2019年5月9日木曜日

爛漫 (2019-04-29)

おしっこが我慢できず中途覚醒。午前3時にウェルビー名駅の通路を徘徊して化粧室に向かう中年男性(まだ中年ではない。韻を踏みたかっただけだ)。ウィルキンソン・ハードナイン無糖DRY 500ml。ホッピーセット(黒)1杯、梅干しハイボール2杯。以上が昨日に飲んだお酒の一覧である。無茶な飲み方ではない。ただ自分の平均的な飲酒量からすると3週間分くらいに相当していた。誰かと一緒にお酒を飲むということ自体が稀だし、一人で飲むときは一杯だけだ。二度寝。8時過ぎに正式な起床。一時間くらいかけて入浴。ミスト・サウナに設置された葉っぱの匂いを吸い込んで癒される。脳によさそうである。お腹が空いていないから朝食は抜く。JRで岐阜駅へ。11時過ぎに到着。駅前を歩いてランチの店をサーチ。開店前から行列が出来ているPIZZERIAが気になるが、グルテン、糖質といった言葉が頭に浮かび、避ける。心暖(こはる)という店に決めた。カウンター中心の居酒屋。岐阜県産豚テキ定食900円を注文。奥の厨房で炎を出しながら豚肉を焼く店主らしき紳士。運ばれてきた豚テキはもう見るからにおいしそう。思わず感嘆の声が出そうになる。期待に違わぬ味。定食に+150円で付けたアイス・コーヒーにミルク(という名の植物油脂)とちょっとだけシロップを入れる。めっちゃおいしかったですと店主に伝える。夜も間違いなさそうな店だ。収穫。事前情報がない状態でリアルな飲食店を次々に見つける私の嗅覚。

12時17分、岐阜Club-G。グッズ列に並ぶ。ざっと50人いないくらい。にしてはだいぶ待たされた。iPhoneでDAZNを開いて昨日のマリノス対アントラーズの前半を観る。イトーヨーカドーで購めたようなスポーティな衣服を身に纏い会場近辺を四、五人で練り歩く中高年の紳士たちを眺める。ゴミ袋一つ分500円で事前に預けられるクロークがある。売り場に到達。販売者が一人しかいてへん。こりゃ時間かかるわ。13時8分、岸本ゆめのさん、山岸理子さん(以上は夜公演のみダチの代購)、小野瑞歩さん、谷本安美さんの日替わり写真をゲトる。開場が14時なのでサテンに入ってもゆっくりは出来ない。その辺でぶらぶらして時間を潰す。味のある商店街。興味深そうな飲食店がいくつかあった。天丼とかラーメンとか寿司とか。糖質だらけだが。インド料理店の表に出しているメニューにミックス・ピザがある。間違いなくフェイクだ。近寄らない方がいい。余談だが私はナンがやたらと大きかったりお替わり自由だったりする店も警戒している。定食でコメがやたら多いのと同じ。メイン・ディッシュで満足させられないから炭水化物のカサを増してごまかしているんだろうという見方をしてしまう。

昼公演 1400開場 1430開演 280番

右側の段差(二つあるうちの一つ目)の上、二列目。前の紳士がペンライトを片手で三つ持ち(いわゆるバルログ)何かと高く掲げるタイプの人物だった。位置取りをしくじったと思ったが、中央付近の一つ前(段差になる前のいちばん後ろ)には勾配を相殺する長身の老紳士(しかもたぶんそのジジイは結構飛ぶ)がいたし、他にも活きのいい中高年男性が散見された。だから、もっと左に行けばよかったとか右に行けばよかったとか、そういうのはなかった。この整理番号なりに行ける最良の場所だったと思う。ただ、始まってから少しの間はステージと私の間にそびえたつ活きのいい中高年男性たちの挙動に心を乱された。そんなの関係ねえとは思えなかった。お酒を飲んでいれば細かいことは気にならなくなる(分からなくなる)が、今日はまだ一滴も口にしていない。昨日があまりにも楽しかった。今日はそういうわけにはいかなさそうだな、と思いながら私はコンサートのはじめの数分を観ていた。

しかし徐々にイラつきが消えていった。不思議なくらいに。ウィンドウズのごみ箱を右クリックしてごみ箱を空にするを選んだかのように、不要な感情がなくなっていった。つばきファクトリーさんに魅了され、些細なことはどうでもよくなった。コンサートが始まった瞬間の私はおそらく真顔だったと思うが、しばらくすると笑顔になっているのが自分で分かった。アルコールなしでココまで無心に楽しめたのは久し振りだ。それを端的に示すのが、アンコール前の最後から二曲目、『ハッピークラッカー』に私が全力で乗ってしまったという事実である。(職安のような芸名の紳士が書いたチープなリリックを聴くと苦々しい気持ちになる。ワックさへの抗議を込めてこれまでの公演では声を出さないようにしていた。)気が付いたらオイオイ声を出していた。しまったと思ったが、勢いに任せて最後までチャントを入れ続けた。初めてまともに乗ってしまった。ついそうなってしまうくらい私は仕上がっていた。コンサートのパターンとしては(たぶん)昨日の名古屋の夜公演と一緒だった。でも大事なのはどの曲をやったとかじゃなく、アルコールのドーピングなしで、コンサートに夢中になるという感覚を味わえたことだ。

