2023年7月23日日曜日

田中れいなライブ2023 しっとりれーな☆ ~復活の『R』改~ (2023-07-11)

オジサンの半ズボン姿は見ていてきつい。いくら暑いから、本人が楽だからといってイメージ・ビデオのように肌面積を広くすればいいというものではない。近所に散歩やちょっとした買い物をしに行くくらいならいい。リゾート地ならいい。年中暑い土地ならいい。だが東京駅付近にその格好は馴染まない。コットン・クラブには馴染まない。もちろんそういう紳士を目にすると安心感はある。来る会場を間違っていなかったと確信できるから。ベランダにたばこを吸いに行ったお父さんのような半ズボン、半袖Tシャツで、建物の入口にある本日の演目が記された掲示をカシャッと撮影する頭髪の薄い中年紳士。私もオジサンなので広義ではそっち側だが、狭義ではそっち側にいかないようにしたい。他山の石とせねばならない。

Hello! Projectのゴールド・カード会員特典として、貯めたポイントで公演に入ることが出来る。50,000pt超を持て余していた。50,000ptあればメンバーさんからのメッセージDVDをゲトることが出来る。何年か前におのみずさんにやって貰ったやつ。しかしコヴィッド騒ぎ以降、私から氏への興味はじわじわと削り取られ、先日のゲイ・バー事件によって氏にお金、時間、カードのポイントを使う理由が完全に消失した。かといって他のメンバーさんにいわゆる推し変をするわけでもなく。もうHello! Project自体に対するスタンスが『マジ興味ねぇ』(DJ OASIS feat. K DUB SHINE)になっている。メッセージDVDを貰いたいメンバーさんはいない。他の特典といえば額縁入りのサイン入り写真とか、ツーショットを誰かと撮れる権利とかだが、それらも要らない。そんな中、Twitterだったかな? ふと目にした。田中れいなさんのコットン・クラブ公演をポイントとの交換で観られるという情報を。17,600pt。公演の価格によって使用するポイントが異なるが、3-4回入れば今のポイント(+これから貯まる分)はほぼ消化できる。それでポイントを使い切ってファンクラブを退会すればちょうどいいじゃん。

コットン・クラブには前にサユミンランドールで来て好印象。内装やサーヴィスがブルーノート東京の下位互換のようだなと思っていたが、実際にブルーノートの系列店らしい。映画『Blue Giant』(上原ひろみさんが作曲、演奏で参加したアニメーション映画。ジャズのショウとして圧巻。拍手、歓声を浴びせたくなった)で知った。映画の中では店名を文字ってあるが、明らかにそれと分かる形でブルーノート東京とコットン・クラブが姉妹店として出てきて、後で調べたら実世界でもそうだった。何が下位互換かというと、コットン・クラブは雰囲気がもっと軽いというか、敷居の低さがある。(これは客にとってだけではなく出演者にとってもそう。田中れいなさんや道重さゆみさんがブルーノートで公演をしているのは想像できない。)あと席の間隔が狭い。窮屈。その割に飲み物の値段やサーヴィス料だけはいっちょ前にブルーノート東京と同等。サユミンランドールのときはオーダーが必須ではなかったから頼まなかったけど、今日は席に案内されたときにメニューを渡された。この公演限定のコラボレーション・カクテルを注文。JPY1,320。ココに来る前に食べてきたキッチンABCのオムライス・セット(オムライス+ハンバーグ+キャベツ+味噌汁)がJPY1,050だったよな……と思いながらストローを吸う。一口で後悔。甘すぎる。異常。桃味のシロップをそのまま飲んでいる感じ。氷で薄まるのを待ってなんとか片づける。田中さんが開発にかかわっている可能性がある(大雑把なコンセプト出しと試飲くらいはしているかもしれない)のであまり悪くは言えないが赤ワインにすればよかった。終演後の会計でJPY1,320にさらに10%を乗せられたのでJPY1,320の内訳が本体JPY1,200+消費税JPY120と見せかけて実は本体JPY1,320でした〜という罠かと思ったら、加算されていた10%はサーヴィス料だった。あんだけ終演後に会計待ちで並ばせておいて何がサーヴィス料10%じゃコラ。せめて本家ブルーノート東京くらい支払いの窓口数を用意しとけよ。ちなみに隣にいたおまいつっぽい多動な紳士はオーダーを聞かれ、とりあえず氷を入れた水と言ってそのまま何も頼まずにやり過ごしていた。メニュウをぱらぱらめくりながら「高いな〜」とぼやいていた。帰るときにテーブルにタオルを忘れていた。

非常に良い席だった。左右に配置されたお立ち台の右(演者側からは左)のすぐ横。真横から観る感じ。ステージとの間に席がない。田中れいなさんが目の前のお立ち台に乗ったときはやばかった。距離にして2メートルくらい? 会場によっては最前でもこんなに近くない。ちょっと悔やんだ。ゲスト出演する田村芽実さん目当てで、私は9月17日(日)に行われる西川大貴さんのコンサートを昼夜ともチケットを押さえてある。両方とも一番安い席を取ったのだが、片方だけでも今日の席種にしておけばよかった。

田中れいなさんはこちら側から登場。すぐ近くを通ってステージ中央へ。出てきた瞬間からヴァイブスが違う。たたずまいからしてモノが違う。本物の芸能人だ! 本物のハロプロだ! Max Fisher, “The Chaos Machine”によるとソーシャル・メディアは利用者をどれだけ没頭させ長時間利用させるかというゴールに向けて機能が設計されている。そのためにアルゴリズムが道徳感情を刺激する言葉、極端な内容と誤情報を多くの人々に広めている。ソーシャル・メディア同様、田中れいなさんにも我々を没頭させ長時間夢中にさせる悪魔的、中毒的な魅力が備わっている。それを引き立てるのがコットン・クラブという小箱、バンドの生演奏、脚とワキを惜しみなく見せてくださるえちな衣装、余計な司会者を呼ばず余計なゲームなどもせず田中さんの歌を堪能できるシンプルな構成。それらが田中れいなさんの魅力を会場中に拡散し、来場者全員を虜にさせた。当ブログのコアな読者でも殆どご存じないとは思うが(このブログを始める前の話なので)私は彼女たちが現役の娘。だった時代は断然さゆチャン派だった。『ラフ・アンド・ピース』のリリース・パーティに行ってからは私の中で田中さんの地位が急上昇している。Hello! Project本体はもういいとして、さゆチャンや田中さんがいるうちはM-Lineは細々と観なあかん。

田中さん曰く今日の衣装はコヴィッドで中止になったコンサートで着るはずだった。三年越しのお披露目。サイズは大丈夫だったけど、少しアレンジしてもらった。猫をイメージ。本当は耳もあった。立体感をつけるために衣装さんが苦心して作ってくれたけど、今日はつけるのをやめた。ヘッズからエーイング。明日つけてという声を受け、映像収録があるからイヤだと拒否する田中さん。イヤがる素振りを見せつつも、アンコールではしっかりと耳をつけてくれる。サーヴィス精神。(普通、しっとりれーなという演目名からこの露出度の高い衣装は想像しない。こういうところも田中さんは最高。)セットリストに『大人ブルー』(新しい学校のリーダーズ)があったのが今っぽい。Tiktok経由で生まれるトレンド。Tiktok経由で曲を知るという流れ。田中さん曰く多くの曲はサビさえうまく歌えばうまく聞こえるけど、『大人ブルー』はAメロがポイント。私はドラゴン・ボール・メドレーの『CHA-LA HEAD-CHA-LA』に高揚した。この曲と共に過ごした私の少年期。Juice=Juiceのひとイキ。田中さん曰く、もはや私の曲のようになっている。今度かりんチャンに会ったときにこの曲を私にちょうだいって言っておく。終盤の『夢見る15歳』は熱かった。現役かそうでないかという枠を超えて、Hello! Projectという概念の放ち得る輝きがこの数分間に凝縮されていた。トークの中で、この美貌を35歳になっても、40歳になっても維持すればみんなは推しとして見てくれるっちゃろ? 頑張らんとね。的なことを言っていた。田中れいなさんのような、並外れた、奇跡のような存在だけに許される発想。

2023年7月17日月曜日

ダ・ポンテ〜モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才〜 (2023-06-25)

