほど、一体となって熱を帯びるのは難しくなる。Juice=Juiceが主戦場とするライブハウス(和製英語)は400-500人程度、いわゆるホール会場は1,500-2,000人程度を収容する。8,000人だか10,000人だかが入る日本武道館となると、普段のノリに習熟していない人たちの割合が増える。コレは自然なことだ。私の左が若いナオン、右が汗染みのあるグレーのストライプ・スーツを着てきったねえスニーカーを履いた白髪の紳士。二人ともほぼ無言で立ち尽くすスタイルだった。それが悪いわけじゃない。自分の領域をはみ出してぶつかってくるよりは全然マシだ。でもコンサートを観る上での自分の気分は周囲の席にいる人たちに感化される部分ってのが多少ある。左右の人たちに限らず、自分がいた一帯の温度の低さに引きずられてしまったかもしれない。いや、分かってる。他人のせいにすんな。被害者ぶるな。自分が感化する側に回ればいい。この区域は自分が盛り上げるくらいの気概で。そもそも自分が音楽と演者さんに集中していれば気にならないはず。この間『やべっちFC』で川口能活さんが2004年のアジア杯ヨルダン戦を回想していて、PK合戦のときはボールしか見えなかったと言っていた。集中すれば大事なもの以外は気にならないはず。余計なことが気になるということは集中ができていないということ。今日の自分がそうだったんだろう。60%くらいしか楽しめなかった。風邪が完治していなったのが原因だ。自分の状態がよければ、周りの環境に多少めぐまれなくとも楽しめるものだ。他責的な考えに至ることはない。現にこの間のJ=J Dayでは後方からの鑑賞だったにもかかわらずあれだけ楽しんだではないか。

前座はつばきファクトリーが『今夜だけ浮かれたかった』、こぶしファクトリーが『ドスコイ!ケンキョにダイタン』。捌ける際、今夜だけ浮かれちゃってくださいね的なことを言う山岸理子さん。オタクさんが浮かれているのは今夜だけではない。いつまでたってもアイドルさんを追いかけて浮かれ続けているからこのような人生になってしまったのである。こぶしファクトリーは我々が一緒に盛り上がるように煽っていた。言うまでもなく私はつばきファクトリーの支持者だが、ステージでの立ち振る舞いはこぶしファクトリーが一枚上手だと認めざるを得なかった。この時点から、いよいよコンサートが始まるというワクワクよりも、この席はステージから遠いなという思いの方が勝って、あんまり気分が乗ってこなかった。

Juice=Juiceは例によって全員がことごとくマブく、遠距離から見惚れてしまった。中でもハッとするマブさのナオンがいて、誰かと思ったら植村あかりさんだった。いつもと雰囲気が違う。何でも開演の直前に髪を切ったらしくて。はじめの髪型がとにかくマブかった。一瞬、宮崎由加さんに見えた。たとえば今日、私がJuice=Juiceを初めて観ていたとしたら(実際には単独コンサートだけでコレで60公演目なのだが)植村あかりさんを推しにしていたかもしれない。それくらいに目をひいた。特にコンサートの序盤は彼女ばかりを双眼鏡で追った。前にも書いたが私はもうJuice=Juiceを観るときに宮崎由加さんの一挙一動を逃さずにとらえるという感じではなくなっている。もちろん結果として宮崎さんが目に留まるときもあるが、彼女が無条件の第一優先ではない。私のJuice=Juiceへの見方が、個人崇拝からグループへの愛へと変わってきている。マリノスを応援する気持ちのような。この選手がいるからマリノスが好きなのではなく、マリノスだから応援する。℃-uteのときもこれに近い変化があった。岡井千聖さんの踊ってみた動画をきっかけに℃-uteをちゃんと観るようになった私は、はじめは彼女を推しに設定していた。最後の方は公演によっては鈴木愛理さんや中島早貴さんを観ている時間の方が長くなっていた。かといって明確にいわゆる推し変をしたわけでもない。玉虫色の状態が続いた。

公演名のTRIANGROOOVEは、可愛い、セクシー、クールというJuice=Juiceの三つの魅力をお届けする的な意味だった。可愛いが宮崎由加さんと梁川奈々美さんの『もしも』(モベキマス)。セクシーが高木紗友希さん、植村あかりさん、金澤朋子さんの“Melodies”(GAM)。クールが宮本佳林さん、稲場愛香さん、段原瑠々さんの“LOVE LIKE CRAZY”(後浦なつみ)。とても大雑把に言うとコンサートの前半がTRIANGROOOVEのコンセプトを表現し、後半がいつものJuice=Juiceという構成だった。『もしも』では16歳の梁川さんに一歩も引くことなく何の違和感もなく可愛さの正面衝突を挑む24歳の宮崎さんが眼福で、私はにやけてしまった。いいものを見せてもらった。“Melodies”はオリジナルを上回るほどの妖艶さがあって、グループ結成当初から彼女らを観ている身としては、オジサンが知らないうちにこんなことも出来るようになったんだなと感慨深かった。“LOVE LIKE CRAZY”は途中加入組の中でもひときわスキルフルな段原さんと稲場さんに、集団創設当初からのエースだった宮本さんの組み合わせの精鋭感が強かった。三曲とも大変に納得できる、ツボを押さえた人選であり、曲の選択であった。

Hello! Project研修生から結成された新集団、BEYOOOOONDSの皆さんが前座ではなく本編に出演していた。彼女たちが担ったのはインタールードというか、箸休めというか。主に曲間に現れて、踊っていた。歌唱はなし。もちろん魅力的なメンバーさんたちばかりだし、ダンスも見応えがあった。彼女たちにケチをつける要素は何ひとつとしてなかった。ただ、私は彼女たちの起用法に疑問を抱いた。BEYOOOOONDSが出ている時間とコンサートの本編やコンセプトとのつながりが希薄だった。コンサートの流れが寸断されて、Juice=Juiceの世界がぶつ切れになる感覚を覚えた。ただでさえ上述した可愛い、セクシー、クールの三分割のセグメントによっていつものJuice=Juiceに比べ変則的なショーとなっていた。ようやくJuice=Juiceのコンサートらしくなってきたと思ったらBEYOOOOONDSが踊るセグメントに切り替わり、ブレーキがかかる感じだった。気持ちよくアクセルを踏んで加速し続ける時間が少ないコンサートだったように思う。(ちなみに私は2005年に運転免許をオートマ限定で取得して以来、一度しか運転をしたことがない。)BEYOOOOONDSが独立して出演する時間を減らして、もっとバックダンサーに徹してもらった方がコンサートとしての統一感が出たのではないか。そもそも、前座でよかったのではないか。こぶしファクトリーなんてメジャー・デビューしてからもう何年たつんだ。いつまで先発集団の前座をやらせんねん。

いきなり!武道館ではなく、ツアーで何公演かやってから千秋楽としてココでやるべきだった。新しいJuice=Juiceを見せる、コンセプトの強いコンサートにするという野心的な試みを、私は支持する。ただJuice=Juiceそして我々も含めた集合体として、仕上げる期間が欲しかった。こういうケチをつけてしまうのもつまるところは私の体調が万全ではなかったから、それに尽きると思う。終盤にテープ(おそらく各メンバーのメッセージが印刷されている)が噴射されたが2階には届かなかった。悔しかった。テープをモノとして手に出来なかったことではなく、熱の中心にいられなかったことが。席を離れて必死に拾い集めるジジイ。見苦しい。メルカリで売んのか? 20時46分の終演後、私はグッズ売り場に直行し、植村あかりさんの日替わり写真とDVD MAGAZINE VOL.19を購入し、帰途についた。