2019年1月6日日曜日

Juice=Juice 稲場愛香バースデーイベント2018 (2018-12-07)

映画『ソーシャル・ネットワーキング』で描かれたところによると、Facebookの起源はマーク・ザッカーバーグさんが立ち上げた、自身の大学に在籍するナオンの顔に順位をつけるウェブ・サービスだったそうです。今のFacebookにそういう機能はありませんが(私は2017年末に退会したので確証はないですが)、アイドルさんを応援する日本の気持ち悪いオジサンたちは2019年になっても同じことを日常的にやっています。たとえばハロプロ・ソートというウェブ・サービスでは画面の左右に一名ずつのHello! Projectメンバーさんが表示されます。あなたは好きな方を選んでいくことで、1位から最下位まで順位をつけられます。『ソーシャル・ネットワーキング』に登場した原始Facebookも同じ仕組みだったはずです。定期的にやって自分で結果を保存しておくと興味深いですよ。何年もたつと顔ぶれは様変わりします。推しが変わる理由はさまざまですが、根本的な理由としてはアイドルさんは辞めてしまいますからね。一人のアイドルさんの職業生命はいくら長くても10年程度。一方、我々オジサンのオタク寿命は一生。アイドルさんの人生には多くの可能性がありますが、我々にはオタク以外の道は絶たれているため推す対象を入れ替えながらオタクを続けていかざるを得ません。異性を観測する趣味である以上、恋愛的な要素がないと言ったら(ハロプロ・オールスターズさんの接触にはいっさい手を出さず、つばきファクトリーさんの5thシングル発売記念のチェキ撮影会は制服衣装の日に一枚だけ申し込んだ硬派な楽曲派の私でも)嘘になります。気色が悪いですよね。でもそれだけではなく、スポーツ観戦のようでもあります。好きなサッカー選手というと、プレイ・スタイルが自分の好みであるとか、スタジアムで観た試合で忘れられないゴールを決めてくれたとか、色々と自分なりの理由があり得るじゃないですか。アイドルさんもそれと同じで、好きになる・好きでいる理由は複合的だし、人によっても異なるんですよね。

私のハロプロ・ソートで急上昇しているのが稲場愛香さんです。もちろん彼女のことは前から知っています。2016年10月16日に行ったソートでは4位にいました(ちなみにそのときの一位から三位は宮崎由加さん、宮本佳林さん、牧野真莉愛さんでした)。カントリー・ガールズさんの一員だった彼女は喘息のため、2016年4月から活動を休止し、同年8月には同グループを脱退。Hello! Projectでの活動を再開させたのが2017年9月でした。私の無職時代(一年と二ヶ月)よりも長い休養期間。ただしこの時点では北海道を拠点とした活動形態をとっていました。彼女が全国的な活動を再会したのはJuice=Juiceに2018年7月にJuice=Juiceに加入してからでした。私のハロプロ・ソートで稲場さんがしばらく順位を落としていたのは私の観測範囲から離れていたからです。もちろん、いくら活動を休止していようと一途に好きでい続けるという考えも素晴らしいですが、私の場合は現時点での、直近の印象を大事にしたいんですよね。アイドルさんというのは刹那的な存在なので、この瞬間の輝きを見たいんです。過去に浸るんじゃなくて。今の稲場愛香さんを見られる機会が再び訪れると、彼女の順位はグイグイ上昇していきました。2014年11月16日に新潟のLIVE HALL GOLDEN PIGS STAGEで観てからJuice=Juiceでは不動の一位だった宮崎由加さんまでも押しのけてしまいました。決め手となったのが11月23日、甲府KAZOO HALLの最前で彼女のダンスを目の当たりにしたことでした。あの経験にすべてを持って行かれました。

本当に恐ろしい女です。あなたに警告しておきますが、無闇に近づかない方がいい。稲場愛香さんには。短期間で二度も近距離で彼女を観たことで、恐さが分かりました。いや、一回でも分かりました。宮崎由加さんを一位に据え続けて平穏に終わるはずのJuice=Juice支持者人生が、甲府でめちゃくちゃにされてしまいました。あのときの最前に続いて、今日のバースデー・イベントもめっちゃいい席をもらったんです。右ブロック二列目の、通路席。通路の空間があったので、前の人たちをほとんど気にすることなく稲場さんを観ることが出来て。至福の時間だったんですが、身の危険を感じました。このままではハロプロ・ソート一位の座を小野瑞歩さんから奪ってしまうのではないかという不安がよぎりました。イヤ、ダメだ。小野さんを守らなくては。それくらいの衝撃を受けました。どの角度から切り取っても非の打ち所がない、完璧なアイドルさん。モノが違う。ここまで精緻に作り込まれ、仕上げられたアイドルさんはそういない。もちろん彼女以外のHello! Projectメンバーさんも皆さん素晴らしいプロフェッショナルなんだけど、稲場さんに関しては他の人がどうあがいても手に入れられない何かを持っています。

