2018年5月26日土曜日

春の公開実力診断テスト (2018-05-06)

Hello! Project研修生が三ヶ月に一度、東京、大阪、名古屋で発表会をやっているのはご存じの通りだけど、それとは別に公開実力診断テストというのがあってね。これは年に一度。うる覚えなんだけど元々はつんくさんが研修生の成長を見定める場として内輪でやっていたのを、お客さんを入れて大々的にやりましょうということで始まったはず。2013年が第一回。以降、この時期の恒例行事になっている。ファンからの注目度が高くてね。私は2016年、2017年とファンクラブ先行で応募したんだけど共に外れた。今年、初めて当たったんだ。普段の発表会は東京だとZepp Tokyo。椅子を使うから入れるのは1,200人くらいかな。実力診断テストは中野サンプラザ。2,200人くらい。ファンクラブ先行ではZepp Tokyoでの発表会はよく落選するし、中野サンプラザでさえ三度目で初の当選。下手するとHello! Projectの正規グループのコンサートよりも競争率が高いかもしれない。中野サンプラザってのはHello! Projectにとって特別な会場。夏と冬の全体コンサートでは全所属員がステージに立つけど、単一グループが簡単に立てる場所ではない。デビューして数年たつこぶしファクトリーだってこの会場で単独コンサートは一度も出来ていないわけで。Hello! Project研修生が中野サンプラザを毎年満員にして、研修活動を終えてデビューしたこぶしファクトリーとつばきファクトリーがショッピング・モールとライブハウス(和製英語)周りを続ける状況は倒錯している。そういう意味じゃ、先日の合同コンサートで二つのファクトリーが中野サンプラザを埋めたのは大きな一歩だった。

一岡伶奈さんをリーダーとする新グループ。高瀬くるみさんと清野桃々姫さんの新セクション。それらの立ち上げが発表されたのが、昨年の実力診断テストだったんだ。審査員の一人だったアップフロントプロモーション代表取締役の西口猛さんがステージで言ったんだけどね。それ以降の動きの鈍さを見るに、何の計画もなくその場の思いつきで口を滑らせたんだろうね。MC BATTLEに出るラッパーでさえもうちょっと考えてから発言するよ。上記の他にも段原瑠々さんと川村文乃さんをデビューさせるって言っていた。それに関しては彼女たちのJuice=Juiceとアンジュルムへの加入という形で早期に実現した。一岡さん、高瀬さん、清野さんに関してはあれから丸一年たって、実質的に進展がゼロ。今になってようやくオーディションが開催されている。その新グループなり新セクションなりで何をやりたいのかは曖昧。というかさ、何でグループを増やすわけ。既存のグループでさえまともに捌ききれてないでしょ。それを如実に表すのがアルバムの少なさ。シングルを出してリリース・パーティと接触イベントで食いつなぐことに精一杯で、その先に行けていない。こんなんで音楽事務所と言えるのか。モーニング娘。の“15 Thank you, too”は前作から約3年ぶり。Juice=Juiceが8月1日に2ndアルバムを出すことがこの間のハロ!ステで発表されたけど、これも1stから約3年なんだよ。同じメンバーで何十年も活動を続けるバンドでもあるまいし、3年という周期は長すぎる。

去年はその西口猛さんと、音楽関係の統括をしている橋本慎さんが審査員を務めていた。今年は二人ともいなかった。賢明な判断だ。特に西口猛さんは、昨年この場で大きなヘマをやらかしてるんでね。さすがに気まずくて顔を出せなかったんでしょう。橋本さんに関しては、寺田光男さんが病気になってから新しい作家陣を開拓したのは彼の功績のはず。CMJKさん(最近はHello! Projectに関わっていないようなのが残念…)、中島卓偉さん(彼はアップフロント内部だが)、児玉雨子さんといったドープな才能がHello! Projectの音楽に新たな広がりをもたらした。そこは評価すべき。職安のような芸名のワックな紳士との蜜月関係はいただけないが…。元々マネージャーらしいので、外とのコネクションを作るのがうまいのだろう。ただ橋本さんにしても西口さんにしてもプロデューサーの器ではない。矢面に立って批判を受け止めてHello! Projectメンバーを守るような人間的な大きさも持ち合わせてないだろう。いざとなったら尻尾を巻いて逃げ出しそうな小物感がある。あんまり人前に出ない方がいい。裏方に徹した方がいい。