家から徒歩圏内の池袋、東京建物ブリリア・ホールでの公演に入りたかったが、日程が合わなかった。池袋での公演期間は7月9日(日)〜16日(日)。週末でいうと三日間。9日(日)に関しては、前日の夜に名古屋でフットボールを観ている。いつ東京に帰るかは未定。ひょっとすると休みを繋げて月曜まで名古屋にいる可能性もあった。15日(土)は日産スタジアムで横浜F・マリノス対川崎フロンターレ。となると残るのが16日(日)だがこの日は一公演のみ。東京公演の千秋楽だけ行くってのもね。いや別に千秋楽だけ行ったら悪いわけではないけど、自分的にあまり気が乗らない。ということで6月25日(日)のプレビュー公演を観るために北千住くんだりまで来ることになった。池袋のスギ薬局でスト・ツーとコラボしたロート・ジーを見つけ、思わず購入。エーラージでAセットのマトン。JPY1,000。

シアター1010。前にも来たことがある。めいめい関係だったはず。駅前のマルイの中。11階。入場口。係員たちは全員マスク。壁にマスクのロゴが貼ってあるのが見える。この私でもちょっと日和りかけたが、素顔での通過を決行。何も言われなかった。場内のアナウンスメントではマスクの着用を推奨しますと言っていて、前から微妙に変わっていた。「お願い」という名の強制はなくなって、実際には自由になっているのだ。にもかかわらず「推奨」という言葉で煙に巻き、どさくさに紛れてマスクを続けさせようとしてくる。カス連中。もはやどの立場から何のためにどういう根拠でその「推奨」とやらをしているのかが完全に不明。演劇業界は頭が悪い人たちに牛耳られた後ろ向きな業界。そしてジャップという民族は本当にどこまでも陰湿で卑怯。リメンバー・パール・ハーバー。行動経済学の本に書いてあった。クレジット・カードのロゴを表示するだけで(クレジット・カードを使わなくても)客が払う金額は増える(Dan Ariely and Jeff Kreisler, “The Dollar Effect”)。目の絵を貼り出しておくと犯罪が減るという話も聞いたことがある。同様にマスクのロゴを掲示するだけで、明示的にお願いや強制をしなくても、それはマスクを着けろという無言の圧力として機能する。この数年間マスクが持ってきた社会的な意味を考えればそうなるのも当然だ。客席を見てみろよ。9割の奴らがマスクをしてやがる。ストリートの着用率よりも高い。前に元浦和レッドダイヤモンズの福田正博さんが浦研プラスの配信で興味深いことを言っていた。曰く、日本人選手は何々をやるなと言われると萎縮して何もやらなくなってしまう。そして何々をやれと言われるとそればかりをやってしまう。例として、今シーズンから就任した浦和のマチェイ・スコルジャ監督が練習開始の5分前にはグラウンドに来るようにと選手たちに指示をしたところ、異常に早く集まるようになった(それを受けてスコルジャ氏は5分前集合の指示を撤回した)。要は上の立場の人から何かを言われると、よかれと思って求められている以上のことを勝手にやってしまう。ここ数年の日本社会におけるマスクの扱いを見ても分かるように、その過程で赤の他人に対し実質的な強制を行うことへの疑問すら抱くことが出来ない。個人や自由といった西洋近代の根幹にある概念を習得できないまま奇跡的に経済発展だけしてしまった歪さ。ともあれ、マスクをしていなくても咎められることはなかったし、来場者の9割がしていようがそれはその人たちの勝手。私の知ったことではない。

めいめいは主役ではなかったけど、彼女目当てで一度は観に来る価値があるくらいの見せ場はあった。二度目、三度目と観たかったかというとそれはなかった。めいめいが中心にはいないのもあるが、それ以上にこの劇自体が私にとっては特段おもしろくはなかった。たとえば『ジェイミー』のようにめいめいがそこまで目立たなくてもミュージカルとして感銘を受ける場合は、もう一度観たかったなという余韻が残る。実のところこの『ダ・ポンテ』は凡庸だった。めいめいの支持者として一回観たからそれでよし。それ以上ではなかった。めいめいは、ダ・ポンテの母親、ロンドンで困窮したダ・ポンテを拾う若い女、その若い女の老後(ダ・ポンテの妻)という三役を演じていた。私の席は8列9番。センターブロック左端の通路席。序盤にめいめいがソロ歌唱をするときは真正面だった。劇を通してめいめいが左寄りに来ることが多く、事実上のセンター席と言ってもいいくらいの好位置だった。私は出演者の誰に対してもケチをつける気は一切ない。スタイル、技量、カリスマ性、人気などさまざまな面でトップ級の方々だからこの舞台に立てているのだろうと思う。だから誰が悪かったということではない。それを前置きした上で言わせてもらうと、モーツァルトと言われましても。どう見てもカツラをかぶった純日本人ですやん。というひねくれた考えを、どうしても頭から消し去ることが出来なかった。日本人が西洋人を演じるときに避けられない問題。単に見た目の話だけじゃなくてさ。たとえばダ・ポンテがゲットー出身のユダヤ人であるということで差別的なことを言われたりするんだけど、それがこのシアター1010の中にいる人たちにどこまでリアリティを伴うのか。正味な話、演じている当人たちだって大して知らないでしょ?(失礼。)そりゃこの劇のため、もしくは前に別の作品に出る際に多少の勉強はしたかもしれないけど。たとえばの話、ユダヤ人ではなく朝鮮人、ゲットーではなく部落だったら感じ方が全然違ってくる。その辺の肌感覚だよね。そういったことがどうしても気になってしまい、最後まで頭のどこかに違和感があった。そういうのを抜きにして観れば、面白いは面白いんだけどね。モーツァルトと二人三脚で音楽を作っていたダ・ポンテという人物がいたんだっていうのを知れたのも単純に興味深かったし。めいめいがステージで歌っているのを近距離で聴かせてもらえれば、それだけで私の口角は上がる。私の生活ではめいめいを観ているときにしか使わない顔の筋肉がある。

ハハノシキュウ独演会〜完全1人会〜<立会い出産第十子> (2023-06-11)

ハハノシキュウさん? いや、なんか違うな。ハハノさん? これも違う。そもそもハハノが苗字でシキュウが下の名前なのか? ハハノさんなんて呼んでいる人を見たことがない。というコンマ数秒の思考を経て、私の口から出た呼び名はシキュウさんだった。ハハノさんを却下した理屈だとシキュウさんもダメなはずだ。だが思考をもう一巡させる時間はなかった。今まさに彼は私の目の前にいて、会話をしている最中なのだから。シキュウさんとかシキュウ君と誰かが呼んでいるのは聞いたことがある。だから変ではないだろう。終演後の物販に小説があれば買おうかと思ったが、なさそうだった。Tシャツも持っているし。ということでチェキだけ撮ることにした。チェキでお願いします。二枚で千円です。はい。(千円札を渡す。)久しぶりに来ました。三年ぶりくらいです。一人MCバトルとか行ってました。僕、変わらないですよねよくも悪くも。そうっすよね。最近はバンドセットばっかだったんですよ。でも今日みたいなの(独演会)にしか興味がない人もいるんだろうなって。あー、僕はどっちかというとそっちっすね。シキュウさんの世界に浸れる感じが。(チェキ一枚目)チェケラッチョみたいな感じで……。おー、それはなかなかやらない。一番レアかも。(チェキ二枚目)お任せで……。じゃギャルピで。初めてやります(笑)。ありがとうございました。チェキなんてだいぶ久しぶりに撮った。楽しかったし、撮る人が上手だったようでいい感じに仕上がっている。KissBeeの藤井優衣チャンとギャルピでチェキを撮りたくなった。

昨日(KissBee→横浜F・マリノス→KissBee)の消耗が激しく、疲れが残るが、行っておきたかった。しばらく足を運んでいなかったハハノシキュウさんのショー。最後に行ったのが2019年でしょう。コヴィッド祭りの最中は一度も行っていない。夜に出かけず休むのが本当は正解。昨日の疲労がある上に、今日は鍼灸の施術を受けたからだ。鍼をやったらその日は入浴してはいけないし、激しい運動をしてはいけないし、お酒も飲んではいけない。せっかく整えた血の巡りが乱れるから、ということらしい。まあハハノシキュウさんの現場に行くのは問題ないだろう。どう転んでもワーワー騒ぐようなことにはならない。安静にしているのと大差ない。昼までゆっくりして、エーラージでサバフィッシュとマンゴカレーとライス(JPY1,980)。広がるトロピカルな風味。ラージさん曰くコヴィッドで何年かマンゴーが入って来なかったが今年から再開した。インドのマンゴーは甘い。インドでは夏は毎日食べる。ヨーグルト・ライスとマンゴーがあればそれだけで十分。抜群の組み合わせ。鍼に行ってから、下北沢へ。ハハノシキュウさんの作風、芸風はもちろんのこと、会場もあのときと変わらない。下北沢Laguna。と言いつつも正確には覚えていない場所。駅の周りに乱立する古着屋が興味深い。雨が降っていなければ覗いていた。そのうちゆっくり見てみたい。お酒を飲めないのはちょっと痛かった。入場時に買わされるJPY600のドリンク・チケットはアイス・コーヒーと引き替える。受付兼バーテンの紳士がペット・ボトルから注いだばかりの超フレッシュな一杯。アルコールを入れたかったなあ。知らない(Shazamでも特定できなかった)けどいい感じのジェイ・ラップが流れる中、アイス・コーヒーをちびちびやってチルする。心地よい空間。18時開演だが、17時42分の時点で客が十人いない。始まってからはさすがに二十人くらいはいたと思うが、ギューギューにはならず、ストレス・フリーだった。前方にかじり付こうとする人はほとんどおらず、後方でひっそりと観る人が多かったのがハハノシキュウさんの客層らしかった。

