2018年6月1日金曜日

田村芽実ワンマンライブ (2018-05-12)

とうとう来たな、この時が。待望の田村芽実さん単独。2016年5月30日、日本武道館でのコンサートを最後に彼女はアンジュルムを退団し、アップフロントからも離れた。ミュージカル女優になるという公約を、彼女は約一年後に果たした。2017年5月19日、私は渋谷で『minako-太陽になった歌姫』を観劇した。同作を皮切りに、彼女は順調に出演作を増やしていった。同年7月、池袋で『グランギニョル』。11月、明治座で『京の螢火』。後者に関してはS席が12,000円で、私が応募を躊躇しているうちにファンクラブの申し込み期限が過ぎ、結局は行かなかった。ミュージカルで観る田村さんは、Hello! Projectの演者であられた頃にも増して生き生きとしているように見えた。彼女は演技と歌が交わる表現において、最も持ち味を発揮するのだろう。Hello! Project時代の特徴だった、曲に入り込む歌い方も一種の演技だったと言える。ミュージカルであれば、より直接的にその特徴を活かせる。おそらくミュージカル女優が彼女の天職なのだろう。とはいえ、ミュージカルの彼女は大勢いる出演者の一員である。一人の歌手としての田村芽実さんも捨てがたい。なので、このコンサートを私は心待ちにしていた。2月11日にも開催されていたが、その日の私は福島にJuice=Juiceを観に行っていた。先にチケットを確保済みだったので、泣く泣く(実際に泣いてはいない)諦めたのである。今日も危なかった。Yokohama Bay Hallでつばきファクトリーのコンサート・ツアー『初恋』が行われる。私は昼公演と夜公演に申し込んで、両方とも外れていた。田村芽実さんのコンサートが行われると公表されたのはその後だった。つばきファクトリーに関しては5月26日に柏での公演を観に行くことが決まっている。田村さんのコンサートは今回を逃すと次にいつあるかは分からない。なので、つばきファクトリーの横浜公演に外れたのは運がよかった。3月24日に田村芽実さんのファンクラブ・サイトから申し込んだところ、3月31日(土)15:00までにお振込みをお願い致しますという自動返信が来た。申し込んだら即チケット当選。落選するという概念はなかったようだ。

前回がどうだったのか、知らない。検索すればセットリストや感想が転がっているだろうが、私はあんまり興味がないんだ、他人が書いた報告には。特に媒体の奴らが書いた記事。コンサートに仕事で行って、仕事で書いているという時点で宿命的につまらない(もちろん例外はあるかもしれない)。何らかの媒体名を背負うからにはある程度、客観的に書かないといけないだろう。でもアイドルやコンサートについて客観的に書けば書くほどつまらない。日時、会場名、観客数、セットリスト。言うまでもなく、それらに情報としての価値はある。でも、一人のファンや観客という視点から大事なのは、なぜ自分がそのコンサートに行くと決めたのか。なぜそのアイドルなりアーティストが好きなのか。自分がこれまで生きていた人生においてどういう体験だったのか。どういう一日だったのか。コンサートでもそれ以外でも、何が印象に残ったのか。ムカついたことは、嬉しかったことは、イヤだったことは、興奮したことは何だったのか。体調はどうだったのか。前後に何を食って何を飲んだのか。遠征だったら、移動手段は。その土地ならではの驚いたことは何かあったのか。等々…。本題であるはずのコンサートやイベントとは関係のない一見ムダな情報が、文章に意味を与える。自分の体験として書く。生活感を出す。それには現場日記というスタイルが適している。これができるごく数名の信頼できる紳士たちのブログは愛読している。モーニング娘。'18 小田さくらバースデーイベント ~さくらのしらべ7~ in 名古屋の報告と見せかけておきながら文章の6割程度がiPhoneが故障し新しい機体を手に入れるまでの顛末で占められるホーミーの投稿なんかを見ると、そうそうコレだよってなる。音楽専門の媒体に同じ記事をドロップしたら読者から苦情が殺到するだろうが、個人のブログだったら文句を言われる筋合いはない。誰かの発注を受けて、他人の要望を満たすために書いているわけじゃないからね。自分が書きたいことを、書きたいように書く。それがブログ。もちろん何を書いてもいいってわけじゃないけど、書かなきゃいけないことはない。観に行った公演のことをいっさい書いていないのが究極の現場日記。