それが何なのか。まず頭に浮かぶのがダンスです。稲場さんがダンスに秀でているのはHello! Project支持者の誰もが知るところです。私は2015年8月9日、ハロコンで『ためらいサマータイム』間奏で踊る彼女を観て、このようなゆったりしたダンスでも違いを見せることが出来るのかと感心しました。派手に激しく踊るのが上手なダンスという、それまで私が持っていた固定観念が崩されました。彼女はハロコンでダンス・パフォーマンスを見せる選抜組であるHello! Projectダンス部の中心でした。2015年のバースデー・イベント時に披露されたダンスのYouTube野良動画(私は当選したものの入金を忘れて行けませんでした。私が入金をし損ねた唯一のHello! Project現場。本当に悔しい)は何度も見返したくなる魅力があります。あのー、すみません。お手数ですが、これを読んでいるあなたは一旦Youtubeに移って、稲場愛香 ダンスで検索して、いくつか動画を観てから戻ってきてもらえますか? そうしないと話の前提が共有できませんので。今日のイベントで稲場さんは、℃-uteさんの『夢幻クライマックス』のダンスを歌なしで見せてくださいました。本気で踊るために左側に捌けてから、裸足になっていました。何かが憑依したような、鬼気迫る身体表現。曲の荘厳な雰囲気もあって、神々しかったです。稲場愛香さんのダンスを間近で鑑賞することに勝る幸福を、Hello! Project現場だけでなく人生全般においても挙げるのは簡単ではありません。元のダンスにご自身のアレンジも加えていたそうです。司会の鈴木啓太さんが明かしたところによると、彼女は朝まで練習していたそうです。

次に思いつくのが、計算され尽くした(とおぼしき)いわゆるあざとい言動です。今日も全開でした。ちょっとした仕草や表情、発言ひとつにしても、いちいち百点なんですよね。すべてが究極の可愛さという終着点に向けられている。箱の中身を当てるゲームがあって。正解はうさぎだったんですけど、頭のあたりを強めにお触りになったとき、ぐにゅってなったと言ったり。手があったと気付いたとき、植村さん? と言ったり。(17時からのこの公演には宮崎由加さん、金澤朋子さん、段原瑠々さんが最初から、途中から植村あかりさんが観に来ていたらしいのです。)ダンスの後に、もぐもぐまなかんタイムという、お菓子を食べる時間がありました。このときに稲場さんが見せてくれた小芝居がコッテコテにあざとくて。何度も笑いました。ここまでやりきれる人は他にいないんじゃないですかね。今のHello! Projectで。DVDでじっくり楽しみたいです。私は基本的にこういうイベントは現場で体験したら後からDVDで観直したいとはそこまで思わないのですが(良席であればなおさらです。わざわざ画質の悪いDVDを買って観たくはならないです)、今回に限っては家でニヤニヤしながら何度も繰り返し再生したいと思いました。そう、ニヤニヤしながら鑑賞するのにこれ以上向いたアイドルさんはなかなかいないですよ。DVD(本当はFCイベントの円盤もいい加減Blu-rayに移行してほしいですが…)の発売が待ち遠しい。

あとは、演技力。今日のイベントでは一人で複数の登場人物を演じ分けながらラジオ・ドラマを聴かせてくれました。ある程度の長さがある物語をじっくり演じきれる表現力はさすがでした。振り返っても演劇女子部の『気絶するほど愛してる!』も『タイムリピート~永遠に君を想う~』も、稲場愛香さんなしでは成立しませんでした。

説明するまでもないですが、単純に造形の可愛さ。艶やかさ。ラジオ・ドラマが終わって椅子から下りるときに左脚から地面につける際に脚をお開きになって、一瞬、衣装の中が見えたのですが(もちろん短パンをお履きになっていました)、私は思わず生唾を飲み込みました。『氷の微笑』の名場面を思い出しました。動作の一つ一つが色っぽくて、目が離せない。

色々と挙げてきましたが、彼女を他のアイドルさんから差別化しているのは、最終的にはサービス精神のような気もします。他のアイドルさんにそれがないって言っているんじゃありませんよ。それどころか仕方なく賃金労働をしている私なんかの何百倍もサービス精神を持っていますよ。でも稲場さんが偉大なのは、ふんぞり返れるくらいの技能や才能があるのに、健気なほどにファンを楽しませようと一生懸命でいてくれるところです。それが稲場愛香さんを稲場愛香さんたらしめているのではないでしょうか。最後のお見送りで、めっちゃ楽しかったと申し上げたら、両手を合わせてありがとうと返してくださいました。ご本人もブログで、楽しかったよ~!とたくさんの方に言っていただけたのがとっても嬉しかったですとお書きになっていました。技巧的なダンスを見せる、あざとい言動でファンをメロメロにする、物語や登場人物に入り込んだ演技で観客を感動させる、そういったことは手段であって、彼女が心から目指すゴールは我々ファンを楽しませることなのでしょう。キリスト教における平等が神という絶対的な存在を前にすると人間ひとりひとりの細かい差は無視できるというところから来ているのと同様に、稲場愛香さんという圧倒的な存在を目の当たりにしてしまうと世の中に生息している美醜や能力の差など誤差でしかない。そう実感できました。私はこのバースデー・イベントを観覧するために12週連続で行っていた出張を途切れさせて(同行者のスケジュールも変更)、今日は5時半に起きて15時までに退勤できるように調整してきました。それが100%報われました。ミニ・コンサートの最後が『恋をしちゃいました!』(タンポポ)だったのですが、終盤の君が好きですという歌詞を稲場さんは私に向けて歌っていました。イヤ、違うよ。後ろのお前じゃないよ。何を勘違いしてんの。アレは俺に向けてたって。絶対。