まったく盛り上がらない。示し合わせたかのように。ドッキリでもやっているかのように。でもテッテレー、ドッキリでしたー! なんてことはないまま最後までそれが続いた。途中ゲストで登壇した紳士が言っていたように、我々の反応が拍手をするか、しないかの二種類しかない。だからどう思っているのかが分からない。一人一人に聞いて回りたいという紳士に、この人たち全員5ちゃんねらーなんで。知らない人に話しかけられたくないと思いますとハハノシキュウさん。じゃあやめます。人が嫌がることはしたくないんで。と紳士。私は途中から耳栓をしていたので正確には分からないが、その紳士とハハノシキュウさんの反応を見るかぎりフロアは相当に静かだったんだと思う。でもハハノシキュウさんは別に我々に盛り上がってほしいわけではない。シーンとしているのはイヤではない、なんならそれを望んでいる。もっと言うと「葬式みたいな」と氏が言うその雰囲気に一種の性的快感に近い何かを味わっている向きさえある。私は前に観に行ったMCバトルのショー・ケースでOMSBさんが「葬式じゃねえんだよ」とフロアに毒づき、後方のDQNが「葬式だよバーカ」と返す現場に居合わせたことがあるが、そういう現場とは根底にある価値観が異なる。他のラッパーでは満たせないニーズを満たしている自負がある、という旨のことをハハノシキュウさんは言っていた。一般的な音楽現場では声を出したり身体を動かしたりして感情を解放することに価値があるが、ハハノシキュウさんの現場はそれとは違う。これはこれで非日常体験。我々が静かなだけでなくハハノシキュウさんもいっさい我々を盛り上げようとはせず、媚びることなく、粛々と、淡々と自分の音楽を開陳していく。序盤は少し気まずさがあったが、時間が経つにつれ私はこの独特の心地よさにどっぷりとはまっていった。なんて素敵な空間なんだろうとまで思った。一見とっつきづらそうな(実際にはとてもいい人だが)見てくれの紳士が、こじんまりした会場で、自身の独特な音楽を一人で披露し、少数の理解者たちが集まって静かに味わっている。お酒を飲んで騒ぐために来たとか、ナンパしに来たとか、そういう何か付随する目的で遊びに来たのではなく、ただただ純粋にハハノシキュウさんというラッパー、音楽家、表現者が好きで、氏が作り上げる音楽を聴くためにこの場に集まっている。奇跡のようなことではないか? 来てる人もスゴく楽しいってわけじゃないんだろうな、とトークの時間にハハノシキュウさんはつぶやいていた。たしかに爆発的な楽しさとは無縁だし、知らない人からすると不気味でさえあるかもしれない。でも優しさに包まれていて、なんだか救われたような気分になれる、そんな空間。

2023年6月19日月曜日

KissBee24時間LIVE ~5人は地球を救う?~ (2023-06-10)

歌舞伎町にいると落ち着かない。あの独特の、居心地の悪さ。私は休日に新大久保のネパール料理店で昼食を摂ってから新宿の紀ノ国屋書店まで歩くときがある。その度にこの辺を通る。新大久保とも、新宿駅の逆側とも違う。三、四ヶ月前の話。通りがかったラーメン屋の中をふと見ると、目つきの悪いいがぐり頭の中年男性と目が合いかけた。同じような風体の紳士たちが一堂に会していた。十人以上はいただろうか。池袋でこんな光景を目にすることはまずない(最近サンシャインのクルーズ・クルーズで怒羅権の喧嘩があったが)。これも同時期。私の前を歩いていた紳士が駐車場に入るために右折する自動車にはねられるのを見た。風船で出来た人形のようにふわっと宙を舞う紳士。自動車を前にすると人間の身体はこんなにも無力なのか。運転手は駆け寄って声をかけた後、小走りで近くの交番に向かっていた。彼がそのまま逃げる。もしくは看病をする振りをして負傷者を車に乗せ、適当な場所に移動する。負傷者は後でどこかに捨てる。そういったことが起きていたとしてもこの区域では驚くに値しなかったのかもしれない。誰も騒ぐどころか殆ど関心を寄せていなかった。クラクションも叫び声も衝突音らしい衝突音もなかった。倒れ込んで顔を歪める男性。道を挟んで一部始終を見ていた数名の警備員も無反応。かくいう私もただ狼狽するだけだった。

たしかに言った。30分のリリース・パーティや対バンでは物足りない。まとまった時間のコンサートが観たいって。そうは言ってもさ。コレはさすがに極端だ。なんだよ24時間ライヴって。(ちなみに前にも書いたが公演のことをライヴと言うのは和製英語である。ライヴ・ハウスも和製英語である。)正気か? どういうことなんだよ。なんと昨日の23時半に開演し、今日の同じくらいの時間までぶっ続けでコンサートをやっているらしい。流石にメンバーさん5人全員が常に出ずっぱりというわけではない。ソロやユニットのセグメントがあるし、今朝6〜7時半にはKissBeeではなくゲストで呼ばれた三つの集団がステージに立っていたようだ。だから多少の休憩は出来たかもしれないが、まとまった睡眠は取れていないだろう。タイムテーブルでは昨日の23時半からいきなり90分ぶっ続けのコンサートだった。それだけでいいじゃん。観たくはあったが、私にとっては寝ている時間。最初の90分だけで帰るにしても終わったら1時。終電はなくなっているだろう。体内時計がずれて土日に引きずりそう。ということで回避。9時45分からのタイム・スロットに入ることにした。

私にとって歌舞伎町自体がまずアウェイ。会場の新宿WALLYも初めて入る。もちろん現場に知り合いどころかKissBeeに少しでも興味のある知り合いが一人もいない。まず階段を下りて入口がパッと分からず気後れする。左にあるでかいスライド式の扉が入口だった。ドリンク代いくらですか? 600円です。お目当てはどちらですか? はい? お目当ては? あ、KissBeeです。(KissBee以外が目当てで来ることがあるのか? ゲストの外部集団の出番はもう終わっているし。)右手の甲にスタンプ。薄い。ウェット・ティッシュで拭けば簡単に消えそう。500mlペット・ボトルの水を取る。受付の青年はマスクをしているが何も言われなかったし、貼ってある注意事項をざっと読んでもマスクのことは書いていなさそうなのでそのまま入る。観客はもちろんKissBeeの裏方も含め、過半数の人々がマスクはしていなかった。辛気くさいカンセンカクダイボーシのためのお願い(という名の事実上のさまざまな強制)がなく、本当にコヴィッド前のようなおおらかで自由な空間。