インターネットに公開されたグッズ。まったく購買意欲をそそらない。出費が抑えられて助かる。新大久保、ナングロ。サマエボウジ、ホッピー黒、チキン・シェクワ。2,010円。渋谷駅から歩いて10分足らずの、music DUO EXCHANGE。初めて来る会場。O-EASTとかがある、あの辺。K DUB SHINEさんが『追いつめられて 都知事人質』で都知事を誘拐したのもこの近辺だ(Bunkamura のすぐ裏 警官すら見えないこっちの面)。付近を散策すると、宇田川町で自販機や店の壁を埋めるグラフィティ。どこか不穏な雰囲気が漂う。強制徴収のドリンク代は600円。Hello! Projectと違ってお酒が選べるのが嬉しい。オススメドリンク ミドリスプモーニ(メロンリキュール+グレープフルーツ+トニックウォーター)というのも気になったが、ジン・トニックを選ぶ。たしか夜もジン・トニックにしたと記憶している。蒸留酒で糖質を抑えたいからね。ミドリスプモーニにはもしかして田村さんのアイデアが取り入れられているのかなと思ったが、コンサート中にご本人から言及がなかったので、たぶんそうじゃない。というか今気付いたけど田村さんはまだ未成年じゃんか(今年の10月で二十歳になりはる)。お酒のアイデアを出すわけがないな。彼女の真面目さとストイックさを考えるとおそらく飲んだこともないでしょう。アルコールで喉が焼けるとか、めっちゃ調べて気を遣いそう。プロフェッショナルとは、メイミ・タムラ。喉と言えばね、タンブラーっていうの? スターバックスとかで売ってるあのちっちゃい魔法瓶のようなやつ。ストロー付きの。あれを二つステージに持ち込んではってね。交互に飲まれているような感じだった。それぞれに何が入っていたんだろう。たぶん喉をいたわるための工夫なんだろう。気になる。こういう細かいことが分かったのも田村芽実オフィシャルファンクラブ事務局さんが私にいい席を割り振ってくれたおかげ。昼公演が整理番号61。3列目のやや左寄り。夜公演が37番。2列目のほぼ真ん中。ありがたや。コンサートの感想を端的に述べると、田村芽実さんが本当にお美しくて、歌もお上手で。というのに尽きる。Hello! Projectを退団してから彼女がどんどんべっぴんさんになっていくと感じるので、私がロリコンではないことが証明された。衣装は本編とアンコール後の二つ。昼公演で田村さんが語ったところによると、衣装を替えず、盛り上がる曲ばかりでもなく、ダンスをせず、動き回らず、そういうところに気を取られずに私の歌を聴いてもらうことにこだわった。色んな所からたっかいお金を払って観に来てくださる方々がそれで楽しんでくれるか心配だった。楽しかったですかと聞いたら楽しくなかったと言われるのが恐いのですが…楽しかったですか? 拍手と歓声で応える我々に笑みをこぼす田村さん。目を取られないようにしたとは言いつつも、田村さんの美貌を引き立てる衣装だった。アンコール後の服は昼と夜で一緒だったけど本編の衣装は替えていた。特に昼公演では脚を存分に見せてくださった。形が斜めになっていて、左脚はかなり上まで見せてくださったので、私は礼儀としてしっかりと目に焼き付けた。アンコール後は往年の松浦亜弥さんを思わせるショートのデニム・パンツ。ふとももが眩しかった。夜公演のアンコール後にはツインテールを見せてくださった。