最後のコメントで谷本安美さんが、皆さんの顔がたくさん見えた。笑顔の人がたくさんいて可愛いなって思いました、という旨のことをおっしゃっていた。見るからにまともではない中高年異常男性たちが笑顔になっているのを見て、なかなか可愛いという単語は出てこない。それを皮肉や嘘っぽさを感じさせずにさらっと言える谷本さんは、本物のアイドルさんである。いつぞやの℃-uteさんのDVDマガジンを思い出した。コンサートが終わってから℃-ute最高だのバンザーイだの中年男性たちが声を揃えている様子をモニターで見ながら、可愛いって盛り上がっている場面があった。我々を見て可愛いって、普通はあり得ない(私はお絵描き会の最中に山岸理子さんから、チェキ撮影時に小野瑞歩さんから、着ている服について可愛いと言われたことはあるが)。我々はアイドルさんとは対極の存在なのであって、可愛いという単語からはこの世で最も遠い部類に属する。終演後、近くの紳士から鉛筆のような臭いがした。

終演後、昨日に引き続きダチ、岐阜が地元のSさんと合流。ドンキで酒とつまみを調達して、近くの公園で飲む。本当は夜公演の後に岐阜で飲むはずだったのだが、Kさんと夜に名古屋で会えることになったので、急遽、予定を変更した。Sさんとは夜公演の間に飲むことにした。普通なら先約を優先すべきところだが、Kさんは労働に忙殺(文字通り殺されかけていると言っても過言ではない)されているため会える機会がほとんどない。メタル・スライム以下の遭遇率。この機会を逃したら次にいつ会えるか分からない。

三人ともアルコール9%の酒を公演のテーブルに開けて談笑していると、オジサンがニヤニヤしながら近寄ってくるのが横目に入った。イチャモンでもつけてくるのかと身構えたが、中京テレビの取材だった。首から掛けている名札によると三辺さんという方だった。二人の若者を引き連れていた。その片方がノートブックとペンを持っていた。カメラはなかったので私はホッとした。インターネットのフリー素材にはなりたくない。岐阜と名古屋のローカル・ネタを探しているんだという三辺さん。クセのある店員がいるとか、めちゃくちゃ安いとか、際立った特徴のあるお店を探している。岐阜が地元なのはSさんだけだ。ダチの地元は広義では名古屋かもしれないが少し離れている。私に至っては埼玉だ。頼れるのはSさんだが、彼がストリップ劇場を挙げたところ三辺さんはそれは取り上げられないとやんわり述べた。あとは、ホームラン酒場。ああ駅前の。おいしいですか? いや、まあ普通…。安いですか? いや、高くもなく、安くもなく…。岐阜の支配層(支配層という用語の出典は某Twitterアカウントだが、ココでは転じてそのアカウントの人物のように無職で気ままに生活をしている人を指す)と称されるSさんがどうも地元に疎い。三辺さんチームからは諦めの空気が漂った。ダチが口を開く。我々に聞いてもいい情報は得られませんよ。あそこにいるスケボーに乗った青年たちに聞いてみてください。怖くて聞けないですよ~と三辺さんは難色を示した。その後、本当にスケボー軍団には聞かず、彼らは公園を去った。

Sさんとはコレでお別れのはずだったが、名古屋までついてきてくれることになった。私とダチがつばきファクトリーのコンサートを観ている間は、ポルノ映画館に行くことを検討されていた。

夜公演 1730開場 1800開演 188番

開場時間から少し遅れて岐阜Club-Gにたどり着いた。既に200番まで呼ばれていた。昼公演は10分間で210番まで呼ばれていた。同じくらいのペースだったと思う。小走り。係員に近づく。何番ですか? 188番です。入りましょう。

12人ぶん損をしたが、悪くない位置を取ることが出来た。右スピーカー前の7列目。右端は最前まで空いているが、スピーカーでステージが見えない。あえてそこに行って動きまくるという作戦を取る人たちが集まってきた。そのうちの一人が、スペースは作るものなんです、というフットボールのようなことを言っていた。

小野田紗栞さんが昨日と変わらずまったくぶれない。昼公演だったか夜公演だったか忘れたが(昼のような気がする)私は岐阜生まれなので、今日のコンサートも凱旋公演なんです的なことをおっしゃっていた。(昨日も名古屋で似たようなことを言っていた。)彼氏との江ノ島デートが発覚した直後なのにガンガン自分を押し出して目立とうとする精神。強心臓。しおらしさがまったくない。ふてぶてしさに惚れた。カッコよすぎる。皮肉ではない。