入場してすぐは段差のある位置を選んで立っている紳士たちで割と混んでいたが、前方にはまだまだ空間がある。すみませんと言って前に進ませてもらう。右寄りの十分近い位置を確保。前に何人かいるけど隙間があるので視界はよさそう。程なくして登壇するKissBeeの淑女たち。いつもうらきすで観ているあの人たちだ! という新鮮さがまだ自分の中では先立つ。部屋のBGM的にいつも流している。生で観てもカワイイな。特に藤井優衣チャン。数メートルの距離で観るとその眼福ぶりが際だつ。顔面国宝を自称なさるだけある。隙のない造形。好きになっちゃう。メンバーさんの衣装は寝間着っぽい感じ。上はそれぞが違う種類のKissBeeの白Tシャツ。なので肌の露出はそんなになかったが、Tシャツのサイズが大きいため、優依チャンは腕を横に上げる度に奥からワキがちら見えしていた。この時間の演目はTwitterで募ったリクエストに応える。ただのリクエスト・セグメントではなく、マシュマロ大食い対決をしながらの。KissBeeの5人対フロアから立候補+じゃんけんで選ばれた5人のオタク。ステージの左右にテーブルと椅子が用意されている。曲をやる度にフロアから見て左端にKissBeeの誰か、右端にオタクの誰かが椅子に座り、テーブルに置かれたバケツに入った大量の(たしか3キロだか4キロあると言っていた)マシュマロを食べる。味変用になぜか椎茸が入っている。KissBeeもオタクも一曲ごとに選手交代。マシュマロを食べているメンバーさんは曲には参加しない。つまり曲が変わる毎に誰かが抜けているわけだが、KissBeeの淑女たちは混乱する様子もなくさも当たり前のように歌って踊り、曲中に左右の早食いの進捗を確認して笑ったりコメントを挟んだりする余裕も見せていた。山崎瑛麻チャンはこの24時間LIVEが始まってからオムライスおにぎりを一つしか食べていないからイケると思う的なことを言っていた。空腹状態でマシュマロのドカ食い。身体に悪い要素しかないが、若くて強いから大丈夫なのだろう。オタク・チームにも19歳の青年がいた。大江れなチャンがマシュマロのことをマショマロと言い、ショの人ですか? 昭和の人、おじいちゃんおばあちゃんみたいと大受けする篠原ののかチャン。5番勝負の後にワン・コーラスだけオケを流し、KissBeeの5人全員対オタク二人による延長戦も行われた。オタク・チームの勝利。大江れなチャンが不正行為をしていたことを白状。マシュマロを手で下に押し込んでいた。それで一時はかなりKissBee側のマシュマロが減ったように見えたが、時間がたつと(潰れたマシュマロが膨らんで)戻ってきた。優衣チャンは口にマシュマロを詰め込みすぎて涙ぐんでいた。平和でシュールな時間。あっという間に終わった。すごくいい雰囲気。メンバーさん、裏方さん、支持者たちがこれまで作り上げてきた風土。一旦捌けて、ちゃんとした(?)衣装に着替えてステージに再登場したKissBeeから重大発表。新メンバーが決まった。加入するのは二名。ここに来ている。お二人が登壇。吉田琴音チャン、森元あやのチャン。そして10月16日(月)に新メンバーを加えた7名で単独コンサートが決定。渋谷デュオ。この後KissBeeの5人は対バンに移動するが、これから新メンバー二人の無料特典会を開催する。もちろん私は参加せず、そそくさと後ろの出口へと向かった。

歩いて新大久保。ラトバレ。ランチのAセット(ダル・バト)JPY550、スクティJPY780、焼酎グラスJPY350。夜の時間はエニタイム・セットというのが昼のAセットにあたる。JPY100だけ高くなる。エニタイム・セットだとカレーを選べる。マトンを選ぶのが定石だが、ラトバレに限って言えばチキンのほうがクオリティが高い。この店を『ルポ新大久保』(室橋裕和)で知ったのが2020年9月18日(金)。この本に出てきたネパール人はあまりお金がないからAセットも毎日は食べられないと言っていた。新横浜へ。タリーズでホット・コーヒー(S)。足が疲れた。立ったり歩いたりしているだけで足に違和感。少し痛みもある。前にもこうなったことがある。右足小指に痛みがある。それが原因でバランスが崩れているのかもしれない。日産スタジアム。横浜F・マリノス対柏レイソル。キック・オフ(16時)の1時間以上前にもも・クロの淑女(高城れに氏)が登場。盛り上がってますかー? と我々に問いかけるが、この時点で盛り上がっているわけがない。盛り上がってないでしょ、という冷静な指摘が近くから聞こえてきた。それにな、高城さんな、俺たちは盛り上がるのを目的に来てンじゃねえんだわ。フットボールを観に来てンの。この違いが分かる? と言いたいところだが、結果としては死ぬほど盛り上がった。これほどまでに劇的な試合を観た記憶がない。なにせ、後半45分の時点で2-3で負けていたのがアディショナル・タイムで2点返して4-3で勝ったんだよ。しかも決勝点を決めたのが、去年7月の右膝前十字靱帯断裂からリハビリを経て復帰したばかりの宮市亮さん。叫んだ。叫んだ。叫んだ。右の紳士とハイタッチをした。抱き合った。左の紳士、後ろの紳士、左後ろの紳士とハイ・タッチをした。泣いた。私を含め普段はチャントや歌に参加することは稀なバックスタンド民が、最後の方はみんなゴール裏と一緒に歌っていた。歴史が作られるのを目撃した、いや歴史の一部になったという実感があった。あれは紛れもなく本物の熱狂だった。試合後に喜田拓也さんや水沼宏太さんが、これまでに体験したことのない音だった、地鳴りのような音がした、と4点目が決まったときを振り返った。瀬戸うどん。とろ玉ぶっかけ(冷)+ちくわ天(半)+とり天+牛肉コロッケ。JPY810。

KissBeeは22時までコンサートをやっている。右手の甲にまだうっすら残るスタンプを見せれば追加料金なしで(ドリンクを買い直さずに)会場に入れる。でもこのまま帰るか、と私は考えた。あまりにも劇的な試合の余韻を噛みしめたかった。家に帰って、今日中にまたDAZNで試合を観直そうか。しかし、気が付くと私は新宿三丁目で降りていた。駅構内で柏レイソルのシャツを着た青年が私を追い越し、殺意を帯びた目で振り返ってきた(私はマリノスのシャツを着たまま移動していた)。私はニヤニヤが止まらなかった。Speir_sさんの試合後雑談スペースを聴きながら新宿WALLYへと向かう。20時58分にフロアに入る。朝の二倍くらい人がいるが、前のフロアに行くことが出来た。やや右寄り。この24時間LIVEも21時から22時のKissBee全員集合!ラストスパート!のセグメントがフィナーレ。おそらく今が一番人が多いのだろう。朝よりも格段にフロアのノリが加速していた。一人のオタクが真ん中に立ち、それを他のオタクたちが取り囲んでグルグル時計回りに動くという地下っぽい集団的な動きが私のすぐ近くで何度も繰り広げられた。最後の曲ではフロアのオタク同士みんなで肩を組んで左右に動くやつをやった。コレは私も入れてもらった。左の紳士と肩を組もうとしたら、やりますか? という感じで目配せをしてくれた。KissBeeの支持者は優しい人が多い印象。KissBeeのメンバーさんたちの衣装は朝と同じパジャマ風に戻っていた。『どっきんふわっふー』の倍速ヴァージョンという珍しいものを聴くことが出来た。KissBeeのコール文化はHello! Projectのそれとは少し違うし、複雑だ。だからあまりコールには参加出来なかったが、“Just Sing!”の、いつだって忘れないよ(ないよー!)、変わらないものがあるよ(あるよー!)は思いっきりやることが出来、嬉しかった。終演後には出口で待ち構えるKissBeeの5人とハイ・タッチをさせてもらえる。無料で参加できるのにこのサービス精神。至れり尽くせり。この半年くらいうらきすで観てきたあのメンバーさんたちをタダで触らせてもらえるなんて。終演したら休憩時間なくそのままハイ・タッチが始まった。メンバーさんたちにとってはかなりハードだったに違いない。しかし間近で対面しても、異常長時間労働の後であることを感じさせない輝きがあった。生半可な人たちではない。10月の単独コンサートは月曜だが午後半休を取って必ず行きたい。日産スタジアムで左にいた紳士、右にいた紳士、真後ろにいた紳士、左後ろにいた紳士、KissBee篠原ののかチャン、山崎瑛麻チャン、藤井優衣チャン、大江れなチャン、中山星香チャン。1日で計9人とハイ・タッチした。もはや陽キャである。家に帰ったらグッタリ倒れ込むように寝た。

2023年5月21日日曜日

谷藤海咲KissBee卒業ライブ-FINAL IMPACT!! (2023-05-15)