昼公演で、客席に問いかける田村さん。電車で来た人? 私は二列目だったんで正確な挙手状況は分からないが、たぶん大半の人たちが手を挙げる。新幹線。そこそこ。飛行機。ちょっと。車。いない。歩き。いない。一番遠くから来たよって自信がある人? 誰も手を挙げない。みんな自信なさすぎじゃない? 笑い。二人が手を挙げる。一人は私の前にいた紳士。札幌から来た。もう一人は左の後方あたりの誰か。熊本。札幌と熊本ってどっちが遠い? 判断が難しく、笑いが起きる。じゃんけんで決めて。札幌の紳士が勝つ。名前を聞く田村さん。フル・ネームですか? フル・ネームだと覚えづらいからどっちかで。テンシンです。テンシンさん? はい。好きな花は? マリーゴールドとか、いくつか答えるが欲しかった答えではないらしく、他には? 他には? と何度も聞き直す田村さん。最終的には無理やりバラと言わせる。そんなバラが好きなテンシンさんに贈ります、とバラにまつわる曲を歌う。テンシンさんはどうやらおまいつのようで、夜公演では最前にいた。彼のおまいつ仲間のような人たちも数名、最前だった。田村さんが客席に質問を投げる場面は、夜公演でもあった。これは昼公演でも聞きたかったんですが、と少しモジモジしながら、一応ミュージカル女優として一年やってるんで…。私がスマイレージの頃から知ってくれている人は? 9割の人が手を挙げる。え、本当? 嘘つかなくていいんだよ? アンジュルムになってから知ってくれている人は? 1割くらい。テンシンさんが手を挙げたのが以外にもここだった。Hello! Projectを辞めてからファンになった人は? いない…二人だけ挙手。一人は私の隣にいた紳士。詳しく聞き出すが、田村さんを知ったのはHello! Project脱退後であったものの、在籍中の動画(バースデーイベントでの『シャボン玉』)を観たのがきっかけと知って急にガッカリする田村さん。Hello! Project退団後の活動で知ったという、もう一人の女性。明治座で『京の螢火』を観て、おりょうを演じた田村さんに興味を持ったのがきっかけでここに足を運んだという。飛び跳ねて喜ぶ田村さん。みんな、新しいファンの人に優しくしてね。そのヤナギサワ・ナツコさんに、バラにまつわる曲が贈られた。席が224番まであった中で、Hello! Project後の活動でつかんだファンが一人というのが現実である。言い方を変えれば、辞めてから2年がたつのにHello! Project時代のファンが付いてきているということである。

今日は二つのサプライズ発表があった。昼公演では、田村芽実さんがビクターからソロ歌手としてデビューすること。2018年夏(8月予定)。オリジナル曲を作っていく。今日のセットリストはカヴァーだけだった(『ロマンス』を除けば初めて人前で披露する曲だったという)。全体的に優しく包み込むような歌声だったが、一曲だけドラマティックな歌い方をされていて、まさに田村芽実さんワールドという感じだった。どうやら『グレイテスト・ショーマン』というミュージカルの歌だったようだ。ひときわ大きな拍手が起きた。私はミュージカル女優なので、一つはミュージカルの曲を入れたかった、と田村さん。ソロ歌手として正式に活動を開始することで、いずれオリジナル曲だけのソロ・コンサートが観られるかもしれない。夢が広がる。二年前にアンジュルムを卒業し、グループに頼らず、一人でどこまでできるかを試したかった。甘えずにやるため事務所も退社した。どうせすぐ(ソロのキャリアは)終わるんだろうなと思っていた。卒業しました、はい何もないという状況だったので。一年後、『minako』に出演させていただいた。そのご縁で今の事務所にいる。二年後の今、ソロ・デビューが決定した。/夜公演では、2019年のカレンダーを発売し、それを記念したイベントを行うこと。共に田村さんご本人は事前に知らなかった。デビューについてはうそーうそーという感じで感情を露わにして頭を振り回して嬉しさを表現していた。カレンダーについては何だそれはという感じで笑っていた。買ってくださいねと我々を牽制する田村さん。写真集やカレンダーは一生出さないものだと思っていたとこぼす。そういえばHello! Project時代に一度も水着姿を見せてくださる機会がなかった。帰り道。カレンダー売るってね。握手やるのかな? たぶんそうだろうね。ビクター行けると思っちゃってるんじゃないの? アイドル的に売れるって。いやあ、数絞らないと厳しいんじゃないかな、という現実的な話をする中高年紳士二人組。私は週のはじめから感じていた身体の不調を引きずっていた。昼公演のアンコールで拍手するときに肩が凝ってつらかった。夜はマシだったが、昼は眠かった。これはほぐしてもらなあかん。私は山手線で池袋に移動し、20時半から60分4,000円の台湾式マッサージを受けた。