2018年6月15日金曜日

ファラオの墓 (2018-06-03)

名古屋で研修生発表会を観る者。東京で演劇女子部を観る者。それぞれの2018年6月3日。日曜日。Hello! Project 2018~オジサンたちの決断~。前回前々回と私は研修生発表会を名古屋に観に行っていたが、今回は東京だけにする。名古屋は三週間後に行くんでね。Juice=Juiceのコンサートで。そんなにしょっちゅう遠征はできない。お金が余っているわけではない。名古屋は魅力に欠けるし。初めに来たときは新鮮さがあったけど何回か訪れたら飽きてきた。私が名古屋に行くときのパターンは二つあって。一つ目は、東京を早朝に出て14時半くらいにささしまライブに着く低所得者向けバス(4,000-5,000円)に乗って、一泊して(5,000円前後)、帰りに富裕層向けの夜行バス(9,000円前後)。二つ目が、行きも帰りも富裕層向けの夜行バス(往復18,000円前後)。いずれにしても移動と宿で2万円前後はかかるんだ。名古屋は東京と大阪の真ん中というと聞こえはいいが、どっちとも中途半端に距離があるからそれなりの金額がかかる。名古屋ごときに月に4万も出せない。往復とも低所得者向けの夜行バスにすれば半分くらいで抑えられるけどさ、身体が持たないよね。というわけで、今回の研修生発表会に関しては名古屋は申し込まなかった。今日は、演劇女子部。モーニング娘。主演、『ファラオの墓』。サンシャイン劇場。池袋。17時開演の回。8列。

去年の今頃にやっていたミュージカルの再演。個人的には新しいのをやってほしかったなという思いはあった。不思議なもので、短期間で同じコンサート・ツアーや演劇を何度も観るのは平気なのに、時間がたってからの再演となるとそれほど気が乗らない。とはいえ、一年前とはまた違う表現を見せてくれるんだろうな、という期待はあった。アイドルさんたちはブラック企業の従業員並に入れ替わりが激しいし、ブラック企業の従業員並に圧倒的成長を遂げるから。所属員の変化という点では一年前から:
・工藤遥さんが去った。今はアップフロントに籍を残しつつ戦隊モノに出てるんだよね。元から私は彼女にそこまで興味が薄かったし、戦隊モノよりは泡洗体に興味がある。工藤遥さんを愛されている中島さんのブログは毎回、楽しみにしてるけどね。
・尾形春水さんの退団が決まった。たしか6月19日(火)の日本武道館が最後になるんだったかな(※20日の水曜日だった)。『ファラオの墓』はその前に千秋楽を迎えるので尾形さんが出演してもおかしくはないんだけど、ご欠席。舞台稽古はしんどいだろうし、演技は尾形さんの得意分野でもないので、退団間際にやるほどのモチベーションはないんだろう。稽古で監督やら演出のオジサンにダメ出しされても、ウチもうすぐで辞めんのに何でこんなん言われなあかんねんってなるわな。芸能の道に残るならまだしも、一旦は学業に専念する言うてはったし(2018年6月2日 MBSラジオ ヤングタウン土曜日)。分かる。私も会社を辞めたときは、退職が決まった瞬間から業務に対する態度が(さらに)いい加減になった。まだ出社日が残っていても自分の中ではもう辞めていたようなもんだった。それに比べれば尾形春水さんはプロフェッショナルだ。
・森戸知沙希さんがカントリー・ガールズから加入した。
去年の同作と比べるとモーニング娘。は工藤さんと尾形さんがいなくて、森戸さんが出演者に追加された。この中で演劇にいちばん大きな影響を与えたのは工藤遥さんがいなくなったことだった。去年は工藤遥さん、石田亜佑美さん、小田さくらさん、譜久村聖さんが主役級だったけど、中でも工藤さんは目立っていた。迫真の演技は狂気さえ感じさせた。同じレベルの役者は今のモーニング娘。にはいない。だから、圧倒的に秀でた個人がいたという点では、去年の方がよかったと思う。尾形さんと森戸さんはどちらかというと脇役だったので、彼女たちがいるかどうかは演劇の全体にはそこまで大きな影響は与えていなかったように見えた。あくまで去年に二回(2017年6月3日6月10日)、今年は一回だけ観た人間の感想ですけどね。