いや、それが本当に偶然で。たまたま通りがかったんです。昨年末、正確には12月29日(木)。28日(水)まで働いて。6連休の初日だったんですね。特に予定もなく。ドトール・コーヒー・ショップ池袋グリーン大通り店で本(ジェイムズ・C・モア『ホノルル ペストの火』)を読んで、エーラージでタンドール・セットJPY1,980を食べて。何となくサンシャインに入ってぶらぶらしていたんですよ。そうしたらね、噴水広場ってあるじゃないですか。そこから音が聞こえてきたんで、ちょっと覗いてみました。リリース・パーティのリハーサルをやっていたようで。この後の本場もよろしくお願いします、的な感じだったんです。時間を見たら12時55分で、5分後の13時に第一部が始まるようで。群衆はそこまでいなくて、二階(あそこが一階かな? ステージの一つ上の階です)の手すりからほぼ視界の妨害なしに見られる感じだったんです。まあちょうど予定もなかったし、正月休みの初日ってことで非日常感もほしかったんで、そのままとどまって観てみたんです。二階からじゃパンツが見えないじゃんって気付いて、途中からステージのある階に下りました。視界はよくなかったですが、無銭でもメンバーさんたちを近距離で見られる位置には行けました。パンツは見えませんでした。KissBeeという集団の名前もメンバーさんのこともまったく知りませんでした。でもこの度3枚目のアルバムを出すらしく。集団自体も8年前から活動しているとかで。リスペクトの念を抱きました。トークなし(簡単な自己紹介のみ)で5曲を駆け抜けるストロング・スタイルに好感を持ちました。15時半からの二部も観ることにしました。無銭ですが、開演直前に優先エリアと一般エリアの区別がなくなって、右側の4列目くらいには行けました。この規模感がいいですよね。気軽にふらっと行ける感じの。近くの青年が話しかけてくるので何か因縁をつけてくるのかと思い身構えたら、動画とか撮ります? 撮るんなら前の方に…とわざわざ譲ろうとしてきてくれて衝撃を受けました(無銭の身で恐れ多いので丁重にお断りしました)。Hello! Projectの現場でそんなことが起きたことはないので。前方左側の定められたエリアを除いて基本的に撮影禁止だったんですけど、一曲だけ誰でも動画撮影してよかったんです。右隣の紳士がちょくちょくステージを見ずに文庫本を読んでいました。そういうのも含めて楽しかったです。この中でいわゆる推しにするなら誰だろうと考えながらステージを見ていましたが、私は中山星香チャンかな、とそのときは思いました。後から氏の画像を見ると(私がかつて支持していたJuice=Juiceの)宮崎由加さんの面影を感じてイヤでした。

検索し、彼女たちがYouTuberとしても活動していることを知りました。うらきすというチャンネル。全部メンバーさんが企画、撮影、編集。27万人の登録者。ちょっと観てみたらこれがまた面白くて。物凄い勢いで過去動画を漁りました。いちど数えたんですけど2023年1月1日(水)から13日(月)だけで120本くらい観ていました。数ヶ月で過去動画をほぼ視聴し尽くしました。(ひなちょすが亡くなったのを割と早い段階で知り、しばらくショックを引きずりました。)今でも好きな動画を何度も繰り返して観ています。特に私が気に入っているのが、みさきチャンの無限寝起きドッキリ、ブス即帰宅台湾旅行(旅の節目節目で現地の人に一番ブスな人を選んでもらいそのメンバーさんが帰国させられる)、あと多数あるパンティー関係の動画。メンバーさんがスタッフさんに電話で怒られているやつも好きですね。サブ・チャンネル(うらきすのすっぴん)の緩い動画もよく部屋のBGM的に流しています。公式オンライン・ショップでDVD(『ウラビデ』)とTシャツを買いました。あと中古ですがKISSBEE JIGOKU Vol. 1と2を買いました。私がHello! Projectに感じている閉塞感をぶち破るような面白さがあって、はまってしまいました。いつだったか、今つばきファクトリーよりもKissBeeが好きですよね? とF君に聞かれ、否定できないところまで来ました。今思うとKissBeeは私の心に出来た空白を埋める存在でした。Hello! Projectへの関心低下に加え、11月の途中から2月の途中まで明治安田生命Jリーグが休みだったので。手持ち無沙汰だったんですよね。あの日のリリース・パーティ。絶妙のタイミングでした。

Spotifyで曲も聴きました。面白い曲がいくつもあるなという印象を持ちましたが、あくまでYouTuberとして好きだという気持ちの方が強かったです。彼女たちのアイドル活動を追うために現場に足を運びたいとまでは思わなかったです。というのが彼女たちのアイドル活動はいわゆる地下とカテゴライズされるような形態に近いっぽくて、コンサート30分で特典会が60分みたいな感じのが多いんですね。Twitterの公式アカウント経由で流れてくる予定を見るかぎり対バンとリリース・パーティが主のようで。単独のコンサートというのがそう定期的にはなさそうなんです。私はコンサートが観たい。特典会なんて私の苦手分野じゃないですか。単純に勝手も分かりませんし。おまいつが多いであろう現場に飛び込んで一から作法を習得していくのが億劫。現場には行かず、うらきすチャンネルを観ていればひとまずは満足でした。ところがそうは言っていられない事態になりました。みさきチャン(谷藤海咲チャン)が退団するというのです。5月15日(月)にみさきチャン最後のコンサートが開催されるとのこと。池袋でリリース・パーティを観たときは何となくリーダーっぽくてちょっと平井美葉さんに似ているかなくらいの印象でした(実際にはあまり似ていなかったですけどね。初めて見る人を認識するときの脳による雑なカテゴライズでした。ちなみにリーダーでもありませんでした)。今はもはやただの他人とは思えません。あれだけYouTubeで寝起き姿やパンティー(モザイクあり)を見せてくれた関係です。ただの他人に何度も寝起き姿やパンティーは見せないでしょう。そんなみさきチャンのアイドルとしての最後の晴れ舞台。観に行かないわけにはいかないのです。発売開始直後にチケットを買いました。みさきチャンのインスタグラムのストーリーに、池袋のリリ・イベに通りがかって初めて知った、それからずっとYouTubeを観ていた、卒業コンサートのチケットを買ったという旨のメッセージを送ったところ、ハートをくれました。仕事はまあまあキツい時期だったのですが、午後半休を取得しました。

5月5日(金・祝)には汐留でリリース・パーティを観ました。その日は夜に六本木で上原ひろみさんの無銭現場をひやかそうと思っていました。それまでの時間が空いていて、場所的にも近かったので、2部だけ覗いてみました。声を出すならマスク着用必須という規制はまだありましたが、コヴィッド前の、あの楽しかったリリース・パーティの空気感がそこにはありました。開放的な雰囲気。みんなが思い思いに楽しんでいるあの感じ。開演前の注意事項を説明するスタッフさんが、たまに座り込んで飲酒されているお客様がいますが……と言っていて、最高じゃんと思ってしまいました。アイドルさんの現場に来て、アイドルさんを無視して飲酒。楽しいに決まっています。近くのベンチ(ステージは屋外でした)に座って本(水谷竹秀『だから、居場所が欲しかった』)を読んでいたら、KissBeeのオーディションを受けているという若くてスラッとした女の子が話しかけてきてビラを渡してくれました。その子が名乗った名前で検索してみるとTwitterのアカウントが見つかりましたが、フォロワーが9人しかいませんでした。そして大学二年生だそうです。大学二年生からアイドルを目指すなよ。カタギの職を見つけろ。と言いたいところですが、実際間近に現れて話しかけられるとオジサンはどきどきしてしまいます。

Zepp Shinjuku。17時開場、18時開演。私の整理番号はA188。番号の許すかぎり前方に行きたいというわけでもなかったので、開場時間がちょっと過ぎたくらいの時間に適当に入れればいいや。そう思って、池袋でコーヒーを飲んで、日焼けサロンに行ってから17時12分に会場前に着きました。係員の若者に聞いたらもう開場しているので番号順には並んでいない。この列の一番後ろに続いてくれとのこと。会場にコイン・ロッカーがあるのは事前に調べていましたが、誰も預ける様子がないのでそれに倣うことにしました。少し迷いましたが、結果的には特に支障はなかったです。そこまで中は混んでいなかったので(でも預けたほうがよかったはよかったです)。JPY600のドリンク・チケットをPASMOで購入。ハイネケン。アルコールがあるのは嬉しいですね。黒いメイド衣装に身を包んだややふくよかな中年メガネ男性。ドリンク・カウンターの近くで歓談する、元KissBeeのちゆうさんに似た女性(ちゆうさんでした。ゲストで登場しました)。フロア入り口で青のペンライトを配布してくれる頭髪の少ない中年男性たち。みさきチャンのメンバー・カラーが青であることを私が知ったのは昨日でした(たしか藤井優衣チャンのtweetで)。今日はみさきチャンの卒業公演なのでペンライトは青だけを振ってくださいという貼り紙をさっき見ました。フロアに入ると前半分はギッシリ埋まっていましたが、後方にはいい感じに空間が余っていました。開演までには人が増えてきましたが、ギチギチにはならず、心地よい、ちょうどよい混み具合でした。客層は前方と後方で少し異なるように見えました。前方には茶髪で後ろを振り返って会場全体に睨みを効かせるやや強面の紳士がいたり、公演中のジャンプ行為の予行演習をする青年がいたりしました。(茶髪だと一見若そうですが、歳はまあまあ行っている方が多そうでした。)一方で、私を含む後方エリアはおとなしそうなぼっち客が多く、仲間と連れ立っている饒舌な青年もいわゆるチー牛でした。オタクの立ち位置が、テストステロンの量に応じた序列を示しているように見えました。テストステロンの多い人たちほど女(ステージ)に近い位置を得て、少ない人たちほどそれを遠巻きに眺めているのです。これは残酷な社会の縮図です。だからといって、前方にいる彼らがKissBeeの素晴らしい美女たちのおまんこにたどり着けるわけではありません。メンバーさんたちのご友人とおぼしき若者たちが差し入れを手に関係者受付から入場していましたが、そういうところを経由して紹介で交際するに違いないのです。メンバーさんのご友人たちはオタクとは纏っているヴァイブスが異なります。住む世界が異なるのです。