今年の審査員は、日頃から研修生たちを指導している上野まり子さん(歌唱担当)と、オアシズ大久保佳代子さん似で知られるパワハラ詰問系インストラクターのみつばきまきさん(ダンス担当)。一時期、スーパーバイザー? とかいうポストを与えられて研修生たちを見ていたが今ではそのポスト自体がなくなった模様の元Berryz工房の清水佐紀さん。元℃-uteの中島早貴さん(とにかくすべてのコメントが研修生たちへの愛情たっぷりで優しかった)。Hello! Projectのレコーディング・ディレクターで、コンサートのPAエリアでもよく目にするたいせいさん。研修生発表会で司会を務めているまことさん。司会はアラケンさん。検索したら新井健一郎さんというプロレスラーのウィキペディアが出てきたが、写真を見るかぎり別人である。アシスタントに起用されたのがHello! Projectのファンであれば嫌いな人はいない別格の存在、北の本物、稲場愛香さん。

事前に抽選で決められた順番で、各研修生が一人ずつ、1コーラスを披露する。都度、アラケンさんが審査員の誰かにコメントを振る。Hello! Project研修生北海道からも数名が参加。合計30人だったけど井上ひかるさんが直前で体調不良により脱落して、29人になった。全員の持ち場が終わると、しばらく中断するの。20分だったかな。その間に観客全員が席を離れて、投票するんだ。入場時にラミネート補強された紙切れが渡されてね。それが投票券。出場者ごとに名前と番号が書いた箱が用意されていて、自分が一番だと思った人に券を入れていくの。開演前に誰かが落としているのを見てさ。落としたとおぼしき老紳士に駆け寄って、コレ落としましたかって差し出したんだけど、自分が落としたかどうかすら把握できていないようだった。彼は誰に入れたんだろ。スーツを着たバイトだか派遣だかの兄ちゃんたちが票を数えている間に、つばきファクトリー、ハロプロ研修生、ハロプロ研修生北海道、稲場愛香さん、高瀬くるみさん、清野桃々姫さん、一岡伶奈さんのショーケース。最も多くの票を集めた研修生に与えられるのがベストパフォーマンス賞で、これが目玉。この賞を二度獲得した研修生が一人だけいて、それが後にJuice=Juiceに加わった段原瑠々さん。今やグループで高木紗友希さんと双璧を為す歌姫としてプロップスをほしいままにしている。その他にもキャラクター賞、ダンス賞、歌唱賞という三つの賞があったけど、今日みた印象では賞の区分にあまり意味がないように思えた。事実上、惜しくも一番を逃した出場者に何か箔を与えるための救済措置だった。それだったらいっそ単純に一位、二位、三位を表彰すればいいような気もする。

中にはあらかじめ評価項目を表にした採点用紙を準備して、書き込みながら出場者を査定している紳士もいた。たしかに厳密に評価するためには何かしらリアルタイムで記録した方がいいのかもしれない。人間の記憶なんてのはポンコツだからね。ただ、私はそれはしないことにした。一時期やったことがあるんだ。コンサートで紙とペンを手に持ってね。セットリストとか、トーク・セグメントの内容とかをその場で記録していくの。たしかに記憶に頼るよりは正確にコンサートの中身を再現できるんだけど、どうしても下を見る時間が長くなって。何をしに行っているのか分からなくなる。記録することに集中するあまりステージ上で行われていることを見落とすようじゃ本末転倒だと感じて、やめたんだ。実際、今日にしてもステージから目を離していい瞬間はなかった。各研修生の歌とダンスと衣装はもちろん、司会や審査員とのやり取り中の表情なんかも細かく目に焼き付ける必要があった。実力診断テスト中は観客が全員座ったままでね。私も10列からずーっと双眼鏡で観させてもらった。基本的にテストでは曲中の歓声とかチャントはなしで、みんな真剣に観ている感じ。中島早貴さんもこんなに(会場が)静かな『Kiss me 愛してる』は初めてと17番目の河野みのりさんが同曲を披露した際に驚いていた。