私は『三回目のデート神話』がそこまで好きではないのだが、コンサートの熱を高めるには欠かせない曲の一つだと理解した。これだけ連続してメンバーさんのチャントを入れる曲をこの集団は他に所持していない。いい曲かどうかと現場でぶち上がるかどうかは別問題だ。ライムスターの宇多丸さんも大絶賛する名曲『春恋歌』には我々が声を出すところはない。(いい曲でかつぶち上がる曲も中にはある。たとえば『今夜だけ浮かれたかった』)。『三回目のデート神話』はメンバーさんの歌に被せて名前を叫び続ける怒涛のチャント・タイムがある。被せるチャントには賛否あるが(歌を邪魔するので)、少なくとも山岸理子さんの反応を見るかぎりメンバーさんには好意的に受け止められているようだ。おーがた! おーがた! という皆さんの声が物凄かった、と圧倒されている様子だった。

このツアーは最後の曲が『帰ろう レッツゴー!』なのだが、アンコール前の締めである『今夜だけ浮かれたかった』の、最後のリリックもさようならである。なかなか粋ではないか。

5月1日から元号が変わる。この夜公演が、つばきファクトリーのコンサートとしては平成で最後の公演だった。小野瑞歩さんがそれに触れて、平成最後のコンサートにつばきファクトリーを選んだ皆さんは、令和もきっとうまくいきますという旨のことをおっしゃった。私はもう中年が間近になり感性が老化しているので元号が変わることに対して感慨も何もないのだが、今日ココに来たのは間違いのない選択だったと思う。二日連続で四公演、それも二回は比較的ステージの近くでつばきファクトリーのコンサートを観ることが出来て、私は幸せだった。この二日間でつばきファクトリーのことがますます好きになった。見たくないメンバーさんがいない。今日の夜公演ではいつも以上に新沼希空さんが目についた。いつもより表情が豊かで柔らかかった印象。これからもっと彼女たちの技量は上達し、ますます洗練と成熟を重ねていくだろうけど、旬という意味ではまさに今なのではないか。早期にいわゆるホール会場でのコンサート・ツアーを組んでほしい。年功序列のHello! Projectだが先発グループのこぶしファクトリーさんがこのゴールデン・ウィークで中野と大阪のホール・コンサートを実現することが決まっている。早いところつばきにも機会を与えろ。今年中だ。ライブハウス(和製英語)にはライブハウス(和製英語)のよさがあるが、メンバーさんたちがココでやれてよかった、ライブハウス(和製英語)を回ってきたのが報われたと思える会場でコンサートを!

昨日、今日と四回の全員握手を体験した。私は全部、無言で通した。あれだけ麗しいナオンたちと手を触れて対面させてもらえるだけで胸がいっぱいになる。言いたいことがあったとしてもあの速度で双方向のやり取りをする技術がない。何も言わないで笑顔のまま通り過ぎる気色の悪いオジサン。しっかりと目を見てありがとうございますと言ってくださるつばきファクトリーさん。本当に凄い。秋山眞緒さんの握手に変化を感じた。これまでは握ってから次に流すように手を投げてきていたのだが、昨日、今日はそれをしていなかった。

ポルノ映画館に入っていたSさん。はじめは客が数人いたが途中から一人になったのでその場でシコッたという(ストーリーは不倫モノ)。終演後、ダチ、Sさんと岐阜駅から名古屋駅へ移動。名鉄はJRに比べて本数が少ない。JRを使った方がいい。無視できない雨の降り方。ファミリー・マートで傘を買う。尾毛多セコ代 柳橋市場店の前でKさんと待ち合わせる。先に入ろうとすると、今日は23時に店を閉めるから(普段は24時間営業)もう入店を締め切っていると店員さんに断られた。今は21時17分。まだ2時間近くある。腑に落ちないので再確認するが、今から料理を準備しても時間がかかるからとつれない。味仙が近くにあったが、そちらも閉まっていた。その近くに尾毛多セコ代がもう一店舗あった。国際センター駅前店。オタクでも入れてもらえるんですかね、とKさんが不安がるが、入れてもらえた。角ハイボール、大人のレモンハイ、ウーロンハイx2、ホッピーセット、味噌とんちゃんx2、枝豆、牛ハラミ、牛タン、(メガ)コークハイボール、パンチレモンハイ、牛ツラミ、肉味噌やっこ、ポテフラバター醤油、バカルディモヒート、席料x4。10,419円。味噌とんちゃんが絶品と再認識。マッチング・アプリで熟女と会っているというKさん。そういう人は陰毛も白いんですかとダチが質問すると、会計を済ませて出ていく若い女が振り返った。


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