マスクの着用判断がこの公演から自由だと、13時43分のtweetで告示されました。これは本当に嬉しかった。私にとってはコヴィッド馬鹿騒ぎが始まって以来、その影響を受けない初めてのコンサートとなりました。公演の終盤にみさきチャンも、みんな! もうマスクしなくてもよくなったんだよ! こんな日が来るなんて……! と感極まっていました。マスクをつけなくてよくて、自由な雰囲気が漂っていて、開演前にアルコールを一杯入れて……。最高。これが、私が好きだったコンサートです。Zepp Shinjukuの空調も絶妙に快適で、開演前から楽しい気分になりました。私にとって初めて入るKissBeeのコンサートでしたが、最高の時間になるのはその時点で約束されていました。お酒をもう一杯入れたくなりましたが、我慢しました。

曲は半分くらい分かりませんでしたが、関係なく楽しめました。実を言うと、今日来るまで少し疑っていました。KissBeeは普段、リリース・パーティや対バンばかりやっている。曲をやるのはせいぜい30分くらい。フル・サイズのコンサートを魅せるだけの体力や技量はあるんだろうか、と。そういう色眼鏡で見ていました。その疑いは、完全に晴れました。色眼鏡から色がなくなり、無色透明になりました。まったく問題なく、といったら失礼なのでしょうが、当たり前のように約90分のコンサートを楽しませてくれました。たとえば現役Hello! Projectで言うところの段原瑠々さんや井上玲音さんといったクラスの特別な歌唱力を持つメンバーさんはいないようです。それでも総合的にアイドルさんのコンサートとして十分に目と耳で楽しめる水準にあると感じました。何よりメンバーさん一人一人がキラキラしています。人数が6人というのもちょうどいい。各人の個性を楽しめる。同じダンスでもそれぞれ異なる身体の使い方、表情、魅せ方。衣装(アンコールで上にTシャツを羽織っただけで一種類しかありませんでしたが)。照明効果、音響効果、映像も作り込まれていました。メンバーさんたちの話しぶりから判断するに、映像やどうやら彼女たち自身が作ったようです。この映像を作るときに昔の写真を入れるのが恥ずかしくて……と当たり前のようにさらっと言っていましたが、スゴいことです。さすがYouTuber。

『駆け出せBravery!!』、『どっきんふわっふー』、“Just Sing!”あたりが私は最も高揚しました。『どっきんふわっふー』はメンバーさんたちがフックでグルグル円形に移動していくダンスが観ていて楽しい。“Just Sing!”は汐留で初めて聴いたと思うのですが、いつだって忘れないよ(ないよー!)、変わらないものがあるよ(あるよー!)という括弧内のオタクによるコールが面白い。コールはHello! Projectと作法がまた違って、慣れるのに少し時間はかかりそうです。地下でよくある例のジャージャー、ファイバー、サイバー的なやつも要所で入ってきます。私はアレをずっと生理的に嫌ってきましたが、コンサート中にそれが起きても案外、イヤではなかったというか、むしろ盛り上がりの一部として楽しむことが出来ました。というのが、アレって別にみんながやっているわけではないんですね。本当の地下アイドルで客が10人しかいなくて全員がやっていたらマジでキモくて近寄りたくないかもしれませんが、こうやって何百人もいる中でそれをやる人もいれば、やらない人もいる。全員が同じコールを一斉に入れなきゃいけないという雰囲気が案外なくて、それぞれが自由に楽しんでいる感じがしました。それが私にとっては心地がよかったです。初心者でも疎外感がなかったです。そういえば驚いたのが、最後のアンコール(みさきチャンコール)が自然発生せず、おまいつの重鎮みたいな人が会場全体に呼びかけて音頭を取る形で始まったことです。それまではみんな黙っていました。予定調和的なアンコールとはいえ、普通だったらそのままコンサートが終わりかねないくらいの間がありました。別にそれが悪いと言っているわけではなく、そういう文化なんだなと。

今日は開演前、終演後、そして深夜(!)と三部に渡る特典会が開催されていたらしいです。どんだけ特典会をやるねんという感じですが、私としてはフル・サイズのコンサートを楽しみ、みさきチャンのKissBeeとしての最後の勇姿を目に焼き付けられたので満足しました。みさきチャンも、伝えたいことはコンサートにすべて込めた的なことを言っていました。今後も単独コンサートがあったら必ず足を運びたいです。リリース・パーティも都合がつけば無銭でひやかしに行きたいです。特典会への参加はまだ私にはちょっとハードルが高いです。でも今日のコンサートを観て藤井優衣チャンがちょっと気になってしまいました。(彼女はうらきすにはそこまで登場しないんですよね。)いつか一回くらい、優衣チャンと写真でも撮ってみたいかもしれません。そういえば5月18日(木)に発表されたのですが、6月9日(金)から10日(土)にかけて24時間ライブ(何だそれ?)、10月には単独コンサートをやるそうです。誰か一緒に行きませんか?

2023年5月4日木曜日

未完成のエピローグ/つぼみたちのエピローグ (2023-04-27)

実際にその場に行くまでどういうものなのかよく分からなかった。コンサートやミュージカルなら想像がつくが、インスタレーションがどうのと言われても、どういう場所で何が行われ、観客として自分は何を観に行くのか、頭に絵として浮かんでこない。そういう紳士淑女たちのためにインスタグラムの配信でめいめいが説明していた。それを聞き概念的には理解出来たが、具体的には腑に落ちない。たとえばフットボールを一度も観たことのない人が、11人対11人でボールを蹴って相手のゴールに入れたら1点で、90分の試合で点数の多いチームが勝ちで……と説明を受けているようなもの。私に芸術方面の素養がないからポカンとせざるを得ない。理解するために参照出来る類似の経験がない。配信でめいめいは、土日は埋まっているけど平日の申し込みが少ないから平日も申し込んでほしいと我々に強い圧をかけてきた。開催期間は4月26日(水)〜4月30日(日)。私は元々4月30日(日)だけ申し込んでいた。4月29日(土)はフットボールを観に行くから無理。平日に行く場合は午後休を取らないといけない。まあ日曜だけ入れて、外れたらまあ仕方ないやと思っていた。だがめいめいの熱意に押され、特に申し込みが少ないという4月27日(木)の回を追加した。結果、4月30日(日)は外れ、4月27日(木)だけが当選した。土日なのはもちろんのこと4月30日(日)はミニ・コンサートがついていたので申し込みが集中したのは想像に難くない。(金曜日にトーク・ショウ、土曜と日曜にミニ・コンサートが付加されていた。)

最初にチケットのFC先行に申し込む間際まで、そもそも彼女が出演する公演的な何かがあるということも分かっていなかった。ご友人であられるという芸術家の有村佳奈さんによる作品の展示があって、来場者は会場内で花を買って過去にめいめいが演じてきた役に手向ける。その展示にはチケットがなくても誰でも入場出来て、それとは別にめいめいによる朗読劇がある。作品の展示とインスタレーションが『未完成のエピローグ』で、朗読劇の題名が『つぼみたちのエピローグ』。インスタレーションってさも分かった風に書いたけどこれを書いている今でも私はちゃんとは理解していない。とりあえず今回でいうところのインスタレーションとは、来場した我々が花を手向けていくことによって時間と日を追うごとに豪勢になっていく会場のその一角のことだった。