とはいえ、今日は目に焼き付けて終わりじゃだめなわけで。自分の一票を誰に投じるかを決める必要があった。どうやって決めていったかというと、BET Freestyle Friday方式でやった。つまりまず一人目が出てきた時点で暫定チャンピオン。二人目がもっとよければ二人目が暫定チャンピオンで一人目が脱落、という具合だ。暫定チャンプは岡村美波さん(1/29番目)→児玉咲子さん(2/29番目)→西田汐里さん(3/29番目)→石栗奏美さん(5/29番目)→山崎愛生さん(15/29番目)。山崎愛生さんが残りの14人を連続でなぎ倒し、最終チャンピオンの座を射止めた。私の中でね。実際に最多得票に輝いたのは島倉りかさんだった。山崎愛生さんは私の一票を含む209票を得て、何位だったかは分からないけど上位だった。歌唱賞を受賞し、こんな重みのある賞をいただけて嬉しい、帰りの飛行機が落ちないか心配だという旨のことを泣きながら言って我々を笑わせた。(みつばきまきさんがダンス賞を前田こころさんに与えたとき、前田さんと仲がよいことで知られる小野瑞歩さんが涙を流しているのが印象的だった。)

私の中では、山崎愛生さんが圧倒的に一位。次点に石栗奏美さん、西田汐里さん。その次点くらいに島倉りかさんという感じだった。山崎愛生さんは、歌唱の表現力が抜けていたように思う。私は専門的なことはいっさい分からないが、歌に関しては声量と声の魅力がすべての土台だと思う。一定の音量で自分の声を届けないと、伝わるものも伝わらない。その点で彼女は私の心を鷲掴みにするような堂々とした歌を届けてくれた。それにとどまらない。山崎さんが選んだ曲はJuice=Juiceの“Wonderful World (English Ver.)”だった。英語曲に挑戦し淀みなく歌いきるだけでも加点要素。彼女は英語をきちんと理解した上で、自分なりに解釈した歌詞の世界を表現しているように見えた。今日のため相当に歌詞を読み込んで一つ一つの表情や動きに試行錯誤を重ねたであろうことが伺い知れた。たいせいさんはコメントを求められてJuice=Juiceに欠員が出ても大丈夫だと思いましたと絶賛した。多分にリップサービスであろうから額面通りに受け取ることはできないが、数年後に山崎さんがJuice=Juiceに入ってもおかしくないような気がした。石栗奏美さんはモーニング娘。の『私のなんにもわかっちゃない』をパフォームした。歌、ダンス、表情。立ち振る舞い。研修生感がほとんどなく、完成されていた。隙がなかった。山崎さんと石栗さんに関しては私はこの実力テストで観るまで存じ上げなかった。彼女たち以外もハロプロ研修生北海道の面々は本体の研修生よりギラギラしていて、捌ける前のコメントでも何かしらの爪痕を残す子が多かった。特に優れた子たちが選抜されているのかもしれないが、彼女たちがいて、さらに稲場愛香さんが率いているとは物凄い集団じゃないかと今さら気付いた。私は西田汐里さんについては演劇女子部の『僕たち可憐な少年合唱団』で観て以来、特徴的な声と伸びのあるフローが好印象だったが、今日の『ゴールデンチャイナタウン』(Berryz工房)ではそれに加えてダンスのキレが印象的だった。島倉りかさんに関してはほんわかした印象だったが“Fiesta! Fiesta!”という激しめの曲を力強くパフォームしたことで新たな能力を開花させた感がある。

15時に開演して、私が外に出たのが19時10分くらいだったか。今後の参考として、実力診断テスト開演から退場まで4時間半を見ておいた方がいい。なぜか最後にお見送りまであって。これは過剰サービスだったかもしれない。時間もかかりすぎるし。2,200人を相手にやることじゃないでしょ。前の列から順番に退場していって、初めは進みが異常に遅かった。お見送りだけじゃなく抜きでもあるんちゃうかっていうくらい。途中からだいぶスピードを上げたらしく、20何列かにいたMによると小走りだったらしい。実力診断テスト後のショーケースは今日日Hello! Project本体ではあり得ないくらいの露出度でほぼ犯罪だった。これで5,500円だから、応募が殺到するのも納得した。


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