ただ工藤遥さんの穴(変な意味ではない)以上に、他のメンバーさんたちの成長に私は目を見張った。個人で工藤さんを上回る輝きを放てる人はいなかったが、モーニング娘。というグループ、『ファラオの墓』という演劇として総合的に観ると、2017年6月からの確実な進化を感じられた。特に私の印象に残ったのが、牧野真莉愛さん、野中美希さん、佐藤優樹さん。
・去年の牧野さんは、シリアスな話に笑いを差し込む箸休め的な役だった。演技というよりは彼女自身のキャラクターを生かした配役だった。今年は石田亜佑美さん演じる王子のフィアンセ役。準主役級。去年は譜久村聖さんが担当していた。中立的な位置から敵対する数名の登場人物をつなげる、ハンバーグでいう(ハンバーグでたとえる必要はない)つなぎのような役割を話の中で担っていた。引き締める重要な役だったが、牧野さんは立派にやり遂げていた。
・牧野さんとは逆に、野中さんは役の格が下げられた。去年は主役級だった。敵国の王子と恋に落ちる、別の国の王子の妹役。今年は奴隷を監視するリーダー。去年はおしとやかで一途な乙女。今年はその正反対。今日は声を低くして男っぽく、動作も荒々しく、体格もガッシリ(衣装の中に詰めてたんだろう)していて、肉体労働者の長役が板に付いていた。
・佐藤さんは、去年は要所で話を説明するナレーターという、イレギュラーな役だった。監督が彼女の置き場所に困って苦し紛れにひねり出したような(推測だが)役だった。今年はその役自体がなくなって、佐藤さんは王子・石田さんの部下でありながら彼(彼女)を陥れようとする反逆者の一人。普段(モーニング娘。として)の佐藤さんはよく言えば個性が強いんだが、ガイ感がある。天才と何かが紙一重という言葉は彼女のためにある。モーニング娘。に入り立ての頃は、まだ小さいから世間ずれしてなくて無邪気なんだろうなと私は思っていた。ところがもう19歳なのにそれほど変わる気配がない。2018年6月9日のMBSラジオ ヤングタウン土曜日でも明石家さんまさんが、あーおまえ社会不適合者やなと見抜いていた。普通に企業に入って、普通に勤め上げるとかは絶対に無理でしょう。彼女の言動が予測できないヒヤヒヤする感じがサイコパスな雰囲気を役に与えていた。その分、劇中でコンビを組んでいた生田衣梨奈さんがかすんでいた感はある。

もちろん主役の石田亜佑美さんをはじめ、全員が素晴らしかった。劇中、暗転して音がなくなるとそこら中からすすり泣く音が聞こえた。いくら悲劇的な内容とは言え、主演のモーニング娘。による舞台上の表現がしっかりしているから、観ている人たちが感情移入をしているということ。私の場合はどぎつい映画や小説に接しすぎて感覚がバカになっているようで、そこまできつい話だなとは思わないのだが。

終演後のトークで、ルー! と大きな声を出して横山玲奈さんにコメントを振る石田亜佑美さん(ルーは横山さんの役名)。びくっとする横山さん。美少年ルーを演じました、美少女の横山玲奈です。横山を見て可愛いなと思った方は手を挙げてください。多くの挙手。(本当にそう思ってます? と誰かが我々に問いかける。)はい、存じ上げております~。(あんまり調子に乗るなよ、と石田さん。)横山のことが可愛いと思った方、演技いいなと思った方は、いま開催中のHello! Project ONLY YOUオーディションに応募してください。21歳以下の女性ですよ。この中にいっぱいいますね! 以上、美少女の横山玲奈でした~! 石田さんは座長のように仕切っていた。最後に、明日は休演ですが10日まで池袋でやっているので、また私たちに会いに…と言いかける。いや違った、オレたちに会いに来てくれるよな?