木場のEARTH+GALLERY。行くのは初めて。木場という駅で降りるのも初めて。新木場かと思ったら違った。横浜と新横浜よりも離れている。午後休を取得し、可食部の少ない麻辣味の魚を太陽城で食べ、会場にたどり着いたのが14時半頃。『未完成のエピローグ』は完全な自主企画で有村さんと半分ずつ自腹で出し合って作り上げたとめいめいは件の配信で言っていたが、まさに手作り感のある作品展示会だった。私が最初に入った会社で写真を撮るのが趣味だった同期のカンちゃんが開いた個展を見に行ったことがある(おそらく2005年か2006年)。それを思い出した。めいめいママがスタッフの一人として働いている。入り口近くのハンガー・ラックにグッズのTシャツがかけてある。めいめいが実際に撮影で着用したTシャツは1枚だけ残っている。ピンクの、おそらくサイズS。私がすこしウロウロしていると女性支持者がそれを手にし、購入していた。グッズのTシャツは値付けがJPY4,000(純粋なホワイトTシャツ)、JPY4,500(君だけのカラーTシャツ)、JPY5,000(幻の推しカラーTシャツ)の三種類。めいめいが着用していたのはJPY4,000かJPY4,500のTシャツだったはずだが、ブルセラ的な付加価値なのかJPY6,000で販売されていた。初日ですぐ売り切れるだろうと諦めていた幻の推しカラーTシャツがまだ2枚残っていた。サイズMとXXL。私がMを購入した。君だけのカラーTシャツのサイズL、ピンクと迷った。幻の推しカラーTシャツは9枚しか販売されていない。Tシャツは全部合わせて50枚だけで、たぶんすべてが一点モノ(デザインがそれぞれ違う)。購入は一人一枚まで。これは熱い。久し振りにグッズでこんなにそわそわ、ワクワクした。Tシャツのほかに、4曲入ってJPY2,500もするコンパクト・ディスクと、アート・ブック(これもJPY2,500)を買い、紙袋JPY30もつけてもらったらJPY10,030になった。アート・ブックは先着30冊のみサインが入っているとのことで、サイン付きに間に合った。グッズを確保してからゆっくりと場内を見るが、そうグルグルと回るような広さがあるわけではないので5分、10分もすると手持ち無沙汰になる。インスタレーション内に書いてあるめいめいが演じてきた役名を眺めていると、テオの名前が目に留まった。“Equal”のテオとニコラ。JPY400とJPY500の花を買い、この二人に想いを馳せて花を手向けた。私がいる間はその場にめいめいは現れず(高頻度で在廊していたらしい)。ホッとした。慣れないことをやって下手に接触を試みると事故るだろうし、かといってすぐ近くにいるのに接触しないのもそれはそれで後悔しそうである。どう転んでも失敗にしかならない。私はステージ上のめいめいを近くで観られれば、それでいい。それが幸せ。めいめいはファンクラブ会員向けの配信をやる度にランダムで会員にLINEで電話をかけるのだが、アレは私にとってはロシアン・ルーレットのようなもの。当たらないでくれと祈っている。かかってきたとして、どう話したらいいのか分からない。

木場駅付近は何もなさそうなので、一旦、日本橋へ。文房具屋、書店、サテンが一体になったビルヂングを発見。地下でお洒落な付箋を購入。上の階にあるサテン。コーヒー・フロートJPY800。ソフト・クリームが多すぎるしミルキーすぎる。ヴェローチェのフェイクなソフト・クリームが乗ったコーヒー・フロートJPY390。私はあれのほうが好きだ。今日はめいめいへのプレゼントを持ってきた。演者さんに何かを差し入れるという行為は私にとって初めてである。赤松利市さんの『ボダ子』と、庭いじりなどに使える手袋(50枚入)。東急ハンズで買ったプレゼントを入れるための小さな袋と、小さなメッセージ・カード。手書きする機会が少なすぎてすぐに手が疲れ、字が乱れた。さっき買った付箋に田村芽実さんへと書いて、袋に貼る。

開演は18時。30分前に開場と振り込み確認メールに書いてあった。入場が落ち着くのを待って、17時40分頃にEARTH+GALLERYに入る。受付にFCスタッフのSさん。名前を言うとSさんが手元の名簿にチェックを入れてチケットを渡してくれる流れ。この場で席が初めて分かる。田村さんにプレゼントをあげたいんですけど。と私が言うと、あ、ありがとうございます! お預かりします! と感じよく対応してくれた。エスタシオンが雇った無敵の人予備軍のような青年や中年たちに家畜のように扱われるHello! Projectの公演と異なり、めいめいの現場ではFC担当のSさんとマネージャーのSさんをはじめとする裏方さんがちゃんと人として扱って案内してくれる。席を確認するために手元のチケットを見る。整理番号:3。え、3! 壁の座席表を見ると最前中央だった。正確には各列が左右に三人ずつだから3番と4番が最前中央。サイズの合ったTシャツを購入出来、プレゼントを預かってもらえ、既にだいぶ満足していたので、席については期待していなかった。望外の喜びだった。

素晴らしい席をいただいておいてこう言うのもなんだが、正直なところ、ずっと座って朗読劇を鑑賞する環境としてはあまりよくなかった。ちゃんとした椅子じゃなくて、何ていうの、スツール? 小さくて本当にクッション・ゼロで背もたれもなくて。開演前から既にケツが痛くなり始めた。こんなに短時間でケツに来る公演はちょっと記憶にない。なんであんなに痛くなったんだろう。私は近所の銭湯を週に4-5回利用しているのだが、後日そこで考えた。ぬるい湯(といっても40度以上ある)の横にベンチがある。そこに全裸で座るとすぐにケツが痛くなる。ただ、座り方を深くして、ふとももの裏で座るようにしてみると痛さは和らぐことに気付いた。私はこう見えて他人に気を遣う部分がちょっとあって。公演を観るときは後ろの人の視界を塞がないように、あんまり姿勢をよくしないように気を付けている。めいめいの客層は女性が多いから、最前の私が邪魔になるのが気になった。身を屈めようとすることでももの裏ではなく直にケツが当たる座り方になったのだと思う。

終始ケツの崩壊と向き合っていたのと、めいめいが本当に1.5メートルくらいの圧倒的近距離にずっといたのとで、あんまり話の内容が頭に入って来なかった。生身のめいめいの迫力。単に美形というだけじゃない独特のヴァイブス。うわ、あのめいめいがすぐそこにいる。すげーってなって。全身全霊で集中しているつもりなんだけど、同時に半分ボーッとなって、夢を見ているような感じだった。あんな目の前にめいめいがいて、冷静に話の内容を追っている場合じゃないって今でも思う。めいめいが動いたときに服の布がこすれる音。めいめいが喉を潤そうと水筒に右手を伸ばすときの所作。お口を開けたら自ずと見えるめいめいの歯並び、口の中。朗読中のひとつひとつの声、表情。理屈じゃなくて、最前にいるということ。この距離でめいめいと同じ空間にいるということ。体験しないと分からない感覚。これを味わえたことが何よりも大切なことだった。なんかよく分からないけど、今この時間、これは私が生きている目的だよなって思えた。もちろん物語がまったく分からなかったわけではない。9歳から17歳だったかな? の少女だけが入れる秘密の花園という外部から遮断された世界。小さな少女と大きな少女がいて、後者が前者のお世話をする。大きな少女はいずれ外の世界へと羽ばたいていく。そこに別れがある。一度出ると戻ってくることは出来ない。出て行った少女たちのことは話さない。めいめいがずっと前から表現のテーマに掲げている少女。アイドルの世界の暗喩でもあるように私は感じた。

ケツの崩壊がなければ、もっと物語に入り込んで内容も理解できただろう。ただ、それを差し引いても私は朗読劇を鑑賞するのに不向きな人間なんだろうなと思った。めいめいの手元にあった台本を自分で読ませてもらった方が何倍も理解できたと思う。前にたしかピーター・ドラッカーさんだったかな?の本を読んでいたときに、人には物事を聞いて理解するタイプと読んで理解するタイプがいると書いてあったんだけど、私は明らかに昔から、読んで理解する人なんだよね。たとえば町内放送が流れてきてもなげえよそれ一つのtweetにしたら数秒で伝わるだろと思うし、啓蒙系のYouTube動画を再生しても、ダラダラと話が長いな、あらかじめ要点を後ろに箇条書きにしてから話してくれと思ってしまう。今回のように一人の演者さんがじっくりと物語を読み上げるという静的な(性的なではなく)形式は、私との相性があまりよくないのかもしれない。

2023年4月30日日曜日

Hello! Project ひなフェス 2023 つばきファクトリープレミアム ~浅倉樹々卒業スペシャル~ (2023-04-02)

浅倉樹々さんの最終出勤だろうがもはや『マジ興味ねえ』(DJ OASIS feat. K DUB SHINE)のでファンクラブ先行には申し込まなかった。私はもっとも熱心にHello! Projectを追っていた時期でさえひなフェスに対する関心は低かった。つばきファクトリーとHello! Projectへの熱が冷めた今は言わずもがなである。浅倉さんの最後くらいは観に行くかという考えもない。最後だから何なんだ。最後だから急に観たくなるのか。それは在庫が残りわずかですとか10分以内に購入すれば割引ですといった販促に釣られて大して欲しくもない商品をインターネットで注文してしまうのと何が違うのか。大事なのは最後になるまでの過程ではないのか。

たとえば音楽を聴くにしても好きなアーティストの活動を最初から最後まで追う方が珍しいだろう。人生のある時期において、あるアーティストのある曲やアルバムにはまる。月日が経つとまた別の音楽を聴いている。巡り会い、すれ違っていく。アイドルさんとオタクの関係もそういうもの。浅倉さんにしてもずっと同じ人たちが支持してきたわけではない。初期の現場には必ずいた某有名オタクは地下系の別の子に推し変した。途中から浅倉さんを好きになって既に離れた人もいるだろう。最近好きになってまだ好きな人もいるだろう。誰かがアイドルでいる限り最後まで追い続ける。ずっと応援する。口で言うのは簡単だが、義務感を伴わずに実現するのは難しい。そして実現する必要もない。なぜなら彼ら・彼女らと我々は他人であり、お互いの人生に責任を負えないからだ。

当面つばきファクトリーは観ない。2月23日(木・祝)の公演後、そう決めた。実際には舌の根も乾かぬうち(一週間後)にちょっと見た。鑑賞する方の観たではなく、視界に入れる方の見た。3月2日(木)池袋サンシャイン噴水広場でのrelease party。近所だし、仕事も終わったので、夕食の前にちょっと寄ってみるかという感じで。もちろんパー券やお見送り券には手を出さずに。過去に何度かココの優先エリアでおみずチャンに性的な視線を送るために早朝から並んでいた頃の熱はもう消え去っていた。つばきファクトリーという集団にもう心は躍らなかった。

そしてそのわずか一ヶ月後、再びつばきファクトリーを観た。わざわざ千葉まで行って。なんでやねん。チケットを余らせた某氏から頼まれ、仕方なく買い取ることにした。まったく気乗りしなかった。何かの先約を理由に断りたかったが、残念ながら4月2日(日)は何も予定がなかった。譲り先を見つけられずチケット獲得に要した金銭をドブに捨てる状況から氏を救うという人道的な理由で買い取ることを承諾した。行きたくはないため、本音を言うと割り引いてもらいたいくらいだった。あまり興味のない集団のコンサート(それもマスク着用必須+発声禁止+終始着席の刑務所慰問仕様)を千葉まで観に行くためにJPY10,000近くを払わないといけない状況は愉快ではなかった。

前座のような扱いで各集団が2曲ずつパフォームした。BEYOOOOONDSの山﨑夢羽さんがチラチラ見せるスカートの中身が卑猥だった。モーニング娘。の野中美希さんがポルノだった。脚ほぼ丸出しで左ふとももにフリル。前のサブ・ステージに来た氏を双眼鏡で観察するとまんこの温もりが伝わってくるようだった。ただ、彼女らの出番は少なかったし、遠くから双眼鏡で観るためにJPY10,000近くのチケットを買って千葉まで来るのは割に合わない。つばきファクトリーの本編では『17歳』と『私がオバさんになっても』の両方がセットリストに組み込まれていたのが最大のハイライトだった。この2曲には私にとって一番楽しかった頃のつばきファクトリーの思い出が凝縮されている。『今夜だけ浮かれたかった』で岸本ゆめのさん、浅倉樹々さん、小野瑞歩さん、小野田紗栞さんがサイファーになってのマイク・ラリーは熱かった。ただ、ギッチギチに敷き詰められたパイプ椅子にずっと座らされているとケツが痛くなる。窮屈すぎた。終盤になると、そろそろ終わってくれ、話が長いよ、なぞと思いながらステージを観ていた。谷本安美さんが涙ながらに浅倉樹々さんへの最後の言葉を絞り出しているとき、私の中で感動よりも面白さが勝ち、ゲラゲラ笑った。終演後にそれを知った某氏(チケットの譲り手)からサイコ野郎となじられた。


ゲイ・バーという言葉のインパクトが強いから忘れがちだけど、要はオタクの男と繋がっていた、おそらく常習的に。ということでしょ? 地下でも辞めさせられるんじゃないの? もちろん私の想像・憶測も入っている。でもさ。あのブログ記事を読まされて、これが真実ですなんて言われても。オタクを心底ナメていることと、メンバーさんも事務所の人もかなり頭が悪いことしか真実として伝わってこない。二十歳過ぎの女がゲイ・バーに行こうが男と密着しようが何の問題もない。一般的には。彼女たちの場合、やっている商売との整合が取れない。オタクにはオッサンの監視付きで数メートルの距離でパーティション(3月から撤去されたらしいが)越しに、お互いマスクをして対面するだけで数秒JPY1,300を取っている。握手もさせてもらえない。その商売がなぜ成り立つのか? アイドルという存在がオタクにとって普通の人間ではない、崇高な存在だと思えるから。幻想であったとしても、錯覚だったとしても、それを信じられるから。だからアイドルさんの言動を一般的な人間の基準で判断することは出来ない。

私はあの2枚の画像を見てショックは受けなかった。当事者たちに対し、やっちゃったね、バカだね、残念だねくらいには思う。それ以上の糾弾をする気持ちはない。楽になった感覚さえある。もうつばきファクトリーを追わなくていいんだ、離れていいんだ、という安心を得た。もう義理で観る必要も完全になくなった。憎しみはゼロだ。最後に捨て台詞を投げつけるつもりは一切ない。何より私は小野瑞歩さんのおかげで、つばきファクトリーのおかげで、本当に楽しい思いをたくさんさせてもらった。楽しかった日々もコヴィッドのバカ騒ぎで一時停止した。結局、再生ボタンが押されることはなく終わってしまった。一時停止する前の楽しさに比べればその後はあとがき、付け足し、おまけのようなものだった。

つばきファクトリーの増員(リル・キャメと称される4名の加入)は、先発メンバーさんたちの職業人生を無駄に……と言ったら語弊があるが、適正な長さ以上に延命させてしまったと私は思う。それがアイドルとしてではなく一人の人間として、彼女たちにとって本当によかったのだろうか? その疑問を私は前から抱いていた。今の日本社会に巣喰う医療支配と同じで、ただ(アイドルとして)生きているということが過剰に重視されている。職業としてのアイドルは非常に特殊。ずっと続けられるものではない。いつどうやって抜け出すかを常に考えなければならない。25歳定年説という言葉には、アイドルが概ね25歳までに辞めざるを得ないのは早すぎるというコノテーションがあるが、むしろ25歳まで続けるべきなのは道重さゆみさん、田中れいなさん、宮本佳林さんのような一部の異常者だけだと思う。基本的には少女期の限られた数年間だけで成り立つ存在。アップフロントはメンバーさんに優しいとよく言われるが、ずるずると続けさせることが長い目で見て本当の優しさとは限らない。アイドル産業というカタギではない世界から足を洗うのが20歳と25歳とではその後の選択肢も違ってくる。Hello! Projectに入団出来た。老舗の大手有名企業に入れた。長く勤めたい。それ以上のビジョンや目標が、メンバーさんたちにも事務所側にもないのではないか? 導ける人もいないのだろう。アイドルという状態・職業が何者かになるための手段ではなく、しがみつきたい肩書き、アクセサリーになっているのではないか?

Hello! Projectというけど、プロジェクトには目標があって、時間制限もある。達成したら解散する。今はどの集団も終着点がよく分からないまま、メンバーさんを継ぎ足して集団を更新し続けている。個別商売が売上の軸となった今の産業構造で集金を安定させるためには、たしかに既存の固定客をなるべく離さない方法が正しいに違いない。しかし本来、やりきったから解散するという美しさもあったはずだ。せっかくリル・キャメの加入で上向きになってきたのに足を引っ張る不人気の年長組。リル・キャメ以降につばきファクトリーを好きになった人々は、ゲイ・バーで男と密着する写真がリークされた彼女たちをそう非難する。リル・キャメから興味を持った人(先発メンバーに対しては無関心がベース)と、初期から見ていた人(むしろリル・キャメに対して無関心がベース)とでは、該当メンバーさんへの見方が変わってしまうのは仕方がない。だが、私からするとそれは大きなお世話。むしろ8人(9人)のまま増員せずに最後まで続けてほしかった。それで限界が訪れたら解散してほしかった。(コヴィッドのバカ騒ぎで東名阪のホール・ツアーがキャンセルになったのが痛恨だった。あれで集団が成仏しきれなくなかった。)つばきファクトリーの発展を邪魔する罪人? 違う。私に言わせれば彼女たちこそがつばきファクトリーなのだ。少なくとも、私を熱中させ、狂わせたつばきファクトリーは彼女たちなのだ。つばきファクトリーという名称は残っても、私にとってのつばきファクトリーは終わった。浅倉樹々さんが去った途端、ボロボロと砕け散るように瓦解していくのがつばきファクトリーらしくていい。皮肉ではなく、私はそう思う。